JP2979160B2 - 色変化マイクロカプセル含有剤を被着した光記録シートとそれを用いる光記録方法 - Google Patents
色変化マイクロカプセル含有剤を被着した光記録シートとそれを用いる光記録方法Info
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Description
【0001】
【発明の技術分野】この発明は、物質分子の拡散透過性
を光刺激によって制御可能な光応答性複合膜から成るマ
イクロカプセルを用いた光記録紙とその光記録方法に関
し、より詳細には、色変化マイクロカプセルを用いてフ
ルカラー記録画像を形成可能な光記録紙とその光記録方
法に関するものである。
を光刺激によって制御可能な光応答性複合膜から成るマ
イクロカプセルを用いた光記録紙とその光記録方法に関
し、より詳細には、色変化マイクロカプセルを用いてフ
ルカラー記録画像を形成可能な光記録紙とその光記録方
法に関するものである。
【0002】
【従来技術とその問題点】従来、フルカラー記録が可能
な記録方式として、電子写真方式、熱転写方式、インク
ジェット方式、光応答性マイクロカプセル方式或いは熱
現像銀塩方式等、種々の方式が提案され、又実用に供さ
れている。
な記録方式として、電子写真方式、熱転写方式、インク
ジェット方式、光応答性マイクロカプセル方式或いは熱
現像銀塩方式等、種々の方式が提案され、又実用に供さ
れている。
【0003】ところで、フルカラー記録画像に要求され
る主な品質としては、解像度、濃度階調性、色純度、色
重ね度等が挙げられる。又、記録装置の性能として、記
録スピードが速いこと、音が静であること、ランニング
コストが安いこと、小型で軽量なこと、普通紙及び再生
紙を使用できること、メンテナンスフリーであること等
が要求されている。
る主な品質としては、解像度、濃度階調性、色純度、色
重ね度等が挙げられる。又、記録装置の性能として、記
録スピードが速いこと、音が静であること、ランニング
コストが安いこと、小型で軽量なこと、普通紙及び再生
紙を使用できること、メンテナンスフリーであること等
が要求されている。
【0004】然るに、上述の要求項目を大略満たすフル
カラー記録装置は、未だ実現されていない。例えば、熱
転写方式では記録紙の他にトナーやインク等の現像剤を
担持するフィルムを別に用意する必要がある為、装置が
大型化し且つメンテナンス作業性及びランニングコスト
の点で劣る。又、圧力定着型カプセルトナーを使用する
方式では、極めて大きな圧力を加える必要がある為に装
置が大型化するという問題を抱えている。
カラー記録装置は、未だ実現されていない。例えば、熱
転写方式では記録紙の他にトナーやインク等の現像剤を
担持するフィルムを別に用意する必要がある為、装置が
大型化し且つメンテナンス作業性及びランニングコスト
の点で劣る。又、圧力定着型カプセルトナーを使用する
方式では、極めて大きな圧力を加える必要がある為に装
置が大型化するという問題を抱えている。
【0005】
【発明の目的】この発明は、上述した従来技術の問題点
に鑑みなされたものであって、簡単な装置により高解像
度で濃度階調性を備えた高品質のフルカラー記録画像を
メンテナンスフリーで安価に得ることが可能な光記録シ
ートとそれを用いる光記録方法を提供することを目的と
する。
に鑑みなされたものであって、簡単な装置により高解像
度で濃度階調性を備えた高品質のフルカラー記録画像を
メンテナンスフリーで安価に得ることが可能な光記録シ
ートとそれを用いる光記録方法を提供することを目的と
する。
【0006】
【発明の要点】この発明の要点は二点あり、その内の一
点は、上述した目的が、光の照射を受けて物質透過性を
変化させるカプセル膜を備えたマイクロカプセルを結着
樹脂中に分散混合して成るマイクロカプセル含有剤を、
支持シート表面に被着して形成した光記録シートであっ
て、前記カプセル膜が酸化還元反応により立体構造を変
化させるコンホメーション異性化物質と分光増感特性を
備えた有機色素を含む2分子膜を有し、互いに混合され
て発色反応を起こす反応性物質の一方を前記結着樹脂中
に分散混合すると共に、前記マイクロカプセル内に前記
反応性物質の他方を内蔵し、特定波長の光を照射するこ
とにより、前記カプセル膜の物質透過性を増大させて前
記反応性物質を互いに拡散混合し発色反応を起こすこと
を特徴とする色変化マイクロカプセル含有剤を被着した
光記録シートを提供することにより、達成される点であ
る。
点は、上述した目的が、光の照射を受けて物質透過性を
変化させるカプセル膜を備えたマイクロカプセルを結着
樹脂中に分散混合して成るマイクロカプセル含有剤を、
支持シート表面に被着して形成した光記録シートであっ
て、前記カプセル膜が酸化還元反応により立体構造を変
化させるコンホメーション異性化物質と分光増感特性を
備えた有機色素を含む2分子膜を有し、互いに混合され
て発色反応を起こす反応性物質の一方を前記結着樹脂中
に分散混合すると共に、前記マイクロカプセル内に前記
反応性物質の他方を内蔵し、特定波長の光を照射するこ
とにより、前記カプセル膜の物質透過性を増大させて前
記反応性物質を互いに拡散混合し発色反応を起こすこと
を特徴とする色変化マイクロカプセル含有剤を被着した
光記録シートを提供することにより、達成される点であ
る。
【0007】この発明の要点の他の一点は、上述した目
的が、互いに混合されて発色反応を起こす反応性物質の
一方と、特定波長の光を受けてコンホメーション異性化
する物質と分光増感特性を備えた有機色素を含む2分子
膜を有するカプセル膜から成り前記反応性物質の他方を
内蔵するマイクロカプセルとを、結着樹脂中に分散混合
して成るマイクロカプセル含有剤を、支持シート表面に
被着して成る光記録シートを用いる光記録方法であっ
て、前記特定波長の光を含む画像光を記録情報に応じて
前記光記録シート上のマイクロカプセル含有剤に照射
し、前記2分子膜の物質透過性を増大させて前記反応性
物質の相互拡散による発色反応を生じさせ、前記光記録
シート上に記録画像を形成することを特徴とする色変化
マイクロカプセル含有剤を被着した光記録シートを用い
る光記録方法を提供することにより、達成される点であ
る。
的が、互いに混合されて発色反応を起こす反応性物質の
一方と、特定波長の光を受けてコンホメーション異性化
する物質と分光増感特性を備えた有機色素を含む2分子
膜を有するカプセル膜から成り前記反応性物質の他方を
内蔵するマイクロカプセルとを、結着樹脂中に分散混合
して成るマイクロカプセル含有剤を、支持シート表面に
被着して成る光記録シートを用いる光記録方法であっ
て、前記特定波長の光を含む画像光を記録情報に応じて
前記光記録シート上のマイクロカプセル含有剤に照射
し、前記2分子膜の物質透過性を増大させて前記反応性
物質の相互拡散による発色反応を生じさせ、前記光記録
シート上に記録画像を形成することを特徴とする色変化
マイクロカプセル含有剤を被着した光記録シートを用い
る光記録方法を提供することにより、達成される点であ
る。
【0008】
【発明の実施例】以下、この発明を第1実施例乃至第4
実施例に基づき具体的に説明する。 <第1実施例>図1は、第1実施例としてのモノカラー
光記録紙の構成を示す模式的断面図である。支持シート
としての基材紙1表面に、マイクロカプセル含有剤CC
を塗着してある。尚、支持シートとしては、紙の他に各
種フィルムを使用できる。マイクロカプセル含有剤CC
は、結着樹脂2中に、マイクロカプセルMCと、互いに
混合されて発色反応を起こす反応性物質の一方である顕
色剤3、及びその補助的物質4を、分散混合して成る。
実施例に基づき具体的に説明する。 <第1実施例>図1は、第1実施例としてのモノカラー
光記録紙の構成を示す模式的断面図である。支持シート
としての基材紙1表面に、マイクロカプセル含有剤CC
を塗着してある。尚、支持シートとしては、紙の他に各
種フィルムを使用できる。マイクロカプセル含有剤CC
は、結着樹脂2中に、マイクロカプセルMCと、互いに
混合されて発色反応を起こす反応性物質の一方である顕
色剤3、及びその補助的物質4を、分散混合して成る。
【0009】結着樹脂2は、マイクロカプセルMCや顕
色剤3及び補助的物質4を基材紙1上に保持する為の材
料であり、従って、常温下でゲル状態となる様に相転移
温度(Tc)の高い材料を用いる。この様な結着樹脂と
しては、例えば、ポリビニルアルコール、メチルセルロ
ース、カルボキシメチルセルロース、スチレン−ブタジ
エンラテックス等を好適に利用できる。
色剤3及び補助的物質4を基材紙1上に保持する為の材
料であり、従って、常温下でゲル状態となる様に相転移
温度(Tc)の高い材料を用いる。この様な結着樹脂と
しては、例えば、ポリビニルアルコール、メチルセルロ
ース、カルボキシメチルセルロース、スチレン−ブタジ
エンラテックス等を好適に利用できる。
【0010】マイクロカプセルMCは、以下の様に構成
してある。図2に示す様に、マイクロカプセルMCのカ
プセル膜Cfは、多孔質材料の壁材5から成り、微細孔
6を多数有している。本例では、壁材5の材料として合
成高分子材料を用い、多孔質なスポンジ状の壁材5を形
成している。壁材5の膜厚は、数十ミクロン(μm)〜
数十ナノメートル(nm)程度に設定してある。壁材5
を形成する高分子材料としては、ポリアミド、ポリエス
テル、ポリウレタン、ポリメチルメタクリレート、ポリ
ウレア、ポリスチレン、ポリビニールアルコール等の一
般的な高分子材料を好適に使用できる。
してある。図2に示す様に、マイクロカプセルMCのカ
プセル膜Cfは、多孔質材料の壁材5から成り、微細孔
6を多数有している。本例では、壁材5の材料として合
成高分子材料を用い、多孔質なスポンジ状の壁材5を形
成している。壁材5の膜厚は、数十ミクロン(μm)〜
