JP2983701B2 - ベルト駆動装置 - Google Patents

ベルト駆動装置

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JP2983701B2
JP2983701B2 JP18221391A JP18221391A JP2983701B2 JP 2983701 B2 JP2983701 B2 JP 2983701B2 JP 18221391 A JP18221391 A JP 18221391A JP 18221391 A JP18221391 A JP 18221391A JP 2983701 B2 JP2983701 B2 JP 2983701B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電子写真方式を用いた
機器に内蔵され、転写ベルトや感光体ベルト等を使用す
るベルト駆動装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、例えば電子写真装置におい
て、この装置の軽量化及びコンパクト化を目的として、
表面に誘電体層または感光体層を有する平ベルトを、互
いに略平行に配置した複数本のロ−ラに掛け渡すことに
よって、前記平ベルトを転写ドラムまたは感光体ドラム
等の代わりに転写ベルトまたは感光体ベルトとして利用
することが知られている。
【0003】そして、このような用途に用いられる平ベ
ルトは、その基材がプラスチックフィルムや金属箔等の
ような伸びが小さくて強度の高い材料によって形成され
る場合が多い。従って、この種の平ベルトは弾性変形し
難い。そのために、前記電子写真装置内に収容された部
品の寸法誤差、ロ−ラの取付誤差、ベルト張力のアンバ
ランス、ベルト周長さの不均一などが生じている場合、
これらをベルト自体の変形によって吸収することができ
ない。この結果、前記平ベルトが、走行時にベルト幅方
向へ偏動してしまうといった問題があった。
【0004】しかし、前記電子写真装置は、正確な画像
形成を行うために、高精度、高解像度が要求されるの
で、この平ベルトの偏動を防止する必要がある。
【0005】そして、このような、平ベルトの偏動を防
止するための従来技術として、特開昭56−12750
1号公報や特開昭59−205052号公報に示される
ように平ベルトに偏動防止用のガイドを設けたり、特開
昭57−60347号公報に示されるように規制部材を
設けることによって平ベルトの偏動を強制的に防止する
ようにしたものがある。また、実開昭58−11060
9号公報に示されるように、1本のロ−ラを偏動調整用
ロ−ラとすると共に偏動検出用のベルト位置センサを備
えさせ、前記ベルト位置センサによって平ベルトの偏動
が検出されると、その偏動量に応じて偏動調整用ロ−ラ
の軸端部を変位させることにより偏動を修正するように
したものや、実開昭64−48457号公報に示される
ように、平ベルトが偏動すると、この偏動に伴なってロ
−ラを回転軸方向に移動させ、このロ−ラの移動によっ
て該ロ−ラの回転軸を揺動させて、ロ−ラを反対方向へ
移動させることにより偏動を修正するようにしたものが
ある。
【0006】
【考案が解決しようとする課題】しかしながら、前記特
開昭56−127501号公報、特開昭59−2050
52号公報及び特開昭57−60347号公報に示され
ているような構成では、平ベルトの偏動を外的要因によ
り強制的に規制するようにしているから、平ベルトとロ
−ラとの組合わせの条件如何により機構として成立し得
ない場合がある。即ち、平ベルトの偏動に伴う寄り力が
大きくなるものでは、ガイド及び規制部材の強度を増大
させておく必要がある。また、平ベルト自体の幅方向座
屈強度を増大させる必要があり、同時に平ベルト端部が
損傷しないように端部強度も増大させる必要がある。従
って、ベルト厚さが薄くなるほど上記方式の採用は困難
