JP2017133069A - 溶銑の脱硫方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】インペラの使用状況等に起因する脱硫ばらつきを低減して、安定して脱硫処理後の硫黄濃度を低減できる溶銑の脱硫方法の提供。
【解決手段】溶銑高さH[m]の溶銑鍋内1で撹拌羽根2を回転させる溶銑Mの脱硫方法で、CaO系脱硫剤の供給量W[kg/ton]を決定する決定工程と、上記CaO系脱硫剤の溶銑鍋1への供給と共に、浸漬深さL1[m]、トルクτ1[kgf・m/ton]で撹拌羽根2を回転させる第1工程と、第1工程後に上記トルクを一定速度で上昇させる第2工程と、第2工程後に、浸漬深さL2[m]、トルクτ2[kgf・m/ton]で撹拌羽根2を回転させる第3工程とを備え、式(1)〜(4)を満たす溶銑Mの脱硫方法。0.5≦τ1≦0.7・・・(1);0.8≦τ2≦1.2・・・(2);0.07≦L1/H≦0.07+0.24×W−0.5・・・(3);L1/H≦L2/H≦0.4・・・(4)
【選択図】図2A
【解決手段】溶銑高さH[m]の溶銑鍋内1で撹拌羽根2を回転させる溶銑Mの脱硫方法で、CaO系脱硫剤の供給量W[kg/ton]を決定する決定工程と、上記CaO系脱硫剤の溶銑鍋1への供給と共に、浸漬深さL1[m]、トルクτ1[kgf・m/ton]で撹拌羽根2を回転させる第1工程と、第1工程後に上記トルクを一定速度で上昇させる第2工程と、第2工程後に、浸漬深さL2[m]、トルクτ2[kgf・m/ton]で撹拌羽根2を回転させる第3工程とを備え、式(1)〜(4)を満たす溶銑Mの脱硫方法。0.5≦τ1≦0.7・・・(1);0.8≦τ2≦1.2・・・(2);0.07≦L1/H≦0.07+0.24×W−0.5・・・(3);L1/H≦L2/H≦0.4・・・(4)
【選択図】図2A
Description
本発明は、溶銑の脱硫方法に関する。
高炉から出銑される溶銑には鋼材の特性を低下させる硫黄が多量に含まれているため、鋼材に要求される硫黄濃度まで硫黄を低減する脱硫処理が行われる。この脱硫処理は溶銑又は溶鋼の段階で行われるが、近年の鋼材品質に対する要求の高まりから溶銑段階での脱硫処理が広く行われている。
溶銑の脱硫処理方法として、混銑車などの溶銑搬送容器内の溶銑に脱硫剤を吹き込んで脱硫を行う方法や、溶銑鍋内に溶銑を装入し、この溶銑鍋内で機械撹拌しつつ脱硫を行う方法が採用される。これらの中でも、脱硫剤の反応効率が高く低硫黄濃度化が可能な点から、機械撹拌による脱硫方法が主に用いられる。機械撹拌による脱硫では、撹拌羽根を有する耐火物(インペラ)を溶銑鍋内に浸漬し、撹拌羽根を回転させることで脱硫を行う。
この機械撹拌による脱硫において脱硫効率を向上させる方法として、インペラの撹拌羽根の浸漬深さ及び回転数を制御する方法が提案されている(特開2000−001710号公報参照)。この脱硫方法では、撹拌羽根を低速回転させながら溶銑面に近づけ、撹拌羽根が溶銑中に入ったときから撹拌羽根の回転速度を上げて溶銑上のスラグを容器の外周寄りに振り分け、その状態で容器中央部付近に露出する溶銑面上に脱硫剤を供給することで、脱硫時間を低減している。
しかし、上記公報で提案される脱硫方法では、例えばインペラの使用状況に応じてインペラの溶損やインペラへのスラグ付着等により撹拌力に差異が生じるため、撹拌羽根の浸漬深さ及び回転数の処理条件を同じにしても脱硫処理後の硫黄濃度にばらつきが生じ易い。この硫黄濃度のばらつきにより硫黄濃度が十分に低減されない溶銑は、再処理による生産コストの増加を生じさせる。
本発明は、上述のような事情に基づいてなされたものであり、インペラの使用状況等に起因する脱硫ばらつきを低減して、安定して脱硫処理後の硫黄濃度を低減できる溶銑の脱硫方法の提供を目的とする。
上記課題を解決するためになされた発明は、溶銑鍋内で撹拌羽根を回転させつつ、CaO系脱硫剤を上方から上記溶銑鍋内に供給する溶銑の脱硫方法であって、全脱硫処理時間t[min]及び脱硫処理後の溶銑中の目標硫黄濃度S[質量%]から溶銑1ton当たりのCaO系脱硫剤の供給量W[kg/ton]を決定する脱硫剤供給量決定工程と、上記CaO系脱硫剤の溶銑鍋への供給と共に、上記撹拌羽根を溶銑1ton当たりのトルクτ1[kgf・m/ton]で回転させる第1工程と、上記第1工程後に、上記撹拌羽根の溶銑1ton当たりのトルクをτ1[kgf・m/ton]からτ2[kgf・m/ton]へ一定速度で上昇させる