JP3702538B2 - 部品の取付構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、部品を回転操作にて取付け固定する取付構造に関するもので、例えば、自動車用空調装置における送風機速度制御用の抵抗器、送風機モータ等を空調ケースに取付る取付構造として好適なものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、自動車用空調装置における送風機速度制御用の抵抗器を空調ケースに取付る取付構造としては、一般に、抵抗器の基板部の一端を空調ケースに係止し、その上で抵抗器の基板部の他端をビス止めにて空調ケースに固定する構造が用いられている。
【0003】
また、実開昭59−142110号公報では、図12、13に示すように、ヒータ用ファン20をヒータケース21に対して、回転操作にて取付け固定する取付構造が提案されている。
この従来構造では、ヒータ用ファン20のモータ20aの外周部に取付られた環状フランジ部材20bの外縁部に、複数の爪部20cを屈曲形成し、一方、ヒータケース21には、環状フランジ部材20bに対応した円形の取付穴21aを開けるとともに、この円形の取付穴21aに、前記複数の爪部20cを通すことができる大きさを持った溝部21bを設けている。
【0004】
そして、ヒータ用ファン20の爪部20cをヒータケース21の溝部21bに通した後に、ヒータ用ファン20を、爪部20cがヒータケース21に設けたストッパ部21cに当接するまで回転させることにより、組付が終了し、環状フランジ部材20bおよび爪部20cとヒータケース21との間の摩擦力にて、ヒータ用ファン20の固定を行うようにしている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、前者の抵抗器取付構造では、抵抗器の基板部の一端を空調ケースに係止する作業と、抵抗器の基板部の他端をビス止めする作業とが必要となり、作業工数が多くかかるという問題があった。
また、後者の回転式の取付構造では、環状フランジ部材20bおよび爪部20cとヒータケース21との間の摩擦力にて、ヒータ用ファン20の固定を行っているので、爪部20cの屈曲寸法、ヒータケース21の板厚等の寸法公差によって、寸法ガタによる取付不良が発生したり、爪部20cとヒータケース21との間の間隙がなくなって、ヒータ用ファン20の回転操作力が非常に大きくなってしまう等の不具合が発生する。
【0006】
本発明は上記点に鑑みてなされたもので、抵抗器等の部品の取付を簡単、かつ確実に行うことができるようにすることを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記目的を達成するため、以下の技術的手段を採用する。請求項1〜4記載の発明では、取付体(1)に部品(2)挿入用の円筒状の挿入部(1d)を形成し、部品(2)の基板(2a)に、この基板(2a)の外周縁部から半径方向外方へ延びる形状の係止用爪片(2e)を設け、
取付体(1)に、挿入部(1d)の外周側に半径方向に所定間隔をあけて設けられ、半径方向に弾性的に撓む撓み片(3a)と、この撓み片(3a)より回転方向に所定間隔をあけて配置された停止片(3b)とを有する係止機構部(3)を設け、
部品(2)を挿入部(1d)の内側で回転することより、係止用爪片(2e)が撓み片(3a)を押圧して撓み片(3a)を半径方向外方へ弾性的に撓ませ、
部品(2)の回転量が所定量に到達すると、係止用爪片(2e)が停止片(3b)に当接するとともに撓み片(3a)が元の位置に向かって復帰することにより係止用爪片(2e)を撓み片(3a)と停止片(3b)との間で挟持して係止用爪片(2e)の回転方向の位置決めを行うことを特徴としている。
【0008】
このような構成によると、係止用爪片(2e)の回転に対応して、撓み片(3a)に半径方向外方への弾性的な撓みと半径方向内方への復帰をさせることにより、係止用爪片(2e)の回転方向の位置決めを行って、部品(2)の取付を行うことができる。
従って、ビス止め作業等を必要とすることなく、簡単に部品(2)を回転式にて取付できる。しかも、従来の回転式取付構造のように、爪部とヒータケースとの間の間隙が寸法公差により減少して、ヒータ用ファンモータの回転操作力が非常に大きくなってしまうことがなく、係止用爪片(2e)により撓み片(3a)を半径方向外方へ弾性的に撓ませて、比較的軽快に、部品(2)を回転操作でき、部品取付時の作業性がよい。
