JP2971855B1 - 風味のよいアミノ酸含有食品の製造方法 - Google Patents

Abstract

【要約】 【課題】アミノ酸やペプチドを含有しても加熱時および
保存時に風味劣化を起こさず、かつ長期間風味色調が安
定なアミノ酸含有食品の製造を方法に可能にする。 【解決手段】酸味料でｐＨ3.0-4.0にし、非還元糖を用
いることによって好ましくない風味を抑える。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、生理活性を有するアミ
ノ酸やペプチドを利用するにあたって風味が長時間持続
でき、抵抗なく多量に飲食できる経口食品の発明に関す
る。

【０００２】

【従来の技術】健康志向飲料、食品として生理活性を有
するアミノ酸やペプチド含有食品が上市されているがい
ずれも殺菌時、保存中にアミノ酸特有の風味（一般に獣
臭という）が発現し、製品化に限度があり、そのため、
含有量を有効量以下にし、この風味を抑える手段しかな
かった。さらにこの発現を阻止できる方法は見出されて
いない。体蛋白質源、すなわち窒素源として少なくとも
８種の必須アミノ酸を含有し、糖質カロリー源としてト
レハロースを含有する栄養組成物（特開平６−７０７１
８）は知られているが、これは加熱滅菌時あるいは保存
中にメイラード反応が起こり、褐色物質が生成するのを
防止した非経口的栄養組成物に関するものであり、経口
的アミノ酸含有食品の風味劣化の改良についてはなにも
開示されていない。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明の目的
はアミノ酸やペプチドを含有しても加熱時および保存時
に風味劣化を起こさず、かつ長期間風味色調が安定なア
ミノ酸含有食品の製造方法を確立することであり、この
課題に関して鋭意検討されたものである。

【０００４】

【課題を解決するための手段】アミノ酸やペプチド含有
食品の製造にあたって殺菌等の加熱および保存時にアミ
ノ酸特有の風味（獣臭）が生成される。本発明者は、こ
の風味の発現を抑えるために各方面から検討した結果、
酸味料でｐＨ3.0-6.0にし、非還元糖を用いることで好
ましくない風味の発生を抑えることができることをあら
たに見出し、この発見に基づいてさらに検討を加えて本
発明を完成したものである。すなわち、本発明は、酸味
料で予めｐＨを3.0-6.0に調整後、非還元糖、天然甘味
料及び／又は人工甘味料で風味を整えた、加熱や長時間
保存しても風味が変わらないアミノ酸含有食品の製造方
法である。また、本発明は、アミノ酸またはペプチドの
含有量が0.1-20％であって、酸味料で予めｐＨを3.0-6.
0に調整後、非還元糖、天然甘味料及び／又は人工甘味
料で風味を整えた、加熱や長時間保存しても風味が変わ
らないアミノ酸含有食品の製造方法である。さらに、本
発明は、酸味料で予めｐＨを3.0-6.0に調整後、非還元
糖、天然甘味料及び／又は人工甘味料で風味を整えた、
加熱や長時間保存しても風味が変わらない飲料、ゼリ
ー、菓子製品のいずれかひとつの（アミノ酸またはペプ
チドの含有量が0.1-20％である）アミノ酸含有食品の製
造方法である。

【０００５】ここで、アミノ酸としては、ヒスチジン、
アルギニン、イソロイシン、ロイシン、リジン、ヒドロ
キシリジン、フェニールアラニン、チロシン、トリプト
ファン、バリン、アスパラギン、アスパラギン酸、セリ
ン、グルタミン、グルタミン酸、プロリン、ヒドロキシ
プロリン、グリシン、アラニン、スレオニン、メチオニ
ン、シスチン、システインの天然物および合成物で単体
もしくはこれらアミノ酸の混合物を用いることができ
る。また、アミノ酸は、遊離アミノ酸のみならずナトリ
ウム塩、塩酸塩、酢酸塩等の塩を使用してもよい。

【０００６】ペプチドとしては、蛋白質の加水分解物と
その分画物を含む天然または合成物で単体もしくはこれ
らの混合物またはアミノ酸とペプチドの混合物を用いる
ことができる。

【０００７】非還元糖としてトレハロース、エリスリト
ール、マルチトール、パラチノース、キシリトールなど
を、天然甘味料および人工甘味料としてステビア、アス
パルテーム、サッカリン、グルチルリチン、ソーマチン
などを用いることができる。