となる。また、平ベルトにガイドを設ける場合に、精度
良くガイドを設ける必要があり、特にシ−ムレスベルト
の場合では、このガイドを形成することが非常に困難で
あった。
【0007】また、前記実開昭58−110609号公
報や実開昭64−48457号公報に示されているよう
な構成では、複雑なメカニズムを用いて偏動を検出、修
正するために、高価でしかも余分なスペ−スを必要と
し、装置全体としての大型化に繋る。そればかりでな
く、複雑な機構であるために、部品点数が多くなり、そ
れだけ故障発生要因部が増加することになり、装置の信
頼性が十分に確保されているとは言い難いものであっ
た。
【0008】これらの点を解決するために、本発明の発
明者らは、自動的に偏動を検出、修正することができる
ベルト駆動装置について、その構造の改良を進めてい
る。詳しくは、複数のロ−ラのうち1本を偏動調整用ロ
−ラとし、この偏動調整用ロ−ラの片側に、該偏動調整
用ロ−ラと独立して回転自在な偏動検出用ロ−ラを備え
させておく。そして、前記平ベルトを予め前記偏動検出
用ロ−ラに向って偏動させるように構成しておく。そし
て、平ベルトの走行時に、該平ベルトが、その偏動よっ
て偏動検出用ロ−ラに接触すると、その摩擦抵抗により
偏動検出用ロ−ラが回転し、この回転力を偏動調整用ロ
−ラの軸端部を移動させる力に変換することによって、
片側のベルト張力のみを大きくする。これによって、平
ベルトに前記初期偏動とは逆方向の偏動成分を与え、前
記偏動を修正させるようにした構成について開発してい
る。
【0009】ところが、このような構成のベルト駆動装
置における偏動修正動作時において、平ベルトと偏動検
出用ロ−ラとの間の摩擦係数が大きい場合、平ベルトが
偏動検出ロ−ラに接触した瞬間に該偏動検出ロ−ラが急
激に回転し、これに伴って偏動調整用ロ−ラの軸端部が
大きく変位する。このため、この偏動調整用ロ−ラが配
設されている側のベルト張力が急激に大きくなり、平ベ
ルトの偏動解消方向への移動変位が必要以上に大きくな
ってしまう。その後、前記偏動が修正されて平ベルトの
偏動検出ロ−ラへの乗り上げ状態が解消されると該偏動
検出ロ−ラが逆回転して初期状態に戻される。このよう
な動作が繰り返し行われることになるために、偏動検出
用ロ−ラの回転変位量及び平ベルトの幅方向への移動ス
トロ−クが非常に大きくなるといった不具合が考えら
れ、このように、平ベルトの移動ストロ−クが大きいこ
とは正確な画像形成を行うことが阻害されることに繋
り、本装置の本来の目的が達成できなくなる虞れがあ
る。従って、このような状況の発生を回避することは、
この種のベルト駆動装置の実用性を大幅に向上させるた
めには有効なものである。
【0010】本発明は、この点に鑑みてなされたもので
あって、このように、自動的に偏動を検出、修正するこ
とができるベルト駆動装置について、偏動検出用ロ−ラ
の回転変位量を抑制して平ベルトの幅方向への移動スト
ロ−クを短縮するようにして、ベルト駆動装置の実用性
を大幅に向上させることを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】この目的を達成するため
に、本発明は、予め、平ベルトを所定方向に偏動させる
ようにしながら、逐次、この偏動を修正するようにした
ベルト駆動装置に対して、偏動修正動作を、必要以上に
偏動調整用ロ−ラを変位させることなしに行わせるよう
にした。具体的に、請求項1記載の発明は、平ベルト
と、該平ベルトが掛け渡され、少なくとも1本が偏動調
整用ロ−ラに構成された複数本のロ−ラと、前記偏動調
整用ロ−ラの一方の軸端部に、該偏動調整用ロ−ラと独
立して回転自在に支持された偏動検出部材と、前記平ベ
ルトを前記偏動検出部材の配設位置に向って移動させる
片寄付与手段と、前記偏動検出部材に連繋され、該偏動
検出部材に前記平ベルトが接して回転トルクが作用した
ときに、その回転運動を前記偏動調整用ロ−ラの軸端部