【0010】
また、請求項1記載の発明では、係止用爪片(2e)を撓み片(3a)と停止片(3b)との間に挟持して係止用爪片(2e)の回転方向の位置決めをより確実に行うことができる。
また、請求項2記載の発明では、係止機構部(3)において、撓み片(3a)の半径方向外方側の部位に、撓み片(3a)の撓みを規制する保持片(3c)を備ているから、撓み片(3a)の過大な撓みをより確実に防止できる。それ故、撓み片(3a)の根元部が過大な撓みにより白化して損傷する等の不具合を未然に防止できる。
【0013】
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図に基づいて説明する。
(第1実施形態)
第1実施形態は、自動車用空調装置における送風機速度制御用抵抗器の取付構造に適用した例であり、図1は自動車用空調装置のヒータユニット部の側面形状を示すもので、1はヒータユニット部の樹脂製のケース(取付体)であり、その内部には自動車エンジンの冷却水を熱源として送風空気を加熱するヒータコア(図示せず)、このヒータコアに送風する電動送風機(図示せず)、車室内へ空気を吹き出す吹出口切替用のドア機構等が内蔵されている。1aはヒータコア収納部、1bは送風機収納部、1cは送風機スクロールケーシングである。
【0015】
2は上記電動送風機のモータへの印加電圧を調整して、送風機速度を制御する抵抗器で、ケース1に回転式の取付構造で脱着可能に取付けられている。
図2はこの抵抗器2部分の拡大図であり、抵抗器2は樹脂系の電気絶縁材料から成形された基板2aを有し、この基板2aの一面側(ケース1の外面側)に外部回路との結線用のコネクタ部2bが設けられており、基板2aの他面側(ケース1の内面側)には、ニクロム線のような抵抗材料からなるコイル状の抵抗体2cが設けられている。この抵抗体2cはケース1内に突出してケース1内の送風空気流にて強制冷却されるようになっている。
【0016】
抵抗器2の基板2aは円板状の形状であり、一方、ケース1の抵抗器挿入用の挿入部1dは円筒状になっており、この円筒状の挿入部1dの中心に円形穴1e(図2(b)、図3参照)が開けてあり、この円形穴1eを通して抵抗体2cがケース1内に突出するようにしてある。また、中心穴1eの周辺には抵抗器2の基板2aを支持するリング状支持面1e′が形成されている。
【0017】
そして、抵抗器2は挿入部1dに、回転操作にて取付固定することができるようになっている。以下、抵抗器2の回転式の取付構造を詳述する。
図3は図2の分解斜視図であり、抵抗器2の円板状の基板2aの外周縁部には、180°対称の位置に、位置決め用の切欠き部2dが2個設けてある。この2個の切欠き部2dは互いに異なった大きさにして、抵抗器2のケース1に対する組付位置を常に所定位置に設定して誤組付を防止するようにしてある。
【0018】
また、基板2aの外周縁部には、上記2個の切欠き部2dの略中間位置に係止用の爪片2eが基板2aと一体に成形されている。ここで、係止用の爪片2eは本例ではほとんど弾性変形しない剛体として作用する程度の肉厚を持っており、かつ基板2aのコネクタ部2b側の平面から垂直に上方へ延びるとともに、基板2aの外周縁部から半径方向外方へ延びる形状になっている。
【0019】
また、係止用爪片2eの先端部(上端部)は、後述の係止機構部3の撓み片3aを押圧して弾性的に撓ませる押圧部2fを形成している。ここで、係止用爪片2eは抵抗器2の取付作業時に図3において反時計方向に回転するため、その回転方向の前方側に、撓み片3aの押圧を円滑にするための傾斜面2gが形成してある。さらに、係止用爪片2eの根元部(下端部)の外周側には、挿入部1dとの干渉を避けるための切欠き部2jが設けてある。
【0020】
一方、ケース1側において、円筒状の挿入部1dの先端(上端)側には、180°対称の位置に、位置決め用の突起部1fが2個設けてある。この突起部1fは挿入部1dの先端(上端)側において半径方向の内外両方へ突出する形状であって、前記した切欠き部2dを嵌入し得る大きさに設定してある。また、突起部1fは、ケース1の中心穴1e周辺のリング状支持面1e′との間に所定間隔をあけて形成されている。
