JP2914338B2 - 芳香族ポリアミドまたは芳香族ポリイミドフィルムおよびそれを用いた磁気記録媒体 - Google Patents

芳香族ポリアミドまたは芳香族ポリイミドフィルムおよびそれを用いた磁気記録媒体

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JP2914338B2
JP2914338B2 JP5698097A JP5698097A JP2914338B2 JP 2914338 B2 JP2914338 B2 JP 2914338B2 JP 5698097 A JP5698097 A JP 5698097A JP 5698097 A JP5698097 A JP 5698097A JP 2914338 B2 JP2914338 B2 JP 2914338B2
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aromatic polyimide
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、磁気記録媒体とし
て好適に用いることができる芳香族ポリアミドまたは
香族ポリイミドフィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】芳香族ポリアミドや芳香族ポリイミドフ
ィルムは、優れた耐熱性、機械特性を有していることか
ら、例えば、オーディオ、ビデオテープ用のベースフィ
ルムとしての使用が提案されており、その場合に、従来
から用いられているポリエステルフィルム同様に磁気ヘ
ッドとの摺動において易滑性ならびに高出力性を得るた
めの平滑性の両立が求められている。かかる特性を同時
に満たすため、芳香族ポリアミドや芳香族ポリイミドフ
ィルム中に不活性粒子を含有せしめることは有効であ
り、例えば、特公平5−36849号公報等に開示の技
術が知られている。また、より表面制御を厳密に行うた
め、粒子径と層の厚みの比が限定された層を積層したフ
ィルムの例が、特開平3−114830号公報、特開平
3−119512号公報、特開平4−6079号公報等
に示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】近年、ビデオカメラの
屋外での使用の増加、あるいは小型化、記録時間の長時
間化の要請ならびに、コンピューターデータの安価で容
量の大きな記録メディアとして、薄膜で過酷な条件でも
耐久性に優れた、かつ信頼性の高い入出力特性を有する
磁気記録媒体が求められている。
【0004】しかしながら、芳香族ポリアミドや芳香族
ポリイミドに単に粒子を含有せしめただけでは、含有せ
しめた粒子の一部しか有効に用いられず、また、その表
面も特に制御されたものではないので、耐久性、信頼性
のある磁気記録媒体としては不十分なものと言わざるを
得ない。また、特定の表層構造を持つ積層フィルムとし
てより厳密に表面構造を制御することは、芳香族ポリア
ミドや芳香族ポリイミドの製膜に用いられる溶液製膜法
を考慮したとき、複雑な装置系となって生産性に劣るも
のとなる。また、粒子の種類、含有量あるいは芳香族ポ
リアミド、芳香族ポリイミドの成分が異なるとき、積層
される各層のフィルム形成能は当然異なるので、幅方向
にカールが生じたり、当初設計通りの積層構成を持った
フィルムを得ることは極めて困難である。
【0005】本発明は、かかる問題点を解決し、単層フ
ィルムであっても、制御された良好な表面特性を持つフ
ィルムを得、磁気記録媒体とした時のS/N比が高く、
走行性、耐擦り傷性および耐削れ性に優れた磁気記録媒
体用ベースフィルムとして好適に用いることのできる芳
香族ポリアミドまたは芳香族ポリイミドフィルムを提供
することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明の芳香族ポリアミドまたは芳香族ポリイミド
フィルムは、芳香族ポリアミドまたは芳香族ポリイミド
を主成分とし、該成分中に粒子を含有せしめたフィルム
であって、該フィルムの少なくとも一面において、粒子
濃度が最初に極大値を示す深さをdmax、 dmaxよ
り深く1μmまでの範囲における粒子濃度が最小値また
は極小値を示す深さをdmin、 各深さにおける粒子濃
度をρ(d)としたとき、式、 10nm≦dmax≦300nm (1) 3≦ρ(dmax) /ρ(dmin) ≦100 (2) を満たすことを特徴とするものからなる。
【0007】また、本発明に係る芳香族ポリアミドまた
芳香族ポリイミドフィルムは、芳香族ポリアミドまた
芳香族ポリイミドを主成分とし、該成分中に粒子を含
有せしめたフィルムであって、該フィルムの少なくとも
一面において、粒子濃度が最初に極大値を示す深さをd
max、 dmaxより深く1μmまでの範囲における粒
子濃度が最小値または極小値を示す深さをdmin、 d
maxより深く粒子濃度分布曲線の1次微分値が負の変
曲点を示す深さをd”(ただし、d”はρ(d)がρ
(dmax) の4/5となる深さからdminの間での
み定義される)、各深さにおける粒子濃度をρ(d)と
したとき、式、 10nm≦dmax≦300nm (3) 3≦ρ(dmax) /ρ(d”)≦100 (4) ρ(dmax) /ρ(dmin) >100 (5) を満たすことを特徴とするものからなる。
【0008】さらに、本発明に係る磁気記録媒体は、上
記のようなフィルムの、(1)式および(2)式、また
は(3)式から(5)式を満たす面あるいはその反対面
に磁性層を形成したものからなる。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明の芳香族ポリアミドとは、
次の一般式化1および/または一般式化2で表される繰
り返し単位を50モル%以上含むものであって、70モ
ル%以上からなるものがより好ましい。
【0010】
【化1】
【0011】
【化2】
【0012】ここで、Ar1 、 Ar2 、 Ar3 は 例え
ば、下記化3に示すようなものが挙げられ、化3におけ
るX、Yは、−O−,−CH2 - ,−CO−,−SO2
- ,−S−,−C(CH3 ) 2 −等から選ばれるが、こ
れらに限定されるものではない。更にこれらの芳香環上
の水素原子の一部が、ハロゲン基(特に塩素)、ニトロ
基、炭素数1から3のアルキル基(特にメチル基)、炭
素数1から3のアルコキシ基等の置換基で置換されてい
るものも含み、また、重合体を構成するアミド結合中の
水素が他の置換基によって置換されているものも含む。
【0013】
【化3】
【0014】本発明に用いる芳香族ポリアミドフィルム
は、特性面からは上記の芳香環がパラ配向性を有してい
るものが、全芳香環の70%以上、より好ましくは80
%以上を占めると、フィルムの剛性が高く耐熱性も良好
となるため好ましい。ここで言うパラ配向性とは芳香環
に結合する二価の主鎖結合鎖が互いに平行あるいは同軸
である状態として定義される。また芳香環上の水素原子
の一部がハロゲン基(特に塩素)、ニトロ基、炭素数1
から3のアルキル基(特にメチル基)、炭素数1から3
のアルコキシ基等で置換された芳香環が全体の30%以
上、好ましくは50%以上であると湿度特性、剛性等の
