JP2913860B2 - 能動型サスペンション - Google Patents

能動型サスペンション

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JP2913860B2
JP2913860B2 JP3445691A JP3445691A JP2913860B2 JP 2913860 B2 JP2913860 B2 JP 2913860B2 JP 3445691 A JP3445691 A JP 3445691A JP 3445691 A JP3445691 A JP 3445691A JP 2913860 B2 JP2913860 B2 JP 2913860B2
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洋介 赤津
至 藤村
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、能動型サスペンション
に係り、特に、左右駆動輪のうち車輪速が大きい方の駆
動輪を検出し、この大車輪速側の輪荷重を増加させるこ
とにより、路面摩擦係数にかかわらず安定した走行を行
うことが可能な能動型サスペンションに関する。
【0002】
【従来の技術】従来の能動型サスペンションとしては、
例えば本出願人が先に提案した実開昭62−19151
1号公報(以下、第1従来例と称す)に記載されている
ものがある。
【0003】この第1従来例は、左右の駆動輪の回転速
度をそれぞれ検出する一対の回転速度検出手段と、該回
転速度検出手段の回転速度検出値を受けて、回転速度が
早い側の駆動輪を検出する高速側駆動輪検出手段と、該
高速側駆動輪検出手段の検出結果に基づき、前記高速側
駆動輪に対する縦荷重を増加させるように流体制御弁を
制御する制御部とを備えた車両用サスペンション装置で
あり、この構成によって高速側駆動輪即ちスリップを生
じている駆動輪の縦荷重(輪荷重)を増加させて駆動力
を増加させ、雪路等の低摩擦係数路面の走行特性を向上
させるようにしている。
【0004】また、車両加速時における駆動輪のスリッ
プを制御して車輪の駆動力を確保して車両の走行安定
性、加速性等を向上させる車両の加速スリップ制御装置
としては例えば特開昭61−85249号公報(以下、
第2従来例と称す)に記載されているものがある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記第
1従来例にあっては、スリップの発生した駆動輪の輪荷
重を増加させることによってのみスリップを抑制する構
成となっていたため、雪路、凍結路等の低摩擦係数路な
どで最大駆動力を越える駆動トルクが入力された場合、
輪荷重変更だけではスリップの抑制に限界があることか
らスリップ率が大きくなり、駆動輪の横力が減少すると
いう未解決の課題があった。
【0006】この未解決の課題を解決するために、第1
従来例の能動型サスペンションと第2従来例の加速スリ
ップ制御装置とを組み合わせることが考えられるが、こ
の場合には、例えば車両が乾燥路等の高摩擦係数路面
と、雪路,凍結路等の低摩擦係数路面とが進行方向に対
して直交する方向に隣接している所謂スプリット路を走
行しているものとすると、高摩擦係数路側駆動輪及び低
摩擦係数路側駆動輪のスリップ率Sに対する横力Sf 及
び駆動力Df の関係は図11(a) 及び(b) で実線図示の
よう、高摩擦係数路側駆動輪の横力Sf 及び駆動力Df
は、低摩擦係数路側駆動輪の横力Sf 及び駆動力Df に
対して大きな値となる。
【0007】ここで、駆動輪で左右の荷重移動が生ぜ
ず、加速スリップ制御装置のみが作動状態となっている
場合には、低摩擦係数路側駆動輪のスリップ率は図11
に示すように目標スリップ率S0 に維持され、高摩擦係
数路側駆動輪のスリップ率は図11に示すように目標ス
リップ率S0 より小さいスリップ率S1 となり、総駆動
力は2×Df1となると共に、横力はSf1+Sf2となる。
この状態では、左右駆動輪に車輪速差を生じているた
め、制御部で高速側即ち低摩擦係数路側の駆動輪の輪荷
重が増加されると共に、低速側即ち高摩擦係数路側の駆
動輪の輪荷重が減少されて、両駆動輪の車輪速差が無く
なってスリップ率が等しくなるように輪荷重が調節され
る。このため、図11(a) 及び(b) で鎖線図示のよう
に、高摩擦係数路側駆動輪のスリップ率に対する駆動力
Df 及び横力Sf が夫々低下し、且つ低摩擦係数路側駆
動輪のスリップ率に対す駆動力Df 及び横力Sf が夫々
増加して目標スリップ率S0 を越えるスリップ率では両
者が略一致することになる。
【0008】このため、総駆動力は図11(a) に示すよ
うに2×Df′となって荷重移動を行う前の総駆動力2
×Df に対して増加することになるが、横力は図11
(b) に示すようにSf1′+Sf2′となって減少すること
になる。この結果、能動型サスペンションと加速スリッ
プ制御装置とを単に組み合わせた場合には、駆動力は増
加するが安定性は低下することになる。
【0009】そこで、本発明は、上記従来例の未解決の
課題に着目してなされたものであり、駆動力が必要な発
進から低速域にかけては駆動力を重視し、安定性の必要
な高速域では横力を重視することにより、走行状態に応
じた制御を行って、上記未解決の課題を解決することが
できる能動型サスペンションを提供することを目的とし
ている。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、本発明に係る能動型サスペンションは、図1に示す