【0021】
また、ケース1側において、円筒状の挿入部1dの外周側には所定間隔をおいて、係止機構部3が設けられている。この係止機構部3は係止用爪片2eを係止して、抵抗器2を所定の回転位置にて取付けるためのものである。
この係止機構部3は、撓み片3a部と、この撓み片3a部の側方に、係止用爪片2eの幅寸法Wの間隔を置いて形成された停止片3b部とから構成されている。さらに、撓み片3a部には、挿入部1dの半径方向外方側に位置する保持片3cが形成されている。係止機構部3は樹脂製のケース1に一体成形されており、ここでケース1はポリプロピレンのような弾性を有する樹脂にて成形されているので、撓み片3aを挿入部1dの接線方向と平行に延びる長方形状にするとともに、撓み片3aの先端部を係止用爪片2eの先端部の押圧部2fにて押圧することにより、撓み片3aは挿入部半径方向に弾性的に撓むことができる。
【0022】
そして、保持片3cはT字状の断面形状を持つ形状とすることにより、挿入部1dの外方側へ変形しにくい形状となっており、撓み片3aの半径方向への過大な撓みを防止する。また、停止片3bはL字状の断面形状を持つ形状とすることにより挿入部円周方向へ弾性変形しにくい形状にしてある。
次に、ケース1の位置決め用突起部1fの下方部位には、突起部1f成形時の型抜きのための貫通穴1g(図3参照)を設ける必要がある。そこで、本実施形態では、この貫通穴1gからの空気洩れを防止するために以下の工夫をしている。
【0023】
すなわち、図4、5に示すように、位置決め用突起部1fのうち、内周側端部の下面には抵抗器2の基板2aの上面に向かって鋭角状に尖って突出する第1リブ1hが一体形成されており、この第1リブ1hの突出高さは、突起部1fの幅全体に一様に設定せずに、図4(b)、図5において、抵抗器2の取付け時回転方向(反時計方向)に対して入口側となる右端側は0とし、そして、突起部1fの幅方向中央部に向かって0.3mmの高さまで徐々に高くなり、以後左端部まで同一高さ(0.3mm)にしてある。これにより、抵抗器2の取付け時の回転をスムーズに行うことができる。
【0024】
また、貫通穴1g部分における挿入部1dの内周面には、抵抗器2の基板2aの外周面に向かって突出する第2リブ1iが突出形成されている。この第2リブ1iの高さは本例では0.3mmに設定してある。上記両リブ1h、1iが抵抗器2の基板2aの上面および外周面に弾性変形して圧接することにより、貫通穴1g周辺の風洩れ箇所を密封することができる。
【0025】
次に、上記構成おいて抵抗器2の取付方法について説明する。まず、抵抗器2の切欠き部2dの位置を図3に示すようにケース1の位置決め用突起部1fの位置と合致させ、切欠き部2dを突起部1fに嵌入する。このとき、2個の切欠き部2d、突起部1fの大きさがそれぞれ異なっているため、抵抗器2の係止用爪片2eをケース1の係止機構部3に隣接する正規の組付位置に必ず設定できる。
【0026】
次に、抵抗器2を反時計方向に回転させる。すると、抵抗器2の係止用爪片2eも回転し、その先端の押圧部2fの傾斜面2gが最初に係止機構部3の撓み片3aに当接する。そして、抵抗器2の回転の進行とともに、傾斜面2gに沿って押圧部2fにより撓み片3aが半径方向外方へ弾性的に撓む。ここで、撓み片3aの過大な撓みを保持片3cにて防止することにより、撓み片3aの根元部が白化して損傷するのを防止できる。
【0027】
次いで、抵抗器2の係止用爪片2eが撓み片3aの部位を通過すると、図2(a)に示すように、撓み片3aがそれ自身の弾性反力にて元の位置に復帰するとともに、係止用爪片2eが停止片3bに当接する。これにより、係止用爪片2eが停止片3bと撓み片3aとの間で挟まれた状態となり、係止用爪片2eの回転方向の位置がそのまま保持されるので、抵抗器2のケース1に対する取付を完了できる。
【0028】
この抵抗器2の取付完了状態では、図2(b)に示すように、抵抗器2の基板2aの外周縁部がケース1の中心穴1e周辺のリング状支持面1e′と突起部1fとの間に挟持されるので、抵抗器2の図2(b)左右方向への移動が阻止される。ここで、抵抗器2の回転方向の位置決めは、係止用爪片2eとケース1の係止機構部3との係止により行うことができるので、リング状支持面1e′と突起部1fとの間隔を基板2aの板厚に対して厳格に寸法管理する必要はない。
【0029】
