JP2945385B1 - 溶銑の脱硫方法および脱硫装置 - Google Patents

溶銑の脱硫方法および脱硫装置

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JP2945385B1
JP2945385B1 JP16802598A JP16802598A JP2945385B1 JP 2945385 B1 JP2945385 B1 JP 2945385B1 JP 16802598 A JP16802598 A JP 16802598A JP 16802598 A JP16802598 A JP 16802598A JP 2945385 B1 JP2945385 B1 JP 2945385B1
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  • Refinement Of Pig-Iron, Manufacture Of Cast Iron, And Steel Manufacture Other Than In Revolving Furnaces (AREA)

Abstract

【要約】 【課題】 設備的な所要コストを抑えながらも機械的撹
拌法による溶銑脱硫を短時間内に行うことのできる方法
および装置を提供する。 【解決手段】 溶銑鍋の溶銑を、脱硫剤を投入するとと
もにインペラで撹拌することにより脱硫する方法であ
る。 インペラを、低速回転させながら溶銑面に近づけ、 インペラが溶銑中に入ったとき(時刻t1)からイ
ンペラの回転速度を上げて溶銑上のスラグを容器の外周
寄りに振り分け、その状態で容器中央部付近に露出する
溶銑面上に脱硫剤を投入し(時刻t2〜t3)、 投入した脱硫剤と溶銑とを、インペラの全体が溶銑
中に漬かった状態で、時刻t3以降に高速回転させるイ
ンペラにより撹拌する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】請求項に係る発明は、溶銑鍋
などの容器に入った溶銑から硫黄(S)分を除去するた
めの溶銑脱硫方法および溶銑脱硫装置に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】製鉄所では、製鋼工程を能率的に行うこ
と等を目的として溶銑に脱硫処理を施すのが一般的であ
る。脱硫は、石灰(CaO)やソーダ灰(Na2CO3
などの脱硫剤を溶銑中に投入することにより行うもの
で、溶銑に浸漬させるランスを通じて脱硫剤を吹き込む
インジェクション法や、インペラ(回転羽根)によって
溶銑と脱硫剤とを撹拌する機械的撹拌法などが広く知ら
れている。インジェクション法では、吹き込まれた脱硫
剤が未反応のまま浮上してしまうことも多いのに対し、
機械的撹拌法では、溶銑と脱硫剤とが十分に混合されて
脱硫反応が促進されるという利点がある。
【0003】機械的撹拌法に関する従来の技術は、特公
昭42−12343号公報および特開平4−99212
号公報などに記載されている。前者に記載の技術は、イ
ンペラを、溶銑鍋の内径の1/10〜1/3の外径にし
て150〜300rpmで回転させるものである。溶銑
表面の脱硫剤を溶銑中にうまく巻き込ませて効率的に脱
硫を進行させるとともに、撹拌所要動力を小さくし、し
かも溶銑鍋の内壁面の損耗を抑えるためには、そのよう
に小径のインペラをかなり高速で回転させるのがよいと
している。また後者は、一本の軸上に二段にわたってイ
ンペラを設けたうえ各段のインペラに加圧ガスの噴出口
を形成しておくものである。各インペラの噴出口から加
圧ガスとともに脱硫剤を溶銑中に噴出することによっ
て、溶銑を強力に撹拌し脱硫を促進させることができ
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】溶銑の脱硫は製鋼に先
だって行うものであるから、製鋼工程の開始を遅らせな
いためには、ある溶銑鍋に入った溶銑についての脱硫
を、先の溶銑について製鋼工程が終了するまでに完全に
終了している必要がある。たとえば、転炉を用いる製鋼
工程は通常なら一回あたり約40分で行われるため、そ
の前工程である溶銑脱硫は、一つの溶銑鍋における脱硫