ように、各車輪の輪荷重を個別に調節可能な輪荷重調節
手段と、左右駆動輪の車輪速を個別に検出する駆動輪車
輪速検出手段と、該駆動輪車輪速検出手段の車輪速検出
値に基づいて車輪速大側の駆動輪の輪荷重を増加させる
輪荷重制御手段とを有する能動型サスペンションにおい
て、駆動輪のスリップ率を演算するスリップ率演算手段
と、該スリップ率演算手段で演算したスリップ率が大き
いときに駆動輪の回転を抑制するスリップ制御手段とを
備え、前記輪荷重制御手段は、左右駆動輪車輪速差に対
する荷重増加量のゲインが車速の増加に応じて小さく
なるように設定されていることを特徴としている。
【0011】
【作用】本発明においては、駆動輪車輪速検出手段で検
出した左右駆動輪の車輪速検出値に基づいて輪荷重制御
手段で車輪速大側即ちスリップを生じている駆動輪の輪
荷重を増加させるが、このときの荷重増加量のゲイン
車速の増加に応じて小さくなるように設定されている
ので、低速域では輪荷重制御手段によって駆動輪のスリ
ップを確実に抑制して駆動力を重視した制御を行い、高
速域では輪荷重の増加を抑制して横力を重視した制御が
行われて、車両の走行状態に応じて最適な制御を行うこ
とができると共に、例えば非駆動輪の車輪速検出値と駆
動輪の車輪速検出値とから駆動輪のスリップ率を演算
し、このスリップ率が大きいときには駆動輪の回転を抑
制することにより、駆動輪のスリップ率を低下させて、
駆動力及び横力を確保する。
【0012】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明
する。図2は本発明の一実施例を示す概略構成図であっ
て、後輪駆動車である場合を示している。図中、10F
L,10FRは非駆動輪となる前左輪,前右輪、10R
L,10RRは駆動輪となる後左輪,後右輪,12は車
輪側部材,14は車体側部材を各々示し、16は能動型
サスペンションを示す。
【0013】能動型サスペンション16は、車体側部材
14と各車輪側部材12との間に各別に装備された流体
シリンダとしての油圧シリンダ18FL〜18RRと、
この油圧シリンダ18FL〜18RRの作動油圧を各々
調整する圧力制御弁20FL〜20RRと、本油圧系の
油圧源22と、この油圧源22及び圧力制御弁20FL
〜20RR間に介挿された蓄圧用のアキュムレータ2
4,24と、車体の横方向に作用する横加速度を検出す
る横加速度センサ26と、非駆動輪となる前輪10FL
及び10FRの車輪速を検出して車輪速に応じた車輪速
検出信号を出力する非駆動輪車輪速センサ28FL及び
28FRと、駆動輪となる後輪10RL及び10RRの
車輪速を検出して車輪速に応じた車輪速検出信号を出力
する駆動輪車輪速センサ28RL及び28RRと、圧力
制御弁20FL〜20RRの出力圧を個別に制御するコ
ントローラ30とを備えている。ここで、油圧シリンダ
18FL〜18RR及び圧力制御弁20FL〜20RR
で輪荷重調節手段が構成されている。
【0014】また、この能動型サスペンション16は、
油圧シリンダ18FL〜18RRに対して車輪側部材1
2及び車体部材14間に個別に並列装備されたコイルス
プリング36,…,36と、油圧シリンダ18FL〜1
8RRの後述する圧力室Lに個別に連通した絞り弁32
及び振動吸収用のアキュムレータ34とを含む。ここ
で、各コイルスプリング36は、比較的低いバネ定数で
あって車体の静荷重を支持するようになっている。
【0015】油圧シリンダ18FL〜18RRの各々
は、シリンダチューブ18aを有し、このシリンダチュ
ーブ18aには、ピストン18cにより閉塞された上側
圧力室Lが形成されている。そして、シリンダチューブ
18aの上端が車体側部材14に取付けられ、ピストン
ロッド18bの下端が車輪側部材12に取付けられてい
る。
【0016】また、圧力制御弁20FL〜20RRの各
々は、円筒状の挿通孔内に摺動可能に収容されたスプー
ルを有する弁ハウジングと、この弁ハウジングに一体に
設けられた比例ソレノイドとを有するパイロット操作形
に形成されている。この圧力制御弁20FL〜20RR
の作動油に対する供給ポート及び戻りポートが油圧配管
38,39を介して油圧源22の作動油供給側及び作動
油戻り側に連通され、出力ポートが油圧配管40を介し
て油圧シリンダ18FL〜18RRの圧力室Lの各々に
連通されている。
【0017】このため、比例ソレノイドの励磁コイルに
供給する圧力指令値としての励磁電流Iの値を制御する
ことにより、励磁電流Iに応じた出力圧Pを出力ポート
から油圧シリンダ18FL(〜18RR)の圧力室Lに
供給できる。つまり、制御圧PC は、図3に示す如く、
励磁電流iをその最小値iMIN から最大値iMAX まで変
化させると、これに略比例して最小圧PMIN から最大圧
MAX (油圧源22のライン圧)まで直線的に変化す
る。
【0018】さらに、横加速度センサ26は、図4に示
すように、直進走行状態で零、直進走行状態から右操舵
したときに横加速度に応じた正の電圧値となり、反対に
左操舵したときに横加速度に応じた負電圧値でなる横加
速度検出値YG を出力する。
【0019】一方、駆動輪となる後輪10RL,10R
Rは図示しないエンジンにより駆動され、エンジンの出
力はスロットルバルブ44により加減される。このスロ
ットルバルブ44は、ステップモータ45によって開閉
動作され、そのステップ数(スロットルバルブ44の開
度)がトラクションコントロール中以外の通常時には運
