JPH07109588A - 鋼板の脱脂洗浄剤 - Google Patents

鋼板の脱脂洗浄剤

Info

Publication number
JPH07109588A
JPH07109588A JP27786493A JP27786493A JPH07109588A JP H07109588 A JPH07109588 A JP H07109588A JP 27786493 A JP27786493 A JP 27786493A JP 27786493 A JP27786493 A JP 27786493A JP H07109588 A JPH07109588 A JP H07109588A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
degreasing
steel sheet
alkali metal
alkali
builder
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP27786493A
Other languages
English (en)
Inventor
Yukinobu Higuchi
征順 樋口
Katsuhiro Ishii
克広 石井
Minoru Fujinaga
実 藤永
Shinichi Itonaga
慎一 糸永
Shuichi Takei
秀一 武井
Hisahiro Miyakoshi
寿拓 宮腰
Hideaki Suda
秀昭 須田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nihon Parkerizing Co Ltd
Nippon Steel Corp
Original Assignee
Nihon Parkerizing Co Ltd
Nippon Steel Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nihon Parkerizing Co Ltd, Nippon Steel Corp filed Critical Nihon Parkerizing Co Ltd
Priority to JP27786493A priority Critical patent/JPH07109588A/ja
Publication of JPH07109588A publication Critical patent/JPH07109588A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Detergent Compositions (AREA)
  • Cleaning And De-Greasing Of Metallic Materials By Chemical Methods (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 圧延油を用いる圧延工程を経て製造される低
炭素鋼板、炭素含有鋼板、低合金鋼板、ステンレス鋼板
等の各種鋼板の表面に付着する油脂分と鉄分を脱脂工程
において短時間の処理で除去するのに優れた効果を有す
るアルカリ系脱脂洗浄剤の提供。 【構成】 アルカリ金属水酸化物及びアルカリ金属ケイ
酸塩から選ばれる少なくとも1種を必須成分とするアル
カリビルダーを4〜60g/lと、界面活性剤を該アル
カリビルダーに対して0.1〜10.0重量%と、さら
に下記組成比のキレート剤を該アルカリビルダーに対し
て0.5〜20.0重量%とを含有するpHが12.0
を超える水溶液からなることを特徴とする鋼板の脱脂洗
浄剤。 【数1】