が同じく約40分かそれ以下の時間で完了しないと次の
製鋼工程の開始を遅らせ、生産性を低下させることにな
る。したがって、製鋼工程の迅速化がはかられている最
近の製鉄所では、溶銑脱硫の工程についても所要時間を
短縮することが求められている。
【0005】製鋼工程に関しては、近年、溶銑を脱リン
するための第一転炉と、その後に脱炭するための第二転
炉とを順に使用する例がある。そのような工程が採用さ
れるなら、第一転炉に溶銑が入っている時間は通常の転
炉使用時間の半分程度(約20分)であるため、溶銑鍋
における脱硫も従来の半分程度の時間内に完了していな
ければならなくなる。
【0006】しかしながら、従来の溶銑脱硫手段は、最
近の製鉄所における上記のような迅速化要求に十分に対
応できるものではなかった。すなわち、特公昭42−1
2343号公報に記載の技術は、溶銑鍋の内径に比べて
小径のインペラを使用するものであるため、鍋内の溶銑
の全体に高い撹拌流を与えることが難しいうえ、撹拌を
開始するとき等に溶銑を加速するのに時間を要する。つ
まり、その技術による場合には、所要の脱硫率(硫黄含
有量)にするために定常的な(つまり高速回転での)撹
拌状態を長く維持しなければならないうえ、その撹拌状
態にするまでに長い加速時間を要するため、鍋内の溶銑
を短時間内に十分に脱硫するのは困難なのである。
【0007】特開平4−99212号公報に記載の技術
は、インペラによる撹拌効果に加圧ガスの撹拌効果を加
えるものであるため脱硫の促進効果は期待できる。しか
し、軸上に二段のインペラを設けて各インペラにガス噴
出口を形成するなど、構成が複雑である。高温の溶銑中
に浸漬されるインペラは消耗品であって多数を製作する
必要があるため、そのインペラの構成が複雑であるとな
ると相当のコストを必要としてしまう。
【0008】請求項の発明は、設備的な所要コストを抑
えながらも機械的撹拌法による溶銑脱硫を短時間内に行
うことのできる溶銑の脱硫方法および装置を提供せんと
するものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載した溶銑
の脱硫方法は、溶銑鍋など容器内の溶銑を、脱硫剤を投
入するとともにインペラで撹拌することにより脱硫する
方法(つまり機械的撹拌法による脱硫方法)であって、
インペラとして容器の内径の30〜50%の外径を有す
るものを使用し、 そのインペラを、10〜50rp
mの低速回転させながら上方から溶銑面に近づけ、
インペラが溶銑中に入ったときからインペラの回転速
度を上げて溶銑上のスラグ(溶滓またはノロとも呼ばれ
る)を容器の外周寄りに振り分け、その状態で容器中央
部付近に露出する溶銑面上に脱硫剤を投入し、 投入
した脱硫剤と溶銑とを、全体が溶銑中に漬かった位置で
70〜150rpmの高速回転させるインペラにより
撹拌する−ことを特徴とする。なお、上記にいう「低
速」および「高速」は、両者間での相対的な速度の関係
をいい、たとえば従来の脱硫方法と比較した場合の回転
速度の高低をいうものではない。
【0010】このような脱硫方法によると、容器内の溶
銑について従来よりも短時間のうちに脱硫を終えること
ができる。その理由はつぎのとおりである。
【0011】a) 上記に記載したとおり、溶銑中に漬
ける前からインペラを回転させておくからである。そう
すれば、溶銑に漬けてからインペラを回転駆動し始める
よりも、インペラの加速に要する時間だけ、多少ながら
も脱硫工程の所要時間が短縮される。インペラが大型
(とくに外径が大きいために慣性モーメントの大きいも
の)であるため、その効果は大きい。
【0012】b) 上記のように、溶銑上のスラグを容
器の外周寄りに振り分け、それによって露出する溶銑面
上に脱硫剤を投入するからである。脱硫剤は、早いうち
に投入する方が脱硫反応を早く始めさせる点で好ましい
が、浮遊スラグが溶銑の上面全体を覆っている状態で脱
硫剤を投入しても、脱硫剤はスラグに遮られて溶銑とは
接触しがたい。その点、上記の方法は、のようにまず
スラグを振り分け、それによって露出した溶銑面上に脱
硫剤を投入する。このようにすれば、脱硫剤の全量がた
だちに、かつ効果的に溶銑と接触し反応を開始するた
め、結果的には短時間で十分に脱硫できることになる。