転者によって踏込み操作されるアクセルペダル46の踏
込量を検出するアクセルセンサ47の踏込量検出値と、
スロットルバルブ44の開度を検出するスロットルセン
サ48の開度検出値とに基づいて後述するようにコント
ローラ30で制御される。
【0020】また、各車輪10FL〜10RRは、ブレ
ーキペダル50の踏力に応じたブレーキマスターシリン
ダ51からの液圧PM により作動されるホイールシリン
ダ52FL〜52RRを備え、これらホイールシリンダ
の作動により対応車輪が個々に制動される。而して、駆
動輪10RL,10RRのブレーキ液圧系には、夫々ト
ラクションコントロール用の液圧制御弁54L,54R
が介挿され、これら液圧制御弁54L,54Rは互いに
同仕様、同構造を有し、スプール55がリターンスプリ
ング56により図示の左限位置に押圧され、プランジャ
57がリターンスプリング58により図示の左限位置に
押圧された構成を有する。
【0021】液圧制御弁54L,54Rは夫々、図示の
常態でマスターシリンダ側の入口ポート59への液圧P
M をそのままホイールシリンダ側の出口ポート60より
対応するホイールシリンダに出力し、スプール55の右
動時プランジャ57によりポート59,60間を遮断す
ることにより圧力室の容積減少によってホイールシリン
ダへの液圧を上昇させ、スプール55の右動停止時ホイ
ールシリンダの上昇液圧を保持する。
【0022】スプール55の上記右動及びその停止を室
61内の圧力により制御し、この圧力を夫々電磁弁70
L,70Rにより個別に制御する。これら電磁弁も同様
の構成を有し、ソレノイド71のオフ状態で符号(A)
で示すポート間接続位置となって圧力室61をドレン回
路72に連通させると共に、アキュムレータ73から遮
断し、ソレノイド71の小電流によるオン状態で符号
(B)で示すポート間接続位置となって圧力室61をド
レン回路72及びアキュムレータ73の双方から遮断
し、ソレノイド71の大電流によるオン状態で符号
(C)で示すポート間接続位置となって圧力室61をド
レン回路72から遮断すると共に、アキュムレータ73
に連通する。
【0023】電磁弁70L,70Rの(A)位置で圧力
室61は無圧状態となってスプール55を図示位置に
し、電磁弁70L,70Rの(C)位置で室61はアキ
ュムレータ73の一定圧PC が供給されてスプール55
を図中右動させ、電磁弁70L,70Rの(B)位置で
圧力室61は圧力の給排を中止されてスプール55をそ
のときの右動位置に保持する。
【0024】アキュムレータ73には、モータ74で駆
動されるポンプ75からの油圧をチェック弁76を介し
て蓄圧し、アキュムレータ73の蓄圧値が一定圧PC
ある時、これを検出してオフ状態となる圧力スイッチ7
7からの信号を受けて後述するようにコントローラ30
がモータ74(ポンプ75)を停止させる。電磁弁70
L,70Rのソレノイド71も同様にコントローラ30
によって駆動制御される。
【0025】コントローラ30は、図5に示すように、
車輪速センサ28FL〜28RRからの車輪速に応じた
パルス信号PFL〜PRRを電圧に変換する周波数−電圧変
換器81FL〜81RRと、これら変換器81FL〜8
1RRの変換出力をディジタル信号に変換するA/D変
換器82FL〜82RRと、横加速度センサ26の横加
速度検出値YG をディジタル値に変換するA/D変換器
83Aと、アクセルセンサ47及びスロットルセンサ4
8の踏込量検出値A及び開度検出値Tを夫々ディジタル
値に変換するA/D変換器83B,83Cと、各A/D
変換器82FL〜82RR、83A〜83Cの変換出力
が入力されるマイクロコンピュータ84と、このマイク
ロコンピュータ84から出力される圧力指令値IFL〜I
RRをアナログ値に変換するD/A変換器85FL〜85
RRと、これらD/A変換器の変換出力が入力され、こ
れらに基づいて各圧力制御弁20FL〜20RRの比例
ソレノイドに対する励磁電流iFL〜iRRを出力するソレ
ノイド駆動回路86FL〜86RRと、同様にマイクロ
コンピュータ45から出力される電磁弁70L,70R
に対する指令値をアナログ値に変換するD/A変換器8
7L,87Rと、これらD/A変換器の変換出力が入力
され、これらに基づいて各電磁弁70L,70Rのソレ
ノイドに対する励磁電流をiSL, SRを出力するソレノ
イド駆動回路88L,88Rと、マイクロコンピュータ
44から出力されるモータ駆動信号に応じてステップモ
ータ45及びモータ74を回転駆動するモータ駆動回路
89及び90とを備えている。
【0026】ここで、マイクロコンピュータ84は、少
なくとも入力インタフェース回路84a、出力インタフ
ェース回路84b、演算処理装置84c及び記憶装置8
4dを備え、演算処理装置84cで横加速度検出値YG
に基づいて車両のロールを抑制する圧力指令値IFL〜I
RRを算出すると共に、駆動輪となる左右後輪10RL,
10RRの車輪速差ΔW(=WRL−WRR)に応じて高車
輪速側の輪荷重を車体に姿勢変化を与えないように増加
させるように圧力指令値IFL〜IRRを補正し、このとき
の輪荷重の増加量を低速域では多くし、高速域では少な
く制御し、且つ駆動輪となる左右の後輪10RL,10
RRのスリップ率SL,R を算出して、これらが小さい
ときには、スロットルバルブ44の開度をアクセルセン
サ47の踏込量検出値に応じた基準スロットル開度に制
御し、スリップ率が大きいときにはスロットル開度を基
準スロットル開度より閉じ側に制御し、更にスリップ率
及びその変化速度に基づいて駆動輪となる後輪側のホイ