第2工程と、上記第2工程後に、上記撹拌羽根を溶銑1ton当たりのトルクτ2[kgf・m/ton]で回転させる第3工程とを備え、上記第1工程の期間が上記脱硫処理時間t[min]の20%以上30%以下であり、上記第2工程のトルクの上昇速度が0.15[kgf・m/ton/min]以上1.2[kgf・m/ton/min]以下であり、上記τ1及びτ2が以下の式(1)及び式(2)を満たし、上記第1工程の全期間及び上記第2工程のうちトルクが0.8[kgf・m/ton]未満である期間における撹拌羽根の浸漬深さをL1[m]、並びに上記第2工程のうちトルクが0.8[kgf・m/ton]以上である期間及び上記第3工程の全期間における撹拌羽根の浸漬深さをL2[m]、溶銑高さをH[m]とした場合に、以下の式(3)及び式(4)を満たすように撹拌羽根の浸漬深さを制御することを特徴とする。
0.5≦τ1≦0.7 ・・・(1)
0.8≦τ2≦1.2 ・・・(2)
0.07≦L1/H≦0.07+0.24×W−0.5 ・・・(3)
L1/H≦L2/H≦0.4 ・・・(4)
0.5≦τ1≦0.7 ・・・(1)
0.8≦τ2≦1.2 ・・・(2)
0.07≦L1/H≦0.07+0.24×W−0.5 ・・・(3)
L1/H≦L2/H≦0.4 ・・・(4)
当該溶銑の脱硫方法は、トルクにより撹拌羽根の回転を制御する。このため、撹拌羽根の回転数で制御する場合に比べて当該溶銑の脱硫方法はインペラの溶損やインペラへのスラグ付着等による撹拌力の差異が生じ難いので、脱硫ばらつきを低減できる。また、当該溶銑の脱硫方法は、比較的トルクの低い第1工程でCaO系脱硫剤の滓化を促進した後、第2工程で第1工程のトルクから第3工程のトルクへトルクを上昇させ、比較的トルクの高い第3工程でCaO系脱硫剤を溶銑へ巻き込む。このため、当該溶銑の脱硫方法は、脱硫処理後の硫黄濃度を低減できる。具体的には、当該溶銑の脱硫方法は、第1工程の期間を上記範囲内とし、かつ第1工程のトルクτ1を上記範囲内とするので、溶銑鍋に供給されたCaO系脱硫剤の飛散を抑止しつつ、比較的短時間でCaO系脱硫剤の滓化を促進できる。また、当該溶銑の脱硫方法は、第3工程のトルクτ2を上記範囲内とするので、大気の巻き込みを抑止しつつ、脱硫反応を促進できる。さらに、第2工程のトルクの上昇速度を上記範囲内とするので、CaO系脱硫剤の凝集及び溶銑の温度低下による脱硫反応の低下を抑止しつつ、第1工程から第3工程へ移行できる。また、当該溶銑の脱硫方法は、撹拌羽根の浸漬深さを上記式(3)及び式(4)を満たすように制御するので、当該溶銑の脱硫方法は、トルクに応じて撹拌羽根回転時に発生する溶銑の渦が撹拌羽根の上面に到達し、適度な強度でCaO系脱硫剤が撹拌される。このため、溶銑の飛散を抑えつつ、CaO系脱硫剤を溶銑中へ分散させることができる。従って、当該溶銑の脱硫方法では、溶銑内へのCaO系脱硫剤の分散状況等のチャージ毎の差異が生じ難いので、脱硫ばらつきが低減され、安定して脱硫処理後の硫黄濃度を低減できる。
ここで、「CaO系脱硫剤」とは、生石灰(CaO)を主成分とする脱硫剤を意味する。「脱硫処理時間」とは、脱硫剤の投入開始から第3工程のトルクτ2が0.8[kgf・m/ton]を下回るまでの時間を指す。また、「溶銑高さ」とは、撹拌羽根が浸漬されておらず、かつ静止状態での溶銑表面と取鍋底面との鉛直方向の距離を指す。また、「撹拌羽根の浸漬深さ」とは、上記静止状態での溶銑表面と撹拌羽根の上面との最短距離を指す。
以上説明したように、本発明の溶銑の脱硫方法は、インペラの使用状況等に起因する脱硫ばらつきを低減して、安定して脱硫処理後の硫黄濃度を低減できる。
以下、適宜図面を参照しつつ本発明の溶銑の脱硫方法の実施形態について説明する。
当該溶銑の脱硫方法は、溶銑鍋内で撹拌羽根を回転させつつ、CaO系脱硫剤を上方から上記溶銑鍋内に供給する溶銑の脱硫方法である。図1に示すように、当該溶銑の脱硫方法は、全脱硫処理時間t[min]及び脱硫処理後の溶銑中の目標硫黄濃度S[質量%]から溶銑1ton当たりのCaO系脱硫剤の供給量W[kg/ton]を決定する脱硫剤供給量決定工程S1と、上記CaO系脱硫剤の溶銑鍋への供給と共に、上記撹拌羽根を溶銑1ton当たりのトルクτ1[kgf・m/ton]で回転させる第1工程S2と、上記第1工程S2後に、上記撹拌羽根の溶銑1ton当たりのトルクをτ1[kgf・m/ton]からτ2[kgf・m/ton]へ一定速度で上昇させる第2工程S3と、上記第2工程S3後に、上記撹拌羽根を溶銑1ton当たりのトルクτ2[kgf・m/ton]で回転させる第3工程S4とを備える。
