JP2915722B2 - 磁気記録媒体 - Google Patents

磁気記録媒体

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JP2915722B2 JP29377392A JP29377392A JP2915722B2 JP 2915722 B2 JP2915722 B2 JP 2915722B2 JP 29377392 A JP29377392 A JP 29377392A JP 29377392 A JP29377392 A JP 29377392A JP 2915722 B2 JP2915722 B2 JP 2915722B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、磁気記録媒体および磁
気ヘッドおよびそれを搭載した磁気記録装置に関し、特
に吸着現象による磁気記録装置の起動不良を防止し、摺
動耐久性を向上させることを図ったものである。
【0002】
【従来の技術】磁気記録媒体と磁気ヘッドは相対移動し
て記録・再生等を行なう。よって磁気記録媒体および磁
気ヘッドの各々相対する摺動面は、摩耗やキズを避ける
ために高い平滑性が必要とされた。また浮上型ヘッドを
使用するCSS(コンタクト・スタート・ストップ)方
式のコンピュータ用の外部記憶装置である磁気記録装置
においても、磁気ヘッドを安定して浮上させるために、
同様に高い平滑性が必要とされる。
【0003】しかし、前述した平滑性を高めた磁気記録
媒体および磁気ヘッドの相対する面は、大気中の水分
や、耐久性を向上させるために塗布した潤滑剤などによ
って、強い吸着現象を起こすという問題が有った。浮上
型ヘッドを使用する磁気ディスク装置においても、装置
停止中は磁気記録媒体と磁気ヘッドは接触するので同様
の問題が有った。
【0004】そこで、従来より上記のような問題を解決
するために、磁気記録媒体および磁気ヘッドの相対する
面に粗さを設ける方法がとられた。磁気記録媒体に粗さ
を設ける方法としては、基板の表面にテクスチャーと称
する円周方向の溝を設けて吸着を防止するのが一般的で
ある。
【0005】このテクスチャーは、磁気ヘッドの媒体対
向面と磁気記録媒体表面の吸着現象防止のためには、荒
いテクスチャーが好ましく、磁気ヘッドの浮上安定性を
得るためには微細で、かつ均一なテクスチャーが好まし
いと言われているが、近年は、より一層の高性能な磁気
記録装置の開発が進むに従って、その高密度化を図るた
めに、磁気ヘッドの低浮上化が進み、この低浮上化に対
応するため、磁気記録媒体に於けるテクスチャーの微細
化、そして均一化が不可欠な要因とされるようになり、
テクスチャーの微細化及び均一化のための技術の進歩も
目覚ましいものがあるが、一方で、こうしたテクスチャ
ーの微細化及び均一化は、磁気記録媒体と磁気ヘッドの
媒体対抗面の吸着現象を促し、この磁気記録媒体と磁気
ヘッドの媒体対抗面の吸着現象の低減化を益々困難に
し、深刻化するといった問題を有していた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】そこで、こうした問題
を解決するため本発明者らは、フォトリソエッチング技
術等を用いて磁気記録媒体や磁気ヘッドの相対する面に
微細な突起状パターンを形成し、前述した不都合を解決
する磁気記録媒体や磁気ヘッドを提案している。
【0007】しかしながら、前述したフォトリソエッチ
ング技術を用いた磁気記録媒体および磁気ヘッドにおい
ては、その摺動特性はテクスチャー等を施した磁気記録
媒体に比較した場合良好な摺動特性が得られるものの、
更なる最適化が期待できるものであった。
【0008】そこで、本発明の磁気記録媒体は、上記課
題に鑑みてなされたもので、前述した従来のものにおけ
