JPH1143838A - シャイニー性の改善されたポリエステル二層構造糸およびその製造法 - Google Patents

シャイニー性の改善されたポリエステル二層構造糸およびその製造法

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JPH1143838A
JPH1143838A JP19696797A JP19696797A JPH1143838A JP H1143838 A JPH1143838 A JP H1143838A JP 19696797 A JP19696797 A JP 19696797A JP 19696797 A JP19696797 A JP 19696797A JP H1143838 A JPH1143838 A JP H1143838A
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polyester multifilament
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Masaaki Yanagihara
正明 柳原
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Teijin Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 金属光沢様のギラギラ感がない、シャイニー
性の改善されたポリエステル二層構造糸を提供する。 【解決手段】 固有粘度が0.70〜1.20で、横断
面形状が3〜12個の凹部を有した異型度1.8〜3.
6である未延伸低配向高伸度ポリエステルマルチフィラ
メントと、これよりも切断伸度が100%以上小さい未
延伸高配向ポリエステルマルチフィラメントとを合糸
し、次いで温度80〜130℃、延伸倍率1.2〜1.
8倍で延伸同時仮撚加工して、異型度が1.5〜3.0
で3〜12個の凹部を有する断面形状の鞘糸が芯糸の周
りに交互撚糸状に巻き付いた、シャイニー性の改善され
たポリエステル二層構造糸を得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、シャイニー性の改
善されたポリエステル二層構造糸およびその製造法に関
する。さらに詳しくは、光を比較的おだやかに反射さ
せ、いわゆる金属光沢様のギラギラ感を解消させた、シ
ャイニー性の改善された光沢を呈するポリエステル二層
構造糸及びその製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリエステル繊維に関する色、光沢、ド
レープ性や張り、腰などの特性のうち、シャイニー性に
大きなウエイトを持つ光沢は、色と共に感覚に訴える要
素が強く、商品価値の上で重要な特性になっている。
【0003】従来この光沢を改善するため、ポリエステ
ル繊維においては酸化チタンが用いられてきた。これ
は、酸化チタンの大きな屈折率を利用して、繊維への入
射光を散乱させる艶消効果を狙ったものである。しか
し、この様な艶消剤のみの使用では、ポリエステル繊維
特有のテカテカした金属光沢を消去することができず、
いまだに十分には満足されていない。
【0004】近年、ポリエステル繊維製品の光沢や風合
い、さらには発色性を改善する目的で、ポリエステル繊
維の屈折率に比較的近いか、あるいは屈折率の低いシリ
カ、カオリナイト、アルミナ等の無機微粒子を添加する
方法が提案されている。しかし、これらの無機微粒子を
繊維中に分散させて、目的とする効果を十分なレベルま
で発揮させるためには、ポリエステルと無機微粒子の種
類、該微粒子の大きさの選択、さらには微粒子の添加工
程やその方法等において、非常にわずらわしい問題を解
決して行かねばならない。これらが十分に満足されない
場合には、繊維内部にボイドを生じて白濁化したり、発
色性を低下させてしまったり、ひどい場合には、糸強度
の低下を招くという問題がある。
【0005】また、これら無機微粒子の添加による光沢
の改善は、繊維表面の不規則な凹凸に基づく光拡散効果
