JP2986665B2 - 濃染性特殊混繊糸の製造方法 - Google Patents

濃染性特殊混繊糸の製造方法

Info

Publication number
JP2986665B2
JP2986665B2 JP5265013A JP26501393A JP2986665B2 JP 2986665 B2 JP2986665 B2 JP 2986665B2 JP 5265013 A JP5265013 A JP 5265013A JP 26501393 A JP26501393 A JP 26501393A JP 2986665 B2 JP2986665 B2 JP 2986665B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
yarn
elongation
difference
birefringence
temperature
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP5265013A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH07118973A (ja
Inventor
正明 柳原
建二 岩下
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Teijin Ltd
Original Assignee
Teijin Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Teijin Ltd filed Critical Teijin Ltd
Priority to JP5265013A priority Critical patent/JP2986665B2/ja
Publication of JPH07118973A publication Critical patent/JPH07118973A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP2986665B2 publication Critical patent/JP2986665B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Artificial Filaments (AREA)
  • Yarns And Mechanical Finishing Of Yarns Or Ropes (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、濃染性特殊混繊糸の製
造方法に関し、更に詳しくは、糸条間の分散斑に起因す
る染色斑がなく、併せて、深色効果に優れ、実質的にな
捲縮が付与されておらず、したがって、張り、腰のある
ソフトな風合いの布帛を与える濃染性特殊混繊糸の製造
方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、切断伸度差のある少なくとも2本
のポリエステル未延伸糸を引き揃えて、交絡処理した
後、引き続いて仮撚加工することにより、低伸度糸の周
りに高伸度糸が配された芯鞘二層構造の複合仮撚加工糸
が数多く提案されている。
【0003】例えば、スパンライク風合いを目指したも
のとしては、低伸度糸の周りに高伸度糸が交互撚糸状に
巻き付いた2層構造糸を製造する方法(特公昭61―1
9733号公報や特公昭60―11130号公報)が提
案されている。
【0004】しかしながら、スパンライク風合いを目的
とするこれらの方法は、低伸度糸の周りに高伸度糸を交
互撚糸状に巻き付かせるために、いずれも熱的に高度の
仮撚加工、すなわちヒーター温度として180℃程度の
高温下での熱固定が施される。したがって、これらの方
法は、フィラメント単糸の断面形状が変形した捲縮嵩高
加工糸を製造するものであって、実質的に捲縮が付与さ
れていないような加工糸は得られず、勿論、これらの方
法から得られた加工糸を布帛としても、張りおよび腰の
あるソフトな風合いの布帛を得ることはできない。
【0005】一方、シルク風合いを目指したものとして
は、切断伸度の異なる2種のポリエステル未延伸糸から
なる交絡糸に80〜150℃(ヒーター温度)の比較的
低温で且つ低仮撚数で延伸仮撚加工を施して、実質的に
捲縮がない絹調の芯鞘2層構造糸を製造する方法(特開
昭63―282326号公報)が提案されている。しか
しながら、この方法においては、実際に開示されている
ポリエステル未延伸糸の間の伸度差は100%前後のも
のであり、しかもこれらを低仮撚数で延伸仮撚加工に施
すため、繊維間空隙の少ない、すなわち嵩高性に乏しい
ものしか得ることは出来ない。
【0006】また、その他のシルク風合いを目指したも
のとしては、切断伸度の異なる2種のポリエステル未延
伸糸からなる交絡糸に、常温〜78℃のヒーター温度で
延伸仮撚加工することにより、染色性に優れた特殊混繊