なお、上記のようなスラグの振り分けは、溶銑とスラグ
とをかき混ぜるのではなく、層状に分離した両者の位置
関係を乱すことなく遠心力によって静的に振り分けるも
のであるため、上記のとおり外径の大きなインペラ等を
使用し、それを比較的低速で回転させることによって容
易に実現できる。
【0013】c) 従来よりも(たとえば前記特公昭42
−12343号公報の例よりも)外径の大きなインペラ
使用するからである。そのような大径のインペラな
ら、溶銑中に完全に漬けたうえで十分な回転駆動力(ト
ルク)を与える限りは、小径のインペラによるよりも、
溶銑を定常的な撹拌状態にまで短時間で加速することが
できる。また、大径のインペラを完全に溶銑中に漬けて
用いると、定常的な撹拌状態における回転速度を従来よ
り低く設定しても容器内の溶銑の大部分を撹拌できるた
め、脱硫処理を促進することができる。しかも、インペ
ラを大径にすることは、さほどの(たとえば前記特開平
4−99212号公報の例による場合に比べて)コスト
アップにはつながらない。したがって、この脱硫方法
は、大幅なコスト上昇を招くことなく短時間での溶銑の
脱硫を可能にするのである。なお、外径の大きなインペ
ラを使用してこのような効果を上げられるのは、上記し
たa)のように加速時間を削減したこと、およびb)のよう
に、高速度で回転させなくても脱硫剤を有効に溶銑中に
投入できるようにしたことに基づく。
【0014】
【0015】この脱硫方法には、さらにつぎのような作
用もある。まず、前記したないしのようにインペラ
を回転させながら溶銑面に漬けるとはいえ、その浸漬の
瞬間にも溶銑やスラグが周囲に飛散することがない。イ
ンペラの加速に要する時間を短縮する意味では、インペ
ラを溶銑に近づけるの時点から高速度で回転させてお
くのがよいが、それでは、インペラの一部(下端部)の
みが溶銑(またがスラグ)面に漬かったときなどに溶銑
やスラグが飛散することがある。しかし、上記のような
低速(10〜50rpm)でインペラを回転させている
場合にはそのような不都合がない。
【0016】容器の内径の30〜50%という大きめの
外径を有するインペラは、前記において70〜150
rpmの速度(「高速回転」とはいえ従来に比べると低
い速度)で回転させることにより十分に撹拌効果をもた
らし、脱硫反応を促進する。容器に対するインペラの外
径が大きいために、容器内の溶銑の大部分に対して効果
的な撹拌流を形成し、もって溶銑・脱硫剤の活発な接触
をはかり脱硫反応を促進するからである。しかも、その
程度の回転速度なら、容器内に極端に多くの溶銑が入っ
ていた場合を除いて溶銑が容器からあふれたり飛散した
りすることが避けられる。請求項2に記載した溶銑の脱
硫方法は、上記のように溶銑上のスラグを容器の外周
寄りに振り分けるとき、インペラは、インペラが溶銑中
に入ったときから上昇させた中速回転に保つことを特徴
とする。 このように、高速回転に達しない中速回転に保
つなら、溶銑面上のスラグを外周寄りに振り分け得るこ
とに加え、インペラが溶銑の上部にあるときにも溶銑を
溶銑鍋から外へ飛散させないという作用がある。
【0017】請求項3に記載した溶銑の脱硫装置は、上
記した脱硫方法を実現すべく、インペラの回転駆動手段
として、一次周波数の制御機器(インバータまたはサイ
クロコンバータなど)とともに交流モータ(誘導モータ
など)を設けたことを特徴とする。
【0018】上記した溶銑の脱硫方法を実現するには、
少なくとも低速・高速の二段階間でインペラの回転速度
を変更することが必要である。また、低速回転している
状態のインペラを溶銑中で短時間に加速するためには、
低速状態から高いトルクをインペラに与えることも求め
られる。そのような要求に応えるには、上記のような回
転駆動手段を有するこの脱硫装置が好適である。
【0019】すなわち、一次周波数の制御機器を接続し
た交流モータは、まず、同機器によって電源の周波数を
広く変更できるので、その回転速度を広範囲で無段階
に、しかもスムーズに変更することが可能である。ま
た、周波数に比例するように電圧を変化させることによ
って定トルクの出力を発生させることができ、したがっ
て低速回転時にも高いトルクを発揮し得る。そのため、
