JP2971190B2 - ポリエステル太細糸及びポリエステル仮撚捲縮糸 - Google Patents

ポリエステル太細糸及びポリエステル仮撚捲縮糸

Info

Publication number
JP2971190B2
JP2971190B2 JP3168858A JP16885891A JP2971190B2 JP 2971190 B2 JP2971190 B2 JP 2971190B2 JP 3168858 A JP3168858 A JP 3168858A JP 16885891 A JP16885891 A JP 16885891A JP 2971190 B2 JP2971190 B2 JP 2971190B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
yarn
polyester
thick
false
multifilament
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP3168858A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH04370216A (ja
Inventor
隆雄 宮崎
正勝 奥村
敏幸 徳永
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
YUNICHIKA KK
Original Assignee
YUNICHIKA KK
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by YUNICHIKA KK filed Critical YUNICHIKA KK
Priority to JP3168858A priority Critical patent/JP2971190B2/ja
Publication of JPH04370216A publication Critical patent/JPH04370216A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP2971190B2 publication Critical patent/JP2971190B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Artificial Filaments (AREA)
  • Yarns And Mechanical Finishing Of Yarns Or Ropes (AREA)
  • Multicomponent Fibers (AREA)
  • Woven Fabrics (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は,ブラツクフオーマル用
に適した深みのある黒色に染色可能なポリエステル太細
糸及びポリエステル仮撚捲縮糸に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来,ブラツクフオーマル用途として黒
色に染色した場合の深色性を高めるために,単フイラメ
ントに凸凹を形成させるか,あるいは布帛の表面に低屈
折率樹脂をコーテイングすることによって,入射光の布
帛表面での反射を抑える方法が採用されてきた。しかし
ながら,このような凸凹の形成や樹脂のコーテイングに
よる方法では,黒色の濃さは不十分なものであった。
【0003】一方,未延伸状態のポリエステルフイラメ
ントは,染料吸尽性が高いことが知られており,この性
質を利用したものとして,高配向未延伸糸を不完全延伸
して太さ斑を形成した糸条,及びそれを仮撚加工した糸
条がある。しかし,これらの糸条は,太部が少ないため
に染色しても濃色部が点在するのみであり,糸条全体の
濃染効果には劣るものであった。
【0004】また,伸度の異なるポリエステル未延伸糸
を混繊した後,仮撚加工することによって,一方の糸条
に十分な延伸が与えられないようにし,濃染効果を高め
る方法も採用されている。しかしながら,この場合に
は,仮撚工程での延伸状態の違いによって芯鞘構造を呈
するために,芯部に淡染性の糸条が多く集まり,濃染性
フイラメントと淡染性フイラメントの混合作用のため,
深みのある黒色に染色することができなかった。
【0005】したがって,前述した各種の糸条を濃色,
特に黒色に染色するためには,染料を多量に投入して行
う必要があり,このため染色コストが高いという欠点が
あった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は,上述した従
来の欠点を解消し,黒色の染着性が飛躍的に向上すると
ともに,製編織して得られる布帛にペーパーライクな感
じがないポリエステル太細糸と,前記に加えて得られる
布帛にふくらみのある良好な風合を付与することができ
るポリエステル仮撚捲縮糸を提供することを技術的な課
題とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは,上記の課
題を解決するために鋭意検討した結果,カーボン微粒子
を含有させたポリエステルフイラメント糸条を特定の構
造,形態にすることによって,黒色の染着性が飛躍的に
向上し,かつふくらみのある布帛が得られることを知見
して本発明に到達した。
【0008】すなわち,本発明は,上記の課題を解決す
るために,次の構成を有する。 (1) 黒色のカーボン微粒子を0.1〜10重量%含有したポ
リエステル高配向未延伸糸を,一旦収縮熱処理し,次い
で,収縮量を大幅に超えない範囲内で延伸したポリエス
テルマルチフイラメント糸であって,残留伸度が40%以
上であり,かつマルチフイラメント糸を構成する単フイ
ラメントの太細比が1.1以上であることを特徴とするポ
リエステル太細糸。
【0009】(2) 黒色のカーボン微粒子を0.1〜10重量
%含有したポリエステルマルチフイラメントからなる仮
撚捲縮糸であって,マルチフイラメントを構成する単フ
イラメントの長手方向の太部占有率が1〜50%であり,
かつ単フイラメント間に5%以上の糸長差を有すること
を特徴とするポリエステル仮撚捲縮糸。
【0010】なお,本発明における太細比とは,マルチ
フィラメントから抜き出した単フィラメントの複数個所
の外径を顕微鏡下で測定し,その最大径(太部径)を最
小径(細部径)で除した値である。
【0011】また,単フイラメントの長手方向の太部占
有率の測定法は次のとおりである。糸条を0.1g/dの
荷重下に 100mm採取し,これを分繊して各々の単フイラ
メントを0.1g/dの荷重下で台紙に貼り,これらの全
構成フイラメントについて,単フイラメントの太部と判
断できる0.5mm以上の太部の長さを測定する。この太部
の長さを合計して,測定フイラメント長に対する太部の
長さの割合の平均値を単フイラメントの長手方向の太部
占有率とする。
【0012】さらに,単フィラメント間の糸長差は,次
のようにして測定するものである。まず,マルチフィラ
メント糸に0.1g/dの荷重を掛けて,長手方向に100m
m 間隔で印を10個所に付け,さらに,各印から15mm,25m
m の位置で全構成フィラメントに正確に印を付ける。次
いで, 各印から40mmの位置に印を付けて0mm と40mmの位
置でこれらを切断し,40mm の長さのマルチフィラメント
糸10本を得る。次に,1本のマルチフィラメント糸毎に,
全構成フィラメントの半数について,15 mmと25mmの印間
の糸長を単フィラメントのデニールの0.1g/dの荷重
下で測定し,これらの単フィラメントの最大の糸長と最
小の糸長の差を最小の糸長で除し,この10個所の平均値
を百分率で表す。
【0013】以下,本発明について詳細に説明する。本
発明のポリエステル太細糸及び仮撚捲縮糸は,黒色のカ
ーボン微粒子を0.1〜10重量%含有した糸条であるが,
ここでいうカーボン微粒子とは, 石墨や無定形炭素から
得られるものであって,濃色性を付与する効果が優れた
ものであればいずれでもよい。
【0014】本発明において,糸条を構成する単フイラ
メント中におけるカーボン微粒子の含有率は0.1〜10重
量%にする必要がある。この含有率が0.1%未満では,
目的とする黒色の染着性が得られず,また,10%を超え
ると,糸条の強伸度が低下するとともに,後述の染色に
よって黒色の中でも赤みのかかった黒色,青みのかかっ
た黒色等に染色することができない。
【0015】カーボン微粒子を含有したフイラメント
は,ポリエステル繊維を製造する際に,カーボン微粒子
を紡糸以前の工程で混合した後,紡糸することによって
得ることができる。また,カーボン微粒子を含んだポリ
エステルを芯部とし,カーボン微粒子を含まないポリエ
ステルを鞘部とした芯鞘構造とすることもできる。
【0016】本発明のポリエステル太細糸は,ポリエス
テル高配向未延伸糸を,収縮状態で熱処理し,次いで収
縮量を大幅に超えない範囲で延伸を施して得られるもの
であるため,ポリエステル高配向未延伸糸の持つ染色性
に優れた能力を損なうことがなく,かつ製編織可能な糸
条である。
【0017】さらに,本発明のポリエステル太細糸は,
ポリエステル高配向未延伸糸が実質的に延伸されておら
ず,残留伸度が40%以上である。このため,前述の高い
染色能を有しているものの,熱処理によって応力が高め
られ,製編織時の付加張力に対しても,糸条が必要以上
に伸ばされることがない。この残留伸度は,熱処理温度
や延伸倍率を高くすることによって低くすることができ
るが,好ましくは40〜80%の範囲にすればよい。
【0018】この時の収縮熱処理−延伸の条件は,例え
ば糸速が100m/minの場合, 収縮量を30〜150%〔収縮量
=(供給糸速−引出し糸速)×100÷引出し速度〕, 熱
処理温度を150〜240℃とし, 延伸倍率を(1+収縮量) ×
(0.7〜1.3)とすればよい。
【0019】さらに,ポリエステル太細糸は,このマル
