JP2999765B1 - 紙送りロ―ラ及びその製造方法 - Google Patents
紙送りロ―ラ及びその製造方法Info
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Abstract
大径かつ回転軸とローラ部の同心円性に優かつ形状寸法
安定性の高い紙送りローラ及びその製造方法を提供する
ことを目的とする。
Description
ーラ部に用いた、プリンター、ファクシミリ、コピー機
等において紙を正確に移送させる必要がある機器に用い
られる紙送りローラ及びその製造方法に関する。
属ローラ、ゴムローラ等が用いられてきた。
部を構成する中空金属製円筒体の両端部に軸部を取付け
た端面板を溶接によって取付けることによって形成して
いた。この場合、両端部の軸部によって金属ローラの回
転軸が形成されるが、金属製円筒体と回転軸との同心円
状態を確保するのが非常に難しいという問題があった。
また、軽量化を図るべくローラ部を硬質ゴムで構成した
紙送りローラが用いられているが、ローラ部の熱膨張が
大きく、紙送り動作に誤差が生じ易いという欠点があっ
た。
の中央部に位置させた後回転軸の回りにセメントを流し
込むことによって製造したセメント製複合ローラが提案
されている。しかしながら、セメントを流し込むため多
量の水を用いているので水抜け時に体積変化が生じ、形
状寸法安定性が不十分で高精度化に適さない。
100(1998年6月24日出願)において、回転軸
の回りに水硬性組成物を円筒状に加圧成形することによ
って円筒状ローラ部を形成する紙送りローラの製造方法
を提案した。しかしながら、この方法においては各品種
ごとに成形型を用意する必要があること、A3以上の大
型用紙に対応するためには紙送りローラの成形型及び加
圧装置が巨大なものとなってしまうことからコストの上
昇につながってしまうこと、また成形型が大型になるに
つれて、加圧成形時の加圧が不均一になり、成形性の低
下につながり、所望の紙送りローラの精度を達成するに
仕上げ加工の手間が増大するという欠点があった。
の紙送りローラに対する各種要求に答えるべく水硬性組
成物を用いて、軽量でより安価でかつ大径かつ回転軸と
ローラ部の同心円性に優れかつ形状寸法安定性の高い紙
送りローラ及びその製造方法を提供することを目的とす
る。
性組成物からなる混合物を加圧成形させた後養生して硬
化させることによって製作されかつ回転軸の外周面に一
体化された円筒状ローラ部とからなる紙送りローラであ
って、前記円筒状ローラ部が複数個の円筒状成形体が回
転軸方向に連結されて形成されていることを特徴とす
る。本発明の好ましい態様としては、以下(1)乃至
(3)がある。(1)及び(3)を任意に組み合わせた
ものも好ましい態様と考えられる。 (1)互いに連結される円筒状成形体の連結端部が互い
に嵌合する形状を有し、これらの端部において該円筒状
成形体同士が嵌合によって連結されている。ここで互い
に嵌合する形状とは、凸状の部分が凹状の部分にかたく
はまり合ったり、または滑り動くようにゆるくはまり合
ったりすることができる関係にある両者の形状を指す。 (2)前記水硬性組成物が、水硬性粉体50〜90重量
%と、水硬性粉体の平均粒子径より1桁以上小さい平均
粒子径を有する非水硬性粉体10〜50重量%とからな
る混合粉体と、混合粉体100重量部に対して2〜18
重量部の割合で配合した加工性改良剤とからなる。 (3)前記加工性改良剤が、酢酸ビニル樹脂又は酢酸ビ
ニルとの共重合樹脂、アクリル樹脂またはアクリルとの
共重合樹脂、スチレン樹脂又はスチレンとの共重合樹脂