当該溶銑の脱硫方法は、図2Aのような機械撹拌方式の溶銑脱硫装置で用いられる。高炉から出銑された溶銑は、溶銑鍋1に装入されて精錬工程を行う転炉などへ移送されるが、転炉に達するまでの間に脱硫処理が行われる。この溶銑脱硫装置は、溶銑鍋1の中心に挿入される耐火物製の撹拌羽根2を備える。つまり、撹拌羽根2は、図2Bに示すように回転軸が平面視円形の溶銑鍋1の中心と一致するよう溶銑鍋1内に挿入される。この撹拌羽根2は、回転軸の先端から径方向に突出する羽根を有する。上記羽根の枚数は特に限定されないが、例えば4枚とできる。この溶銑脱硫装置は、撹拌羽根2の回転により溶銑Mを撹拌しながらCaO系脱硫剤を混合することで溶銑Mの脱硫処理を行う。
また、滓化促進や脱酸を目的としてアルミニウムドロス等のアルミニウム含有副原料をCaO系脱硫剤に混合してもよい。アルミニウム含有副原料を用いる場合、溶銑中の硫黄(S)は、下記式(5)に示すように、酸化カルシウム(CaO)との反応により硫化カルシウム(CaS)として固定化される。また、下記式(5)とアルミニウム(Al)の酸化反応を示す下記式(6)とを合せた下記式(7)から分かるように、アルミニウムを添加することにより、脱硫によってCaOから放出された酸素(O)をアルミニウムと反応させて酸化アルミニウム(Al2O3)とすることができる。従って、アルミニウムを添加することで、溶銑の酸素濃度を低減できるので、より脱硫が進行し易くなる。なお、下記式(5)〜(7)において、()内はスラグ中又は脱硫剤中の成分を表し、[]内は溶銑中の成分を表す。
(CaO)+[S]→(CaS)+[O] ・・・(5)
2[Al]+3[O]→(Al2O3) ・・・(6)
3(CaO)+3[S]+2[Al]→3(CaS)+(Al2O3) ・・・(7)
(CaO)+[S]→(CaS)+[O] ・・・(5)
2[Al]+3[O]→(Al2O3) ・・・(6)
3(CaO)+3[S]+2[Al]→3(CaS)+(Al2O3) ・・・(7)
<脱硫剤供給量決定工程>
まず、脱硫剤供給量決定工程S1では、全脱硫処理時間t[min]及び脱硫処理後の溶銑中の目標硫黄濃度S[質量%]からCaO系脱硫剤の単位溶銑当たりの供給量W[kg/ton]を決定する。
まず、脱硫剤供給量決定工程S1では、全脱硫処理時間t[min]及び脱硫処理後の溶銑中の目標硫黄濃度S[質量%]からCaO系脱硫剤の単位溶銑当たりの供給量W[kg/ton]を決定する。
ここで、機械撹拌による脱硫処理において、処理時間が長いほど脱硫は進行するが、長時間の処理は鋼材の生産量の低下を招く。そのため、チャージ毎の全脱硫処理時間t[min]は、次工程の処理開始までの時間余裕や溶銑鍋の物流の状況等によって決定される。一方、溶銑中の硫黄濃度の低減量は、CaO系脱硫剤の供給量を多くすることで大きくできる。また、脱硫処理後の溶銑中の目標硫黄濃度は、鋼種によって決定される。従って、全脱硫処理時間t[min]を決定すると、脱硫処理後の溶銑中の目標硫黄濃度S[質量%]から必要なCaO系脱硫剤の供給量Wが算出できる。
<第1工程>
第1工程S2では、上記CaO系脱硫剤の溶銑鍋への供給と共に、上記撹拌羽根を溶銑1ton当たりのトルクτ1[kgf・m/ton]で回転させる。
第1工程S2では、上記CaO系脱硫剤の溶銑鍋への供給と共に、上記撹拌羽根を溶銑1ton当たりのトルクτ1[kgf・m/ton]で回転させる。
上記脱硫処理時間t[min]に対する上記第1工程S2の期間の割合の下限としては、20%であり、22%がより好ましい。一方、上記第1工程S2の期間の割合の上限としては、30%であり、28%がより好ましい。上記第1工程S2の期間の割合が上記下限未満である場合、溶銑鍋へ供給されたCaO系脱硫剤の滓化が不十分となるおそれがある。逆に、上記第1工程S2の期間の割合が上記上限を超える場合、後述する第3工程S4の期間が短くなるため、第3工程S4での脱硫反応の促進効果が不十分となるおそれがある。