数十ナノメートル(nm)程度に設定してある。壁材5
を形成する高分子材料としては、ポリアミド、ポリエス
テル、ポリウレタン、ポリメチルメタクリレート、ポリ
ウレア、ポリスチレン、ポリビニールアルコール等の一
般的な高分子材料を好適に使用できる。
【0011】図2において、壁材5の微細孔6内には、
両親媒性化合物から成る2分子累積膜7を埋め込んであ
る。この2分子累積膜7は、後述する様に析出による簡
便な方法によって作製できるが、このときに得られる層
構造は、部分拡大図に示す様な多層構造のラメラ層をな
している。又、本例の2分子累積膜7は、常温下である
程度の流動性をもった液晶状態となる様に、液晶状態と
結晶状態間の相転移温度を低く設定してある。この様
に、2分子累積膜7でマイクロカプセルMCの微細孔6
を被閉すると、分子量の低い物質に対しても高い透過バ
リアー性を持たせることができる。
両親媒性化合物から成る2分子累積膜7を埋め込んであ
る。この2分子累積膜7は、後述する様に析出による簡
便な方法によって作製できるが、このときに得られる層
構造は、部分拡大図に示す様な多層構造のラメラ層をな
している。又、本例の2分子累積膜7は、常温下である
程度の流動性をもった液晶状態となる様に、液晶状態と
結晶状態間の相転移温度を低く設定してある。この様
に、2分子累積膜7でマイクロカプセルMCの微細孔6
を被閉すると、分子量の低い物質に対しても高い透過バ
リアー性を持たせることができる。
【0012】2分子累積膜7を構成する分子としては、
リン脂質の例えば、
リン脂質の例えば、
【0013】
【化1】
【0014】
【化2】
【0015】ジアルキル化合物の例えば、
【0016】
【化3】
【0017】
【化4】
【0018】
【化5】
【0019】
【化6】
【0020】
【化7】
【0021】トリアルキル化合物の例えば、
【0022】
【化8】
【0023】液晶型モノアルキル化合物の例えば、
【0024】
【化9】
【0025】フルオロカーボン化合物の例えば、
【0026】
【化10】
【0027】等、種々の両親媒性化合物を使用できる。
【0028】図2の部分拡大図に示す様に、2分子累積
膜7中には、コンホメーション異性化物質8を分散会合
させてある。コンホメーション異性化物質8は、酸化還
元反応により分子鎖の立体構造を変化させる物質であ
る。コンホメーション異性化物質8としては、図3に示
すフェロセン化合物を好適に用いることができる。図3
において、フェロセン化合物が酸化する(電子を放出す
る)ことにより、フェロセン基を有するアルキル長鎖部
が大きくコンホメーション変化してそのアルキル長鎖部
が折れ曲った分子形態となる。この屈曲状コンホメーシ
ョンのフェロセン化合物を還元すれば、元の直線状コン
ホメーションに戻る。尚、2分子累積膜7中に分散会合
させるコンホメーション異性化物質8としては、上述の
フェロセン化合物に限らず同様のコンホメーション異性
化特性を有する種々の物質を利用できる。
膜7中には、コンホメーション異性化物質8を分散会合
させてある。コンホメーション異性化物質8は、酸化還
元反応により分子鎖の立体構造を変化させる物質であ
る。コンホメーション異性化物質8としては、図3に示
すフェロセン化合物を好適に用いることができる。図3
において、フェロセン化合物が酸化する(電子を放出す
る)ことにより、フェロセン基を有するアルキル長鎖部
が大きくコンホメーション変化してそのアルキル長鎖部
が折れ曲った分子形態となる。この屈曲状コンホメーシ
ョンのフェロセン化合物を還元すれば、元の直線状コン
ホメーションに戻る。尚、2分子累積膜7中に分散会合
させるコンホメーション異性化物質8としては、上述の
フェロセン化合物に限らず同様のコンホメーション異性
化特性を有する種々の物質を利用できる。
【0029】図4の〔a〕に示す様に、2分子累積膜7
の中に分散させたコンホメーション異性化物質8は、安
定状態(還元状態)において、ラメラ層を成す2分子累
積膜7の規則正しい分子配列状態の影響を受けて直線状
コンホメーションをとり、2分子累積膜7全体としては
密な層構造をなしている。この状態の2分子累積膜7は
物質透過性が小さく、カプセル外相の顕色剤3と後述す
るカプセル内相に配する染料前駆体10の透過を阻止す
る。
の中に分散させたコンホメーション異性化物質8は、安
定状態(還元状態)において、ラメラ層を成す2分子累
積膜7の規則正しい分子配列状態の影響を受けて直線状
コンホメーションをとり、2分子累積膜7全体としては
密な層構造をなしている。この状態の2分子累積膜7は
物質透過性が小さく、カプセル外相の顕色剤3と後述す
るカプセル内相に配する染料前駆体10の透過を阻止す
る。
【0030】而して、2分子累積膜7には、図2に示す
様に、分光増感特性を有する有機色素9を分散会合させ
てある。有機色素9は特定波長の光の照射を受けて電気
的特性が大きく変わり、これにより2分子累積膜7中の
電子が有機色素9を介して移動することが可能となる。
即ち、コンホメーション異性化物質8がフェロセン化合
物の場合、フェロセン化合物8の電子が有機色素9を介
して他のフェロセン化合物8に放出される。その結果、
図3に示す様に電子を放出した(酸化した)フェロセン
化合物8が屈曲状の分子形態をとり、図4の〔b〕に示
す様に、2分子累積膜7の層構造が乱されて物質透過性
が増大する。尚、有機色素9を2分子累積膜7中に特定
の規則性をもって会合(例えばJ会合)させれば、2分
子累積膜7全体としての分光吸収スペクトルが大幅に長
波長側にシフトされることが知られている。
様に、分光増感特性を有する有機色素9を分散会合させ
てある。有機色素9は特定波長の光の照射を受けて電気
的特性が大きく変わり、これにより2分子累積膜7中の
電子が有機色素9を介して移動することが可能となる。
即ち、コンホメーション異性化物質8がフェロセン化合
物の場合、フェロセン化合物8の電子が有機色素9を介
して他のフェロセン化合物8に放出される。その結果、
図3に示す様に電子を放出した(酸化した)フェロセン
化合物8が屈曲状の分子形態をとり、図4の〔b〕に示
す様に、2分子累積膜7の層構造が乱されて物質透過性
が増大する。尚、有機色素9を2分子累積膜7中に特定
の規則性をもって会合(例えばJ会合)させれば、2分
子累積膜7全体としての分光吸収スペクトルが大幅に長
波長側にシフトされることが知られている。
【0031】上述の様な有機色素9としては、
【0032】
【化11】
【0033】
【化12】
【0034】
【化13】
【0035】等のシアニン色素が好適である。有機色素
9としてシアニン色素を2分子累積膜7に会合させた場
合、シアニン色素9は2分子累積膜7中の親水基と親水
基との間に会合する傾向がある。
9としてシアニン色素を2分子累積膜7に会合させた場
合、シアニン色素9は2分子累積膜7中の親水基と親水
基との間に会合する傾向がある。
【0036】図2において、マイクロカプセルMCのカ
プセル膜Cfは、上述した様に、高分子物質から成る壁
材5の微細孔6内に、コンホメーション異性化物質8と
有機色素9を分散会合させた両親媒性化合物から成る2
分子累積膜7を埋め込み、複合的に構成されている。こ
のカプセル膜Cfの膜厚は数十ミクロンから数十ナノメ
ートルと薄く、又、膜の骨格をなす高分子物質の壁材5
と2分子累積膜7を構成する両親媒性化合物との光学屈
折率を十分に近づけることで、カプセル膜Cfは略透明
な状態となる。従って、マイクロカプセルMCの色は、
カプセル膜Cf内側の相(内相)中に存在するカプセル
内相物質(芯物質)の色に見える。
プセル膜Cfは、上述した様に、高分子物質から成る壁
材5の微細孔6内に、コンホメーション異性化物質8と
有機色素9を分散会合させた両親媒性化合物から成る2
分子累積膜7を埋め込み、複合的に構成されている。こ
のカプセル膜Cfの膜厚は数十ミクロンから数十ナノメ
ートルと薄く、又、膜の骨格をなす高分子物質の壁材5
と2分子累積膜7を構成する両親媒性化合物との光学屈
折率を十分に近づけることで、カプセル膜Cfは略透明
な状態となる。従って、マイクロカプセルMCの色は、
カプセル膜Cf内側の相(内相)中に存在するカプセル
内相物質(芯物質)の色に見える。
【0037】図1に戻り、マイクロカプセルMC内に
は、互いに混合されて発色反応を起こす反応性物質の他
方としての染料前駆体10を内蔵してある。染料前駆体
10は、通常は無色であるが、酸性物質と反応して発色
する性質をもつ色素である。この様な物質としては、ロ
イコ染料が広く知られており、その内の一般的なフタリ
ド系、フルオラン系、トリフェニルメタン系、フェノチ
アジン系、スピロピラン系を好適に用いることができ
る。具体的には、一般的な感圧紙や感熱紙等に広く用い
られている、クリスタルバイオレットラクトン、カルバ
ゾリルブルー、インドリルレッド、ピリジンブルー、ロ
ーダミンBラクタム、マラカイトグリーン、3−ジアル
キルアミノ−7−ジアルキルアミノフルオラン、ベンゾ
イルロイコメチレンブルー、等が挙げられる。
は、互いに混合されて発色反応を起こす反応性物質の他
方としての染料前駆体10を内蔵してある。染料前駆体
10は、通常は無色であるが、酸性物質と反応して発色
する性質をもつ色素である。この様な物質としては、ロ
イコ染料が広く知られており、その内の一般的なフタリ
ド系、フルオラン系、トリフェニルメタン系、フェノチ
アジン系、スピロピラン系を好適に用いることができ
る。具体的には、一般的な感圧紙や感熱紙等に広く用い
られている、クリスタルバイオレットラクトン、カルバ
ゾリルブルー、インドリルレッド、ピリジンブルー、ロ
ーダミンBラクタム、マラカイトグリーン、3−ジアル
キルアミノ−7−ジアルキルアミノフルオラン、ベンゾ
イルロイコメチレンブルー、等が挙げられる。
