JP2545490Y2 - ベルト駆動装置 - Google Patents

ベルト駆動装置

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JP2545490Y2
JP2545490Y2 JP5692991U JP5692991U JP2545490Y2 JP 2545490 Y2 JP2545490 Y2 JP 2545490Y2 JP 5692991 U JP5692991 U JP 5692991U JP 5692991 U JP5692991 U JP 5692991U JP 2545490 Y2 JP2545490 Y2 JP 2545490Y2
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嘉久 中野
浩 三橋
修一 永谷
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Bando Chemical Industries Ltd
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  • Electrostatic Charge, Transfer And Separation In Electrography (AREA)
  • Delivering By Means Of Belts And Rollers (AREA)
  • Devices For Conveying Motion By Means Of Endless Flexible Members (AREA)

Description

【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本考案は、電子写真方式を用いた
機器に内蔵され、転写ベルトや感光体ベルト等を使用す
るベルト駆動装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、例えば電子写真装置におい
て、この装置の軽量化及びコンパクト化を目的として、
表面に誘電体層または感光体層を有する平ベルトを、互
いに略平行に配置した複数本のロ−ラに掛け渡すことに
よって、前記平ベルトを転写ドラムまたは感光体ドラム
等の代わりに転写ベルトまたは感光体ベルトとして利用
することが知られている。
【0003】そして、このような用途に用いられる平ベ
ルトは、その基材がプラスチックフィルムや金属箔等の
ような伸びが小さくて強度の高い材料によって形成され
る場合が多い。従って、この種の平ベルトは弾性変形し
難い。そのために、前記電子写真装置内に収容された部
品の寸法誤差、ロ−ラの取付誤差、ベルト張力のアンバ
ランス、ベルト周長さの不均一などが生じている場合、
これらをベルト自体の変形によって吸収することができ
ない。この結果、前記平ベルトが、走行時にベルト幅方
向へ偏動してしまうといった問題があった。
【0004】しかし、前記電子写真装置は、正確な画像
形成を行うために、高精度、高解像度が要求されるの
で、この平ベルトの偏動を防止する必要がある。
【0005】そして、このような、平ベルトの偏動を防
止するための従来技術として、特開昭56−12750
1号公報や特開昭59−205052号公報に示される
ように平ベルトに偏動防止用のガイドを設けたり、特開
昭57−60347号公報に示されるように規制部材を
設けることによって平ベルトの偏動を強制的に防止する
ようにしたものがある。また、実開昭58−11060
9号公報に示されるように、1本のロ−ラを偏動調整用
ロ−ラとすると共に偏動検出用のベルト位置センサを備
えさせ、前記ベルト位置センサによって平ベルトの偏動
が検出されると、その偏動量に応じて偏動調整用ロ−ラ
の軸端部を変位させることにより偏動を修正するように
したものや、実開昭64−48457号公報に示される
ように、平ベルトが偏動すると、この偏動に伴なってロ
−ラを回転軸方向に移動させ、このロ−ラの移動によっ
て該ロ−ラの回転軸を揺動させて、ロ−ラを反対方向へ
移動させることにより偏動を修正するようにしたものが
ある。
【0006】
【考案が解決しようとする課題】しかしながら、前記特
開昭56−127501号公報、特開昭59−2050
