JP2995242B2 - 色変化マイクロゲル含有剤を被着した光記録シートとそれを用いる光記録方法 - Google Patents

色変化マイクロゲル含有剤を被着した光記録シートとそれを用いる光記録方法

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JP2995242B2
JP2995242B2 JP3241060A JP24106091A JP2995242B2 JP 2995242 B2 JP2995242 B2 JP 2995242B2 JP 3241060 A JP3241060 A JP 3241060A JP 24106091 A JP24106091 A JP 24106091A JP 2995242 B2 JP2995242 B2 JP 2995242B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の技術分野】この発明は、高分子ゲル内部の物質
移動性を光刺激によって制御可能な光応答性高分子マイ
クロゲルを用いた光記録シートとそれを用いる光記録方
法に関し、より詳細には、色変化マイクロゲルを用いて
フルカラー記録画像を形成可能な光記録紙とそれを用い
る光記録方法に関するものである。
【0002】
【従来技術とその問題点】従来、フルカラー記録が可能
な記録方式として、電子写真方式、熱転写方式、インク
ジェット方式、光応答性マイクロカプセル方式或いは熱
現像銀塩方式等、種々の方式が提案され、又実用に供さ
れている。
【0003】ところで、フルカラー記録画像に要求され
る主な品質としては、解像度、濃度階調性、色純度、色
重ね度等が挙げられる。又、記録装置の性能として、記
録スピードが速いこと、音が静であること、ランニング
コストが安いこと、小型で軽量なこと、普通紙及び再生
紙を使用できること、メンテナンスフリーであること等
が要求されている。
【0004】然るに、上述の要求項目を大略満たすフル
カラー記録装置は、未だ実現されていない。例えば、熱
転写方式では記録紙の他にトナーやインク等の現像剤を
担持するフィルムを別に用意する必要がある為、装置が
大型化し且つメンテナンス作業性及びランニングコスト
の点で劣る。又、圧力定着型カプセルトナーを使用する
方式では、極めて大きな圧力を加える必要がある為に装
置が大型化するという問題を抱えている。
【0005】
【発明の目的】この発明は、上述した従来技術の問題点
に鑑みなされたものであって、簡単な装置により高解像
度で細かい濃度階調性を備えた高品質のフルカラー記録
画像をメンテナンスフリーで安価に得ることが可能な光
記録シートとそれを用いる光記録方法を提供することを
目的とする。
【0006】
【発明の要点】この発明の要点は二点あり、その内の一
点は、上述した目的が、光の照射を受けて物質移動性を
変化させる高分子マイクロゲルを結着樹脂中に分散混合
して成るマイクロゲル含有剤を支持シート表面に被着し
て形成した光記録シートであって、相互に拡散し合って
発色反応を起こす反応性物質の一方を前記結着樹脂中に
分散混合し、前記高分子マイクロゲル内に特定波長の光
の照射を受けてイオン解離する光感応基を導入すると共
に前記反応性物質の他方を内蔵させ、前記特定波長の光
を照射することにより、前記高分子マイクロゲル内部の
物質移動性を増大させて前記反応性物質を相互に拡散さ
せ発色反応を起こさせることを特徴とする色変化マイク
ロゲル含有剤を被着した光記録シートを提供することに
より、達成される点である。
【0007】この発明の要点の他の一点は、上述した目
的が、互いに拡散し合って発色反応を起こす反応性物質
の一方と、特定波長の光照射を受けてイオン解離する光
感応基を含み前記反応性物質の他方を内蔵する高分子マ
イクゲルとを、結着樹脂中に分散混合して成る色変化マ
イクロゲル含有剤を支持シート表面に被着して形成した
光記録シートを用いる光記録方法であって、前記特定波
長を有する光を記録情報に応じて前記色変化マイクロゲ
ル含有剤に照射し、前記高分子マイクロゲルの物質移動
性を増大させて前記反応性物質の相互拡散に基づく発色
反応を起こさせ、前記光記録シート上に記録画像を形成
