JP2979158B2 - 色変化マイクロカプセル含有剤を被着した光記録シートとそれを用いる光記録方法 - Google Patents

色変化マイクロカプセル含有剤を被着した光記録シートとそれを用いる光記録方法

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JP2979158B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の技術分野】この発明は、物質分子の拡散透過性
を光刺激によって制御可能な光応答性複合膜から成るマ
イクロカプセルを用いた光記録紙とその光記録方法に関
し、より詳細には、色変化マイクロカプセルを用いてフ
ルカラー記録画像を形成可能な光記録紙とその光記録方
法に関するものである。
【0002】
【従来技術とその問題点】従来、フルカラー記録が可能
な記録方式として、電子写真方式、熱転写方式、インク
ジェット方式、光応答性マイクロカプセル方式或いは熱
現像銀塩方式等、種々の方式が提案され、又実用に供さ
れている。
【0003】ところで、フルカラー記録画像に要求され
る主な品質としては、解像度、濃度階調性、色純度、色
重ね度等が挙げられる。又、記録装置の性能として、記
録スピードが速いこと、音が静であること、ランニング
コストが安いこと、小型で軽量なこと、普通紙及び再生
紙を使用できること、メンテナンスフリーであること等
が要求されている。
【0004】然るに、上述の要求項目を大略満たすフル
カラー記録装置は、未だ実現されていない。例えば、熱
転写方式では記録紙の他にトナーやインク等の現像剤を
担持するフィルムを別に用意する必要がある為、装置が
大型化し且つメンテナンス作業性及びランニングコスト
の点で劣る。又、圧力定着型カプセルトナーを使用する
方式では、極めて大きな圧力を加える必要がある為に装
置が大型化するという問題を抱えている。
【0005】
【発明の目的】この発明は、上述した従来技術の問題点
に鑑みなされたものであって、簡単な装置で良好なフル
カラー記録画像をメンテナンスフリーで安価に得ること
が可能な光記録シートとそれを用いる光記録方法を提供
することを目的とする。
【0006】
【発明の要点】この発明の要点は二点あり、その内の一
点は、上述した目的が、光の照射を受けて物質透過性を
変化させるカプセル膜を備えたマイクロカプセルを結着
樹脂中に分散混合して成るマイクロカプセル含有剤を、
支持シート表面に被着して形成した光記録シートであっ
て、前記カプセル膜が特定波長の光を受けて異性化する
光異性化物質を含む2分子膜を有し、前記結着樹脂中に
互いに混合されて発色反応を起こす反応性物質の一方を
分散混合すると共に、前記マイクロカプセル内に前記反
応性物質の他方を内蔵し、前記特定波長の光の照射によ
り、前記光異性化物質が分子立体構造を変化させて前記
カプセル膜の物質透過性が増大し、前記反応性物質が互
いに拡散混合して発色反応が起きることを特徴とする色
変化マイクロカプセル含有剤を被着した光記録シートを
提供することにより、達成される点である。
【0007】この発明の要点の他の一点は、上述した目
的が、互いに混合されて発色反応を起こす反応性物質の
一方と、特定波長の光を受けて異性化する光異性化物質
を含む2分子膜を有するカプセル膜を備え、前記反応性
物質の他方を内蔵するマイクロカプセルとを、結着樹脂
中に分散混合して成るマイクロカプセル含有剤を、支持
シート表面に被着して成る光記録シートを用いる光記録
方法であって、前記特定波長の光を含む画像光を記録情
報に応じて前記光記録シート上のマイクロカプセル含有
剤に照射し、前記2分子膜の物質透過性を増大させて前
記反応性物質の相互拡散による発色反応を生じさせ、前
記光記録シート上に記録画像を形成することを特徴とす
る色変化マイクロカプセル含有剤を被着した光記録シー
トを用いる光記録方法を提供することにより、達成され
る点である。
【0008】
【発明の実施例】以下、この発明を第1実施例乃至第4
実施例に基づき具体的に説明する。 <第1実施例>図1は、第1実施例としてのモノカラー
光記録紙の構成を示す模式的断面図である。支持シート
としての基材紙1表面に、マイクロカプセル含有剤CC
を塗着してある。尚、支持シートとしては、紙の他に各
種フィルムを使用できる。マイクロカプセル含有剤CC
は、結着樹脂2中に、マイクロカプセルMCと、互いに
混合されて発色反応を起こす反応性物質の一方である顕
色剤3、及びその補助的物質4を、分散混合して成る。
【0009】結着樹脂2は、マイクロカプセルMCや顕
色剤3及び補助的物質4を基材紙1上に保持する為の材
料であり、従って、常温下でゲル状態となる様に相転移
温度(Tc)の低い材料を用いる。この様な結着樹脂と
しては、例えば、ポリビニルアルコール、メチルセルロ
ース、カルボキシメチルセルロース、スチレン−ブタジ
エンラテックス等を好適に利用できる。
【0010】上述のマイクロカプセルMCは、以下の様
に構成してある。マイクロカプセルMCのカプセル膜C
fは多孔質材料から成り、図2に示す様な微細孔6を多
数有している。本例では、壁材5の材料として合成高分
子材料を用い、多孔質なスポンジ状の壁材5を形成して
いる。壁材5の膜厚は、数十ミクロン(μm)〜数十ナ
ノメートル(nm)程度に設定してある。壁材5を形成
する高分子材料としては、ポリアミド、ポリエステル、
ポリウレタン、ポリメチルメタクリレート、ポリウレ
ア、ポリスチレン、ポリビニールアルコール等の一般的
な高分子材料を好適に使用できる。
【0011】図2において、壁材5の微細孔6内には、