【0038】カプセル内相には、他に、染料前駆体10
の化学的性質を調整する為の各種の補助的物質11も混
合してある。例えば、染料前駆体10がロイコ染料の場
合、補助的物質11として、ロイコ染料を溶解・分散さ
せる為の溶媒である蒸留水やベンゼン、トルエン、アル
キルナフタレン、ビフェニル類、パラフィン類等の有機
溶剤が使用できる。更に、カプセル内相の溶液に適切な
粘性を付与する為、市販の各種ワックスや樹脂ポリマー
を混入してある。
の化学的性質を調整する為の各種の補助的物質11も混
合してある。例えば、染料前駆体10がロイコ染料の場
合、補助的物質11として、ロイコ染料を溶解・分散さ
せる為の溶媒である蒸留水やベンゼン、トルエン、アル
キルナフタレン、ビフェニル類、パラフィン類等の有機
溶剤が使用できる。更に、カプセル内相の溶液に適切な
粘性を付与する為、市販の各種ワックスや樹脂ポリマー
を混入してある。
【0039】以上の様に、本例のマイクロカプセルMC
は、光応答性を備えたコンホメーション異性化物質と有
機色素を含み物質透過性を変化させるカプセル膜Cfの
内相に、染料前駆体10とその補助的物質11及びその
他の物質を混合・分散させて封入した構成となってい
る。
は、光応答性を備えたコンホメーション異性化物質と有
機色素を含み物質透過性を変化させるカプセル膜Cfの
内相に、染料前駆体10とその補助的物質11及びその
他の物質を混合・分散させて封入した構成となってい
る。
【0040】ここで、上述した構成のマイクロカプセル
MCの製造方法について説明する。先ず、殻状をなす壁
材内に染料前駆体を含むカプセル内相物質を内包したマ
イクロカプセル中間体を製造する。この中間体製造方法
としては、界面重合法、in−situ(インサイチ
ュ)重合法、コア・セルベーション法等が利用できる。
MCの製造方法について説明する。先ず、殻状をなす壁
材内に染料前駆体を含むカプセル内相物質を内包したマ
イクロカプセル中間体を製造する。この中間体製造方法
としては、界面重合法、in−situ(インサイチ
ュ)重合法、コア・セルベーション法等が利用できる。
【0041】次に、2分子累積膜材料の両親媒性化合物
とコンホメーション異性化物質を溶かしたアルカン溶液
を加熱し、この溶液中に上述のマイクロカプセル中間体
を投入する。数分間放置して自然冷却させると、壁材内
のカプセル内相物質を含む水相と壁材外のアルカン相と
の界面に2分子膜が析出し、壁材の微細孔部に累積した
2分子膜が埋め込まれる。尚、壁材中の微細孔に予め両
親媒性化合物で2分子累積膜を形成しておき、これにコ
ンホメーション異性化物質を吸着させる方法によって
も、同様にコンホメーション異性化物質を含む2分子累
積膜を微細孔部に埋め込むことができる。
とコンホメーション異性化物質を溶かしたアルカン溶液
を加熱し、この溶液中に上述のマイクロカプセル中間体
を投入する。数分間放置して自然冷却させると、壁材内
のカプセル内相物質を含む水相と壁材外のアルカン相と
の界面に2分子膜が析出し、壁材の微細孔部に累積した
2分子膜が埋め込まれる。尚、壁材中の微細孔に予め両
親媒性化合物で2分子累積膜を形成しておき、これにコ
ンホメーション異性化物質を吸着させる方法によって
も、同様にコンホメーション異性化物質を含む2分子累
積膜を微細孔部に埋め込むことができる。
【0042】次いで、上述の2分子累積膜が埋め込まれ
たマイクロカプセルを有機色素を分散混合した水溶液中
に浸して2分子累積膜に有機色素を吸着させた後、抽出
・洗浄すれば、本例のマイクロカプセルが完成する。
たマイクロカプセルを有機色素を分散混合した水溶液中
に浸して2分子累積膜に有機色素を吸着させた後、抽出
・洗浄すれば、本例のマイクロカプセルが完成する。
【0043】図1に戻って、マイクロカプセルMCの外
相となる結着樹脂2中に分散混合させてある顕色剤3
は、発色反応を起こす反応性物質の一方であり、反応性
物質の他方であるカプセル内相の染料前駆体10と混合
されて発色する。染料前駆体10がロイコ染料である場
合、顕色剤3としては、αナフトール、βナフトール、
ビスフェノールA等のフェノール類、サリチル酸亜鉛誘
導体、芳香族カルボン酸金属塩等の酸性物質が使用でき
る。
相となる結着樹脂2中に分散混合させてある顕色剤3
は、発色反応を起こす反応性物質の一方であり、反応性
物質の他方であるカプセル内相の染料前駆体10と混合
されて発色する。染料前駆体10がロイコ染料である場
合、顕色剤3としては、αナフトール、βナフトール、
ビスフェノールA等のフェノール類、サリチル酸亜鉛誘
導体、芳香族カルボン酸金属塩等の酸性物質が使用でき
る。
【0044】又、補助的物質4は、カプセル内相の補助
的物質11と同様に顕色剤3の物性を調整する為の各種
物質であり、例えば顕色剤3を溶解・分散させる為の溶
媒となる蒸留水やベンゼン、トルエン等の有機溶媒等が
これにあたる。本例では、前述した様に常温下でゲル化
している結着樹脂2中に顕色剤3及び補助的物質4を分
散させてある。
的物質11と同様に顕色剤3の物性を調整する為の各種
物質であり、例えば顕色剤3を溶解・分散させる為の溶
媒となる蒸留水やベンゼン、トルエン等の有機溶媒等が
これにあたる。本例では、前述した様に常温下でゲル化
している結着樹脂2中に顕色剤3及び補助的物質4を分
散させてある。
【0045】上述の様に構成したモノカラー光記録紙を
用いる光記録方法について、以下に説明する。図5は、
モノカラー光記録紙におけるマイクロカプセル含有剤C
C中の物質拡散動作を示す模式的説明図で、図6は本例
の光記録方法を実施する為の光記録装置の概略構成を示
す構成説明図である。図5において、常温下における初
期状態(ST1)では、基材紙1上に被着してあるマイク
ロカプセル含有剤CCが熱的に安定した状態にある。即
ち、図4の〔a〕に示す様に、2分子累積膜7に分散会
合させてあるコンホメーション異性化物質8が、2分子
累積膜7の表面圧を緩和する様な分子形態で安定してい
る。コンホメーション異性化物質8としてフェロセン化
合物を用いた場合、フェロセン化合物は図3に示す還元
状態の層状分子形態で安定化する。従って、本例の初期
状態における2分子累積膜7は、液晶状態で表面圧が比
較的低く、且つ、フェロセン化合物8が層状分子形態を
なしているから、図示する様に2分子累積膜7中のどの
場所も緻密な層状の膜構造をなしている。よって、初期
状態における2分子累積膜7の物質透過性は低い。又、
このとき、カプセル内相の染料前駆体10と外相(結着
樹脂2中)の顕色剤3はカプセル膜Cfを介して隔離さ
れているから発色せず、マイクロカプセル含有剤CC全
体が無色である。
用いる光記録方法について、以下に説明する。図5は、
モノカラー光記録紙におけるマイクロカプセル含有剤C
C中の物質拡散動作を示す模式的説明図で、図6は本例
の光記録方法を実施する為の光記録装置の概略構成を示
す構成説明図である。図5において、常温下における初
期状態(ST1)では、基材紙1上に被着してあるマイク
ロカプセル含有剤CCが熱的に安定した状態にある。即
ち、図4の〔a〕に示す様に、2分子累積膜7に分散会
合させてあるコンホメーション異性化物質8が、2分子
累積膜7の表面圧を緩和する様な分子形態で安定してい
る。コンホメーション異性化物質8としてフェロセン化
合物を用いた場合、フェロセン化合物は図3に示す還元
状態の層状分子形態で安定化する。従って、本例の初期
状態における2分子累積膜7は、液晶状態で表面圧が比
較的低く、且つ、フェロセン化合物8が層状分子形態を
なしているから、図示する様に2分子累積膜7中のどの
場所も緻密な層状の膜構造をなしている。よって、初期
状態における2分子累積膜7の物質透過性は低い。又、
このとき、カプセル内相の染料前駆体10と外相(結着
樹脂2中)の顕色剤3はカプセル膜Cfを介して隔離さ
れているから発色せず、マイクロカプセル含有剤CC全
体が無色である。
【0046】ところで、2分子累積膜7は、一般に温度
の上昇と共に結晶(ゲル)状態から液晶状態に相転移す
る特性を有しており、相転移温度Tc以下の結晶状態に
おいてより高い物質透過に対するバリアー性を示す。本
例では、2分子累積膜が常温環境下において液晶状態を
なす様に、2分子累積膜の材料として、その相転移温度
Tcが常温より低い材料を選定してある。従って、2分
子累積膜7は、常温の環境温度の下では、液晶状態に在
って物質透過に対するバリアー性が低い為、光を照射し
ない初期状態(ST1)においても小さい物質透過性を示
す。但し本例では、カプセル外相全体がゲル化した結着
樹脂2により非流動状態に保持されているから、内相の
染料前駆体10と外相の顕色剤3が2分子累積膜7を通
じて相互に拡散する現象(物質の相互拡散)が殆ど発生
しない。尚、両親媒性化合物から成る2分子累積膜7の
相転移温度Tcは、材料の選定等により15℃から60
℃の間の範囲に設定可能である。
の上昇と共に結晶(ゲル)状態から液晶状態に相転移す
る特性を有しており、相転移温度Tc以下の結晶状態に
おいてより高い物質透過に対するバリアー性を示す。本
例では、2分子累積膜が常温環境下において液晶状態を
なす様に、2分子累積膜の材料として、その相転移温度
Tcが常温より低い材料を選定してある。従って、2分
子累積膜7は、常温の環境温度の下では、液晶状態に在
って物質透過に対するバリアー性が低い為、光を照射し
ない初期状態(ST1)においても小さい物質透過性を示
す。但し本例では、カプセル外相全体がゲル化した結着
樹脂2により非流動状態に保持されているから、内相の
染料前駆体10と外相の顕色剤3が2分子累積膜7を通
じて相互に拡散する現象(物質の相互拡散)が殆ど発生
しない。尚、両親媒性化合物から成る2分子累積膜7の
相転移温度Tcは、材料の選定等により15℃から60
℃の間の範囲に設定可能である。