52号公報及び特開昭57−60347号公報に示され
ているような構成では、平ベルトの偏動を外的要因によ
り強制的に規制するようにしているから、平ベルトとロ
−ラとの組合わせの条件如何により機構として成立し得
ない場合がある。即ち、平ベルトの偏動に伴う寄り力が
大きくなるものでは、ガイド及び規制部材の強度を増大
させておく必要がある。また、平ベルト自体の幅方向座
屈強度を増大させる必要があり、同時に平ベルト端部が
損傷しないように端部強度も増大させる必要がある。従
って、ベルト厚さが薄くなるほど上記方式の採用は困難
となる。また、平ベルトにガイドを設ける場合に、精度
良くガイドを設ける必要があり、特にシ−ムレスベルト
の場合では、このガイドを形成することが非常に困難で
あった。
【0007】また、前記実開昭58−110609号公
報や実開昭64−48457号公報に示されているよう
な構成では、複雑なメカニズムを用いて偏動を検出、修
正するために、高価でしかも余分なスペ−スを必要と
し、装置全体としての大型化に繋る。そればかりでな
く、複雑な機構であるために、部品点数が多くなり、そ
れだけ故障発生要因部が増加することになり、装置の信
頼性が十分に確保されているとは言い難いものであっ
た。
【0008】これらの点を解決するために、本考案の考
案者らは、自動的に偏動を検出、修正することができる
ベルト駆動装置について、その構造の改良を進めてい
る。詳しくは、複数のロ−ラのうち1本を偏動調整用ロ
−ラとし、この偏動調整用ロ−ラの片側に、該偏動調整
用ロ−ラと独立して回転自在な偏動検出用ロ−ラを備え
させておく。また、この偏動検出用ロ−ラは外径が前記
偏動調整用ロ−ラから離れるにしたがって次第に大きく
なっており、その外周にテ−パ状の乗り上げ面を有して
いる。そして、前記平ベルトを予め前記偏動検出用ロ−
ラに向って偏動させるように構成する。そして、平ベル
トの走行時に、該平ベルトが、その偏動によって偏動検
出用ロ−ラの乗り上げ面に乗り上げると、この乗り上げ
により偏動検出用ロ−ラが回転し、この回転力を偏動調
整用ロ−ラの軸端部を所定方向に移動させる力に変換す
ることによって平ベルトに逆方向の偏動成分を与え、前
記偏動を解消させるようにしたベルト駆動装置について
開発している。
【0009】ところが、この種のベルト駆動装置では、
上述したように、平ベルトの偏動に伴って該平ベルトが
テ−パ状の乗り上げ面に乗り上げるため、この平ベルト
の端縁部分が局部的に延び、このベルト端縁部が波打ち
状になることがあり、このようにベルト端縁部が波打ち
状になると、正確な偏動検出、修正が行えなくなるた
め、このような状態になった平ベルトは別の平ベルトに
交換することが必要であった。このため、上記装置にあ
っては、ベルト交換の頻度が高くなってしまうといった
不具合があり、本装置を実用的なものとするためには、
ベルトの長寿命化を図ることが必要である。同様に、前
記平ベルトが接触する偏動検出用ロ−ラの耐摩耗性を向
上させることもこの種のベルト駆動装置の実用性を向上
させるためには有効となる。
【0010】本考案は、これらの点に鑑みてなされたも
のであって、上述したように偏動検出用ロ−ラによって
自動的に偏動を検出、修正することができるベルト駆動
装置について、この偏動検出ロ−ラを改良することによ
って、このベルト駆動装置の実用性を大幅に向上させる
ことができる構成を得ることを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】この目的を達成するため
に、本考案は、予め、平ベルトを所定方向に偏動させる
ようにしながら、この偏動を偏動検出部材によって検出
して、逐次、この偏動を修正するようにしたベルト駆動
装置に対して、偏動検出部材を様々な構成に改良した。
具体的に、請求項1記載の考案は、平ベルトと、該平ベ
ルトが掛け渡され、少なくとも1本が偏動調整用ロ−ラ
に構成された複数本のロ−ラと、前記偏動調整用ロ−ラ
の一方の軸端部に、該偏動調整用ロ−ラと独立して回転
自在に支持された偏動検出部材と、前記平ベルトを前記
偏動検出部材の配設位置に向って移動させる片寄付与手
段と、前記偏動検出部材に連繋され、該偏動検出部材に
前記平ベルトが接して回転トルクが作用したときに、そ
の回転運動を前記偏動調整用ロ−ラの軸端部が所定方向
