JP2964694B2 - Di缶用めっき鋼板 - Google Patents

Di缶用めっき鋼板

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JP2964694B2 JP11771591A JP11771591A JP2964694B2 JP 2964694 B2 JP2964694 B2 JP 2964694B2 JP 11771591 A JP11771591 A JP 11771591A JP 11771591 A JP11771591 A JP 11771591A JP 2964694 B2 JP2964694 B2 JP 2964694B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、円形状に打ち抜かれ
た鋼板を絞り加工によってカップ状に加工し、この側壁
をしごき加工により薄く成形してなる2ピ−ス缶(Draw
n and IronedCan)の製造に用いられるDI缶用めっき
鋼板に関する。
【0002】
【従来の技術】2ピ−ス缶(以下、DI缶という)用素
材としては、アルミニウム板と、ぶりき板(錫めっき鋼
板)とが使用されている。DI缶加工の第一段階では、
先ず鋼板を円形状に打ち抜き、これを絞り加工によって
カップ状に成形する(Drawn )。さらに、一次カップ成
形品をもう一段小径のカップに成形する(Redrawn )。
次いで、この二次カップ成形品をしごきダイスに通し、
胴部側壁をダイスとポンチとの間でしごき、減肉加工し
ながら胴長を増大させ(Ironing)、所定長の缶とする。
【0003】このようにDI成形によって製造される缶
は、缶底よりも缶壁(胴部)のほうが板厚が薄いことか
ら、缶底と同じ板厚で缶壁を製造した場合と比べて素材
使用量を少なくすることができるという利点がある。
【0004】しかしながら、従来のDI缶は、缶壁部の
板厚が薄く、胴部の強さが弱いことから、真空巻き締め
を行なう減圧缶には採用することができず、ビ−ルや炭
酸飲料などの陽圧を発生する飲料用の缶に主として採用
されている。
【0005】このように、DI缶は素材使用量が少ない
ことからコスト的に有利であり、需要が増大する傾向に
あり、将来的にも用途の拡大が期待されている。アルミ
ニウム材とぶりき材とを比較した場合に、コスト的に有
利であることからぶりき材のほうが注目されている。
【0006】しかしながら、DI缶の製造工程において
は上述のように過酷な加工がなされることから、素材に
は優れた成形性が要求される。また、近時、DI成形加
工は生産性向上のために、さらに高速化が求められてお
り、従来よりもさらに成形性に優れた素材が求められて
いる。この点、ぶりき材は、Snめっき層が耐食性の確
保と共に、しごき加工時の潤滑剤の役目を果たし、DI
缶用鋼板としては好適な材料である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
ぶりき材は、ある程度までの速度のDI成形加工は可能
なものの、さらに高速の製缶を行なうと成形加工時の発
熱によりSnめっき層が溶け、ダイスに缶が焼き付くと
いう不都合がある。また、Snめっき層の部分的な溶融
によって缶壁部の光沢にムラができ、美麗な外観が損な
われるという欠点がある。
【0008】特開平1−132778号公報には、Sn
の融点(約232℃)よりも高融点のZn,Ti,Ni
等の金属をめっきした後に、さらにAlをめっきしたD
I缶が記載されている。このように、高融点金属のめっ
き層を形成することにより、焼き付けを起こすことなく
製缶スピ−ドを上昇させることができる。
【0009】しかしながら、Zn,Ti,Ni等の融点
の比較的高い金属は、Snに比べて硬い材料であること
から、成形加工に要する仕事エネルギ−がぶりき材より
も大幅に増大し、エネルギコスト及び設備コストの観点
から不経済である。
【0010】特開平1−111853号公報には、Sn
めっき後に、溶融AlめっきしたDI缶が記載されてい
る。これによれば、AlはSnにかなり近い柔らかさを