【0047】被着されたマイクロカプセル含有剤CCが
上述の初期状態に在るモノカラー光記録紙Pを、図6に
示す光記録装置の記録紙搬送経路12に沿って給送す
る。給送された光記録紙Pは、先ず、加熱器13により
加熱される。これにより、マイクロカプセル含有剤CC
の結着樹脂2がゾル化すると共に顕色剤3が溶融し、カ
プセル外相が低粘度化する(ST2)。この場合の加熱温
度は、使用環境を考慮し、且つ、顕色剤3の溶融状態が
次の段階の光記録工程中も保持できる様に、80℃以上
に設定するのがよい。加熱器13としては、ヒートロー
ラやサーマルヘッドに類似した薄膜/厚膜ライン状ヒー
タ等を好適に利用できる。
上述の初期状態に在るモノカラー光記録紙Pを、図6に
示す光記録装置の記録紙搬送経路12に沿って給送す
る。給送された光記録紙Pは、先ず、加熱器13により
加熱される。これにより、マイクロカプセル含有剤CC
の結着樹脂2がゾル化すると共に顕色剤3が溶融し、カ
プセル外相が低粘度化する(ST2)。この場合の加熱温
度は、使用環境を考慮し、且つ、顕色剤3の溶融状態が
次の段階の光記録工程中も保持できる様に、80℃以上
に設定するのがよい。加熱器13としては、ヒートロー
ラやサーマルヘッドに類似した薄膜/厚膜ライン状ヒー
タ等を好適に利用できる。
【0048】次いで、加熱された光記録紙Pに対し、光
記録ヘッド14により光記録を行なう(ST3)。光記録
ヘッド14は、第1光源14aと第2光源14bを備え
ている。第1光源14aは、2分子累積膜の有機色素が
感応する波長がν1の成分光を含む第1の光R1を照射す
る。従って、第1の光R1の照射を制御することによ
り、2分子累積膜3中の電子移動性を制御できる。第2
光源14bは、2分子累積膜中のコンホメーション異性
化物質を励起させる波長がν2の成分光を含む第2の光
R2を照射する。本例の様に有機色素としてシアニン色
素を用いる場合、波長ν1に相当する光は可視領域光で
ある。又、コンホメーション異性化物質8としてフェロ
セン化合物を用いる場合、波長ν2に相当する光は紫外
領域光となる。尚、各光R1,R2は、夫々、単色光が望
ましい。
記録ヘッド14により光記録を行なう(ST3)。光記録
ヘッド14は、第1光源14aと第2光源14bを備え
ている。第1光源14aは、2分子累積膜の有機色素が
感応する波長がν1の成分光を含む第1の光R1を照射す
る。従って、第1の光R1の照射を制御することによ
り、2分子累積膜3中の電子移動性を制御できる。第2
光源14bは、2分子累積膜中のコンホメーション異性
化物質を励起させる波長がν2の成分光を含む第2の光
R2を照射する。本例の様に有機色素としてシアニン色
素を用いる場合、波長ν1に相当する光は可視領域光で
ある。又、コンホメーション異性化物質8としてフェロ
セン化合物を用いる場合、波長ν2に相当する光は紫外
領域光となる。尚、各光R1,R2は、夫々、単色光が望
ましい。
【0049】光記録を行なう際は、第2の光R2の照射
を継続した状態の下で、記録情報に対応させて第1の光
R1を照射する。第1の光R1と第2の光R2を同時に照
射すると、コンホメーション異性化物質が第2の光R2
を受けて励起し電子を放出し易い(酸化し易い)状態と
なり、第1の光R1を受けて電子移動性が増した有機色
素を通じてコンホメーション異性化物質の電子が移動す
る。電子を放出したコンホメーション異性化物質は、そ
の分子立体構造を変化させる。コンホメーション異性化
物質がフェロセン化合物の場合、図3において、フェロ
セン部位が電子を失う(酸化される)ことにより、その
部位がコンホメーション異性化して層状の分子形態から
屈曲した分子形態に変化する。放出された電子は、有機
色素9が会合して形成するチャンネル(図2参照)を移
動した後に、酸化された(電子を放出した)状態の他の
フェロセン化合物と再結合する。その結果、酸化状態に
在ったフェロセン化合物が還元され、元の立体構造に戻
る。
を継続した状態の下で、記録情報に対応させて第1の光
R1を照射する。第1の光R1と第2の光R2を同時に照
射すると、コンホメーション異性化物質が第2の光R2
を受けて励起し電子を放出し易い(酸化し易い)状態と
なり、第1の光R1を受けて電子移動性が増した有機色
素を通じてコンホメーション異性化物質の電子が移動す
る。電子を放出したコンホメーション異性化物質は、そ
の分子立体構造を変化させる。コンホメーション異性化
物質がフェロセン化合物の場合、図3において、フェロ
セン部位が電子を失う(酸化される)ことにより、その
部位がコンホメーション異性化して層状の分子形態から
屈曲した分子形態に変化する。放出された電子は、有機
色素9が会合して形成するチャンネル(図2参照)を移
動した後に、酸化された(電子を放出した)状態の他の
フェロセン化合物と再結合する。その結果、酸化状態に
在ったフェロセン化合物が還元され、元の立体構造に戻
る。
【0050】第1の光R1と第2の光R2を継続して照射
することにより、2分子累積膜中のコンホメーション異
性化物質が電子の放出と再結合を繰り返す。その結果、
コンホメーション異性化物質全体としては、一定割合の
コンホメーション異性化物質が酸化され屈曲した分子形
態をとる状態に保持される。フェロセン化合物の場合、
図4の〔b〕に示す様に、フェロセン化合物8が屈曲し
た分子形態(酸化状態)をとると、2分子累積膜7中に
おいてフェロセン化合物8が占有するスペースが増し、
付近の分子層が圧縮されて2分子累積膜7の表面圧が上
昇する。これにより、2分子累積膜7の膜構造がフェロ
セン化合物8の周辺で大きく乱れた形態となる。その結
果、2分子累積膜7をカプセル内外相の物質分子が透過
し易くなる。
することにより、2分子累積膜中のコンホメーション異
性化物質が電子の放出と再結合を繰り返す。その結果、
コンホメーション異性化物質全体としては、一定割合の
コンホメーション異性化物質が酸化され屈曲した分子形
態をとる状態に保持される。フェロセン化合物の場合、
図4の〔b〕に示す様に、フェロセン化合物8が屈曲し
た分子形態(酸化状態)をとると、2分子累積膜7中に
おいてフェロセン化合物8が占有するスペースが増し、
付近の分子層が圧縮されて2分子累積膜7の表面圧が上
昇する。これにより、2分子累積膜7の膜構造がフェロ
セン化合物8の周辺で大きく乱れた形態となる。その結
果、2分子累積膜7をカプセル内外相の物質分子が透過
し易くなる。
【0051】又、第1の光R1若しくは第2の光R2の照
射強度を制御することにより、2分子累積膜7中に含ま
れる全てのコンホメーション異性化物質分子の内で実際
にコンホメーション異性化を起こす分子の量を制御する
ことができる。即ち、光照射の強度を制御することによ
り、2分子累積膜7の乱れの度合いを制御し、2分子累
積膜7の物質透過性を自在に制御できる。これにより、
単なる光の点滅制御による単一濃度の記録画像だけでな
く、次に述べる様に、濃度階調性を備えたモノカラー記
録画像も容易に得ることができる。尚、波長がν1の成
分光とν2の成分光の内の何れか一方が照射されなけれ
ば、上述のコンホメーション異性化は進行しない。従っ
て、波長がν1とν2の成分光を含まない光の照明の下
で、上述の光照射による物質透過制御、即ち光記録を、
容易且つ正確に実施できる。
射強度を制御することにより、2分子累積膜7中に含ま
れる全てのコンホメーション異性化物質分子の内で実際
にコンホメーション異性化を起こす分子の量を制御する
ことができる。即ち、光照射の強度を制御することによ
り、2分子累積膜7の乱れの度合いを制御し、2分子累
積膜7の物質透過性を自在に制御できる。これにより、
単なる光の点滅制御による単一濃度の記録画像だけでな
く、次に述べる様に、濃度階調性を備えたモノカラー記
録画像も容易に得ることができる。尚、波長がν1の成
分光とν2の成分光の内の何れか一方が照射されなけれ
ば、上述のコンホメーション異性化は進行しない。従っ
て、波長がν1とν2の成分光を含まない光の照明の下
で、上述の光照射による物質透過制御、即ち光記録を、
容易且つ正確に実施できる。
【0052】図5に示した光記録段階(ST3)では、4
ビットの記録データに対応した4ドットを形成する状態
を示しており、各ドットに夫々1個のマイクロカプセル
MC1〜MC4を模式的に対応させてある。この場合、マ
イクロカプセルMC1に対応するドットを形成する第1
の光(ドット光)R1の強度が最も大きく、マイクロカ
プセルMC2,MC3の各対応ドットになるに従い各ドッ
ト光R1の照射強度(図面では白抜き矢印の長さで示
す)が小さくなっている。マイクロカプセルMC4に対
応するドットは白ドットで、従って対応ドット光が照射
されていない。図5の(ST3)では、対応ドット光R1の
照射強度が最も大きいマイクロカプセルMC1のカプセ
ル膜Cfの乱れ度合いが最も大きく、従って物質透過性
が最も増加し、ドット光R1の照射強度の低下に応じて
マイクロカプセルMC2,MC3の物質透過性の増加度合
いも小さくなっていることがわかる。マイクロカプセル
MC4は、ドット光R1が照射されていないから初期状態
(ST1)と同様で物質透過性が殆ど無い状態のままであ
る。
ビットの記録データに対応した4ドットを形成する状態
を示しており、各ドットに夫々1個のマイクロカプセル
MC1〜MC4を模式的に対応させてある。この場合、マ
イクロカプセルMC1に対応するドットを形成する第1
の光(ドット光)R1の強度が最も大きく、マイクロカ
プセルMC2,MC3の各対応ドットになるに従い各ドッ
ト光R1の照射強度(図面では白抜き矢印の長さで示
す)が小さくなっている。マイクロカプセルMC4に対
応するドットは白ドットで、従って対応ドット光が照射
されていない。図5の(ST3)では、対応ドット光R1の
照射強度が最も大きいマイクロカプセルMC1のカプセ