ールシリンダ52RL,52RRのブレーキ液圧を制御
する。
【0027】記憶装置84dは、演算処理装置84cの
演算処理に必要な処理プログラムを予め記憶していると
共に、演算処理装置の処理結果を逐次記憶し、且つ演算
処理に必要な車速VとゲインKW との関係を表すゲイン
変換マップ、車輪速差ΔWと補正用圧力指令値ΔIとの
関係を表す補正用圧力指令値変換マップ及びスリップ率
L,R とその変化率VSL, SRとから電磁弁70L,
70Rの制御モードを設定する制御モード変換マップを
予め記憶している。
【0028】ここで、ゲイン変換マップは、図6に示す
ように、車速Vが低速側の閾値VTLに達するまでの間は
比較的大きい一定値KWSを維持し、閾値VT 以上となる
と車速Vの増加に反比例して減少し、高速側の閾値VTH
以上となると零となるように設定されている。また、補
正用圧力指令値変換マップは、図7に示すように、左右
駆動輪の車輪速差ΔWが零であるときには、補正用圧力
指令値ΔIも零となり、左輪10RL側の車輪速WRL
右輪側に比較して増加することにより、車輪速差ΔWが
正方向に増加するときには、これに正比例して正方向に
増加し、車輪速差ΔWが予め設定した閾値+ΔWT に達
すると飽和し、逆に右輪10RL側の車輪速WRRが左輪
側に比較して増加することにより、車輪速差ΔWが負方
向に増加するときには、これに正比例して負方向に増加
し、車輪速差ΔWが予め設定した閾値−ΔWT に達する
と飽和するように設定されている。さらに、制御モード
変換マップは、図8に示すように、スリップ率変化速度
SL, SRとスリップ率S L,R とによって、急減圧、
緩減圧、保圧、緩増圧及び急増圧の5つのモードが設定
される。
【0029】次に、上記実施例の動作を演算処理装置8
4cの処理手順を示す図9のフローチャートを伴って説
明する。すなわち、図9のフローチャートは、所定のメ
インプログラムに対して所定時間(例えば20msec)毎
に起動されるタイマ割込処理で実行され、先ずステップ
S1で横加速度センサ26、車輪速センサ28FL〜2
8RR、アクセルセンサ47、スロットルセンサ48及
び圧力スイッチ77の各検出値を読込む。
【0030】次いで、ステップS2に移行して横加速度
検出値YG をもとにして下記(1) 式〜(4) 式の演算を行
って、車体のロールを抑制するためのアンチロールモー
メントを発生させる圧力指令値IFL〜IRRを算出する。
【0031】 IFL=IN+KF・YG …………(1) IFR=IN−KF・YG …………(2) IRL=IN+KR・YG …………(3) IRR=IN−KR・YG …………(4) ここで、IN は車体を中立位置に保持するための中立圧
CNを発生させるための中立圧指令値、KF,R は前輪
側及び後輪側のロール抑制制御ゲインであって、KF
R =1に設定されている。
【0032】次いで、ステップS3に移行して、車輪速
検出値WFL〜WRRをもとに下記(5)式及び(6) 式の演算
を行って駆動輪となる後輪10RL,10RRのスリッ
プ率SL,R を算出する。
【0033】 SL =(WRL−WFL)/WFL …………(5) SR =(WRR−WFR)/WFR …………(6) 次いで、ステップS4に移行して、上記ステップS3で
算出したスリップ率S L,R と前回のタイマ割込処理時
に算出したスリップ率SL-1,R-1 をもとに下記(7) 式
及び(8) 式の演算を行ってスリップ率変化速度VSL及び
SRを算出する。
【0034】 VSL=SL −SL-1 …………(7) VSR=SR −SR-1 …………(8) 次いで、ステップS5に移行して、下記(9) 式に基づい
て左右駆動輪10RL,10RRの車輪速差ΔWを算出
する。
【0035】 ΔW=WL −WR …………(9) 次いで、ステップS6に移行して、非駆動輪となる前輪
10FL,10FRの車輪速検出値WFL, FRをもとに
下記(10)式の演算を行って車速Vを算出する。
【0036】 V=(WFL+WFR)/2 …………(10) 次いで、ステップS7に移行して、上記ステップS5で
算出した車速Vをもとに図6のゲイン変換マップを参照
してゲインKW を算出する。
【0037】次いで、ステップS8に移行して、上記ス
テップS7で算出したゲインKW と車輪速差ΔWとをも
とに下記(11)式の演算を行って補正用圧力指令値ΔIを
算出する。
【0038】 ΔI=KW ・ΔW …………(11) 次いで、ステップS9に移行して、補正用圧力指令値Δ
Iをもとに下記(12)〜(15)式の演算を行って圧力指令値
FL〜IRRを補正し、次いでステップS10に移行し
て、補正した圧力指令値IFL〜IRRをD/A変換器85
FL〜85RRに出力してからステップS11に移行す
る。
【0039】 IFL=IFL+ΔI …………(12) IFR=IFR−ΔI …………(13) IRL=IRL−ΔI …………(14) IRR=IRR+ΔI …………(15) ステップS11では、ステップS3で算出した右後輪の
スリップ率SR が左後輪のスリップ率SL 以上であるか
否かを判定し、SR ≧SL であるときにはステップS1
2に移行して、スリップ率SR を判定用スリップ率Sと
して更新記憶してからステップS14に移行し、SR
L であるときにはステップS13に移行して、スリッ
プ率SL を判定用スリップ率Sとして更新記憶してから
ステップS14に移行する。
【0040】ステップS14では、判定用スリップ率S
