JP2525504Y2 - ベルト駆動装置 - Google Patents

ベルト駆動装置

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JP2525504Y2
JP2525504Y2 JP6279191U JP6279191U JP2525504Y2 JP 2525504 Y2 JP2525504 Y2 JP 2525504Y2 JP 6279191 U JP6279191 U JP 6279191U JP 6279191 U JP6279191 U JP 6279191U JP 2525504 Y2 JP2525504 Y2 JP 2525504Y2
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Description

【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本考案は、電子写真方式を用いた
機器に内蔵され、転写ベルトや感光体ベルト等を使用す
るベルト駆動装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、例えば電子写真装置におい
て、この装置の軽量化及びコンパクト化を目的として、
表面に誘電体層または感光体層を有する平ベルトを、互
いに略平行に配置した複数本のロ−ラに掛け渡すことに
よって、前記平ベルトを転写ドラムまたは感光体ドラム
等の代わりに転写ベルトまたは感光体ベルトとして利用
することが知られている。
【0003】そして、このような用途に用いられる平ベ
ルトは、その基材がプラスチックフィルムや金属箔等の
ような伸びが小さくて強度の高い材料によって形成され
る場合が多い。従って、この種の平ベルトは弾性変形し
難い。そのために、前記電子写真装置内に収容された部
品の寸法誤差、ロ−ラの取付誤差、ベルト張力のアンバ
ランス、ベルト周長さの不均一などが生じている場合、
これらをベルト自体の変形によって吸収することができ
ない。この結果、前記平ベルトが、走行時にベルト幅方
向へ偏動してしまうといった問題があった。
【0004】しかし、前記電子写真装置は、正確な画像
形成を行うために、高精度、高解像度が要求されるの
で、この平ベルトの偏動を防止する必要がある。
【0005】そして、このような、平ベルトの偏動を防
止するための従来技術として、特開昭56−12750
1号公報や特開昭59−205052号公報に示される
ように平ベルトに偏動防止用のガイドを設けたり、特開
昭57−60347号公報に示されるように規制部材を
設けることによって平ベルトの偏動を強制的に防止する
ようにしたものがある。また、実開昭58−11060
9号公報に示されるように、1本のロ−ラを偏動調整用
ロ−ラとすると共に偏動検出用のベルト位置センサを備
えさせ、前記ベルト位置センサによって平ベルトの偏動
が検出されると、その偏動量に応じて偏動調整用ロ−ラ
の軸端部を変位させることにより偏動を修正するように
したものや、実開昭64−48457号公報に示される
ように、平ベルトが偏動すると、この偏動に伴なってロ
−ラを回転軸方向に移動させ、このロ−ラの移動によっ
て該ロ−ラの回転軸を揺動させて、ロ−ラを反対方向へ
移動させることにより偏動を修正するようにしたものが
ある。
【0006】
【考案が解決しようとする課題】しかしながら、前記特
開昭56−127501号公報、特開昭59−2050
52号公報及び特開昭57−60347号公報に示され
ているような構成では、平ベルトの偏動を外的要因によ
り強制的に規制するようにしているから、平ベルトとロ
−ラとの組合わせの条件如何により機構として成立し得
ない場合がある。即ち、平ベルトの偏動に伴う寄り力が
大きくなるものでは、ガイド及び規制部材の強度を増大
させておく必要がある。また、平ベルト自体の幅方向座
屈強度を増大させる必要があり、同時に平ベルト端部が
損傷しないように端部強度も増大させる必要がある。従
って、ベルト厚さが薄くなるほど上記方式の採用は困難
となる。また、平ベルトにガイドを設ける場合に、精度
良くガイドを設ける必要があり、特にシ−ムレスベルト
の場合では、このガイドを形成することが非常に困難で
あった。
【0007】また、前記実開昭58−110609号公
報や実開昭64−48457号公報に示されているよう
