JP2989639B2 - 耐摩擦溶融性複合糸 - Google Patents
耐摩擦溶融性複合糸Info
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- JP2989639B2 JP2989639B2 JP2175732A JP17573290A JP2989639B2 JP 2989639 B2 JP2989639 B2 JP 2989639B2 JP 2175732 A JP2175732 A JP 2175732A JP 17573290 A JP17573290 A JP 17573290A JP 2989639 B2 JP2989639 B2 JP 2989639B2
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- Spinning Methods And Devices For Manufacturing Artificial Fibers (AREA)
Description
【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、主として運動時の床との摩擦により生じる
衣料の穴あきを防止する性能(以下、単に耐摩擦溶融性
と称す。)に優れた熱可塑性繊維より成る複合糸に関す
る。
衣料の穴あきを防止する性能(以下、単に耐摩擦溶融性
と称す。)に優れた熱可塑性繊維より成る複合糸に関す
る。
(従来の技術) 耐摩擦溶融性に優れた織編物を得んとする提案は従来
から数多くなされている。
から数多くなされている。
例えば、織編物仕上げ工程にて耐熱性及び平滑性に富
んだシリコンエラストマーをもって繊維表面を被覆する
方法(特開昭63−243379号)、非摩擦溶融性繊維である
レーヨンを特定比率で混用する方法(実願昭59−26076
号)、耐熱性繊維を特定編組織下に混用する方法(実願
昭61−8590号)等がある。
んだシリコンエラストマーをもって繊維表面を被覆する
方法(特開昭63−243379号)、非摩擦溶融性繊維である
レーヨンを特定比率で混用する方法(実願昭59−26076
号)、耐熱性繊維を特定編組織下に混用する方法(実願
昭61−8590号)等がある。
(発明が解決しようとする課題) しかしながら、特開昭63−243379号の織編物表面を薬
剤で処理する方法は、風合いとの関係に於いて付着力に
制約があるため耐久性が課題となる。
剤で処理する方法は、風合いとの関係に於いて付着力に
制約があるため耐久性が課題となる。
また、実願昭59−26076号のようにレーヨンを混用す
ることは染色堅牢性の保持に課題があり、実願昭61−85
90号のような耐熱性繊維の混用は3層編組織とするため
コスト上に課題が残る。
ることは染色堅牢性の保持に課題があり、実願昭61−85
90号のような耐熱性繊維の混用は3層編組織とするため
コスト上に課題が残る。
熱可塑性繊維を用いたスポーツ衣料は運動時に起きる
床との摩擦によって穴あき現象が生じ易いことは良く知
られている。この穴あき現象は主として摩擦によって生
じた熱が衣料を構成する繊維を溶融したり、熱脆化させ
ることに起因する。
床との摩擦によって穴あき現象が生じ易いことは良く知
られている。この穴あき現象は主として摩擦によって生
じた熱が衣料を構成する繊維を溶融したり、熱脆化させ
ることに起因する。
即ち、本発明の目的は耐摩擦溶融性に優れた繊維を開
発すると共に、同繊維を用いて耐摩擦溶融性を保持し、
かつ衣料としての風合に優れた仮撚複合糸を提供するこ
とにある。
発すると共に、同繊維を用いて耐摩擦溶融性を保持し、
かつ衣料としての風合に優れた仮撚複合糸を提供するこ
とにある。
(課題を解決するための手段及び作用) 本発明に係る下記複合糸によって製編織される編織物
は耐摩擦溶融性と嵩高性に優れたものとなる。
は耐摩擦溶融性と嵩高性に優れたものとなる。
(1)芯部を構成するポリマーの溶融温度が鞘部を構成
するポリマーの溶融温度より40℃以上低いポリマーによ
