JP2938840B2 - 鋼板用アルカリ洗浄剤組成物 - Google Patents

鋼板用アルカリ洗浄剤組成物

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、製鉄所等において
冷間圧延鋼板(鋼帯)を連続洗浄する場合、特に電解洗
浄する際に用いられる、冷間圧延鋼板用アルカリ洗浄剤
組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】鋼板表面の脱脂洗浄は、酸洗と共にメッ
キ、塗装等の表面処理を行う前処理として必要であり、
製品の良否を決定づける非常に大きな因子である。鋼板
表面に付着している汚れとしては、冷間圧延時に付着す
る牛脂等のエステル、脂肪酸や鉱物油等の圧延油、防錆
油などの油汚れや、鉄粉等の固体汚れ等が挙げられる。
これらの中でも、特に油汚れが残っていると、焼鈍する
場合に炉内でガス化して揮散はせず、鋼板表面上に炭化
物として残存し、メッキ、塗装むら等の原因となる。
【0003】より効率よく油汚れを除去するために、界
面活性剤が用いられてきた。界面活性剤としては、各種
イオンの影響を受けにくく起泡性の低いノニオン型界面
活性剤が、現在広く用いられている。さらに、金属イオ
ン封鎖剤、洗浄補助剤、鉄粉等の固体汚れ分散剤とし
て、各種キレート剤も一般的に用いられている。このよ
うな鋼板洗浄に関する先行技術として、特開平6−1167
68号公報等が挙げられる。 他方、ノニオン型界面活性剤を用いて、洗浄剤成分を
ひとまとめにした高濃度のアルカリ洗浄剤を得ようとす
る場合には、高濃度のアルカリ剤による塩析作用によ
り、ノニオン型界面活性剤が分離する不具合がある。こ
れを避けるため、従来ではこうした洗浄剤を粉末状又は
フレーク状の固体品として供給するか、或いはアルカリ
剤とノニオン型界面活性剤とを二つに分けた状態で供給
する方法が取られてきた。さらに、特開平4−359096号
公報には、可溶化剤や安定化剤を添加し、均一な液状組
成物を得ようとする技術が開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】鋼板の洗浄設備は通
常、コイル状に巻き取られた鋼板(鋼帯)を連続して洗
浄する構造になっており、30〜1100m/分程度の速度で
操業される。従って、鋼板の洗浄時間は最大でも数秒と
いう極めて短い時間である。鋼板用の洗浄剤は、そのよ
うな短時間の間に鋼板表面に付着している0.1〜3g/m
2の油分を落とさなければならず、非常に高い洗浄性が
要求される。洗浄は通常80℃程度の高い温度で行われて
おり、温度を一定に保つために蒸気を用いて加熱してい
るが、洗浄温度低下による蒸気コストの削減が要望され
ている。しかし、洗浄温度を下げて清浄な鋼板を得るた
めには、上記のように洗浄剤の使用濃度を増加させた
り、洗浄時間を長くしたり、ブラシ洗浄等の物理的洗浄
方法を付加したりする必要があり、容易に洗浄温度を下
げることができなかった。また洗浄温度を下げると、油
脂、エステル等の加水分解反応が遅くなるため、洗浄効
率が低下する。そのため、低温(50℃以下)で効率良く
高速洗浄可能な洗浄剤が求められている。
【0005】一方、近年の鋼板の冷間圧延においては、
ミル清浄性や生産性向上のために、冷間圧延油を牛脂系
圧延油から常温で液体の合成エステル系圧延油へと変更
することが進められている。この合成エステル系圧延油
では一般に、潤滑性向上のために次のような処方が行わ
れている。即ち境界潤滑向上のための複合エステルの添
加、ポリブテンのような粘度指数向上剤の添加、あるい
は油性向上剤としての重合脂肪酸(ポリメライズド脂肪
酸)の添加や、高級脂肪酸の配合量増加などである。し
かし、これらのような高粘度成分を含有する圧延油が付
着した鋼板は、従来の洗浄剤では洗浄力不足で除去しき
れず、洗浄不良が発生する可能性が高い。これは、低粘
度成分を加えることにより圧延油としての粘度を低粘度
化しても、流動性の悪い高粘度成分が選択的に残存して
しまうためと考えられる。また、これまで圧延油のベー
スに用いられてきた牛脂やパーム油等の天然油脂と比較
して、最近用いられている合成エステルはアルカリによ
る鹸化を受けにくく、短時間ではナトリウム石鹸に鹸化
しないため、従来の洗浄剤では洗浄しきれない。さらに
最近では圧延油の酸価を高くする傾向にあるが、酸価が
高くなったことから圧延後に鉄石鹸が大量に発生し、圧
延油の洗浄における乳化性が低下するため洗浄性が低下
するという問題も起こっている。こうしたことから近年
の鋼板は被洗浄性が低下しており、従来の洗浄剤では十
分な清浄化が行われていない。こうした観点からも、洗
浄力の高い洗浄剤が求められている。
【0006】また、湖沼水の富栄養化、汚染の原因にな
っていると指摘されているリン化合物、および生分解性
の悪いアルキルフェノールのオキシアルキレン付加物は