及びエポキシ樹脂から選ばれた少なくとも1種類の樹脂
からなる粉末もしくはエマルジョンである。
は、水硬性組成物からそれぞれ成形、脱型、養生及び硬
化させる工程をへて中心部に穴部を有する複数の円筒状
成形体を形成し、該複数の円筒状成形体の穴部に回転軸
を挿入しかつ隣接する円筒状成形体同士を連結して回転
軸の外周面に円筒状ローラ部を一体的に形成することを
特徴とする。
法は、水硬性組成物からそれぞれ成形、脱型して中心部
に穴部を有する複数の円筒状生成形体を得、該複数の円
筒状生成形体の穴部に回転軸を挿入しかつ隣接する円筒
状生成形体同士を連結した後、該円筒状生成形体を養生
及び硬化させる工程をへて円筒状成形体を形成し、回転
軸の外周面に円筒状ローラ部を一体的に形成することを
特徴とする。
によれば、水硬性組成物の円筒状成形体と回転軸を一体
形としているので、回転軸とローラ部の同心円性に優れ
ている。また、ローラ部は水硬性組成物を加圧成形した
ものを一体形状に形成するため形状寸法安定性に優れ
て、紙送り精度に優れる。
成形体自体の長さを短くすることができるので、成形型
を小型化できる。また、用紙の寸法と連結する円筒状成
形体の個数との関係から円筒状成形体1個の長さを設定
することによって、単一形状の円筒状成形体を予め複数
用意しておけば容易に用紙寸法に対応させた複数種類の
紙送りローラを該単一形状の円筒状成形体を所定の個数
使用して製造することが可能となる。さらに、回転軸と
一体に成形する場合に比較して、円筒成形体の成形,ひ
いてはローラ部の形成を精度良く行うことができ、仕上
げ加工の手間を低減でき、生産コストの低減が可能とな
る。
回転軸と同様の物を用いる。その形状としては、紙送り
部である円筒体を支持するシャフトに切削仕上加工によ
り軸受取付部あるいは駆動力伝達機構取付部等を設けた
もの等が挙げられる。その材料としては、通常の、例え
ばSUM 快削鋼等が挙げられる。また、その表面に無電解
Ni−Pメッキ等を施しても良い。
筒状成形体の連結端部が互いに嵌合する形状を有し、こ
れらの端部において該円筒状成形体同士が嵌合によって
連結されていることが好ましい。このようにすることに
よって隣接する円筒状成形体同士がより強固に連結さ
れ、その結果円筒状成形体によって形成されるローラ部
の一体性がより強固に保持される。
連結端部にそれぞれ円筒状の円筒状凸部及び円筒状凹部
を設け、円筒状凸部及び円筒状凹部とが入れ子式に嵌合
できる構造とすることが好ましい。また、円筒状凸部及
び円筒状凹部のそれぞれの外周面及び内周面にスプライ
ン形式の嵌合溝部及び凸部を設けることによって、互い
に連結される円筒状成形体の円周方向の摺動を防止する
ことができる。また、対応する円筒状凸部の外周面及び
円筒状凹部の内周面をそれぞれ多角形状にした形式の嵌
合構造とすることによって、互いに連結される円筒状成
形体の円周方向の摺動を防止することができる。さら
に、互いに連結される円筒状成形体の内周面に凹部を設
けかかる凹部に跨って嵌合する連結部材によって円筒状
成形体同士を互いに連結するようにしても良い。
外径と所望の外径の紙送りローラとによって決定され
る。円筒部の直径の公差は、設計上において所望の数値
に設定されるが、通常所望外径寸法の±0.003mm
の加工精度に設定される。また、円筒状ローラ部表面に
は紙との間のスリップを更に少なくするために、砥粒を
混入した熱硬化性樹脂を塗布・硬化させても良い。ま
た、円筒状ローラ部表面そのものにサンドブラスト等を
用いて粗く仕上げ加工を施しても良い。
は、水硬性粉体、非水硬性粉体及び加工性改良剤からな