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、圧延油を用いる圧延工
程を経て製造される低炭素鋼板、炭素含有鋼板、低合金
鋼板、ステンレス鋼板等(以下、総称的に鋼板と称す)
の表面に付着する油脂分と鉄分を浸漬方式、スプレイ方
式および電解方式による脱脂工程において除去するのに
優れた効果を有するアルカリ系脱脂洗浄剤に関する。
【0002】
【従来技術】圧延油を用いる冷間圧延工程を経て製造さ
れる鋼板は、一般的にはスプレイ法あるいは電解法によ
る脱脂洗浄後、焼鈍される。従って、脱脂洗浄過程にお
いて、鋼板表面の油脂分あるいは鉄酸化物、微細鉄粉等
の鉄分の除去が不充分な場合、焼鈍工程でカーボン汚
れ、鋼板表面の黄変発生、表面疵の生成等、表面欠陥が
生じ易くなる。さらに、これらの表面欠陥に起因して、
鋼板がめっきされる場合には、めっき欠陥あるいはめっ
き外観不良等を発生する傾向が増大し、また塗装して使
用する場合には、均一な下地化成処理不良を発生する原
因となる。そのため、従来から冷間圧延後の鋼板の表面
清浄化を目的として、圧延後の脱脂洗浄工程で使用され
る種々の脱脂洗浄剤が、また該脱脂洗浄工程の省略を対
象とした冷間圧延工程の最終スタンドで使用される種々
の表面清浄化剤が検討されてきている。
【0003】これらのうち、脱脂洗浄工程で使用される
脱脂洗浄剤としては、一般的にアルカリビルダーを主成
分とし、界面活性剤、キレート剤、あるいはこれに消泡
剤を添加して構成されるが、脱脂洗浄効果の向上を目的
として、従来から界面活性剤あるいはキレート剤の改良
が行われてきた。(特公昭53−6093号、特公昭6
2−53600号等)
【0004】しかし、これらの従来技術においては、鋼
板表面の油脂分の除去には効果が得られるものの、圧延
工程において鋼板表面に付着される鉄酸化物、鉄粉等の
除去に対しては必ずしも十分な効果が得られていないの
が現状であり、特に近年の高速圧延により生産される鋼
板においてその傾向が著しい。また、脱脂洗浄工程の省
略を目的として、冷間圧延工程で使用されるデタージェ
ントの改良を対象とした表面清浄化剤としては、界面活
性剤とオキシカルボン酸、アミノカルボン酸、ホスホノ
カルボン酸、アミノホスホン酸系の有機キレート剤で構
成される中性の水溶液、あるいはこれにアルカリ類で調
整した弱アルカリ性水溶液が、例えば、特開昭53−1
00131号、特開昭54−10236号、特開昭54
−10237号等に、公知の技術として提案されてい
る。
【0005】これらの方法は、鋼板表面に付着する鉄酸
化物および微細鉄粉の除去をキレート剤の作用により、
また油脂分を界面活性剤の作用により分散除去すること
を目的とするものである。しかし、これらの方法では鋼
板表面に対して目的とする十分な清浄効果を得るのに、
一般に数100秒間の処理時間が必要とされる。したが
って、近年の生産性向上に対応した数秒間程度の極く短
時間の処理では、鋼板表面の十分な清浄効果が得られな
い等の問題点を有するのが現状である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】前記のように、従来の
脱脂洗浄剤あるいは表面清浄剤では、鋼板表面に付着す
る油脂分と鉄分の除去は十分ではなく、特に短時間の表
面清浄化処理においてこの傾向が著しい。また、近年の
冷間圧延工程の生産性向上を目的とした高速圧延化に対
応した高潤滑圧延油の採用、冷間圧延時の温度上昇に起
因すると考えられる鋼板表面への圧延油の焼付き、鉄酸
化物の付着、鉄石鹸の生成・付着等の増加により、脱脂
洗浄工程における鋼板表面の十分な清浄化が、従来技術
では必ずしも満足に対応しにくい状況にある。本発明
は、これらの状況に対応して、冷間圧延後の脱脂洗浄工
程において、数秒程度の短時間処理により、鋼板表面に
付着する油脂分と鉄分の除去性に優れる脱脂洗浄剤を提