に変位する運動に変換し、前記平ベルトを前記片寄付与
手段による移動方向とは逆方向に移動させるロ−ラ端部
変位手段とを備えさせる。そして、前記偏動検出部材の
外周面に前記平ベルトが乗り上げ可能な乗り上げ面を形
成し、該乗り上げ面に多数の短繊維を突設するような構
成としている。
【0012】請求項2記載の考案は、平ベルトと、該平
ベルトが掛け渡され、少なくとも1本が偏動調整用ロ−
ラに構成された複数本のロ−ラと、前記偏動調整用ロ−
ラの一方の軸端部に、該偏動調整用ロ−ラと独立して回
転自在に支持された偏動検出部材と、前記平ベルトを前
記偏動検出部材の配設位置に向って移動させる片寄付与
手段と、前記偏動検出部材に連繋され、該偏動検出部材
に前記平ベルトが接して回転トルクが作用したときに、
その回転運動を前記偏動調整用ロ−ラの軸端部が所定方
向に変位する運動に変換し、前記平ベルトを前記片寄付
与手段による移動方向とは逆方向に移動させるロ−ラ端
部変位手段とを備えさせる。そして、前記偏動検出部材
の外周面に前記平ベルトが乗り上げ可能な乗り上げ面を
形成し、偏動検出部材を、その乗り上げ面の傾斜角度を
2〜8゜に設定した硬質プラスチックまたは金属によっ
て構成するようにしている。
【0013】請求項3記載の考案は、平ベルトと、該平
ベルトが掛け渡され、少なくとも1本が偏動調整用ロ−
ラに構成された複数本のロ−ラと、前記偏動調整用ロ−
ラの一方の軸端部に、該偏動調整用ロ−ラと独立して回
転自在に支持された偏動検出部材と、前記平ベルトを前
記偏動検出部材の配設位置に向って移動させる片寄付与
手段と、前記偏動検出部材に連繋され、該偏動検出部材
に前記平ベルトが接して回転トルクが作用したときに、
その回転運動を前記偏動調整用ロ−ラの軸端部が所定方
向に変位する運動に変換し、前記平ベルトを前記片寄付
与手段による移動方向とは逆方向に移動させるロ−ラ端
部変位手段とを備えさせる。そして、前記偏動検出部材
の外周面に前記平ベルトが乗り上げ可能な乗り上げ面を
形成し、該乗り上げ面を、傾斜面と該傾斜面の外側に連
続して形成された水平面とによって形成するようにして
いる。
【0014】
【作用】上記の構成により本考案では以下に述べるよう
な作用が得られる。先ず、請求項1記載の考案では、片
寄付与手段の作用によって、平ベルトが偏動検出部材の
配設位置に向かって偏動し、該偏動検出部材に接する
と、該偏動検出部材が平ベルトとの接触摩擦により回転
する。そして、ロ−ラ端部変位手段によってこの偏動検
出部材の回転運動が前記偏動調整用ロ−ラの軸端部が所
定方向に変位する運動に変換される。このようにして偏
動調整用ロ−ラの軸端部が変位すると、平ベルトに前記
偏動方向とは逆方向の偏動変位が発生するために、前記
初期の偏動を修正する。つまり、初期の偏動に応じた偏
動調整用ロ−ラの軸端部の変位量が自動的に与えられ、
平ベルトの偏動を修正する。このため、前記平ベルトは
安定した走行を行うことができ、特に、このベルト駆動
装置を電子写真装置に適用した場合には正確な画像形成
を行うことができる。そして、前記平ベルトが偏動検出
部材に接触する際には、該偏動検出部材の乗り上げ面に
平ベルトが乗り上げることになる。そして、この乗り上
げ面には多数の短繊維が突設されているため平ベルトと
乗り上げ面とは直接接触することなく、この短繊維を介
して接触される。このため、この接触部分は湿度などの
環境による影響を受け難く、この接触部分の摩擦係数は
常に低い値で且つ一定値に維持される。従って、いかな
る環境下においても常に安定した偏動修正動作を行うこ
とができる。また、平ベルトは、柔軟性を有する短繊維
に接触していることになるため、摩耗や損傷の発生が抑
制されており、この転写ベルトの長寿命化を図ることも
できる。更に、偏動検出部材についても、乗り上げ面が
転写ベルトに接触しないため、その摩耗が抑制されて長
寿命化を図ることができる。
【0015】請求項2記載の考案では、偏動検出部材の
乗り上げ面の傾斜角度が、最適な偏動修正動作を行い得
る範囲に設定される。つまり、この傾斜角度が2゜より
も小さい場合には、平ベルトが乗り上げ面に乗り上げて
も十分なトルク伝達が行えず、また、傾斜角度が8゜よ
りも大きい場合には平ベルトが乗り上げ面に乗り上げた
際に、この乗り上げ側の平ベルトの端縁のベルト張力が
