JP4159176B2 - カラー記録媒体およびその記録方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、カラー複写装置、カラープリンタなどに用いられるフルカラー記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、フルカラー画像を形成する方法として、銀塩写真、感熱記録(熱溶融型、昇華型)、電子写真、インクジェットなどの方式が知られている。銀塩写真、感熱記録方式は高画質ではあるものの、現像液やインクリボンなどの廃棄物が出るという欠点がある。電子写真方式にはトナーが、インクジェット方式にはインクが必要である。そこで、廃棄物をなくすという観点から、自己発色型の記録媒体が検討されている。1つは感光感圧方式といわれるもので、露光により、感光性マイクロカプセルを硬化した部分と硬化しない部分を生じさせ、その後、加圧により硬化しなかったマイクロカプセルを破壊し、着色した内包物を紙に転写するもの、あるいは染料前駆体である内包物とマイクロカプセルの外に準備された顕色剤とを反応させて発色させ、画像を得るものである。これについては、「電子写真学会1992年度第1回研究会予稿集」47頁(1992)に詳しく記載されている。
【0003】
他に、感熱感光方式のTA紙(富士写真フィルム)といわれるものが開発されている。これは染料前駆体であるジアゾニウム塩を内包させた熱応答性カプセルを熱で制御することで、内包物とカプセル外に準備された顕色剤(カプラー)、有機塩基化合物との接触、すなわち、反応を制御することにより、染料の形成を制御するものである。つぎに紫外線を照射することで染料前駆体を分解し、発色できなくすることで定着するものである。フルカラーを得るために熱応答性カプセルとジアゾニウム塩に工夫がなされている。これについては「プリンタ材料とケミカルス」(高橋恭介、入江正浩監修、シーエムシー(1995))に詳しく記載されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従来の自己発色型記録媒体において、感光感圧方式は、加圧によりカプセルを破壊する必要があるため、カプセルを小粒径化することができず、また、破壊により解像度を劣化させ、画質が粗くなるといった欠点があった。また、感熱感光方式のTA紙は感光層として少なくともY、M、Cの3層が必要であり、定着に波長の異なる紫外線が必要であった。また、熱ヘッドによる書き込みのため、解像度に限界があり、書き込みのエネルギーが多くなるといった欠点があった。
【0005】
そこで、本発明は従来のこのような欠点を解決するために、感光感熱発色・光定着方式のフルカラー記録媒体を提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1にかかわる発明は、少なくともジアゾニウム塩、カプラー、塩基性物質、光重合開始剤、重合性物質を含む多核多重カプセルを含む記録媒体であって、ジアゾニウム塩を内包する熱応答性マイクロカプセルと少なくともカプラーおよび塩基性物質のいずれか一方または両方を内包する熱応答性または物質透過性マイクロカプセルを内包する多核多重マイクロカプセルを含む材料を支持体に塗布したことを特徴とするカラー記録媒体である。
【0007】
請求項2にかかわる発明は、ジアゾニウム塩、カプラー、塩基性物質、光重合開始剤、重合性物質を含む多核多重カプセルを備えたカラー記録媒体であって、前記カプラーおよび前記塩基性物質の少なくともいずれかを内包する熱応答性マイクロカプセルと、ジアゾニウム塩を内包する物質透過性カプセルとを具備する前記多核多重マイクロカプセルが支持体に塗布されていることを特徴とするカラー記録媒体である。
【0008】
請求項3にかかわる発明は、少なくともジアゾニウム塩、カプラー、塩基性物質、光重合開始剤、重合性物質を含む多核多重カプセル含む記録媒体であって、ジアゾニウム塩を内包する核と、少なくともカプラー、塩基性物質のいずれか一方または両方を内包する核において、いずれかの核が熱応答性カプセルに内包されており、他の核がコロイドまたはエマルジョンを形成している材料を内包する多核多重マイクロカプセルを含む材料を支持体に塗布したことを特徴とするカラー記録媒体である。
【0009】
請求項4にかかわる発明は、光重合剤が反応を開始する光の波長を制御するために、選択波長増感剤をカプセル内に含むことを特徴とする請求項1、2または3記載のカラー記録媒体である。
【0010】
請求項5にかかわる発明は、光重合剤が反応を開始する光の波長を制御するために、光フィルター剤をカプセル壁内側または、壁材中に含むことを特徴とする請求項1、2、3または4記載のカラー記録媒体である。
【0011】
請求項6にかかわる発明は、マイクロカプセルが少なくとも3種類あり、Y(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)に発色するようジアゾニウム塩とカプラーが組み合わされていることを特徴とする請求項1、2、3、4または5記載のカラー記録媒体である。
【0012】
請求項7にかかわる発明は、マイクロカプセルが少なくとも3種類あり、Y(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)に発色するように、少なくとも1色は、ジアゾニウム塩とカプラーが組み合わされており、残りのマイクロカプセルの発色体として、電子供与性染料前駆体と顕色剤を含むことを特徴とする請求項1、2、3、4、5または6記載のカラー記録媒体である。
【0013】
請求項8にかかわる発明は、請求項1、2、3、4、5、6または7記載のカラー記録媒体に波長の異なる3種類の光を照射し、それぞれ異なるマイクロカプセルの内包物の一部を硬化させ、続く加熱によりカラー画像を記録することを特徴とする記録方法である。
【0014】
請求項9にかかわる発明は、請求項1、2、3、4、5、6または7記載のカラー記録媒体に波長の異なる3種類の光を照射し、それぞれ異なるマイクロカプセルの内包物の一部を硬化させ、続く加熱によりカラー画像を記録したのち、紫外線を照射して硬化したカプセルのジアゾニウム塩を分解し、定着することを特徴とする記録方法である。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明は、少なくともジアゾニウム塩、カプラー、塩基性物質、光重合開始剤、重合性物質を含む多核多重カプセルを含む記録媒体であって、ジアゾニウム塩を内包する熱応答性マイクロカプセルと少なくともカプラーおよび塩基性物質のいずれか一方または両方を内包する熱応答性または物質透過性マイクロカプセルを内包する多核多重マイクロカプセルを含む材料を支持体に塗布したことを特徴とするカラー記録媒体である。図1および図2に、本発明の記録媒体であるマイクロカプセルの模式図を示す。