また、抵抗器2の取付完了状態では、第1リブ1h、第2リブ1iがそれぞれ抵抗器2の基板2aの上面および外周面に弾性変形して圧接することにより、穴1g周辺からの風洩れを良好に防止できる。
ところで、抵抗器1をケース1から取り外すときは、撓み片3aを半径方向外方へ撓ませながら、抵抗器1を時計方向に回転させ、切欠き部2dの位置をケース1の位置決め用突起部1fの位置と合致させることにより、抵抗器1の取り外しを行うことができる。
【0030】
なお、上記第1実施形態では、抵抗器2の回転量が所定量に到達すると、撓み片3aが元の位置に向かって復帰することにより係止用爪片2eを撓み片3aと停止片3bとの間で挟持し、これにより係止用爪片2eの回転方向の位置決めを行っているが、本発明はこのような位置決め構造に限定されるものではなく、例えば、係止用爪片2eの先端部に突起を設け、抵抗器2の回転量が所定量に到達すると、この突起が撓み片3aに設けた凹部に嵌入され、撓み片3aが元の位置に向かって復帰することにより係止用爪片2eを回転方向の位置決めを行なうようにしてもよい。このような変形例によれば、停止片3bを廃止することができる。
(第2実施形態)
上記第1実施形態は、自動車用空調装置における送風機速度制御用抵抗器の取付構造について説明したが、本発明はこのような用途のみに限定されるものではなく、例えば、実開昭59−142110号公報記載のように、送風機モータの回転式取付構造に適用することも可能である。
【0031】
第2実施形態はこの送風機モータの回転式取付構造に関するものであって、図6〜図11に示す。図6は図1におけるケース1の送風機収納部1bの分解拡大図であり、モータ30aは図示しないヒータ用送風機ファン(図12のファン20に相当)を回転駆動するものであり、モータ30aの軸方向一端側の外周部には円形フランジ部材(基板)30bが取付られている。このフランジ部材30bは、ポリプロピレンのような弾性を有する樹脂にて成形されている。
【0032】
この円形フランジ部材30bの外縁部には環状突出部30c(図10参照)が半径方向外方へ突出している。そして、この環状突出部30cからさらに半径方向外方へ突出するように1個の係止用爪片30dが一体成形されている。この爪片30dはフランジ部材30bの板厚方向(モータ軸方向)へ弾性的に撓むことが可能なものである。また、円形フランジ部材30bの外縁部には等間隔で3箇所にビス座30eが半径方向外方へ突出成形されている。このビス座30eは取付用ビス(図示せず)を通すための円形穴30fを持っている。
【0033】
フランジ部材30bは、図10に示すように、環状突出部30cの部分が最も外径が大きくなっており、この環状突出部30cの下側に、順次外径が小さくなる外周面30g、30hが形成されている。そして、最下部の外周面30hには複数個(本例では8個)の突起部30iが等間隔で半径方向外方へ突出成形されている。この突起部30iに対して所定間隔をあけて対向する段付面によりリング状支持面30jが形成される。
【0034】
また、突起部30iは図6に示すように、送風機モータ30aの取付時の回転方向(反時計方向C)の先端側の上面にテーパー状の傾斜面30i′を設けた形状にしてある。
次に、上記送風機モータ30aが取付られるケース1側の構造を説明すると、ケース1には、その外壁面から円筒状挿入部10aが一体成形されており、この円筒状挿入部10aの円形穴10bから送風機モータ30aの回転軸に取付られた送風機ファンをケース1内に挿入することができるようになっている。
【0035】
円筒状の挿入部10aの外周面には、前記フランジ部材30bのビス座30eに対応するビス座10cが一体成形され、ビス座10cにはビス用の円形穴10dが設けられている。また、円筒状の挿入部10aの内周面には、前記した突起部30iを嵌入し得る大きさに設定された複数個(本例では8個)の溝部10eが形成され、この溝部10eの間に複数個(本例では8個)の突起部10fが形成されている。
【0036】
突起部10fの下面部には、図7、9に示すように、送風機モータ30aの取付時の回転に伴って、フランジ部材30bの突起部30iが最初に当接する側の部位に、テーパー状の傾斜面10f′が設けてある。この傾斜面10f′と傾斜面30i′により、送風機モータ30aの取付時の回転操作をスムーズにできるようにしてある。
