JP2981374B2 - セラミックス入り発泡性樹脂粒子の製造方法 - Google Patents

セラミックス入り発泡性樹脂粒子の製造方法

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JP2981374B2
JP2981374B2 JP5202621A JP20262193A JP2981374B2 JP 2981374 B2 JP2981374 B2 JP 2981374B2 JP 5202621 A JP5202621 A JP 5202621A JP 20262193 A JP20262193 A JP 20262193A JP 2981374 B2 JP2981374 B2 JP 2981374B2
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成彦 都郷
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、セラミックス入り発
泡性樹脂粒子の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】有機物又は無機物の粉末を含ませた発泡
性樹脂粒子は既に知られている。例えば、スチレン系樹
脂からなる発泡性粒子中に鉄、銅、ニッケル、アルミニ
ウム、鉛等の金属粉末を含ませたもの、染料、顔料等の
着色剤を含ませたもの、タルク、シリカ等の発泡用の核
剤粉末を含ませたもの、三酸化アンチモンのような難燃
化剤を含ませたもの、炭酸カルシウム、酸化チタンのよ
うな充填剤を含ませたもの等が知られている。しかし、
発泡性樹脂粒子では、発泡性能を保持しなければならな
いために、これに含ませることのできる有機物又は無機
物の粉末は、おのずから制限された。
【0003】上述のような有機物又は無機物の粉末(以
下、これを総称して粉末という)が含まれた発泡性樹脂
粒子を作るには、一般に2つの方法が知られていた。そ
の1つは、発泡性を付与するに適した樹脂を用意し、樹
脂を溶融してこれに粉末を練り込むとともにこれを粒子
状に成形し、得られた粒子にその後発泡剤を含ませて発
泡性樹脂粒子とする方法である。他の1つは、発泡性を
付与すべき樹脂を単量体の形で使用することとし、単量
体と粉末とを混合し、この混合物を水性媒体中に分散さ
せ、単量体を懸濁状態で重合させるとともにその過程で
これに発泡剤を含ませて、発泡性樹脂粒子とする方法で
ある。
【0004】前者の方法、すなわち樹脂に粉末を混合し
て発泡性粒子を作る方法によれば、粉末が均一に分散さ
れ且つ粒子の大きさの揃った樹脂粒子を得ることができ
るが、得られた粒子に発泡剤を一様に含ませることが困
難であった。この困難を解決するために、特公昭59−
36938号公報は、樹脂の流動性を高め発泡剤の含浸
を助長するような非溶剤を、粒子に加えることを教えて
いる。
【0005】しかし、非溶剤の添加により発泡剤の含浸
を容易にしても、得られた発泡性樹脂粒子を発泡させる
ときにまた困難があった。その困難は、予備発泡させる
ときに粉末が樹脂から分離し易いということであり、粉
末が予備発泡機の内壁や撹拌羽根に付着するため、品切
りの際発泡機内の付着物を取り除かなければ、他品種の
発泡粒にセラミックスが付着したり、また予備発泡した
粒子を成形型内で加熱し融着させようとするとき、粒子
が互いに強固に融着するに至らず、従って良好な発泡成
形体が得られない、ということであった。
【0006】後者の方法、すなわち、単量体に粉末を混
合して、粉末含有単量体を懸濁重合させるとともに発泡
剤を含ませる方法によれば、発泡剤を含ませることは容
易であるが、粉末を樹脂粒子中に均一に含ませることが
困難であった。それは、一般に粉末が単量体よりも遙か
に大きな密度を持っているために、粉末が単量体から分
離して沈降する傾向を持つからである。その結果、この
方法によると、製品効率が悪く、また得られた粒子の大
きさが不揃いになるという欠点があった。
【0007】特開平1−178558号公報は、上述の
ような懸濁重合法によって樹脂粒子を作る場合に、樹脂
粒子中に粉末を均一に分散させる方法を提案している。
この提案は、粉末を均一に分散させるには、ピロホスフ
ェート型又はホスフェート型の親油基を持ったチタネー