前記〜のようにインペラの回転速度を変化させるこ
とも、そのような速度変化を迅速に行わせることも容易
なのである。
【0020】上記以外のモータ、たとえば極数変換等に
よって回転速度を変更可能にした電動機を選択する場合
には、低速時の必要トルクを満たすために枠番の大きい
(つまり大型の)ものが必要になる。また、油圧モータ
を使用する場合には、かなりの油量を必要とすること等
により油圧供給装置が大型になってしまう。そのような
事情から、上記のとおり構成したこの脱硫装置は、設備
コストを抑えながら溶銑脱硫を短時間内に行うために極
めて好ましい手段であるといえる。
【0021】
【発明の実施の形態】図1〜図4に、発明の実施につい
ての一形態を紹介する。図2は、溶銑鍋30と、それに
入れた溶銑35を脱硫するための装置1とを全体的に示
す側面図である。図1は、図2の装置1によって溶銑3
5の脱硫を行う場合のインペラ2の回転数(回転速度)
の時間的変化を示す図であり、図3は、図2の装置1に
よる場合の脱硫処理時間と溶銑35中の硫黄含有量の到
達値との関係を示すグラフ、また図4は、溶銑35中で
のインペラ2の回転数とモータ21の負荷トルクとの関
係を示すグラフである。なお、図2に示す溶銑鍋30
は、一回あたり250トン前後の溶銑35を受け入れて
脱硫処理させ得るだけの容量を有している。
【0022】図2の装置1は、下部に備えるインペラ2
を溶銑鍋30中の溶銑35内に浸漬し回転させるもの
で、つぎのように構成している。すなわち、まず溶銑鍋
30の設置位置の真上に、昇降可能なようにケージ10
を設けている。ケージ10の上部には滑車11を設け、
それに上方からワイヤ(図示せず)を巻き掛けている。
またケージ10の側部には複数のガイド輪12を配置
し、それらを、上下に鉛直に延びた案内軌道(図示せ
ず)に沿わせている。そのため、滑車11に巻き掛けた
ワイヤを巻き取りまたは巻き出しすることによって、ケ
ージ10は案内軌道に沿って鉛直に昇降することにな
る。装置1はこのようなケージ10に、インペラ2とと
もにその回転駆動手段20を保持させている。
【0023】回転駆動手段20は、ケージ10上に設置
した交流モータ(かご形誘導モータ)21と減速機2
3、およびそれにつながって下方に延びている出力軸2
4などから構成し、出力軸24の下に、継手4を介して
インペラ2のシャフト3を連結している。インペラ2お
よびそのシャフト3は、高温度の溶銑中に浸漬されるこ
とから、耐熱性等に優れるセラミック材を外側に貼り付
けたものである。装置1におけるインペラ2の外径d
(たとえば約1.5m)は、溶銑鍋30の内径D(溶銑
35の上面35a付近での内径。たとえば約3.7m)
の約40%とし、一つのインペラ2は、溶銑との接触等
によって外径dが内径Dの35%程度に損耗するまで使
用する。
【0024】回転駆動手段20における大きな特徴は、
上記したモータ21の電源供給部にインバータ22を設
けたことである。インバータ22は、商用電源を一旦直
流に変換したうえ任意の周波数の交流電力にしてモータ
21に供給するという一次周波数の制御機器であり、図
2の例ではトランジスタインバータを使用している。こ
れを用いれば、いわゆるVVVF(Variable Voltage V
ariable Frequency)の制御を行うことにより、モータ
21として構造の簡単なかご形誘導モータを使用しなが
らも、その回転数を広範囲に任意に変化させたり出力ト
ルクを一定にしたりすることが可能になる。
【0025】溶銑鍋30に入れられて所定の脱硫位置
(図2の位置)まで運ばれた溶銑35は、以上のような
装置1を用いることによりつぎのようにして脱硫する。
図1および図2に基づいて説明すると、 溶銑35の入った溶銑鍋30が図2のように所定位
置に運ばれたなら、モータ21を起動して低速に保ち、
そのままケージ10を下降させる。インペラ2は、約1
5rpmの低速回転をしながら図示(A)のように上方
から溶銑面35aに近づくことになる。図1において時
間0(ゼロ)の左から回転数が15rpmになっている
のは、ケージ10を下降させ始める(その時間を0とし
ている)前にモータ21を起動していることを表す。外
径の大きなインペラ2を使用しているので、早めに回転