機械特性が改善されるために好ましい。
【0015】本発明の芳香族ポリアミドは、一般式化1
および/または一般式化2で表される繰り返し単位を5
0モル%以上含むものであって、50モル%未満は他の
繰り返し単位、例えば、芳香族ポリイミド単位や他の芳
香族ポリアミド単位等が共重合、またはブレンドされて
いても差し支えない。
【0016】本発明における芳香族ポリイミドとは、重
合体の繰り返し単位の中に芳香環とイミド環を1つ以上
含むものであり、一般式化4および/または一般式化5
で示される繰り返し単位を50モル%以上含むものが好
ましく、より好ましくは70モル%以上である。
【0017】
【化4】
【0018】
【化5】
【0019】ここでAr4 、 Ar6 は少なくとも1個の
芳香環を含み、イミド環を形成する2つのカルボニル基
は芳香環上の隣接する炭素原子に結合している。このA
4 は、芳香族テトラカルボン酸あるいはこの無水物に
由来する。代表例としては次の化6に示す様なものが挙
げられる。
【0020】
【化6】
【0021】ここでZは、 −O−,−CH2 - ,−CO−,−SO2 - ,−S−,−C(CH3 ) 2 − 等から選ばれるが、これらに限定されるものではない。
【0022】また、Ar6 は無水カルボン酸あるいはこ
のハライドに由来する。Ar5 、 Ar7 は例えば、下記
化7に示すようなものが挙げられ、化7におけるX、Y
は、 −O−,−CH2 - ,−CO−,−SO2 - ,−S−,−C(CH3 ) 2 − 等から選ばれるが、これらに限定されるものではない。
更にこれらの芳香環上の水素原子の一部が、ハロゲン基
(特に塩素)、ニトロ基、炭素数1から3のアルキル基
(特にメチル基)、炭素数1から3のアルコキシ基等の
置換基で置換されているものも含み、また、重合体中に
アミド結合を含む場合は、アミド結合中の水素が他の置
換基によって置換されているものも含む。
【0023】
【化7】
【0024】本発明における芳香族ポリイミドは、一般
式化4および/または一般式化5で表される繰り返し単
位を50モル%以上含むものであって、50モル%未満
は他の繰り返し単位が共重合、またはブレンドされてい
ても差し支えない。
【0025】本発明のフィルムは更に粒子を含有する。
粒子の種類は特に限定されないが、SiO2 、 Ti
2 、 Al2 3 、 CaSO4 、 BaSO4 、 CaCO
3 、 カーボンブラック、ゼオライト、その他の金属微粉
末などの無機粒子や、シリコーン粒子、ポリイミド粒
子、架橋共重合体粒子、架橋ポリエステル粒子、テフロ
ン粒子などの有機高分子等があるが、耐熱性の点から無
機粒子の方がより好ましい。
【0026】本発明のフィルムに含有される粒子の平均
粒径(多くの場合、凝集しているが、凝集度は小さい方
が好ましく、単分散粒子であってもよい。)は、好まし
くは5〜500nm、より好ましくは10〜500nm
である。また、粒子の粒径分布の相対標準偏差が好まし
くは0.7以下、より好ましくは0.5以下のものを用
いることにより、厳密に制御された表面性を得ることが
でき、優れた走行性と耐擦り傷性が得られ、また高いS
/N比を得ることができる。
【0027】本発明のフィルムに含有される粒子の含有
量は、好ましくは0.05重量%以上、より好ましくは
0.1重量%以上であり、上限として好ましくは5重量
%以下、より好ましくは3重量%以下である。粒子の含
有量が上記の範囲より少ないとフィルムの走行性が不良
となり易く、逆に多くてもS/N比が不良となり易い。
【0028】本発明のフィルムは、該フィルムの少なく
とも片側表面の表面近傍において、該粒子濃度が最初に
極大値を示す深さをdmaxとした時、dmaxが10
〜300nmである必要がある。下限として好ましくは
20nm以上、上限として好ましくは200nm以下、
より好ましくは150nm以下である。dmaxが10
nm未満では粒子の脱落や削れを生じ、300nmを超
えると表面性に寄与することはなく本発明の目的を達す
ることができない。更に、dmaxより深く1μmまで
の範囲における粒子濃度が最小値または極小値を示す深
さをdmin、各深さにおける粒子濃度をρ(d)とし
たとき、式、 3≦ρ(dmax) /ρ(dmin) ≦100 (2) を満たす必要がある。より好ましくは、5≦ρ(dma
x) /ρ(dmin) ≦100、更に好ましくは、8≦
ρ(dmax) /ρ(dmin) ≦100である。この
値より小さいと走行性、特に、耐擦り傷性、耐削れ性が
悪くなり、大きいとS/N比が不良となる。
【0029】ここで、この様な粒子の偏在、すなわち、
フィルム表面近傍の極薄い層に前記粒子が偏って存在す
る層を形成していることは次の意味を持つと考えられ
る。すなわち、最表面から粒子までの距離のバラツキを
小さくでき、更に好ましく粒径の揃った粒子を用いるこ
とにより突起高さの均一化がはかれる。また、表面近傍
に粒子が偏って存在するため、従来のフィルムのように
フィルム厚さ方向全体にわたって均一に分散して存在す
る場合に比べて、同一含有量のフィルムならば突起個数
を飛躍的に多くでき、突起密度を大幅に高められる。ま
た、同時に、突起高さの均一性を高めることができる。
更に、フィルム表層を硬くすることができ、摩擦に対す
る抵抗性を高めることができる。かかる構造上の特徴は
磁気記録媒体のS/N比、フィルムの走行性、耐擦り傷
性および耐削れ性に極めて大きな効果がある。
【0030】また、積層フィルムとしたときにしばしば
見られるが、ρ(dmax) /ρ(dmin) が100
を超え、かつ、dmaxより深く粒子濃度分布曲線の1
次微分値が負の変曲点を示す深さd”(ただし、d”は
ρ(d”)がρ(dmax)の4/5となる深さからd
minの間でのみ定義される)を有する時は、上記dm
inにかえてd”を用いることが適当である。つまり、
式、 3≦ρ(dmax) /ρ(d”)≦100 (4) を満たす場合にあっても本発明の効果を得ることができ
る。好ましくは、5≦ρ(dmax) /ρ(d”)≦1
00、更に好ましくは、8≦ρ(dmax) /ρ
(d”)≦100である。
【0031】本発明のフィルムの(1)式および(2)
式、または(3)式から(5)式を満たした面の裏面に
おいて粒子濃度が最初に極大値を示す深さをDmaxと
したとき(ただし、Dmaxが(1)式および(2)
式、または(3)式から(5)式を満たすときは、ρ
(dmax) ≧ρ(Dmax) として定義する)、式、 ρ(dmax) /ρ(Dmax) ≧1.2 を満たすことが好ましい。より好ましくは、ρ(dma
x) /ρ(Dmax) ≧1.5、更に好ましくは、ρ
(dmax) /ρ(Dmax) ≧2である。ρ(dma
x) /ρ(Dmax) がこの範囲内にあると、磁気記録
媒体用ベースフィルムとして用いた時、走行性や電磁変
換特性を極めて優れたものとすることができる。
【0032】本発明のフィルムは、(1)式および
(2)式、または(3)式から(5)式を満たす少なく
とも一つの表面において、表面近傍の粒子によって突起
が形成されている。該突起の平均高さhは5nm以上、
より好ましくは10nm以上、更に好ましくは20nm
以上であることが好ましく、上限としては100nm以