が予め設定した閾値S0 より大きいか否かを判定する。
この判定は、路面摩擦係数に対して不必要に大きい駆動
力を供給することによって車輪がスリップしているもの
でか否かを判定するものであり、S>S0 であるときに
は、雪路、凍結路、降雨路等の低摩擦係数路を走行して
駆動力過多であるものと判断して、ステップS15に移
行し、スロットルバルブ44を作動させるステップモー
タ45を逆転即ちスロットルバルブ44を閉じる方向に
駆動する逆転信号をモータ駆動回路89に出力してから
ステップS19に移行し、S≦S0 であるときにはステ
ップS16に移行する。
【0041】このステップS16では、予め定められた
関数gに基づいてアクセルペダル46の踏込量Aに応じ
たスロットル開度目標値X(=g(A))を算出する。次い
で、ステップS17に移行して、スロットル開度目標値
Xとスロットル開度検出値Tとを比較し、両者が一致し
ているか否かを判定する。このとき、X=Tであるとき
には、両者が一致しているものと判断してそのままステ
ップS19に移行し、X>Tであるときにはスロットル
開度を開ける方向に変更する必要があると判断してステ
ップS18に移行し、ステップモータ45を正転させる
正転信号をモータ駆動回路89に出力してからステップ
S19に移行し、X<Tであるときにはスロットル開度
を閉じる方向に変更する必要があると判断して前記ステ
ップS15に移行する。
【0042】ステップS19では、ステップS3及びS
4で算出したスリップ率SL,R 及びスリップ率変化速
度VSL, SRをもとに図8の制御モード変換マップを参
照して液圧制御弁54L,54Rの制御モードを設定
し、次いでステップS20に移行して、設定した制御態
様に対応した指令値を駆動回路88L,88Rに出力し
てからステップS21に移行する。
【0043】このステップS21では、圧力スイッチ7
7のスイッチ信号がオン状態であるか否かを判定し、オ
ン状態であるときには、アキュムレータ73の蓄圧が設
定値より低下しているものと判断してステップS22に
移行し、モータ74を駆動する例えば論理値“1”の駆
動信号をモータ駆動回路90に出力してからタイマ割込
処理を終了して所定のメインプログラムに復帰し、スイ
ッチ信号がオフ状態であるときには、アキュムレータ7
3の蓄圧が設定値以上であるものと判断してステップS
23に移行し、モータ74を停止させる例えば論理値
“0”の駆動信号をモータ駆動回路90に出力してから
タイマ割込処理を終了して所定のメインプログラムに復
帰する。
【0044】ここで、ステップS3の処理がスリップ率
演算手段に対応し、ステップS5〜S10の処理が輪荷
重制御手段に対応し、ステップS11〜S15及びステ
ップS19,S20の処理がスリップ制御手段に対応し
ている。
【0045】したがって、今、車両がエンジンをアイド
リング状態として停車しているものとすると、この状態
では、アクセルペダル46を開放しているので、アクセ
ルセンサ47から出力される踏込量検出値Aは零となっ
ていると共に、車輪速センサ28FL〜28RRの車輪
速検出値WFL〜WRRも零となっており、また車両が停車
中であるので、横加速度センサ26の横加速度検出値Y
G も零であるので、ステップS3で算出される圧力指令
値IFL〜IRRの値は全て中立圧指令値IN となる。
【0046】一方、各車輪速検出値WFL〜WRRが零であ
ることから、ステップS5で算出される左右駆動輪の車
輪速差ΔWも零となるので、ステップS8で算出される
補正用圧力指令値ΔIもゲインKW にかかわらず零とな
る。
【0047】このため、ステップS9で算出される補正
圧力指令値IFL〜IRRは中立圧指令値IN を維持し、こ
れがD/A変換器85FL〜85RRに出力されてアナ
ログ値に変換され、このアナログ値がソレノイド駆動回
路86FL〜86RRに供給されるので、これら駆動回
路86FL〜86RRから中立電流iN となる励磁電流
FL〜iRRが圧力制御弁20FL〜20RRの比例ソレ
ノイドに供給される。この結果、各圧力制御弁20FL
〜20RRの制御圧PC が中立圧PCNとなって各油圧シ
リンダ18FL〜18RRの内圧が中立圧PCNとなり、
車体を略フラットな状態に保持する。
【0048】このとき、駆動輪となる後輪10RL,1
0RRの車輪速検出値WRL, RRが零であるので、ステ
ップS3で算出されるスリップ率SL,R も零となり、
S≦S0 となるので、ステップS14からステップS1
6に移行して、踏込量検出値Aに基づいて目標スロット
ル開度Xを算出する。このとき、踏込量Aが零であるの
で、目標スロットル開度Xも零となる。そして、エンジ
ンがアイドリング状態であるので、スロットルバルブ4
4が閉位置にあり、スロットルセンサ48のスロットル
開度検出値Tが零であるときには、X=Tとなるので、
直接ステップS21に移行することにより、ステップモ
ータ45に対する正転信号及び逆転信号は出力されず、
このステップモータ45が停止状態を維持する。
【0049】さらに、駆動輪となる後輪10RL,10
RRのスリップ率SL,R が零であり、スリップ率変化
速度VSL,VSRも零であるので、ステップS19で図8
のマップを参照して緩減圧モードが設定され、次いでス
テップS20で小電流値と零とを所定時間毎に交互に繰
り返す電流指令値をD/A変換器87L,87Rに夫々
出力する。これによって、ソレノイド駆動回路88L,
88Rから小電流値と零とを交互に繰り返す励磁電流が
電磁弁70L,70Rのソレノイド71に出力され、こ