【0016】
ここで、物質透過性マイクロカプセルとは、マイクロカプセル中に含む物質、または、マイクロカプセル外の物質を自由に、もしくは、徐々に透過させることができるマイクロカプセルであり、熱応答性マイクロカプセルとは、マイクロカプセルのカプセル壁の物質透過性が、熱によって変化するマイクロカプセルである。一方、多重多核マイクロカプセルとは、複数のマイクロカプセルをカプセル内に含むマイクロカプセルである。
【0017】
本発明の記録媒体を用いた記録原理について説明する(図5および図6)。
【0018】
まず、画像信号を持った波長の異なる3波長の光、たとえば可視光R、G、Bを本発明の記録媒体に照射すると、それぞれの光に感受性を持つマイクロカプセル内で重合反応が開始し、その内包物が硬化する。このとき、未露光部は流動性がある。つぎに、熱応答性カプセル外壁のガラス転移点以上まで記録媒体を加熱することにより、熱応答性カプセル壁の物質隔離能力が低下し、ジアゾニウム塩と未露光部のカプラーあるいはカプラーと未露光部のジアゾニウム塩が接触、反応して発色する。このとき露光により硬化したカプラー部はジアゾニウムと、あるいは硬化したジアゾニウム塩部とカプラーは接触できないため発色しない。必要に応じて、全面に紫外線を照射し、未発色ジアゾニウム塩を分解し定着することで、画質の保存安定性が増す。
【0019】
ここで記録媒体の加熱温度は、50〜200℃であることが好ましい。50℃未満であると保存安定性が低下し、200℃をこえると色相が低下する傾向にある。
【0020】
以上のように、加圧工程を必要としないためマイクロカプセルの粒径に制限がなくなり、小粒径マイクロカプセルを用いることで高画質化が可能となる。また、光により発色しない部分を形成するため、熱発色にもかかわらず、高精細、高解像度の画像を得ることが可能となった。また、熱応答性カプセルの応答性を実用にあわせた低い温度に設定できることから消費エネルギーの低減が可能となっている。
【0021】
本発明のマイクロカプセルの製法としては、公知のマイクロカプセル化法、たとえば、近藤朝士著、「マイクロカプセル」日刊工業新聞社(1970年発行)に記載のin situ重合法、界面重合法、コアセルベーション法、スプレードライング法などを用いることができる。とくに熱応答性カプセルを形成する方法としては界面重合法や、in situ重合法が好ましい。多重または多核マイクロカプセルを製造する方法としては、たとえば内カプセルと外カプセル内包物を混合し、in situ重合法を用いてカプセル化する、またはコアセルベーション法によってカプセル化することができる。
【0022】
マイクロカプセルの製造は、油相/水相乳化液を作製後、カプセル化し、さらに、油層/水相/油相の乳化液から、外殻カプセルを作製する、または、水相層/油相乳化液を作製後、カプセル化し、さらに、油相/水相/油相の乳化液から、外殻カプセルを作製してもよい。
【0023】
本発明の熱応答性マイクロカプセル皮膜としては、ポリウレタン、ポリウレア、架橋ゼラチン、アルギン酸塩、セルロース、メラミン樹脂、ナイロン樹脂、尿素-ホルムアルデヒド樹脂など種々のものが使用できる。熱応答性マイクロカプセル膜としてはとくにポリウレア、ポリウレタンが好ましい。
【0024】
物質透過性マイクロカプセル皮膜としては、ゼラチン、ナイロン樹脂、デキストリン、セルロース、ポリ(1,4-ピペラジン-alt-テレフタル酸)などがあげられる。
【0025】
また、コロイドとは、均一な粒子の分散相が、分散媒と呼ばれる連続した相に含まれたものである。とくに、固体または液体の連続相中に液体の小敵が分散または懸濁したものがエマルジョンである。これらの分散媒としては、たとえば水、油、有機溶媒、ゼラチン、ポリビニルアルコールなどがあげられる。
【0026】
一般に、ジアゾニウム塩は、フェノール化合物あるいは、活性メチレンを有する化合物などのカプラーと反応し、色素を形成する。また光(一般的には紫外線)照射により分解し、脱窒素してその活性を失う性質を持つ。
【0027】
本発明に用いられるジアゾニウム塩としては、特開昭60−184880号公報、特開昭61−172789号公報、特開平2−147285号公報、特開平6−328853号公報、特願平5−297024号公報、特願平5−278608号公報に記載された化合物が使用できる。たとえば、4−(4′−メチルフェニルチオ)−2,5−ジエトキシベンゼンジアゾニウム、4−ピロリヂノ−3−メチルベンゼンジアゾニウム、4−モルフォリノ−2,5−ジブトキシベンゼンジアゾニウム、4−モルフォリノベンゼンジアゾニウム、4−モルフォリノ−2,5−オクトキシベンゼンジアゾニウム、4−(N−(2−エチルヘキサノイル)ピペラジノ)−2,5ジエトキシベンゼンジアゾニウム、4−N,N−ジエチルアミノベンゼンジアゾニウム、3−(−2−オクチルオキシエトキシ)−モルフォリノベンゼンジアゾニウム、4−N−ヘキシル−N−トリルアミノ−2−ヘキシルオキシベンゼンジアゾニウムなどの塩があげられる。ジアゾニウム塩の酸アニオンにはヘキサフルオロフォスフェート、テトラフルオロボレート、1,5−ナフタレンスルホネート、パーフルオロアルキルカルボネート、パーフルオロアルキルスルフォネート、塩化亜鉛、塩化錫などを用いることができる。カプセルの製造工程において、水に溶解する場合には、とくに塩化亜鉛塩とすることが好ましい。また、有機溶剤に溶解する場合には、溶解性の点でヘキサフルオロフォスフェート、テトラフルオロボレート、1,5−ナフタレンスルホネートを酸アニオンとする塩が好ましい。また、本発明においては異なる2種類以上のジアゾニウム塩を任意の比率で混合して用いても良い。
【0028】
ジアゾニウム塩を内包するカプセルには、必要に応じてアリールスルホンアミドなどの公知の熱増感剤を添加してもよい。具体的には、トルエンスルホンアミドやエチルベンゼンスルホンアミドなどがあげられる。また、本発明においては、異なる二種以上の熱増感剤を混合して使用することもできる。
【0029】
また、ジアゾニウム塩の自然分解を防止するためにクエン酸や酒石酸を添加してもよい。
【0030】