ル膜Cfの乱れ度合いが最も大きく、従って物質透過性
が最も増加し、ドット光R1の照射強度の低下に応じて
マイクロカプセルMC2,MC3の物質透過性の増加度合
いも小さくなっていることがわかる。マイクロカプセル
MC4は、ドット光R1が照射されていないから初期状態
(ST1)と同様で物質透過性が殆ど無い状態のままであ
る。
【0053】時間の経過と共にカプセル外相の顕色剤3
がカプセル内相へ拡散する量が多くなり、この内相に拡
散した顕色剤3が既存の染料前駆体10と発色化学反応
を起こし、マイクロカプセルMC1〜MC3が発色し始め
る(ST4)。又、カプセル内相に在った染料前駆体10
も外相へ拡散するが、結着樹脂2の粘度が高い為にその
拡散距離が拡散元のマイクロカプセル周辺に制限され
る。発色化学反応が起こると染料15((ST5)参照)
が生成される。その結果、マイクロカプセルMC1〜M
C3とその周辺が発色し始める。
がカプセル内相へ拡散する量が多くなり、この内相に拡
散した顕色剤3が既存の染料前駆体10と発色化学反応
を起こし、マイクロカプセルMC1〜MC3が発色し始め
る(ST4)。又、カプセル内相に在った染料前駆体10
も外相へ拡散するが、結着樹脂2の粘度が高い為にその
拡散距離が拡散元のマイクロカプセル周辺に制限され
る。発色化学反応が起こると染料15((ST5)参照)
が生成される。その結果、マイクロカプセルMC1〜M
C3とその周辺が発色し始める。
【0054】ここで、染料前駆体10や顕色剤3等のカ
プセル内、外相の各物質分子の拡散量は、2分子累積膜
7を透過する分子のサイズやカプセル内外の圧力値等に
よっても異なるが、2分子累積膜7の乱れの度合いによ
って大きく異なる。従って、前述した様に、2分子累積
膜の乱れ度合いが最も大きいのは、第1の光R1を最も
強く照射したドットに対応するマイクロカプセルMC1
であるから、このマイクロカプセルMC1に係わる物質
の相互拡散が最も活発に行なわれ、発色濃度が最も高く
なる。そして、第1の光R1の照射強度の順にマイクロ
カプセルMC2,MC3と段階的に発色濃度が低下する。
この様にして、濃度階調性を備えたモノカラー記録画像
が得られる。
プセル内、外相の各物質分子の拡散量は、2分子累積膜
7を透過する分子のサイズやカプセル内外の圧力値等に
よっても異なるが、2分子累積膜7の乱れの度合いによ
って大きく異なる。従って、前述した様に、2分子累積
膜の乱れ度合いが最も大きいのは、第1の光R1を最も
強く照射したドットに対応するマイクロカプセルMC1
であるから、このマイクロカプセルMC1に係わる物質
の相互拡散が最も活発に行なわれ、発色濃度が最も高く
なる。そして、第1の光R1の照射強度の順にマイクロ
カプセルMC2,MC3と段階的に発色濃度が低下する。
この様にして、濃度階調性を備えたモノカラー記録画像
が得られる。
【0055】上述の発色反応は、第1の光R1又は第2
の光R2が照射されなくなると、停止する。即ち、第1
の光R1が照射されないと有機色素の電子移動性が低下
する為、コンホメーション異性化物質は励起しても電子
を放出できずに層状分子形態のままである。又、第2の
光R2が照射されないと、コンホメーション異性化物質
が新たに励起せず、既に励起して電子を放出していた
(酸化状態の)コンホメーション異性化物質に、既に放
出されていた電子が供与され、このコンホメーション異
性化物質が元の分子立体構造(還元状態)に戻る。フェ
ロセン化合物の場合は、図3において、酸化状態の屈曲
状分子形態から、層状の分子形態に還元される。これに
より、図4において、2分子累積膜7が元の分子が全体
的に整然と並ぶ乱れのない緻密な層構造(〔a〕の還元
状態)に復帰する。その結果、カプセル膜Cfの物質透
過性が低くなり、内、外相の染料前駆体10と顕色剤3
の相互拡散が阻止されて発色反応が停止する(ST5)。
この場合、カプセル外相に生成した染料15は、拡散元
のマイクロカプセルの周辺に存在するから、各ドットが
明瞭に形成されて記録画像の解像度が向上する。図6に
おいて、モノカラー光記録紙Pが光記録ヘッド14の配
設位置を通過すると、第1の光R1と第2の光R2がマイ
クロカプセル含有剤CCに照射されなくなって発色反応
が停止し、これにより記録画像が確定する。記録画像が
完成したモノカラー光記録紙Pは、この後、機外に排出
される。
の光R2が照射されなくなると、停止する。即ち、第1
の光R1が照射されないと有機色素の電子移動性が低下
する為、コンホメーション異性化物質は励起しても電子
を放出できずに層状分子形態のままである。又、第2の
光R2が照射されないと、コンホメーション異性化物質
が新たに励起せず、既に励起して電子を放出していた
(酸化状態の)コンホメーション異性化物質に、既に放
出されていた電子が供与され、このコンホメーション異
性化物質が元の分子立体構造(還元状態)に戻る。フェ
ロセン化合物の場合は、図3において、酸化状態の屈曲
状分子形態から、層状の分子形態に還元される。これに
より、図4において、2分子累積膜7が元の分子が全体
的に整然と並ぶ乱れのない緻密な層構造(〔a〕の還元
状態)に復帰する。その結果、カプセル膜Cfの物質透
過性が低くなり、内、外相の染料前駆体10と顕色剤3
の相互拡散が阻止されて発色反応が停止する(ST5)。
この場合、カプセル外相に生成した染料15は、拡散元
のマイクロカプセルの周辺に存在するから、各ドットが
明瞭に形成されて記録画像の解像度が向上する。図6に
おいて、モノカラー光記録紙Pが光記録ヘッド14の配
設位置を通過すると、第1の光R1と第2の光R2がマイ
クロカプセル含有剤CCに照射されなくなって発色反応
が停止し、これにより記録画像が確定する。記録画像が
完成したモノカラー光記録紙Pは、この後、機外に排出
される。
【0056】以上の様に、本例の光記録方法によれば、
主な画像形成プロセス装置が加熱器13と光記録ヘッド
14だけで済む構造が極めて簡単な光記録装置により、
高解像度のモノカラー記録画像を安価に得ることができ
る。
主な画像形成プロセス装置が加熱器13と光記録ヘッド
14だけで済む構造が極めて簡単な光記録装置により、
高解像度のモノカラー記録画像を安価に得ることができ
る。
【0057】<第2実施例>本例では、色変化マイクロ
カプセル含有剤を塗工したフルカラー光記録紙を用いて
光記録を行なう。従って、図7に示す様に、3原色に対
応させて3種類のマイクロカプセルMCy,MCm,MC
cを使用する。これら3種類のマイクロカプセルMCy,
MCm,MCcは、夫々、各カプセル膜Cfの光応答性に
係わる構成が異なっている。即ち、各カプセル膜Cfに
夫々埋め込んだ2分子累積膜(不図示)には、夫々、同
一のコンホメーション異性化物質と応答する光の波長が
各々異なる有機色素を分散会合させてある。そして、マ
イクロカプセルMCy,MCm,MCcの各内相には、夫
々、発色能が各々異なる染料前駆体16a,16b,1
6c及び同一の補助的物質(不図示)を配してある。即
ち、染料前駆体16aはイエロー、染料前駆体16bは
マゼンタ、染料前駆体16cはシアン、に夫々発色する
能を有している。そして、これらマイクロカプセルMC
y,MCm,MCcと顕色剤(不図示)及び補助的物質等
を結着樹脂2中に分散混合し、本例のフルカラー記録用
マイクロカプセル含有剤CCfを構成してある。顕色剤
としては、各カプセル内相に配した3種類の染料前駆体
16a,16b,16c全てに対して均一に良好な発色
能を有するものを選定する。尚、上述した2分子累積
膜、コンホメーション異性化物質、染料前駆体16、内
相の補助的物質、顕色剤及び外相の補助的物質に用いる
各具体的物質としては、第1実施例で挙げた物質で好適
なものを選定して用いることができる。
カプセル含有剤を塗工したフルカラー光記録紙を用いて
光記録を行なう。従って、図7に示す様に、3原色に対
応させて3種類のマイクロカプセルMCy,MCm,MC
cを使用する。これら3種類のマイクロカプセルMCy,
MCm,MCcは、夫々、各カプセル膜Cfの光応答性に
係わる構成が異なっている。即ち、各カプセル膜Cfに
夫々埋め込んだ2分子累積膜(不図示)には、夫々、同
一のコンホメーション異性化物質と応答する光の波長が
各々異なる有機色素を分散会合させてある。そして、マ
イクロカプセルMCy,MCm,MCcの各内相には、夫
々、発色能が各々異なる染料前駆体16a,16b,1
6c及び同一の補助的物質(不図示)を配してある。即
ち、染料前駆体16aはイエロー、染料前駆体16bは
マゼンタ、染料前駆体16cはシアン、に夫々発色する
能を有している。そして、これらマイクロカプセルMC
y,MCm,MCcと顕色剤(不図示)及び補助的物質等
を結着樹脂2中に分散混合し、本例のフルカラー記録用
マイクロカプセル含有剤CCfを構成してある。顕色剤
としては、各カプセル内相に配した3種類の染料前駆体
16a,16b,16c全てに対して均一に良好な発色
能を有するものを選定する。尚、上述した2分子累積
膜、コンホメーション異性化物質、染料前駆体16、内
相の補助的物質、顕色剤及び外相の補助的物質に用いる
各具体的物質としては、第1実施例で挙げた物質で好適
なものを選定して用いることができる。
【0058】上述の様な構成のマイクロカプセル含有剤
CCfを基材紙1上に被着し、フルカラー光記録紙Pfを
形成してある。このフルカラー光記録紙Pfを用い図8
に示すフルカラー光記録装置により、フルカラー記録画
像を得る。このフルカラー光記録装置には、加熱器17
の下流側に、3基の第1光源18a,18b,18cと
第2光源18dを備えたフルカラー記録ヘッド18を設
置してある。これら第1光源18a,18b,18c
は、3種類のマイクロカプセルMCy,MCm,MCcの
各有機色素が夫々感応する波長ν1a,ν1b,ν1cの各成
