JP5295673B2 - 表面処理鋼板用洗浄剤組成物 - Google Patents

表面処理鋼板用洗浄剤組成物 Download PDF

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Description

本発明は表面処理鋼板用洗浄剤組成物に関する。当該表面処理鋼板用洗浄剤組成物は、製鉄所等において冷間圧延された鋼板(鋼帯)であって、更にメッキ、塗装、化成処理(化成処理剤を加温して鋼板を浸すことで、鋼板の表面にリン酸化合物の皮膜を形成する処理)等による表面処置が施される鋼板について、当該冷間圧延された鋼板を連続洗浄する場合に用いられる。また本発明は、当該表面処理鋼板用洗浄剤組成物を用いる表面処理された冷間圧延鋼板の製造方法に関する。
金属鋼板の製造においては、アルカリ洗浄剤による金属鋼板表面の油汚れの脱脂洗浄は、酸洗と共に、メッキ、塗装等の表面処理を行う前処理として必要であり、製品の良否を決定づける非常に大きな因子である。通常、アルカリ洗浄剤は水酸化ナトリウムなどのアルカリ剤と油汚れを乳化させるための非イオン界面活性剤を含有している。鋼板表面に付着している汚れとしては、冷間圧延時に付着する牛脂等のエステル、脂肪酸や鉱物油等の圧延油、防錆油などの油汚れや、鉄粉等の固体汚れ等が挙げられる。
上記アルカリ洗浄剤の油汚れに対する洗浄性を向上させるために、各種の非イオン界面活性剤を用いることが提案されている(特許文献1乃至3)。上記特許文献1乃至3に記載のアルカリ洗浄剤によれば洗浄性を向上することができる。
特開平10−34900号公報 特開2001−64675号公報 特開2005−126553号公報
しかし、アルカリ洗浄剤の油汚れに対する洗浄性が向上した場合においても、鋼板表面に対する洗浄剤の濡れ性が不十分であって撥水性が高いと、鋼板がアルカリ洗浄剤槽で洗浄される際に、当該洗浄剤中の非イオン界面活性剤が部分的に油滴状となり、鋼板表面に直接吸着し、吸着域近傍の未吸着部分がアルカリ洗浄剤で濡れることができず、当該鋼板がアルカリ洗浄槽から次のアルカリ洗浄槽に搬送される過程が高湿潤下の場合には、その濡れないまま空気と直接接触する部分が酸化して、後の工程である表面処理工程での欠陥(例えばメッキ工程でシミやムラによるメッキ不良の原因)になる等の問題がある。また、アルカリ洗浄剤は、油汚れに対する洗浄性とともに、前記アルカリ洗浄剤は実機における連続使用時(洗浄時)における発泡を抑制することが求められる。
本発明は、鋼板表面に付着している油汚れに対する良好な洗浄性と抑泡性を有しており、かつ鋼板表面に対して良好な濡れ性を示して、表面処理工程における欠陥を抑えることできる表面処理鋼板用洗浄剤組成物を提供すること;また、当該表面処理鋼板用洗浄剤組成物に係るキットを提供すること;更には当該表面処理鋼板用洗浄剤組成物を用いた表面処理された冷間圧延鋼板の製造方法を提供することを目的とする。
即ち、本発明は、
アルカリ剤(A)、
下記一般式(1):
−CH(R)−O−(EO)x1(PO)y1(EO)z1−H (1)
(R及びRはそれぞれ炭素数1〜14の直鎖アルキル基を示し、かつ、RとRの炭素数の和は9〜15であり、EOはオキシエチレン基、POはオキシプロピレン基を示し、x1、z1はオキシエチレン基の平均付加モル数を示し、x1、z1はいずれも1以上であり、かつ、5≦x1+z1≦15を満たす数であり、y1はオキシプロピレン基の平均付加モル数を示し、かつ、0<y1<5を満たす数であり、(EO)Z1は末端H側に位置するブロック付加であり、(EO)x1(PO)y1は、ブロック付加でもランダム付加でもよい。)で表される非イオン界面活性剤(B‐1)、
下記一般式(2):
−O−(EO)x2(PO)y2(EO)z2−H (2)
(Rは炭素数8〜18の直鎖アルキル基又はアルケニル基を示し、EOはオキシエチレン基、POはオキシプロピレン基を示し、x2、z2はオキシエチレン基の平均付加モル数を示し、x2、z2はいずれも1以上であり、かつ、5≦x2+z2≦20を満たす数であり、y2はオキシプロピレン基の平均付加モル数を示し、かつ、0<y2<5を満たす数であり、(EO)Z2は末端H側に位置するブロック付加であり、(EO)x2(PO)y2は、ブロック付加でもランダム付加でもよい。)で表される非イオン界面活性剤(B‐2)、
キレート剤(C)及び水を含有してなり、
かつ、前記非イオン界面活性剤(B‐1)と非イオン界面活性剤(B‐2)の重量比{成分(B‐1)/成分(B‐2)}が、1/9〜5/5、であるpHが12以上の水系組成物からなる表面処理鋼板用洗浄剤組成物、に関する。
また本発明は、アルカリ剤(A)及び水を含有する組成物(イ)と、
前記非イオン界面活性剤(B‐1)と非イオン界面活性剤(B‐2)を、重量比{成分(B‐1)/成分(B‐2)}が、1/9〜5/5である割合で含有する組成物(ロ)とを含んでなり、
キレート剤(C)が組成物(イ)及び/若しくは組成物(ロ)に含有されるか、又は、組成物(イ)及び組成物(ロ)に、さらに、キレート剤(C)若しくはキレート剤(C)を含有する組成物(ハ)を含んでなる、
上記表面処理鋼板用洗浄剤組成物を得るためのキット、に関する。
また本発明は、鋼板を圧延油の存在下で冷間圧延する工程(1)と、前記圧延された鋼板に付着する圧延油をアルカリ洗浄剤により洗浄する工程(2)、前記アルカリ洗浄された鋼板を焼鈍する工程(3)及び前記焼鈍された後の鋼板を表面処理する工程(4)を有する、表面処理された冷間圧延鋼板の製造方法であって、