が所定方向に変位する運動に変換し、前記平ベルトを前
記片寄付与手段による移動方向とは逆方向に移動させる
ロ−ラ端部変位手段とを備えさせる。そして、前記偏動
検出部材に、前記偏動調整用ロ−ラの軸端部の移動方向
とは逆方向に付勢力を与える付勢手段と、前記偏動調整
用ロ−ラの軸端部の移動の抵抗を作用させる抵抗手段と
を連結させるような構成とする。
【0012】請求項2記載の発明は、前記請求項1記載
のベルト駆動装置において、抵抗手段に、流体が封入さ
れたケ−シングと、該ケ−シング内において前記流体の
流動抵抗を受けながら移動可能な板材とで構成するよう
にしている。
【0013】請求項3記載の発明は、前記請求項1また
は2記載のベルト駆動装置において、ロ−ラ端部変位手
段に、一端が偏動検出部材に接続されて該偏動検出部材
の回転に伴って該偏動検出部材に巻き取られる可撓性部
材を備えさせ、付勢手段と抵抗手段とを、互いに並列状
態で前記可撓性部材に連結するような構成としている。
【0014】
【作用】上記の構成により本発明では以下に述べるよう
な作用が得られる。先ず、請求項1記載の考案では、片
寄付与手段の作用によって、平ベルトが偏動検出部材の
配設位置に向かって偏動し、該偏動検出部材に接する
と、該偏動検出部材が平ベルトとの接触摩擦により回転
する。そして、ロ−ラ端部変位手段によって、この回転
運動が偏動調整用ロ−ラの軸端部が所定方向に変位する
運動に変換される。このようにして偏動調整用ロ−ラの
軸端部が変位すると、平ベルトに前記偏動方向とは逆方
向の偏動変位が発生するために、前記初期の偏動を修正
する。つまり、初期の偏動に応じた偏動調整用ロ−ラの
軸端部の変位量が自動的に与えられ、平ベルトの偏動を
修正する。このため、前記平ベルトは安定した走行を行
うことができ、特に、このベルト駆動装置を電子写真装
置に適用した場合には正確な画像形成を行うことができ
る。また、前記偏動調整用ロ−ラの軸端部の変位の際、
抵抗手段により、偏動調整用ロ−ラの変位動作には所定
の抵抗が付加される。このため、平ベルトと偏動検出部
材との間の摩擦係数が大きいような場合であっても偏動
検出部材の急激な回転が抑制され、それに伴って偏動調
整用ロ−ラの軸端部の急激な変位は防止されることにな
り、その軸端部の変位の移動ストロ−クが縮小される。
また、この偏動調整用ロ−ラの軸端部の変位動作に伴っ
て、付勢手段の付勢力も作用することになるので、この
変位方向の移動力と付勢手段の付勢力とのバランスによ
り、偏動調整用ロ−ラの変位量が規制され、ある一定範
囲内に平ベルトの端部の位置が維持される。また、前記
変位動作が解除されると偏動調整用ロ−ラの軸端部は元
の位置に戻る。このようにして最適な偏動修正動作が行
われる。
【0015】請求項2記載の発明では、抵抗手段の動作
は、ケ−シング内の板材が、該ケ−シング内に封入され
た流体の流動抵抗を受けながら移動することによって行
われ、偏動調整用ロ−ラの軸端部の移動の抵抗を確実に
作用させることができる。
【0016】請求項3記載の発明では、付勢手段と抵抗
手段とが、互いに並列状態で可撓性部材に連結されてい
ることにより、付勢手段による付勢力及び抵抗手段によ
る抵抗が可撓性部材の巻き取り動作に作用し、平ベルト
の安定した走行を行うことができる。
【0017】
【実施例】以下、本考案の第1実施例を図面に沿って詳
細に説明する。
【0018】図1は、本考案による電子写真装置内に収
容されたベルト駆動装置を示している。3軸系の転写ベ
ルトの駆動装置の全体を示す図1において、1,2,3
は、夫々第1、第2及び第3ロ−ラである。各ロ−ラ
1,2,3は、夫々軸部材1a,2a,3aと、該軸部
材1a,2a,3aの左右両端部を除いた部分で、軸部
材1a,2a,3aと同心上で僅かに大径に形成された
ゴム等で成る筒状体1b,2b,3bとから成ってい
る。この筒状体1b,2b,3bの材料としては、例え
ばEPDM系架橋ゴムが採用される。但し、この各筒状