本発明に用いるカプセルの芯を形成するための疎水性溶媒としては、高沸点有機溶媒が好ましく、たとえば、アルキルナフタレン、アルキルジフェニルエタン、アルキルジフェニルメタン、ジフェニルエタンアルキル付加物、アルキルビフェニル、塩素化パラフィン、燐酸トリクレジルなどの燐酸系誘導体、マレイン酸エステル類、フタル酸エステル、およびアジピン酸エステルなどがあげられる。ジアゾニウム塩やカプラーのこれら高沸点溶媒に対する溶解性が充分でない場合には、低沸点溶媒を併用することができる。具体的には、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチレンクロライド、テトラヒドロフランおよび、アセトンなどがあげられる。また、これらを二種以上混合してもよい。また、水溶性化合物を内包するカプセルを形成する場合には、水を溶媒とする。
【0031】
本発明に用いるカプラーとしては、特開平1−67379号公報、特開平2−54250号公報、特開平4−53794号公報、特願平6−18669号公報、特願平6−18670号公報などに記載されたものが使用できる。たとえば、レゾルシン、フロログルシン、ピラゾロン誘導体、β−ジケトン誘導体、オキシジフェニル誘導体、α−ナフトールなどのナフトール誘導体、フェノールなどがあげられる。これらを混合して目的の発色色相を得ることもできる。たとえば、レゾルシン、フロログルシン、2,3−ジヒドロキシナフタレン−6−スルホン酸ナトリウム、1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸モルホリノプロピルアミド、1,5−ジヒドロキシナフタレン、2,3−ジヒドロキシナフタレン、2,3−ジヒドロキシ−6−スルフォニルナフタレン、2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸アニリド、2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸エタノールアミド、2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸オクチルアミド、2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸−N−ドデシルオキシプロピルアミド、2−ヒドロキシ−3一ナフトエ酸テトラデシルアミド、アセトアニリド、アセトアセトアニリド、ベンゾイルアセトアニリド、2−クロロ−5−オクチルアセトアセトアニリド、1−フェニル−3−メチル−5−ビラゾロン、1−(2′−オクチルフェニル)−3−メチル−5−ピラゾロン、1−(2′,4′,6′−トリクロロフェニル)−3−ペンズアミド−5−ビラゾロン、1−(2′,4′,6′−トリクロロフエニル)−3−アニリノ−5−ビラゾロン、1−フェニル−3−フェニルアセトアミド−5−ビラゾロン、1−(2−ドデシルオキシフェニル)−2−メチルカーボネイトシクロヘキサン−3,5−ジオン、1−(2−ドデシルオキシフェニル)シクロヘキサン−3,5−ジオン、N−フェニル−N−ドデシルバルビツール酸、および、N−フェニル−N−(3−ステアリルオキシ)ブチルバルビツール酸をあげることができる。これらのカプラーは、2種以上併用し目的の発色色相を得ることもできる。
【0032】
本発明に用いる塩基性物質としては、特開平2−1371号公報、特開平1−63187号公報などに記載されているものが使用できる。無機あるいは有機の塩基化合物のほか、加熱時に分解などによりアルカリ物質を放出するような化合物も含まれる。代表的なものとしては、有機アンモニウム塩、有機アミン、アミド、尿素およびチオ尿素さらにそれらの誘導体、チアゾール類、ピロール類、ピリミジン類、ピペラジン類、グアニジン類、インドール類、イミダゾール類、イミダゾリン類、トリアゾール類、モルホリン類、ピペリジン類、アミジン頬、フォルムアジン類、ピリジン類などの含窒素化合物があげられる。これらの具体例としては、トリシクロヘキシルアミン、トリペンジルアミン、オクタデシルペンジルアミン、ステアリルアミン、アリル尿素、チオ尿素、メチルチオ尿素、アリルチオ尿素、エチレンチオ尿素、2−ペンジルイミダゾール、4−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾリン、2,4,5−トリフリル−2−イミダゾリン、1,2−ジフエニル−4,4−ジメチル−2−イミダゾリン、2−フェニル−2−イミダゾリン、1,2,3−トリフェニルグアニジン、1,2−ジシクロヘキシルグアニジン、1,2,3−トリシクロヘキシルグアニジン、グアニジントリクロロ酢酸塩、N,N′一ジペンジルピペラジン、4,4′−ジチオモルホリン、モルホリニウムトリクロロ酢酸塩、2−アミノペンゾチアゾール、および2−ベンゾイルヒドラジノベンゾチアゾールをあげることができる。これらは2種以上併用することもできる。
【0033】
一般には、ジアゾニウム塩1モルに対して、カプラー1〜10モル、好ましくは1.5〜6.5モルが適当である。また、塩基性化合物はその塩基性強度によって異なるが、ジアゾニウム塩の0.3〜5モル程度がよい。
【0034】
熱応答性マイクロカプセルまたは物質透過性マイクロカプセルの粒径は、0.1〜5μmであることが好ましい。0.1μm未満であると、製造コストが高くなり、5μmをこえると、解像度が劣化する傾向にある。
【0035】
一方、多核多重マイクロカプセルの粒径は、0.5〜100μmであることが好ましい。0.5μm未満であると、製造コストが高くなり、100μmをこえると、解像度が劣化する傾向にある。
【0036】
熱応答性カプセルの添加量は、熱応答性および物質透過性マイクロカプセルの添加量は、多核多重マイクロカプセル中5〜80重量%、より好ましくは30〜60重量%である。5重量%より少なかったり、80重量%より多いとマイクロカプセル化が困難となる傾向がある。
【0037】
本発明に用いられる電子供与性染料前駆体としては、トリアリールメタン系化合物、ジフェニルメタン系化合物、チアジン系化合物、キサンテン系化合物、スピロピラン系化合物があげられる。とくに、トリアリールメタン系化合物およびキサンテン系化合物が、発色濃度が高く有用である。
【0038】