下、より好ましくは50nm以下であることが好まし
い。また、該突起高さの分布の相対標準偏差σ/hが
0.7以下、より好ましくは0.6以下、更に好ましく
は0.5以下であることが好ましく、理想的には0とす
ることが最も好ましい。更に、該表面の平均突起高さの
1/3以下の高さの突起個数の全突起数に占める割合P
1/3 が20%以下、より好ましくは15%以下、更に好
ましくは10%以下であることが好ましく、理想的には
0%が最も好ましい。これらの条件を満たすとS/N
比、走行性、耐擦り傷性を極めて良好なものとすること
ができる。
【0033】また、本発明のフィルムは、(1)式およ
び(2)式、または(3)式から(5)式を満たす少な
くとも一面において、dmaxから1μmまでの厚みの
範囲に粒子濃度の極小値を持つ、つまり内層において高
い粒子濃度を有すると、フィルムとして、まげ剛性が改
善され腰の強いフィルムとすることができ、走行時のお
れやしわの発生を低減させることができるので好まし
い。
【0034】本発明のフィルムは上記組成物を主要成分
とするが、本発明の目的を阻害しない範囲で、酸化防止
剤、熱安定剤、滑剤、紫外線吸収剤、核生成剤等の無機
または有機の添加剤がブレンドされていてもよい。
【0035】また、本発明のフィルムは製膜が容易であ
る単層フィルムとして好ましく採用されるが、積層フィ
ルムであっても構わない。
【0036】一般に積層フィルムとする時には複合管を
用いたり、一旦得たフィルム上に積層したりするが、前
者の方法では特に異質のポリマーを積層使用した時流動
状態の違いから積層比の厳密な制御が困難であり、後者
の方法では設備や工程が複雑で生産性に劣るものとな
る。
【0037】本発明は単層フィルムでも表層部は良く制
御され、優れた表面性を簡便に得ることができるので単
層フィルムあるいは実質的な単層フィルムとして好適に
使用される。
【0038】本発明で言う実質的な単層フィルムとは同
種の粒子を略等量含む同種のポリマー同士を積層して得
られるフィルムを言う。この場合フィルム断面方向にお
いてポリマー、粒子が同じかあるいは連続した分布とな
り、実質的に単層フィルムとして得るのと発明の思想と
しての差は無いからである。
【0039】本発明のフィルムの厚さはその下限として
好ましくは2μm以上、より好ましくは3μm以上であ
り、その上限としては好ましくは50μm以下、より好
ましくは20μm以下、更に好ましくは10μm以下、
特に好ましくは6.5μm以下であるが、特に10μm
以下の薄膜とした時にフィルム中の粒子分布を良く制御
でき、本発明の効果をより引き出すことができる。一
方、2μm未満では強度的に不足し、用途によっては製
品のハンドリング上問題となることがある。
【0040】本発明の芳香族ポリアミドまたは芳香族ポ
リイミドフィルムは、フレキシブルプリント基板、コン
デンサー、感熱転写記録材料、音響振動板、太陽電池の
ベースフィルムなどの用途に好ましく採用できるが、上
記フィルムの少なくとも一面に磁性層を設けた磁気記録
媒体として用いると、優れた電磁変換特性、走行性を兼
ね備えた磁気記録媒体とでき特に好適である。磁気記録
媒体としては民生用、プロ用、D−1、D−2、D−3
などの放送局用デジタルビデオカセット用途、DDS−
2,3,4、データ8mm、QICなどのデータストレ
ージ用途などが挙げられるがとりわけデータストレージ
用途に好適である。
【0041】形状としてもディスク状、カード状、テー
プ状など特に制限はないが、後述の様に特に薄ものとし
た時に本発明の効果は顕著に現れるので、支持体の厚み
として6.5μm以下、好ましくは5μm以下、更に好
ましくは4μm以下であり、テープの幅が2.3〜1
3.0mm、長さが100m/巻以上であり、また、本
発明は良く制御された表面性を有するので、磁気記録媒
体としての非圧縮時の記録密度が8キロバイト/mm2
以上、好ましくは25キロバイト/mm2 以上、更に好
ましくは30キロバイト/mm2 以上の長尺で高密度記
録用磁気テープとして好ましく用いることができる。な
お、記録密度は下記式で求められる。記録密度=記録容
量/(テープの長さ×テープ幅)
【0042】磁性層を形成する方法は、強磁性粉末を各
種バインダーを用いて磁性塗料とし基材フィルム上に塗
布する湿式法および蒸着法、スパッタリング法、イオン
プレーティング法などの乾式法があり、特に限定される
ものではないが、ここでは湿式法を例にとって説明す
る。
【0043】湿式法の場合は、磁性粉末、バインダー、
有機溶剤等をその他の必要成分と共に混合分散して磁性
塗料を調製し、この磁性塗料を上記フィルムに塗布す
る。磁性粉末の種類は特に限定されないが、強磁性粉
末、例えば、γ−Fe2 3 、 Fe3 4 、 CrO2
Fe、Co、Fe−Co、Fe−Co−Ni、Co−N
i等が好ましく用いられる。バインダーとしては、熱硬
化性樹脂系バインダーおよび放射線硬化系バインダーが
好ましく、例えば、塩化ビニル−酢酸ビニル系樹脂、ポ
リウレタン系樹脂、イソシアネート化合物等を用いるこ
とができる。有機溶剤としては、メチルイソブチルケト
ン、シクロヘキサン、酢酸エチル、テトラヒドロフラ
ン、ジオキサン、トルエン、キシレン等を単独あるいは
2種以上混合して使用できる。その他、添加剤として分
散剤、潤滑剤、帯電防止剤等を用いてもよい。
【0044】本発明のフィルムの常温における少なくと
も一方向の引張りヤング率は、7.8×109 Pa(8
00kg/mm2 ) 以上、より好ましくは8.8×10
9 Pa(900kg/mm2 ) 以上、更に好ましくは
9.8×109 Pa(1000kg/mm2 ) 以上であ
ると、テープ走行中、あるいはストップ/スタート時に
かかるテンションに耐えることができるので好ましい。
これは好ましくパラ配向性のポリマーを用いたり、製膜
時の延伸条件を最適化することなどで達成できる。
【0045】本発明のフィルムの伸度は10%以上、よ
り好ましくは20%以上、更に好ましくは30%以上で
あるとフィルムが適度な柔軟性を持つので望ましい。
【0046】本発明のフィルムの吸湿率は、5%以下、
より好ましくは3%以下、更に好ましくは2%以下であ
ると湿度変化によるフィルムの寸法変化が小さく、磁気
記録媒体としたとき良好な電磁変換特性を保てるので望
ましい。
【0047】本発明のフィルムの200℃、10分間で
の熱収縮率は0. 5%以下が好ましく、より好ましくは
0.3%以下である。このような熱収縮率にすることに
より、磁気記録媒体としたときの温度変化による媒体の
寸法変化が小さく良好な電磁変換特性を保てるので望ま
しい。
【0048】上記のような各特性は、積層された場合に
は積層フィルムについても満足することが好ましい。
【0049】本発明のフィルムは、例えば、次のような
方法で製造できるが、本発明はこれに限定されるもので
はない。まず芳香族ポリアミドであるが、例えば芳香族
ジ酸クロリドと芳香族ジアミンから得る場合には、N−
メチルピロリドン、ジメチルアセトアミド、ジメチルホ
ルムアミド等の非プロトン性有機極性溶媒中で溶液重合
で合成される。
【0050】このとき、低分子量物の生成を抑制するた
め、反応を阻害するような水、その他の物質の混入は避