することを特徴とする色変化マイクロゲル含有剤を被着
した光記録シートを用いる光記録方法を提供することに
より、達成される点である。
【0008】
【発明の実施例】以下、この発明を第1実施例乃至第3
実施例に基づき具体的に説明する。 <第1実施例>図1は、第1実施例としてのモノカラー
光記録紙Pの構成を示す模式的断面図である。支持シー
トとしての基材紙1表面に、マイクロゲル含有剤GCを
塗着してある。尚、支持シートとしては、紙の他に各種
フィルムを使用できる。マイクロゲル含有剤GCは、結
着樹脂2中に、マイクロゲルMGと、互いに混合されて
発色反応を起こす反応性物質の一方である顕色剤3、及
びその補助的物質4を、分散混合して成る。
【0009】結着樹脂2は、マイクロゲルMGや顕色剤
3及び補助的物質4を基材紙1上に保持する為の材料で
あり、従って、常温下でゲル状態となる様に相転移温度
(Tc)の高い材料を用いる。この様な結着樹脂の材料
としては、例えば、ポリビニルアルコール、メチルセル
ロース、カルボキシメチルセルロース、スチレン−ブタ
ジエンラテックス等を好適に利用できる。
【0010】上述したマイクロゲルMGは、以下の様に
構成してある。図2に示す様に、マイクロゲルMGは、
主鎖部5が網目構造をなし、この主鎖部5から分岐する
側鎖部6に特定の波長の光照射を受けて解離しイオン化
する光感応基(不図示)を有するポリマーである。図1
で、マイクロゲルMGは、その網目構造中に本例では染
料前駆体7と溶媒8を取り込んでいる。
【0011】上述の光感応基としては、電荷移動錯体系
の物質を好適に利用できる。一般に、溶媒中の電荷移動
錯体系を光励起すると、電子供与体カチオンと電子受容
体アニオンの溶媒和イオン対や自由イオンが生成するこ
とが知られている。この様な電荷移動錯体系の物質は、
近紫外光や可視光の照射により容易にイオンを生成でき
るので、本発明の光感応基として好適である。
【0012】光感応基に好適な電子供与性分子として
は、トリフェニルメタンの誘導体、
【0013】
【化1】
【0014】
【化2】
【0015】の他、次の様なカルバゾールの誘導体、
【0016】
【化3】
【0017】
【化4】
【0018】
【化5】
【0019】が挙げられる。図3、図4及び図5の各構
造式は、トリフェニルメタン及びカルバゾールの誘導体
をポリアクリルアミドの側鎖に導入して成る高分子マイ
クロゲルの分子構造を夫々示している。又、次の様なピ
レンの誘導体、
【0020】
【化6】
【0021】
【化7】
【0022】も電子供与性分子であり、光感応基として
好適に利用できる。図6に示す構造式は、ピレン誘導体
をポリアクリルアミドの側鎖に導入したマイクロゲルを
示している。
【0023】一方、電子受容性分子としては、ジメチル
テレフタレート、ジシアノベンゼン、クロロエタノー
ル、グリシン、アラニン、テトラシアノベンゼン、テト
ラメチル−p−フェニレンジアミン、テトラブチル−p
−フェニレンジアミン等の一般的な材料を使用できる。
これらの電子受容性分子は、染料前駆体7や溶媒8(図
2参照)と共にマイクロゲルの網目構造の中に取り込ま
れ、電子供与性の光解離基と会合して電荷移動錯体を形
成している。
【0024】図1において、上述の様な構成のマイクロ
ゲルMG内に内蔵させる染料前駆体7は、通常状態では
無色であるが酸性物質と反応して発色する性質をもつ色
素成分物質である。その様な色素成分物質としては、ロ
イコ染料が広く知られているが、その内の一般的なフタ
リド系、フルオラン系、トリフェニルメタン系、フェノ
チアジン系、スピロピラン系等のロイコ染料を好適に使
用できる。具体的には、一般的な感圧紙や感熱紙等に広
く用いられているクリスタルバイオレットラクトン、カ
ルバゾリルブルー、インドリルレッド、ピリジンブル
ー、ローダミンBラクタム、マラカイトグリーン、3−
ジアルキルアミノ−7−ジアルキルアミノフルオラン、
ベンゾイルロイコメチレンブルー等が挙げられる。又、
溶媒8としては、水、エタノール、ジメチルホルムアミ
ド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド等の