急激に大きくなり、いずれの場合も安定した偏動修正動
作が行えないことになる。このような点を考慮して上記
の値が設定されており、常に安定した平ベルトの走行が
行われる。
【0016】請求項3記載の考案では、平ベルトが乗り
上げ面に乗り上げる際、該平ベルトの端部が水平面から
離れるような状態となって偏動検出部材に接触し難くな
る。このため、このベルト端部に応力が集中するような
ことがなくなり、平ベルトの寿命の延長を図ることがで
きる。
【0017】
【実施例】(第1実施例) 以下、本考案の第1実施例を図面に沿って詳細に説明す
る。
【0018】図1は、本例に係る電子写真装置内に収容
されたベルト駆動装置を示している。3軸系の転写ベル
トの駆動装置の全体を示す図1において、1,2,3
は、夫々第1、第2及び第3ロ−ラである。各ロ−ラ
1,2,3は、夫々軸部材1a,2a,3aと、該軸部
材1a,2a,3aの左右両端部を除いた部分で、軸部
材1a,2a,3aと同心上で僅かに大径に形成された
ゴム等で成る筒状体1b,2b,3bとから成ってい
る。この筒状体1b,2b,3bの材料としては、例え
ばEPDM系架橋ゴムが採用される。但し、この各筒状
体1b,2b,3bは樹脂やアルミニウムなどのように
弾性体材料でないものであってもよい。
【0019】前記各ロ−ラ1,2,3には、基材の表面
に誘電体層が形成されて成る本考案でいう平ベルトとし
ての転写ベルト4が走行可能に掛け渡されている。従っ
て、本ベルト駆動装置は、前記転写ベルト4が電子写真
装置の転写搬送体として機能するようになっている。ま
た、前記転写ベルト4の基材としては、例えば2軸延伸
ポリエステルが採用されており、引張弾性率が200kg
/mm2 以上に設定されている。
【0020】第1ロ−ラ1は、軸部材1aが駆動モ−タ
5の駆動軸に連結されて該駆動モ−タ5の駆動力が伝達
可能となっている。つまり、この第1ロ−ラ1が駆動ロ
−ラとして機能するようになっている。
【0021】第2ロ−ラ2は、従動ロ−ラであって、そ
の軸線が前記第1ロ−ラ1の軸線に対して傾斜配置され
ている。つまり、例えば第2ロ−ラ2のA方向の軸端部
のみを、第1ロ−ラ1との水平平行位置に対してC方向
に僅かに(例えば1mm)変位させている。
【0022】第3ロ−ラ3は、本考案でいう偏動調整用
ロ−ラであって、その軸線が第1ロ−ラ1の軸線と平行
に配置されている。また、この第3ロ−ラ3は、その左
右両軸端部に配設されたスプリング3c,3cによって
C方向に付勢力が与えられている。そして、この付勢力
によって転写ベルト4の張力が調整されるようになって
いる。
【0023】このように各ロ−ラ1,2,3が配設され
ていることにより、この各ロ−ラ1,2,3に掛け渡さ
れている転写ベルト4は、その走行時において常にA方
向に偏動するような構成となっている。つまり、前記第
2ロ−ラ2の軸線が第1ロ−ラ1の軸線に対して傾斜配
置されていることによって本考案でいう片寄付与手段が
構成されている。
【0024】また、第3ロ−ラ3の軸端部は、図2及び
図3に示すように、軸受部材であるブッシュ7を介して
下枠8aに回転可能に支持されている。また、この下枠
8aは、可動部材6に取付けられた上枠8bにスライド
ベアリング9を介して係合している。従って、前記下枠
8a、上枠8b及びスライドベアリング9により、第3
ロ−ラ3の軸端部をロ−ラ軸線と略直行する方向に移動
可能に支持するロ−ラ支持部材8が構成されている。ま
た、第3ロ−ラ3の軸部材3aにおける下枠8aの取付
位置より内側位置には本例の特徴とする部材である偏動
検出部材11が第3ロ−ラ3と同軸上で且つ、該第3ロ
−ラ3から独立して回動自在となるように軸部材3aに
支持されている。また、軸部材3aの外側端部にはリン
グ部材12が装着されている。
【0025】前記偏動検出部材11は、ウレタンエラス
トマ等によって形成されている。そして、この偏動検出
部材11は、その内側端面が、前記第3ロ−ラ3の筒状
体3bの端面と小間隙を存して近接配置されている。ま
た、この偏動検出部材11は、第3ロ−ラ3の筒状体3
bの端面に対向する前記内側端面部分の外径が第3ロ−
ラ3の筒状態3bの外径と同径に設定され、且つ筒状体
3b端面から離れるに従って次第にその径が大きくなる
テ−パ状に傾斜された乗り上げ面11aを有している。