って構成された芯/鞘複合紡糸繊維を花糸とした混繊、
交絡複合糸であって花糸と芯糸の糸長差が5%以上であ
り、かつ、花糸の混用率が30%以上であることを特徴と
した耐摩擦溶融複合糸。
するポリマーの溶融温度より40℃以上低いポリマーによ
って構成された芯/鞘複合紡糸繊維を花糸とした混繊、
交絡複合糸であって花糸と芯糸の糸長差が5%以上であ
り、かつ、花糸の混用率が30%以上であることを特徴と
した耐摩擦溶融複合糸。
ただし、糸長差={(花糸の糸長−芯糸の糸長)/芯
糸の糸長}×100%、 花糸の混用率=(花糸の重量/単位長さ当たり複合糸
の重量)×100% (2)(芯糸の沸水収縮率−花糸の沸水収縮率)≧5%
である(1)項記載の複合糸。
糸の糸長}×100%、 花糸の混用率=(花糸の重量/単位長さ当たり複合糸
の重量)×100% (2)(芯糸の沸水収縮率−花糸の沸水収縮率)≧5%
である(1)項記載の複合糸。
ここで、芯/鞘複合紡糸繊維とは溶融紡糸法によって
得られるものであって、第1図に示す如く、芯部1を構
成するポリマー成分が鞘部2を構成するポリマー成分に
よって完全に被覆されたもの(A)、もしくは、第2図
に示す芯部の一部が繊維表面に存在するもの(B)を意
味する。また、芯部及び鞘部の断面形状は特に限定され
ない。
得られるものであって、第1図に示す如く、芯部1を構
成するポリマー成分が鞘部2を構成するポリマー成分に
よって完全に被覆されたもの(A)、もしくは、第2図
に示す芯部の一部が繊維表面に存在するもの(B)を意
味する。また、芯部及び鞘部の断面形状は特に限定され
ない。
本発明を達成する重要な要件の一つは複合紡糸繊維の
芯部及び鞘部を構成するポリマーの溶融温度の組み合わ
せを選択することである。即ち、芯部を構成するポリマ
ーの溶融温度は鞘部を構成するポリマーの溶融温度より
少なくとも40℃、好ましくは80℃低いポリマーの組み合
わせとする必要がある。なお、ポリマー溶融温度は示差
熱走査熱量計によって測定される吸熱ピークであり、本
発明に於いてはPerkin Elmor製DSC2型を用いて測定し
た。
芯部及び鞘部を構成するポリマーの溶融温度の組み合わ
せを選択することである。即ち、芯部を構成するポリマ
ーの溶融温度は鞘部を構成するポリマーの溶融温度より
少なくとも40℃、好ましくは80℃低いポリマーの組み合
わせとする必要がある。なお、ポリマー溶融温度は示差
熱走査熱量計によって測定される吸熱ピークであり、本
発明に於いてはPerkin Elmor製DSC2型を用いて測定し
た。
芯/鞘部を成すポリマーの溶融温度差が40℃未満であ
ると、本発明の耐摩擦溶融性を持った複合糸は得られな
い。
ると、本発明の耐摩擦溶融性を持った複合糸は得られな
い。
本発明の複合紡糸繊維が耐摩擦溶融性能に優れるメカ
ニズムは明確ではないが、床と高溶融温度ポリマーであ
る鞘部との間で生じた摩擦熱は低溶融温度ポリマーの融
解熱として瞬時に吸収される結果、鞘部の溶融や熱脆化
が防止されるものと推定される。逆に、芯/鞘部を構成
するポリマー溶融温度差が40℃未満になると鞘部の摩擦
熱を芯部の溶解熱として吸収出来ないため繊維が破壊さ
れると推定される。
ニズムは明確ではないが、床と高溶融温度ポリマーであ
る鞘部との間で生じた摩擦熱は低溶融温度ポリマーの融
解熱として瞬時に吸収される結果、鞘部の溶融や熱脆化
が防止されるものと推定される。逆に、芯/鞘部を構成
するポリマー溶融温度差が40℃未満になると鞘部の摩擦
熱を芯部の溶解熱として吸収出来ないため繊維が破壊さ
れると推定される。
従って、理論上は鞘部を構成するポリマーの溶融温度
は高ければ高いほど好ましく、鞘部を構成するポリマー
との溶融温度が大きいほど耐摩擦溶融性能は優れたもの
となる。しかし、工業的には複合防止時には、ノズルパ
ック内温度は同一となるため芯/鞘ポリマーの溶融温度
差が大きいほどノズルパック内で低融点温度ポリマーが
熱分解するため紡糸性が低下するが、芯/鞘ポリマーの
溶融温度差の限界は芯を成すポリマーの吐出量、紡糸機