糸を製造する方法(特開平2―293411号公報)が
開示されている。しかしながら、この方法においても、
実際に開示されているポリエステル未延伸糸間の伸度差
は60〜220%程度のものであり、しかも、低温で延
伸仮撚加工するため、時として延伸斑が生じ、その結
果、染色斑が発生するという問題がある。
【0007】そのため、上記のような複数のポリエステ
ル未延伸糸を引き揃えて、交絡処理を施した後、延伸仮
撚加工する混繊糸の製造方法において、染色斑がなく、
併せて、深色効果に優れ、実質的にな捲縮が付与されて
おらず、したがって、張り、腰のあるソフトな風合いの
布帛を与える濃染性特殊混繊糸は未だ実現されていない
のが現状である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の課題
は、染色斑がなく、併せて、深色効果に優れ、実質的に
な捲縮が付与されておらず、したがって、張り、腰のあ
るソフトな風合いの布帛を与える濃染性特殊混繊糸の製
造方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らが鋭意検討し
た結果、切断伸度差および複屈折差の大きいポリエステ
ル未延伸糸を使用すると、本来ならば染色斑が発生し易
いはずであるが、切断伸度差が300%を越えると、高
伸度糸が低伸度糸の外側に均一に分散されて、染色斑が
発生しないことが確認された。
【0010】かくして本発明によれば、伸度差のある少
なくとも2種のポリエステル未延伸糸を引き揃えて、交
絡処理を施した後、延伸仮撚加工する混繊糸の製造方法
において、 a. 切断伸度差が300%以上で、且つ複屈折率差が
0.06以上であるようなポリエステル未延伸糸FYA
およびFYBから構成される交絡糸に、 b. 加工倍率1. 10〜1.40倍で且つヒータ出
口直後の糸温度が70〜100℃となるよう加熱条件
下で延伸仮撚加工を施した後c.得られた混繊糸を 150℃以上で熱処理することを
特徴とする濃染性特殊混繊糸の製造方法が提供される。
【0011】本発明の第一の特徴は、ポリエステル未延
伸糸(FYA)および(FYB)間の切断伸度差と複屈
折率差とにある。ここでは、説明の便宜上、FYAを低
伸度で高い複屈折率のポリエステル未延伸糸、FYBを
高伸度で低い複屈折率のポリエステル未延伸糸とする。
【0012】すなわち、本発明においては、延伸仮撚加
工に混繊・交絡状態で供されるFYAとFYBとは、切
断伸度差が300%以上、複屈折率差が0.06以上で
あることが必要である。該切断伸度差が300%未満ま
たは複屈折率差が0.06未満では、得られる混繊糸の
繊維間空隙が小さく、自己伸長による膨らみが少なくな
る。そのため、本発明で目的とするソフトな風合いが得
られない。また、FYBが、FYAの外側に均一に分散
することができず、染色斑が発生するという問題も生ず
る。
【0013】なお、これらの上限についてはネップの発
生を防ぎ、製織性を向上させる観点から、FYAとFY
Bとの切断伸度差は500%以下、複屈折率差は0.1
0以下であることが望ましい。
【0014】本発明においては、FYAは、切断伸度が
50〜100%、複屈折率が0.07〜0.13である
ことが好ましい。FYAの切断伸度が50%未満または
複屈折率が0.13を越えると、延伸糸の領域に近づ
き、延伸仮撚時に毛羽が発生し易くなるため、延伸仮撚
加工速度を下げなければならなくなり、生産性の低下や
コストの上昇を招く。
【0015】一方、FYAの切断伸度が100%を越え
たり、複屈折率が0.07未満になると、延伸仮撚時に
サージング(糸揺れ)が起こり易くなる。
【0016】このような切断伸度差並びに複屈折差を有
するFYAとFYBとは、ポリエステルを常法により溶
融紡糸し、その際、紡糸速度、単糸繊度、紡出糸条冷却
条件などを適宜変更することにより、容易に得ることが
できる。また、これらFYAと、FYBとの複合比率に
ついては、ソフトな風合いに寄与する後者が、50%以
上を占めるようにするのが好ましい。
【0017】本発明において用いられるポリエステル未
延伸糸を構成するポリエステルとしては、例えば、テレ
フタル酸又はそのエステル形成性誘導体と式HO(CH
)p OHを有するポリアルキレングリコール(但
し、pは2〜10の整数)とから常法により製造される
ポリエステルを挙げることができる。特に、テレフタル
酸ジメチルとエチレングリコールとから製造されるポリ
エチレンテレフタレートが好適である。
【0018】更に、必要に応じて、テレフタル酸に対し
て約15モル%以下の他のグリコール類、二官能性カル
ボン酸類、オキシカルボン酸類等の第三成分を共重合し
ていてもよい。共重合し得る第三成分としては、例えば
酸成分として3,5−ジカルボキシベンゼンスルホン
酸、アジピン酸、セバシン酸、イソフタル酸、ジフェニ
ルスルホンジカルボン酸、ナフタレンジカルボン酸、オ
キシ安息香酸等を、また、グリコール成分としてトリメ
チレングリコール、プロピレングリコール、シクロヘキ
