JP2912112B2 - ラップフィルムの収納ケース - Google Patents

ラップフィルムの収納ケース

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JP2912112B2
JP2912112B2 JP8255393A JP8255393A JP2912112B2 JP 2912112 B2 JP2912112 B2 JP 2912112B2 JP 8255393 A JP8255393 A JP 8255393A JP 8255393 A JP8255393 A JP 8255393A JP 2912112 B2 JP2912112 B2 JP 2912112B2
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Fukushima Insatsu Kogyo Kk
NIPPON KAKO SEISHI KK
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、内部に収納されたラッ
プフィルムを必要な長さずつ引き出して切断するラップ
フィルムの収納ケースに係り、特に、引き出されて切断
された後にケース本体の外面に残ったラップフィルムを
比較的広い面積にて貼着保持し、ケース本体内へのラッ
プフィルムの巻き戻りを防止できるようにしたラップフ
ィルムの収納ケースに関する。
【0002】
【従来の技術】食品などを包むラップフィルムは、コア
に円筒状に巻かれ、紙製の収納ケース内に収納されてい
る。そして使用時には収納ケースのフィルム引き出し部
から必要な長さだけ引き出し、収納ケースに設けられた
カッタによって切断する。このとき切断されて残った側
のラップフィルムが収納ケース内に巻き戻されないよう
にするため、紙製の収納ケースの本体の外面にラップフ
ィルムを保留させるフィルム保留部材が設けられている
ものがある。
【0003】この種のフィルム保留部材を設けているラ
ップフィルムの収納ケースの従来例としては、例えば実
公昭61-22823号公報に開示されているものがあ
る。このフィルム保留部材は、その表面に接着剤が塗布
されたものであり、ケースから引き出されたラップフィ
ルムがこの接着剤によって強力に保持されるようになっ
ている。
【0004】このように接着剤を使用したフィルム保留
部材には以下に列記する問題点がある。 (a)一旦フィルム保留部材にラップフィルムが接着さ
れると、これを引き剥そうとするときに、必要以上に大
きな力が要求され、非常に扱いずらいものとなる。さら
にラップフィルムを引き剥すときにフィルム保留部材の
位置でフィルムが破れることもあった。
【0005】(b)接着剤を使用したものでは、ラップ
フィルムがフィルム保留部材に接着され且つ剥がされる
動作が繰返されると、接着力が徐々に低下し、ケース本
体内にラップフィルムが残っている段階で、フィルム保
留部材がラップフィルムを保持する力を発揮できなくな
る場合があった。
【0006】(c)接着剤を使用したフィルム保留部材
では、ラップフィルム以外のものに対しても大きな接着
力を発揮してしまう。したがって、ラップフィルムがフ
ィルム保留部材から離れているときに、紙製の収納ケー
スの掩蓋片などから紙の繊維が剥れてフィルム保留部材
に付着し、あるいは空気中の埃などが付着しやすくな
る。フィルム保留部材に紙の繊維や埃などが多く付着す
ると、接着力が低下するのみならず、フィルム保留部材
に付着した繊維などがラップフィルムに転着され、食品
を包む場合に衛生上好ましくないことになる。
【0007】このような従来のフィルム保留部材の欠点
を解決したものとして、特開平2ー219742号公報
には、ラップフィルムの巻き戻りを防止するフィルム保
留部材に貼着層を設け、この貼着層として、エチレン−
酢酸ビニル共重合体に対し塩化ビニルモノマーをグラフ
ト重合させたグラフト共重合体を使用したものが開示さ