けるべきであり、効率的な攪拌手段をとることが好まし
い。また、原料の当量性は重要であるが、溶液粘度の影
響などで製膜性を損なう恐れや粒子の分布度を好ましく
調整したい時は、適宜調整することができる。更に、重
合中、溶液を均一に保つため、芳香環上にハロゲン基
(特に塩素)、ニトロ基、炭素数1から3のアルキル基
(特にメチル基)、炭素数1から3のアルコキシ基等の
置換基を有するモノマー、あるいは、ビフェニルエーテ
ル、ビフェニルアミン骨格等の屈曲鎖を有するモノマー
は物性の低下しない範囲で好ましく用いられる。また、
溶解助剤として塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩
化リチウム、臭化リチウム、硝酸リチウム等を添加して
もよい。
【0051】単量体として芳香族ジ酸クロリドと芳香族
ジアミンを用いると塩化水素が副生するが、これを中和
する場合には周期表I族かII族のカチオンと水酸化物
イオン、炭酸イオン等のアニオンからなる塩に代表され
る無機の中和剤、またエチレンオキサイド、プロピレン
オキサイド、アンモニア、トリエチルアミン、トリエタ
ノールアミン、ジエタノールアミン等の有機の中和剤が
使用される。また、基材フィルムの湿度特性を改善する
目的で、塩化ベンゾイル、無水フタル酸、酢酸クロリ
ド、アニリン等を重合の完了した系に添加し、ポリマー
の末端を封鎖してもよい。
【0052】一方、芳香族ポリイミドあるいはポリアミ
ド酸の溶液は次のようにして得られる。即ち、ポリアミ
ド酸はN−メチルピロリドン、ジメチルアセトアミド、
ジメチルホルムアミド等の非プロトン性有機極性溶媒中
で、テトラカルボン酸無水物と芳香族ジアミンを反応さ
せて調製することができる。また芳香族ポリイミドは前
記のポリアミド酸を含有する溶液を加熱したり、ピリジ
ンなどのイミド化剤を添加してポリイミドの粉末を得、
これを再度溶媒に溶解して調製できる。製膜原液中のポ
リマ濃度は5〜40重量%程度が好ましい。
【0053】これらのポリマー溶液はそのまま製膜原液
として使用してもよく、あるいはポリマーを一度単離し
てから上記の有機溶媒や、硫酸等の無機溶剤に再溶解し
て製膜原液を調製してもよい。
【0054】本発明のフィルムを得るためにはポリマー
の固有粘度(ポリマー0.5gを硫酸中で100mlの
溶液として30℃で測定した値)は、0.5以上である
ことが好ましい。製膜原液中のポリマー濃度は2〜40
重量%程度が好ましい。
【0055】ここで、前記の粒子は均一な分散とするた
め、添加前に好ましくは10ポイズ、より好ましくは1
ポイズ以下の溶媒に分散させておくことが好ましい。粒
子をそのまま製膜用のポリマー溶液に添加した場合、平
均粒径が大きくなり、また、粒径分布も大きくなるので
表面が粗れ好ましくない。用いる溶媒としては製膜原液
と同じものが好ましいが、製膜性に特に悪影響を与えな
ければ他の溶媒を使用してもかまわない。分散方法とし
ては、上記溶媒に粒子を入れ、撹拌式分散器、ボールミ
ル、サンドミル、超音波分散器等で分散する。この様に
分散された粒子はポリマー溶液中へ添加混合されるが、
重合前の溶媒中へ添加あるいはポリマー溶液の調製工程
で添加してもよい。また、キャスト直前に添加してもよ
い。
【0056】上記のように調製された製膜原液は、いわ
ゆる溶液製膜法によりフィルム化が行なわれる。溶液製
膜法には乾湿式法、乾式法、湿式法等があるが、本発明
の目的を達成するためには、通常、乾湿式法あるいは湿
式法が用いられる。
【0057】乾湿式法で製膜する場合は、該原液を口金
からドラム、エンドレスベルト等の支持体上に押し出し
て薄膜とし、次いでかかる薄膜層から溶媒を蒸発させ、
薄膜を乾燥する。乾燥条件は80〜250℃、60分以
内の範囲であり、好ましくは80〜200℃の範囲であ
る。この時、キャスト膜のポリマー濃度と該膜の粘度は
本発明を効果的に得る上で重要であり、キャスト膜のポ
リマー濃度が小さいことが有効であり、また、粘度が低
い時間を多くとるようにすることが有効である。この点
で、押し出される製膜原液の粘度はキャスト性を損なわ
ない範囲で低いことが好ましく、かかる手段としては重
合度やポリマー濃度を下げたりして調整できるが、予め
加温されて好ましくは2000ポイズ以下として押し出
されることが好ましい。また、支持体は予め加温されて
いると本発明を得る上で有効であり、製膜原液の温度の
−30℃〜+100℃、好ましくは±0℃以上であって
上限は溶媒の蒸気圧が300mmHg以下となる範囲と
するのが適当である。また、乾燥時に熱をかけることは
有効だが同時に乾燥が進みポリマー濃度が上がるので、
段階的に乾燥を進め粒子を表面近傍に偏在し易くするこ
とが本発明の目的を達成するのに有効である。この他、
一旦加温乾燥後少し温度を下げてしばらくおき、その後
温度を上げて乾燥工程を完結させることも有効である。
一方、乾燥温度が250℃を超えると表面が粗れ、磁気
記録媒体として用いるには不適当なフィルムとなる。ま
た、この乾燥工程で用いられるドラム、エンドレスベル
トはなるだけ平滑であることが望ましい。次いで、乾式
工程を終えたフィルムは支持体から剥離されて、湿式工
程に導入され、脱塩、脱溶媒などが行なわれる。この湿
式工程においては、本発明の目的を達成するためにでき
るだけ穏やかに脱塩、脱溶媒を実施する。このため、凝
固・脱塩・脱溶媒浴として、凝固溶媒と重合溶媒等の良
溶媒との混合溶媒を用いるとよく、更に、これら凝固・
脱塩・脱溶媒浴を複数設け混合比に勾配を設け、良溶媒
の割合の高いものから順にフィルムを通すことが好まし
い。また、これらの浴温度に勾配を設け、温度の高いも
のから順にフィルムを通すとより好ましい。この後、延
伸、乾燥、熱処理が行なわれてフィルムとなる。
【0058】湿式法で製膜する場合は、該原液を口金か
らドラム等の支持体上に押し出して薄膜とし、凝固浴に
導入する。キャストにあたっては上記乾湿式法で記した
ようにこの時も上記乾湿式法同様に支持体は予め加温さ
れていることが好ましく、また、該原液も予め加温され
て押し出されることが好ましく、キャスト後水蒸気など
で処理するような時にはなるだけ高温で処理し、また、
その後更に加熱(100℃以上とすることが好まし
い。)処理を行うことが好ましい。次に、凝固浴は、上
記乾湿式法における湿式工程と同様であり、重合溶媒等
の良溶媒と水等の貧溶媒の混合溶媒を用いることが有効
である。また、良溶媒の代わりに貧溶媒に塩化カルシウ
ム、塩化マグネシウム、塩化リチウム、臭化リチウム、
硝酸リチウム等の無機塩を加えて調製された浴を用いて
もよい。貧溶媒のみでは製膜原液中の溶媒と凝固浴の貧
溶媒の交換が急激に起こり本発明のフィルムを得ること
は困難である。次いで、延伸、乾燥、熱処理が行なわれ
てフィルムとなる。
【0059】本発明のフィルムを得るためには延伸工程
の制御は重要である。延伸温度としてはポリマーのガラ
ス転移温度(Tg)から(Tg+30)℃の範囲で行う
ことが有効であり、あるいは膨潤下に好ましくは加熱し
ながら延伸を行うことが有効であり、延伸倍率は面倍率
で1.2〜8.0(面倍率とは延伸後のフィルム面積を
延伸前のフィルムの面積で除した値で定義する。1以下
はリラックスを意味する。)の範囲内、より好ましくは