サンジメタノール、ネオペンチルグリコール等を挙げる
ことができる。
【0019】勿論、かかるポリエステルには、15モル
%以下の他のポリエステルを混合してもよいし、該ポリ
エステルは酸化チタン等の艶消剤、紫外線吸収剤等の耐
光性改善剤、酸化防止剤等の耐熱性改善剤、制電防止
剤、その他微粉末不活性物質等を含有していてもよい。
【0020】次に、本発明の上述のFYAおよびFYB
とからなる混繊・交絡糸の延伸仮撚加工について、図1
に従って、詳述する。図1は、本発明方法を実施するた
めの装置の一例を示す概略正面図であり、FYA(切断
伸度が低く、複屈折率が高いポリエステル未延伸糸)1
と、FYB(切断伸度が高く、複屈折率が低いポリエス
テル未延伸糸)2とを、合糸スネルガイド3で引き揃
え、張力調整装置4を経て、一対の供給ローラ5、5′
に送る。
【0021】この供給ローラ5、5′と一対の中間ロー
ラ7、7′との間には、空気交絡ノズル6が設けられて
おり、引き揃えられた両糸にに交絡を付与する。この交
絡処理時は、通常、米国特許第2,985,991号明
細書及び米国特許第3,110,151号明細書に記載
されているフックドロップ法によって測定した値で、交
絡度が10〜80ケ/mとなるような交絡を付与すれば
よい。
【0022】この中間ローラ7、7′と一対のデリベリ
ローラ10、10′との間には、第1ヒータ8と仮撚具
9とが設けられており、ここで、延伸仮撚加工が施され
る。この場合、中間ローラ7、7′とデリベリローラ1
0、10′との間の加工倍率は、1.10〜1.40、
好ましくは、1.15〜1.40であることが必要であ
る。
【0023】この加工倍率が小さすぎると、加撚張力不
足によるサージングが発生し易く、撚斑に起因する毛羽
や染色斑が発生し、これを布帛にした場合には、張りや
腰がなくなる。また、逆に、加工倍率が大きすぎると、
加工中に毛羽や断糸が多発するばかりでなく、布帛にし
た場合には、品位低下を招くことになる。
【0024】本発明の第2の特徴は、第1ヒータ8の出
口直後の糸温度が70〜100℃となるように加熱し
て、延伸仮撚加工を行うことにある。この温度は、通常
の延伸仮撚加工の場合の温度よりも低い。そして、この
ような比較的低い温度範囲内で延伸仮撚加工することに
より、繊維構造上、深色性に優れ、断面形状の変形がな
いことから、図2(b)に示すように、実質的に捲縮が
付与されていない、微小波形Mがわずかに存在するだけ
の、濃染性特殊混繊糸を製造することができる。そし
て、このような混繊糸を用いれば、張り、腰のある風合
いの布帛とすることができる。
【0025】このヒータ出口直後の糸温度が70℃未満
では、仮撚加工張力が高くなり、毛羽や断糸が増加し、
染色斑が生じる。一方、この糸温度が100℃を越える
と、得られた混繊糸は、通常の延伸仮撚加工と同様に、
単糸の断面が変形して実質的に捲縮が付与された、すな
わち、捲縮性能(TC)が高い仮撚加工糸特有のフカツ
キ感のある風合いとなり、本発明の目的とするソフトで
特異な風合いを呈さない。また、このような100℃を
越えた糸温度では、染色性も低下し、濃染性の混繊糸を
得ることはできない。
【0026】上記のようにヒータの出口直後の糸温度を
70〜100℃とするには、ヒータの温度を90〜13
0℃、加熱時間を0.15〜0.23秒とすればよい。
【0027】最後に、本発明の第3の特徴は、延伸仮撚
加工を出た混繊糸に150℃以上での熱処理を行うこと
にある。具体的には、延伸仮撚加工した後、デリベリロ
ーラ10、10′と一対の引取ローラ12、12′との
間に設けた第2ヒータ11で、熱処理する。この熱処理
は、150℃以上、好ましくは、150〜255℃で行
い、得られた混繊糸の沸水収縮率が5〜15%となるよ
うに熱処理することが望ましい。
【0028】沸水収縮率が15%を越えると、低伸度糸
が混繊糸表面に浮き上がり、白っぽい染色斑を呈し、目
的とする濃染性でソフトな風合いが得られ難い。他方、
沸水収縮率が5%未満の場合は、高伸度糸が表面に出す
ぎて、ガサツキ感が強くなり、目的とするソフトな風合
いが得られ難くなる。
【0029】更に、この第2ヒータ11による熱処理
は、、高伸度糸が低伸度糸にセットされて、混繊糸の製
織性(解舒性)、取扱い性が改善されるという効果もあ
る。
【0030】延伸仮撚加工後の熱処理は、必ずしも延伸
仮撚加工直後に行う必要はないが、経時変化による収縮
率変動を考慮すると、延伸仮撚加工直後(解撚直後)に
行うのが望ましい。
【0031】このように熱処理された糸条を、引取ロー
ラ12、12′で引き取り、ワインダー13に、チーズ
14として巻き取る。
【0032】
【作用】本発明は、従来採用されなかったような切断伸
度差および複屈折率差の大きいFYAおよびFYBを引
き揃えて交絡処理を施し、あたかも単糸状の交絡糸とし
た後、これを加工倍率1.10〜1.40の範囲で、ヒ
ータ出口直後の糸温度が70〜100℃となるような比
較的低温で加熱して、延伸仮撚加工を施すものである。