れている。この貼着層の具体的構成としては、エチレン
と酢酸ビニルとの重量比が20〜70:80〜30であ
るエチレン−酢酸ビニル共重合体の20〜80に対して
塩化ビニルモノマーを80〜20の重量比でグラフト重
合させたグラフト共重合体であることが望ましいものと
して開示されている。
【0008】この貼着層は、比較的強い粘着性を発揮す
るエチレンー酢酸ビニル共重合体に対して、塩化ビニル
モノマーをグラフト重合させることにより、貼着層全体
の粘着性を抑制し、ラップフィルムを適度な力で貼着で
きるようにしたものである。そのため、この貼着層は、
塩化ビニリデン系樹脂などのラップフィルムに対して強
すぎることのない適度な貼着力を発揮できるのみなら
ず、ラップフィルムの貼着と剥離の繰返し数が多くても
貼着力が著しく低下することはなく、所定の貼着力を維
持できる。さらにラップフィルム以外の紙の繊維や埃な
どが付着しづらいという、前記従来例に比べ、フィルム
保留部材としての機能が好ましいものとなっている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】上記グラフト共重合体
を主成分とする貼着層では粘着性が抑制されているた
め、通常の環境下においては、前述の接着剤を使用した
フィルム保留部材のようにラップフィルムを過剰な力で
粘着しまたは接着することはない。しかしながら、前記
貼着層は、使用環境の変化により貼着力が変動しやすい
ものとなっており、特に環境温度が高くなるにしたがっ
て貼着力が極端に強くなり過ぎる欠点がある。例えば環
境温度が20℃を越えて上昇していくと、貼着力が急激
に高くなっていき、その結果、35℃付近では貼着層に
ラップフィルムを押し付けるとほぼ粘着または接着状態
になり、ラップフィルムを剥がそうとすると、貼着層の
部分からフィルムが破れることがある。ラップフィルム
の収納ケースが使用される厨房では、夏季のみならず、
それ以外の季節においても環境温度がかなり高くなるこ
とがあり、したがって前記貼着層を使用したラップフィ
ルムの収納ケースは、使用上の不都合を生じやすいもの
となっている。
【0010】そこで、上記グラフト共重合体を主体とす
る貼着層を使用したラップフィルムの収納ケースでは、
上記の環境温度の上昇に伴う貼着力の増加を想定して、
貼着層の面積を可能な限り小さくし、フィルム保留部全
体としてのラップフィルムに対する吸着力を抑制できる
ような使用態様を採用せざるを得なかった。
【0011】しかしながら、貼着層の面積を小さくする
と、切断されケース本体側に残ったラップフィルムを指
でケース本体に押し付けようとしたときに、貼着層の部
分に確実にラップフィルムが当たらないことがあり、そ
の結果フィルムが巻戻ってしまい使用上不便なものとな
っている。また貼着層の面積を小さくしても、貼着層の
貼着力自体が環境温度の上昇にしたがって強くなってし
まうため、ラップフィルムを貼着層から引き剥がすとき
の抵抗力が強くなり、またそのときラップフィルムがそ
の部分から破れてしまうなど、最適な状態とはいえない
ものであった。
【0012】本発明は上記従来のグラフト共重合体を使
用した貼着層の特性を有効に利用し、さらに温度の上昇
など環境の変化による貼着力の極端な増加を効果的に防
止できるようにして、ラップフィルムに対して適度な貼
着力を広い面積にわたって均一に発揮できるようにした
ラップフィルムの収納ケースを提供することを目的とし
ている。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記従来のフ
ィルム保留部材の貼着層として使用されているエチレン
−酢酸ビニル共重合体に対し塩化ビニルモノマーをグラ
フト重合させたグラフト共重合体を使用した層に、例え
ばメチルメタクリレート系樹脂などのような常温下にお
ける弾性率が高いアクリル系樹脂を添加することによ
り、貼着層をやや硬質化でき、必要以上の粘着性(ベタ
つき)が生じなくなり、さらに温度の上昇による貼着力