【０００８】ここでいう酸味料とはクエン酸、りんご
酸、酒石酸、りん酸、酢酸など食品添加物およびレモン
などの天然物を指す。本発明のアミノ酸含有食品には、
前記のアミノ酸、ペプチド、非還元糖、天然甘味料、人
工甘味料、酸味料のほかに、脂質、電解質、ビタミン類
等必要の栄養素を適宜含ませることができる。

【０００９】本発明のアミノ酸含有食品は、必要に応じ
て、食品製造で通常使用されている着色料、着香料、保
存料、防かび剤、酸化防止剤、増粘安定剤、乳化剤、ゲ
ル化剤等を配合して製造された液状の飲料あるいは固形
状のゼリー、氷菓などの菓子製品等の経口食品を広く包
含する。そして、本発明のアミノ酸含有食品は、アミノ
酸やペプチドを多量に含有していても、風味の劣化がな
いので運動時の栄養補給や病弱者の栄養強化さらには健
常者の健康維持のために、必要量をなんの抵抗もなく美
味に摂取することができる。

【００１０】

【実施例】以下に本発明を実施例を挙げて説明するが、
本発明はこれにより限定されるものではない。

【００１１】

【実施例１】アミノ酸混合物（ヒスチジン 2部、アル
ギニン 8部、イソロイシン 5部、ロイシン 5部、リ
ジン 8部、フェニールアラニン 10部、チロシン 10
部、トリプトファン 15部、バリン 8部、アスパラギ
ン酸 1部、セリン 1部、グルタミン酸 2部、プロリ
ン 1部、グリシン 10部、アラニン 8部、スレオニン
5部、メチオニン 1部の混合物）を表１に示した配合で
作り、これを基本ベースに基本ベース（対照）、基
本ベースにクエン酸を加えｐＨ4.0に調整したもの、
に砂糖を5％添加したもの、にグレープフルーツ
果汁を5％添加したもの、にトレハロースを5％添加
したもの、を85℃15分および121℃15分の虐待テストを
行い、風味の差を官能的に調べた。試験した配合を表１
に、結果を表２に示した。

【００１２】

【表１】

【００１３】

【表２】 結果、アミノ酸混合物をクエン酸で酸性化し、非還元糖
を添加することで風味の劣化が防げる。

【００１４】

【実施例２】アミノ酸混合水溶液（実施例1と同じアミ
ノ酸混合物の1％水溶液）にクエン酸を加え、ｐＨ3.9に
した液100ｇにトレハロース3ｇ、エリスリトール2ｇ、
ステビア0.05ｇで風味を調整後、缶に85℃で充填後15分
その温度で保持殺菌し、その後室温まで冷却してアミノ
酸ドリンクを製造した。このアミノ酸ドリンクを、40℃
で６ヶ月保存した結果、風味、色調に変化は見られなか
った。

【００１５】

【発明の効果】本発明により、アミノ酸の加熱での風味
劣化を抑え、長期間にわたり、風味、色調の変化を防止
できる。したがって、本発明のアミノ酸含有食品は、風
味がよく、飲用しやすいので、運動時の栄養補給や病弱
者の栄養強化さらには健常者の健康維持のために、必要
量をなんの抵抗もなく美味に摂取することができる。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭59−203481（ＪＰ，Ａ) 特開 昭58−187134（ＪＰ，Ａ) 特開 平９−173020（ＪＰ，Ａ) 特公 昭46−33704（ＪＰ，Ｂ１) (58)調査した分野(Int.Cl.⁶，ＤＢ名) A23L 1/29 - 1/308 A23L 2/00 - 2/40 ＪＩＣＳＴファイル（ＪＯＩＳ) ＪＡＦＩＣファイル（ＪＯＩＳ)

Claims (3)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】酸味料で予めｐＨを３．０〜６．０に調整
   後、糖質としてトレハロース、エリスリトール、マルチ
   トール、パラチノース及びキシリトールのいずれかひと
   つまたはふたつ以上の非還元糖、天然甘味料及び／又は
   人工甘味料で風味を整えた、加熱や長時間保存しても風
   味が変わらないことを特徴とするアミノ酸含有食品の製
   造法。
2. 【請求項２】アミノ酸またはペプチドの含有量が０．１
   〜２０％である請求項１のアミノ酸含有食品の製造法
3. 【請求項３】アミノ酸含有食品が経口摂取用の飲料、ゼ
   リー、菓子製品のいずれかのひとつである請求項１また
   は請求項２のアミノ酸含有食品の製造法。