そのため、FYA1は延伸し難く、FYB2は延伸し易
いことから、FYA1の外側に、FYB2が分散するよ
うに巻き付けられ、均一に引き伸ばされる。しかも延伸
仮撚加工が捲縮が実質的に付与されないような比較的低
い温度のため、延伸仮撚加工により結晶化が進行せず、
極めて深色性に優れた濃染性の混繊糸が得られる。
【0033】換言すれば、、通常の延伸仮撚加工では、
ヒータ温度160〜240℃といった比較的高い温度が
用いられるので、加工後の単糸の断面形状が変形し、図
2(a)に示すような捲縮が付与され、スパンライクな
風合いあるいはシャリ感を与えるものとなる。
【0034】これに対し、本発明の方法では、通常の延
伸仮撚加工の場合よりも低い温度範囲内で延伸仮撚加工
するものであるから、仮撚が熱セットされずに解撚さ
れ、断面形状の変形がなく、図2(b)に示すように、
実質的に捲縮が付与されておらず、微小波形Mがわずか
に存在するだけであり、前記伸度差、複屈折率差とあい
まって、張り、腰のあるソフトな風合いの布帛とするこ
とのできる濃染性特殊混繊糸を製造することができる。
【0035】また、本発明においては、切断伸度差およ
び複屈折差の大きいポリエステル未延伸糸を使用するの
で、本来ならば染色斑が発生し易いはずである。しかし
ながら、本発明の最適化された原糸および加工条件の組
み合わせにより、FYBが均一に延伸され、しかも低伸
度糸の外側に均一に分散されるため、染色斑が発生しな
いものと考えられる。逆な言い方をすれば、本発明の方
法においては、ポリエステル未延伸糸中の切断伸度差お
よび複屈折率差が本発明の範囲から逸脱して小さくなる
と、かえって染色斑が発生するようになる。
【0036】このような延伸仮撚加工を採用すること
で、本発明においては、延伸し難いFYA1の外側に、
延伸され易いFYB2が分散するように巻き付けられ、
均一に引き伸ばされる。
【0037】ここで、肝要なことは、FYAとFYBと
を交絡状態で延伸仮撚加工に次いで熱処理することにあ
る。もし、FYAとFYBとを別個に加工し、その後交
絡処理に付したのでは、所望の混繊糸は得られない。こ
の例としては、特開昭64−14331号公報が挙げら
れる。具体的には、該公報の方法は、延伸仮撚と冷延伸
とをFYAおよびFYBにそれぞれ別々に行うことで、
加工後はFYAに捲縮を、FYBにシックアンドシンヤ
ーンのような太さ斑を付与してから両糸を初めて交絡処
理に付し、シャリ感の強調された混繊糸を得るものであ
る。
【0038】
【実施例】以下、本発明を、実施例により更に詳細に説
明する。なお、沸水収縮率(BWS)及び深色性は、下
記のようにして測定した。
【0039】(1)沸水収縮率(BWS) 約3000デニールの綛を作り、これに0.1g/de
の荷重をかけて、原長L0(cm)を読みとった。前記
綛の荷重を2mg/deに変えて、これを沸騰水中で3
0分間処理し、次いで、室温で乾燥させた後、荷重を
0.1g/deに変えて、その長さL1(cm)を読み
取り、下記の式で沸水収縮率(BWS、単位%)を算出
した。 沸水収縮率={(L0 −L1 )/L0 }×100
【0040】(2)深色性 深色性を示す尺度としては、深色度(K/S)を用い
た。この値は、サンプル布帛の分光反射率(R)を島津
RC―330型自記分光光度計にて測定し、次に示すク
ベルカ―ムンク(Kubelka―Munk)の式から
求めた。この値が大きいほど、深色効果が大きいことを
示す。 深色度(K/S)=(1−R)2 /2R なお、Kは吸収係数、Sは散乱係数を示す。
【0041】[実施例1〜3及び比較例1〜3] 紡糸速度1300m/分で溶融紡糸した、切断伸度38
0%、複屈折率0.013のFYB(85de/24f
il)と、紡糸速度5000m/分で溶融紡糸した、切
断伸度60%、複屈折率0.086のFYA(75de
/12fil)とを引き揃え、図1に示す装置で延伸仮
撚加工した。
【0042】まず、引き揃えた両未延伸糸1、2を、空
気交絡ノズル6に供給し、オーバーフィード率1.0
%、圧空圧4kg/cm2の条件で40ケ/mの交絡を
付与し、次いで、630m/分の表面速度でディスクが
回転している3軸式摩擦仮撚装置を用いて、延伸仮撚速
度350m/分、加工倍率1.25倍、張力K値(T2
/T1 )23/35=0.66で、延伸仮撚加工し
た。
【0043】この際、第1ヒータ8の温度及びその出口
直後の糸温度を表1に示すように変更した。なお、この
ときの加熱時間は、0.17秒であった。
【0044】その後、引き続いて、200℃の第2ヒー
タ11により、オーバーフィード率0%で熱処理し、ワ
インダー13で巻き取り、130de/36filの混
繊糸を得た。得られた混繊糸の外観、特性は、表1に示
す通りであった。
【0045】得られた混繊糸に、800T/mの撚りを
施し、綾組織に製織した。得られた生機を、ロータリー
ワッシャーにて沸騰温度で20分間リラックス処理し
て、シボ立てを行い、その後、常法によりプリセットし