環境への悪影響を考慮し、それらを使用しない洗浄剤も
求められている。
【0007】さらに、ノニオン型界面活性剤を用いて高
濃度のアルカリ洗浄剤を得ようとする場合、可溶化剤等
を用いて高濃度アルカリ溶液中にノニオン型界面活性剤
を配合し一液にする方法が取られてきたが、可溶化する
場合には、ノニオン型界面活性剤の配合量の限界点が低
く、洗浄には何ら効果を持たない可溶化剤を用いること
からCODの上昇を伴う点が問題であった。
【0008】本発明の一つの課題は、現在の80℃という
洗浄温度から50℃以下の洗浄温度に低下させても、物理
的洗浄方法の付加や使用濃度や洗浄時間の増大を必要と
せず、洗浄不良を起こさない冷間圧延鋼板用アルカリ洗
浄剤組成物を提供することである。本発明の別の課題
は、流動性があり、作業性に優れる冷間圧延鋼板用高濃
度アルカリ洗浄剤組成物を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、以下に述
べるアルカリ洗浄剤組成物により、低温(10〜50℃)に
おいても十分清浄な鋼板を得ることができ、かつこの組
成物はその洗浄性能の高さから有機物の添加量が少量で
済むことを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】 すなわち、本発明は、アルカリ剤と、一般式(1) R−O−(CH2CH2O)nH (1) (式中、Rは炭素数5〜12の直鎖又は分岐鎖のアルキル
基又はアルケニル基、nはオキシエチレン基の平均付加
モル数を表し、Rが炭素数5〜10である場合にはnは1
〜20、Rが炭素数11〜12の場合にはnは6〜20である)
に示すポリオキシエチレンアルキルエーテルの少なくと
も1種とを含むことを特徴とする冷間圧延鋼板用アルカ
リ洗浄剤組成物を提供するものである。本発明の洗浄剤
組成物によれば、特定のポリオキシエチレンアルキルエ
ーテルを用いることによって鋼板の低温洗浄が可能にな
るが、こうしたことは先に挙げた先行技術特許には全く
記載されていない。
【0011】また本発明は、アルカリ剤と、一般式
(1) R−O−(CH2CH2O)nH (1) (式中、Rは炭素数5〜12の直鎖又は分岐鎖のアルキル
基又はアルケニル基、nはオキシエチレン基の平均付加
モル数を表し、Rが炭素数5〜10である場合にはnは1
〜20、Rが炭素数11〜12の場合にはnは6〜20である)
に示すポリオキシエチレンアルキルエーテルの少なくと
も1種と、下式(2)
【0012】
【化2】
【0013】(式中、R1〜R6:水素、炭素数1〜5の
アルキル基、炭素数1〜5のアルコキシル基、COO
M、又はOH M:水素、アルカリ金属、炭素数1〜4のアルキルアミ
ン、又は炭素数1〜6のアルカノールアミン m/n(共重合モル比):0/10〜10/1 重量平均分子量(MW):1,000〜100,000) に示す水溶性高分子カルボン酸類の少なくとも1種とを
含むことを特徴とする、冷間圧延鋼板用アルカリ洗浄剤
組成物をも提供する。この組成物は高濃度において液体
状又はスラリー状で流動性があり、しかも分離を生ずる
ことなく安定である。また高濃度の冷間圧延鋼板用アル
カリ洗浄剤組成物を希釈して鋼板の洗浄に用いた場合、
工業用水等の硬度の高い水を用いた場合でも十分に軟水
化する事が可能である。即ち本発明で用いられる水溶性
高分子カルボン酸類は、保管時には安定性に寄与し、洗
浄時にはキレート剤として軟水化に寄与する。この場
合、安定性に寄与する作用は可溶化ではなく、水溶性高
分子カルボン酸の析出によるスラリー化であるが、構造
によっては可溶化能をも有するものがある。
【0014】さらに、本発明の上記冷間圧延鋼板用アル
カリ洗浄剤組成物は、アルドン酸類を含むことができ
る。アルドン酸類を含む場合には、一般式(1)のポリ
オキシエチレンアルキルエーテルとの組み合わせによっ
て、洗浄性能が相乗的に向上する利点がある。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明の冷間圧延鋼板用ア
ルカリ洗浄剤組成物(以下、「鋼板用アルカリ洗浄剤組
成物」という)の構成を詳細に説明する。本発明におい
て用いられるアルカリ剤としては、水溶性のアルカリ剤
であればいずれのものも使用できる。具体例としては、
水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属の
水酸化物、オルソ珪酸ナトリウム、メタ珪酸ナトリウ
ム、セスキ珪酸ナトリウム、一号珪酸ナトリウム、二号
珪酸ナトリウム、三号珪酸ナトリウム等の珪酸塩、リン
酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸
三ナトリウム等のリン酸塩、炭酸二ナトリウム、炭酸水
素ナトリウム、炭酸二カリウム、炭酸水素カリウム等の
炭酸塩、ホウ酸ナトリウム等のホウ酸塩等が挙げられ
る。二種以上の水溶性アルカリ剤を組み合わせても良