体1b,2b,3bは樹脂やアルミニウムなどのように
弾性体材料でないものであってもよい。
【0019】前記各ロ−ラ1,2,3には、基材の表面
に誘電体層が形成されて成る本発明でいう平ベルトとし
ての転写ベルト4が走行可能に掛け渡されている。従っ
て、本ベルト駆動装置は、前記転写ベルト4が電子写真
装置の転写搬送体として機能するようになっている。ま
た、前記転写ベルト4の基材としては、例えば2軸延伸
ポリエステルが採用されており、引張弾性率が200kg
/mm2 以上に設定されている。
【0020】第1ロ−ラ1は、軸部材1aが駆動モ−タ
5の駆動軸に連結されて該駆動モ−タ5の駆動力が伝達
可能となっている。つまり、この第1ロ−ラ1が駆動ロ
−ラとして機能するようになっている。
【0021】第2ロ−ラ2は、従動ロ−ラであって、そ
の軸線が前記第1ロ−ラ1の軸線に対して傾斜配置され
ている。つまり、例えば第2ロ−ラ2のA方向の軸端部
のみを、第1ロ−ラ1との水平平行位置に対してC方向
に僅かに(例えば1mm)変位させている。
【0022】第3ロ−ラ3は、本発明でいう偏動調整用
ロ−ラであって、その軸線が第1ロ−ラ1の軸線と平行
に配置されている。また、この第3ロ−ラ3は、その左
右両軸端部に配設されたスプリング3c,3cによって
C方向に付勢力が与えられている。そして、この付勢力
によって転写ベルト4の張力が調整されるようになって
いる。
【0023】このように各ロ−ラ1,2,3が配設され
ていることにより、この各ロ−ラ1,2,3に掛け渡さ
れている転写ベルト4は、その走行時において常にA方
向に偏動するような構成となっている。つまり、前記第
2ロ−ラ2の軸線が第1ロ−ラ1の軸線に対して傾斜配
置されていることによって本発明でいう片寄付与手段が
構成されている。
【0024】また、第3ロ−ラ3の軸端部は、図2及び
図3に示すように、軸受部材であるブッシュ7を介して
下枠8aに回転可能に支持されている。また、この下枠
8aは、可動部材6に取付けられた上枠8bにスライド
ベアリング9を介して係合している。従って、前記下枠
8a、上枠8b及びスライドベアリング9により、第3
ロ−ラ3の軸端部をロ−ラ軸線と略直行する方向に移動
可能に支持するロ−ラ支持部材8が構成されている。ま
た、第3ロ−ラ3の軸部材3aにおける下枠8aの取付
位置より内側位置には偏動検出部材11が第3ロ−ラ3
と同軸上で且つ、該第3ロ−ラ3から独立して回動自在
となるように軸部材3aに支持されている。また、軸部
材3aの外側端部にはリング部材12が装着されてい
る。
【0025】前記偏動検出部材11は、前記転写ベルト
4のベルト材と摩擦係数が高く且つ耐摩耗性に優れたウ
レタンエラストマ等によって形成されている。そして、
この偏動検出部材11は、その内側端面が、前記第3ロ
−ラ3の筒状体3bの端面と小間隙を存して近接配置さ
れている。また、この偏動検出部材11は、第3ロ−ラ
3の筒状体3bの端面に対向する部分の外径が第3ロ−
ラ3の外径と同径に設定され、且つ筒状体3b端面から
離れるに従って次第にその径が大きくなるテ−パ状に傾
斜された乗り上げ面11aを有している。そして、これ
によって、転写ベルト4にA方向の偏動が発生すると、
図2に仮想線で示すように、その偏動により転写ベルト
4が偏動検出部材11の乗り上げ面11aに乗り上げる
ようになっている。
【0026】また、前記偏動検出部材11には、本発明
でいう可撓性部材としての紐部材13の一端が連結され
ている。一方、この紐部材13の他端は固定部材Sに取
付けられている。つまり、後述する片寄付与手段10の
動作によって発生する転写ベルト4の偏動により、転写
ベルト4が偏動検出部材11の乗り上げ面11aに乗り
上げ、偏動検出部材11に回転トルクが作用したとき、
偏動検出部材11の回転により前記紐部材13が偏動検
出部材11に巻き取られて、前記第3ロ−ラ3のA方向
の軸端部を、第2ロ−ラ2の軸端部から離れる方向に、