有しているので、加工性の点では成形エネルギ−を低い
レベルでおさえることができる。
【0011】しかしながら、このようなDI缶の被膜構
造においては、製缶速度を上昇させると、缶体の温度が
Snの融点を越えてしまい、下層に存在するSn層と鉄
素地との合金化反応が進み、FeSn合金層生成による
光沢ムラが生じる。この結果、製缶速度をあるスピ−ド
以上に上昇させることができず、生産性の向上を図るこ
とができないでいた。
【0012】一方、缶の内面側では製缶後の耐食性が重
視される。従来のぶりき材を用いてDI缶を製造する
と、製缶後に鉄素地が部分的に露出し、鉄イオンが溶出
しやすい状態となる。このため、味が変わりやすい飲料
用缶では、鉄イオンが溶出しにくいように入念な補修塗
装が必要になる。
【0013】特開平1−111853号公報には、缶内
面の耐食性を向上させることを目的として、Sn層の上
にAlめっき層を有するめっき鋼板が記載されている。
また、特開昭63−282291号公報には、同様の目
的で、Alのみを電気めっきしためっき鋼板が記載され
ている。
【0014】しかしながら、これらのAlめっき鋼板で
は、純Al皮膜が内面に露出しているので、酸性飲料や
食塩含有内容物に対する耐食性が不十分であり、腐食を
受けやすい。また、これらの化成処理にぶりき材用の化
成処理設備を転用した場合に、もともと錫めっき鋼板用
に開発された処理液であることから、Alに対して十分
な化成処理性を得ることができない。このため、AlD
I缶用の化成処理液か、あるいは当該鋼板専用の化成処
理液に処理ごとに逐一入れ替えなければならないという
不都合がある。化成処理液の入れ替え作業には長時間を
要するので、設備稼働率の低下を招き、生産性が低下す
る。
【0015】この発明は、上記課題を解決するためにな
されたものであり、製造の観点からは、高速製缶が可能
で、ぶりき材に要する程度の小さな加工エネルギ−で成
形することができるともに、さらに、化成処理液の変更
作業を不要にすることができるDI缶用めっき鋼板を提
供することを目的とする。また、用途の観点からは、酸
性飲料および食塩含有内容物に対して十分な耐食性を有
するDI缶用めっき鋼板を提供することを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】この発明に係るDI缶用
めっき鋼板は、缶用鋼板の缶外面となるべき面に形成さ
れた膜厚0.05〜 5μm のAlSn合金又はAlからなる
外面皮膜と、この外面皮膜の上にさらに形成された膜厚
0.04〜 2μm のSn層と、缶用鋼板の缶内面となるべき
面に形成された膜厚0.1 〜 5μm のAlSn合金又はA
lからなる内面皮膜と、を有することを特徴とする。
【0017】この場合に、加工時の潤滑性向上を図るた
め、及び、FeSn合金化反応を回避するために、Al
Sn合金からなる外面皮膜中のSn含有率を50重量%
以下とすることが望ましい。
【0018】また、耐食性向上を図るため、及び、化成
処理性のバランスをとるために、AlSn合金からなる
内面皮膜中のAl含有率を10〜90重量%とすること
が望ましい。
【0019】
【作用】この発明に係るDI缶用めっき鋼板では、Al
Sn合金又はAlからなる外面皮膜をSn層と鋼板素地
との間に形成しているので、高速製缶による摩擦熱で缶
体が過熱されたとしても、外面皮膜の存在によりSn層
のFe素地側への拡散が有効に阻止され、缶外面でSn
とFeとの合金化が抑制される。
【0020】AlSn系合金は共晶反応型であるために
固体状態では固溶し合わない。特に、真空蒸着法や溶融
法により作製したAlSn合金めっき材の場合、Al相
とAlSn共晶相とが存在する。AlSn共晶相からは
DI成形時に相内のSnが摩擦熱によって溶け出し、こ
れが潤滑作用を生み出す効果を有する。
【0021】Sn及びFeの合金化抑制効果は、外面被
膜中のSn含有量を50重量%以下にしたときに顕著に
発揮される。外面被膜中のSn含有量を増大させると、
成形加工時にAlSn合金のなかからSnが溶け出し、