両親媒性化合物から成る2分子累積膜7を埋め込んであ
る。この2分子累積膜7は、後述する様に析出による簡
便な方法によって作製できるが、このときに得られる層
構造は、図示する様な多層構造のラメラ層をなしてい
る。又、本例の2分子累積膜7は、常温下である程度の
流動性をもった液晶状態となる様に、液晶状態と結晶状
態間の相転移温度を低く設定してある。この様に、2分
子累積膜7でマイクロカプセルMCの微細孔6を被閉す
ると、分子量の低い物質に対しても高い透過バリアー性
を持たせることができる。
【0012】2分子累積膜7を構成する分子としては、
リン脂質の例えば、
【0013】
【化1】
【0014】
【化2】
【0015】ジアルキル化合物の例えば、
【0016】
【化3】
【0017】
【化4】
【0018】
【化5】
【0019】
【化6】
【0020】
【化7】
【0021】トリアルキル化合物の例えば、
【0022】
【化8】
【0023】液晶型モノアルキル化合物の例えば、
【0024】
【化9】
【0025】フルオロカーボン化合物の例えば、
【0026】
【化10】
【0027】等、種々の両親媒性化合物を使用できる。
【0028】図2に示す様に、2分子累積膜7中には、
光異性化物質8を分散会合させてある。光異性化物質8
は、特定の波長の光を吸収して分子内の結合様式或いは
電子状態に変化が生じ、この変化から例えば立体構造や
双極子モーメント或いは電荷状態等の分子物性の変化が
引き起こされる性質を備えている。その場合の光異性化
反応としては、トランス−シス異性化反応、双極イオン
生成反応、開環−閉環反応、イオン対生成反応、酸化還
元反応との複合反応、水素移動反応及び酸素付加反応等
が知られている。この発明では、それらの反応の内で、
分子の立体構造の変化を生じる異性化反応を利用する。
例えば、“トランス−シス異性化反応”は分子のコンホ
メーション変化が大きいので、特にこの発明には有用で
ある。
【0029】トランス−シス異性化反応が起きる光異性
化物質としては、アゾベンゼン
【0030】
【化11】
【0031】及びその誘導体の例えば、
【0032】
【化12】
【0033】
【化13】
【0034】
【化14】
【0035】
【化15】
【0036】
【化16】
【0037】スチルベン
【0038】
【化17】
【0039】とその誘導体の例えば、
【0040】
【化18】
【0041】
【化19】
【0042】等がある。
【0043】又、“開環−閉環反応”が起きる物質とし
ては、スピロベンゾピラン
【0044】
【化20】
【0045】とその誘導体の例えば、
【0046】
【化21】
【0047】
【化22】
【0048】フルギド類の例えば、
【0049】
【化23】
【0050】等がある。
【0051】本例では、光異性化物質としてアゾベンゼ
ンを用いる。従って、以降はアゾベンゼンのトランス−
シス異性化反応に沿って説明する。尚、この発明で光異
性化物質として利用可能な物質は、上述したもの等に限
らない。アゾベンゼンは、トランス体からシス体へ異性
化すると、図3に示す様に直線状の分子形態から屈曲し
た分子形態へ変化し、ベンゼン環8aとベンゼン環8b
との距離が9.0オングストロームから5.5オングスト
ロームに短くなることが知られている。
【0052】図4に示す様に、2分子累積膜7の中に分
散させた光異性化物質8は、ラメラ層を成す2分子累積
膜7の規則正しい分子配列状態の影響を受けてトランス
状態で会合し、図2の〔a〕に示す様に微細孔6内は全
体として密な層構造をなしている。
【0053】図1に戻り、マイクロカプセルMC内に
は、互いに混合されて発色反応を起こす反応性物質の他
方としての染料前駆体9を内蔵してある。染料前駆体9
は、通常は無色であるが、酸性物質と反応して発色する
性質をもつ色素である。この様な物質としては、ロイコ
染料が広く知られており、その内の一般的なフタリド
系、フルオラン系、トリフェニルメタン系、フェノチア
ジン系、スピロピラン系を好適に用いることができる。
具体的には、一般的な感圧紙や感熱紙等に広く用いられ
ている、クリスタルバイオレットラクトン、カルバゾリ
ルブルー、インドリルレッド、ピリジンブルー、ローダ
ミンBラクタム、マラカイトグリーン、3−ジアルキル
アミノ−7−ジアルキルアミノフルオラン、ベンゾイル
ロイコメチレンブルー、等が挙げられる。
【0054】カプセル内相には、他に、染料前駆体9の
化学的性質を調整する為の各種の補助的物質10も混合
してある。例えば、染料前駆体9がロイコ染料の場合、
補助的物質10として、ロイコ染料を溶解・分散させる
為の溶媒である蒸留水やベンゼン、トルエン、アルキル
ナフタレン、ビフェニル類、パラフィン類等の有機溶剤
が使用できる。更に、カプセル内相の溶液に適切な粘性
を付与する為、市販の各種ワックスや樹脂ポリマーを混
入してある。
【0055】以上の様に、カプセル内相には、染料前駆
体9とその補助的物質10及びその他の物質を混合・分
散させて封入してある。
【0056】ここで、マイクロカプセルMCの製造方法
について説明する。先ず、殻状をなす壁材内にターゲッ
ト物質を含むカプセル内相物質を内包したマイクロカプ
セル中間体を製造する。この中間体製造方法としては、
界面重合法、in−situ(インサイチュ)重合法、
コア・セルベーション法等が利用できる。
【0057】次に、2分子累積膜材料の両親媒性化合物
と光異性化物質を溶かしたアルカン溶液を加熱し、この
溶液中に上述のマイクロカプセル中間体を投入する。数
分間放置して自然冷却させると、壁材内の水相と壁材外