る水硬性成形組成物と、必要に応じて加えるその他の添
加物と、必要に応じて含有させる水とを混合した物であ
る。以下にその詳細を記す。
指し、例えば珪酸カルシウム化合物粉体、カルシウムア
ルミネート化合物粉体、カルシウムフルオロアルミネー
ト化合物粉体、カルシウムサルフォアルミネート化合
物、カルシウムアルミノフェライト化合物粉体、リン酸
カルシウム化合物粉体、半水又は無水石膏粉体、自硬性
を有する生石灰粉体、これら粉体の2種類以上の混合物
粉体が例示できる。その代表例として、例えばポルトラ
ンドセメントのような粉体を挙げることができる。
の強度に関する水硬性能の確保上、ブレーン比表面積が
2500cm2/g以上であることが好ましい。また、
水硬性粉体の配合量は水硬性粉体と非水硬性粉体の総量
100重量%に対し50〜90重量%とするが、65〜
75重量%とすることが好ましい。配合量が50重量%
未満の場合には、強度及び充填率が低くなり、又90重
量%を越える場合には、成形体を得る場合の充填率が低
くなり、いずれの場合においても機械的加工時の加工応
力に耐えられない等の影響があり、好ましくない。
とのない粉体を指すが、アルカリ性若しくは酸性状態、
あるいは高圧蒸気雰囲気においてその成分が溶出し,他
の既溶出成分と反応して生成物を形成する粉体も含む。
非水硬性粉体の代表例としては、例えば、水酸化カルシ
ウム粉末、二水石膏粉末、炭酸化カルシウム粉末、スラ
グ粉末、フライアッシュ粉末、珪石粉末、粘土粉末、シ
リカフューム粉末等を挙げることができる。また、これ
らの非水硬性粉体の平均粒径は、水硬性粉体の平均粒径
より1桁以上小さく、好ましくは2桁以上小さいものが
良い。細かさの下限は本発明の効果を害することがなけ
れば特に設ける必要はない。
硬性粉体とからなる混合粉体の組成比率で10〜50重
量%とするが、25〜35重量%とすることが好まし
い。配合量が10重量%未満の場合には、充填率が低く
なり、又50重量%を越える場合には、強度及び充填率
が低くなり、いずれの場合においても成形・硬化後の諸
物性、例えば機械加工時における欠けの発生、寸法安定
性に悪影響を及ぼすため好ましくない。機械加工性等を
考慮すると充填率が低くなりすぎないように非水硬性粉
体の配合量を調節することが好ましい。非水硬性粉体を
添加することによって、成形体の成形時の充填率を高
め、得られる成形体の空隙率を減少することが可能とな
る。これにより成形体の寸法安定性を向上することがで
きる。
成形性、脱型性、切削・研削性、研削精度の向上、特に
切削・研削性、研削精度の向上に寄与する性質を有する
材料を指す。即ち、加工性改良剤を添加することによっ
て得れれた水硬性組成物からなる混合物は、加工性改良
剤が加圧成形時に於いて、成形助剤としての役割を果た
すので成形性が向上する。また、加工性改良剤によりセ
メント系硬化体のもろさが改良されることにより得られ
た成型体が脱型時に何ら損傷を受けることなく脱型さ
れ、ひいては作業性の向上につながる。また、慨して脆
性材料である水硬性組成物から得られる成形体は切削の
際に“亀裂型"メカニズムの切削状態を呈するが、この
ような場合に材料の割れ、あるいは欠け(微視的な現象
も含む)が問題となる。
有するために、得られた成形体に固体材料としての機械
加工性を促すための靱性が付与され上記材料の割れ,欠
け等の問題を阻止することが可能となる。即ち、加工性
改良剤によって、従来切削加工・研削加工等の機械加工
が困難であった水硬性組成物から得られた成形体の加工
性を金属材料と同レベルまでに改良することが可能とな