供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記従来
の問題点を解決すべく鋭意検討した結果、特定の強アル
カリ性アルカリビルダー、界面活性剤および特定組成の
キレート剤の組み合わせの組成でpH12.0を超える
水溶液からなる鋼板の脱脂洗浄剤が極く短時間(一般的
に10秒未満)の処理で、鋼板表面の油脂分および鉄分
の除去が可能であり、かつ有効であることを見い出し本
発明を完成させた。
【0008】すなわち、本発明はアルカリ金属水酸化物
及びアルカリ金属ケイ酸塩から選ばれる少なくとも1種
を必須成分とするアルカリビルダーを4〜60g/l
と、界面活性剤を該アルカリビルダーに対して0.1〜
10.0重量%と、さらに下記組成比のキレート剤を該
アルカリビルダーに対して0.5〜20.0重量%とを
含有するpHが12.0を超える水溶液からなることを
特徴とする鋼板の脱脂洗浄剤を提供する。
【数2】
【0009】以下、本発明の構成を詳述する。本発明
は、脱脂洗浄工程において、鋼板表面に付着する油脂分
および鉄分を短時間の処理で除去するための優れた性能
を得るため、従来の脱脂洗浄剤の抱える問題点の解決に
対して、以下のような手段を講じたものである。 鋼板表面に付着する油脂分の離脱、洗浄剤水溶液中へ
の分散、乳化あるいは集油を促進させるとともに、脱脂
洗浄後の鋼板表面に対する悪影響を避けるため、強アル
カリをベースとしたアルカリビルダーの適性量とこれに
添加する界面活性剤の適性な組成比を選定した。
【0010】さらには、鋼板表面に付着する鉄分、す
なわち微細な鉄分、鉄酸化物、鉄石鹸の表面からの離脱
の促進、あるいは洗浄剤水溶液中に生成される鉄石鹸の
鋼板表面への付着防止に対して、有効なキレート剤を選
定するとともに、これらキレート剤を最も効果的に機能
させる前記のアルカリビルダーと界面活性剤への適性な
添加方法による対応策を講じた。
【0011】特に、使用中に脱脂洗浄剤への鋼板表面
からの油脂分の混入あるいは炭酸ガスの混入等により、
脱脂洗浄剤水溶液pHの経時による変動、あるいは電解
脱脂法における極性の切り換えに伴って生じる鋼板表面
のpH変動に対応して、鉄分の除去に対するキレート剤
の作用効果を短時間で最大限に活用し得る手段を種々検
討の結果を基に講じた。
【0012】すなわち、その骨子とするところは、鉄
分の除去に効果のある二種以上のキレート剤の適性な組
成比での複合添加と前記のアルカリビルダー、界面活性
剤への適性な添加量を検討することにより、脱脂洗浄剤
水溶液あるいは鋼板表面におけるpHの変動に対応し
て、キレート剤の鉄分の除去作用を効果的にに持続、機
能させるようにしたものである。
【0013】本発明において使用されるアルカリビルダ
ーは、アルカリ金属水酸化物およびアルカリ金属ケイ酸
塩から選ばれる少なくとも1種を必須成分とする。アル
カリ金属水酸化物としては、ナトリウム、カリウム又は
リチウムの水酸化物で、具体的には例えば水酸化ナトリ
ウム、水酸化カリウム等が挙げられる。アルカリ金属ケ
イ酸塩としてはナトリウム、カリウム又はリチウムのケ
イ酸塩で、具体的には例えばオルソケイ酸ナトリウム、
メタケイ酸ナトリウム等が挙げられる。
【0014】脱脂洗浄工程において、鋼板表面の清浄効
果を界面活性剤、キレート剤との相乗作用により挙げる
ためには、これらのアルカリビルダーの含有量は4〜6
0g/lが必要で、好ましくは12〜40g/lであ
る。すなわち、その含有量が4g/l未満では、鋼板表
面に付着する油脂分の脱脂洗浄剤水溶液中への離脱、分
散、乳化等の促進効果が劣化し、特に鋼板表面から離脱
された油脂分の混入が増加する場合にその傾向が著し
く、短時間での脱脂洗浄効果が得られなくなるので好ま
しくない。また、アルカリビルダーの含有量が60g/
lを超える場合には、その作用効果が飽和すると共に、
むしろ脱脂洗浄剤後の水洗過程、いわゆるリンズ工程で
いかに厳重にリンズ処理を行っても、鋼板表面にアルカ
リ分が残存し、焼鈍工程での色むらの発生あるいは焼鈍