チフィラメントを構成する単フィラメントの太細比が1.
1以上である。太細比が1.1以上であれば,太部が濃染
性を有するので,糸条の濃染効果を高めることができ
る。また,本発明のポリエステル太細糸は,収縮熱処理
後,延伸して得られる糸条であるため,太部がランダム
な位置に形成され,単に延伸して得られる糸条に比べて
単フイラメント間に空隙が生じるので,布帛がペーパー
ライクになることを防止することができる。さらには,
この太部と細部がランダムに存在することで,染色すれ
ば,濃淡効果を示すために色に深みを付与することがで
きる。
【0020】次に,本発明の仮撚捲縮糸について説明す
る。本発明の仮撚捲縮糸は,マルチフイラメントを構成
する単フイラメントの長手方向の太部占有率が1〜50%
である。単フイラメントの長手方向の太部占有率が1%
未満では,太部の絶対量が少ないので十分な濃染性が得
られず,また,後述の糸長差が少なくなり,十分なふく
らみを有する風合が得られない。一方,フイラメントの
太部は,濃染性を有するものの,細部に比較し強度が低
いため,フイラメントの太部の存在が50%を超えると,
太部の割合が多くなりすぎ,強度低下を起こしやすくな
る。
【0021】さらに,本発明の仮撚捲縮糸は,マルチフ
イラメントを構成する単フイラメント間に5%以上の糸
長差を有する。この糸長差が5%未満では,フイラメン
トのループが糸条長手方向にほぼ平行になり,このよう
な形態では目的とするふくらみのある良好な風合効果は
得られない。また,この糸長差は,単フイラメントの微
妙な単位で達成されており,糸条表面に細かなループを
形成する。このため,製編織して得られる布帛の表面に
微細な凸凹が形成され,深みのある色彩効果を助長する
ことができる。糸長差が大きいほど風合効果は増すが,
単フイラメント同士の絡みによって解舒性が悪くなり,
製編織性が低下することがあるので,25%以下が好まし
い。
【0022】次に,本発明の,ポリエステル太細糸及び
仮撚捲縮糸の一実施態様を,図面に基いて説明する 。
図1はポリエステル太細糸の断面を示す模式図であり,
芯部がカーボン微粒子を含有したポリエステルA,鞘部
がカーボン微粒子を含有しないポリエステルBで形成さ
れた芯鞘構造の複合繊維からなっている。図2は,ポリ
エステル太細糸の太細斑の状態を示す説明図である。な
お,図中,3は単フイラメントの太部である。
【0023】また,図3はポリエステル仮撚捲縮糸の断
面を示す模式図であり,図1のポリエステル太細糸と比
べて仮撚により単フイラメントの断面が変形している。
図4はポリエステル仮撚捲縮糸の外観を示す模式図であ
り,単フイラメントの太部が仮撚の捩じり変形によって
伸ばされて糸長が長くなった部分1と,単フイラメント
の細部が仮撚の捩じり変形を受けた部分2との間に5%
以上の糸長差を有し,その形態は,1の部分が糸条の断
面方向に突出しており,2の部分は糸条長手方向にほぼ
平行になっている。図5は,ポリエステル仮撚捲縮糸を
分離して台紙に貼った状態を示す説明図である。
【0024】次に,本発明のポリエステル太細糸及びポ
リエステル仮撚捲縮糸の製造例を説明する。カーボン微
粒子を含有した複屈折率(Δn)が20×10-3〜80×10-3
のポリエステル高配向未延伸糸を弛緩熱処理し,次いで
延伸して,個々のフイラメントに太部と細部が混在した
太細斑を形成させ,本発明のポリエステル太細糸を得る
ことができる。
【0025】また,上記で得られるポリエステル太細糸
に仮撚加工を施し,太部を細部より高度に捩じり変形さ
せてフイラメント間に糸長差を形成させることによって
本発明のポリエステル仮撚捲縮糸を得ることができる。
【0026】ポリエステル高配向未延伸糸の複屈折率
(Δn)が20×10-3未満の場合,配向度が低すぎて弛緩
熱処理や仮撚加工で糸条が熱劣化し,糸切れが多発す
る。一方,ポリエステル高配向未延伸糸の複屈折率(Δ
n)が80×10-3を超えると,配向度が高すぎて弛緩熱処
理で十分に収縮させることができず,延伸及び仮撚加工
後に糸長差や太細斑を付与できないので好ましくない。
なお,複屈折率(Δn)は,偏光顕微鏡のコンペンセー
ターで測定するものである。
【0027】ポリエステル高配向未延伸糸に弛緩熱処理
を施す際の弛緩率(X)は,30%以上とすることが好ま
しい。弛緩率が30%未満では,糸条の収縮太化が不十分
で,太細差による糸長差が得られ難くなる。弛緩率を30
%以上とすることによって,後工程の延伸処理により太
部と細部が形成される。
【0028】ポリエステル仮撚捲縮糸を得る場合,さら
に,この糸条を仮撚加工することによって単フイラメン
ト間で短い間に糸長差が生じ,この糸長差が糸条にふく
らみ効果を与えるとともに,単フイラメントの細かな突
出によって糸条表面に微細な凸凹が形成され,染色後の
色の深みを増すことができる。上記弛緩率の上限は特に
制限されるものではないが,140%を超えると,糸条の走
行が不安定になるので好ましくない。
【0029】また,弛緩熱処理時の温度は,糸速が 100