のアルカン相との界面に2分子膜が析出し、壁材の微細
孔部に累積した2分子膜が埋め込まれ、マイクロカプセ
ルが出来上がる。尚、壁材中の微細孔に予め両親媒性化
合物で2分子累積膜を形成しておき、これに光異性化物
質を吸着させる方法によっても、マイクロカプセルを製
造可能である。
【0058】図1に戻って、マイクロカプセルMCの外
相となる結着樹脂2中に分散混合させてある顕色剤3
は、発色反応を起こす反応性物質の一方であり、反応性
物質の他方であるカプセル内相の染料前駆体9と混合さ
れて発色する。染料前駆体9がロイコ染料である場合、
顕色剤3としては、αナフトール、βナフトール、ビス
フェノールA等のフェノール類、サリチル酸亜鉛誘導
体、芳香族カルボン酸金属塩等の酸性物質が使用でき
る。
【0059】又、補助的物質4は、カプセル内相の補助
的物質10と同様に顕色剤3の物性を調整する為の各種
物質であり、例えば顕色剤3を溶解・分散させる為の溶
媒となる蒸留水やベンゼン、トルエン等の有機溶媒等が
これにあたる。本例では、前述した様に常温下でゲル化
している結着樹脂2中に顕色剤3及び補助的物質4を分
散させてある。
【0060】上述の様に構成したモノカラー光記録紙を
用いる光記録方法について、以下に説明する。図5は、
モノカラー光記録紙におけるマイクロカプセル含有剤C
C中の物質拡散動作を示す模式的説明図で、図6は本例
の光記録方法を実施する為の光記録装置の概略構成を示
す構成説明図である。図5において、常温下における初
期状態(ST1)では、基材紙1上に被着してあるマイク
ロカプセル含有剤CCが熱的に安定した状態にある。即
ち、図2の〔a〕に示す様に、2分子累積膜7に分散会
合させてある光異性化物質8が、2分子累積膜7の表面
圧を緩和する様な分子形態で安定している。本例では光
異性化物質8としてアゾベンゼン誘導体を用いており、
このアゾベンゼン誘導体は、初期状態では直線状分子形
態のトランス状態で安定している。即ち、2分子累積膜
7は液晶状態をなしているから表面圧が比較的低く、且
つ、光異性化物質8のアゾベンゼン誘導体がトランス状
態にあるから、図示する様に2分子累積膜7中のどの場
所も緻密な膜構造をなしている。従って、初期状態にお
ける2分子累積膜7の物質透過性は低い。又、このと
き、カプセル内相の染料前駆体9と外相(結着樹脂2
中)の顕色剤3はカプセル膜Cfを介して隔離されてい
るから発色せず、マイクロカプセル含有剤CC全体が透
明をなしている。
【0061】又、2分子累積膜7は、一般に温度の上昇
と共に結晶(ゲル)状態から液晶状態に相転移する特性
を有しており、相転移温度Tc以下の結晶状態において
より高い物質透過に対するバリアー性を示す。本例で
は、2分子累積膜が常温環境下において液晶状態をなす
様に、2分子累積膜の材料として、その相転移温度Tc
が常温より低い材料を選定してある。従って、2分子累
積膜7は、常温の環境温度の下では、液晶状態に在って
物質透過に対するバリアー性が低い為、光を照射しない
初期状態(ST1)においても小さい物質透過性を示す。
但し本例では、カプセル外相全体がゲル化した結着樹脂
2により非流動状態に保持されているから、内相の染料
前駆体9と外相の顕色剤4が2分子累積膜7を通じて相
互に拡散する現象(物質の相互拡散)が殆ど発生しな
い。尚、両親媒性化合物から成る2分子累積膜7の相転
移温度Tcは、材料の選定等により15℃から60℃の
間の範囲に設定可能である。
【0062】被着されたマイクロカプセル含有剤CCが
上述の初期状態に在るモノカラー光記録紙Pに対し、記
録情報に対応させて第1の光R1を照射し、光記録を行
なう(ST2)。第1の光R1は、波長がν1のスペクトル
成分光を含む光であり、図6に示す様に、光書込みプリ
ンタの光書込みヘッド11から、記録紙搬送路12に沿
って搬送される本例のモノカラー光記録紙に向けて照射
される。この第1の光R1の照射により、図2におい
て、その波長がν1の成分光を光異性化物質8が吸収し
て分子の立体構造をトランス状態からシス状態へ変化さ
せる。その結果、光異性化物質8が2分子累積膜7中に
おいて占有するスペースが増し、付近の分子層が圧縮さ
れて2分子累積膜7の表面圧が上昇する。
【0063】本例の様に光異性化物質8としてアゾベン
ゼン誘導体を用いる場合、波長ν1に相当する光は紫外
領域光となる。従って、図6に示す光書込みヘッド11
として、レーザー光源、光変調機、スキャニング装置及
び集光光学系等から成るレーザー記録ヘッドを用いる場
合は、紫外線レーザーを第1の光R1として照射すれば
よい。この様な紫外領域光を成分とする第1の光R1を
照射すると、図4に示す様に、アゾベンゼン誘導体8の
アゾベンゼン結合部位が、直線状の分子形態をとるトラ
ンス状態から屈曲型の分子形態をとるシス状態に異性化
する。アゾベンゼン誘導体8はトランス体よりシス体の
方が大きいスペースを占有するので、アゾベンゼン誘導
体8のシス状態への異性化により2分子累積膜7の表面
圧が上昇し、膜構造がアゾベンゼン誘導体8の周辺で大
きく乱れた形態となる。その結果、2分子累積膜7のカ
プセル内外相の物質分子に対する透過性が増大する。こ
れは、物質分子が膜構造の乱れた部分、即ちアゾベンゼ
ン誘導体8の周辺を通過し易くなる為と考えられる。
【0064】アゾベンゼン結合部位のトランス−シス異
性化は、所要時間が10のマイナス7乗からマイナス8
乗sec程度と極めて短かく高速度で進行するが、この
後、分子鎖全体が屈曲したり周囲の2分子累積膜7の層
を圧縮したりする緩和過程が比較的ゆっくり進むので、