前記洗浄工程(2)において、前記アルカリ洗浄剤として上記表面処理鋼板用洗浄剤組成物を用いる表面処理された冷間圧延鋼板の製造方法、に関する。
本発明は、鋼板表面に付着している油汚れに対する良好な洗浄性と、実機の連続使用時における抑泡性を有し、かつ鋼板表面に対して良好な濡れ性を有しており、冷間圧延鋼板をメッキ等の表面処理工程に供した場合においても、シミ、ムラ等の欠陥を抑えることができる表面処理鋼板用洗浄剤組成物及び当該組成物に係るキットを提供することができる。
また本発明は、表面処理された冷間圧延鋼板の製造における洗浄工程において、前記表面処理鋼板用洗浄剤組成物を用いて、泡立ちを抑えながら、低残存油分量になるように汚れを除去でき、かつ前記表面処理鋼板用洗浄剤組成物は、鋼板表面に対して良好な濡れ性を示して、表面処理工程においてもシミ、ムラ等の欠陥の抑えることができる、冷間圧延鋼板を製造する方法を提供することができる。
本発明において用いられるアルカリ剤(A)は、油汚れの除去性を確保するため、水溶性のアルカリ剤であればいずれのものも使用できる。具体例としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物、オルソ珪酸ナトリウム、メタ珪酸ナトリウム、セスキ珪酸ナトリウム等の珪酸塩、リン酸三ナトリウム等のリン酸塩、炭酸二ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸二カリウム等の炭酸塩、ホウ酸ナトリウム等のホウ酸塩等が挙げられる。二種以上の水溶性アルカリ剤を組み合わせてもよい。好ましくは水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、オルソ珪酸ナトリウム、メタ珪酸ナトリウムであり、より好ましくは水酸化ナトリウム、水酸化カリウムである。
本発明においては、非イオン界面活性剤として、良好な洗浄性、抑泡性及び濡れ性の点から、上記一般式(1)で示される非イオン界面活性剤(B‐1)と上記一般式(2)で示される非イオン界面活性剤(B‐2)を用いる。
一般式(1)で示される非イオン界面活性剤(B‐1)において、洗浄性、濡れ性の点から、R及びRはそれぞれ炭素数1〜14の直鎖アルキル基であり、好ましくは炭素数2〜12の直鎖アルキル基であり、RとRの炭素数の和は、9〜15であり、好ましくは10〜14であり、更に好ましくは12〜14である。
一般式(1)で表される非イオン界面活性剤(B‐1)を得る際に用いられるエチレンオキサイドやプロピレンオキサイドを付加する前の原料の具体例として、日本触媒化学工業(株)製の商品名ソフタノール30、ソフタノール50、ソフタノール70、ソフタノール90、ソフタノールEP5035、ソフタノールEP7025、ソフタノールEP7045、ソフタノールEP9050等が挙げられる。
また、アルキレンオキサイドを付加する方法は、公知のアルコキシル化方法でよい。このアルコキシル化に用いられる触媒は酸触媒であっても塩基触媒であってもいずれでも良く、また、特開平7−227540号に記載のMgO−ZnO、MgO−SnO、MgO−TiO、MgO−SbO等の狭いアルキレンオキサイド付加分布(narrow range)を与える触媒、特開平1−164437号に記載の同様のMg系触媒のような選択的に狭いアルキレンオキサイド付加分布を与える触媒を用いても合成できる。これらの触媒は反応終了後中和されるか、又は吸着処理により除くことが製品の安定性上好ましい。アルカリ触媒に対する中和剤は酢酸、グリコール酸、乳酸、レブリン酸等の低分子量有機酸が好ましい。
一般式(1)で表される非イオン界面活性剤(B‐1)において、エチレンオキサイドの平均付加モル数を示すx1及びz1はそれぞれ1以上の数であり、x1とz1の和は5以上である。x1とz1の和が5以上であると、一般式(1)で表される非イオン界面活性剤(B‐1)と水との相溶性が良く、濡れ性が良好である。一方、排水処理や発泡等の問題が生じる可能性があることから、x1とz1の和は15以下である。x1とz1の和は、好ましくは5〜12、更に好ましくは7〜12である。なお、x1は2〜6であるのが好ましく、4〜6であるのがより好ましく、z1は2〜6であるのが好ましく、4〜6であるのがより好ましい。
また、一般式(1)で表される非イオン界面活性剤(B‐1)のプロピレンオキサイドの平均付加モル数y1は0より大きく、エチレンオキサイドの平均付加モル数であるx1とz1の和より小さい数であり、好ましくは0.5以上5未満、更に好ましくは1〜4である。y1がx1とz1の和より小さい数であると洗浄性、濡れ性、生分解性等が良くなるため好ましい。
一般式(2)で示される非イオン界面活性剤(B‐2)において、洗浄性、濡れ性の点から、Rは炭素数8〜18の直鎖アルキル基又はアルケニル基であり、好ましくは炭素数10〜18の直鎖アルキル基又はアルケニル基であり、更に好ましくは炭素数10〜16の直鎖のアルキル基又はアルケニル基である。