によるものであるため、決定的な弱点がある。すなわ
ち、繊維表面に凹凸を形成するためには、通常100m
μ以下の微粒子が用いられるが、このようなオーダーの
微粒子で形成される凹凸は、繊維製品の使用中の摩耗に
よって、例えば羊毛のように繊維表面が平滑化されるた
め、布帛上で光の鏡面反射が起るようになり、いわゆる
金属光沢といわれるテカリを生じるようになり、光沢だ
けでなく色相や風合の点からも一層嫌われるものになっ
てしまう。
【0006】一方、特開平4―316624号公報に
は、断面形状の異型度が2以上で、かつ仮撚捲縮を有す
る特殊異型断面フィラメント糸を芯糸とし、この芯糸よ
りも細かい仮撚捲縮糸を鞘糸とする特殊嵩高加工糸が提
案され、特開平8―218241号公報には、横断面形
状の凹部が1〜5個のフィラメントと6個以上のフィラ
メントとが混繊された混繊仮撚加工糸が提案されてい
る。しかし、これらの仮撚加工糸はいずれも、サラサラ
感、優れたドレープ性、吸水性といった特性を改善する
もので、シャイニー性の改善、すなわち金属光沢様のテ
カリ解消は未解決のままである。
【0007】また、フィラメントの断面偏平係数および
断面偏平係数の分布が特定された、落ち着いた自然の光
沢を呈すると共に吸水性も改善されたポリエステル極細
仮撚加工糸(特開平4―240230号公報)が提案さ
れている。しかし、この加工糸は、微細孔形成剤を含有
するポリエステルを紡速3000〜4000m/分の高
速度で紡糸した糸に仮撚加工が施されたもので、このよ
うな原糸は配向が進みすぎているため二層構造糸の鞘糸
成分としては使用できない。二層構造糸の鞘糸成分に使
用できるようにするため、紡速を1000〜2700m
/分程度に下げて低配向にすると、仮撚加工時の鞘糸成
分の断面変形を抑制することができなくなってシャイニ
ー性の改善は不十分なものになる。
【0008】さらに特開昭52―49323号公報、特
公昭57―38695号公報、特公昭58―28371
号公報などには、フィラメント断面形状が7個の突起を
持つヘプタローバル形や8個の突起をもつオクタローバ
ル形で、その外接円の半径(R)と内接円の半径(r)
との比が(R/r)が1.10〜1.16である未延伸
糸を仮撚加工することにより、チラツキ、パステル化が
少なく鮮明な色調の染色物が得られる仮撚加工糸を得る
方法が提案されている。しかしながら、これらの加工糸
も仮撚加工時の断面変形(扁平化)を抑制するため、未
延伸糸の紡糸速度は2800〜3500m/分のPOY
領域が採用されている。すなわち、これらの加工糸は単
一原糸の延伸仮撚糸なので、断面変形抑制のために原糸
の紡糸条件として比較的高速のPOY領域を採用するこ
とができるのである。これに対して二層構造糸の場合、
伸度が小なる芯糸の周りに伸度が大なる鞘糸が巻き付い
た構造を有しており、この様な糸を得るためには、鞘糸
に配される糸として紡速1000〜2700m/分程度
の低紡速で紡糸された未延伸糸を使用する必要があり、
その結果仮撚加工時に鞘糸成分は断面変形を受けて偏平
化し、ギラギラした光沢は解消されずシャイニー性の不
充分なものとなってしまうのである。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記従来技
術の金属光沢様のギラギラ感を解消し、さらにはソフト
な風合、耐摩耗性に優れた色調を呈する、シャイニー性
の改善されたポリエステル二層構造糸およびその製造法
を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者の研究によれ
ば、上記目的は、「高配向ポリエステルマルチフィラメ
ント(A)を芯部とし、その周りに低配向ポリエステル
マルチフィラメント(B)が鞘部として交互撚糸状に巻
き付いたポリエステル二層構造糸において、該鞘部フィ
ラメントの横断面形状が凹部を3〜12個有し、かつ異
型度が1.5〜3.0であることを特徴とする、シャイ
ニー性の改善されたポリエステル二層構造糸。」により
達成されること、また別の目的は、「複屈折率が0.0
3〜0.09の未延伸高配向ポリエステルマルチフィラ