トカップリング剤で粉末を予め表面処理しておくべきこ
とを教えている。この提案によれば、粉末が均一に分散
された粒子を得ることができるが、粒子の大きさが不揃
いになったり、発泡成形可能な粒子大のものを得ようと
すると、粒子が沈降し易くなって分散不良を起こしたり
する、という欠点を解消することができなかった。
【0008】特開昭62−13442号公報は、粉末を
カーボンに限って、カーボンを均一に含んだ球状の発泡
性樹脂粒子を得る方法を開示している。その方法は、ま
ず押し出しによってカーボンを含んだスチレン系樹脂粒
子を作り、次いでこの樹脂粒子を水性媒体中に分散さ
せ、これにスチレン系モノマーを加え、三級アルコキシ
ラジカルを発生する重合開始剤の存在下でモノマーを重
合させ、重合過程で発泡剤を含浸させることとしてい
る。この方法は、球状粒子を得ることを目的としている
から、モノマーの使用量を多くする必要があり、実施例
では樹脂重量に対し半量から等量のモノマーを使用して
おり、従ってカーボンの含有量の少ない粒子しか得られ
ない。だから、この方法ではカーボンに代えてセラミッ
クス粉末を用いても、希望するような粉末含有量の多い
粒子を得ることができない。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】この発明者は、セラミ
ックス粉末が特殊な電気的、光学的、熱的性能を持つこ
とに注目し、これを利用してセラミックスの成形体を作
ろうとした。ところが、セラミックスに熱可塑性樹脂を
混合して成形体を作ると、成形体が大きな重量を持った
ものとなり、その製造のためにも、また運搬のためにも
さらにこれを設置するのにも、多大の労力と費用とが掛
かることとなった。そこで、このような労力と費用とを
掛けないで、セラミックス成形体を利用できることを案
出することが必要とされた。
【0010】
【課題を解決するための手段】この発明者は、セラミッ
クス粉末を樹脂の中に含ませ、樹脂を発泡させて発泡成
形体にすると、ここにセラミックスを含んだ成形体が得
られるが、このような成形体は、セラミックス粉末が持
つ特殊な誘電特性、熱的特性、光学的特性を利用する上
で、格別障害にならないだけでなく、却ってこれらの特
性を自在に調整することができて有利になることを見出
した。その上に、このような成形体にすると、これまで
セラミックスと熱可塑性樹脂とで成形体を作った場合に
難点とされたことが解消できることを見出した。すなわ
ち、セラミックスと熱可塑性樹脂とで作ると、前述のよ
うに成形体の重量が大きくなるため、成形体製造、運搬
及び設置のために、多大の労力と費用とが掛かるという
難点を示したが、発泡体にするとこのような難点を回避
できることがわかった。
【0011】そこで、セラミックス粉末含有の発泡性樹
脂粒子を作ることが必要となった。ところがセラミック
ス粉末含有の発泡性樹脂粒子を得ようとすると前述の粉
末の場合と同様に良好な発泡性樹脂粒子を得ることが困
難であった。すなわち、前述の樹脂への混入法によろう
とすると、発泡剤の含浸は容易であるが発泡融着が困難
で、結局セラミックス粒子含有の良好な発泡性粒子を得
ることができなかった。また、前述の懸濁重合法による
と、製品効率が悪くまた得られた粒子の大きさが不揃い
になって、矢張り良好な発泡性粒子を得ることができな
かった。
【0012】この発明者は、前述の困難を解決するため
に核重合法の適用を試みた。すなわち、樹脂としてビニ
ル系樹脂を用い、セラミックス粉末を含んだ大きさの揃
った樹脂粒子を水性媒体中に分散させて分散物とし、こ
れに単量体と重合開始剤との混合物を添加して、樹脂粒
子を核として単量体を重合させ、その重合過程で発泡剤
を圧入することを試みた。すると、こうして得られた発
泡性粒子は、上述の従来法の欠点を解消したものとなる
ことを見出した。この発明は、このような知見に基づい
て完成されたものである。
【0013】核重合法によってセラミックス入りの発泡
性樹脂粒子を得るためには、樹脂としてビニル系樹脂に
限る必要があり、またこれに加える単量体もビニル系単
量体に限ることが必要とされた。また、セラミックスと
しては、粒径が10μm以下の微細なものを選んで用い
ることが必要とされた。さらに、核重合法では当然のこ
とながら、単量体と重合開始剤との混合物を徐々に樹脂