一般式(2)で示される非イオン界面活性剤(B‐2)を得る際に用いられる、エチレンオキサイドやプロピレンオキサイドを付加する前の原料アルコールの具体例としては、デシルアルコール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール等の直鎖アルコール(花王(株)製の商品名「カルコール1095」,「カルコール2098」及び「カルコール4098」等)、炭素数8〜18の範囲で混合された混合アルコール(花王(株)製の商品名「カルコール2474」等)、オキソ法やチーグラー法を用いて合成された分枝を有する炭素数8〜18のアルコール(協和発酵(株)製の商品名「オキソコール900」,「オキソコール1213」,「デカノール」及び「トリデカノール」;三菱化学(株)製の商品名「ドバノール23」、「ドバノール25」及び「ダイヤドール115H」;シェル化学(株)製の商品名「ネオドール23」、「ネオドール25」、「ネオドール1」及び「リネボール911」等)等が挙げられる。なお、これらのアルコールにアルキレンオキサイドを付加する方法としては、一般式(1)で示される非イオン界面活性剤(B‐1)に関して記載した方法と同様の方法を採用できる。
一般式(2)で表される非イオン界面活性剤(B‐2)において、エチレンオキサイドの平均付加モル数を示すx2及びz2はそれぞれ1以上の数であり、x2とz2の和は5以上の数である。x2とz2の和が5以上であると、一般式(2)で表される非イオン界面活性剤(B‐2)と水との相溶性が良く、濡れ性が良好である。一方、排水処理や発泡等の問題が生じる可能性があることから、x2とz2の和は20以下である。x2とz2の和は、好ましくは6〜18、更に好ましくは8〜15である。なお、x2は3〜9であるのが好ましく、4〜7であるのがより好ましく、z2は3〜9であるのが好ましく、4〜7であるのがより好ましい。
また、一般式(2)で表される非イオン界面活性剤(B‐2)のプロピレンオキサイドの平均付加モル数y2は0より大きく、エチレンオキサイドの平均付加モル数であるx2とz2の和より小さい数であり、好ましくは0.5以上5未満、更に好ましくは1〜4である。y2がx2とz2の和より小さい数であると洗浄性、濡れ性、生分解性等が良くなるため好ましい。
前記非イオン界面活性剤(B‐1)と非イオン界面活性剤(B‐2)は、濡れ性の点から、重量比{成分(B‐1)/成分(B‐2)}が、1/9〜5/5の割合で用いられ、好ましくは2/8〜5/5の割合、更に好ましくは3/7〜4/6の割合で用いられる。前記非イオン界面活性剤(B‐1)と非イオン界面活性剤(B‐2)を上記割合で併用することにより、親油/親水バランスが親水寄りとなって、界面活性剤が油滴として鋼板に直接吸着し難くなり、鋼板へのアルカリ洗浄剤の濡れ性が向上する。
本発明において用いられるキレート剤(C)は、鉄石けん等の汚れに作用して鉄イオン等をキレートし、脂肪酸ナトリウム石けんにして汚れを溶解し易くして、洗浄性を向上させると考えられている。キレート剤(C)としては、グルコン酸、グルコヘプトン酸、グリセリン酸、テトロン酸、ペントン酸、ヘキソン酸、ヘプトン酸等のアルドン酸又はそのアルカリ金属塩若しくは炭素数1〜4の低級アミン塩;ニトリロ三酢酸、エチレンジアミン四酢酸、エチレンジアミン二酢酸、テトラエチレンテトラミン六酢酸等のアミノカルボン酸のアルカリ金属塩若しくは低級アミン塩;クエン酸、リンゴ酸等又はそのオキシカルボン酸のアルカリ金属塩若しくは低級アミン塩;アミノトリメチレンホスホン酸、ヒドロキシエチリデンジホスホン酸、エチレンジアミンテトラメチレンホスホン酸、ジエチレントリアミンペンタメチレンホスホン酸等のホスホン酸又はそのアルカリ金属塩若しくは低級アミン塩;その他、上記のモノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン塩が挙げられる。これらキレート剤(C)としては、アルドン酸又はその塩が好ましく、アルカリ金属塩又は低級アミン塩が好ましい。なかでも、グルコン酸、グルコヘプトン酸のアルカリ金属塩若しくは低級アミン塩、特にグルコン酸ナトリウムが好ましい。キレート剤(C)は少なくとも1種を用いればよく、2種以上を組み合わせて用いることができる。2種以上を組み合わせる場合には、アルドン酸又はその塩と、エチレンジアミン四酢酸等のアミノカルボン酸のアルカリ金属塩を組み合わせるのが好ましい。
本発明の表面処理鋼板用洗浄剤組成物は、アルカリ剤(A)、一般式(1)で示される非イオン界面活性剤(B‐1)と非イオン界面活性剤(B‐2)、及びキレート剤(C)に、更に水を配合することにより調製される水系組成物である。当該水系組成物は、洗浄性を確保する見地からpHが12以上になるように、好ましくはpHが13以上、更に好ましくはpHが14以上になるように調整される。pHはアルカリ剤(A)により調整することができる。なお、本発明の表面処理鋼板用洗浄剤組成物には、前記成分の他に、任意の添加剤を加えることができるが、当該添加剤は、アルカリ剤(A)によりpHを有効に調整できるように、pHへの緩衝作用の小さいものが好ましい。
本発明の表面処理鋼板用洗浄剤組成物における各成分は、洗浄に供するに際しては、洗浄時における洗浄性及び抑泡性、更には濡れ性を確保する見地から、以下の含有量であるのが好ましい。
アルカリ剤(A)の含有量は、0.1〜20重量%が好ましく、0.1〜10重量%がより好ましく、0.5〜8重量%が更に好ましい。また、非イオン界面活性剤(B‐1)及び非イオン界面活性剤(B‐2)の合計含有量は、0.01〜20重量%が好ましく、0.01〜5重量%がより好ましく、0.02〜3重量%が更に好ましい。また、キレート剤(C)の含有量は、0.01〜20重量%が好ましく、0.01〜10重量%がより好ましく、0.05〜5重量%が更に好ましい。