1.2〜4.0の範囲とすることが好ましい。面倍率は
1.2より小さいとフィルムの物性の低下や表面性の悪
化が見られ、8.0を超える場合はフィルム中の粒子が
表面に出やすく、フィルム表面を粗らし、S/N比に悪
影響がある。
【0060】また、延伸の割合いは特に限定されない
が、伸度、引き裂き抵抗力等の特性を考慮に入れると、
長手方向の引張りヤング率をEMD、幅方向の引張りヤン
グ率をETDとしたとき、 0.5≦EMD/ETD≦2 の範囲となるように延伸することが実用的である。
【0061】フィルムの延伸中あるいは延伸後に熱処理
が行なわれるが、熱処理温度は200〜350℃の範囲
にあることが好ましい。
【0062】また、延伸あるいは熱処理後のフィルムを
徐冷することが有効であり、50℃/秒以下の速度で冷
却することが有効である。
【0063】本発明のフィルムは単層フィルムであって
も良好な表面特性の実現を可能ならしめるものである
が、積層フィルムであっても構わない。積層フィルムと
する場合には、例えば2層の場合には、重合した芳香族
ポリアミド溶液を二分し、それぞれに粒子を添加した
後、積層する。さらに3層以上の場合も同様である。こ
れら積層の方法としては、周知の方法たとえば、口金内
での積層、複合管での積層や、一旦1層を形成しておい
てその上に他の層を形成する方法などがある。
【0064】次に、磁気記録媒体とするときには、この
フィルムに磁性層を形成する。磁性層を形成する方法
は、磁性粉末をバインダー中に分散させ塗布する方法、
強磁性金属を蒸着する方法、その他いずれの方法でも良
い。磁性層を塗布する場合、上記の方法で行うことがで
きるが、グラビアロールを使用する方法が塗膜の均一性
の点ではより好ましい。塗布後の乾燥温度は90℃〜1
50℃が好ましい。またカレンダー工程は25℃〜15
0℃の範囲で行うのが好ましい。
【0065】本発明で得られる表面は、S/N比、走行
性、耐擦り傷性、耐削れ性等の特性を改善できる。従っ
て、本発明で得られる表面に磁性層が形成された場合に
は高い電磁変換特性や高い耐擦り傷性が、本発明で得ら
れる表面の反対側の面に磁性層が形成された場合は走行
性並びに耐削れ性により大きな効果が得られる。もちろ
ん、表裏両面が本発明の要件を満たしていることが好ま
しいことは言うまでもない。また、この様なとき、ρ
(dmax) ≧ρ(Dmax) であるような場合には、
dmaxの求まる表面に磁性層を形成することが好まし
い。
【0066】この後、磁性層と反対側の面に更に走行性
を向上させるために、公知の方法によりバックコート層
を設けてもよい。更に、この磁性層を塗布したフィルム
をキュアした後さらに加工して本発明の磁気記録媒体と
なる。
【0067】こうして得られた磁気記録媒体は、小型
化、薄型化が可能なためコンパクトで大容量のデータを
記録することができ、ビデオ、オーディオ用にはもちろ
ん、湿度・温度による寸法変化が小さいことで、特にコ
ンピューターのデータテープ等のデジタル記録材として
好適である。また、高温・高湿下での走行性及び電磁変
換特性に優れるので屋外使用向きビデオカメラ用テープ
等にも好適に用いることができる。
【0068】また、本発明の芳香族ポリアミドフィル
ム、芳香族ポリイミドフィルムは優れた耐熱性と良好な
走行性を合わせて持つので、TAB実装基板等のフィル
ム基板や感熱転写記録用転写材あるいはフィルムコンデ
ンサー等の用途にも好適に用いることができる。
【0069】
【実施例】本発明の物性の測定方法、効果の評価方法は
次の方法による。 (1)引張りヤング率、強伸度 テンシロン引張り試験機タイプUTM−III型(東京
測機社製)を用いて測定した。試験片は幅10mmで長
さ50mm、引っ張り速度は300mm/分、20℃、
相対湿度60%において測定した。
【0070】(2)粒子の平均粒径 フィルムの断面を透過型電子顕微鏡(TEM)で写真観
察し、粒子を検知する。この写真をイメージアナライザ
ーで、粒子数100個以上について数値処理し、数平均
径Dを平均粒径とする。 D=ΣDi/N (ここで、Diは粒子の円相当径、Nは粒子数)また、
相対標準偏差σ/Dは次の式で求められる。 σ/D=(Σ(Di−D)2 /(N−1))1/2 /D
【0071】(3)表層粒子濃度 2次イオン質量分析装置(SIMS)を用いて、フィル
ム中の粒子に起因する元素の内の最も高濃度の元素と芳
香族ポリアミドおよび/または芳香族ポリイミドの炭素
元素の濃度比を粒子濃度とし、両面について厚さ方向に
濃度分析を行った。測定装置条件は下記のとおりであ
る。 測定装置 2次イオン質量分析装置(SIMS) 独、ATOMIKA社製 A−DIDA3000 測定条件 1次イオン種 :O2 + 1次イオンエネルギー:12keV 1次イオン電流 :100nA ラスター領域 :200×200μm ゲート率 :30% 分析領域 :60×60μm 検出2次イオン :正イオン 電子スプレー条件 :0.8kV−3.0A(F5) 測定時真空度 :3×10-8Torr H−Q−H :#14 なお、有機物等SIMSによる測定が難しい粒子の場合
は全反射赤外分析法、コンフォーカル顕微鏡等も粒子濃
度を測定するのに有効である。
【0072】(4)表面突起の高さおよび高さ分布 2検出器方式の走査型電子顕微鏡(SEM)[ESM−
3200、エリオニクス(株)製]と断面測定装置[P
MS−1、エリオニクス(株)製]においてフィルム表
面の平坦面の高さを0として走査した時の突起の高さ測
定値を画像処理装置[IBAS2000、カールツァイ
ス(株)製]に送り、画像処理装置上にフィルム表面突
起画像を再構築する。次に、この表面突起画像で突起部
分を2値化して得られた個々の突起面積から円相当径を
求めこれをその突起の平均径とする。また、この2値化
された個々の突起部分の中で最も高い値をその突起の高
さとし、これを個々の突起について求める。この測定を
場所を変えて500回繰り返し、突起個数を求め、測定
された全突起についてその高さの平均値を平均高さとし
た。また、個々の突起の高さのデータをもとに、高さ分
布の標準偏差を求めた。相対標準偏差はこの標準偏差を
平均高さで割った値である。また、走査型電子顕微鏡の
倍率は1000〜8000倍の間の値を選択する。な
お、場合によっては、高精度光干渉式3次元表面解析装
置(WYKO社製TOPO−3D、対物レンズ:40〜
200倍、高解像度カメラ使用が有効)や原子間力顕微
鏡(例えばDigital Instrument社製 NanoscopeIII )を
用いて得られる高さ情報を上記SEMの値に読み替えて
用いても良い。
【0073】(5)S/N比 次の組成からなる磁性塗料を調製し、フィルムの製膜時
の金属ベルトあるいはドラムと接しない側の表面に、グ
ラビアロールで磁性層の厚みが2μmとなるように塗布
し、硬化した後カレンダー処理を行った。 磁性粉(メタル粉) : 80重量部 塩ビ系共重合体 : 10重量部 ポリウレタン : 10重量部 硬化剤 : 5重量部 研磨剤 : 5重量部 トルエン : 100重量部 メチルエチルケトン : 100重量部 この磁性層を塗布したフィルムを1/2インチ幅にスリ
ットし、VTRカセットに組み込みVTRテープとし
た。このテープにVHS方式の家庭用VTRを用いてテ
