JP2938359B2 - 条鋼の圧延方法 - Google Patents

条鋼の圧延方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、条鋼の圧延方法の改良
に係り、特に、4ロール圧延機により幅変化を抑制しつ
つ条鋼をサイジング圧延する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】条鋼材をサイジング圧延する方法とし
て、1スタンド毎に使用する圧延ロールの数により、2
ロール法,3ロール法および4ロール法がある。各方法
とも、素材条鋼材を圧延ロール対により、圧下方向を変
えながら複数パスで圧延している。こうして圧延された
条鋼の断面形状は、2ロール法ではやや四角形に近い円
に、3ロール法ではやや六角形に近い円に、および4ロ
ール法ではやや八角形に近い円になる。いずれの方法も
各断面の最大径d1 と最小径d2 との間に偏径差=d1
−d2 を有している。
【0003】前記各サイジング圧延方法のうち2ロール
法の連続圧延では、複数スタンド間の圧延速度バランス
が張力方向になるように、前段の圧延機における圧延ロ
ール駆動モータの回転数を後段の圧延機のそれより若干
遅く設定している。その理由は、2ロール法の場合は前
後の圧延機で圧下方向が90°ずれることから被圧延材
の条鋼にねじれが発生し易いため、圧延温度,圧延材質
および圧延ロールのセットアップ精度等の圧延条件の変
化によりスタンド間張力がばらついて、もしスタンド間
張力が圧縮側になると、スタンド間距離が2m以上ある
通常の連続圧延機の場合にはスタンド間で条鋼材が簡単
に座屈しコブルとなるのを防ぐためである。
【0004】条鋼の圧延におけるこのような操業トラブ
ルの原因を排除するために、従来の条鋼の圧延方法にあ
っては、スタンド間張力を張力側にするか、若しくはル
ーパやフリーテンションコントロール(FTC)装置を
用いて無張力圧延するかのどちらかであった。一方、4
ロール法の連続圧延においては、図5に示すように、二
個一対の4個の圧延ロール1A,1B,1C,1Dで直
交する二方向から素材条鋼Wを圧下する4ロール圧延機
を複数台、例えば第1スタンドP1,第2スタンドP2
と直列に配置し、前後の圧延機の間で圧下方向を45°
ずらして条鋼Wをサイジング圧延する。そのため、図6
に示すように、2ロール,3ロール法では被圧延条鋼が
かなり幅広がり変形するのに対して、4ロール法の場合
は反対に幅狭まりし(幅広がり率が負になる)且つその
変形率の絶対値も小さい。換言すれば偏径差が2ロール
法圧延に比べて小さくて高精度の製品が製造可能であ
る。また、スタンド間の条鋼のねじれに対する効力も優
れている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】条鋼の圧延方法は、圧
延時の幅変化率ないし偏径差が小さいほど条鋼の径寸法
の制御が容易であることから、2ロール法,3ロール法
に比べて4ロール法の方が有利である。しかしながら、
更に製品条鋼の寸法精度を向上させるには幅変化がゼロ
になることが望ましく、4ロール法でも従来の幅変化率
(幅広がり率)ないし偏径差にはなお改善の余地があ
る。
【0006】そこで本発明は、更に高寸法精度の条鋼を
製造するべく、幅変化率,偏径差が極めて小さい条鋼の
圧延方法を提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、前記目的を達
成するために、複数台の4ロール圧延機を直列に配置し
条鋼を圧延するものであり、前後の4ロール圧延機の
スタンド間の条鋼に、大きさが0.05〜0.30kg
/mm 2 の軸方向の圧縮応力を与えるように前後両4ロ
ール圧延機のロール駆動回転数を制御しつつ連続圧延す
るようにしたものである。
【0008】
【作用】本発明者らは、4ロール法により条鋼を連続圧
延する場合のスタンド間張力と製品条鋼の幅広がり変形
との関係に着目し、特に、4ロール圧延機のスタンド間
張力を意識的に圧縮側に設定した場合の条鋼の幅広がり
率と減面率との関係を実験的に調査したところ、図1に
示す結果が得られた。
【0009】FTC装置を用いてフリーテンション圧延
を行った場合は、図1の曲線aに示すように、減面率を
大きくしていくほどに幅広がり率が負の方向に大きく変
化し、幅狭まりが大きくなっていく。しかるに、第1ス
タンドの圧延機の駆動モータの回転数を第2スタンドの
圧延機のそれより若干速くなるように調整して、0.0
5〜0.30kg/mm2 の範囲で図1の曲線b〜gに
示すように条鋼に圧縮応力を付与したところ、圧縮応力
が大きくなるにしたがって、条鋼の幅変化が幅広がり方
向に増大していくことが認められた。このことから、圧
縮応力をコントロールすれば幅広がり変化を小さくでき
ることがわかる。
【0010】図1から、幅広がり率がゼロになる圧縮応
力の値は0.18kg/mm2 であるが、実際の圧延で
は圧縮応力を一点にコントロールすることは難しく、一
本の条鋼を圧延する間にも応力は変動する。通常、コン
トロールできる範囲は0.15〜0.25kg/mm2
程度である。本発明にあっては、条鋼に付与する適正な
圧縮応力は0.05〜0.30kg/mm2 の範囲とす
る。0.05kg/mm2 未満では条鋼の幅狭まりの変
形率が大きくなって寸法精度不良を生じる。反対に0.
