JP2913503B2 - 水性化粧料 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は水性化粧料に関し、更に詳細には、特定のエ
ステル系油剤を安定に配合でき、使用感触上べたつか
ず、しっとり感（エモリエント感）に優れた水性化粧料
に関する。

〔従来の技術およびその課題〕

従来、皮膚にエモリエント効果を付与するため、各種
の油剤が用いられている。これらのうち、エステル油は
皮膚のエモリエント効果、保湿効果、保護効果が高いた
め、クリーム、乳液、化粧水などに幅広く使用されてい
る。特に、化粧水などの水性化粧料には、分子内の炭素
数が29以下のエステル油がエモリエント剤としてよく用
いられている。

しかしながら、このようなエステル油を用いても充分
なしっとり感は得られず、また効果が得られる程の量を
配合すると、べたついてしまうという欠点があった。

一方、分子内の炭素数が30以上のエステル油を水性化
粧料に用いると、少量で非常に良好なしっとり感が得ら
れ、べたつきもないものの、安定性が悪く、高温におい
て分離が生じたり、濁度が経時的に変化してしまう。ま
た、安定性を向上させるために界面活性剤を多量に配合
すると、べたついてしまうという問題が生じるため、こ
れらエステル油は実際には使用されていないのが現状で
あった。

このため、経時安定性が良好で、しかもべたつかず、
しっとり感に優れた水性化粧料の開発が望まれていた。

〔課題を解決するための手段〕

斯かる実情において、本発明者らは鋭意研究を行なっ
た結果、酸化エチレンの付加モル数が20〜40モルである
ポリオキシエチレン付加型ヒマシ油系界面活性剤を用い
れば、特定のエステル系油剤を安定に配合することがで
き、使用感触上べたつかず、しっとり感に優れた水性化
粧料が得られることを見出し、本発明を完成した。

すなわち、本発明は、次の成分（Ａ）、（Ｂ）及び
（Ｃ） （Ａ）酸化エチレンの付加モル数が20〜40モルであるポ
リオキシエチレン付加型ヒマシ油系界面活性剤0.05〜5.
0重量％ （Ｂ）分子内にエステル結合を１個以上有し、且つ炭素
数30以上の油剤、及びこれら油剤を主たる成分として含
有する天然油剤から選ばれる１種又は２種以上の油剤0.
05〜5.0重量％ （Ｃ）水 50〜99重量％ を含有し、外観が透明ないし半透明であることを特徴と
する水性化粧料を提供するものである。

本発明の（Ａ）成分であるポリオキシエチレン付加型
ヒマシ油系界面活性剤は、ヒマシ油または水素添加ヒマ
シ油に酸化エチレンを付加させたもの、あるいは更に脂
肪酸を付加させたものであり、具体的には、例えばニッ
コールHCO（日光ケミカルズ（株）製）、エマレックスR
WIS（日本エマルジョン（株）製）、ニッコールCO（日
光ケミカルズ（株）製）などが挙げられる。これらポリ
オキシエチレン付加型ヒマシ油系界面活性剤は、単独又
は２種以上を組合せて用いることができ、本発明水性化
粧料中に0.05〜5.0重量％（以下、単に％で示す）配合
するのが好ましい。0.05％未満では（Ｂ）成分のエステ
ル油剤を安定に配合するのが難しく、5.0％を越えると
使用感触上べたつきを感じるので好ましくない。

本発明の（Ｂ）成分である油剤は、分子内にエステル
結合を１個以上有し、且つ炭素数30以上の油剤又はこれ
ら油剤を主たる成分として含有する天然油剤であり、こ
れらのうち、特にエステルの構成因子である脂肪酸が炭
素数８以上のものが好ましい。具体的には、例えばパル
ミチン酸セチル、ミリスチン酸オクチルドデシル、エル
カ酸オクチルドデシル、イソステアリン酸コレステロー
ル、ヒドロキシステアリン酸コレステロールなどの一価
アルコールと脂肪酸のエステル；トリラウリン酸グリセ
リン、トリオレイン酸グリセリン、トリステアリン酸グ
リセリン、ジペンタエリスリトール脂肪酸エステルなど
の多価アルコールと脂肪酸のエステル；オリーブ油、サ
フラワー油、大豆油、マカデミアンナッツ油、メドゥホ
ーム油、ヤシ油、アボガド油、月見草油、ゲイロウ、ホ
ホバ油などの天然油剤が挙げられる。これら油剤は、単
独又は２種以上を組合せて用いることができ、本発明水
性化粧料中に0.05〜5.0％配合するのが好ましい。0.05
％未満ではしっとりした感触が得られず、5.0％を越え
ると使用感触上べたつきを感じるので好ましくない。