これらの具体例として、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド、3,3−ビス(p−ジメチルアミノ)フタリド、3−(p−ジメチルアミノフェニル)−3−(1,3−ジメチルインドール−3−イル)フタリド、3−(p−ジメチルアミノフェニル)−3−(2−メチルインドール−3−イル)フタリド、3−(o−メチル−p−ジメチルアミノフェニル)−3−(2−メチルインドール−3−イル)、4,4′−ビス(ジメチルアミノ)ベンズヒドリンベンジルエーテル、N−ハロフェニルロイコオーラミン、ローダミン−B−アニリノラクタム、ローダミン−B−(p−クロロアニリノ)ラクタム、2−ベンジルアミノ−6−ジエチルアミノフルオラン、2−アニリノ−6−ジエチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−シクロヘキシルメチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−イソアミルエチルアミノフルオラン、2−(o−クロロアニリノ)−6−ジエチルアミノフルオラン、2−オクチルアミノ−6−ジエチルアミノフルオラン、2−エトキシエチルアミノ−3−クロロ−2−ジエチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−クロロ−6−ジエチルアミノフルオラン、ベンゾイルロイコメチレンブルー、p−ニトロベンジルロイコメチレンブルー、3−メチル−スピロ−ジナフトピラン、3−エチル−スピロ−ジナフトピラン、3,3′−ジクロロースピロージナフトピラン、3−ベンジルピロジナフトピラン、3−プロピル−スピロ−ジベンゾピランらがあげられる。
【0039】
また、前記電子供与性染料前駆体と組み合わせて用いられる顕色剤(電子受容性化合物)としては、ビスフェノール類らのフェノール誘導体、サリチル酸誘導体、ヒドロキシ安息香酸エステル誘導体らがあげられる。中でも、ビスフェノール類、ヒドロキシ安息香酸エステル類が好ましい。例えば、2,2−ビス(p−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(p−ヒドロキシフェニル)ペンタン、2,2−ビス(p−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(p−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4′−ヒドロキシ−3′,5′−ジクロロフェニル)プロパン、1,1−(p−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−(p−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−(p−ヒドロキシフェニル)ペンタン、1,1−(p−ヒドロキシフェニル)−2−エチルヘキサン、3,5−ジ(α−メチルベンジル)サリチル酸およびその多価金属塩、3,5−ジ(tert−ブチル)サリチル酸およびその多価金属塩、3−α,α−ジメチルベンジルサリチル酸およびその多価金属塩、p−ヒドロキシ安息香酸プチル、p−ヒドロキシ安息香酸ベンジル、p−ヒドロキシ安息香酸−2−エチルヘキシル、p−フェニルフェノ−ルおよび p−クミルフェノールをあげることができる。本発明においては、これらの電子受容性化合物を2種以上任意の比率で併用することもできる。
【0040】
電子供与性染料前駆体と顕色剤(電子受容性化合物)を含む場合には、その反応を促進するための増感剤を添加することもできる。増感剤としては、分子内に芳香族性の基と極性基を適度に有す低融点有機化合物が好ましい。たとえば、p−べンジルオキシ安息香酸べンジル、α−ナフチルベンジルエーテル、β−ナフチルべンジルエーテル、β−ナフトエ酸フェニルエステル、α−ヒドロキシ−β−ナフトエ酸フェニルエステル、β−ナフトール−(p−クロロベンジル)エーテル、1,4−ブタンジオールフェニルエーテル、1,4−ブタンジオール−P−メチルフェニルエ−テル、1,4−ブタンジオール−p−エチルフェニルエーテル、1,4−ブタンジオール−m−メチルフェニルエーテル、1−フェノキシ−2−(p−トリルオキシ)エタン、1−フェノキシ−2−(p−エチルフェノキシ)エタン、1−フェノキシ−2−(p−クロロフェノキシ)エタン、p−ベンジルビフェニルなどがあげられる。本発明においては、これらの増感剤を2種以上任意の比率で併用することもできる。
【0041】
本発明に用いる支持体としては、たとえば、紙、上質紙、コート紙などの紙類、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、アセチルセルロース、ポリビニルアセタール、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリイミドなどのフィルムおよび樹脂類、紙類と樹脂類からなる合成紙があげられる。これらの中で、ポリエチレンテレフタレートのフィルムが平面平滑性、強度面から好ましく、また、フィルムの片面にアルミ蒸着などにより反射層を形成したものは感光感度を向上させる効果があり、とくに好ましい。
【0042】
本発明に用いる重合性物質としては、たとえば、アクリル酸エステル類、アクリルアミド類、メタクリル酸類、メタクリル酸エステル類、メタクリルアミド類、無水マレイン酸類、マレイン酸エステル類、スチレン類、ビニルエーテル類、ビニルエステル類、アリルエーテル類などがあげられるが、重合速度が速い点でアクリル酸エステル類、、メタクリル酸エステル類が好ましい。
【0043】
本発明に用いる光重合開始剤としては、たとえば、芳香族カルボニル化合物、アセトフェノン類、有機過酸化物、有機ハロゲン化物、アゾ化合物、染料−ボレート錯体、金属アレーン錯体、などが用いられる。好ましくは、(η5−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)[(1,2,3,4,5,6−η)−(1−メチルエチル)ベンゼン]鉄(1+)ヘキサフルオロホスフェート(1−)、4,4′−テトラキス(t−ブチルジオキシカルボニル)ベンゾフェノン、ヨードニウム塩、アルキルホウ酸塩があげられる。
【0044】
また、光重合開始剤は重合性物質に対して0.1〜20重量%、より好ましくは1〜10重量%の比率で用いられる。1%以下では重合反応が進行しにくく、10%以上では感度の向上がほとんど見られない。
【0045】
本発明に用いる波長増感剤としては、使用する露光源の特定波長を吸収するものを選択すればよい。たとえば、アクリルオレンジ系染料、ベンゾフラン系染料、メロシアニン系染料、キサンテン系染料、シアニン系染料、チアジン系染料、アジン系染料、メチン系染料、オキサジン系染料、フェニルメタン系染料、アゾ系染料、アントラキノン系染料、ピラゾリン系染料、スチルベン系染料、キノリン系染料、ローダミン系染料、サフラニン系染料、マラカイトグリーン系染料、メチレンブルー系染料、クマリン系染料、スクワリリウム系染料があげられる。R光用としてはスクワリリウム色素、G光用としてはシアニン染料、B光用としてはクマリン染料が好ましい。
【0046】
波長増感剤は重合性物質に対して1〜100重量%が好ましく、5〜20重量%がより好ましい。1重量%よりも少ないと増感剤としての効力が不充分であり、100重量%よりも多いと純度が低下する傾向がある。