溶出したSnの潤滑作用付与効果により成形エネルギ−
は軽減される。しかし、Sn含有量が50重量%を越え
ると、溶出SnがFeと反応して合金化するようにな
り、その結果、光沢ムラを生じる。このため、外面被膜
中のSn含有量は50重量%以下であることが望まし
い。
【0022】なお、外面被膜中にSnを含ませず、外面
被膜をAlのみで形成したときがFeSn合金化抑制効
果が最大となり、光沢ムラ発生防止の観点からは最も好
ましい。
【0023】また、外面被膜の厚さが0.05μm を下回る
と、FeSn合金化を十分に抑制することができなくな
るため、外面被膜の厚さは少なくとも0.05μm 以上であ
ることが必要である。一方、厚さが 5μm を上回る外面
被膜は、技術的な観点から不必要なものであり、製造上
の観点から見ても不経済である。
【0024】さらに、Al含有の外面被膜のみでは成形
エネルギ−が高くなるので、この上にSn層が必要にな
る。上層となるSn層の厚さは、潤滑性の向上を図り、
成形エネルギ−を軽減させる観点から0.04μm 以上であ
ることが必要である。Sn層が厚くなるに従って製缶時
の潤滑性は向上するが、厚さが 2μm を上回ると潤滑性
改善効果が飽和する。このため、厚さが 2μm を上回る
Sn層は、技術的な観点から不必要なものであり、製造
上の観点から見ても不経済である。
【0025】一方、缶内面側には耐食性向上を目的とし
てAlSn合金又はAlからなる内面皮膜が形成されて
いる。この内面皮膜を単独で形成して内面に露出させて
もよいが、さらに、この上層としてSn層をめっき形成
し、缶内面を覆うことが望ましい。この場合に、Sn層
と内面皮膜との合計厚さは、被覆率の観点から0.1 μm
以上とすることが望ましい。この合計厚さが0.1 μm を
下回ると、被覆率が急速に低下して鉄素地の露出量が増
大する。一方、合計厚さが 5μm を越えるものは、技術
的な観点から不必要なものであり、製造上の観点から見
ても不経済である。
【0026】AlSn合金からなる内面皮膜中のAl含
有率は、酸性飲料や食塩含有内容物に対する十分な耐食
性を確保するために、少なくとも10重量%以上が必要
である。しかしながら、Al含有率が90重量%を越え
ると、DI加工後の化成処理性が劣化するので、内面皮
膜は90重量%以下のAl含有率とすることが好まし
い。これは、上層のSn層が無い場合も同じである。こ
の理由は、AlSn合金の内面皮膜上にSn層を形成し
た場合であっても、DI加工によって上層のSn層に亀
裂が生じ、部分的に下層のAlSn合金層が露出するこ
とがあるからである。
【0027】
【実施例】以下、添付の図面及び表を参照して本発明の
実施例について説明する。
【0028】図1に示すように、本発明の実施例に係る
DI缶用めっき鋼板2の基本構成は、鋼板からなる基材
3の一方の面にAlSn合金からなる外面皮膜4が形成
され、さらにその上にSn層5がめっき形成されてい
る。また、基材3の他方の面にはAlSn合金からなる
内面皮膜6が形成され、さらにその上にSn層7がめっ
き形成されている。さらに、DI缶用めっき鋼板2の内
外最表面には化成処理膜8がそれぞれ形成されている。
【0029】次に、表1を参照しながら、本発明の実施
例1及び2について説明する。実施例1及び2は、それ
ぞれ製造方法を変更し、各種めっき皮膜を有するサンプ
ルを作製したものである。 実施例1(製造法タイプA;真空蒸着法)
【0030】水冷銅るつぼを2個備えた真空蒸着装置に
より板厚0.29mmの低炭素アルミキルド鋼板の片面(缶外
面に相当する面)にAlSn共蒸着めっき又はAl蒸着
めっきし、めっき組成及びめっき厚さの異なる5種類の
サンプル1〜5を作製した。蒸着めっき層のそれぞれ
は、サンプル1を厚さ2.0 μm のAl層、サンプル2を
厚さ4.8 μm のAlSn合金層(Sn10重量%)、サン
プル3を厚さ1.8 μm のAlSn合金層(Sn21重量
%)、サンプル4を厚さ3.2 μm のAlSn合金層(S
n33重量%)、サンプル5を厚さ0.6 μm のAlSn合