れら電磁弁70L,70Rがその切換位置(A)及び
(B)間に交互に切換えられて液圧制御弁54L,54
Rの圧力室61が所定時間毎にタンクに連通されて緩減
圧状態となる。このとき、圧力室61の圧力が大気圧で
あるときには、スプール55が図2に示すようにリター
ンスプリング56によって左動された状態となり、ブレ
ーキマスターシリンダ50からの液圧PM を後輪10R
L,10RRのホイールシリンダ52RL,52RRに
供給可能な状態となり、このときブレーキペダル50を
踏込んでいるときには、そのときにブレーキマスターシ
リンダ51で発生するブレーキ液圧PM が後輪側ホイー
ルシリンダ52RL,52RRに供給されて制動状態を
維持する。
【0050】この停車状態から、ブレーキペダル50の
踏込を解除すると、ブレーキマスターシリンダ51で発
生されるブレーキ液圧PM が略零となることにより、前
輪側及び後輪側のホイールシリンダ52FL〜52RR
の圧力が略零となって、制動状態が解除され、この状態
でアクセルペダル46を踏込むことにより、その踏込量
がアクセルセンサ47で検出されるので、図9のステッ
プS14からステップS16に移行して、踏込量Aに応
じて開方向側の目標スロットル開度Xが算出される。こ
のため、X>Tとなるので、ステップS17からステッ
プS18に移行して、ステップモータ45を正転させる
正転信号がモータ駆動回路89に出力され、これに応じ
てモータ駆動回路89からステップモータ45にこれを
正転させる駆動信号が出力され、ステップモータ45が
正転されてスロットルバルブ44が開方向に回転され、
エンジンへの燃料供給量が増加する。その後、スロット
ル開度検出値Tがスロットル開度目標値Xと一致すると
スロットルバルブ44の回転が停止される。
【0051】このため、エンジンの出力が大きくなり、
この出力を駆動力として後輪10RL,10RRに伝達
することにより車両が発進状態となる。このように、車
両が発進状態となると、各車輪10FL〜10RRが回
転を開始し、車輪速センサ28FL〜28RRの車輪速
検出値WFL〜WRRが増加する。このとき、車両が乾燥路
面等の高摩擦係数路で緩発進したときには、駆動輪とな
る後輪10FL,10RRにさほどスリップを生じるこ
とがなく、ステップS3で算出される駆動輪のスリップ
率SL,R は零近傍の値をとるため、スロットル開度は
アクセルペダル46の踏込量に応じたスロットル開度目
標値Xを維持し、且つスリップ率変化速度VSL, SR
小さいので、電磁弁70L,70Rも緩減圧モードを維
持して液圧制御弁54L,54Rのスプール55が左動
位置に保持される。さらに、駆動輪となる後輪10R
L,10RRが共に略等しい摩擦係数の路面を走行して
いる場合には、これら左右輪の車輪速差ΔWは略零であ
り、補正用圧力指令値ΔIも略零の状態を継続するの
で、停車時と同様に各油圧シリンダ18FL〜18RR
の内圧は中立圧PCNを維持する。
【0052】また、凍結路、雪路、降雨路等の低摩擦係
数路での緩発進や、乾燥路等の高摩擦係数路での急発進
を行う場合には、駆動輪となる左右後輪10RL,10
RRの車輪速差ΔWが略零を維持するので、上記と同様
に、各油圧シリンダ18FL〜18RRの内圧は中立圧
CNを維持するが、左右後輪10RL,10RRにスリ
ップを生じることから、ステップS3で算出される駆動
輪スリップ率SL,R が正方向に増加し、これが閾値S
0 を越えるとステップS14からステップS15に移行
するので、ステップモータ45に対する逆転信号がモー
タ駆動他回路89に出力され、これによってステップモ
ータ45が逆転されてスロットルバルブ44が閉方向に
作動される。このため、エンジンの出力が低下し、これ
に応じて左右後輪10RL,10RRに伝達される駆動
力も低下するので、これら後輪10RL,10RRのス
リップ率SL,R が低下し、これらが予め設定した閾値
0 に一致するように、トラクションコントロールされ
る。これと同時に、スリップ率SL,R が増加すると共
に、スリップ率変化速度VSL,VSRが正方向に増加する
ことにより、ステップS19で緩増圧モード(又は急増
圧モード)が設定され、これに応じてステップS20
で、電磁弁70L,70Rに対して大励磁電流を指示す
る指令値と零の指令値とが交互に繰り返し(又は大励磁
電流を指示する指令値が連続して)ソレノイド駆動回路
88L,88Rに出力されることにより、これら駆動回
路88L,88Rから大励磁電流が電磁弁70L,70
Rに出力されて、これら電磁弁が(C)位置に切換えら
れる。このため、アキュムレータ73の圧力PA が電磁
弁70L,70Rを介して液圧制御弁54L,54Rの
圧力室61に供給されるので、スプール55がリターン
スプリング56に抗して右動する。そして、スプール5
5の右端とプランジャ57の左端とが当接すると、入力
ポート59と出力ポート60とが遮断状態となり、この
遮断状態を保ってスプール55及びプランジャ57が右
動することにより、プランジャ57側の圧力室の圧力が
増加し、これが左右後輪10RL,10RR側のホイー
ルシリンダ52RL,52RRに伝達されて、後輪10
RL,10RRに対して制動力が作用し、これによって
も駆動輪となる後輪10RL,10RRのスリップ率S
L,R が抑制されて、総駆動力が向上される。
【0053】ところが、走行路の左半部が例えば乾燥し
た高摩擦路面で、右半部が例えば凍結した低摩擦路面で
ある所謂スプリット路で発進する場合には、左側の駆動
輪10RLの車輪速WRLに対して右側の駆動輪10RR