【0047】
また、本発明に用いられる異なる色を発色する感光性マイクロカプセルが、互いに感光感度特性に重なりをもつことがある。この場合、画像形成において、白色部が汚れたり、色調が不良になるといった問題が生じる。そこで、カプセル内または外殻カプセル壁材中に、選択的に特定波長領域の光を吸収する光フィルター物質を含有させることが望ましい。光フィルター物質としては、アクリルオレンジ系染料、ベンゾフラン系染料、メロシアニン系染料、キサンテン系染料、シアニン系染料、チアジン系染料、アジン系染料、メチン系染料、オキサジン系染料、フェニルメタン系染料、アゾ系染料、アントラキノン系染料、ピラゾリン系染料、スチルベン系染料、キノリン系染料、ローダミン系染料、サフラニン系染料、マラカイトグリーン系染料、メチレンブルー系染料、クマリン系染料、スクワリリウム系染料があげられる。
【0048】
たとえば、図1のような感光感度特性を持つY、M、C、3種のカプセルを含有するフルカラー記録媒体の場合、イエロー(Y)カプセルには、500nm以上の光を吸収あるいは反射する材料を光フィルター物質として用い、マジェンダ(M)カプセルには、500nm以下の光を吸収あるいは反射する材料を光フィルター物質として用い、シアン(C)カプセルには、600nm以下の光を吸収あるいは反射する材料を光フィルター物質として用いることができる。
【0049】
光フィルター剤の添加量は、カプセル壁材に対して、0.01〜20重量%が好ましい。0.01重量%よりも少ないと、充分なフィルター機能を得ることができず、20重量%よりも多いと、カプセル自体が視認可能なほどに着色する傾向がある。
【0050】
本発明の記録媒体の塗工には、バーコーター、ロールコーター、ブレードコーター、エアナイフコーターなどを用いることができる。
【0051】
本発明には光堅牢性を向上させるために感光層の上に保護層を設けてもよい。保護層としては、一般的な高分子材料を用いることができ、水溶性高分子または疎水性高分子のエマルジョンが好ましい。
【0052】
【実施例】
以下、本発明を実施例によって更に詳述するが、本発明は、これらによって制限されるものではない。
【0053】
実施例1
(1)ジアゾニウム塩を内包する熱応答性カプセルの製造
4−(4′−メチルフェニルチオ)−2,5−ジエトキシベンゼンヂアゾニウムヘキサフルオロフォスフェート(ダイトーケミックス製、DH−575 PF6)3重量部、硫酸ジブチル3重量部を酢酸エチル10重量部に溶解し、さらにイソプロピルビフェニル6重量部を加え均一に混合した。ついで、この混合液に、キシレンジイソシアネート/トリメチロールプロパン付加物(武田薬品工業(株)製、タケネートD−110N)8重量部を加えて均一に混合し、A液を得た。
【0054】
別途、n−オクチルグルコシド(日本精化(株)製、Scuraph AG−8)0.2重量部を加えた6重量%ゼラチン水溶液64重量部を用意し、上記A液を添加し、ホモジナイザーを用いて8000rpmで5分間乳化分散した。得られた乳化物に水20重量部を加えた後、撹拌しながら、昇温速度1℃/minで60℃まで昇温し、60℃で3時間カプセル化反応を行った。その後、35℃まで液温を下げ、イオン交換樹脂アンバーライトIRA67(オルガノ製)6.5重量部、イオン交換樹脂アンバーライトIRC50(オルガノ製)13重量部を加え、さらに1時間撹拌した。ついで、イオン交換樹脂を濾過し、カプセル液を得た。この液から、遠心分離によりカプセルを取り出し、水による洗浄後、乾燥させカプセルCを得た。カプセルの平均粒径は0.5μmであった。
【0055】
(2)カプラーと塩基性物質を内包する熱応答性カプセルの製造
ポリエチレングリコールジアクリレートとジペンタエリストールヘキサアクリレートを3:4に配合したもの50重量部に、カプラーとして2−ヒドロキシナフタレン−3−カルボキシ−2′−メチルアニリン(ダイトーケミックス製、Daito Grounder OL)10重量部、塩基性物質としてトリフェニルグアニジン3重量部、波長増感色素としてスクワリリウム0.5重量部、光重合開始剤である(η5−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)[(1,2,3,4,5,6−η)−(1−メチルエチル)ベンゼン]鉄(1+)ヘキサフルオロホスフェート(1−)3重量部を加え、酢酸エチル10重量部に少し加熱して溶解し、さらにイソプロピルビフェニル5重量部を加え、均一になるよう加熱混合した。冷却後、この混合液にキシレンジイソシアネート/トリメチロールプロパン付加物(武田薬品工業(株)製、タケネートD−110N)8部を加えて、均一に混合し、B液を得た。
【0056】
別途、n−オクチルグルコシド(日本精化製、Scuraph AG−8)0.2重量部を加えた6重量%ゼラチン水溶液64重量部を用意し、上記B液を添加し、ホモジナイザーを用いて8000rpmで、5分間乳化分散した。得られた乳化物に水20重量部を加えた後、撹拌しながら、昇温速度1℃/minで60℃まで昇温し、60℃で3時間カプセル化反応を行った。冷却後、カプセル液Bを得た。カプセルの平均粒径は1μmであった。
【0057】
(3)C発色カプセルの製造
上記カプセル液Bに、ジアゾニウム塩を含むカプセルCを加え、さらに、このカプセル溶液を乳化剤の5重量%ポリスチレンスルホン酸の1部ナトリウム塩水溶液と5重量%、スチレン−無水マレイン酸共重合体水溶液の1:1水溶液中に混合撹拌し、カプセル液Dを得た。
【0058】
別途、37%ホルムアルデヒド水溶液にメラミン粉末を加え、水酸化ナトリウム水溶液でPH9に調整し、60℃で30分加熱してメラミン・ホルムアルデヒドプレポリマー溶液を得た。この溶液にカプセル液Dを加え、60℃で10時間撹拌した後、酢酸溶液によりPH7に調整し、650nm付近に感光感度を持つシアン発色カプセルを得た。カプセルの粒径は1〜10μmであった。
【0059】
(4)M発色カプセルの製造
ジアゾニウム塩としてC発色で用いた4−(4′−メチルフェニルチオ)−2,5−ジエトキシベンゼンヂアゾニウムヘキサフルオロフォスフェートのかわりにp−N,N−ジノルマルペンチルアミノ−3−ブトキシベンゼンジアゾニウムヘキサフルオロフォスフェートを、カプラーとして2−ヒドロキシナフタレン−3−カルボキシ−2′−メチルアニリンの代わりに化合物1を、波長増感色素としてスクワリリウムの代わりにシアニン染料を用いた以外、C発色カプセルと同様の方法で550nm付近に感光感度を持つM(マゼンタ)発色カプセルを得た。カプセルの粒径は1〜10μmであった。
【0060】
【化1】