り、旋盤等による切削加工、円筒研削機等による研削加
工が金属材料と同等に行えるようになる。これらの加工
が行えることにより所望の寸法に対してμmオーダーの
精密な加工が行えるようになる。
水硬性粉体との混合粉体100重量部に対し乾ベースで
2〜18重量部とするが、5〜15重量部とすることが
好ましい。配合量が2重量部未満の場合には、切削加工
性が悪くなり好ましくない。18重量部を超える場合に
は、良好な成形性を有するが、研削精度の低下と研削後
の寸法安定性が低下する。また粒度は分散した単一粒子
径で1μm以下のものが一般的である。
は酢酸ビニルとの共重合樹脂、アクリル樹脂又はアクリ
ルとの共重合樹脂、スチレン樹脂又はスチレンとの共重
合樹脂及びエポキシ樹脂から選ばれた少なくとも1種類
以上の樹脂からなる粉末もしくはエマルジョンを使用で
きる。上記酢酸ビニルとの共重合樹脂としては、酢酸ビ
ニルアクリル共重合樹脂、酢酸ビニルベオバ共重合樹
脂、酢酸ビニルベオバ3元共重合樹脂、酢酸ビニルマレ
ート共重合樹脂、酢酸ビニルエチレン共重合樹脂、酢酸
ビニルエチレン塩化ビニル共重合樹脂等を例示できる。
アクリルとの共重合樹脂としては、アクリルスチレン共
重合樹脂、アクリルシリコーン共重合樹脂等を例示でき
る。また、スチレンとの共重合樹脂としては、スチレン
ブタジエン共重合樹脂を例示できる。
(2−1)乃至(2−3)に加えて、増量材として珪砂
等の骨材を水硬性粉体と非水硬性粉体との混合粉体10
0重量部に対し10〜50重量部、好ましくは20〜3
0重量部の割合で加えることが出来る。また、成形性を
さらに改善するために、公知のセラミック成型助剤を上
記混合粉体100重量部に対し1〜10重量部、好まし
くは3〜6重量部の割合で加えることが出来る。さら
に、材料の硬化時の収縮等による寸法変化を抑えるため
に、シリコーンオイル等の水の吸収を小さくする撥水剤
を上記混合粉体100重量部に対し0.5〜5重量部、
好ましくは1〜2重量部の割合で加えることが出来る。
有する円筒状生成形体を所定の水硬性組成物から成形す
る。用紙の寸法と紙送りローラを製造するために連結す
る円筒状成形体の個数との関係から円筒状成形体1個の
長さを設定する。この場合、必要に応じて、互いに連結
される円筒状成形体の連結端部が互いに嵌合する形状と
なるように成形し、これらの端部において該円筒状成形
体同士が嵌合によって連結することが可能とする。
するには、水硬性組成物と必要に応じて加えられるその
他の添加物に、水硬性粉体と非水硬性粉体との混合物1
00重量部に対して水が30重量部以下好ましくは25
重量部以下含有されたものを混合することにより得られ
る。なお、乾燥収縮を小さくするには極力水を少なくす
るのがよい。条件によっては、水を加えなくてよい。
のでもないが、好ましくは、強力な剪断力を混合物に加
えることができる混合方法若しくは混合機がよい。非水
硬性粉体粒径は水硬性粉体粒径より1桁以上小さい平均
粒径を有するため、均一な混合物を得るためには、剪断
力を有する混合機でなければ、混合に要する時間が非常
に長くなってしまう。
好にするため、混合後成形する形状に適した大きさに造
粒を行ってもよい。造粒方法としては、転動造粒法、圧
縮造粒法、攪拌造粒法など周知の方法を用いればよい。
このようにして得られた成形用混合物を型に充填して、
静水圧プレス、多軸プレス、1軸プレスによる方法によ
って加圧する。加圧する条件として、計算される理論密
度に出来る限り近づけるようプレス圧が高いほど好まし
いが、その下限の条件は、混合物の易成形性、水の含有
割合あるいは必要とされる寸法精度の違いによって大き
