JP2995462B2 - 空調用吹出口装置の製造方法 - Google Patents

空調用吹出口装置の製造方法

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JP2995462B2 JP9285151A JP28515197A JP2995462B2 JP 2995462 B2 JP2995462 B2 JP 2995462B2 JP 9285151 A JP9285151 A JP 9285151A JP 28515197 A JP28515197 A JP 28515197A JP 2995462 B2 JP2995462 B2 JP 2995462B2
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吉幸 永井
裕之 岡本
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森六株式会社
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自動車におけるイ
ンストルメント・パネル等に取付けられる空調用吹出口
装置に関し、特に、第1の合成樹脂の1次射出により成
形したもので、相対向する側壁に同軸に並ぶ複数対の軸
孔を設けたハウジングと、このハウジング内で前記第1
の合成樹脂よりも低融点の第2の合成樹脂の2次射出に
より成形したもので、前記各対の軸孔に回動可能に嵌合
する1対の支軸をブレード本体の両端に突設した複数枚
のブレードとからなるものゝ改良に関する。
【0002】
【従来の技術】かゝる空調用吹出口装置の製造方法は、
例えば特公昭59−48745号公報に開示されている
ように、既に知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】従来の空調用吹出口装
置では、2次射出によるブレードの成形時、各支軸の先
端にはハウジングの外側面に当接する膨大頭部を形成し
ている。この膨大頭部は、ブレード成形後の熱収縮によ
り、ハウジングの外側面に圧接し、その間に生じる摩擦
抵抗によりブレードの回動位置を保持する機能を有す
る。
【0004】しかしながら、ブレードは支軸方向に比較
的長いため、使用中、周囲の温度変化により支軸方向の
膨縮量が比較的多く、これに伴い前記膨大頭部及びハウ
ジング間の摩擦抵抗が大きく増減してブレードの回動フ
ィーリングが変化するという問題がある。
【0005】本発明は、かゝる事情に鑑みてなされたも
ので、使用中、周囲の温度変化によるも、常に安定した
ブレードの回動フィーリングが得られるようにした構造
簡単な空調用吹出口装置の製造方法を提供することを目
的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明は、相対向する側壁に同軸に並ぶ複数対の軸
孔が設けられるハウジングを第1の合成樹脂の1次射出
により成形するハウジング成形工程と、前記各対の軸孔
に回動可能に嵌合する1対の支軸がブレード本体の両端
に突設される複数枚のブレードを、前記ハウジング内で
前記第1の合成樹脂よりも低融点の第2の合成樹脂の2
次射出により成形するブレード成形工程とを含む空調用
吹出口装置の製造方法において、前記ハウジング成形工
程では、前記ウジングの側壁内面より起立し前記各軸
孔が貫通するボスをハウジングと一体成形し、前記ブレ
ード成形工程では、金型に形成されてキャビティに開口
するフランジ成形用孔に前記ボスの外周面を嵌合させる
と共に、そのフランジ成形用孔を通して該ボスの内端面
および前記軸孔を前記キャビティに臨ませるようにして
前記ハウジングを前記金型にセットし、そのセット状態
第2の合成樹脂の二次射出を行なうことにより、前記
各支軸の先端に有ってハウジング外方へ突出する、該支
軸と同径の余剰軸部と、前記フランジ成形用孔に対応し
た周面形状を有して前記各支軸の基端に位置すると共に
前記ボスの内端面に直接当接する、ブレード本体の厚み
よりも大径のフランジとを、ブレード本体と一体成形す
ることを特徴とする。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態を、添付図面
に例示した本発明の実施例に基づいて以下に具体的に説
明する。
【0008】添付図面において、図1は、本発明方法に
より製造された空調用吹出口装置の一実施例を示す一部
破断斜視図、図2は図1の2−2線断面図、図3は図2
の3−3線断面図、図4は2次射出によるブレード成形
時の説明図である。
【0009】先ず、図1において、1は自動車の空調用
吹出口装置を示し、それは、第1の合成樹脂(例えばA
BS樹脂)により1次射出成形された筒状のハウジング
2と、このハウジング2内でそれよりも低融点の第2の
合成樹脂(例えばポリプロピレン樹脂)により2次射出
成形された多数枚のブレード3,3…とから構成され、
この2次射出成形後に全ブレード3,3…は1本のリン
ク4により相互に連結される。ハウジング2は自動車の
インストルメントパネルに装着されると共に、図1にお
いて左端に送風ダクト(図示せず)が接続され、矢印A
方向に通風される。
【0010】図1ないし図3に示すように、ハウジング
2の成形時、その上,下壁には、上下に並ぶ、ブレード
3,3…と同数対のボス5,5;5,5…が内端をそれ