上記CaO系脱硫剤の溶銑鍋への供給は、第1工程S2で行われる。上記CaO系脱硫剤の溶銑鍋への供給方法は、特に限定されないが、例えば複数回に分割して供給することができる。複数回に分割して供給する場合は、CaO系脱硫剤を略等量に分割し、略等時間間隔で投入するとよい。また、連続してCaO系脱硫剤を供給してもよい。この場合、単位時間当たりのCaO系脱硫剤の供給量が略等量となるように供給するとよい。上記CaO系脱硫剤の溶銑鍋への供給期間としては、特に限定されないが、第1工程S2の期間の90%以上が好ましく、第1工程S2の期間の100%、すなわちCaO系脱硫剤の投入完了と共に第2工程S3を開始することがより好ましい。このようにCaO系脱硫剤を一定の期間をかけて供給することで、CaO系脱硫剤の滓化が促進できる。
本発明では、トルクにより脱硫処理中の撹拌力を制御する。トルクは、インペラの撹拌羽根の径及び回転数に依存し、羽根径や回転数を大きくすると、トルクが大きくなる。しかし、インペラの溶損やインペラへのスラグ付着等により、インペラが一定の形状をしていないため、例えば同じ回転数であってもトルクは異なる。このため、トルクにより脱硫処理中の撹拌力を制御することで、撹拌羽根の回転数により制御する場合よりも脱硫ばらつきが低減できると考えられる。なお、トルクは、インペラを回転させるモータの電圧値[V]と電流値[A]との積を周波数f[Hz]で除した値VI/fに比例する。従って、トルクとVI/fとの比例係数を予め設備に応じて算出しておくことで、モータの電圧値[V]、電流値[A]及び周波数f[Hz]の測定結果からトルクを求めることができる。
第1工程S2の上記トルクτ1は下記に示す式(1)を満たす。ここで、上記式(1)の導出について説明する。第1工程S2において脱硫反応を促進させるためには、供給した脱硫剤が飛散しない範囲で、滓化を促進させた上で溶銑に巻き込ませることが必要である。脱硫剤供給時にCaO系脱硫剤が飛散しないようにするためには、比較的弱い撹拌とする必要がある。発明者らが鋭意検討した結果、トルクτ1が0.7[kgf・m/ton]以下であれば、脱硫剤供給時の脱硫剤の飛散を抑止できることを見出し、トルクτ1の上限が導出された。また、滓化を促進させるためには、適度な強さで溶銑を撹拌し、脱硫剤に溶銑の熱を伝えることが有効である。発明者らが鋭意検討した結果、トルクτ1が0.5[kgf・m/ton]未満となると溶銑からの伝熱が不十分となり滓化が促進し難いことを見出し、トルクτ1の下限が導出された。このようにして上記式(1)が導出された。
0.5≦τ1≦0.7 ・・・(1)
0.5≦τ1≦0.7 ・・・(1)
<第2工程>
第2工程S3では、上記第1工程S2後に、上記撹拌羽根の溶銑1ton当たりのトルクをτ1[kgf・m/ton]からτ2[kgf・m/ton]へ一定速度で上昇させる。
第2工程S3では、上記第1工程S2後に、上記撹拌羽根の溶銑1ton当たりのトルクをτ1[kgf・m/ton]からτ2[kgf・m/ton]へ一定速度で上昇させる。
上記第2工程のトルクの上昇速度の下限としては、0.15[kgf・m/ton/min]であり、0.3[kgf・m/ton/min]がより好ましい。一方、上記上昇速度の上限としては、1.2[kgf・m/ton/min]であり、0.9[kgf・m/ton/min]がより好ましい。上記上昇速度が上記下限未満である場合、トルクがτ2となるまでに時間を要するため、CaO系脱硫剤が凝集するおそれがある。この凝集によりCaO系脱硫剤の反応界面積が減少し、次工程である第3工程において脱硫反応が十分に進行しないおそれがある。また、トルクを上昇させる処理時間が長引くことで、溶銑の温度が低下し、吸熱反応である脱硫反応が進行し難くなるおそれもある。逆に、上記上昇速度が上記上限を超える場合、溶銑の表面付近のCaO系脱硫剤が飛散するおそれがある。第1工程において比較的弱い撹拌条件で撹拌を行っているため、CaO系脱硫剤の多くは溶銑の表面付近に留まっていると考えられる。このため、このCaO系脱硫剤の飛散によりCaO系脱硫剤が不足し、第3工程において脱硫反応が十分に進行しないおそれがある。
<第3工程>
第3工程S4では、上記撹拌羽根を溶銑1ton当たりのトルクτ2[kgf・m/ton]で回転させる。
第3工程S4では、上記撹拌羽根を溶銑1ton当たりのトルクτ2[kgf・m/ton]で回転させる。