く異なる。
に、両端部に軸受取付け部あるいは駆動力伝達機構取付
け部が外部に露出される長さに所定の材料から回転軸を
形成する。円筒成形体が取付けられる部位の回転軸の外
径は、円筒状成形体の内径よりも10〜50μm程度小さく
するが、10〜30μmとすることが好ましい。10μm未
満であると円筒状成形体を回転軸に組みこむ作業が困難
となり、50μmより大きくなると回転軸と円筒状成形
体の真円度(同心からのずれ)が大きくなり、ローラ精
度が低下する。30μm以下であれば円筒状成型体の硬
化に伴う収縮により回転軸への取付けが、接着剤の併用
なしで可能となる。
円筒状生成形体を成形後、円筒状生成形体を脱型、養生
及び硬化させる工程をへて中心部に穴部を有する複数の
円筒状成形体を形成し、該複数の円筒状成形体の穴部に
回転軸を所定の位置に挿入しかつ隣接する円筒状成形体
同士を連結して回転軸の外周面に円筒状ローラ部を一体
的に組み立てる。加圧成形後、型から取り出した円筒状
成形体の養生,硬化は常温養生、常圧蒸気養生、オート
クレーブ養生等の1つ若しくは組み合わせにより行うこ
とが可能であるが、大量生産、製品の化学的安定性、寸
法安定性等を考えるとオートクレーブ養生が好ましい。
5〜10時間程度のオートクレーブ養生により円筒状成
形体の硬化反応は完全に終結し、以後の寸法変化は極め
て小さなものとなる。オートクレーブ養生を行うと円筒
状成形体の寸法は0.08〜0.15%(配合条件によ
り異なる)の範囲で収縮することから、収縮量を見込ん
で円筒状成形体の内径部分を形成する。養生硬化後回転
軸に円筒状成形体を取付けるためには少なくとも10μ
m以上のクリアランスが必要となるが、オートクレーブ
養生後においては円筒状成形体の収縮は無いことから、
回転軸への取付けには接着剤を使用するか回転軸を冷却
あるいは円筒状成形体を加温するこのにより取付け可能
なクリアランスとし、取付けることも可能である。使用
する接着剤としては、エポキシ系接着剤、ウレタン系接
着剤、エマルジョン系接着剤、合成ゴム系接着剤、アク
リレート系接着剤等が用いられる。
からそれぞれそれぞれ中心部に穴部を有する複数の円筒
状生成形体を成形後、円筒状生成形体を脱型して中心部
に穴部を有する複数の円筒状生成形体を得る。該複数の
円筒状生成形体の穴部に回転軸を所定の位置まで挿入し
かつ隣接する円筒状成形体同士を連結する。この場合、
円筒状生成形体の中央部に回転軸を挿着する工程で円筒
状生成形体が破損しない程度の強度を有するよう、円筒
状生成形体を成形する。回転軸の外周に挿着した円筒状
生成形体を養生及び硬化させる工程をへて円筒状成形体
を形成することによって、回転軸の外周面に円筒状ロー
ラ部を一体的に形成する。
に数時間から数日を要するため、養生が必要となるが、
そのまま室温に放置もしくは水中養生あるいは蒸気養生
してもかまわないが、好ましくはオートクレープ中で養
生することがよい。なお、硬化体を形成する為の水量が
欠如又は不足している場合には、蒸気養生が好ましい。
特にオートクレープ中で養生するのが好ましい。オート
クレーブ養生は、飽和蒸気圧7.15kg/cm2、1
65℃以上で行うが、飽和蒸気圧9.10kg/cm2
以上が好ましい。養生時間は養生温度により変化するが
175℃の条件下では5〜15時間とする。加圧成形
後、オートクレーブ養生開始前までに、圧縮強度で5N
/mm2程度発現していることが好ましい。オートクレ
ーブ養生までに十分な強度が発現していない場合には、
成形体の爆裂等が発生する。
発明の紙送りローラの好ましい実施態様を示す。図1