の車輪速WRRが大きい値となるため、図9のステップS
3で算出される駆動輪のスリップ率SL,R も左輪側の
スリップ率SL に対して右輪側のスリップ率SR が大き
な値となると共に、ステップS5で算出される車輪速差
ΔWが負方向に増加する。このとき、車速Vは小さい値
なので、ステップS7で設定されるゲインKW は比較的
大きな値となり、ステップS8で算出される補正用指令
値ΔIは負方向に増加する。したがって、ステップS9
で算出される圧力指令値IFL〜IRRは駆動輪となる後右
輪に対する圧力指令値IRR及び非駆動輪となる前左輪に
対する圧力指令値IFLが補正用指令値ΔIだけ増加し、
逆に駆動輪となる後左輪に対する圧力指令値IRL及び非
駆動輪となる前右輪に対する圧力指令値IFRが補正用指
令値ΔIだけ減少する。これに応じて後右側の油圧シリ
ンダ18RR及び前左側の油圧シリンダ18FLの内圧
が中立圧PCNより増加し、後左側の油圧シリンダ18R
L及び前右側の油圧シリンダ18FRの内圧が中立圧P
CNより減少する。このため、後右側のストロークが伸長
することにより、高スリップ率側の後右輪10RRでの
輪荷重が増加して駆動力が増大し、低スリップ率側の後
左輪10RLではストロークが収縮することにより、輪
荷重が減少して駆動力が減少することにより、左右駆動
輪の駆動力が略等しい値に制御され、前述した図11
(a)から明らかなように、総駆動力が増加する。この
とき、駆動輪となる後輪側では高スリップ率側の後右車
輪10RRのストロークが伸長し、低スリップ率側の後
左車輪10RLのストロークが収縮するため、車体が後
ろ側からみて反時計方向のロールモーメントを発生する
ことになるが、非駆動輪となる前輪側では前左輪10F
Lのストロークが伸長し、前右輪10FRのストローク
が収縮することにより、後輪側とは反対方向となる時計
方向のアンチロールモーメントを発生することにより、
車体が剛体であることから、輪荷重調整時のロール変化
を確実に防止することができる。
【0054】このように、車両の低速走行時には、スロ
ットル開度の減少及び駆動輪に対する制動力の付与によ
るトラクションコントロールに加えて、輪荷重を調整す
るためのゲインKW が大きな値となることにより、補正
用指令値ΔIの絶対値も大きな値となり、高スリップ率
側の駆動輪に対する輪荷重の増加分が大きくなって、駆
動力を重視した制御となる。このため、低速走行時にト
ラクションコントロール及び輪荷重制御を行う本発明で
は、図10(a)及び(b)で夫々破線図示の特性線L
1 で示すように、駆動輪の左右の駆動力が等しいので、
ヨーレートが略零となると共に、発進時の加速性能を向
上させることができる。因みに、トラクションコントロ
ールのみを採用する場合には、駆動力を低下することに
なるので、図10(a)及び(b)で夫々実線図示の特
性線L2 で示すように、ヨーレートは略零の状態を維持
するが、加速性能が低下し、また輪荷重制御のみを採用
する場合には、図10(a)及び(b)で夫々一点鎖線
図示の特性線L3 で示すように、加速性能はある程度向
上させることができるが、ヨーレートの変化が大きくな
り安定性が低下するという問題がある。
【0055】その後、車両が加速することにより、車速
Vが増加すると、これに応じてゲインKW が徐々に小さ
い値となるので、車輪速差ΔWを生じたときの補正用指
令値ΔIも小さい値となって、高スリップ率側の駆動輪
に対する輪荷重の増加分が減少する。このため、前述し
た図11(a)で表されるように駆動力の向上は抑制さ
れるが、図11(b)で実線図示の状態となるので、横
力の低下が抑制されることになり、駆動力の確保よりは
横力を重視して安定性を確保する制御となる。
【0056】そして、高速走行状態で、右(又は左)旋
回状態となると、車体に横加速度が発生することによ
り、横加速度センサ26の横加速度検出値YGが正(又
は負)方向に増加し、これによってステップS2で算出
される左輪(又は右輪)側の圧力指令値IFL,IRL(又
はIFR,IRR)が中立圧指令値IN より増加し、右輪
(又は左輪)側の圧力指令値IFR,IRR(又はIFL,I
RL)が中立圧指令値IN より低下する。このため、左輪
(又は右輪)側の油圧シリンダ18FL,18RL(又
は18FR,18RR)の推力が増加すると共に、右輪
(又は左輪)側の油圧シリンダ18FR,18RR(又
は18FL,18RL)の推力が低下して、アンチロー
ルモーメントを発生させて車体を略フラットな状態に維
持することができる。
【0057】なお、上記実施例においては、コントロー
ラ30としてマイクロコンピュータを適用した場合につ
いて説明したが、これに限定されるものではなく、関数
発生器、演算回路等の電子回路を組み合わせて構成する
こともできる。
【0058】また、上記実施例においては、制御弁とし
て圧力制御弁を適用して圧力制御を行う場合について説
明したが、これに限らず流量制御弁を適用して流量制御
を行うようにしてもよい。
【0059】さらに、上記実施例においては、車両の横
加速度を検出してアンチロール制御を行う能動型サスペ
ンションについて説明したが、これに限定されるもので
はなく、車体の前後加速度を使用するアンチピッチ制
御、上下加速度を使用するアンチバウンス制御等を単独
又は互いに組み合わせるようにしてもよい。
【0060】さらにまた、上記実施例においては、トラ
クションコントロールとして、スロットル開度及び駆動
輪の制動力の双方を制御する場合について説明したが、