後のめっき工程でのめっき欠陥発生の原因となるので好
ましくない。したがって、本発明においてはアルカリビ
ルダーの含有量は4〜60g/l、好ましくは12〜4
0g/lの範囲に限定される。
【0015】なお、本発明ではアルカリビルダーとし
て、このようにアルカリ金属水酸化物及びアルカリ金属
ケイ酸塩から選ばれる少なくとも1種の4〜60g/l
を必須成分として含有するが、その他のアルカリビルダ
ー、例えば炭酸ソーダ、炭酸カリウム等を脱脂洗浄剤の
増量剤として添加しても、脱脂洗浄剤のpHが12.0
以下に低下しない範囲では差し支えない。
【0016】本発明において使用される界面活性剤は、
ノニオン型界面活性剤、アニオン型界面活性剤、カチオ
ン型界面活性剤又は両性型界面活性剤と特定するもので
はないが、例えば、ノニオン型ではポリエチレングリコ
ールエーテル型非イオン界面活性剤、多価アルコール型
界面活性剤が、両性型界面活性剤としてはイミダゾリン
型両性界面活性剤等が挙げられ、いずれにおいても一種
又は二種以上を含有する。
【0017】界面活性剤の添加量としては、前記のアル
カリビルダーの含有量に対して、0.1〜10.0重量
%、好ましくは0.5〜7.5重量%の範囲に限定され
る。その添加量がアルカリビルダーに対して0.1重量
%未満の場合には、本発明を構成するアルカリビルダ
ー、キレート剤との相乗作用による鋼板表面の清浄効果
が得られず、また10.0重量%を超える場合には、そ
の効果が飽和するとともに、経済的に不利である。さら
に、使用される界面活性剤によっては、アルカリビルダ
ーとの塩析作用により、均一に相溶しなくなる等の問題
が生じるので好ましくない。
【0018】本発明においてキレート剤として、グルコ
ン酸アルカリ金属塩、ペプトグルコン酸アルカリ金属塩
から選ばれる少なくとも1種、アミノアルキルホスホン
酸とその塩類及びヒドロキシアルキルジホスホン酸とそ
の塩類から選ばれる少なくとも1種が使用される。グル
コン酸アルカリ金属塩及びペプトグルコン酸アルカリ金
属塩としては、それぞれのナトリウム塩、カリウム塩が
挙げられる。一方、アミノアルキルホスホン酸として
は、アミノトリメチレンホスホン酸、エチレンジアミン
テトラメチレンホスホン酸が、またヒドロキシアルキル
ジホスホン酸としては、1−ヒドロキシエチリデンー
1,1−ジホスホン酸ならびにこれらのアンモニウム
塩、ナトリウム塩等が挙げられる。
【0019】本発明では、グルコン酸アルカリ金属塩及
びペプトグルコン酸アルカリ金属塩から選ばれる少なく
とも1種とアミノアルキルホスホン酸とその塩類及びヒ
ドロキシアルキルジホスホン酸とその塩類から選ばれる
少なくとも1種を
【数3】 の組成比でアルカリビルダーに対して0.5〜20.0
重量%添加される。
【0020】すなわち、脱脂洗浄時における脱脂洗浄剤
水溶液あるいは鋼板表面におけるpHの変動に対して、
脱脂洗浄剤による鉄酸化物、鉄石鹸、微細鉄粉等の鉄分
の除去作用を安定に確保するため、本発明においてはp
H12.0以上の領域で鉄イオンの封鎖能力に優れるグ
ルコン酸アルカリ金属塩及びペプトグルコン酸アルカリ
金属塩から選ばれる少なくとも1種のキレート剤とアル
カリ領域においても鋼板表面を溶解、エッチングする機
能を有し、かつ広範なpH領域での鉄イオンの封鎖能力
に優れるアミノアルキルホスホン酸とその塩類及びヒド
ロキシアルキルジホスホン酸とその塩類から選ばれる少
なくとも1種のキレート剤をそれぞれ複合添加して構成
される。
【0021】さらに、これら複合添加されるキレート剤
の相乗効果を最大限に得るためには、その組成比は0.
5〜2.5、好ましくは0.7〜1.5の範囲に限定さ
れる。この組成比が0.5未満、すなわち、アミノアル
キルホスホン酸系キレート剤の添加量がグルコン酸アル
カリ金属塩系キレート剤に比して多く添加される場合、
またこの組成比が2.5超、すなわち、グルコン酸アル
カリ金属塩系キレート剤がアミノアルキルホスホン酸系