た。次いで、3.5%のNaOH水溶液で、沸騰温度で
の処理を行い、減量率が10%の布帛を得た。
【0046】このアルカリ減量処理布帛を、Diani
x Black HG―FS(商品名、三菱化成工業
製)15%owfで、130℃にて60分間染色した
後、NaOH1g/l及びハイドロサルファイト1g/
lを含む水溶液で、70℃にて20分間還元処理して、
黒染布を得た。得られた染色布帛の染色状態及び風合い
は、表1に示す通りであった。
【0047】
【表1】
【0048】表1の結果からも明らかなように、ヒータ
出口直後の糸温度が70℃未満(ヒータ温度が90℃未
満)の場合(比較例1、2)は、毛羽や染色斑が生じ、
風合いも劣ったものとなる。他方、ヒータ出口直後の糸
温度が100℃を越える(ヒータ温度が130℃を越え
る)場合(比較例1、2)は、単糸断面が変形し、捲縮
が付与されて、フカツキ感のある風合いとなり、深色性
が劣り、毛羽、染色斑も発生する。
【0049】これに対し、ヒータ出口直後の糸温度が7
0〜100℃(ヒータ温度が90〜130℃)の本発明
の場合(実施例1〜3)は、毛羽、染色斑がなく、深色
性に優れており、しかも断面形状の変形がなく、実質的
に捲縮が付与されておらず、張り、腰のあるソフトな風
合いの布帛とすることができる。
【0050】[実施例4〜6及び比較例4〜6] ポリエステル未延伸糸の切断伸度、複屈折率、加工倍率
を表2に示すように変更した以外は、実施例2と同様に
して、延伸仮撚加工及び評価を行った。なお、ポリエス
テル未延伸糸の切断伸度、複屈折率は、紡糸速度を変え
ることにより変更した。結果は、表2に示す通りであっ
た。
【0051】
【表2】
【0052】表2の結果からも明らかなように、切断伸
度差が300%未満、複屈折率差が0.06未満の場合
(比較例4)は、ソフトな風合いが得られず、毛羽、染
色斑も発生するが、切断伸度差が300%以上、複屈折
率差が0.06以上の本発明の場合(実施例4)は、張
り、腰のあるソフトな風合いが得られ、毛羽、染色斑も
発生しない。
【0053】また、加工倍率が1.10未満の場合(比
較例5)は、加撚張力不足によるサージングが発生し易
く、毛羽、染色斑が生じ、布帛にした場合、張り、腰の
ない風合いの劣ったものとなる。一方、加工倍率が1.
40倍を越える場合(比較例6)は、加工中に、毛羽、
断糸が多発するばかりでなく、布帛にした場合、ソフト
な風合いが得られない。
【0054】これに対して、加工倍率が1.10〜1.
40の範囲内にある本発明の場合(実施例5、6)は、
毛羽、染色斑がなく、張り、腰のあるソフトな風合いの
布帛が得られる。
【0055】[実施例7及び比較例7] 第2ヒータ温度を表3に示すように変更した以外は、実
施例2と同様にして、延伸仮撚加工及び評価を行った。
結果は、表3に示す通りであった。
【0056】
【表3】
【0057】延伸仮撚加工後の第2ヒータによる熱処理
温度が150℃未満である場合(比較例7)は、沸水収
縮率が15%を越え、白っぽい染色斑を呈し、目的とす
る濃染性でソフトな風合いが得られ難いが、熱処理温度
が150℃を越える本発明の場合(実施例7)は、染色
斑もなく、濃染性でソフトな風合いが得られる。
【0058】
【発明の効果】本発明方法によれば、糸条間の分散斑に
起因する染色斑が解消され、併せて、深色性に優れ、実
質的な捲縮が付与されておらず、したがって、張り、腰
のあるソフトな風合いの布帛を与える濃染性特殊混繊糸
を製造することができる。そのため、本発明の方法によ
り製造した混繊糸を用いて作製した布帛は、極濃色に染
色することができ、張り、腰があり、しかも滑らかで柔
軟性があるという、従来のポリエステル繊維布帛とは全
く異なる特異な風合いを有しており、ブラックフォーマ
ル、インナーウェアー、婦人用パーティードレスなどの
高級衣料分野に使用するのに適している。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明方法を実施するための装置の一例を示す
概略正面図である。
【図2】従来の方法で製造した加工糸(a)と本発明方
法で製造した混繊糸(b)の捲縮状態の違いを示す拡大
模式図である。
【符号の説明】
1 切断伸度が低く、複屈折率が高いポリエステル未
延伸糸 2 切断伸度が高く、複屈折率が低いポリエステル未
延伸糸 3 合糸スネルガイド 4 張力調整装置 5 供給ローラ 5´ 供給ローラ 6 空気交絡ノズル 7 中間ローラ 7´ 中間ローラ 8 第1ヒータ 9 仮撚具 10 デリベリローラ 10´デリベリローラ 11 第2ヒータ 12 引取ローラ 12´引取ローラ 13 ワインダー 14 チーズ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI D02G 3/04 D02G 3/04 (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) D02G D02J D01F