メント(A’)と、(A’)よりも切断伸度が100%
以上大きい未延伸低配向高伸度ポリエステルマルチフィ
ラメント(B’)とを合糸して延伸同時仮撚加工するポ
リエステル二層構造糸の製造法において、該ポリエステ
ルマルチフィラメント(B’)の固有粘度が0.70〜
1.20で、その横断面形状に凹部を3〜12個有しか
つ異型度が1.8〜3.6であり、さらに延伸仮撚加工
温度が80〜130℃、延伸仮撚加工倍率が1.2〜
1.8倍であることを特徴とする、シャイニー性の改善
されたポリエステル二層構造糸の製造法。」により達成
されることが見出された。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明でいうポリエステルとは、
ポリエチレンテレフタレートを主たる対象とするが、エ
チレンテレフタレートを90モル%以上含む共重合ポリ
エステルであってもよい。共重合ポリエステルにおける
テレフタル酸成分およびエチレングリコール成分以外の
共重合成分としては、例えばイソフタル酸、2,6―ナ
フタリンジカルボン酸、アジピン酸、シュウ酸、トリメ
リット酸、ピロメリット酸、ジエチレングリコール、シ
クロヘキサンジメタノール、ペンタエリスリトール、p
―オキシ安息香酸あるいはこれらのエステル形成性誘導
体などが挙げられる。
【0012】本発明の二層構造糸は、高配向ポリエステ
ルマルチフィラメント(A)を芯部(以下芯糸と称する
ことがある)とし、その周りに低配向ポリエステルマル
チフィラメント(B)が鞘部(以下鞘糸と称することが
ある)として交互撚糸状に巻き付いた形態を有するもの
であるが、糸の表層部に配置される鞘糸(B)は、光を
できるだけ穏やかに拡散反射させるため、その横断面形
状に凹部を3〜12個、好ましくは4〜8個有すると共
に、異型度は1.5〜3.0好ましくは1.8〜2.7
であることが肝要である。凹部の数が3個未満の場合に
は、光の拡散反射効果が不十分となってギラギラ感を十
分なレベルまで解消することはできない。一方12個を
超える場合には、凹部の深さを十分なレベルに取ること
が困難になって、やはりギラギラ感を抑制することがで
きなくなる。また、異型度が1.5未満の場合には、表
面光沢が不十分となり、一方異型度が3.0を超える場
合には、反射光りがギラギラした、いわゆるグリッター
を生じるので好ましくない。
【0013】ここでいう横断面形状の凹部とは、図1に
示すように、繊維横断面図において、断面輪郭に複数の
接点M1 、M2 で接する直線L1 を引いた時、その接点
間の凹部を意味する。一方異型度とは、図2(a)に示
すように、繊維横断面の外接円Rと内接円の半径rとの
比(R/r)で表わしたものである。したがって、この
比が1のときは円形断面を意味し、この値が大きくなる
ほど、変形度が大きいことになる。図2(b)〜(d)
に、四葉断面、六葉断面、八葉断面の場合について、そ
れぞれ同様に(R/r)の測定方法を表わす。
【0014】なお、横断面形状に凹部が多ければ多いほ
ど、染色時に凹部からの染料吸収がしやすくなるため、
均一に染まりやすく、且つ濃染傾向になりやすいため、
染色後のイラツキが減少する。また、濃染傾向になって
太陽光線を吸収しやすくなるため、特に繊維表面層での
反射が吸収されてギラギラ感が抑制され、シャイニー性
の改善効果が大きくなるので好ましい。
【0015】一方、芯部を構成する高配向ポリエステル
マルチフィラメント(A)については、その横断面形状
を特に限定する必要はないが、二層構造糸の芯糸には糸
表層部よりも光が到達しにくいので、鞘糸ほど光を反射
させる必要はなく、かえって拡散反射の程度を小さくし
た方が好ましく、異型度は1.5以下、特に1.0の丸
断面が好ましい。
【0016】また、鞘部を構成する低配向ポリエステル
マルチフィラメント(B)の固有粘度(オルソクロロフ
ェノールを溶媒とし、30℃で測定)は、後述する加工
糸の製造時(仮撚加工時)における横断面形状の偏平化
を抑制すると共に、加工毛羽発生の抑制、強伸度低下の
抑制のため、0.70〜1.20、特に0.75〜1.