キレート剤に比べて多く添加される場合のいずれにおい
ても、各キレート剤の作用効果が相殺されるためか、本
発明の目的とする短時間処理による鋼板表面の十分な清
浄効果が得られない。
【0022】特に、組成比が0.5未満の場合、鋼板表
面の鉄分の除去効果は得られるものの、アミノアルキル
ホスホン酸系キレート剤のエッチング作用により、鋼板
表面に黄変状のむらが発生する傾向がみられるため好ま
しくない。一方、組成比が2.5を超える場合には、短
時間処理により鋼板表面の鉄分を除去する効果が十分で
ないので好ましくない。したがって、これら複合添加さ
れるキレート剤の組成比は0.5〜2.5の範囲、好ま
しくは0.7〜1.5の範囲に限定される。
【0023】また、この組成比のキレート剤の添加量は
本発明の目的を達成するためには、アルカリビルダーに
対して、0.5〜20.0重量%に限定される。この添
加量が0.5重量%未満の場合には、キレート剤の作用
による鋼板表面からの鉄分の除去効果が得られないため
好ましくない。添加量がアルカリビルダーに対して20
重量%を超える場合には、鉄分の除去に対する効果が飽
和するとともに、場合によっては添加されるアミノアル
キルホスホン酸あるいはヒドロキシアルキルジホスホン
酸系キレート剤による鋼板表面に対するエッチングが著
しくなり、表面変色や表面の均一性劣化の原因となるの
で好ましくない。したがって、本発明においては、複合
添加される各キレート剤の添加量は、前記の組成比でア
ルカリビルダーに対して0.5〜20.0重量%、好ま
しくは1.5〜12.5重量%の範囲である。
【0024】なお、本発明において必須成分として使用
されるアミノアルキルホスホン酸、ヒドロキシアルキル
ジホスホン酸系キレート剤のうち、窒素成分の含まれな
いヒドロキシアルキルジホスホン酸とその塩類の使用
が、脱脂洗浄剤の排水時における窒素規制の行われる環
境では好ましい。
【0025】図1は、本発明の脱脂剤による13%Cr
含有冷延圧延鋼板の電解脱脂による脱脂性に及ぼす脱脂
剤pHの影響を示す図で、縦軸は水濡れ面積率で、横軸
は脱脂剤のpHを示す。なお、図1の脱脂剤の組成は、
NaOH20g/l、イミダゾリン型両性界面活性剤
0.8g/l、ノニオン系界面活性剤0.6g/l(N
aOHに対して、界面活性剤7.0重量%)、複合添加
キレート剤2.2g/l(NaOHに対して、キレート
剤11.0重量%)及び消泡剤0.65g/lからな
る。
【0026】鉱物油系圧延油10g/lを混合した温度
50℃の上記脱脂剤を用いて、電流密度5A/dm2
陰極電解脱脂、ロールによるブラッシング処理、水洗後
に脱脂洗浄剤のpHと水濡れ面積率との関係を評価し
た。なお、pH調整は脱脂洗浄剤水溶液中にCO2ガス
の吹き込み法により行った。また、キレート剤は、グル
コン酸ソーダ(55部)+ペプトグルコン酸ソーダ(4
5部)の二種をエチレンジアミンテトラメチレンホスホ
ン酸に対して0.9の組成比で複合添加した。
【0027】図1に示すように、本発明の脱脂洗浄剤水
溶液は、短時間の処理により本発明の目的とする効果を
得るために、pHが12.0を超える領域で使用され
る。さらには、pHが12.0を超える領域では脱脂洗
浄後の鋼板表面に不動態皮膜が生成されるためか、リン
ズ処理後の鋼板の耐錆性が向上する利点が得られる。し
たがって、本発明の脱脂洗浄剤水溶液はpH12.5〜
13.8の範囲で使用される。
【0028】また、本発明の脱脂洗浄剤は、前記に記載
したアルカリビルダー、界面活性剤及びキレート剤の二
種以上を必須成分として規定量を含有して構成される
が、これらに脱脂洗浄方式あるいは除去される油脂類の
混入により発泡が著しい場合には消泡剤が、また貯蔵、
運搬の点から脱脂洗浄剤の高濃度溶液が必要な場合には
製造時に界面活性剤の可溶化剤が、それぞれ添加されて
も何ら差し支えない。
【0029】すなわち、脱脂洗浄工程での使用時、脱脂
洗浄剤が前記の必須成分を含有し、規制された範囲内の
