JP2931297B1 - フレキシブル基板の製造方法 - Google Patents

フレキシブル基板の製造方法

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Abstract

【要約】 【目的】 大面積のフレキシブル基板であっても犠牲層
の溶解除去が短時間ですみ、しかも形成されるフレキシ
ブル基板に自身に蓄積される応力に耐えることができる
程度の接着力を有するようにする。 【構成】 担体基板100の上に犠牲層200を形成す
る工程と、犠牲層200の上にフレキシブルな薄膜30
0を積層する工程と、犠牲層200を溶解除去する工程
とを有するフレキシブル基板の製造方法であって、犠牲
層200を形成する工程は、担体基板100の上に下側
保護薄膜210を形成する工程と、下側保護薄膜210
の上に中間膜220を形成する工程と、中間膜220の
上に上側保護薄膜230を形成する工程とからなり、中
間膜220はサマリウムからなり、下側保護薄膜210
と上側保護薄膜230とはモリブデンからなり、犠牲層
200の溶解除去工程では、犠牲層200の中間膜22
0のみを溶解するようになっている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば半導体ウエ
ハ内に形成された、集積回路の電極であるパッドに接触
してその特性を測定するための端子板、あるいは微弱な
圧力センサーに用いるダイアフラム板となる多層フレキ
シブル基板の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】フレキシブル基板には、薄膜を多層にわ
たって積層したものがある。例えば、シリコンウエハを
担体基板とし、このシリコンウエハの上に最終的には溶
解除去される犠牲層を形成し、当該犠牲層の上に薄膜を
多層にわたって積層し、前記犠牲層を溶解除去すること
でシリコンウエハからフレキシブル基板を切り離すよう
なものがある。前記犠牲層としては、例えば非結晶シリ
コンや臭化カリウムを用いることが提案されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、配線板
の面積が大きくなると非結晶シリコンでは溶解に長時間
を用紙、実用上の困難を伴う。また、臭化カリウムでは
多層膜の形成過程で必要な純水による洗浄で剥離を生ず
るだけでなく、接着力が弱いなどという実用上の問題点
がある。
【0004】本発明は上記事情に鑑みて創案されたもの
で、大面積のフレキシブル基板であっても犠牲層の溶解
除去が短時間ですみ、しかも形成されるフレキシブル基
板に自身に蓄積される応力に耐えることができる程度の
接着力を有するフレキシブル基板の製造方法を提供する
ことを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明に係るフレキシブ
ル基板の製造方法は、担体基板の上に犠牲層を形成する
工程と、前記犠牲層の上にフレキシブルな薄膜を形成す
る工程と、前記犠牲層の一部を溶解除去する工程とを有
するフレキシブル基板の製造方法であって、前記犠牲層
は、前記担体基板の上に形成される下側保護薄膜と、こ
の下側保護薄膜の上に形成される中間膜と、この中間膜
の上に形成される上側保護薄膜からなり、前記犠牲層を
形成する工程には、前記担体基板の上に前記下側保護薄
膜を形成する工程と、この下側保護薄膜の上に前記中間
膜を形成する工程と、この中間膜の上に前記上側保護薄
膜を形成する工程とが含まれ、前記中間膜はサマリウム
からなり、前記下側保護薄膜と前記上側保護薄膜とはモ
リブデン又はタングステン或いはこれらのシリサイドか
らなり、前記犠牲層の溶解除去工程では、前記犠牲層の
前記中間膜のみを溶解するようになっている。
【0006】
【発明の実施の形態】図1は本発明の実施の形態に係る
フレキシブル基板の製造方法の各工程を示す概略的断面
図である。
【0007】本発明の実施の形態に係るフレキシブル基
板の製造方法は、担体基板100の上に犠牲層200を
形成する工程と、前記犠牲層200の上にフレキシブル
な薄膜300を形成する工程と、前記犠牲層200の一
部を溶解除去する工程とを有するフレキシブル基板の製
造方法であって、前記犠牲層200は、前記担体基板1
00の上に形成される下側保護薄膜210と、この下側
保護薄膜210の上に形成される中間膜220と、この
中間膜220の上に形成される上側保護薄膜230から