中のポリマー滞在時間等によって複雑に変化するため、
適宜、実験によって決定する必要がある。
は高ければ高いほど好ましく、鞘部を構成するポリマー
との溶融温度が大きいほど耐摩擦溶融性能は優れたもの
となる。しかし、工業的には複合防止時には、ノズルパ
ック内温度は同一となるため芯/鞘ポリマーの溶融温度
差が大きいほどノズルパック内で低融点温度ポリマーが
熱分解するため紡糸性が低下するが、芯/鞘ポリマーの
溶融温度差の限界は芯を成すポリマーの吐出量、紡糸機
中のポリマー滞在時間等によって複雑に変化するため、
適宜、実験によって決定する必要がある。
また、芯部/鞘部を構成するポリマーの適正比率(体
積比率)は主として使用ポリマーの溶融温度差、単繊維
繊度等によって差があり一義的に決定することは不可能
であるが、概して芯部体積:鞘部体積=1:1〜1:5であれ
ば充分な効果が得られる。このような構造を持った原糸
はそれ自体、耐摩擦溶融性能を持つものであるが、スポ
ーツ衣料としたときの感性が不充分となる。
積比率)は主として使用ポリマーの溶融温度差、単繊維
繊度等によって差があり一義的に決定することは不可能
であるが、概して芯部体積:鞘部体積=1:1〜1:5であれ
ば充分な効果が得られる。このような構造を持った原糸
はそれ自体、耐摩擦溶融性能を持つものであるが、スポ
ーツ衣料としたときの感性が不充分となる。
この機能と感性とを同時に満足させるには芯部1を構
成するポリマーの溶融温度が鞘部2を構成するポリマー
の溶融温度より40℃以上低いポリマーによって構成され
た芯/鞘複合紡糸繊維を花糸とした混繊、交絡複合糸で
あって花糸と芯糸の糸長差が5%以上であり、かつ花糸
の混用率が30%以上で複合糸とすれば良い。
成するポリマーの溶融温度が鞘部2を構成するポリマー
の溶融温度より40℃以上低いポリマーによって構成され
た芯/鞘複合紡糸繊維を花糸とした混繊、交絡複合糸で
あって花糸と芯糸の糸長差が5%以上であり、かつ花糸
の混用率が30%以上で複合糸とすれば良い。
ただし、糸長差={(花糸の糸長−芯糸の糸長)/芯
糸の糸長}×100%、 花糸の混用率=(花糸の重量/単位長さ当たり複合糸
の重量)×100%である。
糸の糸長}×100%、 花糸の混用率=(花糸の重量/単位長さ当たり複合糸
の重量)×100%である。
即ち、芯糸に対し本発明の複合紡糸繊維を、特定混用
率以上で過供給し、複合糸の外周に位置せしめることに
より耐摩擦溶融性を保持した嵩高性に富んだ複合糸とな
る。
率以上で過供給し、複合糸の外周に位置せしめることに
より耐摩擦溶融性を保持した嵩高性に富んだ複合糸とな
る。
さらに説明すれば、上記の糸長差が5%未満であると
感性の改良が達成されず、花糸の混用率が30%未満で
は、耐摩擦溶融性に欠ける編織物となる。感性と耐摩擦
溶融性を一層向上させる手法には、複合糸とする段階
で、適宜、芯糸と花糸の糸長差を大きくするか、花糸の
混用率を大きくすればよいが、芯糸と花糸の糸長差を大
きくするとループが多発した複合糸となって、編織物の
規格によってはテキスタル・プロセスの通過性が著しく
低下することがある。また花糸の混用率を大きくする
と、その分芯糸の混用率が小さくなため、細繊度複合糸
を必要とする場合には編織物の物理的性能が低下する。
感性の改良が達成されず、花糸の混用率が30%未満で
は、耐摩擦溶融性に欠ける編織物となる。感性と耐摩擦
溶融性を一層向上させる手法には、複合糸とする段階
で、適宜、芯糸と花糸の糸長差を大きくするか、花糸の
混用率を大きくすればよいが、芯糸と花糸の糸長差を大
きくするとループが多発した複合糸となって、編織物の
規格によってはテキスタル・プロセスの通過性が著しく
低下することがある。また花糸の混用率を大きくする
と、その分芯糸の混用率が小さくなため、細繊度複合糸
を必要とする場合には編織物の物理的性能が低下する。
さらに、最も基本的なことではあるが、芯糸と花糸の
糸長差を5%以上付与したとしても、両糸の収縮率の大
きさによっては仕上げ工程に至る過程の熱処理により糸