い。好ましくは水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、オ
ルソ珪酸ナトリウム、メタ珪酸ナトリウムであり、より
好ましくは水酸化ナトリウム、水酸化カリウムである。
【0016】本発明において用いられるポリオキシエチ
レンアルキルエーテルは、一般式(1) R−O−(CH2CH2O)nH (1) に示すものである。Rは炭素数5〜12の直鎖又は分岐鎖
のアルキル基又はアルケニル基であり、Rが炭素数5〜
10の直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基であ
る場合には、オキシエチレン基の平均付加モル数nは1
〜20、Rが炭素数11〜12の直鎖又は分岐鎖のアルキル基
又はアルケニル基である場合には、オキシエチレン基の
平均付加モル数nは6〜20である。好ましくはRは炭素
数が6〜10の直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニ
ル基であり、Rが炭素数6〜8の直鎖又は分岐鎖のアル
キル基又はアルケニル基の場合にはオキシエチレン基の
平均付加モル数nは1〜10、Rが炭素数が9〜10の直鎖
又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基の場合にはオ
キシエチレン基の平均付加モル数nは4〜10である。さ
らにより好ましくは、Rが炭素数6〜7の直鎖又は分岐
鎖のアルキル基又はアルケニル基の場合にはオキシエチ
レン基の平均付加モル数nは2〜8、Rが炭素数が8〜
10の直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基の場
合にはオキシエチレン基の平均付加モル数nは4〜8で
ある。具体例としては、花王株式会社製エマルゲン109P
(R:ドデシル基、n:9)、青木油脂工業株式会社製
BLAUNONEL-1303(R:デシル基、n:3)、BLAUNON EL
-1305(R:デシル基、n:5)、BLAUNON EL-1506
(R:ドデシル基、n:6)、BLAUNON EL-1507(R:
ドデシル基、n:7.5)、BLAUNON EL-1509(R:ドデシ
ル基、n:9)、BLAUNON EL-1510(R:ドデシル基、
n:10)、BLAUNON EL-1513(R:ドデシル基、n:1
3)、BLAUNON EL-1515(R:ドデシル基、n:15)、BL
AUNON EH-2(R:2-エチルヘキシル基、n:2)、BLAU
NON EH-4(R:2-エチルヘキシル基、n:4)、BLAUNO
N EH-6(R:2-エチルヘキシル基、n:6)、BLAUNON
EH-11(R:2-エチルヘキシル基、n:11)、日本乳化
剤株式会社製ヘキシルグリコール(R:ヘキシル基、
n:1)、ヘキシルジグリコール(R:ヘキシル基、
n:2)、2エチルヘキシルグリコール(R:2-エチル
ヘキシル基、n:1)、2エチルヘキシルジグリコール
(R:2-エチルヘキシル基、n:2)、株式会社日本触
媒製ソフタノールL70(R:2級デシル、ウンデシル、
ドデシル基、n:7)、ソフタノールL90(R:2級デ
シル、ウンデシル、ドデシル基、n:9)、ソフタノー
ルL120(R:2級デシル、ウンデシル、ドデシル基、
n:12)等が挙げられる。2種以上のポリオキシエチ
レンアルキルエーテルを組み合わせても良い。
【0017】本発明において用いられる水溶性高分子カ
ルボン酸類は、一般式(2)
【0018】
【化3】
【0019】に示すものである。式中のR1〜R6は、水
素、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のアルコ
キシル基、COOM、OHのいずれかであり、すべて同
じでもそれぞれ異なっていても良い。一般式(2)の両
末端は特に限定されないが、水素原子、OH、炭素数1
〜5のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシル基又は
SO3M等が挙げられ、やはり同じでも異なっていても
良い。Mは水素、アルカリ金属、炭素数1〜4のアルキ
ルアミン、炭素数1〜6のアルカノールアミンのいずれ
かである。m及びnは、それぞれかっこ内のモノマーの
モル数を示し、mは0でも構わない。mが0の場合は、
モル数をnで表すモノマーのホモポリマーとなる。mと
nの共重合モル比m/nは0/10〜10/1であり、重量
平均分子量(MW)は1,000〜100,000、好ましくは3,00
0〜50,000、より好ましくは5,000〜20,000である。重合
形態はブロックでもランダムでもよい。具体例として
は、アクリル酸ホモポリマー、アクリル酸−マレイン酸
共重合体、α−ヒドロキシアクリル酸ホモポリマー、C
5オレフィン−マレイン酸共重合体、イソブチレン−マ
レイン酸共重合体等、及びこれらのアルカリ金属塩もし