分散物に添加し、単量体が樹脂に吸収された状態で単量
体を重合させることが必要とされた。
【0014】この発明は、ビニル系樹脂100重量部と
粒径が10μm以下のセラミックス粉末10−500重
量部との配合物を加熱下に混練し造粒して大きさの揃っ
た樹脂粒子とし、この粒子100重量部を水性媒体中に
分散させ、この分散物にビニル系単量体と重合開始剤と
の混合物5−50重量部を徐々に添加し、この混合物を
樹脂粒子に付着させて単量体を重合させ、この重合の過
程で樹脂粒子に発泡剤を含浸させることを特徴とする、
セラミックス入り発泡性樹脂粒子の製造方法を要旨とす
るものである。
【0015】また、この発明で用いることのできるビニ
ル系樹脂は、ビニル系単量体が重合して得られた重合体
又は共重合体である。ビニル系単量体としてはスチレン
系単量体、エチレン系単量体、アクリル酸又はメタクリ
ル酸エステル系単量体である。スチレン系単量体として
はスチレン、α−メチルスチレン等を用いることがで
き、エチレン系単量体としては、エチレン、プロピレ
ン、ブタジエン等を用いることができ、アクリル酸エス
テル系単量体としてはアクリル酸メチル、アクリル酸エ
チル等を使用することができ、メタクリル酸エステル系
単量体としては、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エ
チル等を使用することができる。
【0016】この発明で用いることのできるセラミック
ス粉末としては、色々なものを使用することができる
が、中でも好適なものはチタン酸塩系のセラミックス粉
末である。それは、例えばチタン酸マグネシウム、チタ
ン酸カルシウム、チタン酸バリウムである。これらのチ
タン酸系の塩は誘導率がとくに大きいので、この特性を
利用するに有用である。セラミックス粉末の大きさは、
平均粒径が10μm以下であることが必要とされる。そ
の理由は、それ以上に粒径が大きくなると、ビニル系単
量体中に均一に分散させることが困難になるだけでな
く、造粒のために糸状で押し出したとき糸が切れ易く造
粒が困難となるからである。
【0017】この発明では、ビニル系樹脂にセラミック
ス粉末を配合するのに、その配合割合を樹脂100重量
部に対しセラミックス粉末を10−500重量部とす
る。その理由はセラミックス粉末が10重量部以下で
は、セラミックス粉末が少量過ぎてその効果が顕著でな
くなるからであり、逆に500重量部以上では、樹脂粒
子とすることができないからである。そのうちでは、セ
ラミックス粉末を20〜200重量部とすることが好ま
しく、とくに30〜100重量部とすることが好まし
い。
【0018】ビニル系樹脂とセラミックス粉末との配合
物を混練し造粒するには、配合物を押出機に投入して、
押出機内で混練し、糸状に押し出し成形してのち、これ
を切断することが好ましい。こうして、造粒した粒子は
その粒径を0.5〜3mmとすることが好ましい。
【0019】セラミックス粉末含有の樹脂粒子を分散さ
せるための水性媒体としては、分散剤又は界面活性剤を
添加した水を用いる。分散剤としては、有機物も無機物
をも用いることができる。有機系の分散剤とは、ポリビ
ニルアルコール、ヒドロキシエチルセルロースのような
ものである。また、無機系の分散剤は、酸化マグネシウ
ム、ピロ燐酸マグネシウムのような水に難溶性の無機物
である。界面活性剤としては、アニオン系、カチオン
系、ノニオン系の何れをも用いることができる。
【0020】上述の分散剤は最終粒子に対して0.05
〜1重量%とし、界面活性剤は最終粒子に対してその合
計量を1−200ppmにすることが好ましい。但し、
アニオン界面活性剤は、セラミックス粉末を樹脂から離
脱させて水中に流出させ易いので、なるべく少なくする
ことが望ましい。しかし、粒子が合着したり、偏平化す
るのを防ぐためには、界面活性剤の合計量を5〜20p
pmとすることが好ましい。
【0021】この発明では、上述の水性媒体中に前述の
セラミックス粉末含有のビニル系樹脂粒子を分散させて
分散物を作る。このときのビニル系樹脂粒子と水性媒体
との重量比は、一般にビニル系単量体を水性媒体中で懸
濁重合させるときの割合とほぼ同じ割合とすることがで
きる。その割合は重量で樹脂1に対し水性媒体を0.8
〜3の範囲内とすることができる。