そして、この偏動検出部材11の特徴とする構成とし
て、図6に示すように、この乗り上げ面11aには短繊
維17が配設されている。詳しくは、この短繊維17は
長さが約2mmのコ−ネックス(株式会社帝人社製)で
あって、前記乗り上げ面11aに対して垂直方向に延び
るように、この偏動検出部材11の乗り上げ面11a近
傍に埋設されており、その先端部分が僅かに、この乗り
上げ面11aから突出されている。また、この短繊維1
7の配合比率としては、偏動検出部材11全体の約17
%に設定されている。また、本例における偏動検出部材
11の具体的な寸法としては、同図6に示すように、内
側端部の径d1が16mm、外側端部に配設された円筒
部分11bの径d2が10mm、乗り上げ面11aの傾
斜角度αが3゜に夫々設定されている。そして、このよ
うに構成された偏動検出部材11は、転写ベルト4にA
方向の偏動が発生すると、図2に仮想線で示すように乗
り上げ面11aに転写ベルト4が乗り上げるようになっ
ている。
【0026】また、前記偏動検出部材11の円筒部分1
1bには、紐部材13の一端が連結されている。一方、
この紐部材13の他端は固定部材Sに取付けられてい
る。つまり、片寄付与手段の動作によって発生する転写
ベルト4の偏動により、転写ベルト4が偏動検出部材1
1の乗り上げ面11aに乗り上げ、偏動検出部材11に
回転トルクが作用したとき、偏動検出部材11の回転に
より前記紐部材13が偏動検出部材11の円筒部分11
bに巻き取られて、前記第3ロ−ラ3のA方向の軸端部
を、第1ロ−ラ1の軸端部から離れる方向に、即ち、図
1のB方向に変位させるようになっている。即ち、第3
ロ−ラ3をベルト進行方向に向って右方向に傾けて、図
1の左側のベルト張力のみを大きくすることにより、転
写ベルト4を図中A方向とは逆方向に移動させるように
構成されている。これによって、偏動検出部材11に回
転トルクが作用したときに前記第3ロ−ラ3の軸端部を
所定方向に変位させるロ−ラ端部変位手段14が構成さ
れている。即ち、第3ロ−ラ3の軸端部がB方向に変位
されると、転写ベルト4は、A方向とは逆方向へ巻回さ
れながら走行するために、初期の偏動成分(A方向成
分)とは逆の偏動成分が発生し、初期の偏動成分と打ち
消し合うまで軸部材3aの軸端部が変位されることにな
る。
【0027】また、偏動検出部材11のロ−ラ端部外側
への移動はストッパ16によって規制されている。
【0028】以下、上記の構成による動作について説明
する。先ず、第1ロ−ラ1及び第3ロ−ラ3に対する第
2ロ−ラ2の傾斜配置により、転写ベルトの走行時に、
該転写ベルト4は常に図1におけるA方向へ偏動するよ
うな力が作用しており、これによって、転写ベルト4
は、走行しながら偏動検出部材11に向かって偏動す
る、そして、転写ベルト4の偏動により転写ベルト4の
端部が偏動検出部材11の乗り上げ面11aに乗り上げ
ると、図5に示すように、転写ベルト4と偏動検出部材
11の乗り上げ面11aとの間に作用する摩擦力によ
り、偏動検出部材11が軸部材3aに対して回転せしめ
られ、その回転によって紐部材13を巻取ることにな
る。
【0029】この紐部材13の巻き取りにより、偏動検
出部材11が配置されている第3ロ−ラ3の軸端部がB
方向へ変位し、この変位された側のベルト張力のみが大
きくなって、転写ベルト4はA方向と逆方向に巻回され
ながら走行することになる。これによって、転写ベルト
4のA方向への偏動が制限される。それと共に、前記軸
端部の変位によりスプリング15が延びてスプリング力
も作用しているので、紐部材13の巻取り力とスプリン
グ15のスプリング力とのバランスにより、第3ロ−ラ
3の変位量が規制され、ある一定位置に転写ベルト4の
端部の位置が維持されることになる。
【0030】このようにして転写ベルト4の走行が行わ
れるために、転写ベルト4の大きな偏動が防止され、例
えば、転写ベルト4の偏動量を10数μmに抑えること
ができる。つまり、予め転写ベルト4を一方向へ偏動さ
せながら、その偏動を自動的に逐次修正するようにして
いることにより、偏動量を微量にすることができ、転写
ベルト4に安定した走行を行わせることができ、本例の
ような電子写真装置にあっては正確な画像形成を行うこ
とができる。