極性溶媒が好適である。
【0025】ここで、上述したマイクロゲルMGの製造
方法について説明する。先ず、アクリルアミド・モノマ
ーのジメチルスルホオキシド溶液中に、架橋剤としてメ
チレン−ビス(アクリルアミド)をアクリルアミド・モ
ノマーの1/100mol%程度溶かす。これに、電子供
与性分子として、ビニルカルバゾールをアクリルアミド
・モノマーの1/100mol%程度溶かす。そして、重
合開始剤としてアゾビス(イソブチロニトリル)を加
え、50〜60℃に加熱する。これにより、高分子ゲル
が形成され、この高分子ゲルを乾燥・粉砕して高分子ゲ
ルの微粒子(マイクロゲル)を得る。
【0026】得られたマイクロゲルを、電子受容性分子
としてのジメチルテレフタレート又はジシアノベンゼン
を溶解した溶媒中に投入する。溶媒としては、水、エタ
ノール、ジメチルホルムアミド等の極性溶媒を用いる。
これにより、マイクロゲルが膨潤して電子受容性分子を
ゲル内に取り込み、電荷移動錯体が形成される。
【0027】次に、上述の極性溶媒と同一の溶媒にマイ
クロゲル内にトラップさせる染料前駆体を溶解し、この
溶液中に上述の電荷移動錯体が形成されたマイクロゲル
を漬け、紫外線を照射してゲルを膨潤させる。これによ
り、ゲル内に染料前駆体が取り込まれる。この高分子マ
イクロゲルを抽出、洗浄してゲル表面付近の染料前駆体
を洗い流せば、本例の高分子マイクロゲルが得られる。
【0028】上述の様にして得られた染料前駆体を内蔵
するマイクロゲルを顕色剤及び補助的物質と共に結着樹
脂中に分散混合して色変化マイクロゲル含有剤を調製す
る。この色変化マイクロゲル含有剤を基材シート表面に
塗工すれば、本例の光記録シートが得られる。
【0029】図1において、マイクロゲル外相には、染
料前駆体7と発色反応を起こす顕色剤3を配してある。
染料前駆体がロイコ染料の場合、顕色剤3としては、α
ナフトール、βナフトール、ビスフェノールA等のフェ
ノール類、サリチル酸亜鉛誘導体、芳香族カルボン酸金
属塩等の酸性物質を好適に使用できる。又、この外相に
は、顕色剤3の物性を調整する為の補助的物質4も配し
てある。補助的物質4には、顕色剤3を溶解・分散させ
る為の溶媒で、蒸留水やベンゼン、トルエン、アルキル
ナフタレン、ビフェニル類、パラフィン類等の有機溶剤
がある。又、ゲル外相の溶液に適切な粘性を与える為の
補助的物質4として、市販の各種ワックスや樹脂のポリ
マー等を外相溶液に混合する。この場合、補助的物質4
は、マイクロゲルMGの網目構造空孔部を透過できない
程度に大きい分子量の物質を選定するのが良い。
【0030】上述の様に構成したモノカラー光記録紙P
を用いる光記録方法について、以下に説明する。図7
は、モノカラー光記録紙におけるマイクロゲル含有剤G
Cの発色反応動作を示す模式的説明図である。同図にお
いて、初期状態(ST1)では、基材紙1上に被着してあ
るマイクロゲル含有剤GCが電気的に安定した状態にあ
る。即ち、図2の〔a〕に示す様に、マイクロゲルの側
鎖部6に導入された光感応基がイオン解離していないか
ら、マイクロゲルは電気的に中性の安定状態にあり、網
目間隔が狭い縮んだ網目構造をとっている。この為、各
マイクロゲルMG中に取り込まれている(トラップされ
ている)染料前駆体7の分子が移動する空孔のサイズが
小さく、染料前駆体7の移動性は小さい。又、ゲル外相
の顕色剤3もゲル内に拡散進入できない。即ち、染料前
駆体7と外相(結着樹脂2中)の顕色剤3とは略確実に
分離された状態に保持されて発色反応を起こせず、従っ
て、マイクロゲル含有剤GC全体は無色のままである。
【0031】次いで、上述の初期状態の光記録紙Pを加
熱する(ST2)。これにより、マイクロゲル含有剤GC
の結着樹脂2がゾル化し、ゲル外相の粘度が低下する。
この場合の加熱温度は、使用環境を考慮し、且つ、結着
樹脂2のゾル化状態が次の段階の光記録中も保持できる
様に、80℃以上に設定するのがよい。
【0032】次に、加熱されたマイクロゲル含有剤GC
に対し特定波長νを備えた光Rを記録情報に応じて照射
し、光記録を行なう(ST3)。この光Rの照射により、
マイクロゲルMG中の光感応基が励起状態になり、図2