る問題点を克服し、磁気記録媒体と磁気ヘッドとの吸着
を確実に防止するとともに、摺動耐久性を向上した最適
の突起状パターンを有する磁気記録媒体ならびにそれら
を用いた磁気記録装置を提供するものである。
【0009】
【課題を解決する手段】請求項1に記載の磁気記録媒体
は、上記課題を解決するために、磁気ヘッドによって情
報の読み書きがなされ、回転駆動される磁気記録媒体に
おいて、前記磁気記録媒体の表面と裏面の少なくとも一
方のCSS動作を行う内周部側に突起状の突設部が多数
形成され、前記突起状の突設部の頂部に少なくとも一ヶ
所の穴が形成されてなるものである。
【0010】請求項2に記載の磁気記録媒体は、上記課
題を解決するために、磁気ヘッドによって情報の読み書
きがなされ、回転駆動される磁気記録媒体において、前
記磁気記録媒体の表面と裏面の少なくとも一方のCSS
動作を行う内周部側に突起状の突設部が多数形成され、
記録再生を行う外周部側には、同心円状または渦巻状の
グルーブが形成されてなり、少なくとも前記突起状の突
設部の頂部に少なくとも一ヶ所の穴が形成されてなる
のである。
【0011】請求項3に記載の磁気記録媒体は、上記課
題を解決するために、磁気ヘッドによって情報の読み書
きがなされ、回転駆動される磁気記録媒体において、前
記磁気記録媒体の表面と裏面の少なくとも一方のCSS
動作を行う内周部側に突起状の突設部が多数形成され、
記録再生を行う外周部側には、網目状の規則的な連続し
た突設面が形成されてなり、少なくとも前記突起状の突
設部の頂部に少なくも一ヶ所の穴が形成されてなるも
のである。
【0012】請求項4に記載の磁気記録媒体は、上記課
題を解決するために、請求項1乃至請求項3のいずれか
に記載の磁気記録媒体において、CSS動作を行う内周
部側に設けられた前記突設部の高さが5nm以上であ
り、前記突設部高さをHi(mm)、1mm2当りの
前記突設部の数をNiとした時に、前記突設部の平均上
面積(前記突設部の頂部に穴が形成されていない場合の
突設部の上面積)Ai(mm2)が、 (10-5/Ni・Hi)2≦(Ai)≦(15×10-2/Ni) の範囲内としたものである。
【0013】請求項5に記載の磁気記録媒体は、上記課
題を解決するために、請求項乃至請求項4のいずれか
に記載の磁気記録媒体における記録再生を行う外周部側
に設けられたグルーブまたは突設面の高さが5nm以上
で、前記グルーブまたは突設面の総計上面積が、前記グ
ルーブまたは突設面が形成されている前記外周部側の全
面積に対して15%以下としたものである。
【0014】請求項6に記載の磁気記録媒体は、上記課
題を解決するために、請求項1乃至請求項3のいずれか
に記載の磁気記録媒体において、前記突起状の突設部上
に形成される穴の深さが5nm以上であることを特徴と
する磁気記録媒体
【0015】
【作用】本発明の磁気記録媒体は、CSS動作を行う部
分と、記録再生を行う部分との2つの部分に分け、前記
CSS動作を行う部分(CSS領域とも呼ぶ)は、磁気
記録媒体の周速が低く、出力信号の小さい磁気記録装置
にとって不利な磁気記録媒体内周部に設け、記録再生を
行う部分(データ領域とも呼ぶ)は磁気記録媒体外周部
に設けた。
【0016】本発明による請求項1に記載の磁気記録媒
体によれば、磁気記録媒体の少なくとも一方の内周部側
(CSS領域)に突起状の突設部が多数形成されている
ことにより、磁気記録装置停止時において磁気ヘッドが
磁気記録媒体のCSS領域と接触している際に、前記
気ヘッドは、CSS領域上に形成された複数の突設部を
介して磁気記録媒体に接触する。すると、従来の鏡面ど
うしの接触ではなくなるので、磁気ヘッドが磁気記録媒
体に吸着する現象は生じない。よって、磁気ヘッドの吸
着現象にともなって従来生じていた磁気記録装置の故障