【0031】そして、本例の特徴とする動作としては、
上述した転写ベルト4の偏動検出部材11への乗り上げ
動作時にある。つまり、上述したように、偏動検出部材
11の乗り上げ面11aには短繊維17が配設されてい
るために、転写ベルト4と偏動検出部材11の乗り上げ
面11aとは直接接触することなく、短繊維17を介し
て接触されることになる。そして、転写ベルト4の裏面
と短繊維17とが接触する部分の総面積は小さくなって
おり、また、この接触部分は湿度などの環境による影響
を受け難いために、この接触部分の摩擦係数は常に低い
値で且つ一定値に維持されることになる。従って、いか
なる環境下においても常に安定した偏動修正動作を行う
ことができる。また、転写ベルト4は、柔軟性を有する
短繊維17に接触していることになるため、摩耗や損傷
の発生が抑制されており、この転写ベルト4の長寿命化
を図ることもできる。また、短繊維17が配設されてい
ることで乗り上げ面11a周辺の弾性率が低下するた
め、転写ベルト4に作用する応力を分散することがで
き、これによっても転写ベルト4の長寿命化を図ること
ができる。一方、偏動検出部材11は、乗り上げ面11
aが転写ベルト4に接触しないため、その摩耗が抑制さ
れて長寿命化を図ることができる。
【0032】次に、本例の効果を確認するために行った
実験の結果について説明する。この実験は試料Aとして
本例の偏動検出部材11、試料Bとして短繊維を含まな
い超高分子PEで形成した偏動検出部材(乗り上げ面傾
斜角度3゜)、試料Cとしてて短繊維を含まない高度A
95゜のポリウレタンで形成した偏動検出部材(乗り上
げ面傾斜角度8゜)を採用し、夫々について偏動修正運
転状態等を観測した。尚、本実験で用いた実験装置とし
てのベルト駆動装置は、第1及び第2ロ−ラを、その径
が16mm、表面にコ−ネックス17%配合したものと
し、第3ロ−ラを、その径が16mのEPDMロ−ラと
した。また、転写ベルトとして、ニッケルベルトを採用
し、ベルト内径60mm、ベルト厚み30μm、ベルト
幅270mmとした。以下の表1にその実験結果を示
す。
【0033】
【表1】
【0034】このように、本例の短繊維17が配設され
た偏動検出部材11において、最適な偏動修正動作が行
え、且つ各部材の長寿命化を図ることができることが確
認された。
【0035】尚、本例における短繊維の材質としては、
アラミド、ナイロン、PET等を採用することも可能で
あって、要求される摩擦係数に応じて適宜選択するよう
にすればよい。
【0036】(第2実施例) 次に、請求項2記載の考案における第2実施例について
説明する。本例は、偏動検出部材11の変形例であっ
て、ベルト駆動装置の主たる構成は上述した第1実施例
のものと同様であるために、その説明を省略し、偏動検
出部材11の形状のみについて説明するに止める。
【0037】図7に示すように、本例の偏動検出部材1
1は、乗り上げ面11aの傾斜角度βが2〜8゜に設定
されている。これは、転写ベルト4の偏動修正動作を最
適な状態で行い得る範囲として設定されたものである。
つまり、この傾斜角度が2゜よりも小さい場合には、転
写ベルト4が乗り上げ面11aに乗り上げても十分なト
ルク伝達が行えず、偏動修正動作に遅れが生じたり、そ
の動作が行えなかったりする虞れがある。また、傾斜角
度が8゜よりも大きい場合には転写ベルト4が乗り上げ
面11aに乗り上げた際に、この乗り上げ側の転写ベル
ト4の端縁のベルト張力が急激に大きくなり、転写ベル
ト4に延びが発生したり、破損したりするといった虞れ
がある。このような点を考慮して上記の値が設定されて
いる。
【0038】次に、本例の効果を確認するために行った
実験の結果について説明する。この実験は、PET,N
iの夫々のベルトに対し、偏動検出部材11の乗り上げ
面11aの傾斜角度を0〜1゜のもの、2〜8゜のも
の、9〜10゜のものについてベルト走行状態を観測し
たものである。その結果を以下の表2に示す。なお、偏
動検出部材の材質はポリアセタ−ルを採用した。
【0039】
【表2】
【0040】 走行状態A:転写ベルトから偏動検出部材への伝達トル
ク不足により、偏動修正動作不能 走行状態B:安定したベルト走行状態 走行状態C:転写ベルトの乗り上げ端部に損傷発生 このように、偏動検出部材11の傾斜角度を2〜8゜に