また、本発明の表面処理鋼板用洗浄剤組成物におけるアルカリ剤(A)、非イオン界面活性剤(B‐1)、非イオン界面活性剤(B‐2)及びキレート剤(C)の合計含有量は、0.1〜25重量%が好ましく、0.1〜15重量%がより好ましく、0.5〜10重量%が更に好ましい。
一方、水の含有量は、75〜99.9重量%が好ましく、85〜99.9重量%がより好ましく、90〜99.5重量%が更に好ましい。前記水としては、脱イオン水が望ましい。水により、洗浄剤組成物中の濃度を制御できる。
また本発明の表面処理鋼板用洗浄剤組成物において、前記非イオン界面活性剤(B‐1)及び非イオン界面活性剤(B‐2)の合計含有量は、アルカリ剤(A)を基準として、アルカリ剤(A)1重量部に対して、好ましくは0.005〜2重量部、より好ましくは0.005〜0.4重量部、更に好ましくは0.01〜0.3重量部である。
前記キレート剤(C)の含有量は、アルカリ剤(A)を基準として、アルカリ剤(A)1重量部に対して、好ましくは0.005〜1重量部、より好ましくは0.01〜0.8重量部、更に好ましくは0.05〜0.6重量部である。
本発明の表面処理鋼板用洗浄剤組成物は、洗浄時には、前記アルカリ剤(A)、非イオン界面活性剤(B‐1)、非イオン界面活性剤(B‐2)及びキレート剤(C)を、前記濃度で含有するものが好ましく用いられるが、製造後の保存安定性、運送効率等と考慮すれば、濃厚製品として調製することが好ましい。濃厚組成物は、洗浄時には、更に、水で上記濃度に希釈して用いられる。
濃厚製品では、アルカリ剤(A)の含有量は、好ましくは5〜48重量%、より好ましくは10〜45重量%、更に好ましくは20〜42重量%になるように調整される。5重量%以上であると、スラリーとしての安定性の点でも好ましい。また、洗浄剤組成物を配管で輸送する際の粘度を適正に保つ観点から、48重量%以下であると好ましい。
また、濃厚製品に係わる表面処理鋼板用洗浄剤組成物において、前記非イオン界面活性剤(B‐1)及び非イオン界面活性剤(B‐2)の合計含有量は、0.1〜30重量%、より好ましくは0.2〜20重量%、更に好ましくは0.5〜10重量%である。濃厚製品での割合を0.1重量%以上とすることで、鋼板洗浄時に必要な非イオン界面活性剤(B‐1)及び非イオン界面活性剤(B‐2)の合計含有量の濃度が得られる。また、この組成物はスラリー状で安定化するため、比重の低い非イオン界面活性剤(B‐1)及び非イオン界面活性剤(B‐2)の合計含有量の濃度を30重量%以下とすることで濃厚製品の安定性が良好となる。
また、濃厚製品に係わる表面処理鋼板用洗浄剤組成物において、キレート剤(C)の割合は、0.05〜20重量%、より好ましくは0.1〜15重量%、更に好ましくは0.5〜10重量%である。濃厚製品での割合を0.05重量%以上とすることで鋼板洗浄時に必要なキレート剤(C)の濃度が得られる。また、濃厚製品での割合を20重量%以下とすることで、キレート剤(C)を溶解させるのに必要な水の量を少なくでき、濃厚製品の安定化に必要なアルカリ剤(A)の必要量を確保できる。
なお、濃厚製品に係わる表面処理鋼板用洗浄剤組成物におけるアルカリ剤(A)、非イオン界面活性剤(B‐1)、非イオン界面活性剤(B‐2)及びキレート剤(C)の合計含有量は、5〜60重量%が好ましく、10〜55重量%がより好ましく、20〜50重量%が更に好ましい。一方、水の含有量は、40〜95重量%が好ましく、45〜90重量%がより好ましく、50〜80重量%が更に好ましい。
また、濃厚製品に係わる表面処理鋼板用洗浄剤組成物には、濃厚なアルカリ存在下で、非イオン界面活性剤(B‐1)及び非イオン界面活性剤(B‐2)を白色懸濁状態で分散させるため、スラリー化剤(D)を用いることができる。スラリー化剤(D)としては、水溶性高分子カルボン酸類を配合することができる。当該水溶性高分子カルボン酸類の少なくとも1種を含む洗浄剤組成物は、高濃度においても液体状又はスラリー状で流動性があり、しかも分離を生ずることなく安定である。また高濃度の組成物を希釈して鋼板の洗浄に用いた場合、工業用水等の硬度の高い水を用いた場合でも十分に軟水化する事が可能である。
水溶性高分子カルボン酸類を配合する場合、その割合は、濃厚製品に係わる表面処理鋼板用洗浄剤組成物において、好ましくは0.5〜10重量%、より好ましくは1〜8重量%である。濃厚製品での割合を0.5重量%以上とすることで濃厚製品の安定性を確保でき、10重量%以下とすることで、洗浄剤の粘度を適度に制御でき、洗浄剤の配管輸送を確保できる。水溶性高分子カルボン酸類が配合された濃厚製品を希釈して使用する場合、又は、当初から、前記希釈状態の相当する水溶性高分子カルボン酸類が配合された洗浄剤組成物を使用する場合、鋼板の洗浄工程で遊離した鉄粉の分散を維持し、鋼板に付着させ難くすることにより、洗浄性の向上にも寄与する。