組成で構成されていれば、消泡剤又は可溶化剤が一部含
有される場合にも、本発明の範囲に含まれる。以上のよ
うに、前記した組成により構成される本発明の脱脂剤
は、鋼板表面の油脂分及び鉄分の除去性に優れ、特に短
時間処理による表面清浄化効果が著しい。
【0030】なお、本発明の脱脂洗浄剤は、次のように
して使用される。すなわち、脱脂洗浄工程において、温
度40〜90℃に加熱した本発明の脱脂洗浄剤を用い、
冷間圧延後あるいはスキンパス圧延後の鋼板をスプレイ
法、浸漬法または電解処理法による洗浄処理とそれに続
くブラッシング処理がされる。本発明の構成による脱脂
洗浄剤の優れた性能のため、極く短時間(一般的に10
秒未満)で鋼板表面の油脂分及び鉄分の除去が可能であ
る。
【0031】
【実施例】本発明を実施例及び比較例を挙げて具体的に
説明する。本実施例及び比較例での評価方法は次の通り
である。 (水濡れ性の評価)脱脂、水洗後、試料を30秒間放置
し、その時の水濡れ面積率を%で評価。
【0032】(残存油分及び鉄分量の評価)脱脂、水
洗、乾燥後、試料を四塩化炭素中で10分間超音波洗浄
を行って、その時の重量変化の測定と四塩化炭素中に剥
離された鉄分量の分析により求めた。 ・残存油分量:(乾燥後の重量−四塩化炭素中での超音
波洗浄後の重量)−四塩化炭素中の含有鉄分量 ・残存鉄分量:四塩化炭素中に含有される鉄分を塩酸水
溶液で溶解し、加熱により四塩化炭素を蒸発させた後、
原子吸光光度法により分析 により測定し、それぞれ単位面積当たりに換算して表
示、その評価を行った。
【0033】(外観評価)脱脂、水洗、乾燥後の試料に
ついて、その外観観察及び該試料にセロテープを貼付し
た後、セロテープを剥離し、このテープに付着した汚れ
の観察結果を総合的に以下の評価基準で評価した。 ◎:表面外観が均一で、セロテープへの付着物が殆ど認
められない状態 ○:表面外観が均一ではあるが、セロテープへの付着物
が少量認められる状態 △:表面に変色部分が僅かに認められるとともに、セロ
テープへの付着物が少量認められる状態 ×:表面に変色部分がかなり認められる場合、あるいは
セロテープへの付着物がかなり多量に認められる状態
【0034】実施例1〜6及び比較例1〜2 本発明の脱脂洗浄剤による鋼板表面清浄効果に及ぼす複
合添加キレート剤の組成比の影響を検討するため次の実
験を行った。 (試験材) 冷間圧延鋼板(低炭素鋼板) 脱脂前付着の油分量 180mg/m2 脱脂前付着の鉄分量 190mg/m2
【0035】 (脱脂洗浄剤) NaOH 20g/l ノニオン系界面活性剤 0.7g/l (炭化水素誘導体系ノニル (NaOHに対して3.5重量%) フェノールEO11モル 付加物) 複合添加キレート剤 1.8g/l (NaOHに対して9.0重量%) 消泡剤 0.5g/l 複合添加キレート剤は、グルコン酸ソーダ/1−ヒドロ
キシエチリデン−1,1−ジホスホン酸を用い両者の組
成比を変更した。
【0036】(脱脂方法及び脱脂条件)脱脂前の前記鋼
板に温度70℃で、該脱脂洗浄剤を用いて、スプレイ圧
2.2kg/cm2で、5秒間スプレイ、ロールによる
ブラッシング処理を行い、水洗、乾燥後に評価を実施し
た。
【0037】実施例1〜6は、複合添加キレート剤の組
成比をそれぞれ0.5、0.70、1.20、1.5
0、2.0及び2.5にしたものであり、また比較例1
〜2では0.1及び3.0にしたもので各々について該
鋼板表面の残存油分量及び残存鉄分量の測定さらに表面
外観を観察した。以上の検討結果を表1に示した。
【0038】
【表1】
【0039】表1の結果より、実施例1〜6では、残存
油分量及び残存鉄分量は極めて少なく、かつ外観も良好
である。これに対して、比較例1〜2では油分及び鉄分
が多く残存し、かつリンズ後表面に黄変むらや黒色汚れ
が発生していた。この結果より、複合添加キレート剤の
組成比は、0.5〜2.5が最適である。
【0040】実施例7〜14及び比較例3〜10 各種のアルカリビルダー、界面活性剤、キレート剤を用