30kg/mm2 を越えると幅広がりの変形率が過大に
なって寸法精度不良を生じ、かつ圧延機間で条鋼が座屈
する危険性が増す。
【0011】図2は、圧縮応力の大きさと座屈発生率と
の関係を実測したもので、圧延機間の距離が0.7mの
2台の4ロール圧延機により、圧縮応力を変化させて行
った条鋼の連続圧延における座屈発生率を示している。
圧縮応力の大きさが0.3kg/mm2 以下であれば座
屈の発生はゼロであるが、圧縮応力0.4kg/mm 2
になると座屈発生率が5%、0.5kg/mm2 では4
0%、0.6kg/mm2 では100%発生している。
【0012】以上の理由から、本発明の条鋼の圧延方法
にあっては、4ロール圧延機のスタンド間の条鋼に0.
05〜0.30kg/mm2 の圧縮応力を付与するもの
とした。
【0013】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面を参照して説明
する。この実施例では、一辺150mmの断面正方形の
ビレットを16台の2ロール圧延機に順にパスして、直
径25.5mmの丸棒鋼に圧延したものを素材条鋼と
し、これを直列に配した2台の4ロール圧延機で直径2
5〜23mmの丸条鋼に圧延した。
【0014】4ロール圧延機は、図3に示すように第1
スタンドP1は4個のロール1A,1B,1C,1Dを
十字に配置し、第2スタンドP2の4個のロール2A,
2B,2C,2DをX字に配置して2パスで条鋼Wの全
周を圧下するものとした。第1スタンドの圧延機と第2
スタンドの圧延機間の距離は650mmである。この圧
延機のロール間隙を変えて、幅広がり変化が少なくとも
a=bとなるように直径25mm,24mm,23mm
の3種のサイズの条鋼を圧延し、それぞれについて、圧
延機間張力が0kg/mm2 であるフリーテンション時
の圧延と、圧縮応力約0.15kg/mm2 を付与した
時の圧延との偏径差を比較した。その結果を図4に示
す。圧縮応力約0.15kg/mm2 を付与した場合
は、フリーテンション圧延の場合に比し偏径差が約1/
2になり、製品寸法精度が向上することが明らかになっ
た。
【0015】なお、圧延機間の距離650mmで、圧縮
応力0.05〜0.30kg/mm 2 の範囲にわたり条
鋼の圧延実験を行っても条鋼の座屈は全く発生せず、安
定して圧延できた。
【0016】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
複数台の4ロール圧延機のスタンド間の条鋼に、大きさ
0.05〜0.30kg/mm 2 圧縮応力を与えつつ
連続圧延することにより、製品条鋼の幅変化率,偏径差
が極めて小さく寸法精度の高い条鋼を提供できるという
効果を奏する。しかも、FTC装置のような高価な設備
を用いてフリーテンションコントロールをしなくても座
屈が防止でき、高品質の条鋼を安価に提供できるという
効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】4ロール法による条鋼の連続圧延における、条
鋼に付与した圧縮応力と幅広がり率との関係を表したグ
ラフである。
【図2】図1に示す圧縮応力と座屈発生率との関係を表
したグラフである。
【図3】本発明の一実施例における4ロール圧延の態様
を示す模式図である。
【図4】本発明の圧延方法の効果をフリーテンション圧
延の場合と比較して示した図である。
【図5】4ロール圧延機のロール構成を示す概念図で、
(a)はロール配置の側面図、(b)は同正面図であ
る。
【図6】2ロール法,3ロール法,4ロール法の圧延時
の幅広がり特性を比較したグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平6−262201(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) B21B 1/16 B21B 1/18 B21B 13/10 B21B 37/00 B21B 37/48

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 複数台の4ロール圧延機を直列に配置し
    条鋼を連続圧延するに際し、前後の4ロール圧延機の
    スタンド間の条鋼に、大きさが0.05〜0.30kg
    /mm 2 の軸方向の圧縮応力を与えるように前後両4ロ
    ール圧延機のロール駆動回転数を制御することを特徴と
    する条鋼の圧延方法。
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