は生じない。
【0017】そしてまた、前記磁気記録媒体の少なくと
も一方の内周部側に突起状の突設部が多数形成されてお
り、その突起状の突設部の少なくても一つに、少なくて
も一ヶ所の穴が空いていることより、更なる接触面積の
低減が期待できる。
【0018】そしてまた、前記磁気記録媒体の少なくと
も一方の内周部側に突起状の突設部が多数形成されてお
り、その突起状の突設部の少なくても一つに、少なくて
も一ヶ所の穴が空いていることより、ある一定の接触面
積を維持しつつ、前記突設部間の間隔を狭めることが可
能となり、磁気記録装置としての耐久性向上を図ること
が出来る。
【0019】そしてまた、前記磁気記録媒体の少なくと
も一方の内周部側に突起状の突設部が多数形成されてお
り、その突起状の突設部の少なくても一つに、少なくて
も一ヶ所の穴が空いていることより、穴が開いていない
場合の前記突設部に比べて表面積が大きくなり、磁気ヘ
ッドと磁気記録媒体の摺動にともなう発熱に対して放熱
効果が、より期待できる。
【0020】そしてまた、前記磁気記録媒体の少なくと
も一方の内周部側に突起状の突設部が多数形成されてお
り、その突起状の突設部の少なくても一つに、少なくて
も一ヶ所の穴が空いていることより、穴部に潤滑剤を蓄
えることができ、磁気ヘッドと磁気記録媒体の摺動境界
面により多くの潤滑剤を供給できるようになる。よっ
て、潤滑剤の供給量の低下による磁気記録装置の故障は
生じない。
【0021】そしてまた、前記磁気記録媒体の少なくと
も一方の内周部側に突起状の突設部が多数形成されてお
り、その突起状の突設部の少なくても一つに、少なくて
も一ヶ所の穴が空いていることより、磁気ヘッドと磁気
記録媒体の摺動によって発生する不純物(ダスト、コン
タミ等)を穴に取り込み除去することができる。
【0022】また、請求項2に記載の磁気記録媒体のよ
うに請求項1に記載の磁気記録媒体の記録再生を行う部
分に同心円状のグルーブまたは渦巻上のグルーブが形成
されている磁気記録媒体においても同様の効果を得るこ
とができる。
【0023】そしてさらに、請求項3に記載の磁気記録
媒体のように、前記請求項2に記載の磁気記録媒体にお
けるデータ領域に設けられたグルーブに代えて、網目状
等の規則的な形状の連続した突設面で前記データ領域を
構成することにおいても、上記請求項2に記載の磁気記
録媒体と同様な効果を奏することができる。
【0024】また、請求項4に記載の磁気記録媒体にお
いて、上記請求項1〜3における磁気記録媒体のCSS
領域に設けられた突部の高さを5nm以上とし、前記
部の高さをHi(mm)、1mm2当りの前記突
部の数をNiとした時に、前記突部の平均上面積(前
記突の頂部に穴が形成されていない場合の突設部の
面積)Ai(mm2)が、 (10-5/Ni・Hi)2≦(Ai)≦(15×10-2/Ni) の範囲内で形成することにより、前記CSS領域に於け
る、前記磁気記録媒体回転駆動時の前記CSS領域表面
と磁気ヘッドとの吸着現象を回避することができる。
【0025】また、請求項5に記載の磁気記録媒体にお
いて、上記請求項〜4における磁気記録媒体の外周面
(データ領域)に設けられたグルーブまたは突設部の高
さを5nm以上とし、前記グルーブまたは突設面の総計
上面積が、前記グルーブまたは突設面が形成されている
磁気記録媒体外周面積に対して15%以下である
ことにより、前記外周面に於ける磁気ヘッドの吸着現象
を回避することができる。さらに、磁気記録媒体に於け
る磁性膜に磁気異方性を必要としない磁性膜に限らず、
磁気異方性を必要とする磁性膜をも使用することがで
き、磁気記録装置に必要な保力を得ることができる。
【0026】そしてさらに、請求項6に記載の磁気記録
媒体において、上記請求項1〜5における磁気記録媒体