長差が消滅する場合もある。かかる場合には、(芯糸の
沸水収縮率−花糸の沸水収縮率)≧5%とすることによ
り、即ち、編織物と成した後に熱処理することにより花
糸と芯糸の糸長差を強調することが可能となり、上記し
た課題を解決することができる。ここで、沸水収縮率の
測定方法はJIS−L1077,L1073によった。
糸長差を5%以上付与したとしても、両糸の収縮率の大
きさによっては仕上げ工程に至る過程の熱処理により糸
長差が消滅する場合もある。かかる場合には、(芯糸の
沸水収縮率−花糸の沸水収縮率)≧5%とすることによ
り、即ち、編織物と成した後に熱処理することにより花
糸と芯糸の糸長差を強調することが可能となり、上記し
た課題を解決することができる。ここで、沸水収縮率の
測定方法はJIS−L1077,L1073によった。
複合糸を得る手段は第3図に示す如く、花糸3を供給
するローラ4、芯糸5を供給するローラ6、両糸3,5を
混繊、交絡する空気交絡器7、デリベリーローラ8、巻
取機9から構成される複合糸製造装置を用い、供給ロー
ラ(4,6)の周速に差を与えることによって、{(花糸
供給ローラ4の周速−芯糸供給ローラ6の周速)/芯糸
供給ローラ6の周速}×100%≧5%となるように条件
設定すればよい。空気交絡器7はインターレースノズル
であってもタスランノズルであってもかまわないが、概
してタスランノズルの方が、花糸3が芯糸5を被覆する
能力に優れる点でより好ましい。また、摩擦溶融性の評
価方法は第4図に示すように、評価用複合糸を筒編地10
に編成し、該編地10を幅5cm,長さ5cm,硬度80のネオプレ
ンゴムの平板に取り付け、支点11を持つ試料取付け用ア
ーム12に固定し、1800rpmで回転する桜材の80φの円柱1
3表面へ、荷重14を調整して編地面の荷重6kgにて3秒間
接触させた時の編地の破断の有無で耐摩擦溶融性能を判
断した。
するローラ4、芯糸5を供給するローラ6、両糸3,5を
混繊、交絡する空気交絡器7、デリベリーローラ8、巻
取機9から構成される複合糸製造装置を用い、供給ロー
ラ(4,6)の周速に差を与えることによって、{(花糸
供給ローラ4の周速−芯糸供給ローラ6の周速)/芯糸
供給ローラ6の周速}×100%≧5%となるように条件
設定すればよい。空気交絡器7はインターレースノズル
であってもタスランノズルであってもかまわないが、概
してタスランノズルの方が、花糸3が芯糸5を被覆する
能力に優れる点でより好ましい。また、摩擦溶融性の評
価方法は第4図に示すように、評価用複合糸を筒編地10
に編成し、該編地10を幅5cm,長さ5cm,硬度80のネオプレ
ンゴムの平板に取り付け、支点11を持つ試料取付け用ア
ーム12に固定し、1800rpmで回転する桜材の80φの円柱1
3表面へ、荷重14を調整して編地面の荷重6kgにて3秒間
接触させた時の編地の破断の有無で耐摩擦溶融性能を判
断した。
(実施例) 以下本発明を実施例により具体的に説明する。ただ
し、本発明は以下の実施例に限定されない。
し、本発明は以下の実施例に限定されない。
実施例1 芯部を構成するポリマーを溶融温度175℃のナイロン1
2,鞘部を構成するポリマーを溶融温度255℃のポリエス
テル、芯部:鞘部の体積比率=1:1,芯/鞘部は共に丸断
面、芯部が鞘部のほぼ中心にある複合繊維延伸糸である
B98d/36f(沸水収縮率9%)を得た。該延伸糸を花糸と
し、ポリマーの溶融温度255℃の単一ポリマーよりなる
ポリエステル延伸糸、B49d/24f(沸水収縮率8%),B98
d/24f(沸水収縮率9%),B148d/24f(沸水収縮率9
%),B248d/48f(沸水収縮率10%)、B298d/48f(沸水
収縮率12%)を各々芯糸とした第3図に示したと同様の
装置である流体糸加工機(愛機製作所、AT501)を用
い,空気交絡器としてヘバーライン社製ヘマジェットHF
P36のコアーをP261とし,空気圧力7kg f/cm2,デリベリ
ーローラ周速150m/分、芯糸の供給ローラの周速152m/分
にて芯糸に対する花糸の糸長差を変更し、混繊、交絡処
