JP7042199B2 - 鋼板用洗浄剤組成物 - Google Patents
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Description
R1-O-(EO)n-H (1)
(式(1)において、R1は炭素数6の炭化水素基、EOはエチレンオキシ基であり、nはEOの付加モル数であり、nは1以上3以下の整数である。)
本実施形態の鋼板用洗浄剤組成物(以下、単に「洗浄剤組成物」ともいう)は、アルカリ剤(成分A)、グルコン酸又はその塩(成分B)、下記式(1)に示す化合物(成分C)、下記式(2)に示すアミンオキサイド(成分D)及び水(成分E)を含有する。
R1-O-(EO)n-H (1)
(式(1)において、R1は炭素数6の炭化水素基、EOはエチレンオキシ基であり、nはEOの付加モル数であり、nは1以上3以下の整数である。)
(式(2)において、R2は直鎖又は分岐鎖の炭素数8以上18以下のアルキル基又はアルケニル基を示す。)
前記成分Aは、洗浄性を確保するため、水溶性のアルカリ剤であればいずれのものも使用できるが、中でも無機アルカリ剤が好ましい。無機アルカリ剤の具体例としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物、オルソ珪酸ナトリウム、メタ珪酸ナトリウム、セスキ珪酸ナトリウム等のアルカリ金属の珪酸塩、リン酸三ナトリウム等のアルカリ金属のリン酸塩、炭酸二ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸二カリウム等のアルカリ金属の炭酸塩、ホウ酸ナトリウム等のアルカリ金属のホウ酸塩等を用いることができる。二種以上の水溶性アルカリ剤を組み合わせてもよい。有機汚れの除去性を確保し洗浄性を高める観点から、アルカリ金属の水酸化物及びアルカリ金属の珪酸塩が好ましく、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、オルソ珪酸ナトリウム及びメタ珪酸ナトリウムがより好ましく、水酸化ナトリウム及び水酸化カリウムがさらに好ましい。洗浄後にバッチ焼鈍を行う場合には、焼鈍時に鋼板間の密着を防止する観点から、オルソ珪酸ナトリウム、メタ珪酸ナトリウム、セスキ珪酸ナトリウム等のアルカリ金属の珪酸塩を用いることが好ましいが、鋼板表面にメッキ等の表面処理を行う場合には、表面処理性向上の観点から、水酸化ナトリウム及び水酸化カリウムを用いることが好ましい。
前記成分Bとしては、洗浄性を確保するため、グルコン酸又はその塩であればいずれのものも使用できるが、以下の具体例が好ましい。前記成分Bの具体例としては、グルコン酸、グルコン酸ナトリウム、グルコン酸カリウム、グルコン酸リチウム、グルコン酸カルシウム、グルコン酸マグネシウム、グルコン酸アンモニウム、グルコン酸モノエタノールアミン塩、グルコン酸ジエタノールアミン塩、グルコン酸トリエタノールアミン塩を用いることができる。これらの中でも、有機汚れの洗浄性の観点から、グルコン酸ナトリウム又はグルコン酸カリウムが好ましく、グルコン酸ナトリウムがより好ましい。前記成分Bは少なくとも1種を用いればよく、2種以上を組み合わせて用いることができる。
前記成分Cとしては、下記式(1)に示す化合物であればいずれのものも使用できる。
R1-O-(EO)n-H (1)
(式(1)において、R1は炭素数6の炭化水素基、EOはエチレンオキシ基であり、nはEOの付加モル数であり、nは1以上3以下の整数である。)
前記成分Dは、洗浄性を確保するため、下記式(2)に示すアミンオキサイドであればいずれのものも使用できる。