の極端な増加を防止できるようになることに着目してな
されたものであり、広い面積においてラップフィルムに
対して最適な貼着性を発揮できるという顕著な効果を奏
することができるに至った。このときのアクリル系樹脂
の添加量は、上記グラフト共重合体とアクリル系樹脂と
の重量比が98〜80:2〜20である。アクリル系樹
脂の重量比が2未満では貼着力を抑制し、また温度変化
による貼着力の変動を緩和するという本発明の効果を得
ることが難しく、また20より多い場合には貼着層の貼
着力が不足してラップフィルムを留めて巻き戻しを防止
する機能が不確実となる。
【0014】すなわち本発明は、コアに巻かれたラップ
フィルムを収納するケース本体の表面に、前記コアから
引き出されたラップフィルムのケース本体内への巻き戻
りを防止する貼着層が設けられているラップフィルムの
収納ケースにおいて、前記貼着層は、エチレン−酢酸ビ
ニル共重合体に対し塩化ビニルモノマーをグラフト重合
させたグラフト共重合体に、アクリル系樹脂が添加され
たものであることを特徴とするものである。
【0015】上記グラフト共重合体の組成割合は、エチ
レンと酢酸ビニルとの重量比が20〜70:80〜30
であるエチレン−酢酸ビニル共重合体の20〜80に対
して塩化ビニルモノマーを80〜20の重量比でグラフ
ト共重合させたものであることが好ましい。
【0016】このグラフト共重合体では、エチレンと酢
酸ビニルとの重量比において酢酸ビニルの割合が大きく
なると貼着力が大きくなり、また塩化ビニルのグラフト
量が大きくなると貼着力は減少する。貼着力の程度は貼
着させるラップフィルムの物性(例えば、塩化ビニリデ
ン系であるか、ポリエステル系であるかのような化学的
特性、さらには厚さ、柔軟性などの物理特性)により変
わる。したがって対象とするラップフィルムについて予
め試験を行い、且つ上記傾向を勘案してそれぞれのモノ
マーの重量比を適宜調節することにより、種々のラップ
フィルムに対して適したグラフト共重合体を得ることが
できる。
【0017】グラフト共重合体に添加されるアクリル系
樹脂としては、メタクリル酸低級(炭素数1〜3)アル
キルエステル、またはアクリル酸低級アルキルエステル
を主構成単位とする樹脂が好ましく、なかでもメタクリ
ル酸低級アルキルエステルを主構成単位とする樹脂が好
ましく、メチルメタクリレート系樹脂は特に好ましいも
のとして例示できる。
【0018】
【0019】また前記貼着層をケース本体の表面に設け
る手段としては、第1に貼着層をケース本体の表面に直
接形成する方法があり、第2に貼着層を基材フィルムの
表面に設けこの基材フィルムをケース本体の表面に取付
ける方法がある。
【0020】貼着層をケース本体の表面に直接形成する
方法の具体例は、例えば、前記グラフト共重合体とアク
リル系樹脂とが所定割合となる樹脂溶液を調整し、これ
を公知の方法でラップフィルムの収納ケースの表面のフ
ィルム保留部となる部分に直接に塗布し、溶剤を除去し
て層を形成させればよい。
【0021】次に基材フィルムを使用する方法の具体例
は、上記樹脂溶液を例えばポリエステルフィルムなどの
基材の片面に塗布し、溶剤を除去して基材表面に貼着層
を形成させ、これを所定の大きさに裁断し、この層が外
側に向くようにラップフィルムの収納ケースのフィルム
保留部となる部分に接着すればよい。
【0022】上記樹脂溶液を調整するときの溶剤として
は、貼着層を形成する樹脂を溶解するものが好ましく、
例えばメチルエチルケトン、テトロヒドロフラン、トル
エンなどの一種またはそれらの混合物を用いることがで
き、溶液の濃度は塗布方法に適した濃度を適宜選択す
る。
【0023】なお、これらの溶剤は、貼着層を塗布形成
した後は外気中に蒸発してしまうものであるため、塗布
後においては特別の手段を用いることなく自然に除去さ
れる。
【0024】さらに溶剤を使用せず、貼着層を形成させ
る樹脂を混合溶融して、この溶融物をラップフィルムの