水溶性高分子カルボン酸類の具体例としては、アクリル酸ホモポリマー、アクリル酸−マレイン酸共重合体、α−ヒドロキシアクリル酸ホモポリマー、C5オレフィン−マレイン酸共重合体、イソブチレン−マレイン酸共重合体等、及びこれらのナトリウム塩等のアルカリ金属塩もしくはアミン塩等が挙げられる。好ましくはアクリル酸ホモポリマー、アクリル酸−マレイン酸共重合体である。重量平均分子量(MW)は1,000〜100,000、好ましくは3,000〜50,000、より好ましくは5,000〜20,000である。重合形態はブロックでもランダムでもよい。具体的な製品名としては、花王株式会社製ポイズ540、ポイズ530、ポイズ535、ポイズ521、ポイズ520、日本パーオキサイド株式会社製ペールプラック250、ペールプラック1200、ペールプラック5000、日本ゼオン株式会社製クインフロー540、クインフロー542、クインフロー543、クインフロー560、クインフロー640、クインフロー750、東亞合成株式会社製アロンT‐40、アロンT‐50、株式会社クラレ製イソバン06、イソバン04、イソバン600、株式会社日本触媒製アクアリックDL100等が挙げられる。2種以上の水溶性高分子カルボン酸類を組み合わせても良い。
本発明の表面処理鋼板用洗浄剤組成物には、スラリー化安定剤として、一分子中に2〜50個の極性基を有する芳香族化合物を用いることができる。スラリー安定化剤としては、置換基を有していてもよいベンゼン誘導体、ナフタレン誘導体又はアントラセン誘導体等があげられる。極性基の数を2個以上とすることで、洗浄液がゲル化したり、不安定化したりすることを抑えることができうる。また、極性基の数を50個以下とすることで、抑泡効果を維持しながら安定な洗浄剤を得ることができる。洗浄効果及び抑泡効果を総合すると、極性基数は2〜4個が好ましい。
極性基としては、アルカリ水溶液中で分解しない、あるいは分解されにくいものであって、比較的強い親水性を示すものであれば特に限定されてないが、例えばCOOM、SO3M、OSO3M、NH2、NO2、NR1H、NR23及びOHからなる群より1種以上を選ぶことができる。ここで、Mは水素、アルカリ金属、アルカリ土類金属、炭素数1〜4の脂肪族アミン、アンモニア、又はアルカノールアミンを表し、R1、R2及びR3は同一又は異なる基であり、いずれも炭素数1〜4の直鎖もしくは分岐の、飽和もしくは不飽和のカルボン酸基を表す。本発明においては、なかでもCOOM、SO3Mを含む芳香族化合物が好適に使用される。
スラリー安定化剤の具体例としては、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、スルファニル酸、トリメリット酸、トリメシン酸、1,3−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、アミノ安息香酸、1,5−ナフタレンジスルホン酸、2,6−ナフタレンジスルホン酸、2,7−ナフタレンジスルホン酸、2−ナフトール−6−スルホン酸、1,3,6−ナフタレントリスルホン酸、1,5−ナフタレンジアミン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、β−ナフタレンスルホン酸のホルマリン縮合物等もしくはその塩等が挙げられる。好ましくは、イソフタル酸、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジスルホン酸、2,7−ナフタレンジスルホン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、アミノ安息香酸である。
スラリー安定化剤は、アルカリ水溶液に難溶性のアルコール、ノニオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、両性界面活性剤及び鉱物油などを高濃度アルカリ水溶液中で均一に分散させ、安定な流動性を有するアルカリ洗浄剤の調製を可能とする。従って、従来の均一透明型の洗浄剤に比べ、高濃度アルカリ水溶液中での上記難溶性薬剤の配合量を飛躍的に増大させることができるため、高濃度型の洗浄剤を調製することができる。
本発明の濃厚製品に係わる表面処理鋼板用洗浄剤組成物において、スラリー安定化剤を配合する場合、その割合は、0.1〜20重量%、好ましくは0.3〜5重量%である。0.1重量%以上とすることで安定な洗浄剤組成物が得られ、20重量%以下とすることで洗浄剤の増粘もしくはゲル化する傾向を抑えられる。スラリー安定化剤としては、上記の極性基を有する芳香族化合物を2種以上併用することもできる。また、同種の極性基を有する脂肪族系化合物を併用してもよい。本発明に用いられる上記のスラリー安定化剤は、優れたスラリー安定化作用を有するが、本発明の洗浄剤組成物の洗浄性能に対しても抑泡性能に対しても悪影響を与えないという特性を有する。
更に、本発明の表面処理鋼板用洗浄剤組成物には一般的に使用されている洗浄性を向上させる有機ビルダー等の添加剤を、化学的酸素要求量(COD)及びコストの上昇を考慮した上で配合することが可能である。
本発明の表面処理鋼板用洗浄剤組成物は、アルカリ剤(A)、非イオン界面活性剤(B‐1)、非イオン界面活性剤(B‐2)、キレート剤(C)及び水、更にはスラリー化剤(D)等の任意成分を含有する水系組成物であるが、洗浄時に、それぞれの成分をあらかじめ一剤ないし二剤以上のキットで配合しておいて、洗浄槽で使用前に希釈してもよく、それぞれの成分をそれぞれ単独で洗浄槽に投入し、水で希釈してもよい。
