JP2909979B2 - 高周波誘導加熱調理器 - Google Patents

高周波誘導加熱調理器

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【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は高周波誘導加熱調理器
に係り、さらに詳しくは、高周波誘導加熱を応用してオ
ーブン・グリル機能を付加した高周波誘導加熱調理器に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】食卓等に載置して調理材料を高周波誘導
加熱により調理容器を発熱させて調理する電磁調理器が
一般家庭において広く用いられている。
【0003】図9は従来の電磁調理器の構成断面図であ
る。図において、1は例えば抵抗率が大きく比透磁率の
高い鉄系の金属材料で形成された調理容器、2は調理容
器1を載せる載置部で、例えばセラミックなどの耐熱性
を有し電磁波を透過する材料で構成されている。3は誘
導加熱コイル、4は高周波スイッチング電源部である。
この高周波スイッチング電源部4はトランジスタ1個に
よる電圧共振型のスイッチング電源で、全波整流した後
20〜30KHzの周波数でチョップして高周波を得る
ものであり、この高周波電流が誘導加熱コイル3に通電
される。5は本体で、内部には誘導加熱コイル3が配設
されている。
【0004】このような電磁調理器では、調理材料を入
れた調理容器1を載置部2に載せて高周波スイッチング
電源部4により誘導加熱用コイル3に20〜30KHz
の高周波電流を通電すると、調理容器1の表面に渦電流
が発生し、その渦電流によるジュール熱によって調理容
器1が発熱して、調理材料は調理される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】以上のように従来の電
磁調理器は、過熱効率が高く85%程度が得られてお
り、調理容器1を鉄系の金属材料例えば鍋やフライパン
に限って用いれば、「煮る」、「焦げ目をつける」の調
理を高効率で行うことができ、家事の省力化となってい
る。しかしながら、調理材料の加熱はあくまでも下部か
らのみで、しかも調理容器1に接した面つまり片面から
の加熱であり、オーブン調理のような全面からの加熱調
理を行うことができず、調理の種類が限られていた。
【0006】この発明は、上記のような課題を解決する
ためになされたもので、従来の電磁調理器の加熱特性を
備えていて、かつ上部からの輻射加熱を行うことのでき
る高周波誘導加熱調理器を提供することを目的としたも
のである。
【0007】
【課題を解決するための手段】この発明に係る高周波誘
導加熱調理器は、上部が蓋で覆われた調理器本体に収容
される調理容器と、調理容器を載置する載置部と、調理
容器を誘導加熱する加熱手段と、電源部とを備えた高周
波誘導加熱調理器において、蓋内に加熱手段を構成する
誘導加熱コイルの電磁誘導を受ける受電コイルと、受電
コイルにより通電される加熱部とを設けたものである。
また、加熱手段を構成する誘導加熱コイルとは別に受電
コイルに対向して配設される給電コイルを設けたもので
ある。さらに、加熱手段を構成する誘導加熱コイルおよ
び給電コイルの電源部を共用するように構成したもので
ある。また、蓋を着脱自在に構成した、あるいは蓋内に
設けた受電コイルおよび加熱部の加熱温度を調節する温
度調節器を設けたものである。
【0008】
【作用】誘導加熱手段を配設した調理器本体の載置部に
調理容器を載せ、蓋を被せて電源を入れる。誘導加熱手
段に通電して調理容器を発熱させ、同時に給電コイルに
よって受電コイルは電磁誘導を受けて蓋内に配設された
加熱部に通電する。そして、誘導加熱手段と加熱部によ
り上下両側から調理材料を調理する。また、蓋を着脱自
在に構成したので、蓋を取り去って従来と同様に調理を
行うことができる。さらに、蓋内に温度調節器を設け