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 伸度差のある少なくとも2種のポリエス
    テル未延伸糸を引き揃えて、交絡処理を施した後、延伸
    仮撚加工する混繊糸の製造方法において、 a. 切断伸度差が300%以上で、且つ複屈折率差が
    0.06以上であるようなポリエステル未延伸糸FYA
    およびFYBから構成される交絡糸に、 b. 加工倍率1. 10〜1.40倍で且つヒータ出
    口直後の糸温度が70〜100℃となるよう加熱条件
    下で延伸仮撚加工を施した後c.得られた混繊糸を 150℃以上で熱処理することを
    特徴とする濃染性特殊混繊糸の製造方法。
  2. 【請求項2】 延伸仮撚加工する際の加熱条件が、ヒー
    タ温度90〜130℃且つ加熱時間0.15〜0.
    23秒である請求項1記載の濃染性特殊混繊糸の製造方
    法。
  3. 【請求項3】 FYAが、切断伸度50〜100%で複
    屈折率0.07〜0.13のものである請求項1又は2
    いずれか1項に記載の濃染性特殊混繊糸の製造方法。
JP5265013A 1993-10-22 1993-10-22 濃染性特殊混繊糸の製造方法 Expired - Fee Related JP2986665B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP5265013A JP2986665B2 (ja) 1993-10-22 1993-10-22 濃染性特殊混繊糸の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP5265013A JP2986665B2 (ja) 1993-10-22 1993-10-22 濃染性特殊混繊糸の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH07118973A JPH07118973A (ja) 1995-05-09
JP2986665B2 true JP2986665B2 (ja) 1999-12-06