収納ケースの保留部形成位置に直接塗布するか、基材フ
ィルムに塗布してもよい。
【0025】
【作用】本発明は、ケース本体の外面に設けられる貼着
層として、エチレン−酢酸ビニル共重合体に対し塩化ビ
ニルモノマーをグラフト重合させたグラフト共重合体
に、アクリル系樹脂を添加することにより構成されてい
る。
【0026】前記グラフト共重合体を主体とした貼着層
は、ラップフィルムに対して適度な貼着力を発揮でき、
またラップフィルムの貼着と剥離の繰返しによる貼着力
の著しい低下がなく、また紙の繊維や埃などが付着しに
くいものである。ただし、エチレン−酢酸ビニル共重合
体は、環境温度の上昇に伴ってラップフィルムに対する
貼着力が強くなる。そこで上記手段では、常温下におけ
る弾性率が比較的高いアクリル系樹脂、例えばメチルメ
タクリレート系樹脂を、グラフト共重合体に対して添加
することにより貼着層を硬質化でき、ラップフィルムに
対する貼着力をさらに抑制できるようになる。しかも、
環境の変化、特に環境温度が上昇したときの貼着力の極
端な上昇がなくなり、高温環境となりやすい厨房におい
て使用しても、貼着層がラップフィルムを常に最適な貼
着力により留めることができるようになる。
【0027】またこれを用いて貼着層を形成すると広い
面積にわたって常に均一な貼着力を発揮できるようにな
る。例えば、上記グラフト共重合体にグラフト共重合体
とメチルメタクリレート系樹脂の重量比が98〜80:
2〜20となる割合で添加した組成の粘着層は、塩化ビ
ニリデン系のラップフィルム(例えば呉羽化学工業株式
会社製の商品名「クレラップ」)に対する貼着力を20
℃、相対湿度65%の環境において、約15(gr/2
5mm)以下にでき、貼着力をかなり抑制することが可
能である(測定方法は後述する)。
【0028】また上記比率にてメチルメタクリレート系
樹脂を添加することにより、湿度65%で35℃の高温
環境下であっても、「クレラップ」に対する貼着力を、
前記従来例すなわちメチルメタクリレート系樹脂を添加
しない前記グラフト共重合体による貼着層を使用したも
のに対し半分以下の値に抑制することが可能である。そ
のためケース本体の表面において貼着層の面積をかなり
広く形成しても、ラップフィルムが常に必要以上に強く
貼着されることがなくなる。
【0029】
【実施例】以下、本発明の実施例について説明する。図
1は本発明によるラップフィルムの収納ケースの外観を
示す斜視図、図2は図1のラップフィルムの収納ケース
に取付けられたフィルム保留部材を拡大して示す斜視
図、図3はフィルム保留部材の拡大断面図(図2のII
I−III線断面図)である。図1において符号1はラ
ップフィルムの収納ケースである。この収納ケース1
は、紙によって箱体に形成されたケース本体2と、この
ケース本体2の上方に開口されたフィルム引き出し部3
を塞ぐ蓋体4とから構成されている。蓋体4は紙によっ
てケース本体2に連続して形成されているものである。
蓋体4の先端には掩蓋片5が連続して設けられており、
蓋体4を閉じた状態では掩蓋片5がケース本体2の前面
6に重ねられる。また掩蓋片5の先端はV字形状に形成
されており、この部分に鋸刃を有するカッタ7が装備さ
れている。
【0030】上記ケース本体2の内部にはコアに円筒状
に巻かれたラップフィルム8が収納されている。このラ
ップフィルム8は、ケース本体2のフィルム引き出し部
3から必要な長さだけ引き出される。そして掩蓋片5の
先端に設けられたカッタ7によって切断される。ケース
本体2の前面6には、カッタ7によって切断された後に
残ったラップフィルム8がケース本体2内に巻戻される
のを防止するためのフィルム保留部材10が設けられて
いる。このフィルム保留部材10は比較的広い面積のも
のとなっている。従来のこの種のフィルム保留部材は直
径が15mm以下程度の円形のものであったが、この実
施例のフィルム保留部材10は、図2における幅寸法W
が約50mm、両側部の高さ寸法hが約10mm、中央