ぞれハウジング2内面に突出させて左右方向に配列する
ように形成され、各対のボス5,5は互いに同軸の軸孔
6,6を有する。
【0011】また各ブレード3は、ブレード本体7と、
このブレード本体7の上下両端に一体に突設されて対応
する前記軸孔6,6に回動及び摺動可能に嵌合する1対
の支軸9,9とから構成される。その各支軸9の、ハウ
ジング2外方に臨む先端には、該支軸9と同径で該支軸
9に連続してハウジング2外方へ突出する余剰軸部9a
が、またその各支軸9の、ハウジング2内方に臨む基端
には、前記ブレード本体7の厚みよりも大径で対応する
前記ボス5の内端面に対向接触するフランジ8が、それ
ぞれ継ぎ目無く一体に形成される。
【0012】また各ブレード本体7の、支軸9から通風
方向Aと反対側を向く後部一側には、連結ピン10を介
して相互に連結した1対のアーム11,11が突設さ
れ、さらに一部のブレード本体7の通風方向Aを向く前
端にはノブ12が形成される。
【0013】このような構造の多数枚のブレード3,3
…の成形に当っては、図4に示すようにブレード成形金
型13に既に成形されたハウジング2を設置して、該金
型13に形成され且つキャビティ14に開口するフラン
ジ成形用孔13aにボス5の外周面を嵌合させると共
に、前記軸孔6及びボス5内端面を金型13内のキャビ
ティ14に臨ませ、そしてこのキャビティ14に所定の
合成樹脂を射出充填する。こうして2次射出が完了し、
全ブレード3,3…が一挙に成形される。そして冷却
後、金型13を開いてハウジング2と共にブレード3,
3…を金型13から取出す。
【0014】その後、リンク4に一体に形成された多数
のC字状弾性連結子4a,4a…を全ブレード3,3…
の各連結ピン10に弾力的に係合することにより、全ブ
レード3,3…を相互に連結する。したがって、一個の
ノブ12を指先で左右へ揺動させれば、全ブレード3,
3…が各支軸9,9を中心として一斉に左右方向へ回動
し、これによりハウジング2からの空気の吹出し方向を
調節できる。
【0015】次にこの実施例の作用について説明する。
【0016】ハウジング2内で2次射出成形されたブレ
ード3,3…はハウジング2よりも低融点であるから、
その2次射出成形時、ブレード3,3…とハウジング2
との接触部が融着することはない。むしろ、2次射出成
形後の熱収縮により、各ブレード3の支軸9,9は、ハ
ウジング2の軸孔6,6内面から剥離し、該内面に対し
適度な摩擦接触状態となる。また各ブレード3のフラン
ジ8,8もハウジング2のボス5,5内端面から剥離し
た状態となる。したがって、各ブレード3の回動時に
は、支軸9,9及び軸孔6,6間に適当な摩擦トルクが
発生し、良好な回動フィーリングが得られると共に、そ
の摩擦トルクにより各ブレード3を所望の回動位置に保
持することができる。
【0017】使用中、周囲の温度変化により、ハウジン
グ2及び各ブレード3が膨脹または収縮し、特に各ブレ
ード3が支軸9,9方向に膨脹、収縮しても、各支軸9
は、常時ハウジング2外方へ突出した、それと同径の余
剰軸部9aを有するので、上記膨脹、収縮に伴い該余剰
軸部9aが対応する軸孔6に進入したり退出して、支軸
9と軸孔6との嵌合面積を常に一定に保つことができ
る。その上、支軸9及び軸孔6は比較的小径であるか
ら、温度変化による直径の変化が極めて小さい。以上の
結果、支軸9及び軸孔6間の摩擦トルクの変化を小さく
抑え、ブレード3,3…の回動フィーリングの安定化を
図ることができる。
【0018】また各ブレード3が支軸9方向に過度に膨
脹した場合でも、ブレード本体7の両端に形成されたフ
ランジ8,8がボス5,5の内端面にそれぞれ当接する
ことによりハウジング2とブレード本体7との接触を回
避し、これによりブレード3,3…の回動フィーリング
の変化を極力防止することができる。
【0019】ところで支軸9基端のフランジ8,8は、
これをハウジング2内面に直接接触させるのではなく
て、該ハウジング2内面に突設したボス5,5に対向接
触させるようにしており、そのため、このボス5,5に
よって、ハウジング2内面のブレード3に対する支持強
度が高められ、しかもハウジング2の支軸9との接触面
積を増やして両者の摩擦接触状態が極力広範囲に確保可
能となり、ブレード3のより良好な回動フィーリングを
得ることができる。
【0020】さらにブレード3を二次射出により一体成
形する工程においては、型合わせに際して、金型13と
ハウジング2内面との、該内面に沿う方向の位置決めを
上記ボス5とフランジ成形用孔13aとの嵌合により、
軸孔6にごく近い個所にて極めて簡単且つ的確に行うこ
とができるため、キャビティ14を精度よく形成するこ
とができる。またその型合わせ終了後に、一次成形され
たハウジング2の肉厚のばらつき(このばらつきはハウ
ジング成形時の引けや、樹脂射出量のばらつき等に起因
して発生)に因り金型13とハウジング2内面との対向
面間eに隙間が多少生じたような場合でも、その隙間が
キャビティ14に直接露出するのを上記ボス5により難
なく回避できるばかりか、そのハウジング・金型対向面
間の隙間が射出圧の作用方向に対し大きく屈曲する配置
となって、該隙間への二次射出材の侵入に因るバリ発生
を効果的に防止することができる。以上の結果、一次成
形されたハウジング2の寸法誤差による影響を極力回避
しながら、ブレード3を精度よく二次成形することがで
きる。