いて構成された脱脂洗浄剤と、試験材について、脱脂方
法及び脱脂条件を変更して、水濡れ性、残存油分量、残
存鉄粉量の測定及び外観観察の評価を行った。
【0041】本発明の方法により構成された実施例に用
いた脱脂洗浄剤の組成を表2に示す。また、比較例に用
いた脱脂洗浄剤の組成を表3に示す。但し、界面活性剤
は以下のものを使用した。 界面活性剤(a):炭化水素誘導体系ノニルフェノール
EO付加物(EOのモル数は表2及び表3に記載) 界面活性剤(b):炭化水素誘導体系アルキルフェノー
ルEO 6モル、PO2モル付加物 界面活性剤(c):炭化水素誘導体系多価アルコールE
O 5モル、PO 10モル 界面活性剤(d):イミダゾリン型両性界面活性剤
【0042】また、キレート剤は以下のものを使用し
た。 キレート剤(A):グルコン酸ソーダ キレート剤(B):ペフトグルコン酸ソーダ キレート剤(C):エチレンジアミンテトラメチレンホ
スホン酸 キレート剤(D):1−ヒドロキシエチリデン−1,1
−ジホスホン酸
【0043】表4に、C含有量0.06%の低炭素鋼
板、Si含有量3.5%の低合金鋼板及びCr含有量1
8%のステンレス鋼板の冷間圧延材、あるいは焼鈍後の
オイルスキンパス材を試験材として、本発明の方法によ
る脱脂洗浄剤と比較脱脂洗浄剤の性能評価のために実施
した脱脂方法とその条件、ならびに脱脂性能の評価結果
を併せ示す。
【0044】実施例7〜14、比較例3〜10及び表4
の結果より、本発明の方法に基づいて構成された脱脂洗
浄剤は、比較脱脂洗浄剤に比べて種々の脱脂方法におい
て10秒未満の極く短時間の脱脂洗浄処理に対し、各種
鋼板の脱脂性能に著しく優れている。
【0045】
【発明の効果】本発明の脱脂洗浄剤は、鋼板の脱脂洗浄
工程における脱脂性能に非常に優れ、特に鋼板表面の油
脂分及び鉄分の除去に対して、10秒未満の短時間で処
理が可能であり、、脱脂洗浄処理において極めて優れた
効果を有する。
【0046】
【表2】
【0047】
【表3】
【0048】
【表4】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の脱脂洗浄剤による13%Cr含有・冷
延圧延鋼板の電解脱脂における脱脂性に及ぼす脱脂剤p
Hの影響を示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 藤永 実 福岡県北九州市戸畑区飛幡1番1号 新日 本製鐵株式会社八幡製鐡所内 (72)発明者 糸永 慎一 福岡県北九州市戸畑区飛幡1番1号 新日 本製鐵株式会社八幡製鐡所内 (72)発明者 武井 秀一 福岡県北九州市戸畑区飛幡1番1号 新日 本製鐵株式会社八幡製鐡所内 (72)発明者 宮腰 寿拓 福岡県北九州市戸畑区飛幡1番1号 新日 本製鐵株式会社八幡製鐡所内 (72)発明者 須田 秀昭 福岡県北九州市戸畑区飛幡1番1号 新日 本製鐵株式会社八幡製鐡所内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アルカリ金属水酸化物及びアルカリ金属
    ケイ酸塩から選ばれる少なくとも1種を必須成分とする
    アルカリビルダーを4〜60g/lと、界面活性剤を該
    アルカリビルダーに対して0.1〜10.0重量%と、
    さらに下記組成比のキレート剤を該アルカリビルダーに
    対して0.5〜20.0重量%とを含有するpHが1
    2.0を超える水溶液からなることを特徴とする鋼板の
    脱脂洗浄剤。 【数1】
JP27786493A 1993-10-08 1993-10-08 鋼板の脱脂洗浄剤 Withdrawn JPH07109588A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP27786493A JPH07109588A (ja) 1993-10-08 1993-10-08 鋼板の脱脂洗浄剤