くはアミン塩等が挙げられる。好ましくはアクリル酸ホ
モポリマー、アクリル酸−マレイン酸共重合体である。
具体的な製品名としては、花王株式会社製ポイズ540、
ポイズ530、ポイズ521、ポイズ520、日本パーオキサイ
ド株式会社製ペールプラック250、ペールプラック120
0、ペールプラック5000、日本ゼオン株式会社製クイン
フロー540、クインフロー542、クインフロー543、クイ
ンフロー560、クインフロー640、クインフロー750、東
亞合成株式会社製アロンT-40(M)、株式会社クラレ製イ
ソバン06、イソバン04、イソバン600、株式会社日本触
媒製アクアリックDL100等が挙げられる。2種以上の水
溶性高分子カルボン酸類を組み合わせても良い。
【0020】本発明において用いられるアルドン酸類
は、カルボキシル基を有する単糖類及びそのアルカリ金
属塩もしくはアミン塩である。具体例としては、グリセ
リン酸、テトロン酸、ペントン酸、ヘキソン酸、ヘプト
ン酸等及びそれらのアルカリ金属塩もしくはアミン塩が
挙げられる。好ましくはグルコン酸、グルコヘプトン酸
等及びそれらのアルカリ金属塩もしくはアミン塩であ
り、より好ましくはグルコン酸ナトリウム又はグルコヘ
プトン酸ナトリウムである。アルドン酸類も2種以上を
組み合わせて用いることができる。
【0021】本発明組成物の媒体には水を用いるが、脱
イオン水であるのが望ましい。
【0022】次に、本発明組成物の鋼板洗浄時の配合量
について示すと、組成物中のアルカリ剤の配合量は鋼板
洗浄時には好ましくは0.5〜10.0wt%、さらに好ましく
は1.0〜8.0wt%である。鋼板洗浄時に0.5wt%未満では
洗浄性に劣り、10.0wt%を越えて添加しても洗浄性能は
飽和してくる傾向がある一方で、経済的に不利である。
特に好ましくは、水酸化ナトリウムを鋼板洗浄時に1.0
〜8.0wt%の配合量で用いる。なお、アルカリ剤の選定
並びに配合においては、洗浄性の面、及び電気伝導度の
面から、鋼板洗浄時のpHが12.5を越える範囲となるよう
にするのが望ましい。
【0023】本発明組成物に対するポリオキシエチレン
アルキルエーテルの配合量は、鋼板洗浄時には好ましく
は0.05〜5.0wt%、さらに好ましくは0.1〜3.0wt%であ
る。鋼板洗浄時に0.05%未満では洗浄性に劣り、5.0wt
%を越えて添加しても洗浄性能は飽和してくる傾向があ
る一方でCODが高くなり、経済的に不利である。上記
一般式(1)においてRが炭素数が6〜7の直鎖又は分
岐鎖のアルキル基又はアルケニル基であり、オキシエチ
レン基の平均付加モル数nが2〜8のもの、又はRが炭
素数が8〜10の直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケ
ニル基であり、オキシエチレン基の平均付加モル数nが
4〜8のものは、鋼板洗浄時の配合量が0.1〜2.0wt%で
も良好な洗浄性が得られる。特に、ジオキシエチレンヘ
キシルエーテル、テトラオキシエチレンヘキシルエーテ
ル、テトラオキシエチレンヘプチルエーテル、テトラオ
キシエチレンオクチルエーテル、ヘキサオキシエチレン
オクチルエーテル、テトラオキシエチレンノニルエーテ
ル、テトラオキシエチレン2-エチルヘキシルエーテル、
ヘキサオキシエチレン2-エチルヘキシルエーテルは、鋼
板洗浄時に0.1〜1.0wt%でも良好な洗浄性が得られる。 本発明組成物に対する水溶性高分子カルボン酸類の配合
量は、鋼板洗浄時には好ましくは0.05〜1.0wt%、さら
に好ましくは0.1〜0.5wt%である。鋼板洗浄時に0.05wt
%未満では工業用水等の硬度の高い水を用いた場合に十
分に軟水化する事ができず、カルシウムイオンやマグネ
シウムイオンが汚れとして混入してくる脂肪酸と水不溶
性の塩を作り、洗浄不良の原因となる可能性が高くな
る。また、1.0wt%を越えて添加しても、軟水化能は飽
和してくるのに対し、CODが高くなり経済的に不利で
ある。
【0024】本発明組成物に対するアルドン酸類の配合
量は、鋼板洗浄時には好ましくは0.03〜3.0wt%、さら
に好ましくは0.05〜2.0wt%である。鋼板洗浄時に0.03w
t%未満では洗浄性に劣り、3.0wt%を越えて添加しても
洗浄性能が飽和してくる一方でCODが高くなり経済的
に不利となる。グルコン酸ナトリウム、グルコヘプトン
酸ナトリウムの場合は、0.05〜1.0wt%でも良好な洗浄
性が得られる。
【0025】本発明の組成物を鋼板洗浄に用いる場合、
それぞれの成分をあらかじめ一液ないし二液等に配合し
ておいて洗浄槽で使用前に水で希釈しても、それぞれの
成分をそれぞれ単独で洗浄槽に投入し、水で希釈しても
構わない。
【0026】次に、本発明による保管時の高濃度のアル
カリ洗浄剤組成物(以下「高濃度アルカリ洗浄剤組成
物」という)の配合量について示す。まずアルカリ剤の