部の高さ寸法Hが約20mm、中央部の幅寸法Dが約1
5mm程度の大きさである。ただし本発明によるフィル
ム保留部材10の形状ならびに寸法は図2に示されるも
のに限られるものではない。
【0031】図3の拡大断面図に示すように、このフィ
ルム保留部材10は、基本的には3層構造のシート10
aで構成されており、このシート10aの積層構造は、
ケース本体の前面6の表面側から順に、粘着剤層11、
基材12、貼着層13となっている。
【0032】上記シート10aを構成する各層の材質は
以下の通りである。基材12の具体的な材質は、ポリエ
ステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニ
ルなどの樹脂フィルム基材、あるいは紙、合成樹脂含浸
紙、合成紙、ポリエチレンラミネート紙、ポリプロピレ
ンラミネート紙などである。粘着剤層11は、上記基材
12を紙製のケース本体2の前面6に強固に接着するた
めのものであり、例えばアクリル系接着剤、ゴム系接着
剤などが使用される。
【0033】貼着層13は、エチレン−酢酸ビニル共重
合体に対し塩化ビニルモノマーをグラフト重合させたグ
ラフト共重合体に、アクリル系樹脂としてメチルメタク
リレート系樹脂を添加した共重合体によって構成されて
いる。さらに、図の実施例では、貼着層13のほぼ中央
部に円形の樹脂層14が設けられている。この樹脂層1
4は紫外線硬化型インキなどにより印刷されたものであ
り、この樹脂層14はラップフィルムに対して貼着力を
発揮しない。この樹脂層14は例えば緑、赤、青、黒、
黄色などに着色されたものであり、この円形の樹脂層1
4を設けることにより、使用者が、掩蓋片5を指で押し
てラップフィルムをフィルム保留部材10に対して押し
付ける際、この押し付け位置の目安にできるようにな
る。したがって、本発明の効果を奏するためにこの樹脂
層14が必ずしも必要となるものではない。
【0034】ここで、フィルム保留部材10を構成する
粘着剤層11、基材12、貼着層13の3層から成るシ
ート10aの実施例を説明する。 [実施例−A] (貼着層の配合組成) (1) グラフト共重合体 …95 重量
部(エチレンと酢酸ビニルとの重量比が55:45のエ
チレン−酢酸ビニル共重合体50に対して塩化ビニルモ
ノマ−が50の重量比でグラフト重合されたグラフト共
重合体) (2) ポリメチルメタクリレート …5重量部
【0035】(日本触媒化学工業株式会社製、商品名
「アロフェット5210」;以下の各実施例において同
じ) (3) メチルエチルケトン …200重量部 (4) テトラヒドロフラン …100重量部 (5) トルエン …100重量部 ただし、上記(3) 〜(5) はケース本体の表面にまたは
基材フィルムに塗布して貼着層を形成する場合の溶剤で
ある。
【0036】上記の配合で貼着層用の樹脂溶液を調製し
た。次いで、この樹脂溶液を厚さ50μのポリエステル
フィルム(基材12)に塗布し溶剤を蒸発除去して厚さ
25μの貼着層13を形成した。続いて、ポリエステル
フィルム(基材12)の他面にアクリル系粘着剤を塗布
して粘着剤層11を形成した。
【0037】[実施例−B] (1)グラフト共重合体 …90重量部 (2) ポリメチルメタクリレート …10重量部 他は、実施例−Aと同じ方法で作成した。
【0038】[実施例−C] (1)グラフト共重合体 …85重量部 (2) ポリメチルメタクリレート …15重量部 他は、実施例−Aと同じ方法で作成した。
【0039】[実施例−D] (1)グラフト共重合体 …80重量部 (2) ポリメチルメタクリレート …20重量部 他は、実施例−Aと同じ方法で作成した。上記実施例A
ないしDに対する比較例として以下のものを作成した。
【0040】[比較例]実施例−Aにおいて、ポリメチ
ルメタクリレートを添加せず、他は同じ方法で作成し
た。上記各実施例および比較例についての貼着層の貼着
力の測定結果を表1に示す。
【0041】(貼着力の測定方法)上記において製作さ