また、水は本発明水性化粧料中に50〜99％配合するの
が好ましい。

さらに、本発明の水性化粧料には、前記必須成分の
他、通常の水性化粧料に用いられる成分、例えば水溶性
高分子、エタノール、多価アルコール、塩、塩基、酸、
香料、色素、防腐剤、紫外線吸収剤、金属キレート剤、
前記以外の油剤、前記以外の界面活性剤、ビタミン、美
肌成分等を本発明の効果を損なわたい範囲で適宜選択し
て用いることができる。

本発明の水性化粧料は、外観が透明〜半透明〜白濁の
ものであり、前記必須成分及び任意成分から適宜選択し
たものを用い、通常の方法に従って製造することができ
る。そして、例えば柔軟化粧水、栄養化化粧水、収斂化
粧水、洗浄用化粧水、美容液、ヘアローションなどとし
て適用することができる。

〔実施例〕

以下、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明する
が、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。

実施例１ 第１表に示す組成の水性化粧料を調製し、安定性及び
使用感触について評価した。結果を第１表に示す。

（製法） （Ａ）成分（１）〜（11）を50℃にて混合溶解する。

（Ｂ）成分（12）及び（13）を混合し、これに（Ａ）を
添加して混合する。

（透明度測定） 製造直後及び５℃、室温、40℃でそれぞれ１ケ月保存
した後の水性化粧料について、厚さ1cmの角型石英セル
を用い、500nmにおける透過率（％）を分光光度計UV−1
60（島津製作所製）で測定した。100は完全透明を、０
は完全白濁の状態をそれぞれ示す。

（安定性） ５℃、室温、40℃の各温度条件下に１ケ月間保存した
水性化粧料について、製造直後のものと外観上の変化を
チェックすることにより行なった。特に変化のないもの
を良好とし、変化が生じたものについてはその変化状態
を表現記載した。

（官能評価） 女性20名の専門パネルを対象として使用テストを行な
い、べたつき及びしっとり感について５段階評価を行な
った。

（評価基準） べたつき感 非常にべたつく ;1点 ややべたつく ;2点 どちらとも言えない;3点 ややべたつかない ;4点 全くべたつかない;5点 しっとり感 全くしっとり感ない ;1点 ややしっとり感ない ;2点 どちらとも言えない ;3点 ややしっとり感ある ;4点 非常にしっとり感ある;5点 （判定） 平均点４点〜５点 ；○ 〃 2.1点〜3.9点；Δ 〃 １点〜２点 ；× 第１表から明らかな如く、本発明の水性化粧料は透明
〜白濁の外観を有し、比較品に比べて経時安定性に優
れ、しかも知用後にはべたつき感がなく、しっとりした
感触を有するものであった。

実施例２ 収斂化粧水： （成分） （％） （１）イソステアリン酸P.O.E（40モル） 硬化ヒマシ油 0.2 （２）ヒドロキシステアリン酸コレステリル 0.08 （３）クエン酸 0.05 （４）クエン酸ナトリウム 0.2 （５）グリチルリチン酸ジカリウム 0.1 （６）エタノール 8.0 （７）プロピレングリコール 7.0 （８）精製水 残量 （製法） （Ａ）成分（１）、（２）、（５）、（６）を50℃に
て混合溶解する。

（Ｂ）成分（３）、（４）、（７）、（８）を混合す
る。

（Ｃ）（Ｂ）に（Ａ）を添加して混合する。

以上のようにして得られた収斂化粧水は、透明な外観
を有し、使用感触上べたつかず、しっとり感に優れてお
り、しかも透明性も変化なく経時安定性が良好であっ
た。

実施例３ 美容液： （成分） （％） （１）P.O.E（20モル）ヒマシ油 1.0 （２）ホホバ油 1.0 （３）1,3−ブチレングリコール 10.0 （４）グリセリン 4.0 （５）メチルセルロース 0.05 （６）ヒアルロン酸液（１％） 1.0 （７）精製水 残量 （製法） （Ａ）成分（１）、（２）、（７）を70℃にて混合溶
解する。

（Ｂ）成分（３）〜（６）を混合し、（Ａ）に添加し
て混合冷却する。

以上のようにして得られた美容液は、半透明な外観を
有する微粘性のローションであり、使用感触上べたつか
ず、しっとり感に優れており、しかも半透明性も変化な
く経時安定性が良好であった。

〔発明の効果〕

以上詳述した如く、本発明の水性化粧料は、使用感触
上べたつかず、しっとり感に優れ、しかも経時安定性も
良好なものである。

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】次の成分（Ａ）、（Ｂ）及び（Ｃ） （Ａ）酸化エチレンの付加モル数が20〜40モルであるポ
   リオキシエチレン付加型ヒマシ油系界面活性剤0.05〜5.
   0重量％ （Ｂ）分子内にエステル結合を１個以上有し、且つ炭素
   数30以上の油剤、及びこれら油剤を主たる成分として含
   有する天然油剤から選ばれる１種又は２種以上の油剤0.
   05〜5.0重量％ （Ｃ）水 50〜95重量％ を含有し、外観が透明ないし半透明であることを特徴と
   する水性化粧料。