JP2931464B2 - 織機の織段防止方法と、その装置 - Google Patents

織機の織段防止方法と、その装置

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JP2931464B2 JP34461491A JP34461491A JP2931464B2 JP 2931464 B2 JP2931464 B2 JP 2931464B2 JP 34461491 A JP34461491 A JP 34461491A JP 34461491 A JP34461491 A JP 34461491A JP 2931464 B2 JP2931464 B2 JP 2931464B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、織機を起動すると
き、筬の打込み位置が連続的に変化することにより発生
する織段を有効に防止することができる織機の織段防止
方法と、その装置に関する。
【0002】
【従来の技術】織機を起動すると、織機の回転数が上昇
するに従って筬の打込み位置が連続的に変化し、そのた
めに、織段(いわゆる起動段)が発生することがある。
織機の回転数の大小により、筬の撓み量が異なるからで
ある。
【0003】かかる織段を防止するために、巻取りモー
タの回転速度を調節し、筬の打込み位置の変化に合わせ
て織前位置を変化させる技術が提案されている(特開平
1−298247号公報)。このものは、織機の回転数
の上昇曲線に対応する巻取りモータの規定速度上昇曲線
を定め、織機起動後の所定期間に亘り、この規定速度上
昇曲線を下まわる速度上昇曲線に従うように巻取りモー
タを速度制御し、織前位置を後方側(経糸ビーム側をい
う、以下同じ)から正規位置に前進させるものである。
なお、このときの巻取りモータの速度上昇曲線は、ピッ
クごとに折線状に変化させ、筬打ちごとに、次の筬打ち
時点における目標速度を与えるものとする。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】かかる従来技術による
ときは、織前位置は、巻取りモータの速度制御によって
調節されるから、その調節結果が不正確であり、織段を
完全に防止することができないという問題があった。す
なわち、各筬打ち時点における織前位置は、巻取りモー
タの速度ではなく、巻取りモータの回転量によって決ま
るから、これを巻取りモータの速度制御によって調節す
るとすれば、巻取りモータは、その速度を極めて正確に
コントロールし、各筬打ち時点における速度を正確に目
標速度に一致させることが不可欠であるからである。ま
た、それを実現するとすれば、制御誤差が全く生じない
高度な速度制御系を必要とする上、織機の回転数の上昇
曲線を正確に把握して巻取りモータの速度制御系にそれ
を反映させる必要があり、かかる制御は、極めて複雑な
装置が必要となり、実用性に乏しいといわざるを得な
い。
【0005】そこで、この発明の目的は、かかる従来技
術の問題に鑑み、巻取りモータの速度制御に代えて、同
モータの回転量制御により織前位置を調節することによ
って、全体装置構成が簡単で済み、しかも、効果的に織
段の発生を防止することができる織機の織段防止方法
と、その装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】かかる目的を達成するた
めのこの出願に係る第1発明の構成は、織機を起動する
に際し、織機起動後の各筬打ちの間において巻取りモー
タを所定量ずつピックごとに断続的に駆動し、各筬打ち
時点までに織前位置を後方側から筬打ち位置に前進させ
ることをその要旨とする。
【0007】第2発明の構成は、主軸に同期して巻取り
モータを駆動する巻取り制御装置に対して織前制御部を
付設し、織前制御部は、織機起動後の所定期間だけ、各
筬打ちの間において巻取りモータを所定量ずつピックご
とに断続的に駆動し、各筬打ち時点までに織前位置を後
方側から筬打ち位置に前進させることをその要旨とす
る。
【0008】なお、織前制御部は、巻取り制御装置の位
置制御部を介して巻取りモータを駆動してもよい。
【0009】
【作用】かかる第1発明の構成によるときは、巻取りモ
ータは、織機起動後の各筬打ちの間において、所定量ず
つピックごとに断続的に駆動され、織前位置を後方側か
ら筬打ち位置に前進させるが、このときの織前位置の移
動量は、巻取りモータの回転量によって決まるから、織
前位置は、各筬打ち時点において、極めて正確に、しか
も容易にコントロールすることができる。なお、このと