なり、前記犠牲層200を形成する工程には、担体基板
の上に下側保護薄膜210を形成する工程と、この下側
保護薄膜210の上に中間膜220を形成する工程と、
この中間膜220の上に上側保護薄膜230を形成する
工程とが含まれ、前記中間膜220はサマリウムからな
り、前記下側保護薄膜210と前記上側保護薄膜230
とはモリブデン又はタングステン或いはこれらのシリサ
イドからなり、前記犠牲層200の溶解除去工程では、
前記犠牲層200の前記中間膜220のみを溶解するよ
うになっている。
【0008】前記担体基板100としては、シリコンウ
エハが用いられる。
【0009】まず、この担体基板100の表面に犠牲層
200を形成する。この犠牲層200の形成工程は以下
の通りである。担体基板100の表面全域にモリブデン
からなる下側保護薄膜210を形成する。この下側保護
薄膜210の厚さは0.1〜0.2μmに設定され、例
えば平行平板型スパッタ装置で形成される。
【0010】次に、下側保護薄膜210の上にサマリウ
ムからなる中間膜220を積層する。この中間膜220
は、前記下側保護薄膜210の全面に積層されるのでは
なく、図1(A)に示すように、縁部から1〜2mm程
度の部分から内側のみに積層される。この中間膜220
の厚さは1〜2μmであり、例えば真空蒸着装置によっ
て形成される。
【0011】さらに、前記中間膜220の上にモリブデ
ンからなる上側保護薄膜230を形成する(図1(B)
参照)。この上側保護薄膜230は下側保護薄膜210
と同様に厚さが0.1〜0.2μmに設定され、例えば
平行平板型スパッタ装置で形成される。また、この上側
保護薄膜230は、前記中間層220が形成されていな
い部分、すなわち下側保護薄膜210が露出した縁部か
ら1〜2mmの範囲にまで積層される。
【0012】このようにして、図1(B)に示すような
犠牲層200、すなわち下側保護薄膜210と、この下
側保護薄膜210の上に形成された中間膜220と、こ
の中間膜220の上に形成された上側保護薄膜230と
からなる犠牲層200を担体基板100に形成すること
ができた。
【0013】ここで、下側保護薄膜210及び上側保護
薄膜230としてモリブデンの薄膜を形成するのは、次
の理由による。すなわち、犠牲層200をサマリウムか
らなる中間膜220のみから構成すると、担体基板10
0や犠牲層200の上に形成するフレキシブルな薄膜3
00との間に好ましくない化学反応が生じ、その結果、
製造されるフレキシブル基板400の特性が低下するた
めである。
【0014】次に、前記犠牲層200の上にフレキシブ
ルな薄膜300を積層するのである。このフレキシブル
な薄膜300の積層は、次のようにして行う。まず、絶
縁層310を形成する。この絶縁層310としては、プ
ラズマCVD法によって形成される酸化シリコン層(以
下、SOX層とする)が適している。しかも、このSO
X層は、例えばトリメトキシシランと酸素との混合ガス
を用いたプラズマCVD法によって形成する2×10
(dyne/cm)程度の圧縮性の低歪のSiO膜とす
る。
【0015】絶縁層としての前記絶縁層310の上にア
ルミニウムの蒸着膜或いはスパッタ膜からなる導電層3
20を形成する。
【0016】この絶縁層310及び導電層320の積層
を複数回(図1(C)では2回)にわたって反復する。
そして、最終的な表面には絶縁層330を形成する。
【0017】次に、このように形成されたフレキシブル
な薄膜300は、犠牲層200を溶解除去することで担
体基板100から外さなければならない。かかる工程は
次のようにして行われる。
【0018】まず、フォトエッチング法によって、図1
(D)に示すように、中間膜220が形成されていない
部分の上側Aにあるフレキシブルな薄膜300、上側保
護薄膜230及び下側保護薄膜210を除去することで
中間膜220の端部を露出させる。
【0019】次に、0.1%程度の塩酸水溶液によって
中間膜220を溶解除去する。すると、図1(E)に示
すように、下側保護薄膜210は担体基板100の表面
に、上側保護薄膜230はフレキシブルな薄膜300の
裏面にそれぞれ残置するが、フレキシブルな薄膜300
は、フレキシブル基板400として担体基板100から
離脱する。
【0020】なお、上述した実施の形態では、絶縁層3
10としてSOX層を挙げたが、ポリイミド層(以下、
PIQ層とする)でもよい。ここで、表1にてSOX層