配合量は、保管時には好ましくは20.0〜48.0wt%、さら
に好ましくは30.0〜45.0wt%である。保管時に20.0wt%
以下では水溶性高分子カルボン酸類の析出量が少なく、
スラリーとして安定性を保てないため安定性に劣り、4
8.0wt%を越えて添加すると洗浄剤の粘度が高くなりす
ぎて望ましくない。特に好ましくは、水酸化ナトリウム
を保管時に33.0〜42.0wt%の配合量で用いる。
【0027】本発明の高濃度アルカリ洗浄剤組成物に対
するポリオキシエチレンアルキルエーテルの配合量は、
保管時には好ましくは0.1〜30.0wt%、さらに好ましく
は0.2〜20.0wt%、より好ましくは0.5〜20.0wt%であ
る。保管時に0.1wt%未満では、鋼板洗浄時に必要なポ
リオキシエチレンアルキルエーテルの濃度が得られな
い。また、この組成物はスラリー状で安定化するため、
比重の低いポリオキシエチレンアルキルエーテルが多す
ぎると分離し易くなり、保管時に30.0wt%を越えて添加
すると製品安定性が劣る。
【0028】本発明の高濃度アルカリ洗浄剤組成物に対
する水溶性高分子カルボン酸類の配合量は、保管時には
好ましくは0.5〜10.0wt%、さらに好ましくは1.0〜8.0w
t%である。保管時に0.5wt%未満では製品安定性に劣
り、10.0wt%を越えて添加すると洗浄剤の粘度が高くな
り過ぎて洗浄剤の配管輸送が困難になる。特に好ましく
は、アクリル酸ホモポリマー(MW:5,000〜20,00
0)、アクリル酸−マレイン酸共重合体(MW:5,000〜
20,000)及び/又はこれらのナトリウム塩を1.0〜6.0wt
%の配合量で用いる。
【0029】本発明の高濃度アルカリ洗浄剤組成物に対
するアルドン酸類の配合量は、保管時には好ましくは0.
05〜20.0wt%、さらに好ましくは0.1〜15.0wt%、より
好ましくは0.5〜15.0wt%である。保管時に0.05wt%未
満では鋼板洗浄時に必要なアルドン酸類の濃度が得られ
ない。また、保管時に20.0wt%を越えて添加すると、ア
ルドン酸を溶解させるのに必要な水の量が多くなり、製
品安定化に必要なアルカリ剤及び水溶性高分子カルボン
酸類の必要量が配合できなくなる。
【0030】本発明の鋼板用アルカリ洗浄剤組成物は、
ライン速度が500m/分以上の高速で洗浄する際に効果
的であり、ライン速度が800m/分以上の高速で洗浄す
る際により効果的である。特に、電解洗浄に要する時間
が1秒以下の高速で冷延鋼板を洗浄する際に効果的であ
る。一般の鋼板洗浄ラインは、浸漬洗浄→ブラシ洗浄→
電解洗浄→ブラシ洗浄→リンス→乾燥という構成を取る
が、浸漬洗浄から乾燥まではおよそ50mであり、ライン
速度500m/分の場合には全工程で6秒という極めて短
い時間の中で洗浄が行われる。そのうち電解洗浄工程は
10〜20m程度であり、ライン速度が500m/分の場合に
は1.2〜2.4秒程度という計算になる。本発明の鋼板用ア
ルカリ洗浄剤組成物は、こうした短時間での、さらには
より短い時間での電解洗浄に効果的であり、またそれに
よって洗浄ライン速度を増大させることを可能にする。
【0031】また本発明の鋼板用アルカリ洗浄剤組成物
は、合成エステルを50重量%以上含有する圧延油が付着
してなる鋼板に対して効果的であり、合成エステルを70
重量%以上含有する圧延油が付着してなる鋼板に対して
より効果的である。合成エステルとしては、ゾーマリン
酸、オレイン酸、リノール酸、ガドレイン酸、トール油
脂肪酸等の炭素数16〜20の高級脂肪族不飽和酸のダイマ
ー酸又はポリマー酸を原料とする合成エステル、プロピ
レングリコール、エチレングリコール、ジエチレングリ
コール、ネオペンチルグリコール、ブタンジオール、ペ
ンタンジオール、ポリオキシエチレングリコール、ポリ
オキシプロピレングリコール、トリメチロールプロパ
ン、ペンタエリスリトール、グリセリン等の多価アルコ
ールと炭素数6〜22の脂肪族カルボン酸を原料とする合
成エステル、炭素数1〜12の脂肪族アルコールと炭素数
6〜22の脂肪族カルボン酸を原料とする合成エステル、
多価アルコールと炭素数6〜22の脂肪族ヒドロキシカル
ボン酸を原料とする合成エステル、アジピン酸、セバシ
ン酸、アゼライン酸、フタル酸、トリメリット酸、ピロ
メリット酸等の多塩基酸と炭素数1〜12の脂肪族アルコ
ールを原料とする合成エステル、及び上記アルコールの
エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレン
オキサイド付加物とのエステル等が挙げられる。
【0032】さらに、本発明の鋼板用アルカリ洗浄剤組
成物は、酸価が10KOHmg/g以上である圧延油が付着
してなる鋼板に対して効果的であり、酸価が20KOHmg
/g以上である圧延油が付着してなる鋼板に対してより
効果的である。
【0033】本発明の鋼板洗浄用アルカリ洗浄剤組成物
は、合成エステルを50重量%以上含有し、かつ酸価が10