を開始させて、その加速に要する時間が脱硫処理を遅ら
せることのないようにするのである。
【0026】 インペラ2の下端が図2の(B)の高
さとなって溶銑面35aに接した時点(時刻t1)か
ら、インペラ2の回転速度を上昇させ、中速回転にす
る。中速回転としてこの例では図1のように45rpm
を定め、それに至るまでは毎秒約1.5rpmの割合で
速度上昇させることとし、それらを、インバータ22に
よるモータ21の速度制御により行っている。このよう
な中速回転なら、インペラ2が溶銑35の上部にあると
き(たとえば上部がまだ溶銑面35aの上にあるとき)
にも溶銑35を溶銑鍋30から外へ飛散させてしまうこ
とがない。また、その速度で回転させながらインペラ2
を溶銑35中の深い位置(図2の(C)の高さ)に数十
秒間保っておけば、溶銑面35a上に浮いている層状の
スラグが遠心力の作用で溶銑鍋30の外周寄りに集ま
り、中央付近(インペラ2のシャフト3の回り)には、
スラグのない溶銑面35aが露出する。そうして溶銑面
35aが露出すると、そこへ向けて溶銑鍋30の上部開
口から脱硫剤(石灰やソーダ灰など)を投入する(時刻
2〜t3)。スラグ層に接触しないで脱硫剤が直接溶銑
35中に入るため、その投入と同時に脱硫反応が始ま
る。
【0027】 脱硫剤の投入が終わると(時刻
3)、インペラ2を高速回転にする。高速回転として
この例では図1のように135rpmを定め、それに至
るまでは毎秒約1.5rpmずつ速度上昇させることと
している。もちろんその点も、インバータ22によるモ
ータ21の速度制御にて行っている。そしてこの間も、
インペラ2の位置は、図2の(C)の高さ(溶銑面35
aからインペラ2の上端までが0.9mになる高さ)に
保っている。インペラ2は、前記のように外径が大き
く、その幅(上下寸法)も小さくない(たとえば約1
m)ので、このように比較的低い速度で回転させても、
溶銑35を速やかに加速でき、また溶銑鍋30内の溶銑
35のほぼ全域に十分な撹拌流を与えることができる。
そのため、所定時間(図1のように約7分半)の高速撹
拌によって、先に投入した脱硫剤が溶銑35中に速やか
に拡散し脱硫反応が速やかに進行することになる。
【0028】 所定の撹拌時間が経過した時点(時刻
4)からインペラ2の回転を減速し、停止させる(時
刻t5)。減速は、やはりインバータ22でモータ21
を制御することにより毎秒約1.5rpmずつ速度を下
げる。溶銑35の回転はインペラ2の減速よりも遅れて
低速になるため、その間インペラ2は、上記〜とは
逆向きのトルクをモータ21から受けることになる。イ
ンペラ2の回転速度をゼロにしても溶銑鍋30中の溶銑
35はまだ緩く回転し続けているため、インペラ2は、
停止させたのちも十秒あまり溶銑35中に漬けておく。
外径の大きなインペラ2をこうして漬けておくと、溶銑
鍋30内の溶銑35の回転を早く静止させることができ
る。なおこのとき、停止に代えてインペラ2をしばらく
逆向きに回転させるのも、溶銑35を速やかに静止させ
る上で好ましい。溶銑35が静止すると、その中にプロ
ーブ(図示せず)等を挿入して溶銑35の測温やサンプ
リングを行う。測温・サンプリングの結果が良好なら、
その溶銑鍋30の溶銑35についての脱硫が完了したこ
とになるので、インペラ2を図2の(A)以上の高さに
まで引き上げたうえ、溶銑鍋30を製鋼工程(転炉等)
へ運ぶ。
【0029】以上のような手順によると、一つの溶銑鍋
30における溶銑35の脱硫を、図1に示すように約1
3分で終了することができる。したがってたとえば、第
一・第二の二つの転炉(図示せず)を一連に使用して製
鋼をする場合(前記)であっても、第一転炉への溶銑の
装入を、遅れることなく繰り返すことができる。
【0030】なお、上記における撹拌については、図
3に示すグラフに基づいてインペラ2の回転速度と回転
時間とを定めている。図3は、以上に述べた装置1によ
って溶銑鍋30内の溶銑35の脱硫処理をする場合の、
における高速回転での撹拌時間と溶銑35中の硫黄含
有量の到達値との関係を示すグラフである(「135r
pm」「150rpm」はインペラ2の回転数をさ
す)。上の例では、脱硫処理前に3000ppm(0.