【0037】
また、ケース1側において、円筒状の挿入部10aの外周側には所定間隔をおいて、係止機構部3が設けられている。この係止機構部3は係止用爪片30dを弾性的に嵌合係止して、送風機モータ30aを所定の回転位置にて取付けるためのものである。そのため、送風機モータ30aの取付完了となる所定の回転位置に、係止用爪片30dが弾性的に嵌合係止する溝部3dが形成されている。この溝部3dは、ケース1の外壁面から突出する突出片3eに形成されている。
【0038】
この突出片3eにおいて、係止用爪片30dの回転入口側部位に、係止用爪片30dの弾性撓み量を徐々に増加させる傾斜面3fが設けられている。従って、送風機モータ30aをケース1に対して回転することより、係止用爪片30dが突出片3eの傾斜面3fにより押圧されて係止用爪片30dが弾性的に撓み、図11(c)の回転位置において、係止用爪片30dの弾性撓み量が最大となり、送風機モータ30aの回転量が所定量に到達すると、図11(d)に示すように係止用爪片30dが自身の弾性力により溝部3dに嵌合係止することにより係止用爪片30dの回転方向の位置決めを行うことができる。
【0039】
さらに、係止用爪片30dの回転出口側部位に、係止用爪片30dの回転を阻止する停止片3gが形成されている。また、8個の突起部10fのうち、本例では、図7、8上側の2箇所の突起部10fの内周端面に、それぞれ1箇所づつ半径方向内方へ突出するように断面三角状の第1リブ10gが一体成形されている。このリブ10gは図7、8において突起部10fの紙面垂直方向の幅寸法の全長にわたって一定高さで形成されている。
【0040】
また、第1リブ10gが設けられていない6個の突起部10fのうち、3個の突起部10fの下側面(フランジ部材30bの突起部30iに対向する面)には、突起部30iの円周方向に沿って断面三角状の第2リブ10hが一体成形されている。このリブ10hは、テーパー状の傾斜面10f′の円周方向延長上に形成されものであって、リブ10hの高さは図9(b)に拡大図示するように、徐々に増大するようになっている。従って、送風機モータ30aの取付時の回転操作に伴って、フランジ部材30bの突起部30iが傾斜面10f′に引き続いて、リブ10h側の部位でもスムーズに回転できる。
【0041】
次に、第2実施形態における送風機モータ30aの取付方法を説明すると、まず、送風機モータ30aのフランジ部材30bの突起部30iの位置を図6に示すようにケース1の溝部10eの位置と合致させ、突起部30iを溝部10e内に嵌入する。次に、送風機モータ30aを反時計方Cに回転させる。
すると、フランジ部材30bの係止用爪片30dも回転し、この係止用爪片30dが図11に示すように弾性変形しながら係止機構部3の傾斜面3fを乗り上げる。そして、図11(c)の位置で係止用爪片30dの弾性撓み量が最大となり、送風機モータ30aの回転量が所定量に到達すると、図11(d)に示すように係止用爪片30dが自身の弾性力により復元して溝部3dに嵌合係止されるとともに、係止用爪片30dが停止片3gに当接する。
【0042】
これにより、係止用爪片30dの更なる回転が停止片3bにより阻止され、係止用爪片30dが溝部3dに嵌合係止した状態がそのまま保持されるので、抵抗器2のケース1に対する取付を完了できる。
この送風機モータ30aの取付完了状態では、図10に示すように、ケース1の送風機取付部1bの突起部10fが送風機モータ30aのフランジ部材30bのリング状支持面30jと突起部30iとの間に挟持されるので、送風機モータ30aの軸方向(スラスト方向)への移動が阻止される。ここで、送風機モータ30aの取付完了状態では、第1リブ10g、第2リブ10hがそれぞれフランジ部材30bの外周面30hおよび突起部30iの上側面に弾性変形して圧接することにより、フランジ部材30bがモータ軸方向およびモータ半径方向に対してガタを発生するのを防止できる。
【0043】
また、点検修理等のために、送風機モータ30aをケース1から取り外すときは、係止用爪片30dを図6の上方へ撓ませながら、送風機モータ30aを時計方向に回転させ、フランジ部材30bの突起部30iの位置をケース1の溝部10eの位置と合致させることにより、送風機モータ30aの取り外しを行うことができる。
【0044】