れたシート10aを25mm幅に切断する。塩化ビニリ
デン系のラップフィルム(呉羽化学工業株式会社製の商
品名「クレラップ」)はテーブルの平滑面上に平面的に
広げてテープにより固定し、このラップフィルムの表面
に上記シートを貼着層13側から密着させる。24時間
経過後、剥離速度300mm/min、剥離角度180
度で剥し、このときの抵抗力を測定し、これを(gr/
25mm)で表わす。また表面平滑なポリプロピレン
(PP)の板とポリエチレン(PE)の板に対しても同
様にして各実施例と比較例の試料を密着させて剥離抵抗
力を測定した。ラップフィルム、PP板、PE板のそれ
ぞれに対し各実施例と比較例の試料を5個ずつ密着させ
て剥離試験を実施した。表1はそのときの剥離抵抗力の
測定平均値を貼着力として示している。なお測定環境
は、20℃、相対湿度65%であった。
【0042】
【表1】
【0043】表1に示すように、比較例では、ラップフ
ィルムに対する貼着力がかなり大きいのに対し、ポリメ
チルメタクリレートが添加された貼着層を有する実施例
AないしDはいずれもラップフィルムに対する貼着力が
抑制されていることが解る。ポリメチルメタクリレート
の添加重量部であるが、表1からグラフト共重合体とポ
リメチルメタクリレートとの重量比が98〜80:2〜
20程度であると、ラップフィルムに対する貼着力が適
度に抑制され、好ましいことが解る。
【0044】なお、表1から明かなようにポリメチルメ
タクリレートの添加量が多い場合、例えばグラフト共重
合体に対する重量比が80:20であるような場合には
ラップフィルムに対する貼着力は1.7(gr/25m
m)とかなり弱くなっているが、貼着力が弱い場合には
それに応じてフィルム保留部材の表面積わ広くすればよ
く、貼着力と保留部材表面積の調整により、適当なフィ
ルム保留部材を得ることができる。
【0045】次に、図4は、実施例AないしDおよび比
較例に対し、環境温度を変えて、前記と同様の測定方法
により、上記シート10aの「クレラップ」に対する貼
着力(剥離抵抗力)を測定したものである。図4は、そ
れぞれの試料に対し、横軸に環境温度(℃)を示し、縦
軸に貼着力(gr/25mm)を示したものである。こ
の測定は、それぞれの試料について、5℃、20℃、3
5℃、50℃(いずれも相対湿度60%)のそれぞれの
環境温度下において剥離試験を5回ずつ行い、その平均
値をプロットし、折れ線グラフとしたものである。
【0046】図4に示す線図によれば、実施例Aないし
Dのいずれにおいても環境温度35℃における貼着力が
220(gr/25mm)未満であり、比較例の35℃
における貼着力425(gr/25mm)に比較して大
幅に抑制されていることが解る。特に実施例Aと実施例
Bでは35℃における貼着力が80(gr/25mm)
未満であり、さらに50℃においても貼着力が比較例ほ
ど極端に上昇していないことが解る。
【0047】前記表1および図4から、本実施例におい
てポリメチルメタクリレートの添加量の好ましい範囲は
グラフト共重合体とポリメチルメタクリレートの重量比
が概ね98〜80:2〜20程度である。さらに好まし
くは両者の重量比が95:5程度である。さらに、上記
実施例−Aにより作成したシート10aを図2に示す形
状に切断した。このときの寸法は、W=50mm、h=
10mm、H=20mm、D=15mmとした。また貼
着層13の表面に紫外線硬化型インキにより直径d=5
mmの樹脂層14を形成した。
【0048】このフィルム保留部材10を図1に示すよ
うに、「クレラップ」の収納ケースのケース本体2の前
面6の中央部に、粘着剤層11により粘着させて取り付
けた。そして、30℃、相対湿度60%の環境下で、実
際にクレラップを引き出してカッタ7により切断し、掩
蓋片5のほぼ中央部を親指で押して、切断されケース本
体2側に残ったラップフィルムを掩蓋片5を介してケー
ス本体2の前面6に押し付けた。その結果、クレラップ