即ち、図1B方向とは反対方向に変位させるようになっ
ている。即ち、第3ロ−ラ3をベルト進行方向に向って
左方向に傾けて、図1の左側のベルト張力のみを大きく
することにより、転写ベルト4を図中A方向とは逆方向
に移動させるように構成されている。これによって、偏
動検出部材11に回転トルクが作用したときに前記第3
ロ−ラ3の軸端部を所定方向に変位させるロ−ラ端部変
位手段14が構成されている。即ち、第3ロ−ラ3の軸
端部が変位されると、転写ベルト4は、A方向とは逆方
向へ巻回されながら走行するために、初期の偏動成分
(A方向成分)とは逆の偏動成分が発生し、初期の偏動
成分と打ち消し合うまで軸部材3aの軸端部が変位され
ることになる。
【0027】そして、本例の特徴とする構成は、前記紐
部材13に介設され互いに並列状態で連結された付勢手
段としてのコイルスプリング17と粘性手段としてのダ
ンパ18である。コイルスプリング17は、前記紐部材
13の巻取動作による変位を抑制する方向に常時付勢す
るようになっており、第3ロ−ラ3の軸端部の所定量以
上の変位を抑制するようになっている。このため、第3
ロ−ラ3の軸端部の変位による逆方向の偏動成分が片寄
付与手段の動作によって生じる初期偏動成分より大きく
なると、転写ベルト4は逆方向に偏動を開始し、偏動検
出部材11の乗り上げ面11aへの乗り上げ量は減少す
るから、偏動検出部材11の回転トルクも減少し、その
結果、コイルスプリング17によって第3ロ−ラ3の軸
端部の変位量も小さくなるようになっている。
【0028】一方、ダンパ18は、流体が封入されたケ
−シング18aと該ケ−シング18a内部を2つのスペ
−スに仕切る板材18bで成り、この板材18bに図示
しない複数の孔が形成されている。そして、前記ケ−シ
ング18aには一方の紐部材13aが、板材18bには
他方の紐部材13bが夫々連結されている。これによ
り、紐部材13が偏動検出部材11に巻き取られる際に
は、前記板材18bが流体の抵抗を受けながらケ−シン
グ18a内を移動することになる。つまり、この流体が
偏動検出部材11の回転の抵抗として機能するため、該
偏動検出部材11の回転が急激に且つ大きくなるような
ことが抑制されている。このため、第3ロ−ラ3の軸端
部の変位の際の移動ストロ−クを縮小することができる
ようになっている。
【0029】また、偏動検出部材11のロ−ラ端部外側
への移動はストッパ16によって規制されている。
【0030】以下、上記の構成による動作について説明
する。先ず、第1ロ−ラ1及び第3ロ−ラ3に対する第
2ロ−ラ2の傾斜配置により、転写ベルトの走行時に、
該転写ベルト4は常に図1におけるA方向へ偏動するよ
うな力が作用しており、これによって、転写ベルト4
は、走行しながら偏動検出部材11に向かって偏動す
る、そして、転写ベルト4の偏動により転写ベルト4の
端部が偏動検出部材11の乗り上げ面11aに乗り上げ
ると、図5に示すように、転写ベルト4と偏動検出部材
11の乗り上げ面11aとの間に作用する摩擦力によ
り、偏動検出部材11が軸部材3aに対して回転せしめ
られ、その回転によって紐部材13を巻取ることにな
る。
【0031】この紐部材13の巻取りの際、上述したよ
うに、ダンパ18の作動により、偏動検出部材11の回
転動作は所定の抵抗が付加される。つまり、前記ダンパ
18の板材18bがケ−シング18a内を流体の抵抗を
受けながら移動するため、偏動検出部材11の回転動作
はこの板材18bの移動に支配されることになり、転写
ベルト4と偏動検出部材11との間の摩擦係数が大きい
ような場合であっても該偏動検出部材11の急激な回転
は防止されており、これによって、第3ロ−ラ3の軸端
部の変位の移動ストロ−クも縮小されることになる。こ
のようにして、第3ロ−ラ3の軸端部がB方向へ必要以
上の変位を有することなくに移動し、この移動により転
写ベルト4はA方向と逆方向に巻回されながら走行する