これに限らず何れか一方を省略するようにしてもよい。
【0061】なおさらに、上記実施例においては、スリ
ップ率演算手段で、非駆動輪の車輪速検出値と駆動輪の
車輪速検出値とからスリップ率を算出する場合について
説明したが、これに限定されるものではなく、例えばア
ンチスキッド制御装置に使用する擬似車速演算手段を適
用して擬似車速を算出し、この擬似車速を車輪速に変換
して非駆動輪の車輪速として使用するようにしてもよ
い。
【0062】また、上記実施例においては、作動流体と
して作動油を適用した場合について説明したが、これに
限定されるものではなく、他の圧縮性の低い流体を適用
することができる。
【0063】さらに、上記各実施例においては、輪荷重
調節手段を構成するアクチュエータとして油圧シリンダ
を適用した場合について説明したが、これに限定される
ものではなく、空気圧シリンダ等の他のアクチュエータ
を適用することもできる。
【0064】またさらに、上記実施例においては、後輪
駆動車にこの発明を適用した場合について説明したが、
前輪駆動車や四輪駆動車にもこの発明を適用することが
できる。但し、四輪駆動車の場合には、非駆動輪が存在
しないので、前述したようにアンチスキッド制御装置に
使用する擬似車速演算手段を適用するようにすればよ
い。
【0065】
【発明の効果】以上説明したように、本発明に係る能動
型サスペンションによれば、輪荷重制御手段で、車輪速
大側の駆動輪の輪荷重を増加させると共に、スリップ制
御手段で駆動輪のスリップ率演算手段で算出したスリッ
プ率が大きいときに駆動輪の回転を抑制するようにし、
さらに輪荷重制御手段を左右駆動輪車輪速差に対する
荷重増加量のゲインを車速の増加に応じて小さくなるよ
うに設定した構成としたので、スリップ制御手段による
トラクション制御を必要とする低速域ではトラクション
制御と輪荷重制御との両制御を行って駆動力即ち加速性
能を重視した制御を行い、高速域では輪荷重制御による
横力の低下を抑制して安定性を重視した制御を行うこと
ができ、走行状態に応じた最適な制御を行うことができ
る効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の概要を示す基本構成図である。
【図2】本発明の一実施例を示す概略構成図である。
【図3】上記実施例に適用し得る圧力制御弁の出力特性
線図である。
【図4】上記実施例に適用し得る加速度センサの出力特
性線図である。
【図5】上記実施例に適用し得るコントローラの一例を
示すブロック図である。
【図6】上記実施例に適用し得る車速とゲインとの関係
を示すゲイン変換マップを示す説明図である。
【図7】上記実施例に適用し得る車輪速差と補正用圧力
指令値との関係を示す補正用圧力指令値変換マップを示
す説明図である。
【図8】上記実施例に適用し得るスリップ率とスリップ
率変化速度とによって制御モードを設定する制御モード
変換マップを示す説明図である。
【図9】コントローラに適用し得るマイクロコンピュー
タの制御手順の一例を示すフローチャートである。
【図10】上記実施例の動作の説明に供する時間に対す
るヨーレート及び速度の関係を示す特性線図である。
【図11】従来例におけるスリップ率に対する駆動力及
び横力の関係を示す特性線図である。
【符号の説明】 10FL,10FR 前輪(非駆動輪) 10RL,10RR 後輪(駆動輪) 16 能動型サスペンション 18FL〜18RR 油圧シリンダ 20FL〜20RR 圧力制御弁 26 横加速度センサ 28FL〜28RR 車輪速センサ 30 コントローラ 44 スロットルバルブ 45 ステップモータ 46 アクセルペダル 47 アクセルセンサ 48 スロットルセンサ 51 ブレーキマスターシリンダ 52FL〜52RR ホイールシリンダ 54L,54R 液圧制御弁 70L,70R 電磁弁 84 マイクロコンピュータ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 藤村 至 神奈川県横浜市神奈川区宝町2番地 日 産自動車株式会社内 (72)発明者 佐藤 正晴 神奈川県横浜市神奈川区宝町2番地 日 産自動車株式会社内 (56)参考文献 特開 平1−266010(JP,A) 特開 昭63−106133(JP,A) 特開 昭64−74112(JP,A) 特開 平2−182521(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) B60G 17/00 - 17/08 B60T 8/58

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 各車輪の輪荷重を個別に調節可能な輪荷
    重調節手段と、左右駆動輪の車輪速を個別に検出する駆
    動輪車輪速検出手段と、該駆動輪車輪速検出手段の車輪
    速検出値に基づいて車輪速大側の駆動輪の輪荷重を増加
    させる輪荷重制御手段とを有する能動型サスペンション
    において、駆動輪のスリップ率を演算するスリップ率演
    算手段と、該スリップ率演算手段で演算したスリップ率
    が大きいときに駆動輪の回転を抑制するスリップ制御手
    段とを備え、前記輪荷重制御手段は、左右駆動輪車輪速
    差に対する荷重増加量のゲインが車速の増加に応じて
    小さくなるように設定されていることを特徴とする能動
    型サスペンション。
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