の〔b〕に示す様にイオン化して解離する。生成したイ
オンの内、ポリマーから解離したイオン(アニオン)
は、ゲル構造体の他の部分か溶媒8中へ拡散する。そし
て、ポリマーに残った方のイオン(カチオン)同士の静
電的な反発力によって主鎖部5間の距離が広がり、溶媒
8を吸って図7に示す様に体積膨張(膨潤)する。これ
により、マイクロゲルMGを構成する網目構造の空孔が
大きくなり内部にトラップされている染料前駆体7の物
質移動性が増大する。
【0033】ここで、マイクロゲルMGはイオン解離に
よる電荷の発生量が多い程大きく膨潤し、ゲル内部の物
質移動性は光Rの照射光量によって変化する。従って、
光Rの照射光量を調節することにより、マイクロゲルM
G内部の物質移動性を変化させることができる。これに
より、単なる光の点滅制御による単一濃度のモノカラー
記録画像だけでなく、次に述べる様に、濃度階調性を備
えたモノカラー記録画像も容易に得ることができる。
【0034】図7に示した光記録段階(ST3)では、4
ビットの記録データに対応して4ドットを形成する状態
を示しており、各ドットに夫々1個のマイクロゲルMG
1〜MG4を模式的に対応させてある。この場合、マイク
ロゲルMG1に対応するドットを形成するドット光Rd1
の強度が最も大きく、マイクロゲルMG2,MG3の各対
応ドットになるに従い各ドット光Rd2,Rd3の照射強度
(図面では白抜き矢印の長さで示す)が小さくなってい
る。マイクロゲルMG4に対応するドットは白ドット
で、従って対応ドット光が照射されていない。ドット光
Rd1の照射強度が最も大きいから、マイクロゲルMG1
の膨潤度が最も大きく、従って内部の物質移動性が最も
増加し、ドット光Rdの照射強度の低下に応じてマイク
ロゲルMG2,MG3の各物質移動性の増加度合いも小さ
くなっている。マイクロゲルMG4は、ドット光が照射
されていないから物質移動性が低い初期状態(ST1)の
ままである。
【0035】光Rの照射を開始し緩和過程を経てゲル内
部の物質移動性が高くなるにつれ、マイクロゲルMG内
の染料前駆体7が、ゲル外相へ拡散移動し始める。一
方、ゲル外相の顕色剤3も、マイクロゲルMGの網目構
造内に拡散移動し始める。染料前駆体7と顕色剤3とが
相互に拡散移動すると、両物質の間で発色反応が起こ
り、色素9がマイクロゲルMGの内、外相双方に形成さ
れ始める(ST4)。そして、時間の経過と共に、染料前
駆体7と顕色剤3の相互拡散が進行し、マイクロゲルM
G内部に形成される色素9が増加し、マイクロゲルMG
の発色濃度が増加する。又、ゲル外相の色素9も増加す
るが、ゲル外相の結着樹脂2により色素9の拡散はマイ
クロゲルMG周辺に制限される。従って、色素9による
発色の場は、マイクロゲルMG内部及びその周辺に限ら
れる。その結果、各ドットが明瞭に形成されて記録画像
の解像度が向上する。
【0036】ここで、染料前駆体7や顕色剤3等のゲル
内、外相の各物質分子の拡散量は、分子のサイズやゲル
内外の圧力値等によっても異なるが、ゲル内部構造の網
目の広がり度合い(膨潤度合い)によって大きく異な
る。従って、ゲル自体の膨潤度が最も大きいのは最も強
いドット光Rd1が照射されたドットに対応するマイクロ
ゲルMG1であるから、このマイクロゲルMG1に係わる
物質の相互拡散が最も活発に行なわれ、発色濃度が最も
高くなる。そして、ドット光Rdの照射強度の順にマイ
クロゲルMG2,MG3と段階的に発色濃度が低下する。
この様にして、濃度階調性を備えたモノカラー記録画像
が得られる。
【0037】1ドットの記録時間が経過した時点で、ド
ット光Rdの照射が停止される(ST5)。これにより、光
解離したイオンが再結合してマイクロゲルMG内の主鎖
ポリマーが静電的反発力を失い、マイクロゲルMGは網
目構造中にトラップした溶媒を放出して図2の〔a〕に
示す元の縮んだ網目構造に戻る。その結果、マイクロゲ
ルMG内部の網目構造の空孔が小さくなるので、物質の
移動性が初期状態と同程度に低下する。これにより、マ
イクロゲルMG内の染料前駆体7とゲル外相の顕色剤3
との相互拡散が停止し、発色反応も停止する。尚、マイ
クロゲルMG内で生成した色素9は、網目構造内にトラ
ップされる。