(a)乃至図1(f)は本発明の紙送りローラの好まし
い一実施態様を示す。図1(a)は図1(d)、図1
(e)に断面図で示す紙送りローラにおいて中央部の円
筒状成形体1を示し、左に左側面図、その右隣に正面
図、さらに右隣に右側面図、その右に正面図のA−A線
にそって切断して見たA−A線断面図を示す。図1
(b)及び図1(c)はそれぞれ図1(d)、図1
(e)において右側及び左側の円筒状成形体2,3を示
し、各図の内訳は図1(a)と同じである。各円筒状成
形体は水硬性組成物から形成し、その長さは例えば50
〜100mmとすることができる。
支持・駆動用回転軸4の外周に挿着され相互に一体的に
連結された紙送りローラの断面図である。回転軸4は、
例えば250〜350mmの長さとする。円筒状成形体
1,2,3は好ましくは相互に適当な接着剤で強固に一
体化され、また好ましくは各円筒状成形体も適当な接着
剤によって回転軸の外周に強固に一体的に固定されてい
る。この場合、円筒状成形体1,2,3を予め連結・固
定した後(図1(d)参照)に支持・駆動用回転軸4の
外周に挿着され相互に一体的に連結してもよいし、ある
いは円筒状成形体1,2,3を順次回転軸4の外周に挿
着して相互に一体的に連結してもよい。また、円筒状成
形体1,2,3は、成形,脱型、養生後回転軸に挿着・
配置・相互に一体的に連結・固定しても良いし、あるい
は成形,脱型後直ちに回転軸に挿入し、養生することに
よって相互に一体的に連結・固定してもよい。
部1aが設けられ、左側端部には円筒状凸部1bが設け
られ、それぞれ円筒状成形体2の左側端部の円筒状凸部
2aと円筒状成形体3の右側内周面の円筒状凹部3aと
に緊密に嵌合するようになっている。円筒状成形体1,
2,3の外径及び内径は同径とされ相互に円筒状成形体
を連結した際にはそれぞれの円筒状成形体の外周面およ
び内周面は連続し中央穴部と外周面とは同心円状となり
かつ回転軸と長手方向に平行に延びる。この点は、その
他の実施態様についても同じである。
状ローラを製造する場合、予め有効長さが90mm程度
(嵌合部の凹部を含まない成形合いの長さ)の成形体を
製造し、それを5個回転軸上に挿着し一体固定する。
送りローラの別の実施態様を示す。本実施態様では、そ
れぞれの円筒状成形体の内周面の円筒状凹部及び端部の
円筒状凸部の組み合わせを図1に示すものと多少変える
とともに、5つの円筒状成形体を連結している(円筒状
成形体7、8とが2個づつ用いられている)。図面を参
照することによって形状等は明らかなので説明は省略す
る。
送りローラのさらに別の実施態様を示す。図3(a)
は、図3(d)に断面図で示す紙送りローラにおいて中
央部の円筒状成形体10を示し、左に左側面図、その右
隣に正面図、さらに右隣に右側面図、右に正面図のA−
A線にそって切断して見たA−A線断面図を示す。図3
(b)は図3(d)において右側及び左側に使われる円
筒状成形体11を示す。円筒状成形体10の両端部には
凹部10aが設けられ、また円筒状成形体11の一端部
には凹部11aが設けられいる。図3(c)は円筒状成
形体10と11とを連結する連結部材12を示す。連結
部材12の外径は円筒成形体10,11の凹部10a,
11aの内径と略同一となっており、また連結部材の内
径は円筒成形体10,11の内径と同一となっている。
連結部材は、円筒状成形体10,11と同様の材料で形
成することも出来るし、あるいは金属、セラミック等の
他の適当な材料から形成することもできる。図3(d)
には円筒状成形体10,11,11並びに連結部材12
を回転軸に組み付けた状態を断面図で示すが、図1に示