05の高重合度が適当である。かかる高重合度のものを
鞘糸に用いると、芯糸と鞘糸との配向度差に基づく染色
後の染めカスリ、イラツキの欠点も発生し難くなる。な
お、固有粘度が大きくなりすぎて1.20を超える場合
には、延伸仮撚加工時の毛羽発生が増加して100個/
万mを越えるようになり、染色後のイラツキも大きくな
るので好ましくない。
【0017】次ぎに高配向ポリエステルマルチフィラメ
ント(A)と低配向ポリエステルマルチフィラメント
(B)の比率(A/B:重量比)は35/65〜65/
35の範囲が好ましく、さらに好ましくは40/60〜
50/50の範囲が適当である。芯糸(A)の割合が3
5%重量%未満になると、鞘糸(B)のカバーリングが
多くなりすぎて、張りおよび腰といった風合が低下しや
すく、また芯鞘のバランスが崩れて光の拡散反射効果も
低下しやすく目的とする品位のものが得難くなる。一
方、芯糸(A)の割合が65%重量%を超える場合に
は、風合に粗硬感が出てくると共に、鞘糸(B)のカバ
ーリングが不十分になり、上記と同様に目的とするシャ
イニー性改善効果が低下しやすい。
【0018】また、高配向ポリエステルマルチフィラメ
ント(A)、すなわち芯部を構成するフィラメントの単
糸繊度は、特に大きくする必要はないが、張り、腰とい
った風合を強調するためには、少なくとも2デニール以
上、好ましくは4〜10デニールが適当である。
【0019】一方、低配向ポリエステルマルチフィラメ
ント(B)、すなわち鞘部を構成するフィラメントの単
糸繊度は、特に小さくする必要はないが、ソフトな風合
(ソフトタッチ)を付与するため3デニール以下、好ま
しくは1.0〜2.5デニールが適当である。
【0020】以上に詳述した、本発明のシャイニー性の
改善されたポリエステル二層構造糸は、例えば、以下に
図面を用いて説明するような方法により製造することが
できる。
【0021】図5は、本発明の一実施態様を示す略線図
である。図5において、例えば高速紡糸法によって得た
複屈折率(Δn)が0.03〜0.09の未延伸高配向
ポリエステルマルチフィラメント(A’)は1に、複屈
折率が0.01〜0.02程度で伸度が(A’)よりも
100%以上、好ましくは120〜270%大きい未延
伸低配向高伸度ポリエステルマルチフィラメント
(B’)は2にクリールアップされ、両マルチフィラメ
ントは一対の供給ローラ5より合糸して供給され、必要
に応じて空気交絡ノズル6で前交絡が付与された後、中
間ローラ7を経て第1ヒータ8、仮撚具9に送られ、順
次、加撚、熱セット、解撚が施され、この際両糸は相互
にねじられながら延伸される。仮撚具9を通過して撚は
解かれ、両糸はまとわりついたままデリベリローラ10
を経て、第2ヒータ11で必要に応じて熱セットされ、
引取ローラ12を経て、ワインダー13にチーズ14と
して捲き取られる。
【0022】この際、マルチフィラメント(A’)と
(B’)との伸度差が100%未満の場合には、得られ
る二層構造糸はバラケ気味になって交互撚糸状の二層構
造糸は得難く、また繊維間空隙が大きくなって風合が低
下するので好ましくない。
【0023】本発明の製造法において、シャイニー性の
改善されたポリエステル二層構造糸を得るためには、熱
セット条件を選択することが大切で、第1ヒーター熱セ
ット温度は80〜130℃にして、第1ヒータ8出口直
後の糸温度が好ましくは70〜100℃の範囲となる様
にする必要がある。このため熱処理時間は、0.15〜
0.23秒の範囲が程度が適当である。熱セット温度が
130℃を超える場合には、鞘部フィラメント(B)の
断面変形が大きくなり、シャイニー性の改善されたポリ
エステル二層構造糸は得られず、一方80℃未満では、
安定に延伸仮撚加工することが困難となって交互撚糸状
の構造を得ることが困難になるだけでなく、毛羽も多発