金層(Sn45重量%)とした。その後、各サンプルの蒸
着面の上にSn層をめっき形成した。Snめっき層の各
厚さは、サンプル1を1.0 μm 、サンプル2を0.1 μm
、サンプル3を1.0 μm 、サンプル4を0.3 μm 、サ
ンプル5を1.8 μm とした。
【0031】一方、各サンプルのもう一方の面(缶内面
に相当する面)にも共蒸着によりAlSn合金皮膜をめ
っきした。蒸着めっき層のそれぞれは、サンプル1を厚
さ2.0 μm のAlSn合金層(Al15重量%)、サンプ
ル2を厚さ4.0 μm のAlSn合金層(Al30重量
%)、サンプル3を厚さ1.8 μm のAlSn合金層(A
l51重量%)、サンプル4を厚さ3.2 μm のAlSn合
金層(Al73重量%)、サンプル5を厚さ0.2 μm のA
lSn合金層(Al85重量%)とした。その後、各サン
プルの蒸着面の上にSn層をめっき形成した。Snめっ
き層の各厚さは、サンプル1を1.0 μm 、サンプル2を
0.5 μm 、サンプル3を1.0 μm 、サンプル4には形成
せず、サンプル5を1.8 μm とした。
【0032】めっき処理後、各サンプルを重クロム酸ナ
トリウム溶液(20g/l)中に約1秒間浸漬し、CrOX
被膜を約1mg/m2 付与した。化成処理後、所定サイズの
試験片を打ち抜き、後述するDI缶成形性評価試験を実
施した。 実施例2(製造法タイプB;溶融めっき法)
【0033】板厚0.29mmの低炭素アルミキルド鋼板を脱
脂、酸洗した後に、Al及びSnを混合溶解した溶融金
属浴中に浸漬し、種々の組成及び厚さのAlSn合金め
っき層を鋼板の片面(缶外面に相当する面)に形成し
た。溶融めっき層のそれぞれは、サンプル6を厚さ2.7
μm のAlSn合金層(Sn 6重量%)、サンプル7を
厚さ1.4 μm のAlSn合金層(Sn17重量%)、サン
プル8を厚さ3.2 μm のAlSn合金層(Sn27重量
%)、サンプル9を厚さ4.0 μm のAlSn合金層(S
n33重量%)、サンプル10を厚さ1.2μm のAlSn
合金層(Sn42重量%)とした。その後、各サンプルの
溶融めっき面の上に通常の錫めっき条件(フェロスタン
浴)によりSn層をめっき形成した。Snめっき層の各
厚さは、サンプル6を1.4 μm 、サンプル7を1.0 μm
、サンプル8を0.2 μm、サンプル9を0.5 μm 、サン
プル10を1.5 μmとした。
【0034】一方、各サンプルの反対面(缶内面に相当
する面)にも溶融めっき法によりAlSn合金皮膜をめ
っきした。めっき層のそれぞれは、サンプル6を厚さ2.
0 μm のAlSn合金層(Al15重量%)、サンプル7
を厚さ4.3 μm のAlSn合金層(Al30重量%)、サ
ンプル8を厚さ1.0 μm のAlSn合金層(Al51重量
%)、サンプル9を厚さ3.2 μm のAlSn合金層(A
l73重量%)、サンプル10を厚さ0.2 μm のAlSn
合金層(Al85重量%)とした。その後、各サンプルの
溶融めっき面の上にSn層をめっき形成した。Snめっ
き層の各厚さは、サンプル6を1.0 μm 、サンプル7を
0.3 μm 、サンプル8を1.0 μm 、サンプル9を0.6 μ
m 、サンプル10を1.5 μmとした。めっき処理後、各
サンプルをリン酸塩溶液(50g/l,50℃)中に5A/d
2 で約1秒間浸漬し、リン酸塩皮膜を約1.5 mg/m2
与した。化成処理後、所定サイズの試験片を打ち抜き、
後述するDI缶成形性評価試験を実施した。
【0035】次に、表2を参照しながら、比較例1乃至
5について説明する。比較例1乃至5は、それぞれ製造
方法を変更し、各種めっき皮膜を有するサンプルを作製
したものである。 比較例1(製造法タイプA;真空蒸着法)
【0036】上記実施例1と同様の方法で、缶外面側の
合金皮膜の厚さを薄くしたものと、缶内面側の合金被膜
のAl含有量を10〜90重量%から外れたものと、種々組
成及び厚さの異なる4種類のサンプル11〜14を作製
した。蒸着めっき層のそれぞれは、サンプル11を厚さ