前記キットで配合する場合には、例えば、本発明の表面処理鋼板用洗浄剤組成物は、アルカリ剤(A)及び水を含有する組成物(イ)と、非イオン界面活性剤(B‐1)と非イオン界面活性剤(B‐2)を、重量比{成分(B‐1)/成分(B‐2)}が、1/9〜5/5である割合で含有する組成物(ロ)とを含んでなり、キレート剤(C)が組成物(イ)及び/又は組成物(ロ)に含有される二剤型のキットにより調製することができる。また、本発明の表面処理鋼板用洗浄剤組成物は、前記組成物(イ)及び組成物(ロ)の他に、さらに、キレート剤(C)をそのまま、あるいはキレート剤(C)を含有する組成物(ハ)を含んでなる、三剤型のキットにより調製することができる。このようなキットを用いることにより、高濃度アルカリ洗浄液中で塩析により非イオン界面活性剤(B‐1)と非イオン界面活性剤(B‐2)に係る成分濃度が低下した場合でも、不足分を容易に補給することができる。これらのキットを用いることは、分割補給のための作業負荷を軽減すること、また濃度管理を簡易化する観点から好ましく、特に洗浄液を循環使用する場合に好ましい。
なお、前記したキットにおける、組成物(イ)は、アルカリ剤(A)を水に添加して撹拌・混合して調製した水溶液として得ることができる。非イオン界面活性剤(B‐1)及び非イオン界面活性剤(B‐2)はいずれも、通常、液体であり、組成物(ロ)は、非イオン界面活性剤(B‐1)及び非イオン界面活性剤(B‐2)の単なる配合物、あるいは水によって希釈して調製した水溶液として得ることができる。また、組成物(ロ)は、非イオン界面活性剤(B‐1)及び非イオン界面活性剤(B‐2)に、粉末成分を配合して、少し湿った粉末組成物として調製することができる。組成物(ロ)を少し湿った粉末組成物として調製するにあたっては、組成物(ロ)は粉末成分が主成分となり、組成物(ロ)中における非イオン界面活性剤(B‐1)及び非イオン界面活性剤(B‐2)の合計の割合が、通常、15重量%以下になるように調整されることが好ましい。前記組成物(ロ)に配合される粉末成分としては、例えば、キレート剤(C)があげられる。
一方、キレート剤(C)は組成物(イ)及び/又は組成物(ロ)のいずれに添加してもよい。キレート剤(C)をアルカリ剤(A)とともに組成物(イ)に配合する場合には、アルカリ剤(A)よりも先にキレート剤(C)を水に溶解させるのが好ましい。キレート剤(C)を組成物(ロ)に配合する場合には、前述の通り、少し湿った粉末組成物になるように調製するのが好ましい。またキレート剤(C)を、組成物(イ)、組成物(ロ)とは別に調整する場合には、キレート剤(C)をそのまま、又はキレート剤(C)を含有する組成物(ハ)として調製することができる。組成物(ハ)は、キレート剤(C)を水によって希釈して調製した水溶液として得ることができる。
本発明の表面処理鋼板用洗浄剤組成物は、鋼板を圧延油の存在下で冷間圧延する工程(1)と、前記圧延された鋼板に付着する圧延油をアルカリ洗浄剤により洗浄する工程(2)、前記アルカリ洗浄された鋼板を焼鈍する工程(3)及び前記焼鈍された後の鋼板を表面処理する工程(4)を有する、表面処理された冷間圧延鋼板の製造方法における、前記洗浄工程(2)において、アルカリ洗浄剤として用いられる。即ち、前記工程(1)乃至工程(4)を有する表面処理された冷間圧延鋼板の製造方法では、前記洗浄工程(2)において、アルカリ洗浄剤として本発明の表面処理鋼板用洗浄剤組成物を用いること以外は、従来と同様の方法が採用される。
前記冷間圧延する工程(1)は、製鉄所等において鋼板を圧延油の存在下で冷間圧延する加工処理工程である。洗浄工程(2)では、連続洗浄、即ち浸漬洗浄、スプレー洗浄、ブラシ洗浄、電解洗浄等により、本発明の表面処理鋼板用洗浄剤組成物を用いて圧延油を洗浄除去する。
前記洗浄工程(2)における、洗浄温度は30〜90℃において、洗浄剤の浸透と乳化のバランスがよくなり、鋼板に付着する汚れを、洗浄効率よく、洗浄除去することができる。洗浄温度は、低温においても洗浄性がよく、30〜70℃において、更には30〜60℃において、更には35〜45℃においても好適であるため、鋼板洗浄時の電力消費の低減に寄与する場合がある。
本発明の表面処理鋼板用洗浄剤組成物(濃厚製品)を、洗浄工程(2)において、鋼板の洗浄時に希釈するにあたっては、上述のように、アルカリ剤(A)は、その含有量が、好ましくは0.1〜20重量%、より好ましくは0.1〜10重量%、更に好ましくは0.5〜8重量%になるように希釈される。
本発明の表面処理鋼板用洗浄剤組成物は、ライン速度が500m/分以上の高速で洗浄する際に効果的であり、ライン速度が800m/分以上の高速で洗浄する際により効果的である。特に、電解洗浄に要する時間が1秒以下の高速で冷延鋼板を洗浄する際に効果的である。一般の鋼板洗浄ラインは、浸漬洗浄→ブラシ洗浄→電解洗浄→ブラシ洗浄→リンス→乾燥という構成を取るが、浸漬洗浄から乾燥まではおよそ50mであり、ライン速度500m/分の場合には全工程で約6秒という極めて短い時間の中で洗浄が行われる。そのうち電解洗浄工程は10〜20m程度であり、ライン速度が500m/分の場合には1.2〜2.4秒程度という計算になる。本発明の表面処理鋼板用洗浄剤組成物は、こうした短時間での、更にはより短い時間での電解洗浄に効果的であり、またそれによって洗浄ライン速度を増大させることを可能にする。