m/min の場合, 130〜 200℃が好ましい。さらに,弛
緩熱処理後の延伸倍率は,0.6(1+X/100)〜1.3(1+
X/100) の範囲で行うのが好ましい。延伸倍率が0.6(1
+X/100)未満では,延伸倍率が低すぎて単フイラメン
ト内に太部が多く,かつ細部が少なくなりすぎて,短い
間での糸長差を発現させることができない。一方,延伸
倍率が1.3(1+X/100) を超えると,延伸倍率が高すぎ
て細部ばかりとなり,太細斑により糸長差を発揮でき
ず,太部による濃染効果も期待できない。
【0030】ポリエステル仮撚捲縮糸を得る場合に施す
延伸後の仮撚加工は,通常の加工条件で行えばよく,例
えば,糸速100 m/min のとき,ヒータ温度を 150〜 2
40℃,仮撚数を(23000 〜 33000)/D1/2(T/M)(D
は供給デニール),オーバーフイード率を−15〜+5%
にするのが好ましい。
【0031】次に,本発明の糸条の製法例を図面に基づ
いて説明する。図6は,ポリエステル太細糸の製法例を
示す概略工程図である。図6において,フイードローラ
12によりパツケージから引き出された供給糸11は,フイ
ードローラ12とデリベリローラ14との間のヒーター13で
弛緩熱処理が施され,次いで,延伸ローラ15によって所
定の延伸倍率で延伸され,本発明のポリエステル太細糸
となり,巻取装置20でパーン21に巻き取られる。
【0032】図7は,ポリエステル仮撚捲縮糸の製法例
を示す概略工程図である。図7において,フイードロー
ラ12によりパツケージから引き出された供給糸11は,フ
イードローラー12と第1デリベリローラ14との間の第1
ヒーター13で弛緩熱処理が施され,次いで,延伸ローラ
15によって所定の延伸倍率で延伸され,太細斑を有する
糸条が形成される。さらに,第2ヒータ16とスピンドル
17によって仮撚加工が施されて本発明のポリエステル仮
撚捲縮糸となり,第2デリベリローラ18を経てパツケー
ジ19に巻き取られる。
【0033】
【作用】本発明のポリエステル太細糸は,収縮熱処理し
た後,延伸を施して得られるものであるため,糸条を構
成する単フイラメントの染料吸尽率が高くなることと,
単フイラメント内にカーボン微粒子が存在することによ
り,従来になく濃い黒色に染色することができる。これ
は,単フイラメントに入射した光に対するカーボン微粒
子と黒色染料による吸収力が相乗的に向上することと,
太細斑による光の乱反射により糸条表面からの正反射光
が極めて弱くなるためと考えられる。
【0034】また,本発明のポリエステル仮撚捲縮糸
は,マルチフイラメントを構成する単フイラメント間に
5%以上の糸長差を有するので,この糸長差によって糸
条表面に細かなループが存在され,このため,製編織し
て得られる布帛の表面に微細な凸凹が形成され,深みの
ある色彩効果を助長することができるとともに,布帛に
ふくらみのある良好な風合を付与することができる。
【0035】
【実施例】次に,本発明を実施例により具体的に説明す
る。なお,織物の染色性(色の深み)は,L値によって
評価した。L値の測定は,色差計( マクベス社製 タイ
プ4020型 商品名マクベスカラーアイ) を用いた。L値
の表示は0(明度が最も低い) 〜100(明度が最も高い) の
範囲で示され, この値が小さいもの程濃色であることを
示す。
【0036】実施例1,比較例1〜3 カーボン微粒子を2重量%含有したポリエチレンテレフ
タレートを芯部に15部配し,カーボン微粒子を含まない
ポリエチレンテレフタレートを鞘部に85部配して高速紡
糸し,複屈折率(Δn)が48.5×10-3である 220d/48
fのポリエステル高配向未延伸糸を得た(実施例1)。
【0037】比較のため,カーボン微粒子を含まないポ
リエチレンテレフタレート 100%の複屈折率 (Δn) が
51.2×10-3である 230d/48fのポリエステル高配向未
延伸糸を得た(比較例1)。
【0038】両糸条を供給速度 110m/min で熱処理装
置に供給し,弛緩率67.9%,熱処理温度 180℃で収縮熱
処理した後,引き続いて1.679 倍の延伸を室温下で行っ
た。
【0039】また,比較例2として比較例1用の高配向
未延伸糸,比較例3として実施例1用の高配向未延伸糸
を用い, 弛緩熱処理をせず,通常の延伸工程に供給して
150d/48fの延伸糸を得た。
【0040】実施例1と比較例1で得られた糸条を用い
て,経密度72本/2.54cm,緯密度68本/2.54cmで平組織
に製織し,また,比較例2,3で得られた糸条をそれぞ
れ用いて,経密度95本/2.54cm,緯密度90本/2.54cmで
平組織に製織した。
【0041】それぞれで得られた織物をリラツクス精練
した後,通常のポリエステル染色処方に従い,ダイヤニ
クスブラツクRB−UP(三菱化成社製,分散染料)15%
owf,ダイヤニクスブラツクF(三菱化成社製,分散染
料)5%owf を併用し,130℃で45分の染色を行い,次い