KOHmg/g以上である圧延油が付着してなる鋼板に対
して特に効果的である。
【0034】また本発明の鋼板用アルカリ洗浄剤組成物
は、高粘度エステルを10重量%以上含有する圧延油が付
着してなる鋼板に対して効果的であり、高粘度エステル
を20重量%以上含有する圧延油が付着してなる鋼板に対
してより効果的である。特に高粘度エステルの粘度が40
℃で70mm2/s以上、好ましくは100mm2/s以上、より
好ましくは150mm2/s以上である圧延油が付着してなる
鋼板に対して効果的である。高粘度エステルとしては、
ゾーマリン酸、オレイン酸、リノール酸、ガドレイン
酸、トール油脂肪酸等の炭素数16〜20の高級脂肪族不飽
和酸のダイマー酸又はポリマー酸を原料とする合成エス
テル、プロピレングリコール、エチレングリコール、ジ
エチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ブタン
ジオール、ペンタンジオール、ポリオキシエチレングリ
コール、ポリオキシプロピレングリコール、トリメチロ
ールプロパン、ペンタエリスリトール、グリセリン等の
多価アルコールと炭素数6〜22の脂肪族カルボン酸を原
料とし多価アルコールの水酸基を1以上残した合成エス
テル、多価アルコールと炭素数6〜22の脂肪族ヒドロキ
シカルボン酸を原料とする合成エステル等が挙げられ
る。なおエステルではないが、本発明の鋼板用アルカリ
洗浄剤組成物は、ポリブテン等の高粘度化合物に対して
も効果的である。
【0035】さらに本発明の鋼板用アルカリ洗浄剤組成
物は、炭素数16〜20の高級脂肪族不飽和酸の重合物を1
重量%以上含有する圧延油が付着してなる鋼板に対して
効果的である。高級脂肪族不飽和酸の重合物としては、
ゾーマリン酸、オレイン酸、リノール酸、ガドレイン
酸、トール油脂肪酸等の炭素数16〜20の高級脂肪族不飽
和酸のダイマー酸及びポリマー酸が挙げられる。
【0036】本発明の鋼板用アルカリ洗浄剤組成物は、
洗浄温度を10〜50℃に低下させても鋼板を十分に清浄化
できるが、50℃よりも高い温度において洗浄すれば、よ
り清浄度は高くなる。
【0037】更に、本発明の鋼板用アルカリ洗浄剤組成
物には一般的に使用されている洗浄性を向上させる有機
ビルダー、例えばニトリロ三酢酸、エチレンジアミン四
酢酸、エチレンジアミン二酢酸、テトラエチレンテトラ
ミン六酢酸等のアルカリ金属塩もしくは低級アミン塩等
のアミノカルボン酸類等を、COD及びコストの上昇を
考慮した上で配合することも可能である。
【0038】また、本発明の鋼板用アルカリ洗浄剤組成
物には、さらに一般的に使用されている洗浄性を向上さ
せる界面活性剤、例えばノニオン型界面活性剤、アニオ
ン型界面活性剤、両性型界面活性剤等を、COD及びコ
ストの上昇を考慮した上で配合することも可能である。
【0039】本発明の鋼板用アルカリ洗浄剤組成物は、
製鉄所等における鋼板(鋼帯)の連続洗浄、すなわち浸
漬洗浄、スプレー洗浄、ブラシ洗浄、電解洗浄等におい
てその効果を発揮するが、特に低温において冷延鋼板を
電解洗浄する際に使用すると効果が大きい。
【0040】
【実施例】被洗浄鋼板1の調製 被洗浄鋼板1はすべて以下の手順で調製した。即ち牛脂
系圧延油で冷間圧延した鋼板を25mm×50mmの大きさに切
断し、n−ヘキサンで表面に付着している圧延油を除去
する。そして、予めISOT試験機で熱劣化させて粘度を10
0〜150mm2/Sに増加させた市販の牛脂系圧延油を、付着
量200mg/m2になるように付着させて調製した。
【0041】被洗浄鋼板2の調製 被洗浄鋼板2はすべて以下の手順で調製した。即ち、以
下の表16に示す成分を表17に示す量で配合し、調製した
圧延油を用いて鋼板を冷間圧延し、これを25mm×50mmの
大きさに切断して調製した。
【0042】洗浄剤組成 洗浄剤の組成は各表中に示すか、又は以下において表の
説明文中に示す。バランス量は脱イオン水である。ま
た、洗浄温度は特に示さない限り、40℃で行った。
【0043】洗浄試験手順 洗浄試験はすべて以下の手順で行った。即ち洗浄液に被
洗浄鋼板を1秒浸漬し、その後続けて電流密度10A/dm
2で鋼板電位を負から正にそれぞれ0.5秒ずつ一度切り替
えて電解洗浄し、水でリンスした後、乾燥するものであ
る。
【0044】残存付着油分量測定方法 洗浄試験後の鋼板表面の付着油分量は、すべて鋼板付着
油量測定装置EMIA-111(株式会社堀場製作所製)を用い
て測定した。測定値は5回測定の平均値である。洗浄性
の判断基準としては、残存表面付着油分量が40mg/m2
上は不良、20mg/m2以上40mg/m2未満は良、10mg/m2
上20mg/m2未満は優、10mg/m2未満は特優とした。
【0045】製品安定性 室温保管時における高濃度の洗浄剤組成物の状態の経時
変化を観察して安定性を評価した。一日で分離するか均
一化しない場合を×、一日で分離せず均一な場合を○と