の突設部に形成される穴部の深さが5nm以上の深さを
有することにより、穴部が穴部として機能し、従来より
も良好な磁気ヘッドとの吸着防止および摺動抵抗低減お
よび耐久性の向上を達成することができる。
【0027】
【実施例】以下、図面を参照して本発明の実施例につい
て磁気記録媒体の磁気ディスクを一例に説明する。 (実施例1)図1〜3は、本発明構造を採用した磁気デ
ィスクの一実施例を示すものである。この例の磁気ディ
スク1は、金属、ガラスあるいは樹脂性などの円盤上の
基板の表面あるいは表裏両面に、磁性膜、保護膜あるい
は必要に応じて複数の中間膜などを被覆した構成であっ
て、コンピュータの磁気記録装置などの磁気記録媒体と
して用いられるものである。
【0028】そして、この磁気ディスク1の表面と裏面
の少なくとも一方においてその内周部には突設部2が複
数設けられており、外周部には同心円状のグルーブ3が
設けられている。そして、前記突設部2は磁気ディスク
1の表面から突出したもので、その形状は図4に示すよ
うな円筒状のものや、図5に示すような六角状のもの、
あるいは図6に示すような円錐状のものなど種々のもの
を採用することができる。また、前記グルーブ3は図に
は示さないが同心円状のものや渦巻状のもの、また、網
目状等の規則的な突設面であっても良い。しかし、前記
突設面2やグルーブ3はいずれも、その高さdが5nm
以上であることが必要である。
【0029】そこで、上記のような構成からなる磁気デ
ィスク1の製造方法について図1及び図2を参照して説
明する。本実施例1の磁気ディスク1を製造するには、
Al、Al合金あるいはガラスなどからなる円盤状の基
板4を用意し、この基板4に面取り加工や表面加工を施
した後に、表面にNi−Pなどの被服膜5をメッキなど
の手段により図1(a)に示すように形成し、更にその
後ポリッシュ加工をする。
【0030】次に、図1(a)(b)に示すように被服
膜5の表面の内周側に先に示した形状の突設部2A、2
A、2A・・・を、外周部側に先に説明したような形状
のグルーブ3を形成する。突設部2Aの断面形状は、図
2に示すように矩形状である。この突設部2A・・・、
グルーブ3の形成方法は、図3に示すような工程からな
るフォトリソグラフィ技術を用いた。
【0031】そこで、図3に示すフォトリソグラフィ技
術による前記突設部2A及びグルーブ3の形成方法につ
いて、以下に詳細に説明する。まず、図3(b)に示す
ように、前記被服膜5上面にフォトレジスト膜10を形
成する。この上に先に説明した突設部2Aおよびグルー
ブ3を多数切り欠いた形状のフォトマスク11を図3
(c)に示すように被せる。そして、これを紫外線を含
む光で露光した後、現像することにより、図3(d)に
示すような微細パターン2aを形成させ、これを図3
(e)に示すようにエッチング処理をした後、図3
(f)に示すようにフォトレジスト部分の剥離処理を施
すことにより図1の(c)までの磁気ディスク基板を形
成する。なお、この突設部2A及びグルーブ3の形成方
法を説明する際に図3(a)に示したフォトレジスト1
0はネガ型の例であるが、ポジ型で上記形状を形成して
も良い。その際、フォトレジスト10上面に載るフォト
マスク11はネガ型とは逆に突設部2Aおよびグルーブ
3の形状の部分にのみ前記フォトマスク11を残すこと
になる。
【0032】ついで、スパッタなどの手法により図1
(d)に示すようなCrなどからなる下地膜6を被覆す
る。そしてさらに、この下地膜6の上にCo−Ta−C
r膜などからなる磁性膜7をスパッタなどの手段で図1
(e)に示すように被覆し、更にカーボンなどからなる
保護膜8をスパッタなどの手段で、図1(f)に示すよ
うに被覆し、更にフッソ系の潤滑膜9をディップコート
法などにより形成して磁気ディスク1を完成する。