で樹脂による濃染処理を施した。得られた糸条の物性と
仕上げ後の織物の黒さを示すL値は表1のとおりであっ
た。
【0042】
【表1】
【0043】得られた織物のうち,実施例1のものが最
も濃く見え,次いで比較例3,比較例1,比較例2の順
であった。また,実施例1と比較例1のものには,濃淡
色差が認められず,色に深みが感じられた。さらに比較
例2,3からの織物は,ペーパーライクな感じがするの
に対して,実施例1と比較例1からの織物は,太細斑の
効果によりふくらみ感のある風合を有するものであっ
た。
【0044】実施例2,比較例4〜6 実施例1で用いたポリエチレンテレフタレート高配向未
延伸糸(実施例2用)と比較例1で用いたポリエチレン
テレフタレート高配向未延伸糸(比較例4用)とを供給
速度110m/min で熱処理装置に供給し,弛緩率67.9
%,熱処理温度178℃で弛緩熱処理した後,引き続いて
1.679倍の延伸を室温下で行った。得られた糸条に,仮
撚数2040T/M,ヒータ温度 180℃,オーバーフイード
率−10.3%の条件で仮撚加工を施した。また,比較例5
として比較例4用の高配向未延伸糸,比較例6として実
施例2用の高配向未延伸糸をそれぞれ供給糸とし,弛緩
熱処理をせず,仮撚数2547T/M,ヒータ温度 190℃,
延伸倍率1.520 倍の条件で延伸同時仮撚加工を施した。
【0045】実施例2と比較例4で得られた捲縮糸を用
いて,経密度68本/2.54cm,緯密度63本/2.54cmで平組
織に製織し,比較例5,6で得られた捲縮糸をそれぞれ
用いて,経密度88本/2.54cm,緯密度74本/2.54cmで平
組織に製織した。それぞれで得られた織物をリラツクス
精練した後,通常のポリエステル染色処方に従い,ダイ
ヤニクスブラツクRB−UP(三菱化成社製,分散染
料)15%owf ,ダイヤニクスブラツクF(三菱化成社
製,分散染料)5%owf を併用し,130℃で45分の染色を
行った。
【0046】得られた糸条の物性と仕上げ後の織物の黒
さを示すL値は,表2のとおりであった。
【0047】
【表2】
【0048】得られた織物のうち,比較例5の捲縮糸を
用いたものは,単フイラメント間の糸長差がないためふ
くらみ感に乏しく,染色性も黒の深みに最も欠けるもの
であった。また,比較例6の捲縮糸を用いた織物も,比
較例5と同様にふくらみ感のないものであったが,カー
ボン微粒子を含有しているため,比較例の中では黒色濃
さが良好であった。これに対して,実施例2と比較例4
の捲縮糸を用いた織物は,単フイラメント間の糸長差に
より布帛にふくらみ感があり,しかも太部の存在によっ
て濃染されていた。しかしながら,比較例4で得られた
織物は,糸条にカーボン微粒子を含まないため,黒色の
濃さが実施例2のものより劣るものであった。
【0049】
【発明の効果】上記のように, 本発明のポリエステル太
細糸及びポリエステル仮撚捲縮糸は,カーボンブラツク
を糸条の内部に含有するとともに,糸条を構成する単フ
イラメントの長手方向に濃染性の太部が存在するため,
深みのある黒色に染色することができる。
【0050】また,これらの糸条には,糸条を構成する
単フイラメントの長手方向に太部がランダムに存在する
ため,布帛にふくらみ感を付与することができる。
【0051】さらに,ポリエステル仮撚捲縮糸は,単フ
イラメント間に5%以上の糸長差を有しているため,こ
の糸長差が糸条の表面に凸凹を形成し,光の乱反射によ
って前記の色の濃さと相まって一層色に深みを与えるこ
とができる。さらに,この糸長差は,布帛にふくらみ感
も付与することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のポリエステル太細糸の断面を示す模式
図である。
【図2】本発明のポリエステル太細糸の太細斑を示す説
明図である。
【図3】本発明のポリエステル仮撚捲縮糸の断面を示す
模式図である。
【図4】本発明のポリエステル仮撚捲縮糸の外観を示す
模式図である。
【図5】本発明のポリエステル仮撚捲縮糸の太部の分散
状態を示す説明図である。
【図6】本発明のポリエステル太細糸の製法例を示す概
略工程図である。
【図7】本発明のポリエステル仮撚捲縮糸の製法例を示
す概略工程図である。
【符号の説明】
A カーボン微粒子を含有したポリエステル B カーボン微粒子を含有しないポリエステル 1 ポリエステル仮撚捲縮糸における糸長が長い部分 2 ポリエステル仮撚捲縮糸における糸長が短い部分 3 単フイラメントの太部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI D02G 1/02 D02G 1/02 Z D02J 1/22 D02J 1/22 M (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) D01F 6/92 D01F 6/62 D01F 8/14 D02J 1/22 D02G 1/02