また本発明の表面処理鋼板用洗浄剤組成物は、合成エステルを50重量%以上含有する圧延油が付着してなる鋼板に対して効果的であり、合成エステルを70重量%以上含有する圧延油が付着してなる鋼板に対してより効果的である。合成エステルとしては、ゾーマリン酸、オレイン酸、リノール酸、ガドレイン酸、トール油脂肪酸等の炭素数16〜20の脂肪族不飽和酸のダイマー酸又はポリマー酸を原料とする合成エステル、プロピレングリコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、グリセリン等の多価アルコールと炭素数6〜22の脂肪族カルボン酸を原料とする合成エステル、炭素数1〜12の脂肪族アルコールと炭素数6〜22の脂肪族カルボン酸を原料とする合成エステル、多価アルコールと炭素数6〜22の脂肪族ヒドロキシカルボン酸を原料とする合成エステル、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、フタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸等の多塩基酸と炭素数1〜12の脂肪族アルコールを原料とする合成エステル、及び上記アルコールのエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド付加物とのエステル等が挙げられる。
更に、本発明の表面処理鋼板用洗浄剤組成物は、酸価が10KOHmg/g以上である圧延油が付着してなる鋼板に対して効果的であり、酸価が20KOHmg/g以上である圧延油が付着してなる鋼板に対してより効果的である。本発明の表面処理鋼板用洗浄剤組成物は、合成エステルを50重量%以上含有し、かつ酸価が10KOHmg/g以上である圧延油が付着してなる鋼板に対して特に効果的である。
また本発明の表面処理鋼板用洗浄剤組成物は、40℃における粘度が70Pa・s以上であるエステルを10重量%以上含有する圧延油が付着してなる鋼板に対して効果的であり、当該エステルを20重量%以上含有する圧延油が付着してなる鋼板に対してより効果的である。特に粘度が40℃で好ましくは100Pa・s以上、より好ましくは150Pa・s以上である圧延油が付着してなる鋼板に対して効果的である。高粘度エステルとしては、前記の炭素数16〜20の脂肪族不飽和酸のダイマー酸又はポリマー酸を原料とする合成エステル、前記の多価アルコールと炭素数6〜22の脂肪族カルボン酸を原料とし多価アルコールの水酸基を1以上残した合成エステル、多価アルコールと炭素数6〜22の脂肪族ヒドロキシカルボン酸を原料とする合成エステル等が挙げられる。なおエステルではないが、本発明の表面処理鋼板用洗浄剤組成物は、ポリブテン等の化合物に対しても効果的である。なお、前記エステルの粘度は、離合社製自動粘度測定装置VMC−252(JIS K2283)により測定できる。
更に本発明の表面処理鋼板用洗浄剤組成物は、炭素数16〜20の脂肪族不飽和酸の重合物を1重量%以上含有する圧延油が付着してなる鋼板に対して効果的である。脂肪族不飽和酸の重合物としては、ゾーマリン酸、オレイン酸、リノール酸、ガドレイン酸、トール油脂肪酸等の炭素数16〜20の脂肪族不飽和酸のダイマー酸及びポリマー酸が挙げられる。
前記アルカリ洗浄された鋼板を焼鈍する工程(3)は、常法に従って行われる。また、前記焼鈍された後の鋼板を表面処理する工程(4)についても、常法に従って行われるが、表面処理としては、鋼板表面を亜鉛、錫、クロム、ニッケルなどの金属元素でメッキしたり、塗装やプリントをしたり、樹脂を被覆したり、さらには合金化するなどの加工処理、化成処理(化成処理剤を加温して鋼板を浸すことで、鋼板の表面にリン酸化合物の皮膜を形成する処理)等があげられる。本発明の表面処理鋼板用洗浄剤組成物により、洗浄工程(2)を施すことにより、工程(4)における表面処理工程における欠陥を抑えることできる。本発明の製造方法は、工程(4)における表面処理工程として、メッキ工程を施す場合に好適であり、メッキ厚さが1.1〜11g/m2となる薄目付けのメッキ処理に対して特に有効である。
<鋼板洗浄試験>
(1)被洗浄鋼板
被洗浄鋼板はすべて以下の手順で調製した。即ち、パーム油を約30重量%含有する合成エステル系圧延油で冷間圧延された厚さ0.5mmの鋼板を、25mm×50mmの大きさに切断したものを洗浄サンプルとした。洗浄サンプルの付着油分量は、200mg/m2である。
(2)洗浄試験手順
洗浄試験はすべて以下の手順で行った。即ち、洗浄剤組成物(汚れなし洗浄液)中に、それぞれ設置した縦100mm×横50mmの大きさの電極板一対(電極間距離は20mm)から等距離かつ中心に被洗浄鋼板を1秒間浸漬し、その後続けて電流密度10A/dm2で鋼板電位を負から正にそれぞれ0.5秒間ずつ一度切り替えて電解洗浄し、水でスプレーリンス(60℃の水をスプレー圧:0.2MPaで2秒間スプレー)した後、乾燥した。
(3)残存付着油分量測定方法
洗浄試験後の鋼板付着油分量は、すべて鋼板付着油量測定装置EMIA−111(株式会社堀場製作所製)を用いて測定した。測定値は5回測定の平均値である。洗浄性の評価基準は、残存付着油分量が20mg/m2以上は「不良」、10mg/m2以上20mg/m2未満は「良」、10mg/m2未満は「優」とした。
(4)抑泡性の評価
1000mlのメスシリンダーに洗浄剤組成物(汚れなし洗浄液)を300ml調整し、液温を表1に示すように保持した。その後、前記洗浄液にガラスボールフィルターを通じて、窒素を1.0L/minで流し、1分間後の洗浄液の高さと泡高さの和で評価した。評価は、汚れなし洗浄液の泡高さのみについて行った。泡高さが400ml未満であれば「○」、400ml以上〜600ml未満であれば「△」、600ml以上であれば「×」とした。