とPIQ層との特性の差を説明する。
【0021】
【表1】
【0022】表1に示すように、剛性の小さい多層薄膜
構造には回転式塗布法で形成するPIQ層が適している
が、融点が低いため350℃以下の環境下でしか使用す
ることができない。これに対して、SOX層は融点が高
いのでより高温の環境下でも使用することができる。し
かし、柔軟性はPIQ層の方がSOX層より優れてい
る。従って、上記実施の形態では、PIQ層を適宜選択
することも可能である。
【0023】また、上述した実施の形態では、下側保護
薄膜210及び上側保護薄膜230としてモリブデンの
薄膜を用いたが、例えば、タングステン或いはモリブデ
ンのシリサイドやタングステンのシリサイドを用いても
よい。この場合にも、モリブデンの薄膜を下側保護薄膜
210及び上側保護薄膜230としたのと同様の効果を
得ることができる。
【0024】
【発明の効果】本発明に係るフレキシブル基板の製造方
法は、担体基板の上に犠牲層を形成する工程と、前記犠
牲層の上にフレキシブルな薄膜を形成する工程と、前記
犠牲層の一部を溶解除去する工程とを有するフレキシブ
ル基板の製造方法であって、前記犠牲層は、前記担体基
板の上に形成される下側保護薄膜と、この下側保護薄膜
の上に形成される中間膜と、この中間膜の上に形成され
る上側保護薄膜からなり、前記犠牲層を形成する工程に
は、担体基板の上に下側保護薄膜を形成する工程と、こ
の下側保護薄膜の上に中間膜を形成する工程と、この中
間膜の上に上側保護薄膜を形成する工程とが含まれ、前
記中間膜はサマリウムからなり、前記下側保護薄膜と前
記上側保護薄膜とはモリブデン又はタングステン或いは
これらのシリサイドからなり、前記犠牲層の溶解除去工
程では、前記犠牲層の前記中間膜のみを溶解するように
なっている。
【0025】このフレキシブル基板の製造方法による
と、犠牲層を非結晶シリコンなどで形成した従来の方法
と同等の条件下において、犠牲層の溶解除去に要する時
間を数分の一以下に短縮することができた。また、この
製造方法によって製造されたフレキシブル基板は、純水
の洗浄程度の力では剥離することがない。すなわち、極
めて薄く、デリケートなこの種の多層薄膜を担体基板か
ら剥離する困難な作業を、比較的平易な作業に置き換え
ることができるのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係るフレキシブル基板の
製造方法の各工程を示す概略的断面図である。
【符号の説明】
100 担体基板 200 犠牲層 210 下側保護薄膜 220 中間膜 230 上側保護薄膜 300 フレキシブルな薄膜 400 フレキシブル基板
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平8−205273(JP,A) 特開 平9−260745(JP,A) 特開 平10−256563(JP,A) 特開 昭55−24409(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) H01L 21/66 G01R 1/073 H01L 21/02 H01L 29/84

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 担体基板の上に犠牲層を形成する工程
    と、前記犠牲層の上にフレキシブルな薄膜を形成する工
    程と、前記犠牲層の一部を溶解除去する工程とを有する
    フレキシブル基板の製造方法において、前記犠牲層は、
    前記担体基板の上に形成される下側保護薄膜と、この下
    側保護薄膜の上に形成される中間膜と、この中間膜の上
    に形成される上側保護薄膜からなり、前記犠牲層を形成
    する工程には、前記担体基板の上に前記下側保護薄膜を
    形成する工程と、この下側保護薄膜の上に中間膜を形成
    する工程と、この中間膜の上に前記上側保護薄膜を形成
    する工程とが含まれ、前記中間膜はサマリウムからな
    り、前記下側保護薄膜と前記上側保護薄膜とはモリブデ
    ン又はタングステン或いはこれらのシリサイドからな
    り、前記犠牲層の溶解除去工程では、前記犠牲層の前記
    中間膜のみを溶解することを特徴とするフレキシブル基
    板の製造方法。
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