した。
【0046】以上の条件で洗浄試験及び製品安定化試験
を行った結果を表1〜表18に示す。表8以降の水溶性高
分子カルボン酸類は、表6,7で用いた略称を用いて示
した。また、表1〜5及び8〜14は被洗浄鋼板1を洗浄
試験に用いた結果を示し、表18は被洗浄鋼板2を洗浄試
験に用いた結果を示す。
【0047】
【表1】
【0048】
【表2】
【0049】
【表3】
【0050】
【表4】
【0051】
【表5】
【0052】
【表6】
【0053】
【表7】
【0054】
【表8】
【0055】
【表9】
【0056】
【表10】
【0057】
【表11】
【0058】
【表12】
【0059】
【表13】
【0060】
【表14】
【0061】
【表15】
【0062】
【表16】
【0063】
【表17】
【0064】
【表18】
【0065】まず表1〜表3は、アルカリ剤に水酸化ナ
トリウムを2.0重量%の濃度で用い、各種ポリオキシエ
チレンアルキルエーテルの洗浄性を比較した結果を示
す。表2及び表3から明らかなように本発明の組成物の
洗浄性の評価は低温においても全て良以上であるが、規
定した範囲外(表1)では、高温では良又は優となる場
合もあるが、低温条件では全て不良となることが判る。
【0066】表4は、アルカリ剤に水酸化ナトリウムを
2.0重量%の濃度で用い、洗浄性に対するポリオキシエ
チレンアルキルエーテルの濃度の影響を比較した結果を
示す。表4から明らかなように本発明の組成物は洗浄性
が良好であることが判る。添加量が15wt%や20wt%の場
合にも洗浄性は上昇するが、飽和する傾向が見られる。
【0067】表5は、アルカリ剤及びまたはアルドン酸
類の種類及び濃度について洗浄性を比較した結果を示
す。表5から明らかなように本発明の組成物は洗浄性が
良好であり、またアルドン酸類の添加によって洗浄性が
さらに向上することが判る。
【0068】表6及び表7は、アルカリ剤として水酸化
ナトリウム(40.0wt%)、ポリオキシエチレンアルキル
エーテルとしてジオキシエチレンヘキシルエーテル(4.
0wt%)を用い、各種の水溶性高分子カルボン酸類を表
に示す添加量で配合した高濃度アルカリ洗浄剤組成物に
ついて、製品安定性を評価した結果を示す。なお、水溶
性高分子カルボン酸類の両末端は全てOH基であり、ま
たバランス量は脱イオン水である。これらの表から明ら
かなように、本発明の組成物は安定であることが判る。
特に、添加量が0.5〜10.0wt%の範囲で良好な結果が得
られている。なお表6及び表7において、水溶性高分子
カルボン酸類の濃度が12.0wt%の場合にも安定性は良好
であるが、粘度が高いため流動性が低く、従って搬送性
には劣る。また表中の分子量は重量平均分子量を示し、
ゲル浸透クロマトグラフ(GPC)法によってポリエチ
レングリコールを標準として用いて測定した。
【0069】表8〜表10は、アルカリ剤として水酸化ナ
トリウムを34.0wt%の濃度で用い、水溶性高分子カルボ
ン酸類として水溶性高分子カルボン酸(WPC-3)を4.0w
t%の濃度で用い、各種のポリオキシエチレンアルキル
エーテルを配合した高濃度アルカリ洗浄剤組成物につい
て、洗浄性を比較した結果を示す。洗浄試験は、表中に
示す組成を17倍に水で希釈して行った。表9及び表10か
ら明らかなように、本発明の組成物の洗浄性評価は全て
良以上であるが、規定した範囲外(表8)で不良となる
ことが判る。また本発明の組成物は全て良好な(○)安
定性を示した。
【0070】表11及び表12は、アルカリ剤として水酸化
ナトリウムを、水溶性高分子カルボン酸類として水溶性
高分子カルボン酸(WPC-4)を2.5wt%の濃度で用いて
高濃度アルカリ洗浄剤組成物にした場合の、洗浄性に対
するポリオキシエチレンアルキルエーテルの濃度の影響
を比較した結果を示す。洗浄試験は、表中に示す組成を
表11では10倍に、表12では2倍に水で希釈して行った。
これらの表から明らかなように、本発明の組成物は洗浄
性が良好であることが判る。また本発明の組成物は全て
良好な(○)安定性を示した。
【0071】表13及び表14は、アルカリ剤及び/又はア
ルドン酸類の種類及び濃度を変えて、高濃度アルカリ洗
浄剤組成物の洗浄性及び製品安定性を比較した結果を示
す。洗浄試験は、表中に示す組成を20倍に水で希釈して
行った。これらの表から明らかなように、本発明の組成
物は洗浄性が良好であり安定であることが判る。また表
13と表14を対比すれば、アルドン酸類を含むことによ
り、洗浄性がさらに向上することが判る。
【0072】表15は、アルカリ剤として水酸化ナトリウ
ム(40.0wt%)、ポリオキシエチレンアルキルエーテル
としてジオキシエチレンヘキシルエーテル(4.0wt%)
を用いた高濃度アルカリ洗浄剤組成物について、各種の
水溶性高分子カルボン酸類の種類及び濃度を変えて製品
安定性を比較した結果を示す。表15から明らかなように