きの送出し側は、たとえば、経糸張力が一定となるよう
に送出し量を制御すればよい。
【0010】第2発明の構成によるときは、織前制御部
は、織機起動後、各筬打ちの間において巻取りモータを
所定量ずつピックごとに断続的に駆動するから、巻取り
モータは、織前制御部を介し、その回転量を正確に制御
することができ、したがって、第1発明を容易に実施す
ることができる。
【0011】なお、織前制御部は、巻取り制御装置の位
置制御部を介して巻取りモータを駆動する場合も、同等
の制御内容を実現することができ、このときは、巻取り
制御装置の位置制御部を共通に使用することができ、全
体構成を一層簡単にすることができる。
【0012】
【実施例】以下、図面を以って実施例を説明する。
【0013】織機の織段防止装置は、織機の主軸Aに同
期して巻取りモータMを駆動する巻取り制御装置20に
対し、織前制御部10を付設してなる(図1)。
【0014】織機は、任意の形式の図示しない緯入れ機
構と、綜絖枠HF、HFと、筬Rと、経糸ビームB1 、
織布ビームB2 とを備えてなる(図2)。経糸ビームB
1 からの経糸P、Pは、テンションローラTRを経て引
き出され、綜絖枠HF、HFによって開口されて織前W
f に至る。織前Wf の直近位置に緯入れされる緯糸が筬
Rによって筬打ちされると、織布Wが形成され、織布W
は、巻取りローラKRを介して織布ビームB2 に巻き取
られる。
【0015】テンションローラTRは、経糸張力Tを検
出するロードセルLDと、圧縮ばねLD1 とを介して支
承されており、ロードセルLDからの経糸張力Tは、送
出し制御装置TCに入力されている。送出し制御装置T
Cには、設定張力To が併せ入力されており、その出力
は、送出しモータMa に接続されている。なお、送出し
モータMa は、経糸ビームB1 に連結されており、した
がって、送出しモータMa は、経糸張力T=To となる
ように、送出し制御装置TCによって駆動制御されてい
る。また、巻取りローラKRには、巻取りモータMが連
結されている。
【0016】織機の主軸Aには、エンコーダENが連結
されており(図1)、エンコーダENの出力は、巻取り
制御装置20の倍周器21と、織前制御部10のピック
カウンタ11とに分岐接続されている。倍周器21に
は、緯糸密度設定器21aが付設され、倍周器21の出
力は、切換器22、偏差カウンタ23の加算端子、制御
増幅器24を介し、巻取りモータMに接続されている。
巻取りモータMには、パルス発生器PGが連結されてお
り、パルス発生器PGの出力は、分周器25を介し、偏
差カウンタ23の減算端子に接続されている。
【0017】織前制御部10は、ピックカウンタ11の
他、移動量記憶器12、パルス列発振器13を備えてい
る。ピックカウンタ11の出力は、移動量記憶器12、
パルス列発振器13を介して切換器22に併せ接続され
ている。また、移動量記憶器12には、移動量設定器1
2aが付設されている。
【0018】いま、織機が定常運転中であるとき、エン
コーダENは、主軸Aの回転に従い、主軸Aの回転角度
を検出して、織機機械角θを示すパルス列信号S1 を出
力することができる。そこで、倍周器21は、緯糸密度
設定器21aに設定される緯糸密度yに対応するよう
に、パルス列信号S1 のパルスレートを変換し、巻取り
モータMの指令回転量Ps を示す回転指令信号S2 を作
ることができる。
【0019】このようにして作成された回転指令信号S
2 は、切換器22を介して偏差カウンタ23の加算端子
に入力される一方、偏差カウンタ23の減算端子には、
分周器25を介し、巻取りモータMの回転量Pm を示す
パルス発生器PGからのパルス列信号S3 が入力されて
いるから、偏差カウンタ23は、回転量誤差ΔP=Ps
−Pm を算出出力することができる。ただし、ここで、
分周器25は、パルス発生器PGからのパルス列信号S
3 のパルスレートを変更し、回転指令信号S2のそれと
の整合を図るものとする。
【0020】制御増幅器24は、回転量誤差ΔPに対応
して、回転量誤差ΔP=0となるように巻取りモータM
を駆動する。すなわち、エンコーダENから制御増幅器
24に至る一連の系は、織機が定常運転中であるとき、
主軸Aに同期して巻取りモータMを駆動する巻取り制御
装置20を形成している。また、偏差カウンタ23、制
御増幅器24、分周器25は、パルス発生器PGととも
に、指令回転量Ps に従って巻取りモータMの回転量P
m を制御する位置制御部20aを形成しており、位置制
御部20aは、巻取り制御装置20の一部となってい