2分子累積膜7の物質透過性の変化には、約10のマイ
ナス3乗sec程度の応答時間が必要となる。しかし、
緩和過程は光を照射しなくても進行するから、2分子累
積膜7の物質透過性は、照射時間が非常に短く上述した
光異性化所要時間程度であるパルス光に対しても充分正
確に応答して変化する。従って、高速度光記録にも充分
対応できる。
【0065】又、第1の光R1の照射強度を制御するこ
とにより、2分子累積膜7中に含まれる全ての光異性化
物質分子の内で実際に光異性化を起こす分子の量を制御
することができる。即ち、光照射の強度を制御すること
により、2分子累積膜7の乱れの度合いを制御し、2分
子累積膜7の物質透過性を自在に制御できる。これによ
り、単なる光の点滅制御による単一濃度の記録画像だけ
でなく、次に述べる様に、濃度階調性を備えたモノカラ
ー記録画像も容易に得ることができる。尚、波長がν1
の成分光を含まない光が照射されても上述の光異性化は
進行しないから、波長がν1の成分光を含まない光の照
明の下で、上述の光照射による物質透過制御、即ち光記
録を、容易且つ正確に実施できる。
【0066】図5に示した光記録段階(ST2)では、4
ビットの記録データに対応した4ドットを形成する状態
を示しており、各ドットに夫々1個のマイクロカプセル
MC1〜MC4を模式的に対応させてある。この場合、マ
イクロカプセルMC1に対応するドットを形成する第1
の光(ドット光)R1の強度が最も大きく、マイクロカ
プセルMC2,MC3の各対応ドットになるに従い各ドッ
ト光R1の照射強度(図面では白抜き矢印の長さで示
す)が小さくなっている。マイクロカプセルMC4に対
応するドットは白ドットで、従って対応ドット光が照射
されていない。図5の(ST2)では、対応ドット光R1の
照射強度が最も大きいマイクロカプセルMC1のカプセ
ル膜Cfの乱れ度合いが最も大きく、従って物質透過性
が最も増加し、ドット光R1の照射強度の低下に応じて
マイクロカプセルMC2,MC3の物質透過性の増加度合
いも小さくなっていることがわかる。マイクロカプセル
MC4は、ドット光R1が照射されていないから初期状態
(ST1)と同様で物質透過性が殆ど無い状態のままであ
る。
【0067】上述の様に各マイクロカプセルMC1〜M
C4の物質透過性が変化しても、カプセル外相(結着樹
脂2)がゲル状態となっているから、内相の染料前駆体
9と外相の顕色剤3の2分子累積膜を介した相互拡散は
開始されない。即ち、(ST2)の状態は、表面上は視認
できない記録データに応じた潜像が形成された状態と見
做せる。
【0068】光記録後、適長時間の緩和過程を経てモノ
カラー光記録紙Pを加熱する。この場合、カプセル外相
の顕色剤3が拡散移動できる程度に結着樹脂2が低粘度
化する温度まで加熱する。この加熱温度は、モノカラー
光記録紙Pの使用環境等を考慮して少なくとも80℃以
上に設定するのが良い。この様にモノカラー光記録紙P
を加熱すると、カプセル外相物質の顕色剤3とマイクロ
カプセルMC1〜MC3に内蔵してある各染料前駆体9が
各カプセル膜Cfを介して相互に拡散を開始する(ST
3)。その結果、染料前駆体9と顕色剤3が化学反を起
こし色素が形成される。即ち、潜像が視認可能なモノカ
ラー顕像に現像され始める。
【0069】ところで、光記録段階(ST2)においてシ
ス状態に異性化した光異性化物質のアゾベンゼン誘導体
は、長期的には2分子累積膜の表面圧を緩和する様にト
ランス状態へ復帰するが、短時間では安定してシス状態
を保っている。即ち、光を照射しない(無照射)条件下
でも、2分子累積膜はアゾベンゼン誘導体がシス化した
乱れた膜構造を保持して大きい物質透過性を維持してい
る。従って、加熱による現像を実施する間、時間の経過
と共にカプセル外相の顕色剤3がカプセル内相へ拡散す
る量が多くなり、この内相に拡散した顕色剤3が既存の
染料前駆体9と発色化学反応を起こして色素13を生成
するから、マイクロカプセルMC1〜MC3が次第に発色
濃度を増していく(ST4)。又、カプセル内相に在った
染料前駆体9も外相へ拡散し、外相に在る顕色剤3と発
色化学反応を起こして同様の色素を生成するが、カプセ
ル内相物質より粘度の高い結着樹脂2により生成色素1
3の拡散距離が制限される。その結果、発色領域は、マ
イクロカプセルMC1〜MC3とその周辺に限定され、各
ドットが明瞭に形成されて記録画像の解像度が向上す
る。
【0070】ここで、染料前駆体9や顕色剤3等のカプ
セル内、外相の各物質分子の拡散量は、2分子累積膜7
を透過する分子のサイズやカプセル内外の圧力値等によ
っても異なるが、2分子累積膜7の乱れの度合いによっ
て大きく異なる。従って、前述した様に、2分子累積膜
の乱れ度合いが最も大きいのは、第1の光R1を最も強
く照射したドットに対応するマイクロカプセルMC1で
あるから、このマイクロカプセルMC1に係わる物質の
相互拡散が最も活発に行なわれ、発色濃度が最も高い。
そして、第1の光R1の照射強度の順にマイクロカプセ
ルMC2,MC3と段階的に発色濃度が低下する。この様
にして、濃度階調性を備えたモノカラー記録画像が得ら
れる。
【0071】上述した加熱現像工程(ST3,4)を実施す
る手段としては、ヒートローラやサーマルヘッドに類似
した薄膜/厚膜ライン状ヒータ等を好適に利用できる。
本例では、図6に示す様に、ヒートローラ14を光記録
ヘッド11の下流側に配設してある。
【0072】図5において、加熱され記録画像が顕像化
したモノカラー光記録紙Pは、次に、光照射による定着
作用を受ける。図5の(ST4)に示す様に発色反応が進