て、受電コイルおよび加熱部の加熱温度を調節しながら
調理を行う。
【0009】
【実施例】図1は断面で示したこの発明の実施例の模式
図、図2は図1の実施例の電気回路図である。
【0010】図において、1は例えば抵抗率が大きく比
透磁率の高い磁性材料からなる調理容器、2は調理容器
1を載せる載置部で、例えばセラミックなどの耐熱性を
有し電磁波を透過する材料で構成されている。3は調理
容器1を誘導加熱する誘導加熱コイル、3aは後述の受
電コイル7に給電する給電コイル、4は高周波スイッチ
ング電源部、5は本体で、載置部2に面した部分に誘導
加熱コイル3と給電コイル3aが配設されていて、両コ
イル3,3aは高周波スイッチング電源部4によって通
電制御される。6は着脱自在に構成された上蓋、7は上
蓋6の内部に給電コイル3aと対向して配設された受電
コイル、8は上蓋6内に設けられた発熱体で、調理容器
1の上部を覆うように配設されており、受電コイル7よ
って通電される。9は上蓋6の内部に設けられた温度調
節器で、受電コイル7から発熱体8への通電を制御して
温度調節を行っている。10は調理材料である。
【0011】上記の高周波スイッチング電源部4は、整
流器11、平滑用コンデンサ12、スイッチング素子と
なるトランジスタ13、共振コンデンサ14、回生ダイ
オード15、コイル切換用リレー16、高周波電源制御
部17によって構成されている。
【0012】高周波電流は次のように発生させる。商用
電源は整流器11により全波整流され、平滑用コンデン
サ12で平滑された後、トランジスタ13で断続され
る。この時、誘導加熱コイル3および給電コイル3aと
共振コンデンサ14は、共振条件を保つ値に設定されて
いる。回生ダイオード15はトランジスタ13が阻止さ
れている時、逆流する電流をバイパスする役目をしてお
り、通電電流は、高周波電源制御部17により周波数な
いしデューティサイクルを変化させて行う。
【0013】次にこの発明の作用について説明する。ま
ず、調理容器1内に調理材料10を入れ、載置部2に載
せて上蓋6を被せる。ついで、電源(図示せず)を入
れ、リレー16により誘導加熱コイル3と給電コイル3
aへの通電を交互に行うと、高周波スイッチング電源部
4は誘導加熱コイル3および給電コイル3aに20〜5
0KHz程度の高周波電流を交互に流す。誘導加熱コイ
ル3の励磁で磁束が発生し、電磁誘導作用により調理容
器1内に交番的な渦電流が流れてジュール熱が発生し
て、調理容器1は急激に発熱する。この時、上蓋6内の
受電コイル7は給電コイル3aからの電磁誘導で電圧が
誘起され、発熱体8を通電加熱する。このようにして高
周波スイッチング電源部4と温度調節器9により通電す
る高周波電流と加熱温度を制御しながら、上下両側から
調理材料10を加熱して調理する。
【0014】なお、上述の実施例では別に設けた給電コ
イル3aにより受電コイル7への給電を行う場合を例示
して説明したが、給電コイル3aを省略し、代わりに誘
導加熱コイル3を利用して受電コイル7への給電を行う
ようにしてもよい。また、リレー16によって誘導加熱
コイル3と給電コイル3aに適切な電力を給電すること
ができるので、例えば魚を焦がす場合は、リレー16を
給電コイル3a側に投入して給電コイル3aつまり受電
コイル7を介して発熱体8に全電力を給電し、ケーキや
パンなどを焼く場合は、リレー16により誘導加熱コイ
ル3に60%、給電コイル3aつまり発熱体8に40%
くらいの割合で電力を通電すると良好に調理を行うこと
ができる。
【0015】さらに、図3に示すように上蓋6を取り去
って大型調理容器1aを載置部2に載せた場合は、給電
コイル3aも誘導加熱コイル3と同様に大型調理容器1
aを誘導加熱して調理を行う。
【0016】図4はこの発明の実施例の他の電気回路図
で、図2のリレー16を省略して誘導加熱コイル3と給
電コイル3aを直列接続したものである。この実施例に
おいては、誘導加熱コイル3と給電コイル3aへの給電