2.5 μm のAlSn合金層(Sn65重量%)、サンプル
12を厚さ4.5 μmのAlSn合金層(Sn84重量
%)、サンプル13を厚さ0.03μm のAlSn合金層
(Sn25重量%)、サンプル14を厚さ2.0 μm のAl
Sn合金層(Sn60重量%)とした。その後、各サンプ
ルの蒸着面の上に通常の錫めっき条件(フェロスタン
浴)によりSn層をめっき形成した。Snめっき層の各
厚さは、サンプル11を1.3 μm 、サンプル12を0.9
μm 、サンプル13を1.5 μm 、サンプル14を1.1 μ
m とした。めっき処理後、各サンプルを重クロム酸ナト
リウム溶液(20g/l)中に約1秒間浸漬し、CrOX
膜を約1mg/m2 付与した。化成処理後、所定サイズの試
験片を打ち抜き、後述するDI缶成形性評価試験を実施
した。 比較例2(製造法タイプC;電気めっき法)
【0037】板厚0.29mmの低炭素アルミキルド鋼板を脱
脂、酸洗した後に、通常の錫めっき条件(フェロスタン
浴)で両面にSnめっきし、サンプル15,16を作製
した。Snめっき層の各厚さは、サンプル15を0.4 μ
m 、サンプル16を1.0 μmとした。Snめっき処理
後、重クロム酸ナトリウム溶液で上述と同様の化成処理
し、所定サイズの試験片を打ち抜き、後述するDI缶成
形性評価試験を実施した。 比較例3(製造法タイプC;電気めっき法)
【0038】上記比較例2と実質的に同じ条件でサンプ
ル17の両面にSnめっきし、サンプル17を作製し
た。Snめっき層の厚さを0.8 μm とした。めっき処理
後、各サンプルをリン酸塩溶液(50g/l,50℃)中に5
A/dm2 で約1秒間浸漬し、リン酸塩皮膜を約1.5 mg
/m2 付与した。化成処理後、所定サイズの試験片を打ち
抜き、後述するDI缶成形性評価試験を実施した。 比較例4(製造法タイプCからタイプB)
【0039】上記比較例2と同じ条件でサンプル18,
19の両面を電気錫めっき処理した後に、Alを溶解し
た溶融金属浴中にこれらを浸漬し、Alめっきした。S
nめっき層の各厚さは、サンプル18を0.4 μm 、サン
プル19を0.8 μm とした。また、Alめっき層の各厚
さは、サンプル18を1.5 μm 、サンプル19を3.0μm
とした。Alめっき処理後、重クロム酸ナトリウム溶
液で上述と同様の化成処理し、所定サイズの試験片を打
ち抜き、後述するDI缶成形性評価試験を実施した。 比較例5(製造法タイプA)
【0040】上記実施例1と同じ条件でサンプル20の
両面にNiを蒸着めっきした後に、Alを溶解した溶融
金属浴中にこれを浸漬し、Alめっきした。Ni蒸着め
っき層の厚さは1.0 μm 、Alめっき層の厚さは1.5μm
とした。Alめっき処理後、リン酸塩溶液で上述と同
様の化成処理し、所定サイズの試験片を打ち抜き、下記
のDI缶成形性評価試験を実施した。次に、DI缶成形
性評価試験について説明する。
【0041】各サンプル鋼板から直径123mm の円板を打
ち抜き、これらを市販のカッピングプレスで内径72mm、
高さ36mmのカップにそれぞれ成形した。次いで、各成形
カップをDIマシンにそれぞれ装入し、40℃の冷媒を循
環させつつ、ポンチを最大毎分50mまでの速度、ストロ
−ク長さ600mm でリドロ−加工した。さらに、これらに
対して三段階のしごき加工を施し、DI缶とした。この
場合に、サンプル1〜13,15,16,18〜20の
成形速度はそれぞれ毎分45m、サンプル14,17の成
形速度はそれぞれ毎分30mであった。DI缶のそれぞれ
は、内径52mm、高さ130mm で、缶胴部の厚さは約0.12mm
まで薄くなった。
【0042】DI成形性の評価は、成形荷重及び変形量
からDI成形に必要な成形エネルギ−をそれぞれ算出
し、その値の大小に基づき行なった。表1に示すよう
に、実施例のサンプル1〜10のいずれも、ぶりき材と
同等か又はそれを下回る成形エネルギ−値を示す結果を
得た。このように、本発明のめっき鋼板では低い成形エ
ネルギ−で高速製缶することができる。
【0043】また、目視観察により各サンプル缶胴部の
