JP2987662B2 - 連続地中壁の構築方法 - Google Patents

連続地中壁の構築方法

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JP2987662B2 JP4032856A JP3285692A JP2987662B2 JP 2987662 B2 JP2987662 B2 JP 2987662B2 JP 4032856 A JP4032856 A JP 4032856A JP 3285692 A JP3285692 A JP 3285692A JP 2987662 B2 JP2987662 B2 JP 2987662B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、地中に壁体を形成して
これらの壁体を接続することにより構築する連続地中
壁、に関するものである。
【0002】
【従来の技術】連続地中壁は土留め壁や構造物の基礎、
あるいは地下構造物などを構成するものであり、一般的
に実施されている構築方法は先行壁体と後行壁体を用い
て行う工法である。地中に連続壁の部分を構成する先行
壁体2体を、ほぼ1つの壁体の長さ分を隔てた状態で形
成する。壁体の形成はまず掘削溝を施工し、その穴内に
鉄筋かごを建て込み、内部にコンクリ−トを打設するこ
とにより行う。そして先行壁体の形成後、2体の壁体間
を掘削して後行壁体用の掘削溝を施工する。ただし後行
壁体用の掘削溝の施工時に、この掘削溝に面した先行壁
体の端面をある程度切削して除去する。この作業は端面
に付着したスライムを除去するため、すなわち掘削溝端
面に付着したスライムを巻き込んで上昇してくる劣化コ
ンクリ−トを除去するためと、打継ぎ面の目荒しを行う
ためになされる。その後、後行壁体用の掘削溝に鉄筋か
ごを建て込み、内部にコンクリ−トを打設して後行壁体
を形成し、先行壁体と後行壁体とを接続する。このよう
にして、地中に連続壁を形成する。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記の従来技術には、
次のような問題点が存在する。後行壁体用の掘削溝の施
工時に先行壁体の端面を切削する方法として、2つの先
行壁体の中間に掘削機を位置させて地面を掘進していく
ことが多い。これにより掘削溝の掘削と掘削溝両側の端
面の切削を同時に行うものであるが、先行壁体が堅いコ
ンクリ−ト製であるために問題が生じる。すなわち掘削
開始時に、掘削ドリルが2体の先行壁体の上面端部に掛
かるが、先行壁体が硬質なコンクリ−トのために掘削機
の食い付きが悪くなる。そのため掘削機の位置がずれて
しまい、正しい切削ラインが確保できなくなる。また掘
削機も不安定となり、偏荷重を招く恐れもある。
【0004】上記の問題を解決する手段として、先行壁
体のコンクリ−ト打設時にスペ−サ−ボックスを付設す
る方法がある(特公平3−57246)。図4に示すよ
うに、これは予め先行壁体4用の掘削溝1の打継ぎ方向
の掘削壁面上部にスペ−サ−ボックスを付設し、コンク
リ−ト3が硬化して先行壁体4が形成された後、スペ−
サ−ボックスを引き抜いて取り外す方法である。この方
法によれば、先行壁体4の両端部の上部にスペ−サ−ボ
ックス分の空間aができるため、後行壁体用の掘削溝の
掘削時にその分の先行壁体4を切削する必要がなくな
る。そのため空間aの深さまでの間が掘進時のガイドと
なり、安定した掘削を行うことができる。
【0005】しかしこの方法には以下のような欠点があ
る(図4参照)。 <イ>掘削溝1に打設したコンクリ−ト3は、端面に付
着したスライムを巻き込んで上昇してくる。すなわち端
面のコンクリ−ト3はスライムの混ざった劣化コンクリ
−ト7となる。この工法では、空間a以下の劣化コンク
リ−ト7は後行壁体の掘削により除去できるが、劣化コ
ンクリ−ト7は矢印のように上昇するため、スペ−サ−
ボックスに沿って上昇してくる空間a内側の劣化コンク