る。
【0021】一方、織前制御部10は、織機起動後の所
定期間だけ作動する。
【0022】ピックカウンタ11は、エンコーダENか
らのパルス列信号S1 を入力し、主軸Aの回転回数を計
数することができる。そこで、ピックカウンタ11は、
織機起動によって内容をリセットすることにより、織機
起動後のピック数n(n=1、2…)を計数して出力す
ることができる。一方、移動量設定器12aには、織機
起動後のピックごとの巻取りモータMの回転量Pi (i
=1、2…)が設定されており、移動量記憶器12に
は、移動量設定器12aを介して設定される回転量Pi
が記憶されている。
【0023】そこで、移動量記憶器12は、織機が起動
され、ピックカウンタ11からのピック数nが更新され
る都度、ピック数nに対応する回転量Pi =Pn (n=
1、2…)を選択してパルス列発振器13に出力するこ
とができ、パルス列発振器13は、切換器22を介し、
偏差カウンタ23の加算端子に対して回転量Pn に対応
する指令回転量Psn(n=1、2…)を送出することが
できる。ただし、切換器22は、織機起動直後は、倍周
器21側でなく、パルス列発振器13側に切り換えられ
ているものとする。
【0024】以上のようにして、織機起動後、ピックご
とに偏差カウンタ23の加算端子に指令回転量Psnが与
えられれば、巻取りモータMは、前述と全く同様にし
て、指令回転量Psnに対応する回転量Pm だけ回転する
ことができ、したがって、巻取りモータMは、移動量設
定器12aを介して設定される所定量ずつ、ピックごと
に断続的に駆動することができる。
【0025】一般に、織機が長時間停止すると、その間
に経糸P、Pが伸びるために、織前Wf の位置(以下、
単に織前位置という)Cf は、その正規位置Xo よりも
Δxだけ前方側に移動する(図3)。ただし、前方側と
は、図2の織布ビームB2 側をいい、後方側とは、経糸
ビームB1 側をいうものとする。一方、筬Rは、織機起
動後、織機の回転数の上昇に従って筬打ち曲線Cr が変
化し、筬打ち位置Δxi (i=1、2…)は、織機起動
後のピック数nに対応して、正規位置Xo の後方側から
徐々に正規位置Xo に接近する漸近線Cr1を描く。ただ
し、ここで、筬打ち位置Δxi は、ピック数n=iにお
ける筬Rの最前進位置を正規位置Xo からの偏移量とし
て表わすものとし、図3においては、ピック数n≧6に
対して筬打ち位置Δxi =0となっている。
【0026】そこで、織機を起動するに当っては、ま
ず、図示しないキックバック装置により巻取りモータM
を逆転し、織前位置Cf を(Δx+Δx1 )相当だけ後
方側に移動した上、織機を起動する。なお、キックバッ
ク装置とは、織機起動に際し、経糸P、Pの伸びによる
織前位置Cf の移動を補正するために、巻取りモータ
M、送出しモータMa の一方または双方を強制的に逆転
させる公知の装置である。ただし、従来の公知のキック
バック装置は、一般に、図3のΔxに相当するだけ織前
位置Cf を移動し、織前Wf を正規位置Xo に補正する
ものであるが、ここでいうキックバック装置は、前述の
ように、織前位置Cf を正規位置Xo よりさらにΔx1
だけ後方側に移動させるものとする。
【0027】つづいて、織機を起動すると、起動後の第
nピックにおける筬打ち位置Δxi=Δxn は、同図の
漸近線Cr1上にある。そこで、織前制御部10は、起動
後の第iピックと第(i+1)ピックとの間において、
織前位置Cf が移動量δi =Δxi −Δxi+1 ずつ移動
するように、巻取りモータMをピックごとに断続的に駆
動することにより、起動後の織前位置Cf を第iピック
ごとに常に筬打ち位置Δxi (i=1、2…)に一致さ
せ、起動後の織段を完全に防止することができる。すな
わち、移動量設定器12aには、起動後のピックごとの
巻取りモータMの回転量Pi として、織前位置Cf の移
動量δi に相当する巻取りモータMの回転量を設定すれ
ばよい。
【0028】以上の説明において、織前制御部10によ
る巻取りモータMの駆動は、図3に示す織前位置Cf の
ように、各筬打ちの中間時点において、移動量δi =Δ
xi−Δxi+1 に相当する回転量Pi だけ一挙に駆動す
るのがよい。次の筬打ち時点までに、織前位置Cf を所
定の筬打ち位置Δxi に確実に移動させておくことがで
きるからである。かかる制御は、たとえば、エンコーダ
ENからの織機機械角θをパルス列発振器13に導入
し、筬打ちの中間時点における所定の織機機械角θにお
いて、パルス列発振器13から十分速いパルスレートの