【0038】以上の様に、マイクロゲルMGの光感応基
をイオン解離させる特定波長を備えた光を記録情報に応
じて点滅すると共に照射光量を調節することにより、マ
イクロゲルMG内、外相に分離配在させた染料前駆体と
顕色剤の相互拡散に基づく発色反応を緻密に制御し、き
めの細かい濃度階調性を備えた高解像度のモノカラー記
録画像を容易に得ることができる。この場合、マイクロ
ゲルMGは、特定波長ν以外の波長の光を照射しても膨
潤しない。従って、上述した光記録方法は、特定波長ν
を有さない通常の照明光の下でも発色反応を緻密に制御
でき、光記録装置の構造の簡素化に寄与するという利点
を備えている。
【0039】図8は、上述した光記録方法が適用される
光記録装置の概略構成を示す構成説明図である。同図に
おいて、マイクロゲル含有剤が初期状態であるモノカラ
ー光記録紙Pが記録紙搬送経路Tcに沿って給送されて
くる。この光記録紙Pは、先ず、加熱器10により加熱
される(図7のST2)。加熱器10としては、ヒートロ
ーラやサーマルヘッドに類似した薄膜/厚膜ライン状ヒ
ータ等を好適に利用できる。加熱器10の下流側には、
光記録ヘッド11を配設してある。本例の波長νに相当
する光は紫外領域光である。従って、光記録ヘッド11
として、レーザー光源、光変調機、スキャニング装置及
び集光光学系等から成るレーザー記録ヘッドを用いる場
合は、紫外線レーザーを光Rとして照射すればよい。光
記録ヘッド11による所定の記録時間に亘る光記録照射
(図7のST3,ST4)を受けてモノカラーの記録画像が形
成された光記録紙Pは、この後、そのまま機外に排出さ
れる。この様に、本例の光記録方法によれば、主な画像
形成プロセス装置が加熱器10と光記録ヘッド11だけ
で済む構造が極めて簡単な光記録装置により、高解像度
で細かい濃度階調を備えたモノカラー記録画像を安価に
得ることができる。
【0040】<第2実施例>本例では、色変化マイクロ
ゲル含有剤を塗工したフルカラー光記録紙を用いて光記
録を行なう。従って、図9に示す様に、3原色に対応さ
せて3種類のマイクロゲルMGy,MGm,MGcを使用
する。これら3種類のマイクロゲルMGy,MGm,MG
cは、夫々、イオン解離する為の特定波長が互いに異な
る光感応基を有している。そして、マイクロゲルMG
y,MGm,MGcの各内部には、夫々、3原色の発色能
を備えた染料前駆体12a,12b,12c及び同一の
補助的物質(不図示)を配してある。即ち、染料前駆体
12aはイエロー、染料前駆体12bはマゼンタ、染料
前駆体12cはシアン、に夫々発色する能を有してい
る。そして、これらマイクロゲルMGy,MGm,MGc
と顕色剤(不図示)及び補助的物質等を結着樹脂2中に
分散混合し、本例のフルカラー記録用マイクロゲル含有
剤GCfを構成してある。顕色剤としては、各マイクロ
ゲル内部に配した3種類の染料前駆体12a,12b,
12c全てに対して均一に良好な発色能を有するものを
選定する。尚、結着樹脂、顕色剤とその補助的物質、各
マイクロゲルMGを構成する高分子物質、染料前駆体1
2及び溶媒に用いる各具体的物質としては、第1実施例
で挙げた物質の内の好適なものを選定して用いることが
できる。
【0041】上述の様な構成のマイクロゲル含有剤GC
fを基材紙1上に被着し、フルカラー光記録紙Pfを形成
してある。このフルカラー光記録紙Pfを用い図10に
示すフルカラー光記録装置により、フルカラー記録画像
を得る。このフルカラー光記録装置には、加熱器13の
下流側に、3基の光源14a,14b,14cを備えた
フルカラー記録ヘッド14を設置してある。これら光源
14a,14b,14cは、3種類のマイクロゲルの各
光感応基が夫々応答する波長νa,νb,νcの各成分光
を含む光Ra,Rb,Rcを、フルカラー記録データに応
じて夫々照射する。本例では、光Raをイエロー画素
に、Rbをマゼンタ画素に、Rcをシアン画素に、夫々対
応させてある。
【0042】次に、上述の様に構成したフルカラー光記
録紙及び記録装置を用いる光記録方法について説明す
る。本例の方法も、第1実施例(図7参照)と同様、電
気的に安定な初期段階、加熱段階、光照射による光記録