行し所望の発色濃度が得られたモノカラー光記録紙Pに
対し、波長がν2の成分光を含む第2の光R2を照射する
(ST5)。これにより、カプセル膜Cf1〜Cf3の光異性
化物質が波長ν2の成分光を吸収し、元の分子構造(第
1の光R1を照射する前の)に戻る。
【0073】光異性化物質がアゾベンゼン誘導体の場
合、可視領域光が波長ν2の光に相当する。従って、可
視領域光を第2の光R2として所望の発色濃度が得られ
たモノカラー光記録紙Pに照射すれば、アゾベンゼン結
合部位がシス状態からトランス状態に逆変化し、分子形
態が屈曲型から直線型に復帰する。これにより、図2の
〔a〕に示す様に、分子累積膜7も元の整然として緻密
な膜構造に戻り、物質透過性が初期状態と同程度に低く
なる。その結果、染料前駆体9と顕色剤3の物質示す様
に可視光を照射するランプを内蔵した光定着器15を加
熱現像手段であるヒートローラ14の下流側に配設して
ある。この場合、2分子累積膜の乱れ度合いの大きいマ
イクロカプセル程、元の分子形態に戻す為に第2の光R
2を強く照射する必要がある。従って、各ドットに対す
る第2の光R2の照射強度を少なくとも第1の光の照射
強度に対応させる必要がある。しかし、第2の光R2を
過剰に照射しても画像定着上で支障はないから、実用上
は一律に第2の光R2を適度に過剰な強度で照射する仕
様とすればよい。これにより、光定着器15が簡単な装
置で済む。
【0074】光定着を終え記録画像が完成したモノカラ
ー光記録紙は、この後機外に排出される。尚、第1の光
R1の照射(光記録ヘッド11による光記録段階)から
光定着器15による第2の光R2の照射までの時間によ
って物質分子の総拡散量が決まるから、この間隔時間、
即ち光定着器15の配設位置やモノカラー光記録紙の搬
送速度を変えることによっても、マイクロカプセル含有
剤の発色濃度を制御することができる。
【0075】<第2実施例>本例では、マイクロカプセ
ル含有剤を塗工したフルカラー光記録紙を用いて光記録
を行なう。従って、図7に示す様に、3原色に対応させ
て3種類のマイクロカプセルMCy,MCm,MCcを使
用する。これら3種類のマイクロカプセルMCy,MC
m,MCcは、夫々、各カプセル膜Cfの光応答性に係わ
る構成が異なっている。即ち、各カプセル膜Cfに夫々
埋め込んだ2分子累積膜(不図示)には、夫々、応答す
る光の波長が各々異なる光異性化物質(不図示)を分散
会合させてある。そして、マイクロカプセルMCy,M
Cm,MCcの各内相には、夫々、発色能が各々異なる染
料前駆体16a,16b,16c及び同一の補助的物質
(不図示)を配してある。即ち、染料前駆体16aはイ
エロー、染料前駆体16bはマゼンタ、染料前駆体16
cはシアン、に夫々発色する能を有している。そして、
これらマイクロカプセルMCy,MCm,MCcと顕色剤
(不図示)及び補助的物質等を結着樹脂2中に分散混合
し、本例のフルカラー記録用マイクロカプセル含有剤C
Cfを構成してある。顕色剤としては、各カプセル内相
に配した3種類の染料前駆体16a,16b,16c全
てに対して均一に良好な発色能を有するものを選定す
る。尚、上述した2分子累積膜、光異性化物質、染料前
駆体16、内相の補助的物質、顕色剤及び外相の補助的
物質に用いる各具体的物質としては、第1実施例で挙げ
た物質で好適なものを選定して用いることができる。
【0076】上述の様な構成のマイクロカプセル含有剤
CCfを基材紙1上に被着し、フルカラー光記録紙Pfを
形成してある。このフルカラー光記録紙Pfを図8に示
す光記録装置で用い、フルカラー記録画像を得る。この
フルカラー光記録装置には、3基の第1光源17a,1
7b,17cから成るフルカラー記録ヘッド17を設置
してある。これら第1光源17a,17b,17cは、
3種類の光異性化物質を夫々光異性化可能な波長ν1a,
ν1b,ν1cの各成分光を含む第1の光R1a,R1b,R1c
を、フルカラー記録データに応じて夫々照射する。本例
では、第1の光R1aをイエロー画素に、R1bをマゼンタ
画素に、R1cをシアン画素に、夫々対応させてある。
【0077】又、加熱現像手段としてのヒートローラ1
8の下流側に、光定着手段として、第2光源19aを備
えた光定着器19を設置してある。この光定着器19内
の第2光源19aは、3種類の光異性化物質を夫々第1
の光R1とは逆に光異性化する(元の構造に戻す)波長
ν2a,ν2b,ν2cの各成分光を全て含む可視光の第2の
光R2を照射する。その他の構成は、図6に示すモノカ
ラー記録装置と同様である。
【0078】次に、上述の様に構成したフルカラー光記
録紙及び記録装置を用いる光記録方法について説明す
る。本例の方法も、第1実施例(図5参照)と同様、熱
的に安定な初期段階、第1の光照射による光記録段階、
加熱現像開始段階、現像進行段階及び第2の光照射によ
る光定着段階の5段階からなる。図7は、その内の光記
録段階から加熱現像段階に至るマイクロカプセル含有剤
CCfの状態変化を示す模式的説明図である。
【0079】初期段階におけるマイクロカプセル含有剤
の状態は、第1実施例の場合と同様の状態であり、3種
類のマイクロカプセルMCy,MCm,MCc(図7参
照)の各2分子累積膜は液晶状態となっている。
【0080】次いで、図7の〔a〕に示す様に、フルカ
ラー記録データに応じ3種類の第1の光R1a,R1b,R
1cをマイクロカプセル含有剤CCfに照射して光記録を
行なう。このとき、カプセル外相は第1実施例と同様に
ゲル状態となっている為、光記録を行なってもマイクロ
カプセルMCy,MCm,MCcの各カプセル膜における