設定した場合にのみ安定したベルト走行状態が得られ、
本例の効果が確認された。
【0041】(第3実施例) 次に、請求項3記載の考案における第3実施例について
説明する。本例も偏動検出部材11の変形例であって、
ベルト駆動装置の主たる構成は上述した第1実施例のも
のと同様であるために、その説明を省略し、偏動検出部
材の形状のみについて説明するに止める。
【0042】図8に示すように、本例の偏動検出部材1
1の乗り上げ面11aは、傾斜面11cと水平面11d
とで成っている。傾斜面11cは、上述した各例におけ
る乗り上げ面と同様に、筒状体3b端面から離れるに従
って次第にその径が大きくなるテ−パ状に傾斜されて成
っている。水平面11dは、この傾斜面11cの外側端
に連続し、該外側端から各ロ−ラ1,2,3の軸線と平
行に延びて成っている。
【0043】このようにして乗り上げ面11aが形成さ
れていることにより、図8の如く偏動して乗り上げ面1
1aに乗り上げた転写ベルト4は、ベルト端部周辺の裏
側面が乗り上げ面11aに接触されることになり、ベル
ト端部は水平面11dから浮上がった状態となって偏動
検出部材11に接触し難くなっている。このため、この
ベルト端部に応力が集中するようなことがなくなり、転
写ベルト4の寿命の延長を図ることができる。
【0044】(変形例) 次に、本第3実施例の変形例について説明する。本例の
偏動検出部材は、図9に示すように、上記例の傾斜面1
1cと水平面11dとを交互に複数形成するようにして
いる。このようにして乗り上げ面11aを形成すると、
転写ベルト4が乗り上げ面11aに乗り上げた状態で
は、この両者4,11は複数箇所において接触すること
になり、応力が分散されるので、これによっても、転写
ベルト4の寿命の延長を図ることができるまた、別の変
形例について説明すると、図10に示すものは、上述し
た第3実施例の傾斜面11c及び水平面11dに加えて
水平面11dの外側端部にリング状のストッパ11eを
一体形成している。これによれば、このストッパ11e
が転写ベルト4の暴走を防ぐと共に、このストッパ11
e自身にベルトの乗り上げ面としての機能を発揮させる
こともできる。
【0045】尚、上述した各例では、電子写真装置の転
写ベルトの駆動装置について説明したが、本考案は、こ
れに限らず、感光体ベルトの駆動装置、或いは通常の平
ベルト駆動装置についても同様に適用することができ
る。更に、片寄付与手段としては、第3ロ−ラ3を第1
ロ−ラ1に対して傾斜配置させたり、転写ベルト4に張
力を与えるためのスプリング3c,3cの付勢力を左右
で異なるようにして構成するようにしてもよい。
【0046】
【考案の効果】上述してきたように、本考案によれば、
以下に述べるような効果が発揮される。先ず、請求項1
記載の考案によれば、偏動検出部材の乗り上げ面に多数
の短繊維を突設して、平ベルトが偏動検出部材に接触す
る際、平ベルトと乗り上げ面とを短繊維を介して接触さ
せるようにしているために、この接触部分が湿度などの
環境による影響を受け難くすることができ、いかなる環
境下においても常に安定した偏動修正動作を行うことが
できる。また、平ベルトは、柔軟性を有する短繊維に接
触していることになるため、摩耗や損傷の発生が抑制さ
れており、この転写ベルトの長寿命化を図ることもでき
る。更に、偏動検出部材についても、乗り上げ面が転写
ベルトに接触しないため、その摩耗が抑制されて長寿命
化を図ることができる。これらにより、ベルト駆動装置
の実用性を大幅に向上することができる。
【0047】請求項2記載の考案によれば、偏動検出部
材の乗り上げ面の傾斜角度を2〜8゜に設定して、平ベ
ルトが乗り上げ面に乗り上げた際、十分なトルク伝達が
行えるようにし、且つこの乗り上げ側の平ベルトの端縁
のベルト張力を急激に大きくすることもなしに、最適な
偏動修正動作を行うことができる。
【0048】請求項3記載の考案によれば、乗り上げ面
を傾斜面と該傾斜面の外側に連続して形成された水平面
とで形成するようにし、平ベルトが乗り上げ面に乗り上
げる際、該平ベルトの端部が水平面から離れるような状
態とするようにしているために、ベルト端部を乗り上げ
面に接触させることなく、該ベルト端部に応力が集中す
るようなことがなくなり、平ベルトの寿命の延長を図る