3%)前後ある溶銑35中の硫黄分を25ppm(0.
0025%)程度にまで脱硫することとし、図3にした
がって、インペラ2の回転数を135rpmとし高速回
転の時間を約7.5分としたのである。同じ大きさと形
状を有するインペラ2をもし150rpmで回転させる
とすれば、図3により、回転時間は6分弱でよいことに
なる。
【0031】溶銑35中で回転するインペラ2には溶銑
35の抵抗が負荷となって作用するため、モータ21は
相当のトルクを発生することが必要になる。溶銑35中
におけるインペラ2の回転数と、その回転数を維持する
ためインペラ2に加えるべきモータ21の負荷トルクと
の関係を表すと図4のようになる。まず、インペラ2を
前述の条件で使用した場合には、図の実線で示す関係と
なる。回転数と負荷トルクとの関係がほぼ直線になると
ともに、インペラ2の回転数を145rpm以上にする
までは、負荷トルクがモータ21の定格出力トルク(図
4に二点鎖線で示す線図)以下に保たれることが分か
る。前記したインバータ22による制御によって、モー
タ21の定格出力トルクは、回転速度(図に表れない低
速域(30rpm以下)を除く)によらず一定にコント
ロールされる。なお、インペラ2の加速に要するトルク
は、その回転数の上昇が前記のように毎秒約1.5rp
m程度であれば、そのときの回転数によらず約4kg・
mと小さい。
【0032】インペラ2は、使用を繰り返すに連れて外
側のセラミック材が損耗し、外径も小さくなる。外径が
小さくなったときには、そのインペラ2が溶銑35から
受ける負荷が小さくなるので、前記等におけるインペ
ラ2の回転数をさらに高くして溶銑35の撹拌効果を維
持するのがよい。図4において破線で示した線図は、外
径dが小さくなって溶銑鍋30の内径Dに対する比率
(d/D)が約35%になったとき(つまり交換直前の
インペラ2を使用する場合)のモータ21の負荷トルク
とインペラ2の回転数との関係である。同じ回転数でも
負荷トルクが低いため、インペラ2の回転数を150r
pm程度かまたはそれ以上にしてもモータ21の定格ト
ルクを超えることはない。インペラ2の損耗度合に応じ
てその回転数を調節し、もって溶銑35の撹拌効果を維
持できることは、これもインバータ22の速度制御機能
によるメリットである。
【0033】
【発明の効果】請求項1に記載した溶銑の脱硫方法には
つぎのような効果がある。すなわち、 a) 溶銑中に漬ける前からインペラを回転させておくた
め、インペラの外径が大きいにもかかわらず、インペラ
の加速に要する時間だけ脱硫所要時間が短縮される。
【0034】b) 溶銑上のスラグを容器の外周寄りに振
り分け、それによって露出する溶銑面上に脱硫剤を投入
するから、脱硫剤の全量がただちに効果的に溶銑と反応
し始めるため、短時間で脱硫を終えることができる。な
お、この手順は、外径の大きなインペラ等を使用して容
易に実現できる。
【0035】c) 従来よりも外径の大きなインペラを使
するため、溶銑を短時間で加速できるうえ、回転速度
を従来より低く設定しても溶銑の大部分を撹拌できるの
で脱硫処理を促進することが可能である。
【0036】d) 上記のとおり溶銑の脱硫時間を短縮で
きることは、一貫製鉄所において製鋼工程の迅速化を促
進することにもなる。
【0037】e) 設備的なコストをほとんど上昇させる
ことがない。
【0038】さらに、 f) インペラを回転させながら溶銑面に漬けるにもかか
わらず、浸漬の瞬間にも溶銑やスラグが周囲に飛散する
ことがない。
【0039】g) 溶銑が容器からあふれたり飛散したり
することなく、容器内の溶銑に効果的な撹拌流が形成さ