分光を含む第1の光R1a,R1b,R1cを、フルカラー記
録データに応じて夫々照射する。本例では、第1の光R
1aをイエロー画素に、R1bをマゼンタ画素に、R1cをシ
アン画素に、夫々対応させてある。又、第2光源18d
は、光記録の間、波長がν2の成分光を含む第2の光R2
を継続して照射する。この第2の光R2は、各カプセル
膜Cfの2分子累積膜に含まれている同一のコンホメー
ション異性化物質を励起させる。
CCfを基材紙1上に被着し、フルカラー光記録紙Pfを
形成してある。このフルカラー光記録紙Pfを用い図8
に示すフルカラー光記録装置により、フルカラー記録画
像を得る。このフルカラー光記録装置には、加熱器17
の下流側に、3基の第1光源18a,18b,18cと
第2光源18dを備えたフルカラー記録ヘッド18を設
置してある。これら第1光源18a,18b,18c
は、3種類のマイクロカプセルMCy,MCm,MCcの
各有機色素が夫々感応する波長ν1a,ν1b,ν1cの各成
分光を含む第1の光R1a,R1b,R1cを、フルカラー記
録データに応じて夫々照射する。本例では、第1の光R
1aをイエロー画素に、R1bをマゼンタ画素に、R1cをシ
アン画素に、夫々対応させてある。又、第2光源18d
は、光記録の間、波長がν2の成分光を含む第2の光R2
を継続して照射する。この第2の光R2は、各カプセル
膜Cfの2分子累積膜に含まれている同一のコンホメー
ション異性化物質を励起させる。
【0059】次に、上述の様に構成したフルカラー光記
録紙及び記録装置を用いる光記録方法について説明す
る。本例の方法も、第1実施例(図5参照)と同様、熱
的に安定な初期段階、加熱段階、光照射による光記録段
階、発色反応開始段階及び光照射停止段階の5段階から
なる。図7は、その内の光記録段階前から光記録段階に
至るマイクロカプセル含有剤CCfの状態変化を示す模
式的説明図である。又、図8はフルカラー光記録装置の
概略構成を示す模式的説明図である。
録紙及び記録装置を用いる光記録方法について説明す
る。本例の方法も、第1実施例(図5参照)と同様、熱
的に安定な初期段階、加熱段階、光照射による光記録段
階、発色反応開始段階及び光照射停止段階の5段階から
なる。図7は、その内の光記録段階前から光記録段階に
至るマイクロカプセル含有剤CCfの状態変化を示す模
式的説明図である。又、図8はフルカラー光記録装置の
概略構成を示す模式的説明図である。
【0060】初期段階におけるマイクロカプセル含有剤
の状態は、第1実施例の場合と同様の状態であり、3種
類のマイクロカプセルMCy,MCm,MCc(図7参
照)の各2分子累積膜は液晶状態となっている。
の状態は、第1実施例の場合と同様の状態であり、3種
類のマイクロカプセルMCy,MCm,MCc(図7参
照)の各2分子累積膜は液晶状態となっている。
【0061】図8において、記録紙搬送経路19に沿っ
て給送されたフルカラー光記録紙Pfは、先ず、第1実
施例(図6参照)と同様に構成した加熱器17により加
熱される。これにより、図7に示すマイクロカプセル含
有剤CCfの結着樹脂2がゾル化すると共に顕色剤3が
溶融し、カプセル外相が低粘度化する。
て給送されたフルカラー光記録紙Pfは、先ず、第1実
施例(図6参照)と同様に構成した加熱器17により加
熱される。これにより、図7に示すマイクロカプセル含
有剤CCfの結着樹脂2がゾル化すると共に顕色剤3が
溶融し、カプセル外相が低粘度化する。
【0062】次いで、図7の〔a〕に示す様に、第2の
光R2を照射した状態下で、フルカラー記録データに応
じ3種類の第1の光R1a,R1b,R1cをマイクロカプセ
ル含有剤CCfに照射して光記録を行なう。これによ
り、図7の〔b〕に示す様に、マイクロカプセルMC
y,MCm,MCcの各カプセル膜における2分子累積膜
が、3種類の第1の光R1a,R1b,R1cの照射に応じて
選択的に乱される。このとき、カプセル外相は既に加熱
されてゾル状態となっているから、染料前駆体16a,
16b,16cと顕色剤(不図示)の相互拡散が直ちに
開始される。第1の光R1aを照射した1ドット領域で
は、マイクロカプセルMCyの2分子累積膜が選択的に
乱されて物質透過性が大きくなり、そのカプセル内相の
染料前駆体16aと外相の顕色剤が2分子累積膜を透過
して互いに拡散し始める。その結果、染料前駆体16a
と顕色剤とが発色反応を起こし、イエロー染料20aが
生成する。同様に、第1の光R1bを照射した1ドット領
域ではマゼンタ染料20bが、第1の光R1cを照射した
1ドット領域ではシアン染料20cが、夫々生成する。
この場合、カプセル外相にもそれら3種類の染料が生成
されるが、第1実施例の場合と同様に各染料前駆体16
a,16b,16cの拡散が結着樹脂2により制約され
る為、各染料20a,20b,20cはその素となる染
料前駆体16a,16b,16cの拡散元マイクロカプ
セル近傍にのみ生成する。
光R2を照射した状態下で、フルカラー記録データに応
じ3種類の第1の光R1a,R1b,R1cをマイクロカプセ
ル含有剤CCfに照射して光記録を行なう。これによ
り、図7の〔b〕に示す様に、マイクロカプセルMC
y,MCm,MCcの各カプセル膜における2分子累積膜
が、3種類の第1の光R1a,R1b,R1cの照射に応じて
選択的に乱される。このとき、カプセル外相は既に加熱
されてゾル状態となっているから、染料前駆体16a,
16b,16cと顕色剤(不図示)の相互拡散が直ちに
開始される。第1の光R1aを照射した1ドット領域で
は、マイクロカプセルMCyの2分子累積膜が選択的に
乱されて物質透過性が大きくなり、そのカプセル内相の
染料前駆体16aと外相の顕色剤が2分子累積膜を透過
して互いに拡散し始める。その結果、染料前駆体16a
と顕色剤とが発色反応を起こし、イエロー染料20aが
生成する。同様に、第1の光R1bを照射した1ドット領
域ではマゼンタ染料20bが、第1の光R1cを照射した
1ドット領域ではシアン染料20cが、夫々生成する。
この場合、カプセル外相にもそれら3種類の染料が生成
されるが、第1実施例の場合と同様に各染料前駆体16
a,16b,16cの拡散が結着樹脂2により制約され
る為、各染料20a,20b,20cはその素となる染
料前駆体16a,16b,16cの拡散元マイクロカプ
セル近傍にのみ生成する。
【0063】図7の〔c〕は1ドット領域に3種類の第
1の光R1a〜R1cを重ねて照射した状態を示したもの
で、全てのマイクロカプセルMCy,MCm,MCcの各
カプセル膜が乱されて各内相の染料前駆体16a,16
b,16cと顕色剤の相互拡散が進行し、3種類の染料
(3原色)20a,20b,20cが生成して全体とし
て黒ドットが形成されている。この様に、3種類の第1
の光R1a〜R1cの種類と強度をフルカラー記録画像デー
タに応じて選択制御しつつ1ドット領域に多重照射する
ことにより、所望の色彩と色濃度を備えたフルカラー記
録画像が得られる。
1の光R1a〜R1cを重ねて照射した状態を示したもの
で、全てのマイクロカプセルMCy,MCm,MCcの各
カプセル膜が乱されて各内相の染料前駆体16a,16
b,16cと顕色剤の相互拡散が進行し、3種類の染料
(3原色)20a,20b,20cが生成して全体とし
て黒ドットが形成されている。この様に、3種類の第1
の光R1a〜R1cの種類と強度をフルカラー記録画像デー
タに応じて選択制御しつつ1ドット領域に多重照射する
ことにより、所望の色彩と色濃度を備えたフルカラー記
録画像が得られる。
【0064】図8において、フルカラー記録紙Pfが光
記録ヘッド18の配設位置から搬出され、第1の光R1
と第2の光R2がマイクロカプセル含有剤CCf上に照射
されなくなると、第1実施例と同様に発色反応が停止す
る。これにより、フルカラー記録画像が確定し、この後
フルカラー光記録紙Pfは機外に排出される。
記録ヘッド18の配設位置から搬出され、第1の光R1
と第2の光R2がマイクロカプセル含有剤CCf上に照射
されなくなると、第1実施例と同様に発色反応が停止す
る。これにより、フルカラー記録画像が確定し、この後
フルカラー光記録紙Pfは機外に排出される。
【0065】以上の様に、本例の光記録方法によれば、
主な画像形成プロセス装置が加熱器17と光記録ヘッド
18だけで済み、簡単な構造のフルカラー光記録装置に
より良好な画像のフルカラー画像を安価に得ることがで
きる。
主な画像形成プロセス装置が加熱器17と光記録ヘッド
18だけで済み、簡単な構造のフルカラー光記録装置に
より良好な画像のフルカラー画像を安価に得ることがで
きる。
【0066】<第3実施例>本例は、第1実施例の変形
方法であり、図5に示した第1実施例では、各マイクロ
カプセルMCの2分子累積膜が初期状態から液晶状態に
在ったが、本例の方法では初期状態における2分子累積
膜を結晶状態にしておく。この為には、前述した様に、
2分子累積膜を構成する両親媒性化合物の相転移温度T
cを環境温度より高く設定すればよい。その他のモノカ
ラー光記録紙に関する構成は、第1実施例と同一であ
る。これにより、2分子累積膜は初期段階からゲル状態
(結晶状態)で分子透過に対しより高いバリアー性を備
えている為、初期段階におけるカプセル膜の物質透過性
は極めて小さい。従って、カプセル膜の内外相に夫々存
在する染料前駆体と顕色剤がより確実に隔離され、光照
射のない初期段階においてカプセル膜を微量の物質分子
が透過する“漏れ”による発色反応をより確実に防止す
ることができる。
方法であり、図5に示した第1実施例では、各マイクロ
カプセルMCの2分子累積膜が初期状態から液晶状態に
在ったが、本例の方法では初期状態における2分子累積
膜を結晶状態にしておく。この為には、前述した様に、
2分子累積膜を構成する両親媒性化合物の相転移温度T