【0022】この発明では、上述のようにして得た樹脂
粒子の分散物に、重合開始剤を含んだビニル系単量体を
加える。この場合、重合開始剤としてはビニル系単量体
に溶解するものであれば、大抵これを使用することがで
きる。例えば、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、
過酸化ジアセチル等の過酸化物や、アゾビスイソブチロ
ニトリル、アゾビスジメチルバレロニトリル等のアゾ化
合物を用いることができる。とくに、2、2−ビス(t
−ブチルパーオキシ)ブタン、1、1−ビス(t−ブチ
ルパーオキシ)−3、3、5−トリメチルシクロヘキサ
ン、t−ブチルパーオキシヘキサヒドロテレフタレー
ト、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート
等が好ましい。これら重合開始剤がビニル系単量体に含
まれる割合は、ビニル系単量体の重合の際に普通に用い
られる割合よりも遙かに多くし、例えば10倍量とす
る。
【0023】この発明では、重合開始剤含有のビニル系
単量体を上述の樹脂の水性分散物に徐々に加える。徐々
に加えるのは、ビニル系単量体が単独で液滴として存在
させないためである。云いかえると、ビニル系単量体を
分散物中の樹脂粒子に吸収させるためである。徐々に加
えるのは、連続的に加えてもよく、また断続して加えて
もよい。好ましいのは、分散物を60〜130℃に加熱
しておき、とりわけ80°〜120℃に加熱しておき、
分散物をよく攪拌しながらこの中へ重合開始剤含有の単
量体を連続的又は断続的に1〜3時間かけて液滴として
落下させ、液滴が樹脂粒子と衝突して樹脂粒子の表面に
付着し、樹脂粒子表面で重合して表面を改質させるとい
う方法である。
【0024】この発明では、分散物に加えるビニル系単
量体の量を、重量で樹脂100重量部に対し5−50重
量部とする。その理由は、ビニル系単量体の量が5重量
部未満では単量体を加えた効果がなく、逆に50重量部
以上ではセラミックス粉末の含有量が少なくなるからで
ある。
【0025】この発明では、上述の単量体を重合させる
過程で、この分散物に発泡剤を加えて得られた重合体粒
子に発泡剤を含浸させる。発泡剤としては、ビニル系樹
脂に対して一般に用いられている発泡剤を用いることが
できる。その発泡剤はビニル系樹脂の軟化温度よりも低
い沸点を持ち、加圧下に樹脂に溶解するような化合物で
ある。それは、例えば、プロパン、ブタン、ペンタン、
ヘキサン、石油エーテルのような脂肪族炭化水素であ
り、シクロヘキサン、シクロペンタンのような脂環族炭
化水素であり、塩化メチレン、トリクロロトルフルオロ
エタン、ジクロロジフルオロエタン等のハロゲン化脂肪
族炭化水素である。発泡剤の含浸は最終的に得られた重
合体粒子100重量部に対し、発泡剤が1−20重量部
を占めるようにする。こうしてセラミックス粉末入りの
発泡性樹脂粒子を得ることができる。ここで、発泡剤を
加えて樹脂粒子に発泡剤を含浸させるのに重合の過程で
云ったのは、勿論重合の完了後に発泡剤を含ませる場合
も含めている。
【0026】
【発明の効果】この発明方法によれば、ビニル系樹脂と
粒径が10μm以下のセラミックス粉末との配合物を加
熱下に混練して造粒するので、樹脂100重量部に対し
粉末10−500重量部というような広い範囲にわたっ
て、セラミックス粉末が樹脂中に均一に分散している大
きさの揃った樹脂粒子を容易に得ることができる。ま
た、こうして得られた樹脂粒子を水性媒体中に分散さ
せ、この分散物にビニル系単量体と重合開始剤との混合
物を徐々に添加するので、この混合物は樹脂粒子に付着
して重合することができ、こうして単量体はセラミック
ス粉末含有樹脂粒子の表面で重合してビニル重合体の皮
膜を形成する。このとき、樹脂粒子100重量部に対し
ビニル系単量体と重合開始剤との混合物を5〜50重量
部の割合とするから、表面に形成される皮膜は薄いもの
となり、またセラミックス粉末含有量の高い粒子が得ら
れる。また、こうして得られた粒子は、セラミックス粉
末含有樹脂の粒子が内部に存在し、その表面をビニル重
合体だけからなる皮膜が覆っているという構造のものと
なる。このような構造の粒子が作られる過程で、この粒
子に発泡剤を含浸させるので、粒子は表面がビニル重合