【0033】前記製造法においては、図1(b)(c)
で示す突設部及びグルーブが各膜の成膜前に形成される
ので、その上に形成される膜は、順次前記突設部及びグ
ルーブ上に皮膜されるため、磁気ディスク1の表面の内
周部側には突設部2A、2A、2A・・・が、外周部側
には前記グルーブ3、3、3・・・が形成されることに
なる。
【0034】なお、前記実施例1では、多数の膜を積層
する途中で突設部2Aおよびグルーブ3を形成したが、
突設部2Aおよびグルーブ3を形成する工程を最終工程
の保護膜20の形成後に行っても良い。また、この場合
保護膜20の上に突設部2Aおよびグルーブ3を形成し
たスタンパを押し付けても良い。また、保護膜20が硬
い膜である場合は保護膜20を形成する前の工程に新た
な中間膜もしくは従来より使用している膜を用いて突設
部2Aおよびグルーブ3を形成しても勿論良い。
【0035】以上説明したように、突設部2Aおよびグ
ルーブ3の形状及び形成方法には種々のものが考えられ
るが、前記形状や、形状作成工程は、CSS動作時にお
いて磁気ヘッドの媒体対抗面と磁気ディスクの表面にお
いて吸着現象を起こさないことを目的とするものであれ
ば、先に示したものに限らないのは勿論である。
【0036】そして、前述した突設部及ぶグルーブ等の
形状において、これらを磁気ディスク1に設けた際に突
設部2Aの高さdを5nm以上とした。この理由は以下
のような試験データによるものである。 (試験例1)前記磁気ディスク1に設けた突設部2の表
面に潤滑剤を塗布したときの突設部2Aの高さdに対す
る吸着力を測定し、その結果を図7に示した。この結果
から判ることは、前記突設部2Aの高さdが、5nm以
下の場合は吸着力が発生して前記突設部2Aは事実上、
前記磁気ヘッドの媒体対抗面との吸着現象を防ぐことが
できない。
【0037】従って上述した試験例1から判ることは、
磁気ディスク1に設けられる突設部2Aの高さdは5n
m以上が適当で、5nm以下では磁気ヘッドと磁気ディ
スクとの吸着を防止できないということである。
【0038】次に、本実施例の磁気ディスク1のCSS
領域に形成された突設部2Aの高さHiを、前記CSS
領域においては5nm以上として、各突設部2Aの高さ
をHi(mm)、1mm2 当りの前記突設部2Aの数を
Niとしたときに、前記各突設部2Aの平均上面積(前
記突設部上に穴が開いていない場合の突設部面積)Ai
(mm2 )が、 (10-5/Ni・Hi)2 ≦Ai≦(15×10-2/Ni) の範囲内にある理由について以下に説明する。
【0039】前記突設部2Aの形成密度を上記のように
規定した理由は、以下に記すような試験例2による試験
データによるものである。試験例2について説明する。 (試験例2)まず、磁気ディスクとしては、上記試験例
1の磁気ディスク1と同様な構成で、ガラス基板にフォ
トリソエッチングを施したものである。図1に示すよう
な突設部2A・・・を相互の間隔が等しくなるように正
三角形状の配置で形成し、この後、順次Cr膜からカー
ボン膜まで積層し、さらに、厚さ0.5nmの潤滑層を
形成した。突設部2Aの高さHiを80nm、30nm
の2種類の磁気ディスクを作成した。そして、前記磁気
ディスクにおける突設部2Aの数Niとその平均上面積
(前記突設部上に穴が開いていない場合の突設部面積)
Ai(mm2 )をパラメータとした。
【0040】また、磁気ヘッドとしてはミニモノリシッ
クタイプのフェライトヘッドを用いた。そして、前記構
成からなる磁気ディスク1と磁気ヘッドを用いて磁気デ
ィスク1の突設部の数Niと平均上面積Aiと吸着力と
の関係を調査する試験を行った。なお、前記吸着力と
は、磁気ヘッドを磁気ディスク1から相互の当接面に対
して直行する鉛直方向に離間させるときの力とし、0.