するようになるので好ましくない。
【0024】熱セットされた糸条は解撚された後、必要
に応じて(収縮率変動を安定させる必要がある場合)解
撚直後の第2ヒーター11で、150℃以上の温度下熱
処理される。
【0025】延伸仮撚加工倍率は1.2〜1.8倍、好
ましくは1.3〜1.6倍にする必要がある。加工倍率
が1.2倍未満の場合には、加撚張力不足によるサージ
ング(糸揺れ)が発生しやすく、このため撚斑による染
斑不良が発生しやすくなるだけでなく、加工毛羽も発生
しやすくなるので好ましくない。一方加工倍率が1.8
倍を超える場合には、糸条のバラケにより芯糸成分と鞘
糸成分の分離が発生して交互撚糸状の構造が達成でき
ず、また空隙が増大する結果光の反射が増大して目的と
する品位(シャイニー性の改善された光沢)が得難くな
る。さらには、加工毛羽の発生や加工工程不調に起因し
て、得られる織物の品位も低下するため好ましくない。
【0026】
【実施例】以下、実施例により本発明をさらに詳しく説
明する。なお、実施例における各測定値は、以下の方法
により測定した。
【0027】<切断強度、切断伸度>引張試験機を用
い、糸長25cm、引張速度10cm/分の条件で、気
温25℃および湿度60%の雰囲気で測定した。
【0028】<捲縮率(TC)>試料に50mg/デニ
ールの張力を掛けてカセ枠に巻き取り、約3,000デ
ニールのカセを作る。カセ作成後、カセの一端に2mg
/デニール+200mg/デニールの荷重を負荷し、1
分間経過後の長さL0 (cm)を測定する。次いで、2
00mg/デニールの荷重を除去した状態で、100℃
の沸水中にて20分間処理する。沸水処理後、2mg/
デニールの荷重を除去し、24時間自由な状態で自然乾
燥する。自然乾燥した試料に、再び2mg/デニール+
200mg/デニールの荷重を負荷し、1分間経過後の
長さL1 (cm)を測定する。次いで、200mg/デ
ニールの荷重を除去し、1分間経過後の長さL2 を測定
し、次の算式で捲縮率を算出した。 TC(%)=[(L1 −L2 )/L0 )×100
【0029】<異型度>光学顕微鏡を用いて断面写真を
撮り、断面の外接円の半径(R)、内接円の半径(r)
をそれぞれ求め、その比(R/r)を算出した。なお、
測定は1サンプル20本の単糸で行った。
【0030】<毛羽数>東レエンジニアリング(株)製
DT―104毛羽計数装置を用い測定した。
【0031】<メリヤス光沢>得られたポリエステル2
層構造糸を筒編し、分散染料を用いて常法により染色
し、水洗乾燥後180℃で1分間熱セットし、太陽光線
のもとで、ギラギラ光るものを1点、全く光らないもの
を5点として肉眼判定した。
【0032】<布帛特性>光沢、イラツキ、風合は、常
法により800T/mの撚を施した後、製織、プリセッ
ト、アルカリ減量、染色して得た黒染布を、5人のパネ
ラーにより官能評価した。また、耐摩耗性の評価は、白
い紙の上で上記黒染布を10回手でこすり、白い紙の上
に脱落する黒い粉を、パネラー5人により官能評価し
た。なお、大変良好を◎、良好を○、やや難点のあるも
のを△、悪いものを×と表した。
【0033】[実施例1〜7]表1記載の固有粘度のポ
リエチレンテレフタレートを2500m/分の紡糸速度
で溶融紡糸で、各種異型断面孔(三葉断面、五葉、六
葉、八葉断面)48ホール有する紡糸口金から、125
デニール/48フィラメントで表1記載の伸度を有する
未延伸糸(酸化チタン0.4重量%)を得た。このポリ
エステル未延伸糸を鞘糸(B)用として図5に示す原糸
2―Bに用いた。
【0034】一方、固有粘度0.62のポリエチレンテ
レフタレートを4500m/分の紡糸速度で通常の丸断
面孔12ホール有する紡糸口金から、75デニール/1
2フィラメントの高配向低伸度未延伸糸(複屈折率0.
