JPH09260743A - 磁気抵抗効果素子及び磁気情報検出方法 - Google Patents
磁気抵抗効果素子及び磁気情報検出方法Info
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Abstract
抵抗効果素子の提供を目的とする。 【解決手段】トンネル絶縁膜を介して3層の強磁性導電
層が形成され、中間の強磁性導電層の保磁力を小とし、
これを選択的に反転させたときのトンネル電流で、外側
の強磁性導電層の磁化状態を検出する。
Description
びこれを用いた磁気情報検出方法に関する。
た金属人工格子膜において、巨大な磁気抵抗効果が現れ
ることが発見され(Baibich 他、Phys. Rev. Lett. 61
(1988)2472頁〜2475頁)、それ以来、この現象に関連し
た研究がさかんになされるようになってきた。
工格子膜を用いた様々な応用が研究されており、例え
ば、磁気センサーや記録素子としての応用研究があり、
特に、高速かつ高密度で不揮発メモリとして利用したも
の(MRAM)が注目されている。
層した強磁性トンネル接合でも磁気抵抗効果がみいださ
れている。例えば、FeとAl2 O3 を用いた強磁性ト
ンネル接合において両側のFe膜の保磁力が異なるよう
に作成されている場合、磁化過程中に両側のFe膜の磁
化が平行状態から反平行状態に変化し、トンネル抵抗が
変化することで磁気抵抗効果が生じることが示されてい
る(宮崎ら、Journal of Magnetism and MagneticMater
ials 139(1995) L231-L234 )。特にこの系では、室温
においても20%以上の大きな磁気抵抗効果がある。
74(1995)3273 頁〜3276頁)によりCoFe/Al2 O
3 /Coという組み合わせの強磁性トンネル接合におい
ても接合の作成方法を改良することで、室温で10%以
上の磁気抵抗が得られることが示されている。
も大きな磁気抵抗効果が得られるようになってきたが、
これについての応用研究はいまだほとんどなされておら
ず、磁気センサーや情報記憶素子としての応用例はほと
んど報告されていない。
ル接合の磁気抵抗効果を用いた応用、特に記録素子とし
ての応用は検討されてはいない状況にある。本発明は以
上の点を考慮してなされたもので、強磁性トンネル接合
を用いて、非破壊若しくは多値の記録/読出しが行なえ
る新規な磁気抵抗効果素子及び磁気情報検出方法を提供
することを目的とする。
導電層と、第2の強磁性導電層と、第1及び第2の強磁
性導電層の間に介在する第1のトンネル絶縁層と、第3
の強磁性導電層と、第2及び第3の強磁性導電層の間に
介在する第2のトンネル絶縁層とを具備した磁性積層体
を有し、第1乃至第3の強磁性導電層の内の一層の保磁
力が他の層の保磁力よりも小さいこと、例えば、第2の
強磁性導電層の保磁力が第1及び第3の強磁性導電層の
保磁力よりも小さいことを特徴とする磁気抵抗効果素子
である。
力の小さい第2の強磁性導電層の磁化の向きを変化させ
たときの、磁性積層体のトンネル電流、若しくはこれに
もとづく電圧により他の強磁性導電層の磁化状態を検出
することを特徴とする磁気情報検出方法である。
する。磁性積層体(6)は、第1の強磁性導電層
(1),第1のトンネル絶縁層(2),第2の強磁性導
電層(3),第2のトンネル絶縁層(4)及び第3の強
磁性導電層(5)が順次積層された構造を採る。
磁力が、第1及び第3の強磁性導電層(1)(5)の保
磁力より小さいものとする。磁気記録は第1及び第3の
強磁性導電層(1)(5)を同じ方向に磁化することで
行う。この図では上向きの磁化状態を“0”,下向きの
磁化状態を“1”とする。
不定である。ただし第2の強磁性導電層(3)の保磁力
(H2 )は第1及び第3の強磁性導電層の保磁力(H
1 ,H3 )よりも小とする。すなわちH1 ,H3 >H>
H2 の磁化を印加することで中間に位置する第2の強磁
性導電層(3)の磁化方向のみを制御することができ
る。
磁界を用いて第2の強磁性導電層の磁化の向きを制御す
るものとする。すなわちこの磁性積層体に近接して導体