外観試験を実施したところ、比較例のサンプル11〜1
3,15,16,18,19には光沢ムラがそれぞれ生
じていたが、実施例のサンプル1〜10のいずれにも光
沢ムラは皆無であった。
【0044】比較例1の結果から明らかなように、Al
Sn合金被膜中のSn含有量が50重量%を越える場合
は、成形速度を高速(毎分45m)から低速(毎分30m)
に落とさないと光沢ムラが生じることがわかる。
【0045】また、比較例2及び3の結果からも同様の
ことが言え、サンプル15,16の従来のぶりき材で
は、サンプル17のように成形速度を低速にしない限
り、光沢ムラを生じることなく高速製缶することはでき
ない。さらに、比較例4の結果からも同様のことが言
え、サンプル18,19では光沢ムラを生じることなく
高速製缶することはできない。比較例5のサンプル20
では、高速製缶時に光沢ムラは生じないが、成形エネル
ギ−値が大幅に増大した。次に、DI加工後の耐食性試
験について説明する。
【0046】DI加工後、各サンプルを脱脂し、水洗後
リン酸塩系の化成処理した後に、内面にエポキシフェノ
−ル系塗料を 5μm の厚さで塗布し、その後、缶胴部か
ら試験片を( 5*5 cm2 )を切り出し、これを酸性で食
塩を含有する所定の試験液に浸漬する。試験液は1.5 %
クエン酸と1.5 %NaClとの混合溶液(N2 脱気)で
ある。このような試験液100 ml中に38℃で96時間浸漬
し、浸漬後の塗膜越しのAl溶出量を測定し、耐食性を
評価した。
【0047】また、中性で食塩を含有する試験液(1.5
%NaCl;N2 脱気)100 ml中で125 ℃で60分間のレ
トルト処理を施した後、38℃で96時間浸漬し、浸漬後の
塗膜越しのFe溶出量を測定し、耐食性を評価した。表
1及び表2の比較から明らかなように、実施例のサンプ
ル1〜10のほうが比較例のサンプル11〜20よりも
耐食性に優れている。
【0048】
【表1】
【0049】
【表2】
【0050】
【発明の効果】この発明のDI缶用めっき鋼板によれ
ば、焼き付きを生じることなく、高速で製缶することが
できるとともに、ぶりき材に要する程度の小さな加工エ
ネルギ−で成形することができる。このため、光沢ムラ
のない美麗な外観を有するDI缶を高速で製造すること
ができる。また、化成処理液の変更作業を不要にするこ
とができる。さらに、この発明のDI缶用めっき鋼板を
用途の観点から見れば、酸性飲料および食塩含有内容物
に対して十分な耐食性を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施例に係るDI缶用めっき鋼板を
示す縦断面図。
【符号の説明】
3;基材、4;外面被膜、5,8;Snめっき層、6;
内面皮膜、8;化成処理皮膜

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 缶用鋼板の缶外面となるべき面に形成さ
    れた膜厚0.05〜 5μm のAlSn合金又はAlからなる
    外面皮膜と、この外面皮膜の上にさらに形成された膜厚
    0.04〜 2μm のSn層と、缶用鋼板の缶内面となるべき
    面に形成された膜厚0.1 〜 5μm のAlSn合金又はA
    lからなる内面皮膜と、を有することを特徴とするDI
    缶用めっき鋼板。
  2. 【請求項2】 さらに、内面皮膜との合計の膜厚が0.1
    〜 5μm となるように、前記内面皮膜の上に形成された
    膜厚 2μm 以下のSn層を有することを特徴とする請求
    項1記載のDI缶用めっき鋼板。
  3. 【請求項3】 外面皮膜中のSn含有率が50重量%以
    下であることを特徴とする請求項1または請求項2のい
    ずれか一方に記載のDI缶用めっき鋼板。
  4. 【請求項4】 内面皮膜中のAl含有率が10〜90重
    量%であることを特徴とする請求項1または請求項2の
    いずれか一方に記載のDI缶用めっき鋼板。
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