【0061】
(5)Y発色カプセルの製造
カプラーとして2−ヒドロキシナフタレン−3−カルボキシ−2′−メチルアニリンの代わりに化合物2を、波長増感色素としてスクワリリウムの代わりにクマリン染料を用いた以外、C発色カプセルと同様の方法で550nm付近に感光感度を持つM(イエロー)発色カプセルを得た。カプセルの粒径は1〜3μmであった。
【0062】
【化2】
【0063】
(6)記録媒体の製造
上記C発色カプセル、Y発色カプセル、M発色カプセルの3種類のカプセルそれぞれ20重量部とバインダー樹脂としてポリビニルアルコールの20%水溶液30重量部を混合して塗工液とし、バーコート法で188μm厚のPETフィルム上に塗布し、乾燥膜厚12μmの感光層を持つフルカラー記録媒体を得た。
【0064】
得られたフルカラー記録媒体を、画像信号を持ったR、G、B光のLEDを用いてそれぞれ0.2mJ/mm2で露光し、その後、120℃に加熱したローラーで2秒間、加熱することにより、鮮明なフルカラー画像を得ることができた。
【0065】
実施例2
実施例1において、ジアゾニウム塩を、以下に示す手順により物質透過性カプセルに内包する以外は、実施例1と同様にしてフルカラー記録媒体を得た。
(1)ジアゾニウム塩を内包する物質透過性カプセルの製造
4−(4′−メチルフェニルチオ)−2,5−ジエトキシベンゼンヂアゾニウムヘキサフルオロフォスフェート(ダイトーケミックス製、DH−575 PF6)3重量部、硫酸ジブチル3重量部を酢酸エチル10重量部に溶解し、さらにイソプロピルビフェニル6重量部を加え、均一に混合した。
【0066】
別途、2%ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム溶液6重量部を加えた6重量%ゼラチン水溶液64重量部を用意し、上記A液を添加し、ホモジナイザーを用いて8000rpmで5分間乳化分散した。得られた乳化物に、6%アラビアゴム水溶液64重量部を40℃で混合した。この溶液に、40℃の温水20重量部を加えた後、10%酢酸水溶液を数ミリリットル滴下し5℃まで冷却した。その後、この溶液に30%ホルマリン数ミリリットルを加え、溶液のpH値が9になるように水酸化ナトリウム溶液を加え、昇温速度1℃/minで50℃まで昇温した。溶液を室温まで冷却し、水で洗浄後乾燥することにより、ジアゾニウム塩を内包する物質透過性カプセルを得た。カプセルの平均粒径は0.9μmであった。
【0067】
得られたフルカラー記録媒体を、画像信号を持ったR、G、B光のLEDを用いてそれぞれ0.2mJ/mm2で露光し、その後、120℃に加熱したローラーで2秒間、加熱することにより、鮮明なフルカラー画像を得ることができた。
【0068】
実施例3
(1)ジアゾニウム塩を内包する熱応答性カプセルの製造
4−(4′−メチルフェニルチオ)−2,5−ジエトキシベンゼンジアゾニウムヘキサフルオロフォスフェート(ダイトーケミックス製、DH−575 PF6)3重量部、硫酸ジブチル3重量部を酢酸エチル10重量部に溶解し、さらにイソプロピルビフェニル6重量部を加え、均一に混合した。
【0069】
ついで、この混合液にキシレンジイソシアネート/トリメチロールプロパン付加物(武田薬品工業(株)製、タケネートD−110N)8部を加えて均一に混合してE液を得た。
【0070】
別途、n−オクチルグルコシド(日本精化製、Scuraph AG−8)0.2重量部を加えた6重量%ゼラチン水溶液64重量部を用意し、上記E液を添加し、ホモジナイザーを用いて、8000rpmで、5分間乳化分散した。得られた乳化物に水20重量部を加え、撹拌しながら昇温速度1℃/minで60℃まで昇温し、60℃で3時間カプセル化反応を行った。冷却後、カプセル液Fを得た。その後、30℃でイオン交換樹脂アンバーライトIRA67(オルガノ製)6.5重量部、イオン交換樹脂アンバーライトIRC50(オルガノ製)13重量部を加え、さらに1時間撹拌した。ついで、イオン交換樹脂を濾過し、カプセル液Fを得た。カプセルの平均粒径は0.5μmであった。
【0071】
(2)C発色カプセルの製造
ポリエチレングリコールジアクリレートとジペンタエリストールヘキサアクリレートを3:4に配合したものを100重量部に、上記のカプセルC8重量部、カプラーとして2−ヒドロキシナフタレン−3−カルボキシ−2′−メチルアニリン(ダイトーケミックス製、Daito Grounder OL)10重量部、塩基性物質としてトリフェニルグアニジン3重量部、波長増感色素としてスクワリリウム0.5重量部、光重合開始剤である(η5−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)[(1,2,3,4,5,6−η)−(1−メチルエチル)ベンゼン]鉄(1+)ヘキサフルオロホスフェート(1−)3重量部を加え、50℃で10分加熱することで疎水性の液状成分Gを得た。これを、2%ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム溶液6重量部を加えた6重量%ゼラチン水溶液180重量部を用意し、上記G液を添加し、ホモジナイザーを用いて10分間乳化分散した。得られた乳化物に水20重量部を加えた後、35℃でイオン交換樹脂アンバーライトIRA67(オルガノ製)6.5重量部、イオン交換樹脂アンバーライトIRC50(オルガノ製)13重量部を加え、さらに1時間撹拌した。その後、イオン交換樹脂を濾過することにより、カプセル溶液Hを得た。
【0072】
つぎに、乳化剤の5重量%ポリスチレンスルホン酸の一部ナトリウム塩水溶液と5重量%スチレン−無水マレイン酸共重合体水溶液の1:1水溶液中にカプセル溶液F、Hを加え、均一混合分散させて溶液Iを得た。
【0073】
別途、37%ホルムアルデヒド水溶液にメラミン粉末を加え、水酸化ナトリウム水溶液でPH9に調整し、60℃で30分加熱してメラミン・ホルムアルデヒドプレポリマー溶液を得た。この溶液にカプセル液Iを加え、60℃で10時間撹拌した後、酢酸によりPH7に調整し、650nm付近に感光感度を持つシアン発色カプセルを得た。カプセルの粒径は1〜3μmであった。
【0074】
(3)M発色カプセルの製造
ジアゾニウム塩としてC発色で用いた4−(4′−メチルフェニルチオ)−2,5−ジエトキシベンゼンヂアゾニウムヘキサフルオロフォスフェートのかわりにp−N,N−ジノルマルペンチルアミノ−3−ブトキシベンゼンジアゾニウムヘキサフルオロフォスフェートを、カプラーとして2−ヒドロキシナフタレン−3−カルボキシ−2′−メチルアニリンのかわりに化合物1を、波長増感色素としてスクワリリウムの代わりにシアニン染料を用いた以外、C発色カプセルと同様の方法で550nm付近に感光感度を持つM(マゼンタ)発色カプセルを得た。カプセルの粒径は1〜3μmであった。