す実施態様と同様の方法で円筒状成形体10,11,1
1並びに連結部材12を回転軸に組み付け一体的に固定
する。
様を示す。本実施態様では、スリット、スプライン入れ
子形式の嵌合構造となっており、連結した円筒状成形体
同士の嵌合力の向上を図ることができる。図5は、対応
する円筒状成形体の凸部の外周面及び円筒状凹部の内周
面をそれぞれ多角形状とした嵌合構造を示す。
る円筒状成形体(外径32mm、内径12mm、長さ7
0mm)を作成し、SUM製回転軸(直径12mm×長さ
430mm)に対し装着し、一体的に組み付け固定して
図1に示す構造を有する紙送りローラを得た。上記方法
により実施例1乃至4の紙送りローラを製造した。円筒
状成形体と回転軸との組立は、第1の方法を用いて行っ
た。即ち、図1に示した(a),(b),(c)の円筒
状成形体を成形後、脱型、養生,硬化した後、エポキシ
系接着剤を使用して中心部に(a)を3個、(b)及び
(c)をその両端として回転軸に取付けローラ部を35
0mmの長さとした。
る、中空の紙送りローラを製作し、また比較例2として
SUM製回転軸(直径12mm×長さ430mm)の外周
に水硬製組成物からなるローラ部(長さ350mm、外
径32mm)を一体的に固定した。
1,2の紙送りローラに対しスパン300mmとして2
点で支持し、2支点の中点に196N(20kgf)の
荷重を下向きにかけ、中央集中荷重載荷時における撓み
量を測定した。結果を下記表2に示す。
筒状成形体を単に端部を突き合わせて平継ぎとした実施
例1の撓み量は若干大きかったが(0.38mm)、十
分に実用に耐える範囲内であった。また、互いに連結さ
れる円筒状成形体の連結端部が互いに嵌合する形状を有
し、これらの端部において該円筒状成形体同士が嵌合に
よって連結した実施例2乃至実施例4のものは、SUM快
削鋼からなる紙送りローラの比較例1に比較してより撓
み量が少なく良好であった。実施例2乃至実施例4のも
のは、SUM製回転軸の外周に水硬製組成物からなるロー
ラ部を一体的に固定した参考例と同程度の撓み量を示し
た。
ラに対して、センターレス研削機を用いて所定の加工速
度で研削精度を+/−0.002mmで研削した。比較
例2は、回転軸(SUM直径12mm×長さ430m
m)の回りにアルミナ燒結体(直径32mm×長さ35
0mm)で一体的に形成・固定したものである。結果を
下記表3に示す。
の実施例2乃至4は、SUM快削鋼からなる紙送りローラ
の比較例1に比較してより優れた加工性を示し、またア
ルミナ燒結体からなるローラ部を回転軸上に挿着、一体
的に固定した比較例2に比較して加工性が大幅に向上し
たことが分かる。
様における中央部の円筒状成形体1を示し、左に左側面
図、その右隣に正面図、さらに右隣に右側面図、その右
に正面図のA−A線にそって切断して見たA−A線断面
図を示し、(b)は同様に右側の円筒状成形体2を示
し、(c)は同様に左側の円筒状成形体3を示し、
(d)は円筒状成形体1,2,3を連結した状態を示す
断面図であり、(e)は回転軸4の外周に円筒状成形体
1,2,3を挿着し、連結し、一体的に固定組み付けた
状態を示す断面図であり、(f)はこのように一体的に
固定組付けした紙送りローラの斜視図である。
態様における中央部の円筒状成形体6を示し、左に左側
面図、その右隣に正面図、さらに右隣に右側面図、その
右に正面図のA−A線にそって切断して見たA−A線断
面図を示し、(b)は同様に左右両隣側に位置させる円
筒状成形体7を示し、(c)は同様に左右端部側の円筒
状成形体8を示し、(d)は回転軸4の外周に円筒状成
形体1,2,3を挿着し、連結し、一体的に固定組み付