5g未満を吸着力小と判断した。
【0041】図8に前記突接部2Aの高さHiを80n
mとした場合の突接部2Aの数Niと平均上面積Aiと
吸着力との関係を示し、図9に前記突接部2Aの高さH
iを30nmとした場合の突接部2Aの数Niと平均上
面積Aiと吸着力との関係を示す本試験例2の結果をそ
れぞれ示す。
【0042】図8及び図9より明白なことは、適正な吸
着力小の領域を挟んで、吸着力大の領域が存在したこと
である。この吸着力大には、吸着力大(1)と吸着力大
(2)との2種類の領域がある。一方の吸着力大(1)
の領域は、磁気ヘッドと磁気ディスクとの接触面積が大
きいために吸着力が大きいものであり、他方の吸着力大
(2)の領域は、磁気ディスク1が弾性変形し、前記磁
気ディスク1は磁気ヘッドと突接部2A以外の部分でも
当接して、このため接触面積が増加して吸着力が大きく
なるものである。よって、これらの吸着力の大きい領域
においては前記突接部2Aの機能が発揮されない。
【0043】また、図8の試験結果と図9の試験結果と
を比較すると、突接部2Aの高さHiの値により、吸着
力(2)の領域の値が相違することが判る。そして、前
記突接部2Aの数をNiとすると、突接部2Aの平均上
面積は (10-5/Ni・Hi)2 ≦Ai≦(15×10-2/Ni) の範囲内にある場合のみ吸着力が小さいことが判明し
た。
【0044】また、前記試験と同様の実験をデータ領域
について行った結果、データ領域においても同様な結果
を示した。つまり、グルーブまたは突接面の高さは5n
m以上で、前記グルーブまたは突接面の総計上面積が、
前記グルーブまたは突接面が形成されている磁気記録媒
体外周側の前面積に対して15%以下であることによ
り、前記データ領域に於ける磁気ヘッドの吸着現象を回
避することが判明した。
【0045】(実施例2)次に、前記磁気ディスク1と
同様の構成からなる磁気ディスクにおいて、突接部2A
に穴を開けて2´Aとした磁気ディスク1´について実
験を行った結果について説明する。この磁気ディスク1
´は図11に示す磁気ディスク1´の突接部2´A・・
・の形状を図11に示すように穴12の空いたものとし
ている。 (試験例3)まず磁気ディスク1´としては上記試験例
1、2と同様な構成でNi−P基板にフォトリソエッチ
ングを施したものである。その際、突接部2´A・・・
は、平均上面積(前記突設部上に穴が開いていない場合
の突設部面積)Ai(mm2)が9μm2 で、その頂部
に1μm2 の穴部を持つように形成した。この後、順次
Cr膜からカーボン膜まで積層し、さらに、厚さ0.5
nmの潤滑層を形成した。
【0046】また、磁気ヘッドとしてはミニモノリシッ
クタイプのフェライトヘッドを用いた。そして、前記構
成からなる磁気ディスク1´と前記磁気ディスク1と磁
気ヘッドを用いてCSSを繰り返し行った際の摩擦力の
推移について試験を行った。その結果を図10に示す。
□は突設部に穴がないものを示し、+は突設部に穴があ
るものを示す。
【0047】図10からも明らかなように、磁気ディス
ク1´のCSS領域に設けられた突設部上に穴が形成さ
れている場合、CSSを繰り返し行った際の摩擦力が全
体的に、前記磁気ディスクのCSS領域に設けられた突
設部上に穴が形成されていない場合に比べて低いことが
判る。これは、磁気ヘッドと磁気ディスク1´の接触面
積が減少したこと等に起因するものと考えられる。
【0048】また、試験例1からも明らかなように穴部
が穴として機能するためには5nm以上の深さが必要で
あり、それ以下では磁気ヘッドとの接触が起き、穴とし
て機能しないことは明らかである。
【0049】以上、試験例1〜3より本実施例の磁気デ
ィスクによれば、CSS特性及び吸着性を従来の磁気デ
ィスクに比べて著しく向上させることができるととも