レビ試験波形発生器により100%クロマ信号からカラ
ービデオノイズ測定器で、100回繰り返し走行後のク
ロマS/N比を測定した。雰囲気は25℃、55%RH
(相対湿度)の条件で、市販のテープを基準として評価
した。
【0074】(6)走行性 上記方法で得たVTRテープを、VHS方式の家庭用V
TRを用い、40℃、60%RHで100回繰り返し走
行後のテープ走行の乱れによる画面のゆらぎやノイズを
観察した。 ○:走行順調で再生画面のゆらぎが全くなし。 ×:再生画面にゆらぎやノイズが生ずる。
【0075】(7)耐擦り傷性 40℃、60%RHの雰囲気で、外径6mmφのガイド
ピンに1/2インチ幅のテープ状フィルムを角度θ=π
/2(rad)、入テンションT1=200g、100
0m/分の速さで走行させた後のフィルム表面をアルミ
蒸着して、傷の本数、幅の大きさ、白粉の発生状態を微
分干渉顕微鏡で観察した。全く傷が見られずかつ白粉の
発生がほとんどないものを◎、傷が3本未満でかつ白粉
の発生がほとんどないものを○、傷が3本以上で幅の大
きいものもありかつ白粉の発生が激しく見られるものを
×と判定した。耐擦り傷性は◎が望ましいが、○であれ
ば実用上は問題なく使用できる。
【0076】以下に実施例に基づいて本発明をより具体
的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものでな
いことは言うまでもない。なお、以下の実施例中、NM
PはN−メチルピロリドン、TPCはテレフタル酸クロ
リド、CTPCは2−クロルテレフタル酸クロリド、P
PDAはパラフェニレンジアミン、CPAは2−クロル
パラフェニレンジアミン、DPEは3、4’−ジアミノ
ジフェニルエーテルを表す。
【0077】実施例1 脱水したNMPに85モル%に相当するCPAと15モ
ル%に相当するDPEとを溶解させ、これに98.5モ
ル%に相当するCTPCを添加し、2時間撹拌により重
合後、炭酸リチウムで中和を行った。一方、別に脱水し
たNMP中に一次粒径16nmのシリカを20重量%添
加し、超音波分散器で10時間分散後濾過した。この無
機粒子の溶液を上記のポリマー溶液に、無機粒子がポリ
マー当たり2重量%になるように添加した。
【0078】このポリマー溶液を5μmカットのフィル
ターを通した後、70℃に保ちながら(該温度における
溶液粘度は800ポイズであった。)表面が鏡面状の1
00℃のステンレス製ベルト上に流延し、該キャスト膜
をしばらく保温状態に保った後、最初150℃、次いで
180℃の熱風でそれぞれ1分間ずつ加熱して溶媒を蒸
発させ、自己保持性を得たフィルムをベルトから連続的
に剥離した。次に40℃に保たれたNMPの濃度差をつ
けた水槽内へ順次フィルムを導入して残存溶媒と中和で
生じた無機塩の水抽出を行なった。この間に、フィルム
の長手方向に1.2倍延伸を行った。この後、テンター
で水分の乾燥と熱処理を行なって厚さ5μmの芳香族ポ
リアミドフィルムを得た。この間に280℃でフィルム
の幅方向に1.3倍延伸を行ない、250℃で1.5分
間乾燥と熱処理を行なった後、20℃/秒の速度で徐冷
した。
【0079】このフィルムの引張りヤング率は長手方
向、幅方向ともに1250kg/mm2 、 強度42kg
/mm2 、 伸度30%であった。更に、このフィルムを
加工して磁気テープとし、前記の方法で評価した結果を
表1に示した。S/N比、走行性および耐擦り傷性を測
定すると、全て良好であった。
【0080】実施例2 NMPに芳香族ジアミン成分として100モル%に相当
するCPAを溶解させ、これに100モル%に相当する
3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸
二無水物を添加し重合してポリアミド酸溶液を得た。こ
の溶液に、実施例1と同様な方法で、前もってNMPに
分散した一次粒径40nmのTiO2 をポリマー当たり
1.2重量%添加した。
【0081】この後、このポリマー溶液に触媒を添加
し、5μmカットのフィルターを通した後、60℃の表
面が鏡面状のステンレス製ベルト上に流延し、該キャス
ト膜をしばらく保温状態に保った後、最初120℃、次
いで150℃の熱風でそれぞれ3分間加熱して溶媒を蒸
発させ、自己保持性を得たフィルムをベルトから連続的
に剥離した。次に40℃に保たれたNMPの濃度差をつ
けた水槽内へ順次フィルムを導入して残存溶媒の水抽出
を行なった。この間に、フィルムの長手方向に1.05
倍延伸を行った。この後、テンターで水分の乾燥と熱処
理を行なって厚さ8μmの芳香族ポリイミドフィルムを
得た。この間に300℃でフィルムの幅方向に1.1倍
延伸を行ない、420℃で5分間熱処理してアミド酸の
閉環反応を行なった後、20℃/秒の速度で徐冷した。
【0082】このフィルムの引張りヤング率は長手方
向、幅方向ともに820kg/mm2、 強度35kg/
mm2 、 伸度22%であった。更に、このフィルムを加
工して磁気テープとし、前記の方法で評価した結果を表
1に示す。S/N比、走行性および耐擦り傷性を測定す
ると、全て良好であった。
【0083】実施例3 脱水したNMPに90モル%に相当するCPAと10モ
ル%に相当するDPEとを溶解させ、これに98.5モ
ル%に相当するCTPCを添加し、2時間撹拌により重
合後、炭酸リチウムで中和を行った。この溶液を二分割
し、一方のみに実施例1と同様な方法で、前もってNM
Pに分散した一次粒径16nmのシリカをポリマー当た
り2重量%添加した(この原液を原液Aと称し、粒子を
含まない原液を原液Bと称する。)。
【0084】これらのポリマー溶液を70℃に保ち3台
の押し出し機で口金に供給し、口金内で原液A/原液B
/原液Aの3層に積層して表面が鏡面状の100℃のス
テンレス製ベルト上に流延した。押し出し量を調節する
ことで各々の層の厚みをベルトから最も遠い層から最終
的なフィルムとして、0.5μm、4.5μm、2μm
として総厚みを7μmになるように条件を決めた。この
流延されたポリマー溶液を該キャスト膜をしばらく保温
状態に保った後、最初160℃、次いで180℃の熱風
でそれぞれ1分間ずつ加熱して溶媒を蒸発させ、自己保
持性を得たフィルムをベルトから連続的に剥離した。次
に40℃に保ったNMPの濃度差をつけた水槽内へ順次
フィルムを導入して残存溶媒と中和で生じた無機塩の水
抽出を行なった。この間に、フィルムの長手方向に1.
2倍延伸を行った。この後、テンターで水分の乾燥と熱
処理を行なって厚さ7μmの芳香族ポリアミドフィルム
を得た。この間に280℃でフィルムの幅方向に1.3
倍延伸を行ない、250℃で1.5分間乾燥と熱処理を
行なった後、20℃/秒の速度で徐冷した。
【0085】このフィルムの引張りヤング率は長手方
向、幅方向ともに1280kg/mm2 、 強度42kg
/mm2 、 伸度25%であった。更に、このフィルムを
加工して磁気テープとし、前記の方法で評価した結果を
表1に示す。粒子濃度は表面から30nmで極大を示し
た後、徐々に低下し、580nm付近で大きく低下し0
となった。また、S/N比、走行性および耐擦り傷性を
測定すると、全て良好であった。
【0086】実施例4 脱水したNMPに85モル%に相当するCPAと15モ