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP27786493A JPH07109588A (ja) 1993-10-08 1993-10-08 鋼板の脱脂洗浄剤

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH07109588A true JPH07109588A (ja) 1995-04-25

Family

ID=17589354

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP27786493A Withdrawn JPH07109588A (ja) 1993-10-08 1993-10-08 鋼板の脱脂洗浄剤

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH07109588A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH11269495A (ja) * 1998-03-20 1999-10-05 Daisan Kogyo Kk 硬表面洗浄剤組成物
KR100529211B1 (ko) * 1997-02-04 2006-01-27 가오가부시끼가이샤 강판용 알칼리 세정제 조성물
JP2006294335A (ja) * 2005-04-07 2006-10-26 Honda Motor Co Ltd 燃料電池、燃料電池の製造方法、及び燃料電池用セパレータ

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100529211B1 (ko) * 1997-02-04 2006-01-27 가오가부시끼가이샤 강판용 알칼리 세정제 조성물
JPH11269495A (ja) * 1998-03-20 1999-10-05 Daisan Kogyo Kk 硬表面洗浄剤組成物
JP2006294335A (ja) * 2005-04-07 2006-10-26 Honda Motor Co Ltd 燃料電池、燃料電池の製造方法、及び燃料電池用セパレータ

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2587916B2 (ja) アルミニウム容器の洗浄方法
US4382825A (en) Alkaline cleaner for ferrous-based metal surfaces
AU2006343213B2 (en) Acidic cleaner for metal surfaces
EP0908534B9 (en) Aqueous composition for low-temperature metal-cleaning and method of use
EP0187377B1 (en) Alkaline tin-plate degreasing detergent
JP6850603B2 (ja) 鋼板用洗浄剤組成物
CN104695003A (zh) 金属快速除垢清洗方法及用于金属快速除垢清洗剂
JP2007039627A (ja) 硬質表面用洗浄剤組成物
JPH05125571A (ja) 脱脂洗浄方法
US20050256025A1 (en) Metal brightener and surface cleaner
WO2021251477A1 (ja) 鋼板用洗浄剤
JPS6017831B2 (ja) 金属表面清浄用組成物および清浄方法
JP6321354B2 (ja) 鋼板用洗浄剤
JP2001064700A (ja) Al基金属材用洗浄剤および洗浄方法
JP5843355B2 (ja) 鋼板用洗浄剤
JP3199824B2 (ja) ぶりき材用洗浄液及び洗浄方法
GB2102838A (en) Alkaline solutions and processes for cleaning aluminium
JPH07109588A (ja) 鋼板の脱脂洗浄剤
JPH11158492A (ja) 鋼板の表面清浄剤組成物
JP2908904B2 (ja) 消泡剤およびアルカリ洗浄剤組成物
WO2019203020A1 (ja) 鋼板用洗浄剤組成物
EP0691421A1 (en) Oil-splitting aluminum cleaner and method
EP0893489A1 (en) Composition and method for cleaning surfaces
JP3294907B2 (ja) 金属洗浄方法
JP3315760B2 (ja) 金属材料の表面処理剤、水系洗浄兼防錆剤、及び表面処理方法

Legal Events

Date Code Title Description
A300 Withdrawal of application because of no request for examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300

Effective date: 20001226