(5)撥水ムラの評価
i)濡れ性:300mlビーカーに洗浄剤組成物(汚れなし洗浄液)を300ml調整し、液温を表1に示すように保持した。(1)の被洗浄鋼板の表面の圧延油をn‐ヘキサンを染ませたペーパータオルで十分に除去し評価用の鋼板とした。この鋼板を前記洗浄液中に垂直に1秒間浸漬した後、垂直のまま取り出してすぐに水平にして鋼板表面の濡れ性を目視で判定した。濡れ性の評価は、鋼板の表面に洗浄剤組成物が付着している割合が90面積%以上であれば「○」、90面積%未満であれば「×」とした。
ii)シミ:濡れ性を確認後、すぐにドライヤーで熱風を吹き付けて鋼板表面を乾燥した後、鋼板表面に残るシミ(ムラ)を目視で判定した。撥水した部分がシミとなって残る。シミの面積が10面積%未満であれば「○」、10面積%以上であれば「×」とした。
実施例1〜9、比較例1〜9
表1に示す組成を有する洗浄剤組成物(バランス量は水として脱イオン水を使用)を調製し、表1に示す洗浄温度条件で、上記の洗浄試験、抑泡性試験、撥水ムラ試験を行った。結果を表1に示す。
なお、表1中の、x1、y1、z1、x2、y2、z2は、実施例5の成分(B−1)のx1、y1および成分(B‐2)のx2、y2を除いて、EOまたはPOのブロック付加に関わる平均付加モル数を示し、実施例5の成分(B−1)のx1、y1における、「5/2ランダム」および成分(B‐2)のx2、y2における、「7/1.5ランダム」の記載はそれぞれ、EO/PO=5/2の平均付加モル数のランダム付加およびEO/PO=7/1.5の平均付加モル数のランダム付加を示す。
グルコン酸Naは、グルコン酸ナトリウム塩、
EDTA‐4Naは、エチレンジアミン四酢酸四ナトリウム塩、
PAAは、アクリル酸ホモポリマー(水溶性高分子カルボン酸類)、を示す。
Figure 0005295673
表1の結果から、本発明の洗浄剤組成物は、鋼板表面に付着している油汚れに対する良好な洗浄性と、抑泡性を有し、かつ撥水ムラ評価で認められるように、鋼板表面に対して良好な濡れ性を示して、表面処理工程における欠陥(サビが原因となって起こるメッキムラや不メッキ:鋼板上にサビなどがあると、その部分にメッキがのらずにメッキ膨れやメッキ剥れが発生する現象)を抑えられることが期待される。一方、比較例の洗浄剤組成物は本発明の洗浄剤組成物の各成分又は含有量を満足できていないため、上記洗浄性と、抑泡性、撥水ムラの評価を全て満足するものはない。

Claims (3)

  1. アルカリ剤(A)、
    下記一般式(1):
    −CH(R)−O−(EO)x1(PO)y1(EO)z1−H (1)
    (R及びRはそれぞれ炭素数1〜14の直鎖アルキル基を示し、かつ、RとRの炭素数の和は9〜15であり、EOはオキシエチレン基、POはオキシプロピレン基を示し、x1、z1はオキシエチレン基の平均付加モル数を示し、x1、z1はいずれも1以上であり、かつ、5≦x1+z1≦15を満たす数であり、y1はオキシプロピレン基の平均付加モル数を示し、かつ、0<y1<5を満たす数であり、(EO)Z1は末端H側に位置するブロック付加であり、(EO)x1(PO)y1は、ブロック付加でもランダム付加でもよい。)で表される非イオン界面活性剤(B‐1)、
    下記一般式(2):
    −O−(EO)x2(PO)y2(EO)z2−H (2)
    (Rは炭素数8〜18の直鎖アルキル基又はアルケニル基を示し、EOはオキシエチレン基、POはオキシプロピレン基を示し、x2、z2はオキシエチレン基の平均付加モル数を示し、x2、z2はいずれも1以上であり、かつ、5≦x2+z2≦20を満たす数であり、y2はオキシプロピレン基の平均付加モル数を示し、かつ、0<y2<5を満たす数であり、(EO)Z2は末端H側に位置するブロック付加であり、(EO)x2(PO)y2は、ブロック付加でもランダム付加でもよい。)で表される非イオン界面活性剤(B‐2)、
    キレート剤(C)及び水を含有してなり、
    かつ、前記非イオン界面活性剤(B‐1)と非イオン界面活性剤(B‐2)の重量比{成分(B‐1)/成分(B‐2)}が、1/9〜5/5、であるpHが12以上の水系組成物からなる表面処理鋼板用洗浄剤組成物。
  2. アルカリ剤(A)及び水を含有する組成物(イ)と、
    前記非イオン界面活性剤(B‐1)と非イオン界面活性剤(B‐2)を、重量比{成分(B‐1)/成分(B‐2)}が、1/9〜5/5である割合で含有する組成物(ロ)とを含んでなり、
    キレート剤(C)が組成物(イ)及び/若しくは組成物(ロ)に含有されるか、又は、組成物(イ)及び組成物(ロ)に、さらに、キレート剤(C)若しくはキレート剤(C)を含有する組成物(ハ)を含んでなる、
    請求項1記載の表面処理鋼板用洗浄剤組成物を得るためのキット。
  3. 鋼板を圧延油の存在下で冷間圧延する工程(1)と、前記圧延された鋼板に付着する圧延油をアルカリ洗浄剤により洗浄する工程(2)、前記アルカリ洗浄された鋼板を焼鈍する工程(3)及び前記焼鈍された後の鋼板を表面処理する工程(4)を有する、表面処理された冷間圧延鋼板の製造方法であって、
    前記洗浄工程(2)において、前記アルカリ洗浄剤として請求項1記載の表面処理鋼板用洗浄剤組成物を用いる表面処理された冷間圧延鋼板の製造方法。
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