前記成分Eは、工業用水、水道水及び脱イオン水等を用いることができ、供給性及びコストの観点から、工業用水が好ましく、洗浄性の観点から、イオン交換水が好ましい。
本実施形態の洗浄剤組成物は、洗浄剤として一般に使用される前記成分A~E以外の成分を、性能に影響のない範囲で含有してもよい。前記成分A~E以外の成分の例としては、可溶化剤、分散剤、増粘剤等の濃縮化剤、消泡剤、腐食防止剤、防錆剤、着色剤などが挙げられる。本実施形態の洗浄剤組成物は、濃縮液あるいは各成分個別にあるいは2以上のキットに分けて、使用時に水等の媒体で希釈することで調製できる。輸送費用、保管費用、濃度管理の観点で、濃縮液あるいは濃縮紛体であることが好ましく、可溶化した透明一液型、あるいは一部の成分を分散したスラリー型など、作業性の観点から、液状であることがより好ましい。濃縮液は、5~100倍に濃縮したものが好ましく、保管安定性及び経済性の観点から、10~30倍がより好ましい。
本実施形態の鋼板の洗浄方法は、前記洗浄剤組成物を、アルカリ度(Na2O%)として、0.7%以上2.5%以下になるように成分Eで希釈して鋼板を洗浄する洗浄工程を有する。鋼板洗浄時の前記洗浄剤組成物のアルカリ度は、洗浄性向上の観点から、0.7%以上が好ましく、1.0%以上がより好ましく、1.2%以上がさらに好ましく、1.5%以上がよりさらに好ましく、同様の観点から、2.5%以下が好ましく、2.4%以下がより好ましく、2.3%以下がさらに好ましい。本明細書において、アルカリ度は実施例に記載の方法により測定する。
本実施形態の鋼板用洗浄剤は、例えば、鋼板を圧延油の存在下で冷間圧延する圧延工程と、圧延された鋼板に付着する圧延油を洗浄剤により洗浄する洗浄工程を含む冷間圧延鋼板の製造方法における、前記洗浄工程において、アルカリ洗浄剤として用いることができる。即ち、本実施形態の鋼板の製造方法は、前記鋼板用洗浄剤組成物を用いて鋼板を洗浄する洗浄工程を含む以外は、従来と同様の方法を採用することができる。前記冷間圧延する工程は、製鉄所等において鋼板を圧延油の存在下で冷間圧延する加工処理工程である。
本実施形態の鋼板の洗浄方法は、前記洗浄工程で前記鋼板用洗浄剤組成物を用いることにより、鋼板表面を清浄化でき、メッキ等の表面処理不良による外観不良を抑制できる。一般的に、洗浄工程には、洗浄剤組成物を用いた浸漬洗浄、スプレー洗浄、電解洗浄、ブラシ洗浄、電解スプレー洗浄等、水を用いた浸漬リンス、スプレーリンス、ブラシリンス等を組み合わせ、最後に熱風により乾燥する方法が用いられる。排水処理負荷低減及びコスト低減の観点から、洗浄剤やリンス液は循環し繰り返し使用され、汚れの蓄積量に応じて更新される。電解洗浄は鋼板表面と電極間に直流電流を流し、鋼板表面で水の電気分解を行い微細な水素又は酸素の気泡を発生させ、鋼板表面の微細な凹凸に影響されることなく鋼板表面に強い物理力を生じさせることができる。そのため電解洗浄は仕上げ洗浄という位置づけであり、鋼板表面の高い清浄度を得る観点から、汚れ蓄積の少ない状態で使用されることが好ましく、電解洗浄の前に大部分の汚れを除去しておくことが好ましい。前記鋼板用洗浄剤組成物を用いることにより、物理力の弱い浸漬洗浄、スプレー洗浄、ブラシ洗浄、電解スプレー洗浄において、高い洗浄効果を発揮し、電解洗浄を行わなくても鋼板表面を清浄化でき、仕上げ洗浄に電解洗浄を用いる場合でも、電解洗浄工程への汚れ持込みを低減でき、より高い鋼板表面の清浄度を得られる。
<実施例1~10、及び比較例1~9>
実施例1~10、及び比較例1~9の洗浄剤組成物は、表1に示した含有量になるように以下の手順で300g調製した。表1に記載の数値は有効成分の量を表し、単位は質量%である。