体だけであるため、発泡剤をよく含むこととなり、従っ
て発泡性能のよい発泡性樹脂粒子が得られる。さらにこ
うして得られた発泡性樹脂粒子は表面がビニル重合体だ
けからなるため、予備発泡のときもセラミックス粉末が
粒子から飛び出して発泡機内に付着することもなく、ま
た成形型内で発泡させると互いによく融着し合い、従っ
て良好な発泡体を得ることができる。しかも得られた発
泡体は、セラミックス粉末を内部に一様に含んでいるの
で、セラミックス粉末による電気的、熱的、光学的特性
を発現するものとなる。しかもこれらの特性はセラミッ
クス粉末の含有量と樹脂の発泡倍率とによって広範囲に
わたって変化させることができる。この発明はこのよう
な利益を与えるものである。
【0027】以下に、実施例と比較例とを挙げて、この
発明方法のすぐれている所以を具体的に明らかにする。
この発明はこれらの実施例と比較例とによって、何等発
明の範囲を限定されるべきものではない。以下において
単に部と云うのは、重量部を意味している。
【0028】
【実施例1】ポリスチレン(平均分子量 Mw=30
0,000)100部に、粒径が10μm以下のチタン
酸カルシウム(株式会社村田製作所製、商品名 SC
K)50部を配合し、これを押出機に入れて加熱下に混
練して粒径が0.6〜0.7mmのペレットとした。
【0029】このペレット1.0Kgに水3.3リット
ル、酸化マグネシウム15g、ヒドロキシステアリン酸
アマイド0.5g、リニアアルキルベンゼンスルホン酸
ソーダ0.005gを加え、これを5リットルのオート
クレーブに入れ、均一に分散させ、330rpmの割合
で攪拌しながら、110℃まで昇温した。次いで、スチ
レン100g、水150ml、リニアアルキルベンゼン
スルホン酸ソーダ0.020g、2、2−ビス(t−ブ
チルパーオキシ)ブタン1.0gを混合し、これをホモ
ミキサーでエマルジョンとし、これを200ml/hの
速さで添加し、110℃恒温の状態で1時間放置した。
その後130℃に昇温したのち、ペンタン50gを上記
オートクレーブ内に圧入し、3時間の含浸を行った。次
いで系内を30℃まで冷却して、残留スチレンを除き、
球状化したセラミックス入り発泡性樹脂粒子を得た。
【0030】こうして得た発泡性樹脂粒子を以下の方法
で発泡成形した。まず、通常の発泡機を使用して105
℃の水蒸気で嵩倍数約6ml/gに予備発泡させた。こ
の予備発泡粒子を普通の成形機(積水工機社製 ACE
−3QS)により、充填20秒、金型加熱8秒、一方加
熱8秒、両面加熱15秒、水冷時間30秒、スチーム圧
0.8Kg/cm2 、取出面圧0.3Kg/cmの条件
で発泡させるとともに互いに融着させて、400×30
0×10mmの板状発泡成形体を得た。
【0031】予備発泡機の内壁にはセラミックス粉末の
付着は全く認められず、発泡成形体の嵩倍数は6.5で
あり、成形体の融着率は100%、成形体表面ののびは
良好であった。
【0032】
【実施例2】この実施例は、実施例1と同様にしてペレ
ットを作ったが、ただポリスチレンの代わりにスチレン
とメタクリル酸メチルとの共重合体(スチレン含量70
モル%)を用いた点だけを異なるようにした。
【0033】上記共重合体100部にチタン酸カルシウ
ム50部を配合し、実施例1と同様にしてこの配合物を
押出機に入れ、セラミックス入りペレットを作り、この
ペレットを水性媒体中に分散させ、さらに実施例1と全
く同様にしてこれにスチレンを加えて重合させ、またペ
ンタンを圧入して発泡性樹脂粒子を得た。
【0034】この発泡性樹脂粒子を実施例1と全く同様
にして予備発泡させ、こうして得た予備発泡粒子をさら
に発泡融着させて板状発泡成形体を得た。
【0035】予備発泡機の内壁にはセラミックス粉末の
付着は全く認められず、発泡成形体の嵩倍数は5.0で
あり、成形体の融着率は85%、成形体表面ののびは良
好であった。
【0036】
【比較例1】この比較例は、実施例1で得たポリスチレ
ンのペレットを用い、実施例1と同様にしてこのペレッ
トを水性媒体中に分散させたが、ただスチレン単量体を
全く用いないで発泡剤だけを圧入してセラミックス入り
発泡性樹脂粒子を得た。その詳細は次のとおりである。
【0037】実施例1で得たセラミックス入りポリスチ
レンのペレット1.0Kgに水3.3リットル、酸化マ