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ベルト駆動装置の概略斜視図である。
【図2】偏動検出部材周辺の縦断正面図である。
【図3】偏動検出部材周辺を内側から見た斜視図であ
る。
【図4】偏動検出部材周辺を外側から見た斜視図であ
る。
【図5】ロ−ラ端部変位手段の動作を説明するための図
である。
【図6】第1実施例における偏動検出部材の一部を破断
した側面図である。
【図7】第2実施例における偏動検出部材の側面図であ
る。
【図8】第3実施例における偏動検出部材周辺の側面図
である。
【図9】変形例における図8相当図である。
【図10】他の変形例における図8相当図である。
【符号の説明】
1 第1ロ−ラ 2 第2ロ−ラ 3 第3ロ−ラ(偏動調整用ロ−ラ) 4 転写ベルト(平ベルト) 11 偏動検出部材 11a 乗り上げ面 11c 傾斜面 11d 水平面 14 ロ−ラ端部変位手段 17 短繊維
フロントページの続き (72)考案者 野中 敬三 兵庫県神戸市兵庫区明和通3丁目2番15 号 バンドー化学株式会社内

Claims (3)

    (57)【実用新案登録請求の範囲】
  1. 【請求項1】 平ベルトと、 該平ベルトが掛け渡され、少なくとも1本が偏動調整用
    ロ−ラに構成された複数本のロ−ラと、 前記偏動調整用ロ−ラの一方の軸端部に、該偏動調整用
    ロ−ラと独立して回転自在に支持された偏動検出部材
    と、 前記平ベルトを前記偏動検出部材の配設位置に向って移
    動させる片寄付与手段と、 前記偏動検出部材に連繋され、該偏動検出部材に前記平
    ベルトが接して回転トルクが作用したときに、その回転
    運動を前記偏動調整用ロ−ラの軸端部が所定方向に変位
    する運動に変換し、前記平ベルトを前記片寄付与手段に
    よる移動方向とは逆方向に移動させるロ−ラ端部変位手
    段とを備え、 前記偏動検出部材の外周面には前記平ベルトが乗り上げ
    可能な乗り上げ面が形成され、乗り上げ面には多数の短
    繊維が突設されていることを特徴とするベルト駆動装
    置。
  2. 【請求項2】 平ベルトと、 該平ベルトが掛け渡され、少なくとも1本が偏動調整用
    ロ−ラに構成された複数本のロ−ラと、 前記偏動調整用ロ−ラの一方の軸端部に、該偏動調整用
    ロ−ラと独立して回転自在に支持された偏動検出部材
    と、 前記平ベルトを前記偏動検出部材の配設位置に向って移
    動させる片寄付与手段と、 前記偏動検出部材に連繋され、該偏動検出部材に前記平
    ベルトが接して回転トルクが作用したときに、その回転
    運動を前記偏動調整用ロ−ラの軸端部が所定方向に変位
    する運動に変換し、前記平ベルトを前記片寄付与手段に
    よる移動方向とは逆方向に移動させるロ−ラ端部変位手
    段とを備え、 前記偏動検出部材の外周面には前記平ベルトが乗り上げ
    可能な乗り上げ面が形成され、この偏動検出部材は前記
    乗り上げ面の傾斜角度が2〜8゜に設定された硬質プラ
    スチックまたは金属によって形成されていることを特徴
    とするベルト駆動装置。
  3. 【請求項3】 平ベルトと、 該平ベルトが掛け渡され、少なくとも1本が偏動調整用
    ロ−ラに構成された複数本のロ−ラと、 前記偏動調整用ロ−ラの一方の軸端部に、該偏動調整用
    ロ−ラと独立して回転自在に支持された偏動検出部材
    と、 前記平ベルトを前記偏動検出部材の配設位置に向って移
    動させる片寄付与手段と、 前記偏動検出部材に連繋され、該偏動検出部材に前記平
    ベルトが接して回転トルクが作用したときに、その回転
    運動を前記偏動調整用ロ−ラの軸端部が所定方向に変位
    する運動に変換し、前記平ベルトを前記片寄付与手段に
    よる移動方向とは逆方向に移動させるロ−ラ端部変位手
    段とを備え、 前記偏動検出部材の外周面には前記平ベルトが乗り上げ
    可能な乗り上げ面が形成され、該乗り上げ面は、傾斜面
    と該傾斜面の外側に連続して形成された水平面とによっ
    て形成されていることを特徴とするベルト駆動装置。
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