2分子累積膜が選択的に乱されるだけで、染料前駆体1
6a,16b,16cと顕色剤(不図示)の相互拡散は
開始されない。
【0081】光記録を行なった後、加熱による現像を実
施する。これにより、図7の〔b〕に示す様に、第1の
光R1aを照射した1ドット領域では、緩和過程を経てマ
イクロカプセルMCyの2分子累積膜が選択的に乱され
て物質透過性が大きくなり、そのカプセル内相の染料前
駆体16aと外相の顕色剤が2分子累積膜を透過して互
いに拡散し始める。その結果、染料前駆体16aと顕色
剤とが発色反応を起こし、イエロー色素20aが生成す
る。同様に、第1の光R1bを照射した1ドット領域では
マゼンタ色素20bが、第1の光R1cを照射した1ドッ
ト領域ではシアン色素20cが、夫々生成する。この場
合、カプセル外相にもそれら3種類の色素が生成される
が、第1実施例の場合と同様に各染料前駆体16a,1
6b,16cの拡散が結着樹脂2により制約される為、
各色素20a,20b,20cはその素となる染料前駆
体16a,16b,16cが元々存在していたマイクロ
カプセル近傍にのみ生成する。
【0082】図7の〔c〕は1ドット領域に3種類の第
1の光R1a〜R1cを重ねて照射した状態を示したもの
で、全てのマイクロカプセルMCy,MCm,MCcの各
カプセル膜が乱されて各内相の染料前駆体16a,16
b,16cと顕色剤の相互拡散が進行し、3種類の色素
(3原色)20a,20b,20cが生成して全体とし
て黒ドットが形成されている。この様に、3種類の第1
の光R1a〜R1cの種類と強度をフルカラー記録画像デー
タに応じて選択制御しつつ1ドット領域に多重照射する
ことにより、所望の色彩と色濃度を備えたフルカラー記
録画像が得られる。
【0083】図8において、加熱現像器18による現像
工程を経て上述の様に所望の色彩と色濃度の記録画像が
得られたフルカラー光記録紙を光定着器19の配設位置
に搬送し、光定着を行なう。この場合、光定着器19内
の第2光源19aにより夫々波長が夫々ν2a,ν2b,ν
2cの成分光を全て含む第2の光R2をフルカラー光記録
紙上に照射する。これにより、マイクロカプセルMC
y,MCm,MCcの各2分子累積膜に分散会合してある
各光異性化物質が逆異性化し元の分子立体構造に戻る。
その結果、各2分子累積膜も元の整然として緻密な膜構
造に戻り、カプセル内外相の染料前駆体と顕色剤の相互
拡散が停止し、発色反応が終了する。この様にして、所
望の微妙な色彩と色濃度を有するフルカラー記録画像を
容易且つ正確に得ることができる。
【0084】<第3実施例>本例は、第1実施例の変形
方法であり、図5に示した第1実施例では、各マイクロ
カプセルMCの2分子累積膜が初期状態から液晶状態に
在ったが、本例の方法では初期状態における2分子累積
膜を結晶状態にしておく。この為には、前述した様に、
2分子累積膜を構成する両親媒性化合物の相転移温度T
cを環境温度より高く設定すればよい。その他のモノカ
ラー光記録紙に関する構成は、第1実施例と同一であ
る。これにより、2分子累積膜は初期段階からゲル状態
(結晶状態)となって分子透過に対しより高いバリアー
性を備えている為、初期段階におけるカプセル膜の物質
透過性は極めて小さい。従って、カプセル膜の内外相に
夫々存在する染料前駆体と顕色剤がより確実に隔離さ
れ、光照射のない初期段階においてカプセル膜を微量の
物質分子が透過する“漏れ”による発色反応をより確実
に防止することができる。
【0085】結晶状態の2分子累積膜を有するマイクロ
カプセルに対し、第1実施例と同一の第1の光を照射し
て光記録を行なう。この光照射により、2分子累積膜中
に分散させてある光異性化物質が分子立体構造の変化を
起こそうとするが、結晶状態にある2分子累積膜により
阻止され、膜構造の乱れが十分に発生せず2分子累積膜
の物質透過性が殆ど増大しない。この現象は、第1の光
の強度を変えても同様である。従って、強光照射及び弱
光照射の何れのドットにおいても、第1の光の照射した
後もカプセル膜は乱れず物質透過性は極めて小さいまま
である。又、第1実施例と同様にカプセル外相の結着樹
脂がゲル状態であるから、外相の顕色剤が拡散移動し難
い。よって、発色反応の開始がより確実に阻止される。
【0086】次に、上述の光記録が施されたモノカラー
光記録紙を加熱して記録画像の現像を行なう。この場
合、2分子累積膜の相転移温度Tc以上に加熱し、2分
子累積膜を液晶状態に相転移させる。これにより、2分
子累積膜の物質透過性が増大すると共に、結着樹脂等の
カプセル外相物質の粘度が下って流動性が増し、染料前
駆体と顕色剤が夫々カプセル膜を透過して相互に拡散
し、発色反応が開始する。モノカラー光記録紙が所望の
濃度に発色したら、第2の光R2を照射する。これによ
り光異性化がもとのトランス状態に戻るが2分子累積膜
は液晶状態のままであるから、2分子累積膜の物質透過
性は図5に示す第1実施例の初期段階(ST1)と同程度
に低下するだけで元の初期段階程度までは低下しない。
しかし、2分子累積膜がこの様な状態でも染料前駆体と
顕色剤の物質相互拡散が略阻止され、発色反応は停止す
る。尚、第2の光を照射する代りに、マイクロカプセル
含有剤の温度を相転移温度Tc以下に下げることによっ
ても、発色反応を停止させることができる。この場合、
2分子累積膜が結晶状態に戻るだけであるから、その物
質透過性が第1の光照射段階と同程度まで低下して発色
反応が停止する。
【0087】以上の様に、この第3実施例の方法によれ
ば、初期段階における物質の“漏れ”透過をより確実に
防止して、記録データに正確に対応したモノカラー記録