グネシウム15g、ヒドロキシステアリン酸アマイド
0.5g、リニアアルキルベンゼンスルホン酸ソーダ
0.005gを加え、これを5リットルのオートクレー
ブに入れ、均一に分散させ、330rpmの割合で攪拌
しながら130℃まで昇温した。次いで、ペンタン50
gをオートクレーブ内に圧入し、3時間の含浸を行い、
次いで系内を30℃まで冷却し、球状化したセラミック
ス入り発泡性樹脂粒子を得た。
【0038】この発泡性樹脂粒子を実施例1と全く同様
にして予備発泡させ、こうして得られた予備発泡粒子を
さらに発泡融着させて板状発泡成形体を得た。
【0039】予備発泡機の内壁にはセラミックス粉末が
多量に付着していた。発泡成形体の嵩倍数は6.0であ
ったが、成形体の融着率は10%であり、成形体表面の
のびは不良であった。
【0040】
【比較例2】この比較例は、実施例2で得たスチレンと
メタクリル酸メチルとの共重合体からなるペレットを用
い、あとはスチレンやメタクリル酸メチルなどの単量体
を用いず、従って、単量体を重合させることを全く行わ
ないで、発泡剤だけを圧入してセラミックス入り発泡性
樹脂粒子を得た。その詳細は次のとおりである。
【0041】実施例2で得たスチレンとメタクリル酸メ
チルとの共重合体を用いたセラミックス入りペレットを
実施例2と全く同様にしてオートクレーブ内の水性媒体
中に分散させ、攪拌しながら130℃まで昇温した。次
いで、ペンタン50gをオートクレーブ内に圧入し、3
時間の含浸を行い、次いで冷却して球状化したセラミッ
クス入り発泡性樹脂粒子を得た。
【0042】この発泡性樹脂粒子を実施例1と全く同様
にして予備発泡させ、こうして得られた予備発泡粒子を
さらに発泡融着させて板状発泡成形体を得た.
【0043】予備発泡機の内壁にはセラミックス粉末が
多量に付着していた。発泡成形体の嵩倍数は5.5であ
ったが、成形体の融着率は5%であり、成形体表面のの
びは悪かった。
【0044】これらの結果をまとめると、次のとおりと
なる。
【0045】
【表1】

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ビニル系樹脂100重量部と粒径が10
    μm以下のセラミックス粉末10−500重量部との配
    合物を加熱下に混練し造粒して大きさの揃った樹脂粒子
    とし、この粒子100重量部を水性媒体中に分散させ、
    この分散物にビニル系単量体と重合開始剤との混合物5
    −50重量部を徐々に添加し、この混合物を樹脂粒子に
    付着させて単量体を重合させ、この重合の過程で樹脂粒
    子に発泡剤を含浸させることを特徴とする、セラミック
    ス入り発泡性樹脂粒子の製造方法。
  2. 【請求項2】 ビニル系樹脂が、スチレン系単量体、エ
    チレン系単量体、アクリル酸エステル系単量体及びメタ
    クリル酸エステル系単量体から選ばれた1種又は2種以
    上の単量体の重合体又は共重合体であることを特徴とす
    る、請求項1に記載のセラミックス入り発泡性樹脂粒子
    の製造方法。
  3. 【請求項3】 セラミックスが、チタン酸マグネシウ
    ム、チタン酸カルシウム及びチタン酸バリウムから選ば
    れた1種又は2種以上のものであることを特徴とする、
    請求項1又は請求項2に記載のセラミックス入り発泡性
    樹脂粒子の製造方法。
  4. 【請求項4】 水性分散体が、分散剤として有機系分散
    剤及び/又は難溶性無機塩とともにアニオン界面活性剤
    を含み、そのアニオン界面活性剤が得られる発泡性樹脂
    粒子に対して1−200ppmの割合で含んでいること
    を特徴とする、請求項1−3の何れか1つの項に記載の
    セラミックス入り発泡性樹脂粒子の製造方法。
  5. 【請求項5】 ビニル系単量体が、エチレン系単量体、
    スチレン系単量体、アクリル酸エステル系単量体及びメ
    タクリル酸エステル系単量体から選ばれた1種又は2種
    以上の単量体混合物であることを特徴とする、請求項1
    −4項の何れか1つの項に記載のセラミックス入り発泡
    性樹脂粒子の製造方法。
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