リ−ト7は除去できない。 <ロ>スペ−サ−ボックスはコンクリ−ト3の打設圧に
より地山との間に圧縮されるため、コンクリ−ト3の硬
化後に引き抜くことは作業工程が増えると共に困難な作
業となる。 <ハ>スペ−サ−ボックスを製作する必要があるため、
その作業工程に時間が掛かる。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記のような
問題点を解決するためになされたもので、後行壁体用の
掘削溝の掘削と先行壁体の端面の切削を行う際に、掘削
溝端面のスライム除去及び施工時間の短縮と作業精度の
向上を実現する連続地中壁の構築方法、を提供すること
を目的とする。即ち、本発明は、地中に構築する連続壁
において、一定間隔おきに先行壁体用の掘削溝を掘削し
てその内部にコンクリ−トを打設し、コンクリ−ト硬化
前に打継ぎ方向の端面よりやや内側であって、少なくと
も上端側に仕切部材を打ち込み、仕切部材を取り外して
打継ぎ方向の端面よりやや内側に空間部を形成した後、
この空間部間を掘削してコンクリ−トを打設し、先行壁
体と連続する後行壁体を形成することにより連続壁の築
造を行う、連続地中壁の構築方法である。
【0007】
【実施例】以下、図面を参照しながら、本発明の一実施
例について説明する。 <イ>先行壁体の構築 図1のように掘削機を用いて先行壁体4用の掘削溝1を
地中に掘削し、その内部に鉄筋かごを建て込み、その後
コンクリ−ト3を掘削溝1に打設する。そしてコンクリ
−ト3が硬化する前に仕切部材Aを所定の深さまで打ち
込む。このときの打込み場所は、掘削溝1内の後行壁体
と打ち継ぎする方向の端面よりやや内側の上端側とす
る。後述するように仕切部材Aはコンクリ−ト硬化後に
移動させるため、打込み後は仕切部材Aに完全にコンク
リ−トが付着しないように、時々上下させる等の付着防
止手段をとる。図1、2のように仕切部材Aの幅Bは掘
削壁面の寸法とほぼ同様とし、厚みCは場合により任意
に定める。また高さDは後行壁体の掘削溝掘削時に掘削
機を地中に掘進させる時のガイドとなる深さであるた
め、任意に定める。仕切部材Aは板状の部材あるいは連
続させたパイプ等の部材とし、また設置する位置は少な
くとも掘削溝1の上部とするが、施工条件等に対応して
任意にその形状や設置場所を選択する。仕切部材Aの材
質は、後に仕切部材Aを取り外すことで同時に打継ぎ方
向の端面の劣化コンクリ−ト7を除去するため、ある程
度の硬度が要求される。すなわちコンクリ−ト圧によっ
て変形せず、かつ軽量で持ち運びが容易な材料で製作さ
れることが望ましい。
【0008】コンクリ−ト3の硬化後先行壁体4は完成
する。そして上記と同様の手順により、別の先行壁体4
を形成していく。すなわち適当な距離を隔てて新たに掘
削溝1を掘削し、鉄筋かごを建て込んだ後にコンクリ−
ト3を打設し、仕切部材Aを打ち込んで先行壁体4を形
成する。また図3のように仕切部材Aに板体を用い、板
体の少なくとも打継ぎ方向の面に縦方向のリブ2を設け
ることも効果的である。すなわち仕切部材Aが完全にコ
ンクリ−ト3に付着してしまうと取り外すことが困難と
なるが、ある程度付着しないと打継ぎ方向の端面の劣化
コンクリ−ト7を除去することができない。その場合に
リブ2を設けることで、端面の劣化コンクリ−ト7を付
着させたまま容易に仕切部材Aを取り外すことができ
る。またリブ2を設けたことにより水道が長くなり、透
水長を長くとれる。そのため止水効果を上げて、これに
より連続地中壁の品質を向上させることができる。
【0009】<ロ>後行壁体の構築 図1、2に示すように、先行壁体4間に後行壁体を形成
する。まずそのために、仕切部材Aと仕切部材Aに付着
した打継ぎ方向の端面の劣化コンクリ−ト7を除去す
る。すなわち仕切部材Aを折り倒す、あるいは地中から
引き抜くことにより、深さD及び厚みF分の劣化コンク
リ−ト7を除去する。次に先行壁体4間の中心に掘削機
を設置して上部より掘削溝1を掘削する。この時先行壁