1.300mLガラスビーカーにグルコン酸及びその塩(成分B)と水(成分E)を添加し、混合撹拌して混合液を得た。
2.前記1で得られた混合液にアルカリ剤(成分A)を添加して、混合撹拌して混合液を得た。
3.前記2で得られた混合液に式(1)に示す化合物(成分C)と、アミンオキサイド(成分D)とを添加し、混合撹拌して試験液を得た。
表1に記載の各成分は下記のものを使用した。
・成分A(アルカリ剤)
水酸化ナトリウム:株式会社トクヤマ製、液体苛性ソーダ(濃度48質量%)
・成分B(グルコン酸及びその塩)
グルコン酸ナトリウム:扶桑化学工業株式会社製、グルコン酸ソーダ
・成分C(式(1)に示す化合物)
HeDG:日本乳化剤株式会社製、ヘキシルジグリコール
PhG:日本乳化剤株式会社製、フェニルグリコール
HeG:日本乳化剤株式会社製、ヘキシルグリコール
PhDG:日本乳化剤株式会社製、フェニルジグリコール
・成分D(アミンオキサイド)
ジメチルラウリルアミンオキサイド:花王株式会社製、アンヒトール20N(35質量%水溶液)
・成分E(水)
イオン交換水:オルガノ株式会社製の純水装置G-10DSTSETで製造した1μS/cm以下の純水
・その他の成分
EHDG:日本乳化剤株式会社製、2-エチルヘキシルジグリコール
1-ヘキサノール:東京化成工業株式会社製
BDG:日本乳化剤株式会社製、ブチルジグリコール
PhFG:日本乳化剤株式会社製、フェニルプロピレングリコール
BzDG:日本乳化剤株式会社製、ベンジルジグリコール
測定液を100mLガラス製三角フラスコに20g採取し、フェノールフタレイン指示薬を3滴添加し、1mol/L塩酸標準溶液で滴定した。終点は赤色から無色に変わる点とし、下式にてアルカリ度を算出した。結果を表1に示す。
アルカリ度(Na2O%)=A×f×3.1÷20
A:滴定に要した1mol/L塩酸標準溶液の使用量(mL)
f:1mol/L塩酸標準溶液のファクター
<被洗浄鋼板>
パーム油を含有する合成エステル系圧延油で冷間圧延された厚さ0.2mmの鋼板を60mm×25mmの大きさに切断し、鋼板洗浄試験に用いた。当該鋼板の洗浄前の炭素付着量を後述の残存炭素付着量測定方法と同様の方法によって測定した結果、130mg/m2であった。
300mLガラスビーカー中に試験液300gを入れた後に、試験液を30℃に加温した。次いで、被洗浄鋼板を浸漬し、4秒間搖動した。被洗浄鋼板をビーカーから取出し、スプレー(圧力:2kgf/cm2)で1秒間60℃の温水を吹きかけ、さらに60℃の温水中にて2秒間搖動した。その後、温風乾燥機にて乾燥した。
鋼板表面の汚れの付着量の指標として、炭素・水素/水分分析装置(型番RC-612 LECO社製)を使用し、鋼板上に付着している炭素量(残存炭素付着量)を測定した。装置条件は、鉄の軟化温度以下でかつ鋼板上の汚れが燃焼すると考えられる500℃で鋼板を加熱し、揮発・熱分解または燃焼により発生したCO2から鋼板上に付着している炭素量を割り出した。測定は、最大強度(CO2発生量最大)ピークを100%とし、1%以下まで強度が落ちるまで行った。測定には、8枚の平均値の小数点以下一桁を四捨五入した。結果を表1に示す。
Claims (4)
- 請求項1に記載の洗浄剤組成物を、アルカリ度(Na2O%)として、0.7%以上2.5%以下に調整して鋼板を洗浄する、鋼板の洗浄方法。
- 鋼板が冷間圧延鋼板である、請求項2に記載の洗浄方法。
- 請求項2又は3に記載の洗浄方法を製造工程に有する、鋼板の製造方法。
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