ル%に相当するDPEとを溶解させ、これに99.5モ
ル%に相当するCTPCを添加し、2時間撹拌により重
合後、炭酸リチウムで中和を行った。次に、シリカを前
もってNMPに分散せずに、粉末のまま重合前の溶液に
添加した。次いで、キャスト膜を最初に160℃の熱風
で加熱乾燥した以外は実施例1と同様な方法で厚さ5μ
mの芳香族ポリアミドフィルムを得た。このフィルムを
加工して磁気テープとし、前記の方法で評価した結果を
表1に示す。粒子の平均粒径および相対標準偏差が大き
くなり、実施例1と比較して表面が粗れたためS/N比
および耐擦り傷性が若干低下したが実用範囲内であっ
た。また、該基材フィルムのベルト側面に磁性層を形成
し、同様に磁気テープを得たところ、S/N比は若干低
下したが走行性及び耐擦り傷性が大きく改善された。
【0087】実施例5 実施例1と同様の方法で重合・中和を行った。一方、別
に脱水したNMP中に一次粒径25nmのシリカを20
重量%添加し、高圧分散器及び超音波分散器で分散後濾
過した。この無機粒子の溶液を重合前の上記のポリマー
溶液に、無機粒子がポリマー当たり1.8重量%になる
ように添加した。このポリマー溶液を5μmカットのフ
ィルターを通した後、70℃に保ちながら表面が鏡面状
の100℃のステンレス製ベルト上に流延し、該キャス
ト膜の保温時間を実施例1の倍とし、最初120℃で2
分、次いで180℃の熱風で1分加熱して溶媒を蒸発さ
せ、自己保持性を得たフィルムをベルトから連続的に剥
離した。次に40℃に保たれたNMPの濃度差をつけた
水槽内へ順次フィルムを導入して残存溶媒と中和で生じ
た無機塩の水抽出を行なった。次にこのフィルムを加温
してフィルムの長手方向に1.2倍延伸を行った。この
後、テンターで水分の乾燥と熱処理を行なって厚さ5μ
mの芳香族ポリアミドフィルムを得た。この間に280
℃でフィルムの幅方向に1.3倍延伸を行ない、250
℃で1.5分間乾燥と熱処理を行なった後、20℃/秒
の速度で徐冷した。このフィルムの引張りヤング率は長
手方向、幅方向ともに1200kg/mm2 、 強度38
kg/mm2 、 伸度30%であった。更に、このフィル
ムを加工して磁気テープとし、前記の方法で評価した結
果を表1に示した。S/N比、走行性および耐擦り傷性
を測定すると、極めて良好であった。
【0088】実施例6 脱水したNMPに85モル%に相当するCPAと15モ
ル%に相当するDPEとを溶解させ、これに100モル
%に相当するCTPCを添加し、2時間撹拌により重合
後、炭酸リチウムで中和を行った。一方、別に脱水した
NMP中に一次粒径25nmのシリカを20重量%添加
し、超音波分散器で10時間分散後濾過した。この無機
粒子の溶液を上記のポリマー溶液に、無機粒子がポリマ
ー当たり2重量%になるように添加した。このポリマー
溶液を5μmカットのフィルターを通した後、70℃に
保ちながら表面が鏡面状の130℃のステンレス製ベル
ト上に流延し、該キャスト膜をしばらく保温状態に保っ
た後、最初150℃、次いで180℃の熱風でそれぞれ
1.5分加熱して溶媒を蒸発させ、自己保持性を得たフ
ィルムをベルトから連続的に剥離した。次に40℃に保
たれたNMPの濃度差をつけた水槽内へ順次フィルムを
導入して残存溶媒と中和で生じた無機塩の水抽出を行な
った。この時フィルムの長手方向に1.2倍延伸を行っ
た。この後、テンターで水分の乾燥と熱処理を行なって
厚さ11μmの芳香族ポリアミドフィルムを得た。この
間に280℃でフィルムの幅方向に1.3倍延伸を行な
い、250℃で1.5分間乾燥と熱処理を行なった後、
20℃/秒の速度で徐冷した。更に、このフィルムを加
工して磁気テープとし、前記の方法で評価した結果を表
1に示した。S/N比、走行性および耐擦り傷性を測定
すると、走行性にやや懸念があるものの良好であった。
【0089】実施例7 脱水したNMPに45モル%に相当するCPAと45モ
ルに相当する3,3’−ジメチルベンジジンと10モル
%に相当するDPEを溶解させ、99モル%にに相当す
るCTPCを添加し、2時間撹拌により重合後、炭酸リ
チウムで中和を行った。一方、別に脱水したNMP中に
一次粒径25nmのシリカを20重量%添加し、超音波
分散器で10時間分散後濾過した。この無機粒子の溶液
を上記のポリマー溶液に、無機粒子がポリマー当たり2
重量%になるように添加した。このポリマー溶液を5μ
mカットのフィルターを通した後、70℃に保ちながら
表面が鏡面状の60℃のステンレス製ベルト上に流延
し、該キャスト膜をしばらく保温状態に保った後、ベル
トに担持した状態で温度勾配及びNMPの濃度差をつけ
た水槽内へ順次フィルムを導入し、最終的に水浴にて完
全に溶媒と中和で生じた無機塩の抽出を行なった。次い
で、この状態で加温しながらフィルムの長手方向に1.
2倍延伸を行った。次いで、テンターで水分の乾燥と熱
処理を行なって厚さ5μmの芳香族ポリアミドフィルム
を得た。この間に280℃でフィルムの幅方向に1.3
倍延伸を行ない、250℃で1.5分間乾燥と熱処理を
行なった後、20℃/秒の速度で徐冷した。このフィル
ムを加工して磁気テープとし、前記の方法で評価した結
果を表1に示した。S/N比、走行性および耐擦り傷性
を測定すると良好であったが、磁気テープ加工時の歩留
まりが若干劣った。
【0090】比較例1 実施例1で、乾燥条件を130℃で8分間加熱する以外
は実施例1と同様な方法で厚さ5μmの芳香族ポリアミ
ドフィルムを得た。このフィルムを加工して磁気テープ
とし、前記の方法で評価した結果を表1に示す。粒子濃
度の高い層が表面に偏り過ぎ、一部の粒子はほとんど露
出しかけていたために表面が粗れ、S/N比が大きく低
下した。また、耐擦り傷性も悪化した。
【0091】比較例2 脱水したNMPに85モル%に相当するCPAと15モ
ル%に相当するDPEとを溶解させ、これに99.5モ
ル%に相当するCTPCを添加し、2時間撹拌により重
合後、炭酸リチウムで中和を行い、また、実施例1と同
様に粒子の添加を行った。次に、ポリマー溶液を常温の
ステンレスベルトに流延し、乾燥条件を200℃で2分
間加熱する以外は実施例1と同様な方法で厚さ5μmの
芳香族ポリアミドフィルムを得た。このフィルムを加工
して磁気テープとし、前記の方法で評価した結果を表1
に示す。粒子の偏在が小さいために走行性および耐スク
ラッチ性が悪化した。
【0092】比較例3 脱水したNMPに45モル%に相当するCPAと45モ
ル%に相当する3,3’−ジメチルベンジジンと10モ
ル%に相当するDPEとを溶解させ、これに98.5モ
ル%に相当するCTPCを添加し、2時間撹拌により重
合後、炭酸リチウムで中和を行った。次に、実施例1と
同様の方法で、前もってNMP中に分散した一次粒径1
6nmのシリカをポリマー当たり2重量%になるように
添加した。このポリマー溶液を5μmカットのフィルタ
ーを通した後、表面が鏡面状のドラム上に流延し、その
まま水中に導入した。自己保持性を得たフィルムをドラ
ムから連続的に剥離し、溶媒と中和で生じた無機塩の水
抽出を行なった。この間に、フィルムの長手方向に1.
2倍延伸を行なった。この後、テンターで水分の乾燥と
熱処理を行なって厚さ5μmの芳香族ポリアミドフィル
ムを得た。この間に280℃でフィルムの幅方向に1.