に、磁気ディスク内周部CSS領域に形成する突接部2
´Aの設計パラメータを最適範囲で規定することができ
る。また同様の考えに、更に磁気記録特性を考慮すれば
データ領域も最適範囲で規定することができる。
【0050】そして、前記突設部2´Aの設計パラメー
タは、磁気ディスク1´を形成する上で極めて実用的で
あり、磁気ディスク表面と磁気ヘッドの吸着を回避し得
る形状を高精度で確実に形成することが可能である。ま
た穴12は本実施例野用に1つでも十分に効果を得るこ
とができるが2つ以上空いていても同様な効果を生ずる
ことは言うまでもない。さらに、すべての突設部2´A
・・・に必ずしも穴12が空いていなくてもよく、いく
つかの突設部2´Aに空いていればその効果が現れるこ
とは明らかである。
【0051】
【発明の効果】以上説明したように本発明の請求項1の
磁気記録媒体によれば、内周部(CSS領域)に突起状
の突設部が多数形成され、この突設部の頂部に少なくと
も一ヶ所の穴を形成することにより、磁気ヘッドと磁気
記録媒体との接触面積を低減することができ、磁気ヘッ
ドと磁気記録媒体の摺動にともなう発熱による放熱効果
を得ることができる。また、突設部頂部に形成された穴
に潤滑剤を蓄えることができるため、磁気ヘッドと磁気
記録媒体の摺動境界面により多くの潤滑剤を供給するこ
とが可能となる。さらに、磁気ヘッドと磁気記録媒体の
摺動によって発生する不純物(ダスト、コンタミ等)を
穴に取り込み除去することが可能となり、磁気記録装置
の耐久性を向上させることが可能となる本発明の請求
項2または3に記載の発明によれば、請求項1に記載の
効果に加え、記録再生を行う外周部において、同心円状
または渦巻状のグルーブや網目状の突設面を形成するこ
とにより、この外周部においても吸着現象の発生を防止
することが可能となる。 本発明の請求項4に記載の発明
によれば、請求項1に記載の効果に加えて、磁気記録媒
体のCSS領域(内周部)に設けられた突設部の高さを
5nm以上とし、前記突設部の高さをHi(mm)、1
mm 2 当りの前記突設部の数をNiとした時に、前記突
設部の平均上面積(前記突設部の頂部に穴が形成されて
いない場合の突設部の上面積)Ai(mm 2 )が、 (10 -5 /Ni・Hi) 2 ≦(Ai)≦(15×10 -2 /Ni) の範囲内で形成することにより、CSS領域の磁気記録
媒体と磁気ヘッドとの吸着現象をさらに防止することが
可能となる。 本発明の請求項5に記載の発明によれば、
請求項1に記載された効果に加えて、磁気記録媒体の外
周部(データ領域)に設けられたクルーブまたは突設面
の高さを5nm以上とし、前記グループまたは突設面の
総計上面積が前記外周部の全面積に対し、15%以下と
することにより、前記外周部の磁気記録媒体と磁気ヘッ
ドとの吸着現象を回避することができる。 本発明の請求
項6に記載の発明によれば、前記請求項1の突設部の頂
部に形成 された穴の深さを5nm以上とすることによ
り、磁気記録媒体の内周部(CSS領域)と磁気ヘッド
の吸着現象をさらに好ましく防止でき、摺動抵抗をさら
に低減でき、磁気記録媒体の耐久性を向上させることが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明における実施例1の磁気ディスクの製造
方法を説明するための図である。
【図2】本発明における実施例1の磁気ディスクの突設
部の断面図である。
【図3】本発明における実施例1の磁気ディスクに設け
られた突説部及びグルーブをフォトリソグラフィ技術に
より形成する形成工程を説明するための図である。
【図4】本発明における磁気ディスクのCSS領域に設
けられる突設部の一構成例を示す図である。
【図5】本発明における磁気ディスクのCSS領域に設