理を施して複合糸を得た。
2,鞘部を構成するポリマーを溶融温度255℃のポリエス
テル、芯部:鞘部の体積比率=1:1,芯/鞘部は共に丸断
面、芯部が鞘部のほぼ中心にある複合繊維延伸糸である
B98d/36f(沸水収縮率9%)を得た。該延伸糸を花糸と
し、ポリマーの溶融温度255℃の単一ポリマーよりなる
ポリエステル延伸糸、B49d/24f(沸水収縮率8%),B98
d/24f(沸水収縮率9%),B148d/24f(沸水収縮率9
%),B248d/48f(沸水収縮率10%)、B298d/48f(沸水
収縮率12%)を各々芯糸とした第3図に示したと同様の
装置である流体糸加工機(愛機製作所、AT501)を用
い,空気交絡器としてヘバーライン社製ヘマジェットHF
P36のコアーをP261とし,空気圧力7kg f/cm2,デリベリ
ーローラ周速150m/分、芯糸の供給ローラの周速152m/分
にて芯糸に対する花糸の糸長差を変更し、混繊、交絡処
理を施して複合糸を得た。
得られた複合糸を筒編地10に編成し、芯糸と花糸の各
供給糸の熱収縮率の影響をキャンセルする意味で染色等
の熱処理をすることなく耐摩擦溶融性の評価に供した。
供給糸の熱収縮率の影響をキャンセルする意味で染色等
の熱処理をすることなく耐摩擦溶融性の評価に供した。
耐摩擦溶融性の測定方法は第4図に示す如く、該編地
10を幅5cm,長さ5cm,硬度80のネオプレンゴムの平板に取
り付け、支点11を持つ試料取り付け用アーム12に固定
し、桜材の80φの円柱13が1800rpmで回転する表面へ、
荷重14を調整して、編地面の荷重6kgにて3秒間接触さ
せた時の編地10の破断の有無で耐摩擦溶融性能を判断し
た。その結果,糸長差を0%とした場合には嵩高性のな
い感性に欠けた編地となり、耐摩擦溶融性も無かった。
この耐摩擦溶融性を評価した編地10をポリエステル用分
散染料(テラシールネイビーブルーSGL)で98℃×30分
染色し顕微鏡下で被荷重部を観察したところ、単一ポリ
マー成分繊維が溶融、切断したものとなっていた。同様
な手法で、糸長差5%(花糸の供給用ローラの周速は15
9.6m/分)とした場合の編地10は、嵩高性のある感性に
優れたものとなった。また、耐摩擦溶融性は第1表に示
す如く花糸の混用率が30%(試4)以上で耐摩擦溶融性
が優れたものとなった。なお、花糸の混用率は、複合糸
の芯糸と花糸を分離することが困難なため、{(花糸の
供給用ローラの周速×花糸繊度)/(芯糸の供給用ロー
ラの周速×花糸繊度+花糸の供給ローラの周速×花糸繊
度)}×100%で算出した。また、第1表中の試4の花
糸と芯糸の組合わせにて糸長差を10%,20%,30%,50%
とし、空気交絡器としてのヘバーライン社製ヘマジェッ
トLB02のコアーをT321に変更した場合には、ループが顕
在化した複合糸となったが、編成性には問題が無く、よ
り嵩高性に富んだ、しかも耐摩擦溶融性が一層向上した
ものとなった。
10を幅5cm,長さ5cm,硬度80のネオプレンゴムの平板に取
り付け、支点11を持つ試料取り付け用アーム12に固定
し、桜材の80φの円柱13が1800rpmで回転する表面へ、
荷重14を調整して、編地面の荷重6kgにて3秒間接触さ
せた時の編地10の破断の有無で耐摩擦溶融性能を判断し
た。その結果,糸長差を0%とした場合には嵩高性のな
い感性に欠けた編地となり、耐摩擦溶融性も無かった。
この耐摩擦溶融性を評価した編地10をポリエステル用分
散染料(テラシールネイビーブルーSGL)で98℃×30分
染色し顕微鏡下で被荷重部を観察したところ、単一ポリ
マー成分繊維が溶融、切断したものとなっていた。同様
な手法で、糸長差5%(花糸の供給用ローラの周速は15
9.6m/分)とした場合の編地10は、嵩高性のある感性に
優れたものとなった。また、耐摩擦溶融性は第1表に示
す如く花糸の混用率が30%(試4)以上で耐摩擦溶融性
が優れたものとなった。なお、花糸の混用率は、複合糸
の芯糸と花糸を分離することが困難なため、{(花糸の
供給用ローラの周速×花糸繊度)/(芯糸の供給用ロー