【0075】
(4)Y発色カプセル1の製造
カプラーとして2−ヒドロキシナフタレン−3−カルボキシ−2′−メチルアニリンのかわりに化合物2を、波長増感色素としてスクワリリウムの代わりにクマリン染料を用いた以外、C発色カプセルと同様の方法で550nm付近に感光感度を持つM(イエロー)発色カプセル1を得た。カプセルの粒径は1〜3μmであった。
【0076】
(5)記録媒体の製造
上記C発色カプセル1、Y発色カプセル1、M発色カプセル1の3種類のカプセルそれぞれ20重量部とバインダー樹脂としてポリビニルアルコールの20%水溶液30重量部を混合して塗工液とし、バーコート法で188μm厚のPETフィルム上に塗布し、乾燥膜厚12μmの感光層を持つフルカラー記録媒体を得た。
【0077】
続いて、得られたフルカラー記録媒体を使用した画像形成実験の結果について説明する。
【0078】
まず、画像信号を持ったR、G、B光のLEDを用いてそれぞれ0.2mJ/mm2で露光し、その後、120℃に加熱したローラーで2秒加熱し画像を得た。このとき、フルカラー記録媒体上に形成された画像は、鮮明なフルカラー画像が得られた。
【0079】
実施例4
(1)ジアゾニウム塩を内包する熱応答性カプセルの製造
4−(4′−メチルフェニルチオ)−2,5−ジエトキシベンゼンヂアゾニウム塩0.1部を純水0.4部に溶解してカプセルのうち水相となる水溶液を得た。キシリレンジイソシアネート/トリメチロールプロパン付加物(武田薬品(株)製、タケネートDllON、75重量%酢酸エチル溶液)5.3部をメチレンクロライド8部に溶解して油相となる有機溶媒溶液を得た。この有機溶媒溶液をホモジナイザーで撹拌しながら、有機溶媒溶液中に、前記水溶液を滴下し、水相/油相乳化液Jを得た。
【0080】
(2)C発色カプセルの製造
塩基性物質としてグアニジントリクロロ酢酸塩3重量部を純水3重量部に溶解した。つぎに、キシリレンジイソシアネート/トリメチロールプロパン付加物(武田薬品(株)製、タケネートDllON、75重量%酢酸エチル溶液)15重量部をメチレンクロライド24重量部に溶解して油相となる有機溶媒溶液を得た。この有機溶媒溶液をホモジナイザーで撹拌しながら、有機溶媒溶液中に前記水溶液を滴下し、水相/油相乳化液Kを得た。
【0081】
ポリエチレングリコールジアクリレートとジペンタエリストールヘキサアクリレートを3:4に配合したものを100重量部に、上記のカプセルC8重量部、カプラーとして2−ヒドロキシナフタレン−3−カルボキシ−2′−メチルアニリン(ダイトーケミックス製、Daito Grounder OL)10重量部、波長増感色素としてスクワリリウム0.5重量部、光重合開始剤である(η5−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)[(1,2,3,4,5,6−η)−(1−メチルエチル)ベンゼン]鉄(1+)ヘキサフルオロホスフェート(1−)3重量部を加え、50℃で10分加熱することで疎水性の液状成分Lを得た。その後、カプセル溶液JおよびK、疎水性溶液Lを均一に混合し、カプセル溶液Mを得た。つぎに、乳化剤の5重量%ポリスチレンスルホン酸の1部ナトリウム塩水溶液と5重量%スチレン−無水マレイン酸共重合体水溶液の1:1水溶液中にカプセル溶液Mを加え、ホモジナイザーにより6000rpmで、5分間乳化分散して、乳化液Nを得た。
【0082】
別途、37%ホルムアルデヒド水溶液にメラミン粉末を加え、水酸化ナトリウム水溶液でPH9に調整し、60℃で30分加熱してメラミン・ホルムアルデヒドプレポリマー溶液を得た。このプレポリマー溶液を、乳化液Nに加え、60℃で10時間撹拌した後、酢酸によりPH7に調整し、室温まで冷却することにより、650nm付近に感光感度を持つシアン発色多核カプセルを得た。
【0083】
(3)M発色カプセルの製造
ジアゾニウム塩としてC発色で用いた4−(4′−メチルフェニルチオ)−2,5−ジエトキシベンゼンヂアゾニウム塩のかわりにp−N,N−ジノルマルペンチルアミノ−3−ブトキシベンゼンジアゾニウム塩を、カプラーとして2−ヒドロキシナフタレン−3−カルボキシ−2′−メチルアニリンのかわりに化合物1を、波長増感色素としてスクワリリウムのかわりにシアニン染料を用いた以外、C発色カプセルと同様の方法で550nm付近に感光感度を持つM(マゼンタ)発色カプセルを得た。
【0084】
(4)Y発色カプセル1の製造
カプラーとして2−ヒドロキシナフタレン−3−カルボキシ−2′−メチルアニリンのかわりに化合物2を、波長増感色素としてスクワリリウムのかわりにクマリン染料を用いた以外、C発色カプセルと同様の方法で550nm付近に感光感度を持つM(イエロー)発色カプセルを得た。
【0085】
(5)記録媒体の製造
上記C発色カプセル、Y発色カプセル、M発色カプセルの3種類のカプセルそれぞれ20重量部とバインダー樹脂としてポリビニルアルコールの20%水溶液30重量部を混合して塗工液とし、バーコート法で188μm厚のPETフィルム上に塗布し、乾燥膜厚12μmの感光層を持つフルカラー記録媒体を得た。
【0086】
続いて、得られたフルカラー記録媒体を使用した画像形成実験の結果について説明する。
【0087】
まず、画像信号を持ったR、G、B光のLEDを用いてそれぞれ0.2mJ/mm2で露光し、その後、120℃に加熱したローラーで2秒加熱し画像を得た。このとき、フルカラー記録媒体上に形成された画像は、鮮明なフルカラー画像が得られた。
【0088】
実施例5
実施例1において、C発色カプセルの製造時において、外殻カプセル壁製造時のメラミン粉末混合時において、600nm以下の光を吸収するシアニン染料を微量添加し、同様に、M発色カプセル製造時において、500nm以下の光を吸収するクマリン染料を微量添加し、Y発色カプセル製造時において、500nm以上の光を吸収するシアニン染料を微量添加した。この色素添加によって、C発色カプセルは、600nm以下の光を吸収し、M発色カプセルは500nm以下の光を吸収し、Y発色カプセルは、500nm以上の光を吸収し、境界波長領域を含む光による露光による混色を防ぐことができた。これにより、濃度が十分に高く、色調も良好で、にじみのない明瞭な画像を形成することができた。
【0089】
実施例6
実施例1において、シアン発色カプセルにおける発色体として、ジアゾニウム塩に変えて、電子供与性染料前駆体、3−(o−メチル−p−ジエチルアミノフェニル)−3−(1′−エチル−2メチルインドール−3−イル)フタリド、塩基およびカプラーにかえて、電子受容性化合物ビスフェノールP30を用いた。その他は、実施例1と同様にしてカラー記録媒体を得た。