cを環境温度より高く設定すればよい。その他のモノカ
ラー光記録紙に関する構成は、第1実施例と同一であ
る。これにより、2分子累積膜は初期段階からゲル状態
(結晶状態)で分子透過に対しより高いバリアー性を備
えている為、初期段階におけるカプセル膜の物質透過性
は極めて小さい。従って、カプセル膜の内外相に夫々存
在する染料前駆体と顕色剤がより確実に隔離され、光照
射のない初期段階においてカプセル膜を微量の物質分子
が透過する“漏れ”による発色反応をより確実に防止す
ることができる。
【0067】本例の光記録方法においても、先ず、2分
子累積膜が結晶状態であるマイクロカプセル含有剤を塗
着した光記録紙を第1実施例と同様に加熱する。この場
合、2分子累積膜の相転移温度Tc以上に加熱し、2分
子累積膜を液晶状態に相転移させる。これにより、2分
子累積膜の物質透過性が増大すると共に、顕色剤が溶融
し結着樹脂等のカプセル外相物質の粘度が下って流動性
が増す。この後は、第1実施例と同様に光記録を行な
う。これにより、初期段階における物質の“漏れ”透過
をより確実に防止して、記録データに正確に対応したモ
ノカラー記録画像を得ることができる。又、相転移温度
Tc以上に加熱したときにのみ発色反応が開始されるか
ら、より色変化を緻密に制御し易い。尚、第2実施例に
おいても、複数種類のマイクロカプセルMCy,MCm,
MCcの各2分子累積膜を初期段階から結晶状態にして
おけば、同様に初期段階における染料前駆体と顕色剤の
“漏れ”透過による発色反応をより確実に防止すること
ができ、より正確且つ高画質のフルカラー記録画像を得
ることができる。
子累積膜が結晶状態であるマイクロカプセル含有剤を塗
着した光記録紙を第1実施例と同様に加熱する。この場
合、2分子累積膜の相転移温度Tc以上に加熱し、2分
子累積膜を液晶状態に相転移させる。これにより、2分
子累積膜の物質透過性が増大すると共に、顕色剤が溶融
し結着樹脂等のカプセル外相物質の粘度が下って流動性
が増す。この後は、第1実施例と同様に光記録を行な
う。これにより、初期段階における物質の“漏れ”透過
をより確実に防止して、記録データに正確に対応したモ
ノカラー記録画像を得ることができる。又、相転移温度
Tc以上に加熱したときにのみ発色反応が開始されるか
ら、より色変化を緻密に制御し易い。尚、第2実施例に
おいても、複数種類のマイクロカプセルMCy,MCm,
MCcの各2分子累積膜を初期段階から結晶状態にして
おけば、同様に初期段階における染料前駆体と顕色剤の
“漏れ”透過による発色反応をより確実に防止すること
ができ、より正確且つ高画質のフルカラー記録画像を得
ることができる。
【0068】<第4実施例>本例の方法は、第3実施例
の構成をベースとし、更に、カプセル内相物質として配
してある補助的物質の選定を適切に行ない、カプセル内
相の粘性が急激に低下する温度を、高く設定してある2
分子累積膜の相転移温度Tc近辺に設定するものであ
る。第1実施例で述べた様に、カプセル内相の補助的物
質には、カプセル内相の溶液に適度な粘性を与える為の
粘度調整物質も含まれている。この粘度調整物質とし
て、本例では環境温度の上昇と共に粘性が急激に低下す
るポリマーレジンやワックスを用いる。
の構成をベースとし、更に、カプセル内相物質として配
してある補助的物質の選定を適切に行ない、カプセル内
相の粘性が急激に低下する温度を、高く設定してある2
分子累積膜の相転移温度Tc近辺に設定するものであ
る。第1実施例で述べた様に、カプセル内相の補助的物
質には、カプセル内相の溶液に適度な粘性を与える為の
粘度調整物質も含まれている。この粘度調整物質とし
て、本例では環境温度の上昇と共に粘性が急激に低下す
るポリマーレジンやワックスを用いる。
【0069】これにより、常温の環境温度の下では、カ
プセル内相物質の粘性が高い為、そこに含まれている染
料前駆体が拡散し難く、又、外相物質の結着樹脂等もゲ
ル状態となっている為、染料前駆体と顕色剤が第3実施
例の場合より更に確実に隔離される。更に、2分子累積
膜も結晶状態であるから、光を照射しない初期段階にカ
プセル膜を物質分子が微量透過する“漏れ”による発色
反応を、より完全に防止することができる。
プセル内相物質の粘性が高い為、そこに含まれている染
料前駆体が拡散し難く、又、外相物質の結着樹脂等もゲ
ル状態となっている為、染料前駆体と顕色剤が第3実施
例の場合より更に確実に隔離される。更に、2分子累積
膜も結晶状態であるから、光を照射しない初期段階にカ
プセル膜を物質分子が微量透過する“漏れ”による発色
反応を、より完全に防止することができる。
【0070】第3実施例と同様に、光記録の前に、モノ
カラー光記録紙を2分子累積膜の相転移温度Tc以上に
加熱する。これにより、2分子累積膜が液晶化すると共
に顕色剤が溶融してカプセル外相が低粘度化し、且つ、
カプセル内相に含まれている上述した粘性調整物質の粘
性が温度の上昇と共に急激に低下するから、次の光記録
段階において、染料前駆体と顕色剤が第1実施例と同様
に円滑に相互拡散し、活発に発色反応を起こす。以降の
手順と反応動作は、第1実施例と同様である。以上の様
に、本例によれば、第3実施例と同様に光だけでなく温
度によっても発色反応を緻密に制御でき、且つ、初期段
階における物質分子の“漏れ”透過による発色反応をよ
り完全に防止できる利点が得られる。
カラー光記録紙を2分子累積膜の相転移温度Tc以上に
加熱する。これにより、2分子累積膜が液晶化すると共
に顕色剤が溶融してカプセル外相が低粘度化し、且つ、
カプセル内相に含まれている上述した粘性調整物質の粘
性が温度の上昇と共に急激に低下するから、次の光記録
段階において、染料前駆体と顕色剤が第1実施例と同様
に円滑に相互拡散し、活発に発色反応を起こす。以降の
手順と反応動作は、第1実施例と同様である。以上の様
に、本例によれば、第3実施例と同様に光だけでなく温
度によっても発色反応を緻密に制御でき、且つ、初期段
階における物質分子の“漏れ”透過による発色反応をよ
り完全に防止できる利点が得られる。
【0071】以上、この発明を4通りの実施例に基づき
詳細に説明したが、この発明は、これらの特定の実施例
等に限定されるものではなく、この発明の技術的範囲に
おいて種々の変形が可能であることは勿論である。例え
ば、第1実施例では、カプセル内相に染料前駆体、カプ
セル外相に顕色剤を配したが、逆に、カプセル内相に顕
色剤、カプセル外相に染料前駆体を配してもよい。この
場合にも、緻密に記録画像の濃度を制御できる同様のモ
ノカラー光記録紙を得ることができる。又、第1実施例
では、図5に示す様に、第2の光R2の強度を一定に
し、第1の光R1の強度のみを変えて濃度階調を制御し
ているが、これに限らない。逆に、第1の光R1の強度
を一定にし、第2の光R2の強度を変化させることによ
っても、記録画像の濃度階調を制御できる。更に、反応
性物質は染料前駆体と顕色剤に限らず、発色反応を起こ
す他の種々の反応性物質を使用できる。
詳細に説明したが、この発明は、これらの特定の実施例
等に限定されるものではなく、この発明の技術的範囲に
おいて種々の変形が可能であることは勿論である。例え
ば、第1実施例では、カプセル内相に染料前駆体、カプ
セル外相に顕色剤を配したが、逆に、カプセル内相に顕
色剤、カプセル外相に染料前駆体を配してもよい。この
場合にも、緻密に記録画像の濃度を制御できる同様のモ
ノカラー光記録紙を得ることができる。又、第1実施例
では、図5に示す様に、第2の光R2の強度を一定に
し、第1の光R1の強度のみを変えて濃度階調を制御し
ているが、これに限らない。逆に、第1の光R1の強度
を一定にし、第2の光R2の強度を変化させることによ
っても、記録画像の濃度階調を制御できる。更に、反応
性物質は染料前駆体と顕色剤に限らず、発色反応を起こ
す他の種々の反応性物質を使用できる。
【0072】
【発明の効果】以上、詳細に説明した様に、この発明に
よれば、互いに混合されて発色反応を起こす反応性物質
の一方と、コンホメーション異性化物質と有機色素を含
む2分子累積膜を備え特定波長の光照射に応じて物質透
過性が変化するカプセル膜から成り、反応性物質の他方
を内蔵するマイクロカプセルとを、結着樹脂中に分散混
合させて成るマイクロカプセル含有剤を、支持シート表
面に被着することにより、高解像度のモノカラー記録画
像を極めて簡単な構造の装置で正確に光記録可能な光記
録シートを提供することができる。この場合、カプセル
膜の光応答性材料としてコンホメーション異性化物質と
有機色素を組み合わせるから、光応答性材料の選択範囲
が広くなり、所望の光応答性を備えた光記録シートを安
価に製造できる。又、結着樹脂中に応答する光の波長が
異なる複数種類のマイクロカプセルを分散含有させるこ
とにより、高解像度のフルカラー記録画像を簡単な装置
で光記録可能な光記録シートが得られる。そして、その
様な光記録シートを用い、記録データに応じて光の照射
強度を制御することにより、濃度階調性を備えた高解像
度のフルカラー記録画像をも簡単な装置で安価に得るこ
とが可能となる。更に、上記特定波長を備える光以外の
光ではカプセル膜の物質透過性は変化しないので、通常
光の照明下においても発色反応を緻密に制御でき、光記
録装置の構造がより簡単となる。
よれば、互いに混合されて発色反応を起こす反応性物質
の一方と、コンホメーション異性化物質と有機色素を含
む2分子累積膜を備え特定波長の光照射に応じて物質透
過性が変化するカプセル膜から成り、反応性物質の他方
を内蔵するマイクロカプセルとを、結着樹脂中に分散混
合させて成るマイクロカプセル含有剤を、支持シート表
面に被着することにより、高解像度のモノカラー記録画
像を極めて簡単な構造の装置で正確に光記録可能な光記
録シートを提供することができる。この場合、カプセル
膜の光応答性材料としてコンホメーション異性化物質と