ことになって、転写ベルト4は、必要以上のA方向及び
逆A方向への偏動が制限される。また、この紐部材13
の巻き取り動作に伴って、前記コイルスプリング17が
伸びてスプリング力も作用しているので、紐部材13の
巻取り力とスプリング17のスプリング力とのバランス
により、第3ロ−ラ3の変位量が規制され、ある一定位
置に転写ベルト4の端部の位置が維持されることにな
る。
【0032】このようにして転写ベルト4の走行が行わ
れるために、転写ベルト4の大きな偏動が防止され、例
えば、転写ベルト4の偏動量を10数μmに抑えること
ができる。つまり、予め転写ベルト4を一方向へ偏動さ
せながら、その偏動を自動的に逐次修正するようにして
いることにより、偏動量を微量にすることができ、転写
ベルト4に安定した走行を行わせることができ、本例の
ような電子写真装置にあっては正確な画像形成を行うこ
とができる。
【0033】このように、本実施例では、第3ロ−ラ3
の一方の軸端部を変位させるための偏動検出部材11の
回転動作が急激に行われることを防止しているため、転
写ベルト4の幅方向への移動ストロ−クを短縮すること
ができベルト駆動装置の実用性を大幅に向上することが
できる。また、コイルスプリング17及びダンパ18を
並列状態で紐部材13に連結させたことにより、装置全
体としてのコンパクト化も図れる。
【0034】次に、上記の効果を確認するために行った
実験の結果について説明する。本実験では、コイルスプ
リング17及びダンパ18を備えた本例のものと、比較
例としてコイルスプリング17及びダンパ18を備えて
いないものとについて、紐部材13に作用する張力及び
ベルトの幅方向の移動変位を夫々測定した。その結果を
図6及び図7に示す。つまり、図6に示すものは、本例
のものであり、図7に示すものはコイルスプリング17
及びダンパ18を備えていないものである。これら各図
からも判るように、コイルスプリング17及びダンパ1
8を備えないもの(図7)では、紐部材13に作用する
張力の幅が100gfと大きく、また、ベルトの幅方向
の移動変位幅も20μmと大きくなっている。一方、本
例の構成のもの(図6)では、紐部材13に作用する張
力の幅が10gf、ベルトの移動変位幅が5μmといず
れも小さくなっており、このコイルスプリング17およ
びダンパ18による効果が確認された。
【0035】尚、上述した各例では、電子写真装置の転
写ベルトの駆動装置について説明したが、本考案は、こ
れに限らず、感光体ベルトの駆動装置、或いは通常の平
ベルト駆動装置についても同様に適用することができ
る。更に、片寄付与手段としては、第3ロ−ラ3を第1
ロ−ラ1に対して傾斜配置させたり、転写ベルト4に張
力を与えるためのスプリング3c,3cの付勢力を左右
で異なるようにして構成するようにしてもよい。
【0036】
【発明の効果】上述してきたように、本発明によれば、
以下に述べるような効果が発揮される。先ず、請求項1
記載の発明によれば、偏動検出部材に、偏動調整用ロ−
ラの軸端部の移動方向とは逆方向に付勢力を与える付勢
手段と偏動調整用ロ−ラの軸端部の移動の抵抗を作用さ
せる抵抗手段とを連結させて、偏動調整用ロ−ラの軸端
部の変位の際、偏動調整用ロ−ラの変位動作に所定の抵
抗を付加させて、急激な変位動作を防止するようにして
いるために、平ベルトと偏動検出部材との間の摩擦係数
が大きいような場合であっても、軸端部の変位の移動ス
トロ−クが縮小でき、且つ、この偏動調整用ロ−ラの軸
端部の変位動作に伴う、付勢手段の付勢力によって、偏
動調整用ロ−ラの変位量を規制できるため、安定した平
ベルトの走行状態を得ることができ、ベルト駆動装置の
実用性を大幅に向上することができる。
【0037】請求項2記載の発明によれば、抵抗手段
を、ケ−シング内の板材が該ケ−シング内に封入された
流体の流動抵抗を受けながら移動させるようにしたこと
により、偏動調整用ロ−ラの軸端部の移動の抵抗を確実