【0090】
得られたフルカラー記録媒体を使用して、画像信号を持ったR、G、B光のLEDを用いてそれぞれ0.2mJ/mm2で露光し、その後、120℃に加熱したローラーで2秒加熱し画像を得た。このとき、フルカラー記録媒体上に形成された画像は、鮮明なフルカラー画像が得られた。
【0091】
実施例7
実施例1のカラー記録媒体に、まず、画像信号を持ったR、G、B光のLEDを用いてそれぞれ0.2mJ/mm2で露光を行う。その後、120℃に加熱したローラーで2秒間加熱し、画像を得、つぎに発光中心365nm、出力40Wの紫外線ランプで10秒照射することにより定着した。このとき、カラー記録媒体上に形成された画像は、鮮明なフルカラー画像が得られた。1ヶ月後も画像に変化は見られず、良好であった。
【0092】
【発明の効果】
本発明は、以上述べたように、ジアゾニウム塩、カプラー、塩基性物質、重合性物質、光重合開始剤、光重合開始剤に選択的光感受性を持たせるための波長増感剤とを内包し、内側カプセルのうち少なくとも一つは、熱応答性カプセルであることを特徴とする多核多重カプセルを支持体上に塗布した記録媒体を用いることで、たとえばR、G、B光など、波長の異なる光と、熱を利用して高速でかつ高解像度のカラー画像を得るようにしたものである。
【0093】
請求項1〜3にかかわる発明によれば、ジアゾニウム塩、カプラー、塩基性物質、重合性物質とを内包し、内側カプセルのうち少なくとも一つは、熱応答性カプセルであることを特徴とする多核多重カプセルを支持体上に塗布した記録媒体を用いることで、たとえばR、G、B光などの波長の異なる光と、熱を利用して高速でかつ高解像度のカラー画像を得ることができる。
【0094】
請求項4および5にかかわる発明によれば、波長増感剤または光フィルター剤を内包するため、光重合開始剤に選択的光感受性を持たせることができる。
【0095】
請求項6および7にかかわる発明によれば、少なくともY、M、Gの3種類のマイクロカプセルを有するため、フルカラー印刷が可能である。
【0096】
請求項8および9にかかわる発明によれば、波長の異なる光と熱を利用して、高速でかつ高解像度のカラー画像を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 Y,M、C、3種のマイクロカプセルの感光感度特性を示す図である。
【図2】 本発明のマイクロカプセルの一模式図である。
【図3】 本発明のマイクロカプセルの一模式図である。
【図4】 図2および図3のマイクロカプセルを用いた本発明のフルカラー記録媒体の構成説明図である。
【図5】 図4のフルカラー記録媒体を用いたフルカラー画像記録を示す概略説明図である。
【図6】 図4のフルカラー記録媒体を用いたフルカラー画像記録を示す概略説明図である。
【符号の説明】
1 ジアゾニウム塩、2 熱応答性カプセルまたは物質透過性カプセル、3 カプラー、4 波長増感剤、5 光重合開始剤、6 重合性物質、7 塩基性物質、8 外殻カプセル、9 光フィルター、10 電子供与性染料前駆体、11 顕色剤(電子受容性化合物)、12 熱増感剤、20 支持体、21 イエロー発色マイクロカプセル、22 マゼンタ発色マイクロカプセル、23 シアン発色マイクロカプセル、24 Y発色カプセルの硬化、25 M発色カプセルの硬化、26 C発色カプセルの硬化、27 B発色部、28 G発色部、29 R発色部。
Claims (9)
- 少なくともジアゾニウム塩、カプラー、塩基性物質、光重合開始剤、重合性物質を含む多核多重カプセルを含む記録媒体であって、ジアゾニウム塩を内包する熱応答性マイクロカプセルと少なくともカプラーおよび塩基性物質のいずれか一方または両方を内包する熱応答性または物質透過性マイクロカプセルを内包する多核多重マイクロカプセルを含む材料を支持体に塗布したことを特徴とするカラー記録媒体。
- ジアゾニウム塩、カプラー、塩基性物質、光重合開始剤、重合性物質を含む多核多重カプセルを備えたカラー記録媒体であって、前記カプラーおよび前記塩基性物質の少なくともいずれかを内包する熱応答性マイクロカプセルと、ジアゾニウム塩を内包する物質透過性カプセルとを具備する前記多核多重マイクロカプセルが支持体に塗布されていることを特徴とするカラー記録媒体。
- 少なくともジアゾニウム塩、カプラー、塩基性物質、光重合開始剤、重合性物質を含む多核多重カプセルを含む記録媒体であって、ジアゾニウム塩を内包する核と、少なくともカプラー、塩基性物質のいずれか一方または両方を内包する核において、いずれかの核が熱応答性カプセルに内包されており、他の核がコロイドまたはエマルジョンを形成している材料を内包する多核多重マイクロカプセルを含む材料を支持体に塗布したことを特徴とするカラー記録媒体。
- 光重合剤が反応を開始する光の波長を制御するために、選択波長増感剤をカプセル内に含むことを特徴とする請求項1、2または3記載のカラー記録媒体。
- 光重合剤が反応を開始する光の波長を制御するために、光フィルター剤をカプセル壁内側または、壁材中に含むことを特徴とする請求項1、2、3または4記載のカラー記録媒体。
- マイクロカプセルが少なくとも3種類あり、Y(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)に発色するようジアゾニウム塩とカプラーが組み合わされていることを特徴とする請求項1、2、3、4または5記載のカラー記録媒体。
- マイクロカプセルが少なくとも3種類あり、Y(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)に発色するように、少なくとも1色は、ジアゾニウム塩とカプラーが組み合わされており、残りのマイクロカプセルの発色体として、電子供与性染料前駆体と顕色剤を含むことを特徴とする請求項1、2、3、4または5記載のカラー記録媒体。
- 請求項1、2、3、4、5、6または7記載のカラー記録媒体に波長の異なる3種類の光を照射し、それぞれ異なるマイクロカプセルの内包物の一部を硬化させ、続く加熱によりカラー画像を記録することを特徴とする記録方法。
- 請求項1、2、3、4、5、6または7記載のカラー記録媒体に波長の異なる3種類の光を照射し、それぞれ異なるマイクロカプセルの内包物の一部を硬化させ、続く加熱によりカラー画像を記録したのち、紫外線を照射して硬化したカプセル内のジアゾニウム塩を分解し、定着することを特徴とする記録方法。
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