有機色素を組み合わせるから、光応答性材料の選択範囲
が広くなり、所望の光応答性を備えた光記録シートを安
価に製造できる。又、結着樹脂中に応答する光の波長が
異なる複数種類のマイクロカプセルを分散含有させるこ
とにより、高解像度のフルカラー記録画像を簡単な装置
で光記録可能な光記録シートが得られる。そして、その
様な光記録シートを用い、記録データに応じて光の照射
強度を制御することにより、濃度階調性を備えた高解像
度のフルカラー記録画像をも簡単な装置で安価に得るこ
とが可能となる。更に、上記特定波長を備える光以外の
光ではカプセル膜の物質透過性は変化しないので、通常
光の照明下においても発色反応を緻密に制御でき、光記
録装置の構造がより簡単となる。
【図1】この発明の一実施例としてのモノカラー光記録
紙の構成を示す模式的断面図である。
紙の構成を示す模式的断面図である。
【図2】上記モノカラー光記録紙に塗着したマイクロカ
プセルの詳細構成を示す模式的断面図である。
プセルの詳細構成を示す模式的断面図である。
【図3】上記マイクロカプセルのカプセル膜中に含むコ
ンホメーション異性化物質の異性化反応を示す説明図で
ある。
ンホメーション異性化物質の異性化反応を示す説明図で
ある。
【図4】上記カプセル膜中の2分子累積膜の構造変化を
示す模式的断面図である。
示す模式的断面図である。
【図5】上記モノカラー光記録紙を用いた光記録方法に
おけるマイクロカプセル含有剤の状態変化を段階的に示
す模式的断面図である。
おけるマイクロカプセル含有剤の状態変化を段階的に示
す模式的断面図である。
【図6】上記光記録方法を実施する光記録装置の概略構
成を示す模式的説明図である。
成を示す模式的説明図である。
【図7】この発明の他の実施例としてのフルカラー光記
録紙を用いた光記録方法におけるマイクロカプセル含有
剤の状態変化を示す模式的断面図である。
録紙を用いた光記録方法におけるマイクロカプセル含有
剤の状態変化を示す模式的断面図である。
【図8】上記フルカラー記録方法を実施する光記録装置
の概略構成を示す模式的説明図である。
の概略構成を示す模式的説明図である。
1 基材紙 2 結着樹脂 3 顕色剤 4 補助的物質(外相) 5 壁材 6 微細孔 7 2分子累積膜 8 コンホメーション異性化物質 9 有機色素 10,16a,16b,16c 染料前駆体 11 補助的物質(内相) 12,19 記録紙搬送経路 13,17 加熱器 14,18 光記録ヘッド 15 染料 20a イエロー色素 20b マゼンタ色素 20c シアン色素 CC マイクロカプセル含有剤(モノカラー) CCf マイクロカプセル含有剤(フルカラー) Cf カプセル膜 MC1,MC2,MC3 マイクロカプセル(モノカラ
ー) MCy,MCm,MCc マイクロカプセル(フルカラ
ー) P モノカラー光記録紙 Pf フルカラー光記録紙 R1,R1a,R1b,R1c 第1の光 R2 第2の光
ー) MCy,MCm,MCc マイクロカプセル(フルカラ
ー) P モノカラー光記録紙 Pf フルカラー光記録紙 R1,R1a,R1b,R1c 第1の光 R2 第2の光
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) G03C 1/73 503 G03C 1/73 G01J 1/00 G01J 1/50 G01N 21/78
Claims (16)
- 【請求項1】 光の照射を受けて物質透過性を変化させ
るカプセル膜を備えたマイクロカプセルを結着樹脂中に
分散混合して成るマイクロカプセル含有剤を、支持シー
ト表面に被着して形成した光記録シートであって、前記
カプセル膜が酸化還元反応により立体構造を変化させる
コンホメーション異性化物質と分光増感特性を備えた有
機色素を含む2分子膜を有し、互いに混合されて発色反
応を起こす反応性物質の一方を前記結着樹脂中に分散混
合すると共に、前記マイクロカプセル内に前記反応性物
質の他方を内蔵し、特定波長の光を照射することによ
り、前記カプセル膜の物質透過性を増大させて前記反応
性物質を互いに拡散混合し発色反応を起こすことを特徴
とする色変化マイクロカプセル含有剤を被着した光記録
シート。 - 【請求項2】 前記反応物質の一方を顕色剤とし、前記
反応性物質の他方を染料前駆体とする請求項1記載の光
記録シート。 - 【請求項3】 前記反応性物質の一方を染料前駆体と
し、前記反応性物質の他方を顕色剤とする請求項1記載
の光記録シート。 - 【請求項4】 前記マイクロカプセル含有剤が、前記特
定波長が互いに異なるカプセル膜から成る複数種類のマ
イクロカプセルを含有する請求項1又は2記載の光記録
シート。 - 【請求項5】 前記2分子膜の材料として常温で液晶状
態となる相転移温度を備える材料を選定した請求項1乃
至4記載の光記録シート。 - 【請求項6】 前記2分子膜の材料として常温で結晶状
態となる相転移温度を備える材料を選定し、前記2分子
膜に前記特定波長の光を照射すると共に加熱して物質透
過性を増大させる請求項1乃至4記載の光記録シート。 - 【請求項7】 温度の上昇と共に粘度が急激に低下する
物性を備え、該粘度低下温度が前記2分子膜の相転移温
度に充分近い物質を前記マイクロカプセルに内蔵させる
請求項6記載の光記録シート。 - 【請求項8】 温度の上昇と共に粘度が急激に低下する
物性を備え、該粘度低下温度が前記2分子膜の相転移温
度に充分近い物質を前記結着樹脂中に分散混合した請求
項6記載の光記録シート。 - 【請求項9】 互いに混合されて発色反応を起こす反応
性物質の一方と、特定波長の光を受けてコンホメーショ
ン異性化する物質と分光増感特性を備えた有機色素を含
む2分子膜を有するカプセル膜から成り前記反応性物質
の他方を内蔵するマイクロカプセルとを、結着樹脂中に
分散混合して成るマイクロカプセル含有剤を、支持シー
ト表面に被着して成る光記録シートを用いる光記録方法
であって、前記特定波長の光を含む画像光を記録情報に
応じて前記光記録シート上のマイクロカプセル含有剤に
照射し、前記2分子膜の物質透過性を増大させて前記反
応性物質の相互拡散による発色反応を生じさせ、前記光
記録シート上に記録画像を形成することを特徴とする色
変化マイクロカプセル含有剤を被着した光記録シートを
用いる光記録方法。 - 【請求項10】 前記結着樹脂中に分散混合した前記反
応性物質の一方を顕色剤とし、前記マイクロカプセルに
内蔵させる前記反応物質の他方を染料前駆体とする請求
項9記載の光記録方法。 - 【請求項11】 前記結着樹脂中に分散混合した前記反
応性物質の一方を染料前駆体とし、前記マイクロカプセ
ルに内蔵させる前記反応性物質の他方を顕色剤とする請
求項9記載の光記録方法。 - 【請求項12】 前記マイクロカプセル含有剤が、前記
特定波長が互いに異なるカプセル膜から成る複数種類の
マイクロカプセルを含有し、前記特定波長を夫々備える
複数種類の光を記録情報に応じて照射する請求項9又は
10記載の光記録方法。 - 【請求項13】 前記2分子膜の材料として常温で液晶
状態となる相転移温度を備える材料を選定した請求項9
乃至12記載の光記録方法。 - 【請求項14】 前記2分子膜の材料として常温で結晶
状態となる相転移温度を備える材料を選定し、前記2分
子膜に前記特定波長の光を照射すると共に加熱して物質
透過性を増大させる請求項9乃至12記載の光記録方
法。 - 【請求項15】 温度の上昇と共に粘度が急激に低下す
る物性を備え、該粘度低下温度が前記2分子膜の相転移
温度に充分近い物質を前記マイクロカプセルに内蔵させ
る請求項14記載の光記録方法。 - 【請求項16】 温度の上昇と共に粘度が急激に低下す
る物性を備え、該粘度低下温度が前記2分子膜の相転移
温度に充分近い物質を前記結着樹脂中に分散混合した請
求項14記載の光記録方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP12584991A JP2979160B2 (ja) | 1991-05-29 | 1991-05-29 | 色変化マイクロカプセル含有剤を被着した光記録シートとそれを用いる光記録方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP12584991A JP2979160B2 (ja) | 1991-05-29 | 1991-05-29 | 色変化マイクロカプセル含有剤を被着した光記録シートとそれを用いる光記録方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH04350843A JPH04350843A (ja) | 1992-12-04 |
JP2979160B2 true JP2979160B2 (ja) | 1999-11-15 |
Family
ID=14920467
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP12584991A Expired - Lifetime JP2979160B2 (ja) | 1991-05-29 | 1991-05-29 | 色変化マイクロカプセル含有剤を被着した光記録シートとそれを用いる光記録方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2979160B2 (ja) |
-
1991
- 1991-05-29 JP JP12584991A patent/JP2979160B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH04350843A (ja) | 1992-12-04 |
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