第3工程S4の上記トルクτ2は下記に示す式(2)を満たす。ここで、上記式(2)の導出について説明する。滓化したCaO系脱硫剤と溶銑中の硫黄との反応を促進させるためには、溶銑内での硫黄の移動を速める必要がある。このため、比較的強い撹拌とすることが有効である。発明者らが鋭意検討した結果、トルクτ2が0.8[kgf・m/ton]以上であれば、溶銑中の硫黄の移動を促し、脱硫反応を促進できることを見出し、トルクτ2の下限が導出された。一方、撹拌力を強くし過ぎると、溶銑表面が接する雰囲気から大量の気泡を巻き込んでしまう。通常、溶銑表面の雰囲気は大気であるため、大気からの酸素を巻き込み、溶銑中の酸素濃度が上昇する。この酸素濃度の上昇により上述の式(5)の反応が進み難くなり、脱硫反応が阻害される。また、巻き込まれた気泡は溶銑に比べて密度が小さいため、溶銑表面へ浮上する。その際、気泡が溶銑中の脱硫剤をトラップし、脱硫剤を溶銑表面へ浮上させる。このため、溶銑内部の脱硫反応が促進されない。従って、撹拌力を強くし過ぎると、脱硫反応効率が低下する。発明者らが鋭意検討した結果、トルクτ2が1.2[kgf・m/ton]を超えると、この脱硫反応効率の低下が顕著となることを見出し、トルクτ2の上限が導出された。このようにして上記式(2)が導出された。
0.8≦τ2≦1.2 ・・・(2)
0.8≦τ2≦1.2 ・・・(2)
<撹拌羽根の浸漬深さ>
撹拌羽根の浸漬深さによってCaO系脱硫剤の溶銑への巻き込まれ方が変わるため、撹拌羽根の浸漬深さは脱硫反応に影響を与える。当該溶銑の脱硫方法では、上記第1工程の全期間及び上記第2工程のうちトルクが0.8[kgf・m/ton/min]未満である期間における撹拌羽根の浸漬深さをL1[m]、並びに上記第2工程のうちトルクが0.8[kgf・m/ton/min]以上である期間及び上記第3工程の全期間における撹拌羽根の浸漬深さをL2[m]、溶銑高さをH[m]とした場合、下記に示す式(3)及び式(4)を満たすように撹拌羽根の浸漬深さを制御する。
0.07≦L1/H≦0.07+0.24×W−0.5 ・・・(3)
L1/H≦L2/H≦0.4 ・・・(4)
撹拌羽根の浸漬深さによってCaO系脱硫剤の溶銑への巻き込まれ方が変わるため、撹拌羽根の浸漬深さは脱硫反応に影響を与える。当該溶銑の脱硫方法では、上記第1工程の全期間及び上記第2工程のうちトルクが0.8[kgf・m/ton/min]未満である期間における撹拌羽根の浸漬深さをL1[m]、並びに上記第2工程のうちトルクが0.8[kgf・m/ton/min]以上である期間及び上記第3工程の全期間における撹拌羽根の浸漬深さをL2[m]、溶銑高さをH[m]とした場合、下記に示す式(3)及び式(4)を満たすように撹拌羽根の浸漬深さを制御する。
0.07≦L1/H≦0.07+0.24×W−0.5 ・・・(3)
L1/H≦L2/H≦0.4 ・・・(4)
まず、上記式(3)導出について以下に説明する。CaO系脱硫剤が溶銑へ巻き込まれ溶銑内に分散するには、撹拌羽根の回転時に発生する渦が撹拌羽根の上面に到達することが重要である。この渦の深さはトルクに応じて変化するため、トルクに応じて適正な撹拌羽根の浸漬深さがあると考えられる。発明者らが脱硫の操業を観察していたところ、トルクτ1で制御されている第1工程S2において、CaO系脱硫剤の投入量を増すと渦の深さが浅くなる傾向があることを見出した。そこで、発明者らは、τ1=0.5[kgf・m/ton]の条件でCaO系脱硫剤の供給量W[kg]を変化させ、L1/Hを基準として溶銑の脱硫効果を評価する実験を行った。この実験結果を図3に示す。図3において、「○」のプロットは、脱硫反応が進み硫黄濃度を低減できたものを表し、「×」は操業困難又は脱硫反応効率の低下が発生したものを表す。その結果、L1/Hの下限については、CaO系脱硫剤の供給量W依存性が低く、L1/Hが0.07以下である場合、溶銑飛散量が多くなり、操業そのものが困難となった。一方、L1/Hの上限については、CaO系脱硫剤の供給量W依存性が見られ、L1/Hが大き過ぎる場合、撹拌による渦が撹拌羽根の上面に到達できなくなるため、CaO系脱硫剤が十分に巻き込まれず、CaO系脱硫剤の凝集が進み、脱硫反応効率の低下が観測された。この結果から、式(3)の下限である0.07が導出された。また、CaO系脱硫剤の供給量Wに依存する式(3)の上限については、以下のように考えた。まず、CaO系脱硫剤の供給量Wを増やしても式(3)の下限である0.07を下回ることはないと考えられる。そこで、L1/Hの値から0.07を減じた量についてさらに発明者らが検討したところ、W−0.5に比例する傾向があることが分かった。これは、CaO系脱硫剤の投入量に応じて溶銑の運動エネルギーが失われ、その失われた運動エネルギーに相当する分、渦が浅くなるが、この失われた運動エネルギーがCaO系脱硫剤の質量の−0.5乗に比例するためと考えられる。以上から、上限は、0.07+α×W−0.5と表されると考えられ、上述の実験結果と相関をとったところ、α=0.24が抽出された。このようにして、トルクが小さい第1工程S2の撹拌羽根の浸漬深さを決める上記式(3)が導出された。