な構成では、複雑なメカニズムを用いて偏動を検出、修
正するために、高価でしかも余分なスペ−スを必要と
し、装置全体としての大型化に繋る。そればかりでな
く、複雑な機構であるために、部品点数が多くなり、そ
れだけ故障発生要因部が増加することになり、装置の信
頼性が十分に確保されているとは言い難いものであっ
た。
【0008】これらの点を解決するために、本考案の考
案者は、自動的に偏動を検出、修正することができるベ
ルト駆動装置について、その構造の改良を進めている。
詳しくは、複数のロ−ラのうち1本を偏動調整用ロ−ラ
とし、この偏動調整用ロ−ラの片側に、該偏動調整用ロ
−ラと独立して回転自在な偏動検出用ロ−ラを備えさせ
ておく。そして、前記平ベルトを予め前記偏動検出用ロ
−ラに向って偏動させるように構成しておく。そして、
平ベルトの走行時に、該平ベルトが、その偏動よって偏
動検出用ロ−ラに接触すると、この接触により偏動検出
用ロ−ラが回転し、この回転力を偏動調整用ロ−ラの軸
端部を移動させる力に変換することによって平ベルトに
逆方向の偏動成分を与え、前記偏動を修正させるように
した構成について開発している。
【0009】そして、前記平ベルトを予め偏動調整用ロ
ーラ向って偏動させる構成として、様々のものが考案さ
れているが、未だ最適な構成が得られているとは言い難
い。つまり、例えば、実開昭63−162742号公報
に示されているように、平ベルトの幅方向の両端縁部分
の周長さを異ならせるようにして、周長さの短い側から
周長さの長い側への偏動を行わせるようにしたものが知
られているが、これでは、平ベルトを1本づつ作製せね
ばならず、量産の面で実用性に欠ける。また、実開昭6
3−162744号公報に示されているように、ローラ
の少なくとも1本をテーパ状のローラに形成しておき、
平ベルトを、このロ―ラにおけるローラ径の大きい側か
ら小さい側へ偏動させるようにしたものもあるが、ロー
ラの作製工程において研磨作業などを行わねばならず、
該ローラのコストアップに繋るばかりでなく、平ベルト
がこのテーパ状ローラに巻回される際に、該平ベルトの
平面度が阻害されることがあり、特に、この平面度が要
求される電子写真装置には採用が困難である。更に、特
開昭59−205052号公報に示されているように、
ローラの少なくとも1本を他のローラに対して捩りの位
置に配置して、平ベルトを偏動させるようにしたもので
は、捩り角度などの設定が設計上難しく、また電子写真
装置では、ブレード圧接等の外部条件の制約を受けるた
めに、ローラを捩ることは事実上困難である。更には、
平ベルト内部の芯体コードの撚りの方向を一方向のみと
したコードで形成することも考えられるが、この場合に
は、薄い平ベルトを採用することができなくなる。
【0010】本考案は、これらの点に鑑みてなされたも
のであって、各ローラを平行に配置しながら平ベルト表
面の平面度を確保したままで、平ベルトに偏動検出部材
へ向かう初期偏動を行わせることが可能なベルト駆動装
置を得ることを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】この目的を達成するため
に、本考案は、予め、平ベルトを所定方向に偏動させる
ようにしながら、逐次、この偏動を修正するようにした
ベルト駆動装置に対して、平ベルトの構成を改良して、
該平ベルトに偏動動作を行わせるような機能を発揮させ
るようにした。具体的に請求項1記載の考案は、平ベル
トと、該平ベルトが掛け渡された複数本のロ−ラとを備
え、前記平ベルトに初期偏動を発生させると共に、前記
平ベルトを前記初期偏動方向とは逆方向に偏動させて前
記初期偏動を逐次修正するようにしたベルト駆動装置を
前提としている。そして、前記平ベルトにおける初期偏
動方向の端縁部の表面に、該平ベルトよりも引張弾性率
が高い補強部材を配設するような構成とした。
【0012】また、請求項2記載の考案は、平ベルト
と、該平ベルトが掛け渡され、少なくとも1本が偏動調
整用ロ−ラに構成された複数本のロ−ラと、前記偏動調
整用ロ−ラの一方の軸端部に、該偏動調整用ロ−ラと独
立して回転自在に支持された偏動検出部材と、前記平ベ
ルトを前記偏動検出部材の配設位置に向って移動させる
片寄付与手段と、前記偏動検出部材に連繋され、該偏動
検出部材に前記平ベルトが接して回転トルクが作用した
ときに、その回転運動を前記偏動調整用ロ−ラの軸端部