けられる突設部の一構成例を示す図である。
【図6】本発明における磁気ディスクのCSS領域に設
けられる突設部の一構成例を示す図である。
【図7】実施例1の試験例1における試験結果を示す図
である。
【図8】実施例1の試験例2における試験結果を示す図
である。
【図9】実施例1の試験例2における試験結果を示す図
である。
【図10】実施例1の試験例3における試験結果を示す
図である。
【図11】本発明における実施例1の磁気ディスクの一
構成例を説明するための図である。
【図12】本発明における実施例1の磁気ディスクの穴
開き突設部の一構成例を説明するための図である。
【符号の説明】 1 磁気ディスク 1’ 磁気ディスク 2 突設部 2A 突設部 2’A 穴開き突設部 3 グルーブ 4 基板 5 Ni−Pメッキ膜 6 下地膜 7 磁性膜 8 保護膜 9 潤滑膜 10 フォトレジスト膜 11 フォトマスク 12 穴

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 磁気ヘッドによって情報の読み書きがな
    され、回転駆動される磁気記録媒体において、 前記磁気記録媒体の表面と裏面の少なくとも一方のCS
    S動作を行う内周部側に突起状の突設部が多数形成さ
    れ、前記突起状の突設部の頂部に少なくとも一ヶ所の穴
    形成されてなることを特徴とする磁気記録媒体。
  2. 【請求項2】 磁気ヘッドによって情報の読み書きがな
    され、回転駆動される磁気記録媒体において、 前記磁気記録媒体の表面と裏面の少なくとも一方のCS
    S動作を行う内周部側に突起状の突設部が多数形成さ
    れ、記録再生を行う外周部側には、同心円状または渦巻
    状のグルーブが形成されてなり、少なくとも前記突起状
    の突設部の頂部に少なくとも一ヶ所の穴が形成されてな
    ことを特徴とする磁気記録媒体。
  3. 【請求項3】 磁気ヘッドによって情報の読み書きがな
    され、回転駆動される磁気記録媒体において、 前記磁気記録媒体の表面と裏面の少なくとも一方のCS
    S動作を行う内周部側に突起状の突設部が多数形成さ
    れ、記録再生を行う外周部側には、網目状の規則的な連
    続した突設面が形成されてなり、少なくとも前記突起状
    の突設部の頂部に少なくとも一ヶ所の穴が形成されてな
    ことを特徴とする磁気記録媒体。
  4. 【請求項4】 請求項1乃至請求項3のいずれかに記載
    の磁気記録媒体において、CSS動作を行う内周部側に
    設けられた前記突設部の高さが5nm以上であり、前記
    突設部の高さをHi(mm)、1mm2当りの前記突設
    部の数をNiとした時に、前記突設部の平均上面積(前
    記突設部の頂部に穴が形成されていない場合の突設部の
    上面積)Ai(mm2)が、 (10-5/Ni・Hi)2≦(Ai)≦(15×10-2/Ni) の範囲内にあることを特徴とする磁気記録媒体。
  5. 【請求項5】 請求項乃至請求項4のいずれかに記載
    の磁気記録媒体における記録再生を行う外周部側に設け
    られたグルーブまたは突設面の高さが5nm以上で、前
    記グルーブまたは突設面の総計上面積が、前記グルーブ
    または突設面が形成されている前記外周部側の全面積に
    対して15%以下であることを特徴とする磁気記録媒
    体。
  6. 【請求項6】 請求項1乃至請求項3のいずれかに記載
    の磁気記録媒体において、前記突起状の突設部の頂部に
    形成される穴の深さが5nm以上であることを特徴とす
    る磁気記録媒体。
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