次に、上記式(4)導出について以下に説明する。次に第3工程S4においては、CaO系脱硫剤を溶銑内に広く分布させることが脱硫反応を促進させるために重要である。第3工程S4で制御されるトルクτ2は、第1工程S2で制御されるトルクτ1よりも大きく、渦の深さが深くなると考えられるので、少なくとも第3工程S4の撹拌羽根の浸漬深さL2は、第1工程S2の撹拌羽根の浸漬深さL1以上とできる。このことから、式(4)の下限として、L1/Hが導出された。一方、撹拌羽根の浸漬深さL2を大きくし過ぎると撹拌による渦が撹拌羽根の上面に到達できなくなる。本発明者らが鋭意検討した結果、式(2)を満たすトルクτ2の範囲ではL2/Hが0.4を超えると、渦が撹拌羽根の上面に到達し難くなることを見出し、式(4)の上限が導出された。このようにして、トルクが大きい第3工程S4の撹拌羽根の浸漬深さを決める上記式(4)が導出された。
<利点>
当該溶銑の脱硫方法は、トルクにより撹拌羽根の回転を制御する。このため、撹拌羽根の回転数で制御する場合に比べて当該溶銑の脱硫方法はインペラの溶損やインペラへのスラグ付着等による撹拌力の差異が生じ難いので、脱硫ばらつきを低減できる。また、当該溶銑の脱硫方法は、トルクに応じた撹拌羽根の浸漬深さの制御により撹拌羽根回転時に発生する溶銑の渦が撹拌羽根の上面に到達し、適度な強度でCaO系脱硫剤が撹拌される。このため、溶銑の飛散を抑えつつ、CaO系脱硫剤を溶銑中へ分散させることができる。従って、溶銑内へのCaO系脱硫剤の分散状況等のチャージ毎の差異が生じ難いので、脱硫ばらつきが低減され、当該溶銑の脱硫方法は、安定して脱硫処理後の硫黄濃度を低減できる。
当該溶銑の脱硫方法は、トルクにより撹拌羽根の回転を制御する。このため、撹拌羽根の回転数で制御する場合に比べて当該溶銑の脱硫方法はインペラの溶損やインペラへのスラグ付着等による撹拌力の差異が生じ難いので、脱硫ばらつきを低減できる。また、当該溶銑の脱硫方法は、トルクに応じた撹拌羽根の浸漬深さの制御により撹拌羽根回転時に発生する溶銑の渦が撹拌羽根の上面に到達し、適度な強度でCaO系脱硫剤が撹拌される。このため、溶銑の飛散を抑えつつ、CaO系脱硫剤を溶銑中へ分散させることができる。従って、溶銑内へのCaO系脱硫剤の分散状況等のチャージ毎の差異が生じ難いので、脱硫ばらつきが低減され、当該溶銑の脱硫方法は、安定して脱硫処理後の硫黄濃度を低減できる。
[その他の実施形態]
本発明の溶銑の脱硫方法は、上記実施形態に限定されるものではない。例えば上記実施形態では、撹拌羽根の浸漬深さを第1工程と第3工程とで変化させたが、撹拌羽根の浸漬深さを第1工程と第3工程とで同じ深さとすることもできる。
本発明の溶銑の脱硫方法は、上記実施形態に限定されるものではない。例えば上記実施形態では、撹拌羽根の浸漬深さを第1工程と第3工程とで変化させたが、撹拌羽根の浸漬深さを第1工程と第3工程とで同じ深さとすることもできる。
以下、実施例によって本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
実機設備を用いて、溶銑の脱硫効果を評価する実験を行った。具体的には、溶銑鍋として、内径が3.5mの取鍋を用い、溶銑量を250ton以上270ton以下、溶銑高さHを3.40m以上3.75m以下、溶銑温度を1300℃、撹拌羽根の回転開始から停止までの全脱硫処理時間を12minとして脱硫処理を行った。また、撹拌に用いるインペラは使用回数が1回から255回のものを用意した。インペラの撹拌羽根は、4枚の羽根を有し、羽根の高さbが0.8m、羽根の直径が1.4m、羽根のねじれ角が90°であり、溶銑鍋の平面視で中心となる位置に挿入し、回転させた。なお、インペラの使用回数とは、溶銑の撹拌に使用したチャージ数を意味する。
CaO系脱硫剤としては、CaO濃度が90質量%の石灰を用いた。また、アルミニウム含有副原料として、製鋼用アルミニウムドロスを用いた。用いたアルミニウムドロスのAl2O3含有量は57質量%であり、金属Alの含有量は17質量%である。また、石灰及びアルミニウムドロスの和に対する石灰の割合を90質量%とした。これらの石灰及びアルミニウムドロスは、溶銑鍋の上方から溶銑の浴面に向けて投入した。