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 黒色のカーボン微粒子を0.1〜10重量%
    含有したポリエステル高配向未延伸糸を,一旦収縮熱処
    理し,次いで,収縮量を大幅に超えない範囲内で延伸し
    たポリエステルマルチフイラメント糸であって,残留伸
    度が40%以上であり,かつマルチフイラメント糸を構成
    する単フイラメントの太細比が1.1以上であることを特
    徴とするポリエステル太細糸。
  2. 【請求項2】 黒色のカーボン微粒子を0.1〜10重量%
    含有したポリエステルマルチフイラメントからなる仮撚
    捲縮糸であって,マルチフイラメントを構成する単フイ
    ラメントの長手方向の太部占有率が1〜50%であり,か
    つ単フイラメント間に5%以上の糸長差を有することを
    特徴とするポリエステル仮撚捲縮糸。
JP3168858A 1991-06-12 1991-06-12 ポリエステル太細糸及びポリエステル仮撚捲縮糸 Expired - Lifetime JP2971190B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP3168858A JP2971190B2 (ja) 1991-06-12 1991-06-12 ポリエステル太細糸及びポリエステル仮撚捲縮糸

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP3168858A JP2971190B2 (ja) 1991-06-12 1991-06-12 ポリエステル太細糸及びポリエステル仮撚捲縮糸