08、伸度80%、酸化チタン0.4重量%)を得た。
このポリエステル未延伸糸を芯糸(A)用として、図5
に示す原糸1―Aに用いた。
【0035】図5に示す延伸同時仮撚加工装置を用い、
原糸1―Aと2―Bとを引揃えて合糸し、これをオーバ
ーフィード率1.0%、圧空圧4kg/cm2 の条件で
空気交絡ノズル6に供し、原糸1−Aと2−Bとを互い
に交絡させた。次に630m/分の表面速度で回転して
いる三軸式摩擦仮撚装置で、速度350m/分、延伸加
工倍率1.25倍、張力(加撚側張力T1 /加撚側張力
2 )36g/48gの条件で延伸仮撚を施した。この
際、第1ヒーター8出口直後の糸温度が90℃となる様
にヒーター温度を表1記載の温度とし、熱セット時間を
0.17秒とした。次に解撚された糸は温度200℃の
ヒーター11に通して加熱セットし、各フィラメントの
熱収縮率を低下させた後にワインダーに巻取って、16
0デニール/60フィラメントの二層構造糸を得た。
【0036】なお実施例3で得られた二層構造糸の断面
セクションは図3に示すとおりであり、鞘糸の異型度は
1.8であった。
【0037】得られた加工糸を筒編機にてメリヤス編立
し、常法にしたがって染色すると、非常に極濃度で、し
かも染色斑(カスリ)も全く認められない、ソフトタッ
チな風合の編地が得られた。また太陽光線のもとでテカ
リ(ひかり程度)の状態を肉眼判定すると、全くギラギ
ラ感のない良好なものであった。
【0038】また得られた加工糸に800T/mの撚を
施し、綾組織に製織した後、得られた生機をロータリー
ワッシャーにて沸騰温度下20分間リラックス処理して
シボ立てし、次いで常法によりプリセットを施した後、
3.5%のNaOH水溶液中沸騰温度にて処理して減量
率が10%の布帛を得た。
【0039】これらのアルカリ処理後の布帛を、Dia
nix Black(三菱化成工業製)HG―FS 1
5%owfで、130℃下60分間染色した後、NaO
H1g/リットルおよびハイドロサルファイト1g/リ
ットルを含む水溶液で70℃下20分間還元洗浄して黒
染布を得た。評価結果を表1に纏めて示す。
【0040】[比較例1〜4]鞘糸用として表1記載の
固有粘度を有するポリエチレンテレフタレートを用い、
鞘糸(B)の断面形状を表1記載の如くに変更する以外
は実施例1と同様にして160デニール/60フィラメ
ントの二層構造糸を得た。なお比較例3の二層構造糸の
断面セクションを図4に示す。得られた二層構造糸を、
実施例1と同様にメリヤス編立したものは、太陽光線の
下でテカリ(ギラギラ光る)が認められた。また実施例
1と同様に800T/mの撚を施した後、製織、プリセ
ット、アルカリ減量、染色を施して黒染布を得た。結果
を表1に纏めて示す。なお、鞘糸の固有粘度(IV)が
1.2を超える場合には、得られる二層構造糸の加工毛
羽が多いものになったので、布帛の評価は行わなかっ
た。
【0041】[比較例5〜8]実施例3で用いたと同じ
未延伸高配向ポリエステルマルチフィラメント(A’)
と未延伸低配向高伸度ポリエステルマルチフィラメント
(B’)を用い、延伸仮撚加工温度および延伸仮撚加工
倍率を表1記載のとおり変更する以外は、実施例3と同
様にして160デニール/60フィラメントの二層構造
糸を得た。結果を表1に纏めて示す。なお、延伸仮撚温
度が75℃の場合には、延伸斑によるカスリ斑が発生す
るだけでなく加工毛羽も多いものになり、また延伸倍率
が1.85倍の場合には、鞘糸部と芯糸部との間にバラ