なお、ここで用いた溶銑は、炭素(C)の含有量が4.2質量%以上4.5質量%以下、硫黄(S)の含有量が0.015質量%、ケイ素(Si)の含有量が0.1質量%以上0.3質量%以下、リン(P)の含有量が0.09質量%以上0.13質量%以下であった。
また、脱硫剤供給量W[kg/ton]については、実操業時には次工程までの時間余裕等で決まる脱硫処理時間において、処理前溶銑の硫黄濃度と処理後の目標硫黄濃度に応じて決めるのが一般的である。この当業者常法によりチャージ毎の石灰供給量W[kg/ton]を決定した。具体的には、0.005質量%以下の目標硫黄濃度の設定に対して、石灰供給量W[kg/ton]は、4kg/ton以上7kg/ton以下であった。
このような実機設備を用いて、表1〜表6に示す条件でNo.1〜No.146の各チャージにおける脱硫処理を行った。なお、表1〜表3には、トルク条件を示し、表4〜表6には、撹拌羽根の浸漬深さ条件を示している。
<脱硫評価>
上記No.1〜No.146の各チャージにおける脱硫処理前後の溶銑中の硫黄濃度を計測し、脱硫効果を評価した。具体的には、脱硫処理後の硫黄濃度が0.005質量%以下となった場合、特に脱硫効率が高いものとして評価「A」とし、脱硫処理後の硫黄濃度が0.005質量%超のもの又は溶銑飛散量が多く操業そのものが困難なものを評価「B」とした。No.1〜No.146の評価結果を表4〜表6に示す。なお、表中で硫黄濃度の「−」は、溶銑飛散量が多く操業そのものが困難であったことを意味する。
上記No.1〜No.146の各チャージにおける脱硫処理前後の溶銑中の硫黄濃度を計測し、脱硫効果を評価した。具体的には、脱硫処理後の硫黄濃度が0.005質量%以下となった場合、特に脱硫効率が高いものとして評価「A」とし、脱硫処理後の硫黄濃度が0.005質量%超のもの又は溶銑飛散量が多く操業そのものが困難なものを評価「B」とした。No.1〜No.146の評価結果を表4〜表6に示す。なお、表中で硫黄濃度の「−」は、溶銑飛散量が多く操業そのものが困難であったことを意味する。
また、各チャージにおける脱硫処理の脱硫石灰効率ηCaO,S[%]を算出した。脱硫石灰効率ηCaO,Sは、脱硫に寄与したCaOの比率を表す指標であり、同じ溶銑量及び石灰量であれば、脱硫が進行するほどこの数値が大きくなる。この脱硫石灰効率ηCaO,S[%]は、各チャージの処理前溶銑硫黄濃度をSi[質量%]、処理後溶銑硫黄濃度をSf[質量%]及びCaO原単位をWCaO[kg/ton]とするとき、以下の式(8)で求まる。なお、CaO原単位WCaOは、石炭投入量[kg]と石灰のCaO濃度[質量%]との積で求まる値を溶銑量[ton]で除することで算出できる。No.1〜No.146の評価結果を表4〜表6に示す。なお、表中で脱硫石灰効率ηCaO,Sの「−」は、溶銑飛散量が多く操業そのものが困難であったことを意味する。
ηCaO,S=(Si−Sf)×(1000×56/32)/WCaO ・・・(8)
ηCaO,S=(Si−Sf)×(1000×56/32)/WCaO ・・・(8)
表1〜表6において、No.1〜No.74は、本発明に規定する溶銑の脱硫方法により脱硫した実施例である。一方、No.75〜No.146は、本発明の規定のいずれかを満たなさない比較例である。
[評価結果]
表1〜表6の結果より、本発明に規定する溶銑の脱硫方法により脱硫したNo.1〜No.74では脱硫後の硫黄濃度が0.005質量%以下であり、脱硫石灰効率ηCaO,Sが、3.4%〜6.48%である。一方、本発明の規定のいずれかを満たなさないNo.75〜No.146は、脱硫後の硫黄濃度が0.005質量%超であり、脱硫石灰効率ηCaO,Sが、1.3%〜4.32%である。
表1〜表6の結果より、本発明に規定する溶銑の脱硫方法により脱硫したNo.1〜No.74では脱硫後の硫黄濃度が0.005質量%以下であり、脱硫石灰効率ηCaO,Sが、3.4%〜6.48%である。一方、本発明の規定のいずれかを満たなさないNo.75〜No.146は、脱硫後の硫黄濃度が0.005質量%超であり、脱硫石灰効率ηCaO,Sが、1.3%〜4.32%である。
さらに詳細に見るため、溶銑量250ton、脱硫剤供給量5kg/tonの場合について、第1工程におけるトルクτ1と脱硫後の硫黄濃度との関係を図4に示す。図4において、( )内の数値は、インペラは使用回数を表す。図4から式(1)を満たすようにトルクτ1を制御することで、高い脱硫効率が得られることが分かる。また、インペラの使用回数に応じてインペラの溶損やインペラへのスラグ付着等の状態が異なると考えられるが、インペラの使用回数によらず安定して高い脱硫効率が得られることが分かる。