段階、物質拡散・発色反応開始段階及び光照射停止段階
の5段階からなる。図9は、その内の光記録段階から光
記録停止段階に至るマイクロゲル含有剤GCfの状態変
化を示す模式的説明図である。
【0043】初期段階におけるマイクロゲル含有剤の状
態は、第1実施例の場合と同様の状態であり、3種類の
マイクロゲルMGy,MGm,MGcの内部は膨潤する前
の縮んだ網目構造状態となっている。
【0044】図10において、記録紙搬送経路Tcに沿
って給送されたフルカラー光記録紙Pfは、先ず、第1
実施例(図7参照)と同様の加熱器13により加熱され
る。これにより、図9に示すマイクロゲル含有剤GCf
の結着樹脂2がゾル化し、ゲル外相の粘度が低下する。
【0045】次いで、図9の〔a〕に示す様に、フルカ
ラー記録データに応じ3種類の光Ra,Rb,Rcをマイ
クロゲル含有剤GCfに照射して光記録を行なう。これ
により、図9の〔b〕に示す様に、マイクロゲルMG
y,MGm,MGcが3種類の光Ra,Rb,Rcの照射に応
じて選択的に膨潤する。尚、図9では、膨潤したマイク
ロゲルを破線で示してある。このとき、ゲル外相は既に
加熱されてゾル状態となっているから、染料前駆体12
a,12b,12cと顕色剤(不図示)の相互拡散が直
ちに開始される。光Raを照射した1ドット領域では、
マイクロゲルMGyのみが膨潤して物質移動性が大きく
なり、そのゲル内部の染料前駆体12aとゲル外相の顕
色剤が互いに拡散し始める。その結果、染料前駆体12
aと顕色剤とが発色反応を起こし、イエロー色素15a
が生成する。同様に、光Rbを照射した1ドット領域で
はマゼンタ色素15bが、光Rcを照射した1ドット領
域ではシアン色素15cが、夫々生成する。この場合、
ゲル外相にもそれら3種類の色素が生成されるが、第1
実施例の場合と同様に各染料前駆体12a,12b,1
2cの拡散が結着樹脂2により制約される為、各色素1
5a,15b,15cはその素となる染料前駆体12
a,12b,12cが内蔵されていたマイクロゲル近傍
にのみ生成する。
【0046】図9の〔c〕は、1ドット領域に3種類の
光Ra〜Rcを重ねて照射した状態を示したものである。
この場合、全てのマイクロゲルMGy,MGm,MGcが
膨潤し夫々にトラップされた染料前駆体12a,12
b,12cとゲル外相の顕色剤(不図示)との相互拡散
が進行し、3種類の色素(3原色)15a,15b,1
5cが生成し全体として黒色ドットが形成されている。
この様に、3種類の光Ra〜Rcの種類と強度をフルカラ
ー記録情報に応じて選択制御しつつ1ドット領域に多重
照射することにより、所望の色彩と色濃度(階調性)を
備えたフルカラー記録画像が得られる。
【0047】図10において、加熱器13により所定温
度に加熱されたフルカラー記録紙Pfが光記録ヘッド1
4の配設位置(光記録部)に搬送される。この光記録部
において、フルカラー記録紙Pfに対し、フルカラー記
録情報に応じて光記録ヘッド14の3基の光源14a,
14b,14cにより3種類の光Ra,Rb,Rcが所定
の記録時間に亘り選択照射され、フルカラー記録画像が
形成される。フルカラー記録画像が形成されたフルカラ
ー記録紙Pfは、光記録部から搬出され、そのまま機外
に排出される。
【0048】以上の様に、本例の光記録方法によれば、
主な画像形成プロセス装置が加熱器13と光記録ヘッド
14だけで済み、簡単な構造のフルカラー光記録装置に
より細かい階調性を備えた高解像度のフルカラー記録画
像を安価に得ることができる。
【0049】<第3実施例>本例は、第1実施例の変形
方法であり、第1実施例の結着樹脂2中に温度の上昇に
より粘度が急激に低下する物質を補助的物質として分散
混合するものである。そのような粘度調整補助的物質と
しては、第1実施例と同様のポリマーレジンやワックス
を好適に使用できる。その他のモノカラー光記録紙に関
する構成は、第1実施例と同一である。これにより、初
期段階におけるゲル外相の粘着樹脂中に配した顕色剤の
拡散移動性は第1実施例の場合より小さくなる。従っ
て、ゲル内部にトラップされた染料前駆体と顕色剤がよ
り確実に隔離され、光照射のない初期段階において微量
のゲル内外相の各物質分子が相互拡散する所謂“漏れ”