体4の打継ぎ方向端面の劣化コンクリ−ト7はすでに除
去され、その部分は空間部となっているため、図2に示
す先行壁体4間に空間部分の厚みFを加えた長さEを後
行壁体の掘削溝1の幅とし、掘削を開始する。
【0010】前記の通り掘削機は地中を進む。つまり深
さDまでの部分が下方掘進へのガイドとなり、従来のよ
うに掘削ドリルの食い付きが悪くなることがない。した
がって空間部に沿って掘削するため掘削機の位置がずれ
ることなく、掘削機は垂直のまま安定した掘削を行うこ
とができる。また従来の技術と異なり端面上部の劣化コ
ンクリ−トも除去できるため、打継ぎ方向の端面全面の
劣化コンクリ−トを除去して、良好な品質のコンクリ−
トを露出させることができる。以降は先行壁体4の場合
と同様に、掘削溝1内部に鉄筋かごを建て込んだ後にコ
ンクリ−ト3を打設して、後行壁体を形成する。このよ
うに断続的に形成された先行壁体4間に後行壁体を形成
し、この作業を繰り返して行うことにより連続地中壁を
構築していく。
【0011】
【本発明の効果】本発明は以上説明したようになるた
め、次のような効果を得ることができる。 <イ>コンクリ−トが硬化する前に仕切部材を所定の深
さまで打ち込み、後に仕切部材を取り外すことで、仕切
部材と同時に打継ぎ方向の端面の劣化コンクリ−トを除
去する。そのため従来では除去できなかった、打継ぎ方
向の端面上端側の劣化コンクリ−トが除去できる。した
がって打継ぎ方向の端面全面の劣化コンクリ−トを除去
することができ、良好な品質のコンクリ−ト面を露出さ
せて後行壁体を形成し、連続地中壁を構築することがで
きる。 <ロ>先行壁体間の両端の劣化コンクリ−トを除去して
空間部を形成し、空間部に沿って後行壁体用の掘削溝を
掘削する。そのため上記空間部が下方掘進へのガイドと
なり、ほとんど抵抗がなく掘削機は地中を進む。したが
って掘削機の位置がずれることなく、安定した高精度の
掘削を行うことができる。 <ハ>仕切部材に板体を用い、板体の少なくとも打継ぎ
方向の面に縦方向のリブを設ける。そのため、端面の劣
化コンクリ−トを付着させたまま容易に仕切部材を取り
外すことができる。また水道が長くなり透水長が長くと
れるため、止水効果を上げて連続地中壁の品質を向上さ
せることができる。 <ニ>仕切部材は、ある程度硬度のある部材であればそ
の材質を問わない。そのため従来用いていたスペ−サ−
ボックスのように、新しい部材として製作する必要がな
く、木材等の既存のものが使用できる。したがって仕切
部材を製作するための作業時間が節約できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】先行壁体の側面図
【図2】先行壁体の平面図
【図3】リブ付き仕切部材の斜視図
【図4】従来の先行壁体の側面図
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平1−165815(JP,A) 特開 昭63−176522(JP,A) 特開 昭63−304819(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) E02D 5/18 - 5/20

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 地中に構築する連続壁において、 一定間隔おきに先行壁体用の掘削溝を掘削してその内部
    にコンクリ−トを打設し、 コンクリ−ト硬化前に打継ぎ方向の端面よりやや内側で
    あって、少なくとも上端側に仕切部材を打ち込み、 仕切部材を取り外して打継ぎ方向の端面よりやや内側に
    空間部を形成した後、この空間部間を掘削してコンクリ
    −トを打設し、先行壁体と連続する後行壁体を形成する
    ことにより連続壁の築造を行う、 連続地中壁の構築方法。
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