図5は、溶銑量250ton、脱硫剤供給量5kg/tonの場合について、第2工程におけるトルク上昇速度と脱硫後の硫黄濃度との関係を示すグラフである。図5からトルク上昇速度を0.15[kgf・m/ton/min]以上1.2[kgf・m/ton/min]以下とすることで、高い脱硫効率が得られることが分かる。また、インペラの使用回数によらず安定して高い脱硫効率が得られることが分かる。
図6は、溶銑量250ton、脱硫剤供給量5kg/tonの場合について、第3工程におけるトルクτ2と脱硫後の硫黄濃度との関係を示すグラフである。図6から式(2)を満たすようにトルクτ2を制御することで、高い脱硫効率が得られることが分かる。また、インペラの使用回数によらず安定して高い脱硫効率が得られることが分かる。
図7は、溶銑量250ton、脱硫剤供給量5kg/tonの場合について、L1/Hと脱硫後の硫黄濃度との関係を示すグラフである。脱硫剤供給量が5kg/tonの場合、式(3)から求まるL1/Hの上限は、0.177である。図7から式(3)を満たすように撹拌羽根の浸漬深さL1を制御することで、高い脱硫効率が得られることが分かる。なお、図7のグラフにはプロットされていないが、L1/Hが0.07未満である場合(No.79)は、溶銑飛散量が多く操業そのものが困難であった。
図8は、溶銑量250ton、脱硫剤供給量5kg/tonの場合について、L2/Hと脱硫後の硫黄濃度との関係を示すグラフである。なお、式(4)のL2/Hの下限、すなわちL1/Hの値は、いずれの場合も0.147である。図8から式(4)を満たすように撹拌羽根の浸漬深さL2を制御することで、高い脱硫効率が得られることが分かる。
以上説明したように、当該溶銑の脱硫方法は、インペラの使用状況等に起因する脱硫ばらつきを低減して、安定して脱硫処理後の硫黄濃度を低減できるので、高品質が要求される鋼材の製造に有用である。
1 溶銑鍋
2 撹拌羽根
M 溶銑
2 撹拌羽根
M 溶銑
Claims (1)
- 溶銑鍋内で撹拌羽根を回転させつつ、CaO系脱硫剤を上方から上記溶銑鍋内に供給する溶銑の脱硫方法であって、
全脱硫処理時間t[min]及び脱硫処理後の溶銑中の目標硫黄濃度S[質量%]から溶銑1ton当たりのCaO系脱硫剤の供給量W[kg/ton]を決定する脱硫剤供給量決定工程と、
上記CaO系脱硫剤の溶銑鍋への供給と共に、上記撹拌羽根を溶銑1ton当たりのトルクτ1[kgf・m/ton]で回転させる第1工程と、
上記第1工程後に、上記撹拌羽根の溶銑1ton当たりのトルクをτ1[kgf・m/ton]からτ2[kgf・m/ton]へ一定速度で上昇させる第2工程と、
上記第2工程後に、上記撹拌羽根を溶銑1ton当たりのトルクτ2[kgf・m/ton]で回転させる第3工程と
を備え、
上記第1工程の期間が上記脱硫処理時間t[min]の20%以上30%以下であり、
上記第2工程のトルクの上昇速度が0.15[kgf・m/ton/min]以上1.2[kgf・m/ton/min]以下であり、
上記τ1及びτ2が以下の式(1)及び式(2)を満たし、
上記第1工程の全期間及び上記第2工程のうちトルクが0.8[kgf・m/ton]未満である期間における撹拌羽根の浸漬深さをL1[m]、並びに上記第2工程のうちトルクが0.8[kgf・m/ton]以上である期間及び上記第3工程の全期間における撹拌羽根の浸漬深さをL2[m]、溶銑高さをH[m]とした場合に、以下の式(3)及び式(4)を満たすように撹拌羽根の浸漬深さを制御することを特徴とする溶銑の脱硫方法。
0.5≦τ1≦0.7 ・・・(1)
0.8≦τ2≦1.2 ・・・(2)
0.07≦L1/H≦0.07+0.24×W−0.5 ・・・(3)
L1/H≦L2/H≦0.4 ・・・(4)
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CN109988879A (zh) * | 2019-04-03 | 2019-07-09 | 山东钢铁股份有限公司 | 一种应用于kr铁水脱硫工序的提高脱硫剂卷吸效果的方法 |
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