指令回転量Psnを一挙に出力させることにより実現する
ことができる。
【0029】また、切換器22は、織機起動後の筬打ち
位置Δxi =0となる時点において、織前制御部10側
から倍周器21側に切り換え、全体を定常運転中の動作
に切り換えればよい。すなわち、切換器22は、移動量
設定器12aを介して設定する回転量Pi =0となるピ
ック数n=iに対応させ、ピックカウンタ11からのピ
ック数nまたは移動量記憶器12からの回転量Pn を使
用して、n=iまたはPn =0を検出して切り換えるこ
とができる。
【0030】なお、キックバック装置によるキックバッ
ク動作は、必ずしも織機起動前に動作を完了する必要は
なく、織機起動後、第1ピックが行なわれるまでに完了
すれば足りる。また、送出し制御装置TCの制御対象
は、送出しモータMa に代えて、主軸Aと経糸ビームB
1 との間に介装する無段変速機であってもよく、さら
に、送出し制御装置TC、送出しモータMa は、経糸張
力T=To に制御することができる限り、機械的な消極
送出し機構であってもよい。
【0031】
【他の実施例】位置制御部20aは、巻取り制御装置2
0の一部としてではなく、織前制御部10の出力側に独
立に設けることができる(図4)。
【0032】切換器22は、巻取り制御装置20と巻取
りモータMとの間に介装し、織前制御部10は、位置制
御部20a、切換器22を介して巻取りモータMに接続
されている。そこで、織前制御部10は、巻取り制御装
置20が単なる速度制御系であり、位置制御部を備えて
いない場合であっても、位置制御部20aを介し、前実
施例と全く同様にして、織機起動後の所定期間だけ、巻
取りモータMを所定量ずつピックごとに断続的に駆動す
ることができる。
【0033】
【発明の効果】以上説明したように、この出願に係る第
1発明によれば、織機起動後、巻取りモータを所定量ず
つピックごとに断続的に駆動し、織前位置を後方側から
筬打ち位置に前進させることによって、織前位置は、巻
取りモータの回転量に基づいて十分正確にコントロール
することができるから、極めて効果的に織段の発生を防
止することができるという優れた効果がある。
【0034】第2発明によれば、巻取り制御装置に対
し、巻取りモータを所定量ずつピックごとに断続的に駆
動する織前制御部を付設することによって、巻取りモー
タは、織前制御部を介し、その回転量を正確に制御する
ことができるから、第1発明を簡単に実施することがで
きる上、制御誤差を全く生じない高度な速度制御系を使
用したり、織前制御部の動作を織機の回転数の上昇曲線
に格別に関連付けたりする必要が全くないので、全体装
置構成を極めて単純にすることができるという優れた効
果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 全体構成ブロック系統図
【図2】 織機の構成概念説明図
【図3】 動作説明線図
【図4】 他の実施例を示す図1相当図
【符号の説明】
A…主軸 M…巻取りモータ Ma …送出しモータ TC…送出し制御装置 T…経糸張力 Cf …織前位置 Δxi (i=1、2…)…筬打ち位置 10…織前制御部 20…巻取り制御装置 20a…位置制御部

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 織機を起動するに際し、織機起動後の各
    筬打ちの間において巻取りモータを所定量ずつピックご
    とに断続的に駆動し、各筬打ち時点までに織前位置を後
    方側から筬打ち位置に前進させることを特徴とする織機
    の織段防止方法。
  2. 【請求項2】 主軸に同期して巻取りモータを駆動する
    巻取り制御装置に対して織前制御部を付設し、該織前制
    御部は、織機起動後の所定期間だけ、各筬打ちの間にお
    いて巻取りモータを所定量ずつピックごとに断続的に駆
    動し、各筬打ち時点までに織前位置を後方側から筬打ち
    位置に前進させることを特徴とする織機の織段防止装
    置。
  3. 【請求項3】 前記織前制御部は、前記巻取り制御装置
    の位置制御部を介して巻取りモータを駆動することを特
    徴とする請求項2記載の織機の織段防止装置。
JP34461491A 1991-12-26 1991-12-26 織機の織段防止方法と、その装置 Expired - Lifetime JP2931464B2 (ja)

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