ラの周速×花糸繊度+花糸の供給ローラの周速×花糸繊
度)}×100%で算出した。また、第1表中の試4の花
糸と芯糸の組合わせにて糸長差を10%,20%,30%,50%
とし、空気交絡器としてのヘバーライン社製ヘマジェッ
トLB02のコアーをT321に変更した場合には、ループが顕
在化した複合糸となったが、編成性には問題が無く、よ
り嵩高性に富んだ、しかも耐摩擦溶融性が一層向上した
ものとなった。
実施例2 花糸として、芯部を構成するポリマー溶融温度が171
℃のポリプロピレン、鞘部を構成するポリマー溶融温度
が255℃のポリエステル、芯部の断面形状を円形、鞘部
の断面形状を三角形、芯部:鞘部の体積比率=1:3、沸
水収縮率8%のB99d/30fの延伸糸を得た。一方、芯糸と
して実施例1で得た沸水収縮率10%のB248d/48fと、延
撚時の熱セット温度を低くして沸水収縮率13%のB247d/
48fを得た。これらの芯糸と芯糸を使って、実施例1と
同様に花糸と芯糸の糸長差を10%とした複合糸を得た。
該複合糸に200T/mの追撚を施し、サイザー(河本製機
製、EX3C)にてアクリル糊剤(互応化学工業製、プラス
サイズJ6)を付着量5%として乾燥温度100℃/100℃/80
℃(第1チャンバー/第2チャンバー/シリンダー)、
ストレッチャー2%/0%(チャンバー/シリンダー),
糸速40m/分で経糸ビームを得た。
℃のポリプロピレン、鞘部を構成するポリマー溶融温度
が255℃のポリエステル、芯部の断面形状を円形、鞘部
の断面形状を三角形、芯部:鞘部の体積比率=1:3、沸
水収縮率8%のB99d/30fの延伸糸を得た。一方、芯糸と
して実施例1で得た沸水収縮率10%のB248d/48fと、延
撚時の熱セット温度を低くして沸水収縮率13%のB247d/
48fを得た。これらの芯糸と芯糸を使って、実施例1と
同様に花糸と芯糸の糸長差を10%とした複合糸を得た。
該複合糸に200T/mの追撚を施し、サイザー(河本製機
製、EX3C)にてアクリル糊剤(互応化学工業製、プラス
サイズJ6)を付着量5%として乾燥温度100℃/100℃/80
℃(第1チャンバー/第2チャンバー/シリンダー)、
ストレッチャー2%/0%(チャンバー/シリンダー),
糸速40m/分で経糸ビームを得た。
このビームをウオータジェットルーム(津田駒工業
製、ZW200)にて緯糸をSD150d/48fの1ヒータ仮撚加工
糸とし、密度を経×緯=22本/cm×23本/cm,回転数250rp
mにて製織した。
製、ZW200)にて緯糸をSD150d/48fの1ヒータ仮撚加工
糸とし、密度を経×緯=22本/cm×23本/cm,回転数250rp
mにて製織した。
このような比較的経糸密度が高い織物の製織時には、
いずれの複合糸も経糸間でループが絡み合うことによる
開口不良現象が発生した。通常実施する糊抜き、精錬、
染色(130℃×60分)したものと生機を比較したとこ
ろ、試1はあまり変化は無かったが、試2はループが一
層強調された嵩高性に富むものとなった。一方、沸水収
縮率13%の芯糸を用いた糸長差5%とし、上記と同一準
備、製織条件にて得た試3は全く問題ない工程通過性を
示した。得られた生機はほとんどループが無いものであ
ったが、染色上がりでは顕在化した嵩高性に富んだ織物
となった。この織物を実施例1と同一の耐摩擦溶融性の
評価を実施したところ、やや織物表面に光沢が生じた
が、穴あきの無い結果を示した。これらの結果を第2表
に示した。
いずれの複合糸も経糸間でループが絡み合うことによる
開口不良現象が発生した。通常実施する糊抜き、精錬、
染色(130℃×60分)したものと生機を比較したとこ
ろ、試1はあまり変化は無かったが、試2はループが一
層強調された嵩高性に富むものとなった。一方、沸水収
縮率13%の芯糸を用いた糸長差5%とし、上記と同一準
備、製織条件にて得た試3は全く問題ない工程通過性を
示した。得られた生機はほとんどループが無いものであ
ったが、染色上がりでは顕在化した嵩高性に富んだ織物