なお、送風機モータ30aを一度脱着すると、第1リブ10g、第2リブ10hが潰れた状態のままになってしまい、図10に示す嵌合状態にガタが発生しやくなるので、送風機モータ30aを再度取付るときは、ビス座10c、30eを用いて、フランジ部材30bをケース1にネジ止めする。
(他の実施形態)
本発明は上述した送風機速度制御用抵抗器や送風機モータ等に限定されることなく、部品の取付構造として種々な用途に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態を示す自動車用空調装置の側面図である。
【図2】(a)は図1における送風機速度制御用抵抗器部の拡大図、(b)は(a)のA−A断面図である。
【図3】図2の抵抗器部の分解斜視図である。
【図4】(a)は図3に示すケース1側の要部断面図、(b)は(a)の右方向からみた要部正面図、(c)は(b)のB−B断面図である。
【図5】図4(b)の上面図である。
【図6】本発明の第2実施形態を示す自動車用空調装置の送風機モータ部の分解斜視図である。
【図7】図6に示す送風機モータ取付部のケース側の下面図である。
【図8】図6に示す送風機モータ取付部のケース側の上面図である。
【図9】(a)は図7のD部拡大図、(b)は(a)の側面図、(c)は(a)のE−E断面図、(d)は(c)のF部拡大図である。
【図10】図6に示す送風機モータ取付部の取付完了後における嵌合部断面図である。
【図11】図6に示す送風機モータ取付部の係止機構部での取付過程説明図である。
【図12】従来のファンモータの取付構造を示す分解斜視図である。
【図13】図6のファンモータ取付構造の要部断面図である。
【符号の説明】
1…ケース(取付体)、1d…挿入部、2…抵抗器(部品)、2a…基板、
2e、30d…係止用爪部、3…係止機構部、3a…撓み片、
3b、3g…停止片、3c…保持片、3d…溝部、3f…傾斜面、
10f…突起部、10g、10h…リブ、30a…送風機モータ(部品)、
30b…フランジ部材(基板)、30i…突起部。
Claims (4)
- 部品(2)を取付体(1)に回転操作して取付け固定する取付構造であって、
前記取付体(1)に前記部品(2)挿入用の円筒状の挿入部(1d)が形成され、
前記部品(2)の基板(2a)には、この基板(2a)の外周縁部から半径方向外方へ延びる形状の係止用爪片(2e)が設けられ、
前記取付体(1)に、前記挿入部(1d)の外周側に半径方向に所定間隔をあけて設けられ、半径方向に弾性的に撓む撓み片(3a)と、この撓み片(3a)より回転方向に所定間隔をあけて配置された停止片(3b)とを有する係止機構部(3)を備え、
前記部品(2)を前記挿入部(1d)の内側で回転することより、前記係止用爪片(2e)が前記撓み片(3a)を押圧して前記撓み片(3a)を半径方向外方へ弾性的に撓ませ、
前記部品(2)の回転量が所定量に到達すると、前記係止用爪片(2e)が前記停止片(3b)に当接するとともに前記撓み片(3a)が元の位置に向かって復帰することにより前記係止用爪片(2e)を前記撓み片(3a)と前記停止片(3b)との間で挟持して前記係止用爪片(2e)の回転方向の位置決めを行うことを特徴とする部品の取付構造。 - 前記係止機構部(3)において、前記撓み片(3a)の半径方向外方側の部位に、前記撓み片(3a)の撓みを規制する保持片(3c)を備えたことを特徴とする請求項1に記載の部品の取付構造。
- 前記基板(2a)は円形状であり、前記取付体(1)には、前記円形の基板(2a)の外周縁部を支持する支持面(1e′)と、この支持面(1e′)から所定間隔あけて形成された突起部(1f)とを備え、
前記基板(2a)の回転量が所定量に到達した状態では、前記基板(2a)の外周縁部が前記支持面(1e′)と前記突起部(1f)との間に挟持されるようにしたことを特徴とする請求項1または2に記載の部品の取付構造。 - 請求項1ないし3のいずれか1つに記載の部品の取付構造であって、
前記部品は送風機速度制御用の抵抗器(2)であり、
前記取付体は、弾性を有する樹脂にて成形されたケース(1)であり、
このケース(1)はその内部に空調用の機能部品を収納しており、かつ、このケース(1)には前記係止機構部(3)が一体成形されていることを特徴とする部品の取付構造。
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