に作用させることができる。
【0038】請求項3記載の発明によれば、付勢手段と
抵抗手段とを、互いに並列状態で可撓性部材に連結させ
て、付勢手段による付勢力及び抵抗手段による抵抗が可
撓性部材の巻き取り動作に作用するようにしたことによ
り、平ベルトの安定した走行を行うことができ、また、
装置全体としてのコンパクト化も図れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ベルト駆動装置の概略斜視図である。
【図2】偏動検出部材周辺の縦断正面図である。
【図3】偏動検出部材周辺を内側から見た斜視図であ
る。
【図4】偏動検出部材周辺を外側から見た斜視図であ
る。
【図5】ロ−ラ端部変位手段の動作を説明するための図
である。
【図6】本発明に係るベルト駆動装置における紐部材に
作用する張力とベルトの幅方向移動ストロ−クとを測定
した実験結果を示す図である。
【図7】スプリング及びダンパを備えていないベルト駆
動装置における図6相当図である。
【符号の説明】
1 第1ロ−ラ 2 第2ロ−ラ 3 第3ロ−ラ(偏動調整用ロ−ラ) 4 転写ベルト(平ベルト) 11 偏動検出部材 13 紐部部材(可撓性部材) 14 ロ−ラ端部変位手段 17 コイルスプリング(付勢手段) 18 ダンパ(抵抗手段) 18a ケ−シング 18b 板材
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI G03G 21/00 G03G 21/00 (56)参考文献 特開 平4−121337(JP,A) 特開 昭63−1846(JP,A) 特開 昭62−261749(JP,A) 実開 昭64−48457(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) F16H 7/18 B65G 23/24 B65G 43/02 B65H 5/02 G03G 15/16 G03G 21/00

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 平ベルトと、該平ベルトが掛け渡され、
    少なくとも1本が偏動調整用ロ−ラに構成された複数本
    のロ−ラと、 前記偏動調整用ロ−ラの一方の軸端部に、該偏動調整用
    ロ−ラと独立して回転自在に支持された偏動検出部材
    と、 前記平ベルトを前記偏動検出部材の配設位置に向って移
    動させる片寄付与手段と、 前記偏動検出部材に連繋され、該偏動検出部材に前記平
    ベルトが接して回転トルクが作用したときに、その回転
    運動を前記偏動調整用ロ−ラの軸端部が所定方向に変位
    する運動に変換し、前記平ベルトを前記片寄付与手段に
    よる移動方向とは逆方向に移動させるロ−ラ端部変位手
    段とを備え、 前記偏動検出部材には、前記偏動調整用ロ−ラの軸端部
    の移動方向とは逆方向に付勢力を与える付勢手段と、前
    記偏動調整用ロ−ラの軸端部の移動の抵抗を作用させる
    抵抗手段とが連結されていることを特徴とするベルト駆
    動装置。
  2. 【請求項2】 請求項1記載のベルト駆動装置におい
    て、抵抗手段は、流体が封入されたケ−シングと、該ケ
    −シング内において前記流体の流動抵抗を受けながら移
    動可能な板材とで構成されていることを特徴とするベル
    ト駆動装置。
  3. 【請求項3】 請求項1または2記載のベルト駆動装置
    において、ロ−ラ端部変位手段は、一端が偏動検出部材
    に接続されて該偏動検出部材の回転に伴って該偏動検出
    部材に巻き取られる可撓性部材を備えており、付勢手段
    と抵抗手段とは、互いに並列状態で前記可撓性部材に連
    結されていることを特徴とするベルト駆動装置。
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