が所定方向に変位する運動に変換し、前記平ベルトを前
記片寄付与手段による移動方向とは逆方向に移動させる
ロ−ラ端部変位手段とを備えさせる。そして、前記片寄
付与手段に、前記平ベルトにおける前記偏動検出部材の
配設されている側の端縁部に設けられ該平ベルトよりも
引張弾性率が高い補強部材を備えさせるような構成とし
た。
【0013】
【作用】上記の構成により本考案では、以下に述べるよ
うな作用が得られる。請求項1記載の考案では、平ベル
トにおける初期偏動方向の端縁部の表面に、平ベルトよ
りも引張弾性が高い補強部材が設けられていることによ
り、平ベルトにおける補強部材の配設されていない側で
は、僅かに延びが生じる一方、補強部材が配設されてい
る側では、平ベルトに延びが生じないことになり、平ベ
ルトは、延びの生じていない方向(初期偏動方向)に向
かって偏動する。このため、各ローラを平行に配置して
平ベルトの平面度を確保しながら平ベルトに初期偏動を
与えることができる。また、この補強部材により平ベル
トの端縁部の強度を向上することができベルト寿命の延
長が図れる。
【0014】また、請求項2記載の考案では、片寄付与
手段の作用によって、平ベルトが偏動検出部材の配設位
置に向かって偏動する。つまり、上述した請求項1記載
の考案における作用と同様に、平ベルトにおける補強部
材の配設されていない側では、僅かに延びが生じる一
方、補強部材が配設されている側では、平ベルトに延び
が生じないことになり、平ベルトは、延びの生じていな
い方向、つまり偏動検出部材の配設されている側に向か
って偏動する。この偏動により、平ベルトが偏動検出部
材に接すると、該偏動検出部材が平ベルトとの接触摩擦
により回転する。そして、ロ−ラ端部変位手段によっ
て、この偏動検出部材の回転運動が、前記偏動調整用ロ
−ラの軸端部が所定方向に変位する運動に変換される。
このようにして偏動調整用ロ−ラの軸端部が変位する
と、平ベルトに前記偏動方向とは逆方向の偏動変位が発
生するために、前記初期の偏動を修正する。つまり、初
期の変動に応じた偏動調整用ロ−ラの軸端部の変位量が
自動的に与えられ、平ベルトの偏動を修正する。このた
め、前記平ベルトは安定した走行を行うことができ、特
に、このベルト駆動装置を電子写真装置に適用した場合
には正確な画像形成を行うことができる。したがって、
本構成にあっても、補強部材が設けられていることによ
って各ローラを平行に配置して平ベルトの平面度を確保
しながら平ベルトに初期偏動を与えることができる。ま
た、この補強部材により平ベルトの端縁部の強度を向上
することができベルト寿命の延長が図れる。
【0015】
【実施例】以下、本考案の実施例を図面に沿って詳細に
説明する。図1は、本考案による電子写真装置内に収容
されたベルト駆動装置を示している。3軸系の転写ベル
トの駆動装置の全体を示す図1において、1,2,3
は、夫々第1、第2及び第3ロ−ラである。各ロ−ラ
1,2,3は、夫々軸部材1a,2a,3aと、該軸部
材1a,2a,3aの左右両端部を除いた部分で、軸部
材1a,2a,3aと同心上で僅かに大径に形成された
ゴム等で成る筒状体1b,2b,3bとから成ってい
る。この筒状体1b,2b,3bの材料としては、例え
ばEPDM系架橋ゴムが採用される。但し、この各筒状
体1b,2b,3bは樹脂やアルミニウムなどのように
弾性体材料でないものであってもよい。
【0016】前記各ロ−ラ1,2,3には、基材の表面
に誘電体層が形成されて成る本考案でいう平ベルトとし
ての転写ベルト4が走行可能に掛け渡されている。従っ
て、本ベルト駆動装置は、前記転写ベルト4が電子写真
装置の転写搬送体として機能するようになっている。ま
た、前記転写ベルト4の基材としては、例えば2軸延伸
ポリエステルが採用されており、引張弾性率が200kg
/mm2 程度に設定されている。
【0017】第1ロ−ラ1は、軸部材1aが駆動モ−タ
5の駆動軸に連結されて該駆動モ−タ5の駆動力が伝達
可能となっている。つまり、この第1ロ−ラ1が駆動ロ
−ラとして機能するようになっている。
【0018】第2ロ−ラ2は、従動ロ−ラであって、そ
の軸線が前記第1ロ−ラ1の軸線と平行に配置されてい
る。
【0019】第3ロ−ラ3は、本考案でいう偏動調整用
ロ−ラであって、この軸線も前記第2ロ−ラ2と同様に
第1ロ−ラ1の軸線と平行に配置されている。また、こ