3倍延伸を行ない、200℃で2分間乾燥と熱処理を行
なった後、20℃/秒の速度で徐冷した。このフィルム
を加工して磁気テープとし、前記の方法で評価した結果
を表1に示す。粒子の偏在が小さいためにS/N比、走
行性および耐擦り傷性が悪化した。
【0093】比較例4 脱水したNMPに40モル%に相当するPPDAと60
モル%に相当するDPEとを溶解させ、これに98.5
モル%に相当するTPCを添加し、2時間撹拌により重
合後、炭酸リチウムで中和を行った。次に、実施例1と
同様の方法で、前もってNMP中に分散した一次粒径1
6nmのシリカをポリマー当たり2重量%になるように
添加した。このポリマー溶液を5μmカットのフィルタ
ーを通した後、60℃に保ちながら、表面が鏡面状の常
温のステンレス製ベルト上に流延し、180℃の熱風で
3分間加熱して溶媒を蒸発させ、自己保持性を得たフィ
ルムをベルトから連続的に剥離した。次に常温の水槽内
へフィルムを導入して残存溶媒と中和で生じた無機塩の
水抽出を行なった。この間に、フィルムの長手方向に
1.4倍延伸を行った。この後、テンターで水分の乾燥
と熱処理を行なって厚さ5μmの芳香族ポリアミドフィ
ルムを得た。この間に280℃でフィルムの幅方向に
1.5倍延伸を行ない、250℃で1.5分間乾燥と熱
処理を行なった後、20℃/秒の速度で徐冷した。この
フィルムの引張りヤング率は長手方向、幅方向にそれぞ
れ610kg/mm2 、690kg/mm2 、 強度30
kg/mm2 、35kg/mm2 、 伸度38%、31%
であった。更に、このフィルムを加工して磁気テープと
し、前記の方法で評価した結果を表1に示す。フィルム
中の粒子の偏在が不充分であり走行性、耐ケズレ性が不
足した。また、S/N比の改善も余り認められなかっ
た。更に、テープのヤング率が低いため試験後にわかめ
状の変形が認められた。
【0094】比較例5 実施例1と同様の方法で重合・中和を行った。この溶液
を2分割し、一方のみに実施例1と同様の方法で、前も
ってNMP中に分散した一次粒径16nmのシリカをポ
リマー当たり2重量%になるように添加した(この原液
を原液Aと称し、粒子を含まない原液を原液Bとす
る。)。これらポリマー溶液を5μmカットのフィルタ
ーを通した後、70℃に保ちながら3台の押し出し機で
口金に供給し、口金内で原液A/原液B/原液Aの3層
に積層して、表面が鏡面状の120℃のステンレス製ベ
ルト上に流延した。押し出し量を調節することで各々の
層の厚みをベルトから最も遠い層から最終的なフィルム
として、1.2μm、4.0μm、1.8μmとして総
厚みを7μmとなるように条件を決めた。この流延され
たポリマー溶液キャスト膜を最初130℃の熱風で
2分、次いで170℃の熱風で1分加熱して溶媒を蒸発
させ、自己保持性を得たフィルムをベルトから連続的に
剥離した。次に50℃に保たれたNMPの濃度勾配をつ
けた水槽内へフィルムを導入して残存溶媒と中和で生じ
た無機塩の水抽出を行なった。この時フィルムの長手方
向に1.2倍延伸を行った。この後、テンターで水分の
乾燥と熱処理を行なって厚さ7μmの芳香族ポリアミド
フィルムを得た。この間に280℃でフィルムの幅方向
に1.3倍延伸を行ない、250℃で1.5分間乾燥と
熱処理を行なった後、20℃/秒の速度で徐冷した。更
に、このフィルムを加工して磁気テープとし、前記の方
法で評価した結果を表1に示した。粗大突起が多く見ら
れる割に突起密度自体はあまり大きくなく、S/N比、
走行性および耐擦り傷性共に満足のゆくものではなかっ
た。
【0095】
【表1】
【0096】
【発明の効果】本発明は、芳香族ポリアミドまたは芳香
族ポリイミドフィルムの表面近傍での厚さ方向の粒子濃
度の分布を規定することにより、表面に突起高さの揃っ
た突起が高密度に形成され、磁気記録媒体とした時のS
/N比が高く、走行性および耐スクラッチ性に優れたフ
ィルムが得られたものである。また、これらの優れた特
性により磁気記録媒体製造中などの走行性、耐擦り傷性
が向上し加工生産性の向上も可能となる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI G11B 5/704 G11B 5/704 // B29K 77:00 79:00 105:16 B29L 7:00 31:34 (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C08J 5/00 - 5/02 C08J 5/12 - 5/22 B29C 55/12 G11B 5/704 B32B 27/34

Claims (11)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 芳香族ポリアミドまたは芳香族ポリイミ
    ドを主成分とし、該成分中に粒子を含有せしめたフィル
    ムであって、該フィルムの少なくとも一面において、粒
    子濃度が最初に極大値を示す深さをdmax、 dmax
    より深く1μmまでの範囲における粒子濃度が最小値ま
    たは極小値を示す深さをdmin、 各深さにおける粒子
    濃度をρ(d)としたとき、式、 10nm≦dmax≦300nm (1) 3≦ρ(dmax) /ρ(dmin) ≦100 (2) を満たすことを特徴とする芳香族ポリアミドまたは芳香
    族ポリイミドフィルム。
  2. 【請求項2】 芳香族ポリアミドまたは芳香族ポリイミ
    ドを主成分とし、該成分中に粒子を含有せしめたフィル
    ムであって、該フィルムの少なくとも一面において、粒
    子濃度が最初に極大値を示す深さをdmax、 dmax
    より深く1μmまでの範囲における粒子濃度が最小値ま
    たは極小値を示す深さをdmin、 dmaxより深く粒
    子濃度分布曲線の1次微分値が負の変曲点を示す深さを
    d”(ただし、d”はρ(d)がρ(dmax) の4/
    5となる深さからdminの間でのみ定義される)、各
    深さにおける粒子濃度をρ(d)としたとき、式、 10nm≦dmax≦300nm (3) 3≦ρ(dmax) /ρ(d”)≦100 (4) ρ(dmax) /ρ(dmin) >100 (5) を満たすことを特徴とする芳香族ポリアミドまたは芳香
    族ポリイミドフィルム。
  3. 【請求項3】 フィルム中に含有される粒子のフィルム
    中での平均粒径が10nmから500nmの範囲にあ
    り、かつ、粒子の粒径分布の相対標準偏差が0.7以下
    である、請求項1または2に記載の芳香族ポリアミド
    たは芳香族ポリイミドフィルム。
  4. 【請求項4】 (1)式および(2)式、または(3)
    式から(5)式を満たした面の裏面において粒子濃度が
    最初に極大値を示す深さをDmaxとしたとき(ただ
    し、Dmaxが(1)式および(2)式、または(3)
    式から(5)式を満たすときは、ρ(dmax) ≧ρ
    (Dmax) として定義する。)、 ρ(dmax) /ρ(Dmax) ≧1.2 を満たすことを特徴とする、請求項1ないし3のいずれ
    かに記載の芳香族ポリアミドまたは芳香族ポリイミドフ
    ィルム。
  5. 【請求項5】 フィルムの(1)式および(2)式、ま
    たは(3)式から(5)式を満たす少なくとも一面に形
    成された表面突起の平均高さh、突起高さの分布の相対
    標準偏差σ/hおよび平均突起高さhの1/3以下の高
    さの突起個数の全突起数に占める割合P1/3 が、下式、 5nm≦h≦100nm σ/h≦0.7 P1/3 ≦20% を満たすことを特徴とする、請求項1ないし4のいずれ
    かに記載の芳香族ポリアミドまたは芳香族ポリイミドフ
    ィルム。
  6. 【請求項6】 フィルムの(1)式および(2)式、ま
    たは(3)式から(5)式を満たす少なくとも一面にお
    いて、dmaxから1μmまでの厚みの範囲において粒
    子濃度の極小値を有することを特徴とする、請求項1な
    いし5のいずれかに記載の芳香族ポリアミドまたは芳香
    族ポリイミドフィルム。
  7. 【請求項7】 フィルムの厚みが6.5μm以下である
    ことを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の
    芳香族ポリアミドまたは芳香族ポリイミドフィルム。
  8. 【請求項8】 該フィルムが単層構成であるか実質的に
    単層構成であることを特徴とする請求項1ないし7のい
    ずれかに記載の芳香族ポリアミドまたは芳香族ポリイミ
    ドフィルム。
  9. 【請求項9】 請求項1ないし8のいずれかに記載の芳
    香族ポリアミドまたは芳香族ポリイミドフィルムの
    (1)式および(2)式、または(3)式から(5)式
    を満たす少なくとも一面に磁性層を形成することを特徴
    とする磁気記録媒体。
  10. 【請求項10】 請求項1ないし8のいずれかに記載の
    芳香族ポリアミド たは芳香族ポリイミドフィルムの
    (1)式および(2)式、または(3)式から(5)式
    を満たす面の反対面に磁性層を形成することを特徴とす
    る磁気記録媒体。
  11. 【請求項11】 幅が2.3から13.0mm、フィル
    ムの厚みが6.5μm以下、長さが100m/巻以上、
    磁気記録媒体としての記録密度が8キロバイト/mm2
    以上である磁気テープであることを特徴とする請求項9
    または10に記載の磁気記録媒体。
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