による発色反応をより確実に防止することができる。
【0050】本例の光記録方法においても、先ず、マイ
クロゲル含有剤を被着した光記録紙を第1実施例と同様
に加熱する。この場合、ゲル外相の粘度調整補助的物質
の粘度が急激に低下する温度まで加熱する。これによ
り、粘着樹脂がゾル化して顕色剤が溶融すると共に、ゲ
ル外相全体の粘度が下って物質拡散性が第1実施例の場
合と同程度に向上する。この後は、第1実施例と同様に
光記録を行なう。
【0051】以上の様に、本例の光記録方法によれば、
初期段階における“漏れ”拡散をより確実に防止し、記
録データにより正確に対応した良好なモノカラー記録画
像を安定して得ることができる。尚、第2実施例におい
ても、結着樹脂中に同様の粘度調整補助的物質を分散混
合しておけば、同様に初期段階における染料前駆体と顕
色剤の“漏れ”拡散による発色反応をより確実に防止す
ることができ、より正確且つ高画質のフルカラー記録画
像を得ることができる。
【0052】以上、この発明を3通りの実施例に基づき
詳細に説明したが、この発明は、これらの特定の実施例
等に限定されるものではなく、この発明の技術的範囲に
おいて種々の変形が可能であることは勿論である。例え
ば、上記実施例等においては、ゲル内部に染料前駆体、
ゲル外相に顕色剤を配したが、逆に、ゲル内部に顕色
剤、ゲル外相に染料前駆体を配してもよい。この場合に
も、緻密に記録画像の濃度を制御できる同様の光記録紙
を得ることができる。又、反応性物質は染料前体と顕色
剤に限らず、発色反応を起こす他の種々の反応性物質を
使用できる。
【0053】
【発明の効果】以上、詳細に説明した様に、この発明に
よれば、発色反応を起こす反応性物質の一方と、特定波
長の光の照射を受けてイオン解離する光感応基を有する
と共に反応性物質の他方を内蔵する高分子マイクロゲル
とを、結着樹脂中に分散混合させて成るマイクロゲル含
有剤を、支持シート表面に被着することにより、高解像
度のモノカラー記録画像を極めて構造が簡単な装置で正
確且つ安価に光記録可能な光記録シートを提供すること
ができる。又、応答する光の波長が異なる複数種類のマ
イクロゲルを結着樹脂中に分散含有させることにより、
高解像度の多色記録画像を簡単な装置で光記録可能な光
記録シートが得られる。そして、その様な光記録シート
を用い、記録情報に応じて光を点滅させると共に照射光
量を制御することにより、細かい濃度階調性を備えた高
解像度のフルカラー記録画像も簡単な装置で安価に得る
ことが可能となる。更に、上記特定波長を備える光以外
の光では光感応基が応答せず高分子マイクロゲル内部の
物質移動性は変化しないので、通常光の照明下において
も発色反応を緻密に制御でき、光記録装置の構造がより
簡単となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施例としてのモノカラー光記録
紙の構成を示す模式的断面図である。
【図2】上記モノカラー光記録紙に被着したマイクロゲ
ルの内部組織構造を模式的に示す説明図である。
【図3】上記マイクロゲルの一例を分子構造式で示す説
明図である。
【図4】上記マイクロゲルの他の一例を分子構造式で示
す説明図である。
【図5】上記マイクロゲルの別の他の一例を分子構造式
で示す説明図である。
【図6】上記マイクロゲルの又別の他の一例を分子構造
式で示す説明図である。
【図7】上記モノカラー光記録紙を用いる光記録方法の
動作を段階的に示す模式的説明図である。
【図8】上記光記録方法を実施する光記録装置の概略構
成を示す模式的説明図である。
【図9】この発明の他の実施例としてのフルカラー光記
録紙を用いた光記録方法におけるマイクロゲル含有剤の
状態変化を示す模式的断面図である。
【図10】上記フルカラー光記録方法が適用された光記
録装置の概略構成を示す模式的説明図である。
【符号の説明】