の第3ロ−ラ3は、その左右両軸端部に配設されたスプ
リング3c,3cによってC方向に均等な付勢力(例え
ば5kgf )が与えられている。そして、この付勢力によ
って転写ベルト4の張力が調整されるようになってい
る。
【0020】また、第3ロ−ラ3の軸端部は、図2及び
図3に示すように、軸受部材であるブッシュ7を介して
下枠8aに回転可能に支持されている。また、この下枠
8aは、可動部材6に取付けられた上枠8bにスライド
ベアリング9を介して係合している。従って、前記下枠
8a、上枠8b及びスライドベアリング9により、第3
ロ−ラ3の軸端部をロ−ラ軸線と略直行する方向に移動
可能に支持するロ−ラ支持部材8が構成されている。ま
た、第3ロ−ラ3の軸部材3aにおける下枠8aの取付
位置より内側位置には偏動検出部材11が第3ロ−ラ3
と同軸上で且つ、該第3ロ−ラ3から独立して回動自在
となるように軸部材3aに支持されている。また、軸部
材3aの外側端部にはリング部材12が装着されてい
る。
【0021】前記偏動検出部材11は、前記転写ベルト
4のベルト材と摩擦係数が高く且つ耐摩耗性に優れたウ
レタンエラストマ等によって形成されている。そして、
この偏動検出部材11は、その内側端面が、前記第3ロ
−ラ3の筒状体3bの端面と小間隙を存して近接配置さ
れている。また、この偏動検出部材11は、第3ロ−ラ
3の筒状体3bの端面に対向する部分の外径が第3ロ−
ラ3の外径と同径に設定され、且つ筒状体3b端面から
離れるに従って次第にその径が大きくなるテ−パ状に傾
斜された乗り上げ面11aを有している。そして、これ
によって、転写ベルト4にA方向の偏動が発生すると、
図2に仮想線で示すように、その偏動により転写ベルト
4が偏動検出部材11の乗り上げ面11aに乗り上げる
ようになっている。
【0022】また、前記偏動検出部材11には、紐部材
13の一端が連結されている。一方、この紐部材13の
他端は固定部材Sに取付けられている。つまり、後述す
る片寄付与手段10の動作によって発生する転写ベルト
4の偏動により、転写ベルト4が偏動検出部材11の乗
り上げ面11aに乗り上げ、偏動検出部材11に回転ト
ルクが作用したとき、偏動検出部材11の回転により前
記紐部材13が偏動検出部材11に巻き取られて、前記
第3ロ−ラ3のA方向の軸端部を、第1ロ−ラ1の軸端
部から離れる方向に、即ち、図1のB方向に変位させる
ようになっている。即ち、第3ロ−ラ3をベルト進行方
向に向って右方向に傾けた状態で、転写ベルト4を第3
ロ−ラ3の周方向に沿って巻回させることによって、該
転写ベルト4を図中A方向とは逆方向に移動させるよう
に構成されている。これによって、偏動検出部材11に
回転トルクが作用したときに前記第3ロ−ラ3の軸端部
を所定方向に変位させるロ−ラ端部変位手段14が構成
されている。即ち、第3ロ−ラ3の軸端部がB方向に変
位されると、転写ベルト4は、A方向とは逆方向へ巻回
されながら走行するために、初期の偏動成分(A方向成
分)とは逆の偏動成分が発生し、初期の偏動成分と打ち
消し合うまで軸部材3aの軸端部が変位されることにな
る。
【0023】また、図4に示すように、軸部材3aの外
側端部のリング部材12にはスプリング15が連結さ
れ、このスプリング15が紐部材13の巻取動作による
変位方向とは反対方向に常時付勢するようになってお
り、スプリング15によって第3ロ−ラ3の軸端部の所
定量以上の変位を抑制するようになっている。このよう
な構成により、第3ロ−ラ3の軸端部の変位による逆方
向の偏動成分が片寄付与手段10の動作によって生じる
初期偏動成分より大きくなると、転写ベルト4は逆方向
に偏動を開始し、偏動検出部材11の乗り上げ面11a
への乗り上げ量は減少するから、偏動検出部材11の回
転トルクも減少し、その結果、スプリング5によって第
3ロ−ラ3の軸端部の変位量も小さくなるようになって
いる。
【0024】また、偏動検出部材11のロ−ラ端部外側
への移動はストッパ16によって規制されている。
【0025】次に、本例の特徴とするところの片寄付与
手段10について説明する。この片寄付与手段10は、
図6に示すように、前記転写ベルト4の表面4aに設け
られた本考案でいう補強部材としての補強帯10aを備
えて構成されている。この補強帯10aは、前記転写ベ
ルト4よりも大きな引張弾性率の部材で成っており、前
記転写ベルト4の表面における前記偏動検出部材11の