画像を得ることができる。又、相転移温度Tc以上に加
熱したときにのみ発色反応が開始されるから、より色変
化を緻密に制御し易い。
【0088】<第4実施例>本例の方法は、第3実施例
の構成をベースとし、更に、カプセル内相物質として配
してある補助的物質の選定を適切に行ない、カプセル内
相の粘性が急激に低下する温度を、高く設定してある2
分子累積膜の相転移温度Tc近辺に設定するものであ
る。第1実施例で述べた様に、カプセル内相の補助的物
質には、カプセル内相の溶液に適度な粘性を与える為の
粘度調整物質も含まれている。この粘度調整物質とし
て、本例では環境温度の上昇と共に粘性が急激に低下す
るポリマーレジンやワックスを用いる。
【0089】これにより、常温の環境温度の下では、カ
プセル内相物質の粘性が高い為、そこに含まれている染
料前駆体が拡散し難く、又、外相物質の結着樹脂等もゲ
ル状態となっている為、染料前駆体と顕色剤が第3実施
例の場合より更に確実に隔離される。更に、2分子累積
膜も結晶状態である。よって、光を照射しない初期段階
にカプセル膜を物質分子が微量透過する“漏れ”による
発色反応を、より完全に防止することができる。
【0090】第3実施例と同様に、第1の光を照射した
光記録を行なった後、モノカラー光記録紙を2分子累積
膜の相転移温度Tc以上に加熱する。この際、カプセル
内相物質に上述した粘性調整物質が補助的物質として含
まれているが、温度を上げることにより粘性が急激に低
下するから、染料前駆体と顕色剤の相互拡散に悪影響を
及ぼすことはない。以降の手順と反応動作は、第1実施
例と同様である。
【0091】以上の様に、本例によれば、第3実施例と
同様に光だけでなく温度によっても発色反応を容易に制
御でき、且つ、初期段階における物質分子の“漏れ”透
過による発色反応をより完全に防止できる利点が得られ
る。
【0092】以上、この発明を4通りの実施例に基づき
詳細に説明したが、この発明は、これらの特定の実施例
等に限定されるものではなく、この発明の技術的範囲に
おいて種々の変形が可能であることは勿論である。例え
ば、第1実施例では、カプセル内相に染料前駆体、カプ
セル外相に顕色剤を配したが、逆に、カプセル内相に顕
色剤、カプセル外相に染料前駆体を配してもよい。この
場合にも、緻密に記録画像の濃度を制御できる同様のモ
ノカラー光記録紙を得ることができる。
【0093】
【発明の効果】以上、詳細に説明した様に、この発明に
よれば、互いに混合されて発色反応を起こす反応性物質
の一方と、この反応物質の他方を内蔵し、特定波長の光
照射に応じてカプセル膜の物質透過性が変化するマイク
ロカプセルとを結着樹脂中に分散混合させて成るマイク
ロカプセル含有剤を、支持シート表面に被着することに
より、高解像度のモノカラー記録画像を簡単な装置で正
確に光記録可能な光記録シートを提供することができ
る。又、結着樹脂中に応答する光の波長が異なる複数種
類のマイクロカプセルを分散含有させることにより、高
解像度のフルカラー記録画像を簡単な装置で光記録可能
な光記録シートが得られる。そして、その様な光記録シ
ートを用い、記録データに応じて光の点滅と照射強度を
制御することにより、濃度階調性を備えた高解像度のフ
ルカラー記録画像をも簡単な装置で安価に得ることが可
能となる。更に、上記特定波長を備える光以外の光では
カプセル膜の物質透過性は変化しないので、通常光の照
明下においても発色反応を緻密に制御でき、光記録装置
の構造が簡単となる。加えて、光照射はパルス光を照射
する程度の極めて短い時間で十分であるから、フルカラ
ー記録画像の高速記録が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施例としてのモノカラー光記録
紙の構成を示す模式的断面図である。
【図2】上記モノカラー光記録紙に塗着したマイクロカ
プセル含有剤におけるカプセル膜の詳細構成を示す模式
的断面図である。
【図3】上記カプセル膜中の光異性化物質の異性化反応
を示す説明図である。
【図4】上記異性化物質を含む2分子累積膜の異性化構
造を示す説明図である。
【図5】上記モノカラー光記録紙を用いた光記録方法に
おけるマイクロカプセル含有剤の状態変化を段階的に示
す模式的断面図である。
【図6】上記光記録方法を実施する光記録装置の概略構
成を示す模式的説明図である。
【図7】この発明の他の実施例としてのフルカラー光記
録紙を用いた光記録方法におけるマイクロカプセル含有
剤の状態変化を段階的に示す模式的断面図である。
【図8】上記フルカラー記録方法を実施する光記録装置
の概略構成を示す模式的説明図である。
【符号の説明】
1 基材紙 2 結着樹脂 3 顕色剤 4 補助的物質(外相) 5 壁材 6 微細孔 7 2分子累積膜 8 光異性化物質 9,16a,16b,16c 染料前駆体 10 補助的物質(内相) 11 光記録ヘッド 12 記録紙搬送経路 13 色素 14,18 ヒートローラ 15,19 光定着器 17 フルカラー記録ヘッド 17a,17b,17c 第1光源(フルカラー記録ヘ
ッドの) 20a イエロー色素 20b マゼンタ色素 20c シアン色素 CC マイクロカプセル含有剤(モノカラー) CCf マイクロカプセル含有剤(フルカラー) Cf カプセル膜 MC1,MC2,MC3 マイクロカプセル(モノカラ
ー) MCy,MCm,MCc マイクロカプセル(フルカラ
ー) P モノカラー光記録紙 Pf フルカラー光記録紙 R1,R1a,R1b,R1c 第1の光 R2 第2の光