1 基材紙 2 結着樹脂 3 顕色剤 4 補助的物質(外相) 5 主鎖部 6 側鎖部 7,12a,12b,12c 染料前駆体 8 溶媒 9 色素 10,13 加熱器 11,14 光記録ヘッド 15a イエロー色素 15b マゼンタ色素 15c シアン色素 GC マイクロゲル含有剤(モノカラー) GCf マイクロゲル含有剤(フルカラー) MG1,MG2,MG3 マイクロゲル(モノカラー) MGy,MGm,MGc マイクロゲル(フルカラー) P モノカラー光記録紙 Pf フルカラー光記録紙 R,Ra,Rb,Rc 光
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) G03F 7/004 G03F 7/26 B01J 13/02 B41M 5/26

Claims (10)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 光の照射を受けて物質移動性を変化させ
    る高分子マイクロゲルを結着樹脂中に分散混合して成る
    マイクロゲル含有剤を支持シート表面に被着して形成し
    た光記録シートであって、 相互に拡散し合って発色反応を起こす反応性物質の一方
    を前記結着樹脂中に分散混合し、前記高分子マイクロゲ
    ル内に特定波長の光の照射を受けてイオン解離する光感
    応基を導入すると共に前記反応性物質の他方を内蔵さ
    せ、前記特定波長の光を照射することにより、前記高分
    子マイクロゲル内部の物質移動性を増大させて前記反応
    性物質を相互に拡散させ発色反応を起こさせることを特
    徴とする色変化マイクロゲル含有剤を被着した光記録シ
    ート。
  2. 【請求項2】 前記結着樹脂中に分散混合した前記反応
    物質の一方を顕色剤とし、前記高分子マイクロゲル内に
    内蔵する前記反応性物質の他方を染料前駆体とする請求
    項1記載の光記録シート。
  3. 【請求項3】 前記結着樹脂中に分散混合した前記反応
    性物質の一方を染料前駆体とし、前記高分子マイクロゲ
    ル内に内蔵する前記反応性物質の他方を顕色剤とする請
    求項1記載の光記録シート。
  4. 【請求項4】 前記マイクロゲル含有剤が、前記特定波
    長が互いに異なり内蔵する前記染料前駆体が異なる複数
    種類の高分子マイクロゲルを含有する請求項2記載の光
    記録シート。
  5. 【請求項5】 温度の上昇と共に粘度が急激に低下する
    物性を備えた物質を前記結着樹脂中に分散混合した請求
    項1乃至4記載の光記録シート。
  6. 【請求項6】 互いに拡散し合って発色反応を起こす反
    応性物質の一方と、特定波長の光照射を受けてイオン解
    離する光感応基を含み前記反応性物質の他方を内蔵する
    高分子マイクゲルとを、結着樹脂中に分散混合して成る
    色変化マイクロゲル含有剤を支持シート表面に被着して
    形成した光記録シートを用いる光記録方法であって、 前記特定波長を有する光を記録情報に応じて前記色変化
    マイクロゲル含有剤に照射し、前記高分子マイクロゲル
    の物質移動性を増大させて前記反応性物質の相互拡散に
    基づく発色反応を起こさせて、前記光記録シート上に記
    録画像を形成することを特徴とする色変化マイクロゲル
    含有剤を被着した光記録シートを用いる光記録方法。
  7. 【請求項7】 前記結着樹脂中に分散混合した前記反応
    性物質の一方を顕色剤とし、前記高分子マイクロゲル内
    に内蔵する前記反応性物質の他方を染料前駆体とする請
    求項6記載の光記録方法。
  8. 【請求項8】 前記結着樹脂中に分散混合した前記反応
    性物質の一方を染料前駆体とし、前記高分子マイクロゲ
    ル内に内蔵する前記反応性物質の他方を顕色剤とする請
    求項6記載の光記録方法。
  9. 【請求項9】 前記マイクロゲル含有剤が、前記特定波
    長が互いに異なり内蔵する前記染料前駆体が異なる複数
    種類の高分子マイクロゲルを含有する請求項7記載の光
    記録方法。
  10. 【請求項10】 温度の上昇と共に粘度が急激に低下す
    る物性を備えた物質を前記結着樹脂中に分散混合した請
    求項6乃至9記載の光記録方法。
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