格を設け、これに電流を流すことで磁界を印加するので
ある。正パルスをいれた場合は“0”と同方向に、負パ
ルスをいれた場合は“1”と同方向に磁化の向きが定ま
るとする。
層の磁化の向きは不定であるが、便宜上“0”と同方向
であるとする。なお必要に応じ正パルスを印加して初期
状態を“0”の向きにしておいても良い。また逆でも良
い。
第3の強磁性導電層の磁化は同方向となり、磁性積層体
(6)にはトンネル電流が流れ易くなる。一方、負パル
スを印加した場合は、第1及び第2の強磁性導電膜の磁
化に向きは逆であり、また第2及び第3の強磁性導電膜
の磁化の向きは逆である。従って磁性積層体にはトンネ
ル電流が非常に流れ難くなる。
グを示し、図1(b)は“0”の記録をもっている場合
の磁化の向きを示し、それに伴い図1(c)はトンネル
電流の大きさを示す。正パルスを印加した時はトンネル
電流が流れ、負パルスを印加した時はトンネル電流が流
れ難いことを示している。この図では正パルスと負パル
ス間を離しているが、連続させても良い。
磁性導電層の磁化の向きは直前にかけられたパルスの状
態が保持されることにしているが、第1及び第3の強磁
性導電層との静磁接合等の影響で反転する可能性もあ
る。従って、正負パルス印加時のトンネル電流を検出す
れば良い。なお、電圧検出を行えば図1(c)のチャー
トは逆になることは言うまでもない。
(d),(e))、トンネル電流が小から大に変化する
ことになる。“0”,“1”の場合夫々正パルスを印加
したときの磁性積層体(6)の両端に生じる電圧を基準
とすれば、上述の例で電圧が上昇する場合(+ΔVの変
位)は“0”、下降する場合(−ΔVの変位)は“1”
と判断できる。すなわち出力の絶対量ではなく変位の符
号で“0”,“1”が判断でき、S/N比に優れた読出
しが可能になる。
図2に3値データ“0”(図2(b)(c)),“1”
(図2(d)(e)),“2”(図2(f)(g))を
再生する場合について説明する。
化の向きが上向きの場合を“0”,下向きの場合を
“2”,異なる場合を“1”とする。図1の例と同様に
第2の強磁性導電層の磁化の向きは上向きを初期状態と
する。図2(a)に外部磁場発生用の電流パルスの例を
示し、図1と同様に同図(a)(e)(g)はタイミン
グをあわせて記載されている。
磁化を上向きとした場合、“0”のときは第1乃至第3
の強磁性導電層の磁化がそろうのでトンネル電流が流れ
易くなり、出力電圧は低く(VL )、その他の場合は磁
化がそろっていないのでトンネル電流が流れにくくな
り、出力電圧は高く(VH )なる。
ときは下向きに磁化がそろいVL となるが、その他はV
H となる。従って、正負のパルスを加えた場合、VL →
VH となる場合が“0”、VH →VH となる場合が
“1”、VH →VL となる場合が“2”と判断できる。
読み出し前後で第1及び第3の強磁性導電層のスピンの
向きは変わらず非破壊の読み出しができる。第3に4値
データ“0”(図3(b)(c)),“1”(図3
(d)(e)),“2”(図3(f)(g)),“3
“(図3(h)(i))を再生する場合について説明す
る。
化の向きが上向きの場合を“0”,下向きの場合を
“3”,異なる場合を第1の強磁性層の磁化が上向きの
とき“1”下向きのときを“2”とする。
化の向きは上向きを初期状態とする。図3(a)に外部
磁場発生用の電流パルスの例を示し、図2と同様に同図
(a)(e)(g)(i)はタイミングをあわせて記載
されている。
(読み出し)>H2 であったが、H1>H3 の関係を更
に付加する。更に読み出し用として振幅小と大を用意
し、H1>H(大)>H3 >H(小)>H2 とする。
性導電層の磁化を上向きとした場合、“0”のときは第
1乃至第3の強磁性導電層の磁化がそろうのでトンネル
電流が流れ易くなり、出力電圧は低く(VL )、その他
の場合は磁化がそろっていないのでトンネル電流が流れ
にくくなり、出力電圧は高く(VH )なる。
ときは下向きに磁化がそろいVL となるが、その他はV
H となる。更に正パルス(大)を印加すると第3の強磁
性層は記録状態によらず上向きとなるので“2”“3”
以外はVH となる。
えた場合、VL →VH →VL となる場合が“0”、VH
→VH →VL となる場合が“1”,VH →VH →VH が
“2”,VH →VL →VH となる場合が“3”と判断で
きる。
可能である。本発明素子は例えば以下の様にして作成さ
れる。強磁性層として、Fe、Co、Ni等の強磁性体
やパーマロイ等の磁性合金、あるいは、ホイスラー合金
等の半金属を用い、絶縁体層としてNiO、Al2 O3
などの酸化物を用いることができる。ここで、強磁性層
の膜厚は1nmから500nmが好ましく、絶縁層の膜
厚は1nmから40nmが好ましい。
絶縁体層としてAl2 O3 を用いた場合について説明す
ると以下のようになる。強磁性トンネル接合をガラス基
板上に作成する。強磁性層はイオンビームスパッタ法に
より作成する。この際、チェンバ内を1×10-6Torr以
下の真空状態とした後、Arを1×10-4Torr導入し、
Arイオンの加速電圧を600Vとして製膜を行う。ま
た、第1と第3の強磁性層の膜厚は100nm、第2の
強磁性層の膜厚は50nmとして、第2の強磁性層の保
磁力が第1と第3の強磁性層の保磁力より小さくなるよ
うにした。絶縁体層は、Alをイオンビームスパッタ法
により膜厚5nmから25nmに製膜し、大気中で24
時間自然酸化させてAl2O3 を形成する。
性層間は絶対層で区切られているため、強磁性層間の相
互作用はほとんどないため、磁場応答の線形性がよく、
また飽和磁場が小さく、典型的には10-5Tesla から1
0-2Tesla 程度の大きさを持つ。このため、ごく弱い磁
場に対しても大きな磁気抵抗効果が期待でき、電流の変
化の検出が容易となる。さらに本発明の場合は、強磁性
層が3層とそれらの間を隔てる絶縁層2層から構成され
ているため、トンネル電流の検出がさらに容易になる。
これは以下のように説明される。
磁性層からなる強磁性トンネル接合については、Sloncz
ewski により理論的解析が行われている(Phys. Rev. B
39(1989)6995頁〜7002頁)。これによると、トンネルコ
ンダクタンス(G)は、絶縁体が無限に厚い極限では接
合の透過係数に比例する。
る。θは二つの強磁性層の磁化のなす角度を表わし、ε
は物質に依存した定数であり、0<ε≦1の値をとる。
従って、強磁性層の磁化が平行の時(θ=0)コンダク
タンスが最大値をとり、反平行のとき(θ=π)最小値
となる。ホイスラー合金などの半金属を用いた場合はε
=1である。
り、二つのトンネル接合の組み合わせとなっている。全
体の透過係数は、各トンネル接合の透過係数により表す
ことができ、特に、各トンネル接合の透過係数Tが小さ
い場合には、TのトータルはT2 に比例する。
total )は(1+εcos θ)2 に比例することになる。
従って3層の磁性層を有する方が磁場に関するコンダク
タンスの微係数が大きくなることがわかる。図4にε=
1の場合に比例係数を正規化して示す。従って、磁場の
変化に対するトンネル電流の変化の検出が容易になり、
磁気センサーに適している。
外部磁場からの影響を小さくするために外側にFeMn
のような反強磁性層を備えて、これらとの相互作用によ
り第1と第3の強磁性層の磁化を固着することも考えら
れる。
性トンネル接合を用いた新規な磁気抵抗効果素子を得る
ことができ、多値若しくは非破壊読出しが可能な磁気記
録方式を得ることができる。
Claims (2)
- 【請求項1】第1の強磁性導電層と、第2の強磁性導電
層と、第1及び第2の強磁性導電層の間に介在する第1
のトンネル絶縁層と、第3の強磁性導電層と、第2及び
第3の強磁性導電層の間に介在する第2のトンネル絶縁
層とを具備した磁性積層体を有し、第1乃至第3の強磁
性導電層の内の一層の保磁力が他の層の保磁力よりも小
さいことを特徴とする磁気抵抗効果素子。 - 【請求項2】他の層より保磁力の小さい前記強磁性導電
層の磁化の向きを変化させたときの、磁性積層体のトン
ネル電流により他の強磁性導電層の磁化状態を検出する
ことを特徴とする請求項1記載の磁性積層体の磁気情報
検出方法。
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