ケが生じて目的とは異なる構造の二層構造糸になるだけ
でなく加工毛羽も多いものになったので、布帛の評価は
行わなかった。
【0042】
【表1】
【0043】
【発明の効果】以上に説明した本発明のポリエステル二
層構造糸は、横断面形状が凹部を有する特定の異型度の
鞘糸が芯糸に交互撚糸状に巻き付いた構造であるため、
従来のポリエステル複合仮撚加工糸に比較すると、金属
光沢様のギラギラが解消され、深みのある光沢のみなら
ず、ソフトな風合を呈する優れたものである。また鞘糸
成分として固有粘度が高い高重合度ポリエステルを用い
る製造法によれば、延伸同時仮撚加工時の糸断面形状を
抑制することができるため、容易に上記構造の二層構造
糸が得られ、しかも該加工糸は耐摩耗性にも優れている
という、極めて工業的価値の高いものである。この様な
二層構造糸は、ユニフォーム、学生服等の比較的黒色で
シャイニー性が改善された色の深みや、耐摩耗性が要求
され分野への展開が期待できるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の二層構造糸を構成する鞘部フィラメン
トの、凹部を有する繊維横断面形状の一例を示す模式的
概略断面図である。
【図2】本発明の二層構造糸を構成する鞘部フィラメン
トの、凹部を有する繊維横断面形状のさらに他の一例を
示す模式的概略説明図である。
【図3】実施例3で得られたポリエステル二層構造糸の
模式的概略断面図である。
【図4】比較例3で得られたポリエステル二層構造糸の
模式的概略断面図である。
【図5】本発明の二層構造糸を製造するための一方法を
示す工程図である。
【符号の説明】
1 未延伸高配向ポリエステルマルチフィラメント
(A’) 2 未延伸低配向高伸度ポリエステルマルチフィラメン
ト(B’) 3 合糸スネールガイド 4 張力調整装置 5 供給ローラ 6 交絡ノズル 7 中間ローラー 8 第1ヒータ 9 仮撚具 10 デリベリーローラ 11 第2ヒータ 12 引取ローラ 13 ワインダー 14 製品チーズ

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 高配向ポリエステルマルチフィラメント
    (A)を芯部とし、その周りに低配向ポリエステルマル
    チフィラメント(B)が鞘部として交互撚糸状に巻き付
    いたポリエステル二層構造糸において、該鞘部フィラメ
    ントの横断面形状が凹部を3〜12個有し、かつ異型度
    が1.5〜3.0であることを特徴とする、シャイニー
    性の改善されたポリエステル二層構造糸。
  2. 【請求項2】 複屈折率が0.03〜0.09の未延伸
    高配向ポリエステルマルチフィラメント(A’)と、該
    (A’)よりも切断伸度が100%以上大きい未延伸低
    配向高伸度ポリエステルマルチフィラメント(B’)と
    を合糸して延伸同時仮撚加工するポリエステル二層構造
    糸の製造法において、該ポリエステルマルチフィラメン
    ト(B’)の固有粘度が0.70〜1.20で、その横
    断面形状に凹部を3〜12個有しかつ異型度が1.8〜
    3.6であり、さらに延伸仮撚加工温度が80〜130
    ℃、延伸仮撚加工倍率が1.2〜1.8倍であることを
    特徴とする、シャイニー性の改善されたポリエステル二
    層構造糸の製造法。
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