けた状態の紙送りローラの断面図である。
の実施態様における中央部の円筒状成形体10を示し、
左に左側面図、その右隣に正面図、さらに右隣に右側面
図、その右に正面図のA−A線にそって切断して見たA
−A線断面図を示し、(b)は同様に左右両隣側に位置
させる円筒状成形体11を示し、(c)は同様に中央部
の円筒状成形体10と左右端部側の円筒状成形体11,
11とを示し、(d)は回転軸4の外周に円筒状成形体
10,11,12を挿着し、連結し、一体的に固定組み
付けた状態の紙送りローラの断面図である。
る別の円筒状成形体を示し、左に左側面図、その右隣に
正面図、さらに右隣に右側面図、右に正面図のA−A線
にそって切断して見たA−A線断面図を示す。
る別の円筒状成形体を示し、対応する円筒状成形体の凸
部の外周面及び円筒状凹部の内周面をそれぞれ多角形状
とした嵌合構造を示す。
Claims (8)
- 【請求項1】 回転軸と、水硬性組成物からなる混合物
を加圧成形させた後養生して硬化させることによって製
作されかつ回転軸の外周面に一体化させた円筒状ローラ
部とからなる紙送りローラであって、前記円筒状ローラ
部が複数個の円筒状成形体を回転軸方向に連結して形成
していることを特徴とする紙送りローラ。 - 【請求項2】 互いに連結される円筒状成形体の連結端
部が互いに嵌合する形状を有し、これらの端部において
該円筒状成形体同士が嵌合によって連結されていること
を特徴とする請求項1に記載した紙送りローラ。 - 【請求項3】 前記水硬性組成物が、水硬性粉体50〜
90重量%と、水硬性粉体の平均粒子径より1桁以上小
さい平均粒子径を有する非水硬性粉体10〜50重量%
とからなる混合粉体と、混合粉体100重量部に対して
2〜18重量部の割合で配合した加工性改良剤とからな
ることを特徴とする請求項1または2に記載した紙送り
ローラ。 - 【請求項4】 前記加工性改良剤が、酢酸ビニル樹脂又
は酢酸ビニルとの共重合樹脂、アクリル樹脂又はアクリ
ルとの共重合樹脂、スチレン樹脂又はスチレンとの共重
合樹脂及びエポキシ樹脂から選ばれた少なくとも1種類
の樹脂からなる粉末もしくはエマルジョンであることを
特徴とする請求項3に記載した紙送りローラ。 - 【請求項5】 水硬性組成物からそれぞれ成形、脱型、
養生及び硬化させる工程をへて中心部に穴部を有する複
数の円筒状成形体を形成し、該複数の円筒状成形体の穴
部に回転軸を挿入しかつ隣接する円筒状成形体同士を連
結して回転軸の外周面に円筒状ローラ部を一体的に形成
することを特徴とする紙送りローラの製造方法。 - 【請求項6】 互いに連結させる円筒状成形体の連結端
部を互いに嵌合する形状に成形し、これらの端部におい
て該円筒状成形体同士を嵌合によって連結させることを
特徴とする請求項5に記載した紙送りローラの製造方
法。 - 【請求項7】 水硬性組成物からそれぞれ成形、脱型し
て中心部に穴部を有する複数の円筒状生成形体を得、該
複数の円筒状生成形体の穴部に回転軸を挿入しかつ隣接
する円筒状生成形体同士を連結した後、該円筒状生成形
体を養生及び硬化させる工程をへて円筒状成形体を形成
し、回転軸の外周面に円筒状ローラ部を一体的に形成す
ることを特徴とする紙送りローラの製造方法。 - 【請求項8】 互いに連結させる円筒状成形体の連結端
部を互いに嵌合する形状に成形し、これらの端部におい
て該円筒状成形体同士を嵌合によって連結させることを
特徴とする請求項7に記載した紙送りローラの製造方
法。
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