配設されている側の端縁部の全周に亘って貼着されてい
る。詳しくは、この補強帯10aは、PETフィルムで
形成されており、その引張弾性率は400kg/mm2 程度
であって、前記転写ベルト4の引張弾性率よりも大きく
設定されていると共に、その厚さ寸法tが100μm、
幅寸法wが5mmに設定されており、この転写ベルト4
の端縁部を補強するようになっている。このように、転
写ベルト4の表面の端縁部に補強帯10aが貼着されて
いることにより、転写ベルト4の走行時には、前記スプ
リング3c,3cによって付与されているベルト張力に
作用により、補強帯10aの貼着されていない側(図1
における右側)のベルト端縁部では、僅かに転写ベルト
4の延びが生じる一方、補強帯10aが貼着されている
側(図1における左側)のベルト端縁部では、転写ベル
ト4に延びが生じないことになる。つまり、この補強帯
10aと前記スプリング3c,3cとによって本考案で
いう前記片寄付与手段10が構成されていることにな
る。そして、この状態で、転写ベルト4が走行すると、
該転写ベルト4は、延びの生じていない方向、つまり補
強帯10aの貼着されている方向に向かって偏動され
る。これによって、転写ベルト4の初期偏動を行わせる
ことができるように構成されている。
【0026】以下、上記の構成による動作について説明
する。先ず、転写ベルト4の走行時には、上述したよう
に、補強帯10aにより転写ベルト4の両端縁部の延び
の差が生じることによって、転写ベルト4は常に図1に
おけるA方向へ偏動するような力が作用しており、これ
によって、転写ベルト4は、走行しながら偏動検出部材
11に向かって偏動する、そして、この転写ベルト4の
偏動により転写ベルト4の端部が偏動検出部材11の乗
り上げ面11aに乗り上げると、図5に示すように、転
写ベルト4と偏動検出部材11の乗り上げ面11aとの
間に作用する摩擦力により、偏動検出部材11が軸部材
3aに対して回転せしめられ、その回転によって紐部材
13を巻取ることになる。
【0027】この紐部材13の巻取りにより、偏動検出
部材11が配置されている第3ロ−ラ3の軸端部がB方
向へ変位し、その変位により転写ベルト4はA方向と逆
方向に巻回されながら走行することになって、転写ベル
ト4のA方向への偏動が制限される。それと共に、前記
軸端部の変位により、スプリング15が伸びてスプリン
グ力も作用しているので、紐部材13の巻取り力とスプ
リング15のスプリング力とのバランスにより、第3ロ
−ラ3の変位量が規制され、ある一定位置に転写ベルト
4の端部の位置が維持されることになる。
【0028】このようにして転写ベルト4の走行が行わ
れるために、転写ベルト4の大きな偏動が防止され、例
えば、転写ベルト4の偏動量を10数μmに抑えること
ができる。つまり、予め転写ベルト4を一方向へ偏動さ
せながら、その偏動を自動的に逐次修正するようにして
いることにより、偏動量を微量にすることができ、転写
ベルト4に安定した走行を行わせることができ、本例の
ような電子写真装置にあっては正確な画像形成を行うこ
とができる。
【0029】このように、本実施例では、転写ベルト4
の一方の端縁部に補強帯10aを貼着するといった簡単
な構成でもって、転写ベルト4に初期偏動を行わせるこ
とができる。また、この構成では、各ローラ1,2,3
を平行に配置することができるので各ロ―ラの取付け位
置の設定が容易で、且つ転写ベルト4の平面度も確保で
きるため、特に、電子写真装置に採用した場合には、正
確な画像形成を行うことができ有効である。また、この
補強帯10aの貼着部分は偏動検出部材11の乗り上げ
面11aへの乗り上げ部分でもあり、特に、この乗り上
げ部分では、従来から延びが発生し易い箇所であった
が、本例の構成では、この部分が補強帯10aによって
補強されていることになるために、この延びの発生が抑
制され、転写ベルト4の長寿命化を図ることもできる。
【0030】また、本考案の変形例として、偏動検出部
材11の外側端縁部の周囲に図示しないリング状のスト
ッパを配設して、転写ベルト4の暴走を抑制するような
構成とした場合には、ストッパに当接するのは転写ベル
ト4における補強帯10aが貼着されている部分となる
ため、この場合にも転写ベルト4の損傷が回避されるこ
とになって、該転写ベルト4の長寿命化を図ることがで
きる。
【0031】尚、上述した各例では、電子写真装置の転