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH04370216A JPH04370216A (ja) 1992-12-22
JP2971190B2 true JP2971190B2 (ja) 1999-11-02

Family

ID=15875869

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP3168858A Expired - Lifetime JP2971190B2 (ja) 1991-06-12 1991-06-12 ポリエステル太細糸及びポリエステル仮撚捲縮糸

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2971190B2 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4701478B2 (ja) * 2000-06-13 2011-06-15 東レ株式会社 多色性複合加工糸およびその製造方法
JP6504752B2 (ja) * 2014-05-12 2019-04-24 セーレン株式会社 織編物

Also Published As

Publication number Publication date
JPH04370216A (ja) 1992-12-22

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2971190B2 (ja) ポリエステル太細糸及びポリエステル仮撚捲縮糸
JP3262903B2 (ja) ポリエステル嵩高加工糸
JP3502715B2 (ja) 複合嵩高加工糸の製造方法
JP3176813B2 (ja) ポリエステルシック・アンド・シンヤーンおよび該ヤーンからなるカスリ調織編物
JP3880169B2 (ja) シルキー調特殊加工糸
JP2986665B2 (ja) 濃染性特殊混繊糸の製造方法
JP3464062B2 (ja) 清涼感を有する嵩高性ポリエステル捲縮糸
JPS6142011B2 (ja)
JP3946042B2 (ja) ポリエステル複合加工糸
JPH08100366A (ja) 濃染性特殊加工糸
JP3515508B2 (ja) ポリエステル撚糸を含む濃淡織編物
JP2908597B2 (ja) ポリエステルスパンライク糸の製造方法
JP4073578B2 (ja) ポリエステル複合仮撚糸の製造方法
JP3250850B2 (ja) ポリエステル斑糸およびその製造方法
JP2585523B2 (ja) 嵩高加工糸の製造方法
JPS601412B2 (ja) ポリエステル嵩高糸およびその製造方法
JPS5921978B2 (ja) 嵩高糸
JP2004225227A (ja) ポリエステル複合嵩高加工糸
JP3059656B2 (ja) ポリエステル系混繊糸
JP3251427B2 (ja) スパンライク太細加工糸の製造方法
JPH1143838A (ja) シャイニー性の改善されたポリエステル二層構造糸およびその製造法
JP3401373B2 (ja) カットパイル布帛の製造方法
JPS6245338B2 (ja)
JP2019167637A (ja) ポリエステル混繊糸、織編物、及びポリエステル混繊糸の製造方法
JP2004044036A (ja) マルチフィラメント糸及びその製造方法並びに該糸を含む織編物