【0021】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、一次射出
のハウジング成形時に成形される軸孔の内周面を、二次
射出のブレード成形時にキャビティとして用い、その軸
孔内に二次成形材料を直接射出するので、軸孔及び支軸
相互のクリアランスを、その相互間が適度な摩擦接触状
態となるように容易に設定することができ、しかもその
軸孔を貫通させるボスの特設により、それだけ軸孔が長
くなって軸孔及び支軸相互の適度な摩擦接触領域を拡大
することができ、さらに二次射出のブレード成形時に支
軸の先端に、それと同径でハウジング外方へ突出する余
剰軸部が連続して成形されるため、使用中の温度変化に
伴いブレードが収縮したような場合でも、 支軸及び軸孔
相互の十分な摩擦接触状態を維持することができ、それ
らの結果、全体として支軸に常に適度な摩擦トルクを付
与することができて、ブレードの回動フィーリングの安
定化を図ることができる。
【0022】また特にブレード成形工程では、金型に形
成されてキャビティに開口するフランジ成形用孔にボス
の外周面を嵌合させると共に、そのフランジ成形用孔を
通して該ボスの内端面および軸孔をキャビティに臨ませ
るようにしてハウジングを金型にセットし、そのセット
状態で二次射出を行なうことにより、前記余剰軸部と、
前記フランジ成形用孔に対応した周面形状を有して各支
軸の基端に位置し且つボス内端面に直接当接する大径の
フランジとを、ブレード本体と一体成形するようにした
ので、型合わせに際して、金型とハウジング内面との、
該内面に沿う方向の位置決めを上記ボスとフランジ成形
用孔との嵌合により、軸孔にごく近い個所にて極めて
単且つ的確に行うことができて、キャビティを精度よく
形成することができる。しかもその型合わせ終了後に、
一次成形されたハウジングの肉厚のばらつき(このばら
つきはハウジング成形時の引けや、樹脂射出量のばらつ
き等に起因して発生)に因り金型とハウジング内面との
対向面間に隙間が多少生じたような場合でも、その隙間
がキャビティに直接露出するのを上記ボスにより難なく
回避できるばかりか、そのハウジング・金型対向面間の
隙間が射出圧の作用方向に対し大きく屈曲する配置とな
って、該隙間への二次射出材の侵入に因るバリ発生を効
果的に防止することができ、それらの結果、一次成形さ
れたハウジングの寸法誤差による影響を極力回避しなが
らブレードを精度よく二次成形することができ、成形不
良の発生を効果的に抑えることができる。
【0023】さらに金型に形成されるフランジ成形用孔
が、金型とハウジングとの位置決め手段に兼用されるか
ら、それだけ金型構造の簡素化が図られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明方法により製造された空調用吹出口装置
の一実施例を示す一部破断斜視図
【図2】図1の2−2線断面図
【図3】図2の3−3線断面図
【図4】2次射出によるブレード成形時の説明図
【符号の説明】
1 空調用吹出口装置 2 ハウジング 3 ブレード 5 ボス 6 軸孔 7 ブレード本体 8 フランジ 9 支軸 9a 余剰軸部13 金型 13a フランジ成形用孔 14 キャビティ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) F24F 13/15 B60H 1/34

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 相対向する側壁に同軸に並ぶ複数対の軸
    孔(6)が設けられるハウジング(2)を第1の合成樹
    脂の1次射出により成形するハウジング成形工程と、前
    記各対の軸孔(6)に回動可能に嵌合する1対の支軸
    (9)がブレード本体(7)の両端に突設される複数枚
    のブレード(3)を、前記ハウジング(2)内で前記第
    1の合成樹脂よりも低融点の第2の合成樹脂の2次射出
    により成形するブレード成形工程とを含む空調用吹出口
    装置の製造方法において、 前記ハウジング成形工程では、前記ウジング(2)の
    側壁内面より起立し前記各軸孔(6)が貫通するボス
    (5)をハウジング(2)と一体成形し、 前記ブレード成形工程では、金型(13)に形成されて
    キャビティ(14)に開口するフランジ成形用孔(13
    a)に前記ボス(5)の外周面を嵌合させると共に、そ
    のフランジ成形用孔(13a)を通して該ボス(5)の
    内端面および前記軸孔(6)を前記キャビティ(14)
    に臨ませるようにして前記ハウジング(2)を前記金型
    (13)にセットし、 そのセット状態で 第2の合成樹脂の二次射出を行なうこ
    により、前記各支軸(9)の先端に有ってハウジング
    (2)外方へ突出する、該支軸(9)と同径の余剰軸部
    (9a)と、前記フランジ成形用孔(13a)に対応し
    た周面形状を有して前記各支軸(9)の基端に位置する
    と共に前記ボス(5)の内端面に直接当接する、ブレー
    ド本体(7)の厚みよりも大径のフランジ(8)とを
    ブレード本体(7)と一体成形することを特徴とする、
    空調用吹出口装置の製造方法。
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