Family

ID=17411372

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP5265013A Expired - Fee Related JP2986665B2 (ja) 1993-10-22 1993-10-22 濃染性特殊混繊糸の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2986665B2 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100546463B1 (ko) * 1999-04-29 2006-01-25 주식회사 코오롱 균염성 폴리에스테르 혼섬사의 제조 방법
CN115012089A (zh) * 2022-06-06 2022-09-06 江苏嘉通能源有限公司 一种轻薄型夏装用拉伸变形丝的制备方法

Also Published As

Publication number Publication date
JPH07118973A (ja) 1995-05-09

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JPS6131216B2 (ja)
JPH07157931A (ja) 部分融着複合仮撚加工糸およびその製造方法
JP2986665B2 (ja) 濃染性特殊混繊糸の製造方法
JP3176813B2 (ja) ポリエステルシック・アンド・シンヤーンおよび該ヤーンからなるカスリ調織編物
JPH0680207B2 (ja) ポリエステル太細糸及びその製造方法
JPH07324237A (ja) ポリエステル複合加工糸
JP3329406B2 (ja) ポリエステルフィラメント混繊糸及びその製造方法
JP3502715B2 (ja) 複合嵩高加工糸の製造方法
JP2771248B2 (ja) 鮮明性を呈する超ソフト特殊混繊糸の製造方法
JPH1143838A (ja) シャイニー性の改善されたポリエステル二層構造糸およびその製造法
JP2833059B2 (ja) ポリエステル系特殊捲縮加工糸
JP2971190B2 (ja) ポリエステル太細糸及びポリエステル仮撚捲縮糸
JP2950678B2 (ja) 仮撚複合糸及びその製造方法
JP4581315B2 (ja) 発色性の良好なポリエステル太細糸およびその製造方法
JP3538065B2 (ja) 複合仮撚加工糸の製造方法
JPS595686B2 (ja) 絹様ポリエステル加工糸及びその製造方法
JPH08302533A (ja) 濃染性を有するポリエステル系複合糸
JP2960634B2 (ja) 清涼感に優れたポリエステル二層構造糸
JP3514338B2 (ja) 低捲縮性加工糸の製造方法
JP2855695B2 (ja) 特殊捲縮加工糸
JP2004143630A (ja) ストレッチ性複合仮撚加工糸及びその製造方法
JP2908597B2 (ja) ポリエステルスパンライク糸の製造方法
JP2006002309A (ja) 極細ポリエステル仮撚捲縮加工糸およびその製造方法および織編物
JP2001146651A (ja) ポリエステル複合仮撚糸およびその製造方法
JP3589511B2 (ja) ポリエステル系低捲縮加工糸

Legal Events

Date Code Title Description
FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20081001

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20091001

Year of fee payment: 10

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20091001

Year of fee payment: 10

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101001

Year of fee payment: 11

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111001

Year of fee payment: 12

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees