JP2911290B2 - 磁性薄膜メモリ素子およびその記録方法 - Google Patents
磁性薄膜メモリ素子およびその記録方法Info
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Landscapes
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は磁性薄膜を用いたメモリ
素子に関するものである。
素子に関するものである。
【0002】
【従来の技術】図27は、磁気工学講座5、磁性薄膜工学
254頁(1977年丸善(株)発行)に示された従来の磁性
薄膜メモリ素子を組み立てた模式図を示したものであ
る。
254頁(1977年丸善(株)発行)に示された従来の磁性
薄膜メモリ素子を組み立てた模式図を示したものであ
る。
【0003】まず、作製方法の一例について説明する。
平滑なガラス基板上に矩形の孔のあいたマスクを密着さ
せ、真空装置内で約2000Åの厚さにFe,Niの合金の
真空蒸着膜を形成させる。このようにして多数のメモリ
素子MFを一挙にマトリックス状に製作する。メモリ素
子を駆動させるための駆動線は薄いエポキシ樹脂板やマ
イラ・シートの両面に、互いに直行するように銅線をホ
トエッチング技術で形成して作製する。シート両面の各
線はそれぞれ語線および桁線であり、その交点が各メモ
リ素子の上に重なるように押しあてて組み立てる。
平滑なガラス基板上に矩形の孔のあいたマスクを密着さ
せ、真空装置内で約2000Åの厚さにFe,Niの合金の
真空蒸着膜を形成させる。このようにして多数のメモリ
素子MFを一挙にマトリックス状に製作する。メモリ素
子を駆動させるための駆動線は薄いエポキシ樹脂板やマ
イラ・シートの両面に、互いに直行するように銅線をホ
トエッチング技術で形成して作製する。シート両面の各
線はそれぞれ語線および桁線であり、その交点が各メモ
リ素子の上に重なるように押しあてて組み立てる。
【0004】つぎに、動作原理について説明する。図の
磁化容易軸に平行に配置されている線群は語線(word l
ine)で、それと直行している線群は桁線(digit lin
e)である。メモリ状態を読みだす検出線は桁線と兼用
する。
磁化容易軸に平行に配置されている線群は語線(word l
ine)で、それと直行している線群は桁線(digit lin
e)である。メモリ状態を読みだす検出線は桁線と兼用
する。
【0005】矢印A、Bはメモリ状態に対応した膜内の
磁化の方向を示している。同図において、紙面で上向き
の矢印Aは「0」の情報が記録されており、紙面で下向
きの矢印Bは「1」の情報が記録されていることとす
る。また、桁電流Id,語電流Iwによって磁性薄膜に
作用する磁界をそれぞれHd,Hwとする。単極性パル
スであるIwを語線W1を選択して流すと、その線の下
のすべてのメモリ素子にはHwが作用し、磁化の方向は
困難軸方向に向く。このときの磁化の方向が「1」の状
態から回転したか、「0」の状態から回転したかによっ
て、各桁線にはそれぞれ異なった極性のパルス電圧が誘
起され、これが読出し電圧になる。記録時には、Iwの
パルスの立ち下がり時に重なるようにIdを流し、磁化
の方向が困難軸を向いた状態において情報信号に対応し
た極性のHdを重畳させることで磁化の向きを決定し、
「1」または「0」の状態に情報を記録することができ
る。Iwは、磁性薄膜の磁化を容易軸から困難軸に回転
させるのに充分な磁界Hwを発生させるような電流値で
あり、Idは磁性薄膜の保磁力Hcの約1/2の磁界H
dを発生させる電流値である。
磁化の方向を示している。同図において、紙面で上向き
の矢印Aは「0」の情報が記録されており、紙面で下向
きの矢印Bは「1」の情報が記録されていることとす
る。また、桁電流Id,語電流Iwによって磁性薄膜に
作用する磁界をそれぞれHd,Hwとする。単極性パル
スであるIwを語線W1を選択して流すと、その線の下
のすべてのメモリ素子にはHwが作用し、磁化の方向は
困難軸方向に向く。このときの磁化の方向が「1」の状
態から回転したか、「0」の状態から回転したかによっ
て、各桁線にはそれぞれ異なった極性のパルス電圧が誘
起され、これが読出し電圧になる。記録時には、Iwの
パルスの立ち下がり時に重なるようにIdを流し、磁化
の方向が困難軸を向いた状態において情報信号に対応し
た極性のHdを重畳させることで磁化の向きを決定し、
「1」または「0」の状態に情報を記録することができ
る。Iwは、磁性薄膜の磁化を容易軸から困難軸に回転
させるのに充分な磁界Hwを発生させるような電流値で
あり、Idは磁性薄膜の保磁力Hcの約1/2の磁界H
dを発生させる電流値である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】従来の技術において
は、読出し方法として、磁化の方向の回転によって生じ
る極めて微少な電磁誘導電圧を用いているため、読出し
時のSN比が小さく、読出しが困難であった。さらに、
電磁誘導電圧は磁気モーメントの大きさに比例するた
め、磁性薄膜のサイズを充分に大きくする必要があり、
このため、単位面積当りの記録量を大きくすることが不
可能であるなどの問題がある。
は、読出し方法として、磁化の方向の回転によって生じ
る極めて微少な電磁誘導電圧を用いているため、読出し
時のSN比が小さく、読出しが困難であった。さらに、
電磁誘導電圧は磁気モーメントの大きさに比例するた
め、磁性薄膜のサイズを充分に大きくする必要があり、
このため、単位面積当りの記録量を大きくすることが不
可能であるなどの問題がある。
【0007】本発明は前記問題を解消するためになされ
たもので、充分に大きな読出し信号がメモリ素子のサイ
ズが小さくなってもえられる磁性薄膜メモリ素子および
磁性薄膜メモリを提供することを目的とする。
たもので、充分に大きな読出し信号がメモリ素子のサイ
ズが小さくなってもえられる磁性薄膜メモリ素子および
磁性薄膜メモリを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明に係わる磁性薄膜
メモリ素子は、磁性薄膜の磁化の向きによって情報を記
憶し、記憶した情報を磁気抵抗効果による素子の抵抗変
化を利用して読み出す方法を用いる磁性薄膜メモリ素子
であって、前記磁性薄膜が保磁力の大きな磁性層aと保
磁力の小さな磁性層bとを非磁性層cを介してa/c/
b/c/a/c/b/c・・・・というふうに積層して
形成されていることを特徴とするものである。
メモリ素子は、磁性薄膜の磁化の向きによって情報を記
憶し、記憶した情報を磁気抵抗効果による素子の抵抗変
化を利用して読み出す方法を用いる磁性薄膜メモリ素子
であって、前記磁性薄膜が保磁力の大きな磁性層aと保
磁力の小さな磁性層bとを非磁性層cを介してa/c/
b/c/a/c/b/c・・・・というふうに積層して
形成されていることを特徴とするものである。
【0009】また、本発明による磁性薄膜メモリ素子
は、前記保持力の小さな磁性層bの磁化の向きにより、
情報を記憶することを特徴とするものである。
は、前記保持力の小さな磁性層bの磁化の向きにより、
情報を記憶することを特徴とするものである。
【0010】また、本発明による磁性薄膜メモリ素子の
記録方法は、磁性薄膜の磁化の向きによって情報を記憶
し、記憶した情報を磁気抵抗効果による素子の抵抗変化
を利用して読み出す方法を用いる磁性薄膜メモリ素子の
記録方法であって、前記磁性薄膜が保磁力の大きな磁性
層aと保磁力の小さな磁性層bとを非磁性層cを介して
a/c/b/c/a/c/b/c・・・・というふうに
積層して形成され、該保磁力の小さな磁性層bの磁化の
向きにより、情報を記憶させることを特徴とするもので
ある。
記録方法は、磁性薄膜の磁化の向きによって情報を記憶
し、記憶した情報を磁気抵抗効果による素子の抵抗変化
を利用して読み出す方法を用いる磁性薄膜メモリ素子の
記録方法であって、前記磁性薄膜が保磁力の大きな磁性
層aと保磁力の小さな磁性層bとを非磁性層cを介して
a/c/b/c/a/c/b/c・・・・というふうに
積層して形成され、該保磁力の小さな磁性層bの磁化の
向きにより、情報を記憶させることを特徴とするもので
ある。
【0011】
【作用】本発明によれば、メモリ素子として保磁力の大
きな磁性層aと保磁力の小さな磁性層bとを非磁性層c
を介してa/c/b/c/a/c/b/c・・・・とい
うふうに積層してなる人工格子膜を用いているため、膜
面に平行で異なる方向の磁界を印加することにより、前
記保磁力の小さい磁性層bの磁化の向きを変えて「0」
の状態と「1」の状態の記録を行うことができる。また
再生は、磁性層aと磁性層bの磁化の向きが同じ方向で
ある平行のばあいと反対方向である反平行のばあいとで
抵抗が大きく変化することを利用し、磁化の向きが反平
行のばあいの素子の両端の電圧VBと磁化の向きが平行
のばあいの素子の両端の電圧VAの大小を比較すること
により、「0」と「1」の記録状態を判別できる。
きな磁性層aと保磁力の小さな磁性層bとを非磁性層c
を介してa/c/b/c/a/c/b/c・・・・とい
うふうに積層してなる人工格子膜を用いているため、膜
面に平行で異なる方向の磁界を印加することにより、前
記保磁力の小さい磁性層bの磁化の向きを変えて「0」
の状態と「1」の状態の記録を行うことができる。また
再生は、磁性層aと磁性層bの磁化の向きが同じ方向で
ある平行のばあいと反対方向である反平行のばあいとで
抵抗が大きく変化することを利用し、磁化の向きが反平
行のばあいの素子の両端の電圧VBと磁化の向きが平行
のばあいの素子の両端の電圧VAの大小を比較すること
により、「0」と「1」の記録状態を判別できる。
【0012】
【実施例】つぎに、本発明の実施例について図面を参照
しながら説明する。
しながら説明する。
【0013】図1は本発明の一実施例である磁性薄膜メ
モリの構成を示す概念図である。図1において、1は磁
性薄膜メモリ素子で、アドレスを示すために1aa,1
ab,・・・・1ccのようにサフィックスを付してあ
るが、とくに区別の必要のないばあいには単に1を用い
る。他の符号についても同様とする。2〜6はいずれも
スイッチング用のトランジスタである。I1は電流源、
V2は正の電圧源、Vαβは磁性薄膜メモリ素子1ac
の両端の電圧を示す。図中、実線は再生用の配線、破線
は記録用の配線を示す。
モリの構成を示す概念図である。図1において、1は磁
性薄膜メモリ素子で、アドレスを示すために1aa,1
ab,・・・・1ccのようにサフィックスを付してあ
るが、とくに区別の必要のないばあいには単に1を用い
る。他の符号についても同様とする。2〜6はいずれも
スイッチング用のトランジスタである。I1は電流源、
V2は正の電圧源、Vαβは磁性薄膜メモリ素子1ac
の両端の電圧を示す。図中、実線は再生用の配線、破線
は記録用の配線を示す。
【0014】磁性薄膜メモリ素子1には、保磁力の大き
な磁性層aと保磁力の小さな磁性層bとを非磁性層cを
介してa/c/b/c/a/c/b/c・・・・という
ふうに積層してなる人工格子膜を用いた。この保持力の
大きな磁性層aとしては、たとえばNiCoPt、Ni
CoTa、NiCoCr、NiCoZr、NiCoなど
の各合金を用いた磁性層で形成され、保磁力の小さな磁
性層bは、たとえばNiFe、NiFeCoなどの各合
金を用いた磁性層で形成される。また、非磁性層として
は、Cu、Cr、V、W、Al、Al−Taなどの非磁
性材料で形成される。この磁性薄膜を作製するには絶縁
基板、たとえばSiO2やSiNxなどの絶縁膜で覆わ
れたSi基板やガラス基板に前述の磁性層a、非磁性層
c、磁性層b、非磁性層cを各々30〜70Å、好ましくは
40〜60Åの厚さで順次成膜し、この組み合せを5〜20周
期、好ましくは10〜15周期繰り返し、全体で500〜5000
Å、好ましくは1000〜3000Åの厚さに形成する。この成
膜の方法としては、スパッタ法、MBE法、超高真空蒸
着、電子ビーム蒸着、真空蒸着などにより形成すること
ができる。このうちスパッタ法としては、パワー制御が
比較的容易なDCマグネトロンスパッタが便利である
が、RFスパッタなど、他のスパッタ法でも形成でき
る。
な磁性層aと保磁力の小さな磁性層bとを非磁性層cを
介してa/c/b/c/a/c/b/c・・・・という
ふうに積層してなる人工格子膜を用いた。この保持力の
大きな磁性層aとしては、たとえばNiCoPt、Ni
CoTa、NiCoCr、NiCoZr、NiCoなど
の各合金を用いた磁性層で形成され、保磁力の小さな磁
性層bは、たとえばNiFe、NiFeCoなどの各合
金を用いた磁性層で形成される。また、非磁性層として
は、Cu、Cr、V、W、Al、Al−Taなどの非磁
性材料で形成される。この磁性薄膜を作製するには絶縁
基板、たとえばSiO2やSiNxなどの絶縁膜で覆わ
れたSi基板やガラス基板に前述の磁性層a、非磁性層
c、磁性層b、非磁性層cを各々30〜70Å、好ましくは
40〜60Åの厚さで順次成膜し、この組み合せを5〜20周
期、好ましくは10〜15周期繰り返し、全体で500〜5000
Å、好ましくは1000〜3000Åの厚さに形成する。この成
膜の方法としては、スパッタ法、MBE法、超高真空蒸
着、電子ビーム蒸着、真空蒸着などにより形成すること
ができる。このうちスパッタ法としては、パワー制御が
比較的容易なDCマグネトロンスパッタが便利である
が、RFスパッタなど、他のスパッタ法でも形成でき
る。
【0015】磁性層aおよび磁性層bの磁化方向は、た
とえば、磁性薄膜メモリ素子1の磁気シールドを行う前
に、面内の方向で記録用の配線に対して垂直方向のある
方向に大きな磁界をメモリ素子の全体に印加するなどし
て、一定方向、たとえば紙面上で上向きになるように揃
えておく。
とえば、磁性薄膜メモリ素子1の磁気シールドを行う前
に、面内の方向で記録用の配線に対して垂直方向のある
方向に大きな磁界をメモリ素子の全体に印加するなどし
て、一定方向、たとえば紙面上で上向きになるように揃
えておく。
【0016】まず、記録方法について述べる。記録は各
磁性薄膜メモリ素子の磁化の向きによって行われる。磁
性薄膜メモリ素子の記録を携わる磁性層bの磁化の向き
は面内の方向に存在するので、いま、再生用の配線に流
れる電流の方向と同じ磁化方向(紙面上では下向き)を
「1」、逆向きの磁化方向(紙面上では上向き)を
「0」としてそれぞれ2値的デジタル情報に対応させる
こととする。たとえば磁性薄膜メモリ素子1acに
「1」の記録を行うばあい、すなわち磁化の向きを紙面
上で下向きに書き込むばあいについて図1〜2を用いて
説明する。
磁性薄膜メモリ素子の磁化の向きによって行われる。磁
性薄膜メモリ素子の記録を携わる磁性層bの磁化の向き
は面内の方向に存在するので、いま、再生用の配線に流
れる電流の方向と同じ磁化方向(紙面上では下向き)を
「1」、逆向きの磁化方向(紙面上では上向き)を
「0」としてそれぞれ2値的デジタル情報に対応させる
こととする。たとえば磁性薄膜メモリ素子1acに
「1」の記録を行うばあい、すなわち磁化の向きを紙面
上で下向きに書き込むばあいについて図1〜2を用いて
説明する。
【0017】図1において、記録が行われないときに
は、スイッチ4a,4b,4c,4dおよびスイッチ5
a,5bはすべて開いており、破線で示した記録用の配
線には、電流は流れない。磁性薄膜メモリ素子1acに
「1」の記録を行うばあい、スイッチ2a,3c,6a
を閉じる。このとき、再生用の配線および磁性薄膜メモ
リ素子1acには、比較的大きな電流I1が流れる。そ
のときの電流の状態を図2に示す。図2における21は図
1における再生用の配線、22は図1において破線で示し
た記録用の配線である。図2に示すように、この電流I
1によって磁性薄膜メモリ素子1acにはバイアス磁界
H1が印加され、磁化の向きはバイアス磁界の向きに少
し傾く。このあとで、スイッチ4a,5aを閉じる。こ
のとき、磁性薄膜メモリ素子1acの直上の記録用の配
線22には、紙面上で右から左に電流I2が流れ、磁性薄
膜メモリ素子1acには紙面上で上から下向きに磁界H
2が印加される。磁性薄膜メモリ素子1acにもともと
「1」が記録されていたばあいは、この磁界H2によっ
て紙面下向きの磁化の方向に戻され、「1」の記録は保
持される。磁性薄膜メモリ素子1acにもともと「0」
が記録されていたばあいは、磁性薄膜メモリ素子1の磁
性層bにおける紙面で上向きの磁化の方向は、磁界H2
だけでは反転しないような保磁力Hcbを有しており、
バイアス磁界H1が印加されているばあいのみ紙面で下
向きに磁化が反転し、磁性薄膜メモリ素子1acのみを
「1」の状態に記録することができる。図中磁性薄膜メ
モリ素子1ac内の矢印は磁化の面内方向の向きを示し
ている。磁性薄膜メモリ素子1acに「0」の記録を行
うばあいは、スイッチ5aの代わりにスイッチ5bを接
続し、図2の右側のようにI2を流す以外は全く同じ方
法で行う。
は、スイッチ4a,4b,4c,4dおよびスイッチ5
a,5bはすべて開いており、破線で示した記録用の配
線には、電流は流れない。磁性薄膜メモリ素子1acに
「1」の記録を行うばあい、スイッチ2a,3c,6a
を閉じる。このとき、再生用の配線および磁性薄膜メモ
リ素子1acには、比較的大きな電流I1が流れる。そ
のときの電流の状態を図2に示す。図2における21は図
1における再生用の配線、22は図1において破線で示し
た記録用の配線である。図2に示すように、この電流I
1によって磁性薄膜メモリ素子1acにはバイアス磁界
H1が印加され、磁化の向きはバイアス磁界の向きに少
し傾く。このあとで、スイッチ4a,5aを閉じる。こ
のとき、磁性薄膜メモリ素子1acの直上の記録用の配
線22には、紙面上で右から左に電流I2が流れ、磁性薄
膜メモリ素子1acには紙面上で上から下向きに磁界H
2が印加される。磁性薄膜メモリ素子1acにもともと
「1」が記録されていたばあいは、この磁界H2によっ
て紙面下向きの磁化の方向に戻され、「1」の記録は保
持される。磁性薄膜メモリ素子1acにもともと「0」
が記録されていたばあいは、磁性薄膜メモリ素子1の磁
性層bにおける紙面で上向きの磁化の方向は、磁界H2
だけでは反転しないような保磁力Hcbを有しており、
バイアス磁界H1が印加されているばあいのみ紙面で下
向きに磁化が反転し、磁性薄膜メモリ素子1acのみを
「1」の状態に記録することができる。図中磁性薄膜メ
モリ素子1ac内の矢印は磁化の面内方向の向きを示し
ている。磁性薄膜メモリ素子1acに「0」の記録を行
うばあいは、スイッチ5aの代わりにスイッチ5bを接
続し、図2の右側のようにI2を流す以外は全く同じ方
法で行う。
【0018】図3には、以上のような「0」および
「1」の記録状態のときの磁性薄膜メモリ素子の断面図
を示している。磁性薄膜メモリ素子1acの磁性層aの
磁化の向きと磁性層bの磁化の向きは「0」では平行
(磁化の向きが同じ方向、以下同じ)、「1」では反平
行(磁化の向きが逆方向、以下同じ)となっている。
「1」の記録状態のときの磁性薄膜メモリ素子の断面図
を示している。磁性薄膜メモリ素子1acの磁性層aの
磁化の向きと磁性層bの磁化の向きは「0」では平行
(磁化の向きが同じ方向、以下同じ)、「1」では反平
行(磁化の向きが逆方向、以下同じ)となっている。
【0019】磁性薄膜メモリ素子1ac以外の他のメモ
リ素子への記録も同様に行うことができる。
リ素子への記録も同様に行うことができる。
【0020】以上の実施例は記録の際の磁性層aおよび
磁性層bの磁化方向が再生電流の方向と同じ方向のばあ
いを示したが、別の実施例として磁性層aおよび磁性層
bの磁化方向が再生電流の方向と垂直なばあいを図4を
用いて示す。
磁性層bの磁化方向が再生電流の方向と同じ方向のばあ
いを示したが、別の実施例として磁性層aおよび磁性層
bの磁化方向が再生電流の方向と垂直なばあいを図4を
用いて示す。
【0021】図4において41は磁性薄膜メモリ素子で、
アドレスを示すために41aa,41ab,・・・・41cc
のようにサフィックスを付してあるが、とくに区別の必
要のないばあいには単に41を用いる。他の符号について
も同様とする。42〜47はいずれもスイッチング用のトラ
ンジスタである。I1は電流源、V2は正の電圧源、V
αβは磁性薄膜メモリ素子41acの両端の電圧を示す。
図中、実線は再生用の配線、破線は記録用の配線を示
す。
アドレスを示すために41aa,41ab,・・・・41cc
のようにサフィックスを付してあるが、とくに区別の必
要のないばあいには単に41を用いる。他の符号について
も同様とする。42〜47はいずれもスイッチング用のトラ
ンジスタである。I1は電流源、V2は正の電圧源、V
αβは磁性薄膜メモリ素子41acの両端の電圧を示す。
図中、実線は再生用の配線、破線は記録用の配線を示
す。
【0022】磁性薄膜メモリ素子41には保磁力の大きな
磁性層aと保磁力の小さな磁性層bとを非磁性層cを介
してa/c/b/c/a/c/b/c・・・・というふ
うに積層してなる人工格子膜を用いた。磁性層aおよび
磁性層bの磁化方向は、たとえば、磁性薄膜メモリ素子
41の磁気シールドを行う前に、面内の方向で再生用の配
線に対して垂直方向のある方向に大きな磁界をメモリ素
子の全体に印加するなどして、一定方向、たとえば紙面
上で左向きに揃えておく。
磁性層aと保磁力の小さな磁性層bとを非磁性層cを介
してa/c/b/c/a/c/b/c・・・・というふ
うに積層してなる人工格子膜を用いた。磁性層aおよび
磁性層bの磁化方向は、たとえば、磁性薄膜メモリ素子
41の磁気シールドを行う前に、面内の方向で再生用の配
線に対して垂直方向のある方向に大きな磁界をメモリ素
子の全体に印加するなどして、一定方向、たとえば紙面
上で左向きに揃えておく。
【0023】記録は各磁性薄膜メモリ素子の磁化の向き
によって行われる。磁性薄膜メモリ素子の記録を携わる
磁性層bの磁化の向きは面内の方向に存在するので、紙
面上で右向きを「1」の状態、左向きを「0」の状態と
してそれぞれ2値的デジタル情報に対応させることとす
る。たとえば磁性薄膜メモリ素子41acに「1」の記録
を行うばあい、すなわち磁化の向きを紙面上で右向きに
書き込むばあいについて図4〜5を用いて説明する。
によって行われる。磁性薄膜メモリ素子の記録を携わる
磁性層bの磁化の向きは面内の方向に存在するので、紙
面上で右向きを「1」の状態、左向きを「0」の状態と
してそれぞれ2値的デジタル情報に対応させることとす
る。たとえば磁性薄膜メモリ素子41acに「1」の記録
を行うばあい、すなわち磁化の向きを紙面上で右向きに
書き込むばあいについて図4〜5を用いて説明する。
【0024】図4において、記録が行われないときに
は、スイッチ44a,44b,44c,44dおよびスイッチ45
a,45b,47a,47b,47c,47dはすべて開いてお
り、破線で示した記録用の配線には、電流は流れない。
磁性薄膜メモリ素子41acに「1」の記録を行うばあ
い、スイッチ44aを閉じる。このとき、磁性薄膜メモリ
素子41acには紙面右から左に比較的大きな電流I3が
流れる。そのときの電流の状態を図5に示す。図5にお
ける、52、53は図4において破線で示した記録用の配線
である。図5に示すように、この電流I3によって磁性
薄膜メモリ素子41acにはバイアス磁界H3が印加さ
れ、磁化の向きはバイアス磁界の向きに少し傾く。この
あとで、スイッチ45a,47cを閉じる。このとき、磁性
薄膜メモリ素子41acの直上の記録用の配線52には紙面
上で上から下に電流I2が流れ、磁性薄膜メモリ素子41
acには紙面上で左から右向きに磁界H2が印加され
る。磁性薄膜メモリ素子41acにもともと「1」が記録
されていたばあいは、この磁界H2によって紙面で右向
きの磁化の方向に戻され、「1」の記録は保持される。
磁性薄膜メモリ素子41acにもともと「0」が記録され
ていたばあいは、磁性薄膜メモリ素子41の磁性層bの紙
面で左向きの磁化の方向は、磁界H2だけでは反転しな
いような保磁力Hcbを有しており、バイアス磁界H3
が印加されているばあいのみ紙面で右向きに磁化が反転
し、磁性薄膜メモリ素子41acのみを「1」の状態に記
録することができる。図中磁性薄膜メモリ素子41ac内
の矢印は磁化の面内方向の向きを示している。磁性薄膜
メモリ素子41acに「0」の記録を行うばあいは、スイ
ッチ45aの代わりにスイッチ45bを接続し、図5の右側
のようにI2を流す以外は全く同じ方法で行う。
は、スイッチ44a,44b,44c,44dおよびスイッチ45
a,45b,47a,47b,47c,47dはすべて開いてお
り、破線で示した記録用の配線には、電流は流れない。
磁性薄膜メモリ素子41acに「1」の記録を行うばあ
い、スイッチ44aを閉じる。このとき、磁性薄膜メモリ
素子41acには紙面右から左に比較的大きな電流I3が
流れる。そのときの電流の状態を図5に示す。図5にお
ける、52、53は図4において破線で示した記録用の配線
である。図5に示すように、この電流I3によって磁性
薄膜メモリ素子41acにはバイアス磁界H3が印加さ
れ、磁化の向きはバイアス磁界の向きに少し傾く。この
あとで、スイッチ45a,47cを閉じる。このとき、磁性
薄膜メモリ素子41acの直上の記録用の配線52には紙面
上で上から下に電流I2が流れ、磁性薄膜メモリ素子41
acには紙面上で左から右向きに磁界H2が印加され
る。磁性薄膜メモリ素子41acにもともと「1」が記録
されていたばあいは、この磁界H2によって紙面で右向
きの磁化の方向に戻され、「1」の記録は保持される。
磁性薄膜メモリ素子41acにもともと「0」が記録され
ていたばあいは、磁性薄膜メモリ素子41の磁性層bの紙
面で左向きの磁化の方向は、磁界H2だけでは反転しな
いような保磁力Hcbを有しており、バイアス磁界H3
が印加されているばあいのみ紙面で右向きに磁化が反転
し、磁性薄膜メモリ素子41acのみを「1」の状態に記
録することができる。図中磁性薄膜メモリ素子41ac内
の矢印は磁化の面内方向の向きを示している。磁性薄膜
メモリ素子41acに「0」の記録を行うばあいは、スイ
ッチ45aの代わりにスイッチ45bを接続し、図5の右側
のようにI2を流す以外は全く同じ方法で行う。
【0025】図6には、以上のような「0」および
「1」の記録状態のときの磁性薄膜メモリ素子の断面図
を示している。磁性薄膜メモリ素子41acの磁性層aの
磁化の向きと磁性層bの磁化の向きは「0」では平行、
「1」では反平行となっている。
「1」の記録状態のときの磁性薄膜メモリ素子の断面図
を示している。磁性薄膜メモリ素子41acの磁性層aの
磁化の向きと磁性層bの磁化の向きは「0」では平行、
「1」では反平行となっている。
【0026】磁性薄膜メモリ素子41ac以外の他のメモ
リ素子への記録も同様に行うことができる。
リ素子への記録も同様に行うことができる。
【0027】以上のようにして記録できるので、記録用
の配線と磁性薄膜メモリ素子とのあいだを2000〜5000Å
程度にまで狭めることができ、また、記録用の配線を磁
性薄膜メモリ素子の直上もしくは直下に配置でき、垂直
方向の磁界で記録を行うようなメモリデバイスに必要と
なる記録用の配線のためのスペースをとくにとる必要が
なく、省スペース化が行え、高密度化が達成できる。
の配線と磁性薄膜メモリ素子とのあいだを2000〜5000Å
程度にまで狭めることができ、また、記録用の配線を磁
性薄膜メモリ素子の直上もしくは直下に配置でき、垂直
方向の磁界で記録を行うようなメモリデバイスに必要と
なる記録用の配線のためのスペースをとくにとる必要が
なく、省スペース化が行え、高密度化が達成できる。
【0028】再生方法の説明の前に、本発明における磁
性薄膜メモリ素子に用いた磁性薄膜について簡単に説明
する。磁性薄膜には保磁力の大きな磁性層aと保磁力の
小さな磁性層bとを非磁性層cを介してa/c/b/c
/a/c/b/c・・・・というふうに積層してなる人
工格子膜を用いた。
性薄膜メモリ素子に用いた磁性薄膜について簡単に説明
する。磁性薄膜には保磁力の大きな磁性層aと保磁力の
小さな磁性層bとを非磁性層cを介してa/c/b/c
/a/c/b/c・・・・というふうに積層してなる人
工格子膜を用いた。
【0029】図7には磁性層aおよび磁性層bの外部印
加磁界Hexに対する磁化Mの変化と前記人工格子膜の
外部印加磁界に対する抵抗MRの変化を対比させて示し
てある。図7においてポイントまで磁界を印加すると
磁性層aと磁性層bの磁化の向きは平行、たとえば図7
の下部に示すように左向きに揃う。この状態からポイン
トを経て0まで磁界を戻しても磁性層aと磁性層bの
磁化の向きは左向きに揃った状態を維持する。さらに磁
界を逆向きにポイントまで印加すると磁性層bのみ磁
化反転し、磁性層aと磁性層bの磁化の向きは反平行と
なり、同時に抵抗も増加する。この状態から磁界を0ま
で戻しても磁性層aと磁性層bの磁化の向きは反平行を
維持する。こののち、磁界をポイントまで印加すれ
ば、磁性層bの磁化は再度反転し、再び、磁性層aと磁
性層bの磁化の向きは平行状態となり、同時に抵抗も減
少し、元に戻る。
加磁界Hexに対する磁化Mの変化と前記人工格子膜の
外部印加磁界に対する抵抗MRの変化を対比させて示し
てある。図7においてポイントまで磁界を印加すると
磁性層aと磁性層bの磁化の向きは平行、たとえば図7
の下部に示すように左向きに揃う。この状態からポイン
トを経て0まで磁界を戻しても磁性層aと磁性層bの
磁化の向きは左向きに揃った状態を維持する。さらに磁
界を逆向きにポイントまで印加すると磁性層bのみ磁
化反転し、磁性層aと磁性層bの磁化の向きは反平行と
なり、同時に抵抗も増加する。この状態から磁界を0ま
で戻しても磁性層aと磁性層bの磁化の向きは反平行を
維持する。こののち、磁界をポイントまで印加すれ
ば、磁性層bの磁化は再度反転し、再び、磁性層aと磁
性層bの磁化の向きは平行状態となり、同時に抵抗も減
少し、元に戻る。
【0030】以上のようにポイントとポイントのあ
いだで磁界を変化させることで、磁界が0の状態で磁性
層aと磁性層bの磁化の向きを平行にしたり、反平行に
したりすることができる。磁性層aと磁性層bの磁化の
向きが平行のときを「0」、反平行のときを「1」とす
ることで2値的デジタル情報を記憶させることができ
る。さらに、磁性層aと磁性層bの磁化の向きが平行、
反平行によって抵抗が異なるので、これを電圧に変換す
れば、外部磁界が0の状態のままで「0」と「1」の判
別をすることができる。
いだで磁界を変化させることで、磁界が0の状態で磁性
層aと磁性層bの磁化の向きを平行にしたり、反平行に
したりすることができる。磁性層aと磁性層bの磁化の
向きが平行のときを「0」、反平行のときを「1」とす
ることで2値的デジタル情報を記憶させることができ
る。さらに、磁性層aと磁性層bの磁化の向きが平行、
反平行によって抵抗が異なるので、これを電圧に変換す
れば、外部磁界が0の状態のままで「0」と「1」の判
別をすることができる。
【0031】つぎに、この人工格子薄膜を用いた再生方
法について述べる。たとえば、図1における磁性薄膜メ
モリ素子1acの情報を読みたいとき、スイッチ2a、
3c、6a、6bを閉じる。これにより、磁性薄膜メモ
リ素子1acにのみ図1の上から下に電流が流れる。こ
の状態でαとβのあいだの電圧を測定することにより、
磁性薄膜メモリ素子1acの磁性層aと磁性層bの磁化
の向きが平行のばあいの電圧VAと反平行のばあいの電
圧VBとを再生出力として検出できる。電圧VAと電圧
VBは配線の抵抗を考慮してもなお、5%以上の差が生
じるので、適当な大きさの臨界電圧を定めておけば、再
生出力が臨界電圧より大きいか小さいかで磁化の向きが
平行(「0」)か反平行(「1」)かを判別できる。
法について述べる。たとえば、図1における磁性薄膜メ
モリ素子1acの情報を読みたいとき、スイッチ2a、
3c、6a、6bを閉じる。これにより、磁性薄膜メモ
リ素子1acにのみ図1の上から下に電流が流れる。こ
の状態でαとβのあいだの電圧を測定することにより、
磁性薄膜メモリ素子1acの磁性層aと磁性層bの磁化
の向きが平行のばあいの電圧VAと反平行のばあいの電
圧VBとを再生出力として検出できる。電圧VAと電圧
VBは配線の抵抗を考慮してもなお、5%以上の差が生
じるので、適当な大きさの臨界電圧を定めておけば、再
生出力が臨界電圧より大きいか小さいかで磁化の向きが
平行(「0」)か反平行(「1」)かを判別できる。
【0032】図4における磁性薄膜メモリ素子41acの
情報を読みたいときも同様で、スイッチ42a、43c、46
a、46bを閉じる。これにより、磁性薄膜メモリ素子41
acにのみ図4の上から下に電流が流れる。この状態で
αとβのあいだの電圧を測定することにより、磁性薄膜
メモリ素子41acの磁性層aと磁性層bの磁化の向きが
平行のばあいの電圧VAと反平行のばあいの電圧VBと
を再生出力として検出できる。電圧VAと電圧VBは配
線の抵抗を考慮してもなお、5%以上の差が生じるので
適当な大きさの臨界電圧を定めておけば、再生出力が臨
界電圧より大きいか小さいかで磁化の向きが平行
(「0」)か反平行(「1」)かを判別できる。
情報を読みたいときも同様で、スイッチ42a、43c、46
a、46bを閉じる。これにより、磁性薄膜メモリ素子41
acにのみ図4の上から下に電流が流れる。この状態で
αとβのあいだの電圧を測定することにより、磁性薄膜
メモリ素子41acの磁性層aと磁性層bの磁化の向きが
平行のばあいの電圧VAと反平行のばあいの電圧VBと
を再生出力として検出できる。電圧VAと電圧VBは配
線の抵抗を考慮してもなお、5%以上の差が生じるので
適当な大きさの臨界電圧を定めておけば、再生出力が臨
界電圧より大きいか小さいかで磁化の向きが平行
(「0」)か反平行(「1」)かを判別できる。
【0033】また、別の再生方法として、再生時に磁化
の変化を利用して読む方法もある。図8は図1における
磁性薄膜メモリ素子1acの記録状態を読むときのスイ
ッチの開閉動作のタイムチャートである。チャートに示
していないスイッチはすべて開いた状態にある。まず、
t0〜t3においてはスイッチ2a,3c,6aは閉
じ、磁性薄膜メモリ素子1acは再生状態にあり、ま
た、紙面左右方向にバイアス磁界が印加される。t1〜
t2においては、スイッチ4a,5a,6bはいずれも
閉じており、これにより、磁性薄膜メモリ素子1acに
は面内方向で紙面下向きに磁界が印加される。
の変化を利用して読む方法もある。図8は図1における
磁性薄膜メモリ素子1acの記録状態を読むときのスイ
ッチの開閉動作のタイムチャートである。チャートに示
していないスイッチはすべて開いた状態にある。まず、
t0〜t3においてはスイッチ2a,3c,6aは閉
じ、磁性薄膜メモリ素子1acは再生状態にあり、ま
た、紙面左右方向にバイアス磁界が印加される。t1〜
t2においては、スイッチ4a,5a,6bはいずれも
閉じており、これにより、磁性薄膜メモリ素子1acに
は面内方向で紙面下向きに磁界が印加される。
【0034】もし、素子の磁化の方向の初期状態が紙面
で下向きであれば、磁界により磁化方向は変化せず、し
たがって「1」が再生される。他方、初期状態が紙面で
上向きのときは、保磁力Hcb以上の磁界が印加される
t1〜t2において磁化は紙面下向きに反転する。この
反転は、再生信号として検出され、「0」が再生された
ことになる。しかし、「0」が再生されたときは、再生
以前の紙面上向きの磁化方向が失われているため、もう
一度再生以前の磁化状態に戻す必要がある。t1〜t3
において再生信号の変化が観測されたときには、t4〜
t5においてスイッチ4a、5bを閉じるのは以上に述
べた理由による。図4においても同様の再生方法をとる
ことができる。
で下向きであれば、磁界により磁化方向は変化せず、し
たがって「1」が再生される。他方、初期状態が紙面で
上向きのときは、保磁力Hcb以上の磁界が印加される
t1〜t2において磁化は紙面下向きに反転する。この
反転は、再生信号として検出され、「0」が再生された
ことになる。しかし、「0」が再生されたときは、再生
以前の紙面上向きの磁化方向が失われているため、もう
一度再生以前の磁化状態に戻す必要がある。t1〜t3
において再生信号の変化が観測されたときには、t4〜
t5においてスイッチ4a、5bを閉じるのは以上に述
べた理由による。図4においても同様の再生方法をとる
ことができる。
【0035】[実施例1]このような磁性薄膜の具体的
な例を作成方法と共にのべる。
な例を作成方法と共にのべる。
【0036】磁性薄膜メモリ素子となる磁性薄膜には保
磁力の大きな磁性層aと保磁力の小さな磁性層bとを非
磁性層cを介してa/c/b/c/a/c/b/c・・
・・というふうに積層してなる人工格子膜を作製した。
たとえば磁性層aにはNiCoPt合金(以下、NiC
oPtという)を用い、磁性層bにはNiFe合金(以
下、NiFeという)を用いた。また、非磁性層cには
Cuを用いた。成膜方法としては、DCマグネトロンス
パッタ法を用いた。スパッタ装置にはNiFe、NiC
oPt、Cuの3つのターゲットを1つのチャンバー内
に配置した。基板には表面をSiO2の絶縁膜で覆われ
たSi基板を用いた。スパッタ時の圧力は1〜8mTo
rrで成膜速度は毎分約30Åで行った。(NiCoPt
/Cu/NiFe/Cu)を15周期繰り返し、トータル
膜厚約3000Åの人工格子膜を作製した。
磁力の大きな磁性層aと保磁力の小さな磁性層bとを非
磁性層cを介してa/c/b/c/a/c/b/c・・
・・というふうに積層してなる人工格子膜を作製した。
たとえば磁性層aにはNiCoPt合金(以下、NiC
oPtという)を用い、磁性層bにはNiFe合金(以
下、NiFeという)を用いた。また、非磁性層cには
Cuを用いた。成膜方法としては、DCマグネトロンス
パッタ法を用いた。スパッタ装置にはNiFe、NiC
oPt、Cuの3つのターゲットを1つのチャンバー内
に配置した。基板には表面をSiO2の絶縁膜で覆われ
たSi基板を用いた。スパッタ時の圧力は1〜8mTo
rrで成膜速度は毎分約30Åで行った。(NiCoPt
/Cu/NiFe/Cu)を15周期繰り返し、トータル
膜厚約3000Åの人工格子膜を作製した。
【0037】以上のようにして作製された磁性薄膜の典
型的な磁化曲線とMR曲線を図9〜10に示す。図9は面
内の方向で外部より磁界を印加したときの磁化曲線で、
横軸に印加磁界Hexの強さ(Oe)、縦軸に磁化Mの
変化を表わしている。図10は面内の方向で外部より磁界
Hexを印加したときの磁気抵抗MRの変化を示す曲
線、および印加磁界による各層の磁化の向きの変化を示
している。磁化曲線は2段階の変化を示し、1段目の6
(Oe)付近での変化が磁性層bの磁化反転、2段目の
850(Oe)付近の変化が磁性層aの磁化反転を示して
いる。1段目の変化は10(Oe)で飽和している。MR
曲線より抵抗も6(Oe)付近から大きくなり始め、10
(Oe)付近で飽和している。このことは磁性層bの磁
化反転とよい一致を示している。また、10(Oe)付近
で大きくなった抵抗は、さらに磁界を印加してもしばら
く維持され、また、磁界をゼロに戻しても維持されてお
り、磁界印加前との変化率は12%を示した。これにより
(NiCoPt/Cu/NiFe/Cu)×15の人工格
子膜を用いたばあい、10(Oe)以上の印加磁界で記録
が可能であることがわかる。図11および図12にはNiF
e層とNiCoPt層の磁化曲線の変化を独立に調べる
ためにNiFe/CuおよびNiCoPt/Cuの人工
格子膜を作製して、横軸に外部磁界Hex、縦軸に磁化
Mをとり磁化曲線を描いた。磁性層間の磁気的な相互作
用を小さくするために、Cu層厚は約300Åと充分厚く
した。磁化曲線の立ち上がりの磁界(磁化が反転しはじ
める磁界)、保磁力、飽和磁界をそれぞれHn、Hc、
Hsとして図13に示すように定義した。図11および図12
より求めたHn、Hc、Hsを表1にまとめた。
型的な磁化曲線とMR曲線を図9〜10に示す。図9は面
内の方向で外部より磁界を印加したときの磁化曲線で、
横軸に印加磁界Hexの強さ(Oe)、縦軸に磁化Mの
変化を表わしている。図10は面内の方向で外部より磁界
Hexを印加したときの磁気抵抗MRの変化を示す曲
線、および印加磁界による各層の磁化の向きの変化を示
している。磁化曲線は2段階の変化を示し、1段目の6
(Oe)付近での変化が磁性層bの磁化反転、2段目の
850(Oe)付近の変化が磁性層aの磁化反転を示して
いる。1段目の変化は10(Oe)で飽和している。MR
曲線より抵抗も6(Oe)付近から大きくなり始め、10
(Oe)付近で飽和している。このことは磁性層bの磁
化反転とよい一致を示している。また、10(Oe)付近
で大きくなった抵抗は、さらに磁界を印加してもしばら
く維持され、また、磁界をゼロに戻しても維持されてお
り、磁界印加前との変化率は12%を示した。これにより
(NiCoPt/Cu/NiFe/Cu)×15の人工格
子膜を用いたばあい、10(Oe)以上の印加磁界で記録
が可能であることがわかる。図11および図12にはNiF
e層とNiCoPt層の磁化曲線の変化を独立に調べる
ためにNiFe/CuおよびNiCoPt/Cuの人工
格子膜を作製して、横軸に外部磁界Hex、縦軸に磁化
Mをとり磁化曲線を描いた。磁性層間の磁気的な相互作
用を小さくするために、Cu層厚は約300Åと充分厚く
した。磁化曲線の立ち上がりの磁界(磁化が反転しはじ
める磁界)、保磁力、飽和磁界をそれぞれHn、Hc、
Hsとして図13に示すように定義した。図11および図12
より求めたHn、Hc、Hsを表1にまとめた。
【0038】
【表1】 表1よりわかるようにNiCoPt層のHnはNiFe
層のHsより充分に大きく、その差は700(Oe)以上
ある。このように、NiFe層が磁化反転する磁界領域
ではNiCoPt層の磁化の方向がほとんど動いていな
いためにMR曲線の変化が急峻なものになっている。
層のHsより充分に大きく、その差は700(Oe)以上
ある。このように、NiFe層が磁化反転する磁界領域
ではNiCoPt層の磁化の方向がほとんど動いていな
いためにMR曲線の変化が急峻なものになっている。
【0039】図14はこの人工格子膜±20(Oe)の外部
磁界Hexを印加したときの磁化Mの変化を示す磁化曲
線で、図15はそののち、最初に印加した磁界の方向に対
して垂直方向に6(Oe)の一定磁界を印加したまま図
14と同じ方向に±20(Oe)の外部磁界Hexを印加し
たときの磁化Mの変化の磁化曲線を示す。図14では磁化
反転に10(Oe)の外部磁界を必要としたが、図15では
5(Oe)の磁界で磁化が反転している。このことは、
図1における再生用の配線により発生される磁界を6
(Oe)に制御しておけば、記録用の配線により発生さ
れる磁界を5〜6(Oe)に制御することで、たとえば
磁性薄膜メモリ素子1acのみに記録することができ
る。再生は前述の再生方法の通り行うことによりでき
る。以上のように、この(NiCoPt/Cu/NiF
e/Cu)×15の人工格子膜を用いることにより図1に
示すようなメモリデバイスを作製できた。
磁界Hexを印加したときの磁化Mの変化を示す磁化曲
線で、図15はそののち、最初に印加した磁界の方向に対
して垂直方向に6(Oe)の一定磁界を印加したまま図
14と同じ方向に±20(Oe)の外部磁界Hexを印加し
たときの磁化Mの変化の磁化曲線を示す。図14では磁化
反転に10(Oe)の外部磁界を必要としたが、図15では
5(Oe)の磁界で磁化が反転している。このことは、
図1における再生用の配線により発生される磁界を6
(Oe)に制御しておけば、記録用の配線により発生さ
れる磁界を5〜6(Oe)に制御することで、たとえば
磁性薄膜メモリ素子1acのみに記録することができ
る。再生は前述の再生方法の通り行うことによりでき
る。以上のように、この(NiCoPt/Cu/NiF
e/Cu)×15の人工格子膜を用いることにより図1に
示すようなメモリデバイスを作製できた。
【0040】[比較例1]このような磁性薄膜の別の例
をのべる。
をのべる。
【0041】磁性薄膜メモリ素子となる磁性薄膜に、保
磁力の大きな磁性層aと保磁力の小さな磁性層bとを非
磁性層cを介してa/c/b/c/a/c/b/c・・
・・というふうに積層してなる人工格子膜を用いる。た
とえば実施例1では、磁性層aにはNiCoPtを用
い、磁性層bにはNiFeを用い、非磁性層cにはCu
を用いていた。この磁性層aのNiCoPtの代わりに
Coを用いたばあいの磁化曲線とMR曲線を図16〜17に
示す。図16は図9と同様に面内の方向で外部より磁界H
exを印加したときの磁化Mの変化の曲線で、図17は図
10と同様に面内の方向で外部より磁界Hexを印加した
ときの磁気抵抗MRの変化のMR曲線、および印加磁界
による各層の磁化の向きの変化を示している。成膜方法
は実施例1と同様に行った。磁化曲線は2段階の変化を
示し、最初の5(Oe)付近での変化が磁性層bの磁化
反転、2段目の300(Oe)付近の変化が磁性層aの磁
化反転を示している。どちらの変化もなだらかで1段目
が終了する磁界は10(Oe)に達し、2段目が飽和する
磁界は500(Oe)に達する。図17のMR曲線より抵抗
は10(Oe)付近で大きくなるが、すぐ減少をはじめ50
0(Oe)付近で飽和する。このことは磁性層aおよび
bの磁化反転とよい一致を示している。また、10(O
e)付近で大きくなった抵抗は、磁界をゼロに戻しても
維持されず少し減少するが、磁界印加前との変化率は4
%にとどまる。これにより(Co/Cu/NiFe/C
u)×15の人工格子膜を用いたばあい、記録を行うのに
10(Oe)の印加磁界が必要であることがわかる。Ni
Fe層とCo層の磁化曲線の変化を独立して調べるた
め、NiFe/CuおよびCo/Cu人工格子膜を作製
し、外部磁界Hexに対する磁化Mの変化の磁化曲線を
図18および図19にそれぞれ示した。磁性層間の磁気的な
相互作用を小さくするために、Cu層の厚さは約300Å
と充分厚くした。図13に示すように、磁化曲線の立ち上
がりの磁界、保磁力、飽和磁界をそれぞれHn、Hc、
Hsとして、図18および図19より求めたHn、Hc、H
sを表2にまとめた。
磁力の大きな磁性層aと保磁力の小さな磁性層bとを非
磁性層cを介してa/c/b/c/a/c/b/c・・
・・というふうに積層してなる人工格子膜を用いる。た
とえば実施例1では、磁性層aにはNiCoPtを用
い、磁性層bにはNiFeを用い、非磁性層cにはCu
を用いていた。この磁性層aのNiCoPtの代わりに
Coを用いたばあいの磁化曲線とMR曲線を図16〜17に
示す。図16は図9と同様に面内の方向で外部より磁界H
exを印加したときの磁化Mの変化の曲線で、図17は図
10と同様に面内の方向で外部より磁界Hexを印加した
ときの磁気抵抗MRの変化のMR曲線、および印加磁界
による各層の磁化の向きの変化を示している。成膜方法
は実施例1と同様に行った。磁化曲線は2段階の変化を
示し、最初の5(Oe)付近での変化が磁性層bの磁化
反転、2段目の300(Oe)付近の変化が磁性層aの磁
化反転を示している。どちらの変化もなだらかで1段目
が終了する磁界は10(Oe)に達し、2段目が飽和する
磁界は500(Oe)に達する。図17のMR曲線より抵抗
は10(Oe)付近で大きくなるが、すぐ減少をはじめ50
0(Oe)付近で飽和する。このことは磁性層aおよび
bの磁化反転とよい一致を示している。また、10(O
e)付近で大きくなった抵抗は、磁界をゼロに戻しても
維持されず少し減少するが、磁界印加前との変化率は4
%にとどまる。これにより(Co/Cu/NiFe/C
u)×15の人工格子膜を用いたばあい、記録を行うのに
10(Oe)の印加磁界が必要であることがわかる。Ni
Fe層とCo層の磁化曲線の変化を独立して調べるた
め、NiFe/CuおよびCo/Cu人工格子膜を作製
し、外部磁界Hexに対する磁化Mの変化の磁化曲線を
図18および図19にそれぞれ示した。磁性層間の磁気的な
相互作用を小さくするために、Cu層の厚さは約300Å
と充分厚くした。図13に示すように、磁化曲線の立ち上
がりの磁界、保磁力、飽和磁界をそれぞれHn、Hc、
Hsとして、図18および図19より求めたHn、Hc、H
sを表2にまとめた。
【0042】
【表2】 表2よりわかるように、Co層のHnはNiFe層のH
sより40(Oe)しか大きくない。また、図19からわか
るように、Co層の磁化はHnより小さな磁界からすで
に反転し始めており、NiFe層が磁化反転する磁界で
Co層の磁化が徐々に動いているためにMR曲線の変化
が鈍くなっている。このように保磁力の大きい方の層の
Hnが、保磁力の小さい方の層のHsより小さくないば
あいでも保磁力の小さい方の層が磁化反転する磁界で保
磁力の大きい層の磁化の反転が始まっていればMR曲線
の変化は鈍くなるので好ましくない。
sより40(Oe)しか大きくない。また、図19からわか
るように、Co層の磁化はHnより小さな磁界からすで
に反転し始めており、NiFe層が磁化反転する磁界で
Co層の磁化が徐々に動いているためにMR曲線の変化
が鈍くなっている。このように保磁力の大きい方の層の
Hnが、保磁力の小さい方の層のHsより小さくないば
あいでも保磁力の小さい方の層が磁化反転する磁界で保
磁力の大きい層の磁化の反転が始まっていればMR曲線
の変化は鈍くなるので好ましくない。
【0043】図20は図17における外部磁界±20(Oe)
付近の拡大図を示す。図20でMRの変化がなだらかでし
かもゼロ磁界より以前に変化が始まっている。図21はこ
の人工格子膜に±20(Oe)の外部磁界Hexを印加し
たときの磁化Mの曲線で、図22はそののち、最初に印加
した磁界の方向に対して垂直方向に6(Oe)の一定磁
界を印加したまま図21と同じ方向に±20(Oe)の外部
磁界Hexを印加したときの磁化Mの曲線を示してい
る。図21は図20とよい対応を示しており、図22でも磁化
反転はなだらかであり、特定の磁界を選んで、実施例1
のように図1におけるたとえば磁性薄膜メモリ素子1a
cのみを記録するようなことは不可能となる。
付近の拡大図を示す。図20でMRの変化がなだらかでし
かもゼロ磁界より以前に変化が始まっている。図21はこ
の人工格子膜に±20(Oe)の外部磁界Hexを印加し
たときの磁化Mの曲線で、図22はそののち、最初に印加
した磁界の方向に対して垂直方向に6(Oe)の一定磁
界を印加したまま図21と同じ方向に±20(Oe)の外部
磁界Hexを印加したときの磁化Mの曲線を示してい
る。図21は図20とよい対応を示しており、図22でも磁化
反転はなだらかであり、特定の磁界を選んで、実施例1
のように図1におけるたとえば磁性薄膜メモリ素子1a
cのみを記録するようなことは不可能となる。
【0044】以上のように、この(Co/Cu/NiF
e/Cu)×15の人工格子膜を用いても、図1に示すよ
うなメモリデバイスを作製することは不可能であった。
e/Cu)×15の人工格子膜を用いても、図1に示すよ
うなメモリデバイスを作製することは不可能であった。
【0045】[実施例2]このような磁性薄膜の別の実
施例について説明する。
施例について説明する。
【0046】磁性薄膜メモリ素子とする磁性薄膜には、
保磁力の大きな磁性層aと保磁力の小さな磁性層bとを
非磁性層cを介してa/c/b/c/a/c/b/c・
・・・というふうに積層してなる人工格子膜を用いる。
たとえば実施例1では、磁性層aにはNiCoPtを用
い、磁性層bにはNiFeを用い、非磁性層cにはCu
を用いていた。この人工格子膜を作成する前に、下地層
として基板上にCrを500Åを形成したばあいの人工格
子膜の磁化曲線とMR曲線を図9〜10と同様に、図23〜
24に示す。図23は面内の方向で外部より磁界を印加した
ときの磁化曲線で、図24は面内の方向で外部より磁界を
印加したときのMR曲線、および印加磁界による各層の
磁化の向きの変化を示す。成膜方法はCrの膜をまずス
パッタ法により形成し、そののちの各磁性層などは実施
例1と同様に行った。
保磁力の大きな磁性層aと保磁力の小さな磁性層bとを
非磁性層cを介してa/c/b/c/a/c/b/c・
・・・というふうに積層してなる人工格子膜を用いる。
たとえば実施例1では、磁性層aにはNiCoPtを用
い、磁性層bにはNiFeを用い、非磁性層cにはCu
を用いていた。この人工格子膜を作成する前に、下地層
として基板上にCrを500Åを形成したばあいの人工格
子膜の磁化曲線とMR曲線を図9〜10と同様に、図23〜
24に示す。図23は面内の方向で外部より磁界を印加した
ときの磁化曲線で、図24は面内の方向で外部より磁界を
印加したときのMR曲線、および印加磁界による各層の
磁化の向きの変化を示す。成膜方法はCrの膜をまずス
パッタ法により形成し、そののちの各磁性層などは実施
例1と同様に行った。
【0047】磁化曲線は2段階の変化を示し、1段目の
5(Oe)付近での変化が磁性層bの磁化反転、2段目
の1200(Oe)付近の変化が磁性層aの磁化反転を示し
ている。これは、下地層としてCrを敷くことによりN
iCoPt層のC軸がより面内方向に向き易くなったた
め、実施例1に比べて保磁力が大きくなっている。1段
目の変化は7(Oe)で飽和している。MR曲線より抵
抗も5(Oe)付近から大きくなり始め、7(Oe)付
近で飽和している。このことは磁性層bの磁化反転とよ
い一致を示している。また、7(Oe)付近で大きくな
った抵抗は、さらに磁界を印加してもしばらく維持され
る。また、磁界をゼロに戻しても維持されており、磁界
印加前との変化率は18%を示した。さらに逆向きに磁界
を印加したところ、抵抗は−3(Oe)付近から減少し
はじめ、−5(Oe)付近で元にもどる。これによりC
r/(NiCoPt/Cu/NiFe/Cu)×15の人
工格子膜を用いたばあい、7(Oe)以上の印加磁界で
記録が可能であることがわかる。図25はこの人工格子膜
に±20(Oe)の外部磁界Hexを印加したときの磁化
Mの曲線で、図26はそののち、最初に印加した磁界の方
向に対して垂直方向に4(Oe)の一定磁界を印加した
まま図25と同じ方向に±20(Oe)の外部磁界Hexを
印加したときの磁化Mの曲線を示している。図25では磁
化反転に+7(Oe)、−5(Oe)の外部磁界を必要
としたが、図26では+4(Oe)、−2(Oe)の磁界
で磁化が反転している。このことは、図1における再生
用の配線により発生される磁界を4(Oe)に制御して
おけば、+V2を印加したときに記録用の配線により発
生される磁界を4〜5(Oe)に、−V2を印加したと
きに記録用の配線により発生される磁界を−2〜3(O
e)に制御することで、たとえば磁性薄膜メモリ素子1
acのみに記録することができる。再生は前述の再生方
法の通り行えば再生することができる。
5(Oe)付近での変化が磁性層bの磁化反転、2段目
の1200(Oe)付近の変化が磁性層aの磁化反転を示し
ている。これは、下地層としてCrを敷くことによりN
iCoPt層のC軸がより面内方向に向き易くなったた
め、実施例1に比べて保磁力が大きくなっている。1段
目の変化は7(Oe)で飽和している。MR曲線より抵
抗も5(Oe)付近から大きくなり始め、7(Oe)付
近で飽和している。このことは磁性層bの磁化反転とよ
い一致を示している。また、7(Oe)付近で大きくな
った抵抗は、さらに磁界を印加してもしばらく維持され
る。また、磁界をゼロに戻しても維持されており、磁界
印加前との変化率は18%を示した。さらに逆向きに磁界
を印加したところ、抵抗は−3(Oe)付近から減少し
はじめ、−5(Oe)付近で元にもどる。これによりC
r/(NiCoPt/Cu/NiFe/Cu)×15の人
工格子膜を用いたばあい、7(Oe)以上の印加磁界で
記録が可能であることがわかる。図25はこの人工格子膜
に±20(Oe)の外部磁界Hexを印加したときの磁化
Mの曲線で、図26はそののち、最初に印加した磁界の方
向に対して垂直方向に4(Oe)の一定磁界を印加した
まま図25と同じ方向に±20(Oe)の外部磁界Hexを
印加したときの磁化Mの曲線を示している。図25では磁
化反転に+7(Oe)、−5(Oe)の外部磁界を必要
としたが、図26では+4(Oe)、−2(Oe)の磁界
で磁化が反転している。このことは、図1における再生
用の配線により発生される磁界を4(Oe)に制御して
おけば、+V2を印加したときに記録用の配線により発
生される磁界を4〜5(Oe)に、−V2を印加したと
きに記録用の配線により発生される磁界を−2〜3(O
e)に制御することで、たとえば磁性薄膜メモリ素子1
acのみに記録することができる。再生は前述の再生方
法の通り行えば再生することができる。
【0048】以上のように、このCr/(NiCoPt
/Cu/NiFe/Cu)×15の人工格子膜を用いて図
1に示すような磁性薄膜メモリを作製すると、記録電圧
を小さくすることができる。
/Cu/NiFe/Cu)×15の人工格子膜を用いて図
1に示すような磁性薄膜メモリを作製すると、記録電圧
を小さくすることができる。
【0049】[実施例3]このような磁性薄膜のさらに
別の実施例について説明する。
別の実施例について説明する。
【0050】磁性薄膜メモリ素子とする磁性薄膜には、
保磁力の大きな磁性層aと保磁力の小さな磁性層bとを
非磁性層cを介してa/c/b/c/a/c/b/c・
・・・というふうに積層してなる人工格子膜を用いる。
たとえば実施例2では、下地層としてCrを用い、磁性
層aにはNiCoPtを用い、磁性層bにはNiFeを
用い、非磁性層cにはCuを用いていたが、磁性層aの
NiCoPtの代わりにNiCoTa合金(以下、Ni
CoTaという)、NiCoCr合金(以下、NiCo
Crという)、NiCoZr合金(以下、NiCoZr
という)、NiCo合金(以下、NiCoという)を用
いた。成膜方法は、実施例1と同様に行った。
保磁力の大きな磁性層aと保磁力の小さな磁性層bとを
非磁性層cを介してa/c/b/c/a/c/b/c・
・・・というふうに積層してなる人工格子膜を用いる。
たとえば実施例2では、下地層としてCrを用い、磁性
層aにはNiCoPtを用い、磁性層bにはNiFeを
用い、非磁性層cにはCuを用いていたが、磁性層aの
NiCoPtの代わりにNiCoTa合金(以下、Ni
CoTaという)、NiCoCr合金(以下、NiCo
Crという)、NiCoZr合金(以下、NiCoZr
という)、NiCo合金(以下、NiCoという)を用
いた。成膜方法は、実施例1と同様に行った。
【0051】磁化曲線は実施例2と同じく、2段階の変
化を示した。磁性層bの磁化反転を示す1段目の変化は
磁性層aがNiCoTa、NiCoCr、NiCoZ
r、NiCoともほぼ同じく5(Oe)付近での変化が
おこっており、磁性層aの磁化反転を示す2段目の変化
はNiCoTaのばあい900(Oe)、NiCoCrの
ばあい600(Oe)、NiCoZrのばあい800(O
e)、NiCoのばあい350(Oe)付近の変化が磁性
層aの磁化反転を示した。1段目の変化は何れのばあい
も7(Oe)で飽和した。MR曲線より抵抗も5(O
e)付近から大きくなり始め、7(Oe)付近で飽和し
た。このことは磁性層bの磁化反転とよい一致を示して
いる。また、7(Oe)付近で大きくなった抵抗は、さ
らに磁界を印加してもしばらく維持され、また、磁界を
ゼロに戻しても維持されており、磁界印加前との変化率
はNiCoTaのばあい16%、NiCoCrのばあい15
%、NiCoZrのばあい12%、NiCoのばあい14%
を示した。これによりCr/(NiCoTa/Cu/N
iFe/Cu)×15、Cr/(NiCoCr/Cu/N
iFe/Cu)×15、Cr/(NiCoZr/Cu/N
iFe/Cu)×15、Cr/(NiCo/Cu/NiF
e/Cu)×15の人工格子膜を用いたばあい、7(O
e)以上の印加磁界で記録が可能であることがわかっ
た。
化を示した。磁性層bの磁化反転を示す1段目の変化は
磁性層aがNiCoTa、NiCoCr、NiCoZ
r、NiCoともほぼ同じく5(Oe)付近での変化が
おこっており、磁性層aの磁化反転を示す2段目の変化
はNiCoTaのばあい900(Oe)、NiCoCrの
ばあい600(Oe)、NiCoZrのばあい800(O
e)、NiCoのばあい350(Oe)付近の変化が磁性
層aの磁化反転を示した。1段目の変化は何れのばあい
も7(Oe)で飽和した。MR曲線より抵抗も5(O
e)付近から大きくなり始め、7(Oe)付近で飽和し
た。このことは磁性層bの磁化反転とよい一致を示して
いる。また、7(Oe)付近で大きくなった抵抗は、さ
らに磁界を印加してもしばらく維持され、また、磁界を
ゼロに戻しても維持されており、磁界印加前との変化率
はNiCoTaのばあい16%、NiCoCrのばあい15
%、NiCoZrのばあい12%、NiCoのばあい14%
を示した。これによりCr/(NiCoTa/Cu/N
iFe/Cu)×15、Cr/(NiCoCr/Cu/N
iFe/Cu)×15、Cr/(NiCoZr/Cu/N
iFe/Cu)×15、Cr/(NiCo/Cu/NiF
e/Cu)×15の人工格子膜を用いたばあい、7(O
e)以上の印加磁界で記録が可能であることがわかっ
た。
【0052】この人工格子膜に±20(Oe)の外部磁界
を印加したときの磁化曲線は実施例1と同様で、単に±
20(Oe)の外部磁界を印加したときには7(Oe)の
外部磁界を必要としたが、最初に印加した磁界の方向に
対して垂直方向に4(Oe)の一定磁界を印加したまま
±20(Oe)の外部磁界を印加したときには4(Oe)
の磁界で磁化が反転した。このことは、図1における再
生用の配線により発生される磁界を4(Oe)に制御し
ておけば、記録用の配線により発生される磁界を4〜5
(Oe)に制御することで、たとえば磁性薄膜メモリ素
子1acのみを記録することができる。再生は前述の再
生方法の通り行えば再生することができる。
を印加したときの磁化曲線は実施例1と同様で、単に±
20(Oe)の外部磁界を印加したときには7(Oe)の
外部磁界を必要としたが、最初に印加した磁界の方向に
対して垂直方向に4(Oe)の一定磁界を印加したまま
±20(Oe)の外部磁界を印加したときには4(Oe)
の磁界で磁化が反転した。このことは、図1における再
生用の配線により発生される磁界を4(Oe)に制御し
ておけば、記録用の配線により発生される磁界を4〜5
(Oe)に制御することで、たとえば磁性薄膜メモリ素
子1acのみを記録することができる。再生は前述の再
生方法の通り行えば再生することができる。
【0053】以上のようにこのCr/(NiCoTa/
Cu/NiFe/Cu)×15、Cr/(NiCoCr/
Cu/NiFe/Cu)×15、Cr/(NiCoZr/
Cu/NiFe/Cu)×15、Cr/(NiCo/Cu
/NiFe/Cu)×15の人工格子膜を用いて、図1に
示すようなメモリデバイスを作製しても、低い電圧で記
録することができる。
Cu/NiFe/Cu)×15、Cr/(NiCoCr/
Cu/NiFe/Cu)×15、Cr/(NiCoZr/
Cu/NiFe/Cu)×15、Cr/(NiCo/Cu
/NiFe/Cu)×15の人工格子膜を用いて、図1に
示すようなメモリデバイスを作製しても、低い電圧で記
録することができる。
【0054】以上のような材料についてもCr/NiC
oTa、Cr/NiCoCr、Cr/NiCoZr、C
r/NiCoZr、Cr/NiCoの人工格子膜を作製
した。下地となるCr層は500Åとし、その他のCr層
は、磁性層間の磁気的な相互作用を小さくするために30
0Åと充分厚くした。それぞれの立ち上がりの磁界H
n、保磁力Hc、飽和磁界Hsを表3にまとめた。
oTa、Cr/NiCoCr、Cr/NiCoZr、C
r/NiCoZr、Cr/NiCoの人工格子膜を作製
した。下地となるCr層は500Åとし、その他のCr層
は、磁性層間の磁気的な相互作用を小さくするために30
0Åと充分厚くした。それぞれの立ち上がりの磁界H
n、保磁力Hc、飽和磁界Hsを表3にまとめた。
【0055】
【表3】 表3に示すように、保磁力の大きい層のHnと保磁力の
小さい層のHsの差が200(Oe)あれば、図1に示す
ようなメモリデバイスを作製することができる。
小さい層のHsの差が200(Oe)あれば、図1に示す
ようなメモリデバイスを作製することができる。
【0056】[実施例4]このような磁性薄膜のさらに
別の実施例について説明する。
別の実施例について説明する。
【0057】磁性薄膜メモリ素子とする磁性薄膜に、保
磁力の大きな磁性層aと保磁力の小さな磁性層bとを非
磁性層cを介してa/c/b/c/a/c/b/c・・
・・というふうに積層してなる人工格子膜を用いる。た
とえば実施例1では、磁性層aにはNiCoPtを用
い、磁性層bにはNiFeを用い、非磁性層cにはCu
を用いていたが、磁性層bのNiFeの代わりにNiF
eCo合金(以下、NiFeCoという)を用いた。成
膜方法は、実施例1と同様に行った。
磁力の大きな磁性層aと保磁力の小さな磁性層bとを非
磁性層cを介してa/c/b/c/a/c/b/c・・
・・というふうに積層してなる人工格子膜を用いる。た
とえば実施例1では、磁性層aにはNiCoPtを用
い、磁性層bにはNiFeを用い、非磁性層cにはCu
を用いていたが、磁性層bのNiFeの代わりにNiF
eCo合金(以下、NiFeCoという)を用いた。成
膜方法は、実施例1と同様に行った。
【0058】磁化曲線は実施例1と同じく、2段階の変
化を示した。磁性層bの磁化反転を示す1段目の変化
は、5(Oe)付近での変化がおこっており、磁性層a
のNiCoPtの磁化反転を示す2段目の変化は850
(Oe)付近で起こった。1段目の変化は、7(Oe)
で飽和した。MR曲線から抵抗も5(Oe)付近から大
きくなり始め、7(Oe)付近で飽和した。このことは
磁性層bの磁化反転とよく一致している。また、7(O
e)付近で大きくなった抵抗は、さらに磁界を印加して
もしばらく維持され、また、磁界をゼロに戻しても維持
されており、磁界印加前との変化率は18%を示した。こ
れにより(NiCoPt/Cu/NiFeCo/Cu)
×15からなる人工格子膜を用いたばあい、7(Oe)以
上の印加磁界で記録できることがわかる。この人工格子
膜に±20(Oe)の外部磁界を印加したときの磁化曲線
も実施例1と同様で、単に±20(Oe)の外部磁界を印
加したときには7(Oe)の外部磁界を必要としたが、
最初に印加した磁界の方向に対して垂直方向に4(O
e)の一定磁界を印加したまま±20(Oe)の外部磁界
を印加したときには4(Oe)の磁界で磁化が反転し
た。このことは、図1における再生用の配線より発生さ
れる磁界を4(Oe)に制御しておけば、記録用の配線
より発生される磁界を4〜5(Oe)に制御すること
で、たとえば磁性薄膜メモリ素子1acのみを記録する
ことができる。再生は前述の再生方法の通り行えば再生
することができる。
化を示した。磁性層bの磁化反転を示す1段目の変化
は、5(Oe)付近での変化がおこっており、磁性層a
のNiCoPtの磁化反転を示す2段目の変化は850
(Oe)付近で起こった。1段目の変化は、7(Oe)
で飽和した。MR曲線から抵抗も5(Oe)付近から大
きくなり始め、7(Oe)付近で飽和した。このことは
磁性層bの磁化反転とよく一致している。また、7(O
e)付近で大きくなった抵抗は、さらに磁界を印加して
もしばらく維持され、また、磁界をゼロに戻しても維持
されており、磁界印加前との変化率は18%を示した。こ
れにより(NiCoPt/Cu/NiFeCo/Cu)
×15からなる人工格子膜を用いたばあい、7(Oe)以
上の印加磁界で記録できることがわかる。この人工格子
膜に±20(Oe)の外部磁界を印加したときの磁化曲線
も実施例1と同様で、単に±20(Oe)の外部磁界を印
加したときには7(Oe)の外部磁界を必要としたが、
最初に印加した磁界の方向に対して垂直方向に4(O
e)の一定磁界を印加したまま±20(Oe)の外部磁界
を印加したときには4(Oe)の磁界で磁化が反転し
た。このことは、図1における再生用の配線より発生さ
れる磁界を4(Oe)に制御しておけば、記録用の配線
より発生される磁界を4〜5(Oe)に制御すること
で、たとえば磁性薄膜メモリ素子1acのみを記録する
ことができる。再生は前述の再生方法の通り行えば再生
することができる。
【0059】以上のように、この(NiCoPt/Cu
/NiFeCo/Cu)×15の人工格子膜を用いること
で図1に示すようなメモリデバイスを作製することがで
きた。
/NiFeCo/Cu)×15の人工格子膜を用いること
で図1に示すようなメモリデバイスを作製することがで
きた。
【0060】
【発明の効果】メモリ素子として保磁力の大きな磁性層
aと保磁力の小さな磁性層bとを非磁性層cを介してa
/c/b/c/a/c/b/c・・・・というふうに積
層してなる人工格子膜を用いたので、膜面に平行な磁界
を印加して記録を行うことができ、記録用の配線を磁性
薄膜メモリ素子の直上もしくは直下に配置することが可
能で、記録用の配線と素子の間隔を小さくすることがで
き、省電力化、高密度化を達成できる。また、磁性層a
と磁性bの磁化の向きが平行のばあいと反平行のばあい
とで抵抗が変化することを利用しているため、バイアス
磁界を印加せずに再生することもでき、また、その際の
抵抗の変化率が大きいため、再生信号の検出を容易にで
きる。
aと保磁力の小さな磁性層bとを非磁性層cを介してa
/c/b/c/a/c/b/c・・・・というふうに積
層してなる人工格子膜を用いたので、膜面に平行な磁界
を印加して記録を行うことができ、記録用の配線を磁性
薄膜メモリ素子の直上もしくは直下に配置することが可
能で、記録用の配線と素子の間隔を小さくすることがで
き、省電力化、高密度化を達成できる。また、磁性層a
と磁性bの磁化の向きが平行のばあいと反平行のばあい
とで抵抗が変化することを利用しているため、バイアス
磁界を印加せずに再生することもでき、また、その際の
抵抗の変化率が大きいため、再生信号の検出を容易にで
きる。
【図1】本発明の一実施例の磁性薄膜メモリの構成を示
す概念図である。
す概念図である。
【図2】磁性薄膜メモリ素子1acの直上あるいは直下
の記録用の配線に流れる電流の状態を表わす図である。
の記録用の配線に流れる電流の状態を表わす図である。
【図3】磁性薄膜の磁化状態を表わす断面説明図であ
る。
る。
【図4】本発明の別の実施例の磁性薄膜メモリの構成を
示す概念図である。
示す概念図である。
【図5】磁性薄膜メモリ素子41acの直上あるいは直下
の記録用の配線に流れる電流の状態を表わす図である。
の記録用の配線に流れる電流の状態を表わす図である。
【図6】磁性薄膜の磁化状態を表わす断面説明図であ
る。
る。
【図7】本発明に用いた磁性薄膜の磁気特性および抵抗
変化を表わす概念図である。
変化を表わす概念図である。
【図8】磁性薄膜メモリ素子1acの記録状態を読むと
きのスイッチの開閉動作のタイムチャートを示す図であ
る。
きのスイッチの開閉動作のタイムチャートを示す図であ
る。
【図9】実施例1に用いた磁性薄膜の磁化曲線を示す図
である。
である。
【図10】実施例1に用いた磁性薄膜の抵抗変化を示す
図である。
図である。
【図11】NiFe/Cu積層膜の磁化曲線を示す図で
ある。
ある。
【図12】NiCoPt/Cu積層膜の磁化曲線を示す
図である。
図である。
【図13】Hn,Hc,Hsの定義を示した図である。
【図14】実施例1に用いた磁性薄膜に±20(Oe)の
外部磁界を印加したときの磁化曲線を示す図である。
外部磁界を印加したときの磁化曲線を示す図である。
【図15】図14で印加した磁界に対して垂直方向に6
(Oe)の磁界を印加したまま図14と同じ方向に±20
(Oe)の外部磁界を印加したときの実施例1に用いた
磁性薄膜の磁化曲線を示す図である。
(Oe)の磁界を印加したまま図14と同じ方向に±20
(Oe)の外部磁界を印加したときの実施例1に用いた
磁性薄膜の磁化曲線を示す図である。
【図16】比較例1に用いた磁性薄膜の磁化曲線を示す
図である。
図である。
【図17】比較例1に用いた磁性薄膜の抵抗変化を示す
図である。
図である。
【図18】NiFe/Cu積層膜の磁化曲線を示す図で
ある。
ある。
【図19】Co/Cu積層膜の磁化曲線を示す図であ
る。
る。
【図20】図17の中心部の横軸方向の拡大図である。
【図21】比較例1に用いた磁性薄膜に±20(Oe)の
外部磁界を印加したときの磁化曲線を示す図である。
外部磁界を印加したときの磁化曲線を示す図である。
【図22】図21で印加した磁界に対して垂直方向に6
(Oe)の磁界を印加したまま図21と同じ方向に±20
(Oe)の外部磁界を印加したときの比較例1に用いた
磁性薄膜の磁化曲線を示す図である。
(Oe)の磁界を印加したまま図21と同じ方向に±20
(Oe)の外部磁界を印加したときの比較例1に用いた
磁性薄膜の磁化曲線を示す図である。
【図23】実施例2に用いた磁性薄膜の磁化曲線を示す
図である。
図である。
【図24】実施例2に用いた磁性薄膜の抵抗変化を示す
図である。
図である。
【図25】実施例2に用いた磁性薄膜に±20(Oe)の
外部磁界を印加したときの磁化曲線を示す図である。
外部磁界を印加したときの磁化曲線を示す図である。
【図26】図25で印加した磁界に対して垂直方向に4
(Oe)の磁界を印加したまま図25と同じ方向に±20
(Oe)の外部磁界を印加したときの実施例2に用いた
磁性薄膜の磁化曲線を示す図である。
(Oe)の磁界を印加したまま図25と同じ方向に±20
(Oe)の外部磁界を印加したときの実施例2に用いた
磁性薄膜の磁化曲線を示す図である。
【図27】従来の磁性薄膜メモリ素子を組み立てた状態
を模式的に示す説明図である。
を模式的に示す説明図である。
1、41 磁性薄膜メモリ素子 a 保持力の大きな磁性層 b 保持力の小さな磁性層 c 非磁性層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 都出 結花利 尼崎市塚口本町8丁目1番1号 三菱電 機株式会社 材料デバイス研究所内 (72)発明者 川野 裕司 尼崎市塚口本町8丁目1番1号 三菱電 機株式会社 材料デバイス研究所内 (72)発明者 藤井 善夫 尼崎市塚口本町8丁目1番1号 三菱電 機株式会社 産業システム研究所内 (72)発明者 徳永 隆志 尼崎市塚口本町8丁目1番1号 三菱電 機株式会社 産業システム研究所内 (72)発明者 中木 義幸 尼崎市塚口本町8丁目1番1号 三菱電 機株式会社 産業システム研究所内 (72)発明者 堤 和彦 尼崎市塚口本町8丁目1番1号 三菱電 機株式会社 材料デバイス研究所内 (56)参考文献 特開 平4−23293(JP,A) 特開 昭62−141628(JP,A) 特開 平2−143980(JP,A) 特開 平3−12092(JP,A)
Claims (10)
- 【請求項1】 磁性薄膜の磁化の向きによって情報を記
憶し、記憶した情報を磁気抵抗効果による素子の膜面に
平行な方向の抵抗変化を利用して読み出す方法を用いる
磁性薄膜メモリ素子であって、前記磁性薄膜が保磁力の
大きな磁性層aと保磁力の小さな磁性層bとを非磁性層
cを介してa/c/b/c/a/c/b/c・・・・と
いうふうに積層して形成され、前記磁性薄膜に平行に接
し、前記磁性薄膜面に平行な磁界を印加する記録線と、
前記磁性薄膜面に平行な方向の抵抗値を検出する再生線
を備えていることを特徴とする磁性薄膜メモリ素子。 - 【請求項2】 磁性薄膜の磁化の向きによって情報を記
憶し、記憶した情報を磁気抵抗効果による素子の膜面に
平行な方向の抵抗変化を利用して読み出す方法を用いる
磁性薄膜メモリ素子であって、前記磁性薄膜が保磁力の
大きな磁性層aと保磁力の小さな磁性層bとを非磁性層
cを介してa/c/b/c/a/c/b/c・・・・と
いうふうに積層して形成され、前記磁性薄膜に平行に接
し、前記磁性薄膜面に平行な磁界を印加する記録線と、
前記磁性薄膜面に平行な方向の抵抗値を検出する再生線
を備えており、前記保磁力の小さな磁性層bの磁化の向
きにより、情報を記憶することを特徴とする磁性薄膜メ
モリ素子。 - 【請求項3】 前記保磁力の小さな磁性層bの磁化反転
が起こる磁界領域で、前記保磁力の大きな磁性層aの磁
化の方向が動かないように前記磁性層aと前記磁性層b
とが選定されてなることを特徴とする請求項2記載の磁
性薄膜メモリ素子。 - 【請求項4】 前記保磁力の大きな磁性層aの磁化が反
転しはじめる磁界が、前記保磁力の小さな磁性層bの磁
化が飽和する磁界よりも大きくなるように前記磁性層a
と前記磁性層bとが選定されてなることを特徴とする請
求項2記載の磁性薄膜メモリ素子。 - 【請求項5】 前記保磁力の大きな磁性層aの磁化が反
転しはじめる磁界として定めたHnが、保磁力の小さな
磁性層bの磁化が飽和する磁界として定めたHsより20
0(Oe)以上大きくなるように前記磁性層aと前記磁
性層bとが選定されてなることを特徴とする請求項2記
載の磁性薄膜メモリ素子。 - 【請求項6】 前記磁性層aとしてNiCoPt合金を
用いたことを特徴とする請求項1または2記載の磁性薄
膜メモリ素子。 - 【請求項7】 前記磁性層bとしてNiFe合金もしく
はNiFeCo合金を用いたことを特徴とする請求項1
または2記載の磁性薄膜メモリ素子。 - 【請求項8】 前記磁性薄膜を積層する前に下地層とし
てCr層を設けることを特徴とする請求項1または2記
載の磁性薄膜メモリ素子。 - 【請求項9】 前記磁性薄膜を積層する前に下地層とし
てCr層を設け、前記磁性層aとしてNiCo合金、N
iCoM合金(M=Pt、Ta、Cr、Zr)を用いた
ことを特徴とする請求項1または2記載の磁性薄膜メモ
リ素子。 - 【請求項10】 磁性薄膜の磁化の向きによって情報を
記憶し、記憶した情報を磁気抵抗効果による素子の膜面
に平行な方向の抵抗変化を利用して読み出す方法を用い
る磁性薄膜メモリ素子の記録方法であって、前記磁性薄
膜が保磁力の大きな磁性層aと保磁力の小さな磁性層b
とを非磁性層cを介してa/c/b/c/a/c/b/
c・・・・というふうに積層して形成され、前記磁性薄
膜に平行に接し、前記磁性薄膜面に平行な磁界を印加す
る記録線と、前記磁性薄膜面に平行な方向の抵抗値を検
出する再生線を備えた磁性薄膜メモリを用い、該保磁力
の小さな磁性層bの磁化の向きにより、情報を記憶させ
ることを特徴とする磁性薄膜メモリ素子の記録方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP4063028A JP2911290B2 (ja) | 1992-03-19 | 1992-03-19 | 磁性薄膜メモリ素子およびその記録方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP4063028A JP2911290B2 (ja) | 1992-03-19 | 1992-03-19 | 磁性薄膜メモリ素子およびその記録方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH05266651A JPH05266651A (ja) | 1993-10-15 |
JP2911290B2 true JP2911290B2 (ja) | 1999-06-23 |
Family
ID=13217470
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP4063028A Expired - Fee Related JP2911290B2 (ja) | 1992-03-19 | 1992-03-19 | 磁性薄膜メモリ素子およびその記録方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2911290B2 (ja) |
Families Citing this family (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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US5343422A (en) * | 1993-02-23 | 1994-08-30 | International Business Machines Corporation | Nonvolatile magnetoresistive storage device using spin valve effect |
US6256224B1 (en) * | 2000-05-03 | 2001-07-03 | Hewlett-Packard Co | Write circuit for large MRAM arrays |
JP4020573B2 (ja) | 2000-07-27 | 2007-12-12 | 富士通株式会社 | 磁性メモリデバイス、および磁性メモリデバイスにおけるデータ読み出し方法 |
-
1992
- 1992-03-19 JP JP4063028A patent/JP2911290B2/ja not_active Expired - Fee Related
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JPH05266651A (ja) | 1993-10-15 |
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