は比較的広い面積のフィルム保留部材10の貼着層13
の全面に均一に貼り付き、ケース本体から手を離しても
クレラップは、ケース本体内に巻き戻らなかった。次
に、クレラップをフィルム保留部材10から引き剥がす
とき、その抵抗は手にほとんど感じなかった。
【0049】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、貼着層
が、ラップフィルムに対して強すぎることのない適度な
貼着力を発揮でき、また環境の変化、特に環境温度の上
昇によっても貼着力の極端な上昇がなくなる。よって
貼着層の面積を広くしてもラップフィルムが貼着しすぎ
る恐れがないので、貼着層の面積を広くし、ケース本体
から引き出され切断された後のラップフィルムを常に確
実に留めることができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるラップフィルムの収納ケースを示
す斜視図である。
【図2】フィルム保留部材を拡大して示す斜視図であ
る。
【図3】フィルム保留部材の拡大断面図であり、図2の
III−III線断面図である。
【図4】各実施例と比較例について、環境温度の変化に
よる貼着力の変動を測定した線図である。
【符号の説明】
1 ラップフィルムの収納ケース 2 ケース本体 3 フィルム引き出し部 4 蓋体 5 掩蓋片 6 前面 7 カッタ 8 ラップフィルム 10 フィルム保留部材 11 粘着剤層 12 基材 13 貼着層 14 樹脂層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 内田 貢庸 東京都練馬区羽沢3−20−16 (56)参考文献 特開 昭57−167362(JP,A) 特開 昭61−7369(JP,A) 特開 平2−219742(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) B65D 5/72 B65D 25/52

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 コアに巻かれたラップフィルムを収納す
    るケース本体の表面に、前記コアから引き出されたラッ
    プフィルムのケース本体内への巻き戻りを防止する貼着
    層が設けられているラップフィルムの収納ケースにおい
    て、前記貼着層は、エチレン−酢酸ビニル共重合体に対
    し塩化ビニルモノマーをグラフト重合させたグラフト共
    重合体に、アクリル系樹脂が添加されたものであり、グ
    ラフト共重合体とアクリル系樹脂の重量比が、98〜8
    0:2〜20であることを特徴とするラップフィルムの
    収納ケース。
  2. 【請求項2】 グラフト共重合体は、エチレンと酢酸ビ
    ニルとの重量比が20〜70:80〜30であるエチレ
    ン−酢酸ビニル共重合体の20〜80に対して塩化ビニ
    ルモノマーを80〜20の重量比でグラフト共重合させ
    たものである請求項1記載のラップフィルムの収納ケー
    ス。
  3. 【請求項3】 アクリル系樹脂は、メチルメタクリレー
    ト系樹脂である請求項1または2記載のラップフィルム
    の収納ケース。
  4. 【請求項4】 貼着層は基材フィルムの表面に設けられ
    ており、この基材フィルムがケース本体の表面に取付け
    られている請求項1ないし3のいずれかに記載のラップ
    フィルムの収納ケース。
  5. 【請求項5】 ラップフィルムが塩化ビニリデン系樹脂
    フィルムであり、前記フィルムに対する貼着層の貼着力
    が、環境温度20℃では1.7gr/25mm以上、環
    境温度35℃では220gr/25mm未満である請求
    項1ないし4のいずれかに記載のラップフィルムの収納
    ケース。
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