本発明の組成物は安定であることが判る。特に、添加量
が0.5〜10.0wt%の範囲で良好な結果が得られている。
表6及び表7の場合と同様に、水溶性高分子カルボン酸
類の濃度が12.0wt%の場合にも安定性は良好であるが、
粘度が高いため流動性が低く、従って搬送性には劣る。
【0073】表18は、アルカリ剤に水酸化ナトリウムを
2.0重量%の濃度で用い、実施例及び比較例としてそれ
ぞれ表18に示した洗浄剤を用いて、異なる圧延油に対す
る洗浄性を比較した結果を示す。本発明の組成物の洗浄
性の評価は低温においても全て良好であるが、比較例で
は温度を下げると十分な洗浄性が得られないことが判
る。
【0074】
【発明の効果】本発明の鋼板用アルカリ洗浄剤組成物
は、極めて優れた脱脂効果を有するため有機物の配合量
が少量で済み、また洗浄温度を低下させることができ、
これにより鋼板製造コストを低減させることができる。
また、本発明の水溶性高分子カルボン酸類を含有する鋼
板用アルカリ洗浄剤組成物は、高濃度においても流動性
があり安定な洗浄剤であることから、洗浄剤濃度管理が
容易で安定操業が可能になる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C11D 3/37 C11D 3/37 10/02 10/02 C25F 1/00 C25F 1/00 B (56)参考文献 特開 平4−359096(JP,A) 特開 平8−34993(JP,A) 特開 平5−17788(JP,A) 特公 平7−103395(JP,B2) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C23G 5/032

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アルカリ剤と、一般式(1) R−O−(CH2CH2O)nH (1) (式中、Rは炭素数5〜12の直鎖又は分岐鎖のアルキル
    基又はアルケニル基、nはオキシエチレン基の平均付加
    モル数を表し、Rが炭素数5〜10である場合にはnは1
    〜20、Rが炭素数11〜12の場合にはnは6〜20である)
    に示すポリオキシエチレンアルキルエーテルの少なくと
    も1種とを含むことを特徴とする冷間圧延鋼板用アルカ
    リ洗浄剤組成物。
  2. 【請求項2】 アルカリ剤と、一般式(1) R−O−(CH2CH2O)nH (1) (式中、Rは炭素数5〜12の直鎖又は分岐鎖のアルキル
    基又はアルケニル基、nはオキシエチレン基の平均付加
    モル数を表し、Rが炭素数5〜10である場合にはnは1
    〜20、Rが炭素数11〜12の場合にはnは6〜20である)
    に示すポリオキシエチレンアルキルエーテルの少なくと
    も1種と、下式(2) 【化1】 (式中、R1〜R6:水素、炭素数1〜5のアルキル基、
    炭素数1〜5のアルコキシル基、COOM、又はOH M:水素、アルカリ金属、炭素数1〜4のアルキルアミ
    ン、又は炭素数1〜6のアルカノールアミン m/n(共重合モル比):0/10〜10/1 重量平均分子量(MW):1,000〜100,000) に示す水溶性高分子カルボン酸類の少なくとも1種とを
    含むことを特徴とする、冷間圧延鋼板用アルカリ洗浄剤
    組成物。
  3. 【請求項3】 さらにアルドン酸類の少なくとも1種を
    含む、請求項1又は2の冷間圧延鋼板用アルカリ洗浄剤
    組成物。
  4. 【請求項4】 冷延鋼板の電解洗浄に用いられる、請求
    項1から3の何れか1の冷間圧延鋼板用アルカリ洗浄剤
    組成物。
  5. 【請求項5】 合成エステルの少なくとも1種を50重量
    %以上含有する及び/又は酸価が10KOHmg/g以上で
    ある圧延油が付着してなる鋼板を洗浄する際に用いられ
    る、請求項1から4の何れか1の冷間圧延鋼板用アルカ
    リ洗浄剤組成物。
  6. 【請求項6】 粘度が40℃で70mm 2 /s以上である高粘
    度エステルの少なくとも1種を10重量%以上含有する圧
    延油が付着してなる鋼板を洗浄する際に用いられる、請
    求項1から5の何れか1の冷間圧延鋼板用アルカリ洗浄
    剤組成物。
  7. 【請求項7】 炭素数が16〜20の高級脂肪族不飽和酸の
    重合物の少なくとも1種を1重量%以上含有する圧延油
    が付着してなる鋼板を洗浄する際に用いられる、請求項
    1から6の何れか1の冷間圧延鋼板用アルカリ洗浄剤組
    成物。
  8. 【請求項8】 ラインスピードが500m/分以上の高速
    で洗浄を行う際に用いられる、請求項1から7の何れか
    1の冷間圧延鋼板用アルカリ洗浄剤組成物。
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