となった。この織物を実施例1と同一の耐摩擦溶融性の
評価を実施したところ、やや織物表面に光沢が生じた
が、穴あきの無い結果を示した。これらの結果を第2表
に示した。
(発明の効果) 以上の説明から明らかな如く本発明によれば、運動時
に床との摩擦により生じる熱可塑性繊維より成る衣料の
穴あきが防止でき、しかも嵩高性に富んだ複合糸が得ら
れる。
に床との摩擦により生じる熱可塑性繊維より成る衣料の
穴あきが防止でき、しかも嵩高性に富んだ複合糸が得ら
れる。
【図面の簡単な説明】 第1図及び第2図は本発明の複合紡糸繊維の単繊維断面
図、第3図は本発明の複合糸を得るための装置の概略
図、第4図は耐摩擦溶融性能測定装置の説明図である。 図の主要部分の説明 1……芯部、2……鞘部、3……試料
図、第3図は本発明の複合糸を得るための装置の概略
図、第4図は耐摩擦溶融性能測定装置の説明図である。 図の主要部分の説明 1……芯部、2……鞘部、3……試料
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI D02J 1/08 D02J 1/08 (72)発明者 田中 光男 愛知県名古屋市東区砂田橋4丁目1番60 号 三菱レイヨン株式会社商品開発研究 所内 (56)参考文献 特開 昭62−184118(JP,A) 特開 昭59−59919(JP,A) 特公 昭45−3290(JP,B1) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) D01F 8/14 D01D 5/34 Fタームテーマコード4L036
Claims (2)
- 【請求項1】芯部を構成するポリマーの溶融温度が鞘部
を構成するポリマーの溶融温度より40℃以上低いポリマ
ーによって構成された芯/鞘複合紡糸繊維を花糸とした
混繊、交絡複合糸であって、花糸と芯糸の糸長差が5%
以上であり、かつ花糸の混用率が30%以上であることを
特徴とする耐摩擦溶融複合糸。 ただし、糸長差={(花糸の糸長−芯糸の糸長)/芯糸
の糸長}×100%、 花糸の混用率=(花糸の重量/単位長さ当たり複合糸の
重量)×100% - 【請求項2】(芯糸の沸水収縮率−花糸の沸水収縮率)
≧5%である請求項1記載の複合糸。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2175732A JP2989639B2 (ja) | 1990-07-03 | 1990-07-03 | 耐摩擦溶融性複合糸 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2175732A JP2989639B2 (ja) | 1990-07-03 | 1990-07-03 | 耐摩擦溶融性複合糸 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0465542A JPH0465542A (ja) | 1992-03-02 |
JP2989639B2 true JP2989639B2 (ja) | 1999-12-13 |
Family
ID=16001273
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2175732A Expired - Lifetime JP2989639B2 (ja) | 1990-07-03 | 1990-07-03 | 耐摩擦溶融性複合糸 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2989639B2 (ja) |
-
1990
- 1990-07-03 JP JP2175732A patent/JP2989639B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH0465542A (ja) | 1992-03-02 |
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