写ベルト4の駆動装置について説明したが、本考案は、
これに限らず、感光体ベルトの駆動装置、或いは通常の
平ベルト駆動装置についても同様に適用することができ
る。また、本例の構成では、第3ローラ3と同軸上に配
設した偏動検出部材11によって転写ベルト4の偏動を
検出し、ローラ端部変位手段14によって、この偏動を
逐次修正するようにしたが、請求項1記載の発明は、こ
れに限るものではなく、赤外線センサなどによって転写
ベルト4の偏動を検出するようにしたり、偏動修正動作
も軸端部を変位させる以外の手段を採用するようにして
もよい。
【0032】
【考案の効果】上述してきたように、本考案によれば、
以下に述べるような効果が発揮される。請求項1記載の
考案によれば、平ベルトにおける初期偏動方向の端縁部
の表面に、該平ベルトよりも引張弾性率が高い補強部材
を配設するようにして、平ベルトにおける補強部材の配
設されていない側で僅かに延びを生じさせる一方、補強
部材が配設されている側では平ベルトに延びを生じさせ
ないようにしているために、平ベルトに、延びの生じて
いない方向への偏動を発生させることができ、このた
め、各ローラを平行に配置して平ベルトの平面度を確保
しながら平ベルトに初期偏動を与えることができる。ま
た、この補強部材により平ベルトの端縁部の強度を向上
することができベルト寿命の延長が図れる。
【0033】また、請求項2記載の考案によれば、片寄
付与手段に、平ベルトにおける偏動検出部材の配設され
ている側の端縁部に設けられ該平ベルトよりも引張弾性
率が高い補強部材を備えさせるようにしているために、
この場合にも、簡単な構成でもって平ベルトに初期偏動
を与えることができ、且つ各ローラを平行に配置しなが
ら平ベルトの平面度を確保することができるため、ベル
ト駆動装置の実用性を大幅に向上することができる。ま
た、この補強部材により平ベルトの端縁部の強度を向上
することができ平ベルトの長寿命化を図ることもでき
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】ベルト駆動装置の概略斜視図である。
【図2】偏動検出部材周辺の縦断正面図である。
【図3】偏動検出部材周辺を内側から見た斜視図であ
る。
【図4】偏動検出部材周辺を外側から見た斜視図であ
る。
【図5】ロ−ラ端部変位手段の動作を説明するための図
である。
【図6】補強帯の貼着部分周辺の転写ベルトの断面図で
ある。
【符号の説明】
1 第1ロ−ラ 2 第2ロ−ラ 3 第3ロ−ラ 4 転写ベルト(平ベルト) 10 片寄付与手段 10a 補強帯(補強部材) 11 偏動検出部材 14 ロ−ラ端部変位手段

Claims (2)

    (57)【実用新案登録請求の範囲】
  1. 【請求項1】 平ベルトと、該平ベルトが掛け渡された
    複数本のロ−ラとを備え、前記平ベルトに初期偏動を発
    生させると共に、前記平ベルトを前記初期偏動方向とは
    逆方向に偏動させて前記初期偏動を逐次修正するように
    したベルト駆動装置において、 前記平ベルトにおける初期偏動方向の端縁部の表面に
    は、該平ベルトよりも引張弾性率が高い補強部材が配設
    されていることを特徴とするベルト駆動装置。
  2. 【請求項2】 平ベルトと、 該平ベルトが掛け渡され、少なくとも1本が偏動調整用
    ロ−ラに構成された複数本のロ−ラと、 前記偏動調整用ロ−ラの一方の軸端部に、該偏動調整用
    ロ−ラと独立して回転自在に支持された偏動検出部材
    と、 前記平ベルトを前記偏動検出部材の配設位置に向って移
    動させる片寄付与手段と、 前記偏動検出部材に連繋され、該偏動検出部材に前記平
    ベルトが接して回転トルクが作用したときに、その回転
    運動を前記偏動調整用ロ−ラの軸端部が所定方向に変位
    する運動に変換し、前記平ベルトを前記片寄付与手段に
    よる移動方向とは逆方向に移動させるロ−ラ端部変位手
    段とを備え、 前記片寄付与手段は、前記平ベルトにおける前記偏動検
    出部材の配設されている側の端縁部に設けられ該平ベル
    トよりも引張弾性率が高い補強部材を備えて構成されて
    いることを特徴とするベルト駆動装置。
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