Claims (16)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 光の照射を受けて物質透過性を変化させ
    るカプセル膜を備えたマイクロカプセルを結着樹脂中に
    分散混合して成るマイクロカプセル含有剤を、支持シー
    ト表面に被着して形成した光記録シートであって、前記
    カプセル膜が特定波長の光を受けて異性化する光異性化
    物質を含む2分子膜を有し、前記結着樹脂中に互いに混
    合されて発色反応を起こす反応性物質の一方を分散混合
    すると共に、前記マイクロカプセル内に前記反応性物質
    の他方を内蔵し、前記特定波長の光の照射により、前記
    光異性化物質が分子立体構造を変化させて前記カプセル
    膜の物質透過性が増大し、前記反応性物質が互いに拡散
    混合して発色反応が起きることを特徴とする色変化マイ
    クロカプセル含有剤を被着した光記録シート。
  2. 【請求項2】 前記結着樹脂中に分散混合した前記反応
    性物質の一方を顕色剤とし、前記マイクロカプセルに内
    蔵する前記反応物質の他方を染料前駆体とする請求項1
    記載の光記録シート。
  3. 【請求項3】 前記結着樹脂中に分散混合した前記反応
    性物質の一方を染料前駆体とし、前記マイクロカプセル
    に内蔵させる前記反応性物質の他方を顕色剤とする請求
    項1記載の光記録シート。
  4. 【請求項4】 前記マイクロカプセル含有剤が、前記特
    定波長が互いに異なる光異性化物質を備えたカプセル膜
    から成り、内蔵する染料前駆体の種類が互いに異なる複
    数種類のマイクロカプセルを含有する請求項2記載の光
    記録シート。
  5. 【請求項5】 前記2分子膜の材料として常温で液晶状
    態となる相転移温度を備える材料を選定した請求項1乃
    至4記載の光記録シート。
  6. 【請求項6】 前記2分子膜の材料として常温で結晶状
    態となる相転移温度を備える材料を選定し、前記2分子
    膜に前記特定波長の光を照射すると共に加熱して物質透
    過性を増大させる請求項1乃至4記載の光記録シート。
  7. 【請求項7】 温度の上昇と共に粘度が急激に低下する
    物性を備え、該粘度低下温度が前記2分子膜の相転移温
    度に充分近い物質を前記マイクロカプセルに内蔵させる
    請求項6記載の光記録シート。
  8. 【請求項8】 温度の上昇と共に粘度が急激に低下する
    物性を備え、該粘度低下温度が前記2分子膜の相転移温
    度に充分近い物質を前記結着樹脂中に分散混合した請求
    項6記載の光記録シート。
  9. 【請求項9】 互いに混合されて発色反応を起こす反応
    性物質の一方と、特定波長の光を受けて異性化する光異
    性化物質を含む2分子膜を有するカプセル膜を備え、前
    記反応性物質の他方を内蔵するマイクロカプセルとを、
    結着樹脂中に分散混合して成るマイクロカプセル含有剤
    を、支持シート表面に被着して成る光記録シートを用い
    る光記録方法であって、前記特定波長の光を含む画像光
    を記録情報に応じて前記光記録シート上のマイクロカプ
    セル含有剤に照射し、前記2分子膜の物質透過性を増大
    させて前記反応性物質の相互拡散による発色反応を生じ
    させ、前記光記録シート上に記録画像を形成することを
    特徴とする色変化マイクロカプセル含有剤を被着した光
    記録シートを用いる光記録方法。
  10. 【請求項10】 前記結着樹脂中に分散混合した前記反
    応性物質の一方を顕色剤とし、前記マイクロカプセルに
    内蔵させる前記反応物質の他方を染料前駆体とする請求
    項9記載の光記録方法。
  11. 【請求項11】 前記結着樹脂中に分散混合した前記反
    応性物質の一方を染料前駆体とし、前記マイクロカプセ
    ルに内蔵させる前記反応性物質の他方を顕色剤とする請
    求項9記載の光記録方法。
  12. 【請求項12】 前記マイクロカプセル含有剤が、前記
    特定波長が互いに異なる光異性化物質を備えたカプセル
    膜から成る複数種類のマイクロカプセルを含有し、前記
    特定波長が互いに異なる複数種類の光を記録情報に応じ
    て照射する請求項9又は10記載の光記録方法。
  13. 【請求項13】 前記2分子膜の材料として常温で液晶
    状態となる相転移温度を備える材料を選定した請求項9
    乃至12記載の光記録方法。
  14. 【請求項14】 前記2分子膜の材料として常温で結晶
    状態となる相転移温度を備える材料を選定し、前記2分
    子膜に前記特定波長の光を照射すると共に加熱して物質
    透過性を増大させる請求項9乃至12記載の光記録方
    法。
  15. 【請求項15】 温度の上昇と共に粘度が急激に低下す
    る物性を備え、該粘度低下温度が前記2分子膜の相転移
    温度に充分近い物質を前記マイクロカプセルに内蔵させ
    る請求項14記載の光記録方法。
  16. 【請求項16】 温度の上昇と共に粘度が急激に低下す
    る物性を備え、該粘度低下温度が前記2分子膜の相転移
    温度に充分近い物質を前記結着樹脂中に分散混合した請
    求項14記載の光記録方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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