れ、もって溶銑の脱硫反応が十分に促進される。また請
求項2に記載の脱硫方法なら、銑面上のスラグを外周寄
りに振り分ける点でも、インペラが溶銑の上部にあると
き溶銑を飛散させない点でも、とくに好ましい。
【0040】請求項3に記載した溶銑の脱硫装置では、
さらに、 h) 一次周波数の制御機器を接続した交流モータは回転
速度を広範囲に変更できるうえ定トルク特性の出力を発
生し得るため、この脱硫装置によると、上記した溶銑の
脱硫方法を円滑に実施することが可能である。
【0041】i) 極数変換等を採用する他の形式の電動
機や油圧モータなどを使用する場合に比べて、設備コス
トを抑制できるという効果もある。
【0042】j) インペラの損耗度合に応じてその回転
数を調節し、もって溶銑の撹拌効果を安定的に維持する
ことができる、という利点もある。
【図面の簡単な説明】
【図1】発明の実施についての一形態を示すもので、図
1は、図2の装置1によって溶銑35の脱硫を行う場合
のインペラ2の回転数の時間的変化を示す図である。
【図2】溶銑鍋30と、それに入れた溶銑35を脱硫す
るための装置1とを全体的に示す側面図である。
【図3】図2の装置1にて溶銑35の脱硫を行う場合
の、脱硫処理時間と溶銑35中の硫黄含有量の到達値と
の関係を示すグラフである。
【図4】溶銑35中でのインペラ2の回転数とモータ2
1の負荷トルクとの関係を示すグラフである。
【符号の説明】
2 インペラ 20 回転駆動手段 21 交流モータ 22 インバータ(一次周波数の制御装置) 30 溶銑鍋(容器) 35 溶銑
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 佐藤 寿美男 神戸市中央区東川崎町3丁目1番1号 川崎重工業株式会社 神戸工場内 (56)参考文献 特開 昭53−39909(JP,A) 特公 昭52−19525(JP,B2) 実公 昭56−53960(JP,Y2) 実公 昭47−27607(JP,Y1) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C21C 1/02 C21C 7/04

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 容器内の溶銑を、脱硫剤を投入するとと
    もにインペラで撹拌することにより脱硫する方法であっ
    て、インペラとして容器の内径の30〜50%の外径を有す
    るものを使用し、 インペラを、10〜50rpmの低速
    回転させながら上方から溶銑面に近づけ、 インペラが溶銑中に入ったときからインペラの回転速度
    を上げて溶銑上のスラグを容器の外周寄りに振り分け、
    その状態で容器中央部付近に露出する溶銑面上に脱硫剤
    を投入し、 投入した脱硫剤と溶銑とを、全体が溶銑中に漬かった位
    置で70〜150rpmの高速回転させるインペラに
    より撹拌することを特徴とする溶銑の脱硫方法。
  2. 【請求項2】 上記のように溶銑上のスラグを容器の外
    周寄りに振り分けるとき、インペラは、インペラが溶銑
    中に入ったときから上昇させた中速回転に保つことを特
    徴とする請求項1に記載した溶銑の脱硫方法。
  3. 【請求項3】 請求項1または2に記載した溶銑の脱硫
    方法を実現すべく、インペラの回転駆動手段として、一
    次周波数の制御機器とともに交流モータを設けたことを
    特徴とする溶銑の脱硫装置。
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