のバランスがコイルの配分と発熱体8の容量であらかじ
め設定されており、図1の実施例で説明した電磁誘導作
用で調理容器1と発熱体8を加熱させて、調理容器1内
の調理材料10を調理する。
【0017】図5は断面で示したこの発明の他の実施例
の模式図である。図において、18は図1の発熱体8の
代わりに配設した誘導加熱コイル、19は誘導加熱コイ
ル18に誘導加熱される例えば鉄系素材の熱板で、誘導
加熱コイル18は棒状の発熱素子例えばシーズヒータに
比べて均一に加熱されるよう熱板19に配設されてい
る。上記のように構成したこの実施例においても、載置
部2に調理容器1を載せて上蓋6を被せてから電源を入
れると、図1の実施例で説明した電磁誘導作用で調理容
器1が発熱する。同時に給電コイル3aから受電コイル
7で結合した高周波電流が誘導加熱コイル18に通電さ
れて熱板19も発熱し、調理材料10を上下両側から加
熱して調理する。
【0018】図6は断面で示したこの発明のさらに他の
実施例の模式図、図7はその要部の拡大図で、図1にお
ける給電コイル3aと受電コイル7の結合度を向上させ
たものである。この実施例においては、給電コイル3a
は密巻多層コイル20と、磁束密度を増加させる高透磁
率のフェライトコア21で構成され、受電コイル7も密
巻多層コイル22とフェライトコア23とで給電コイル
3aと同様に構成されており、給電コイル3aと受電コ
イル7は本体5および上蓋6によって例えば4mm程度
隔離されているが、伝達効率は95%と高いものであ
る。なお、図8に示すように給電コイル3aおよび受電
コイル7を小型偏平に構成してもよい。24は高放射効
率特性を有するハロゲンヒータで、ハロゲンヒータ24
の電力投入は高周波スイッチング電源部4の周波数の可
変制御によってソフトスタートすることができ、投入時
の突入電流対策が成されている。
【0019】上記のように構成したこの実施例において
も、図1の実施例で説明した電磁誘導作用で調理容器1
が発熱し、同時に給電コイル3aから受電コイル7で結
合した高周波電流がハロゲンヒータ24に通電して、調
理材料10を上下両側から加熱して調理する。
【0020】
【発明の効果】以上のようにこの発明では、蓋内に加熱
手段を構成する誘導加熱コイルの電磁誘導を受ける受電
コイルと、受電コイルにより通電される加熱部とを設
け、さらに受電コイルおよび加熱部の加熱温度を調節す
る温度調節器を設けたので、誘導加熱コイルによる受電
コイルへの無接触給電を行い、調理材料を下部方向だけ
ではなく上部方向から輻射加熱を行うことができる。ま
た、きめ細かい加熱温度等の制御も可能となり、オーブ
ン・グリル調理など利用できる料理の種類の範囲も拡大
する。
【0021】さらに、加熱手段を構成する誘導加熱コイ
ルとは別に受電コイルに対向して配設される給電コイル
を設けたので、給電コイルと受電コイルの結合率が向上
し、電力の伝達効率も高くなって、より効果的の調理を
行うことができる。また、蓋を着脱自在に構成したの
で、上蓋を取り去った場合は日常のコンロ的な使用も可
能であり、清掃性もすぐれている。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施例を断面で示した模式図であ
る。
【図2】図1の実施例の電気回路図である。
【図3】大型調理容器を載置した場合の模式図である。
【図4】この発明の実施例の他の電気回路図である。
【図5】この発明の他の実施例を断面で示した模式図で
ある。
【図6】この発明のさらに他の実施例を断面で示した模
式図である。
【図7】図6の要部の拡大図である。
【図8】図7の要部の他の拡大図である。
【図9】従来の電磁調理器の構成断面図である。
【符号の説明】
1 調理容器 2 載置部 3,18 誘導加熱コイル 3a 給電コイル 4 高周波スイッチング電源部 5 本体 6 上蓋 7 受電コイル 8 発熱体 9 温度調節器 16 リレー 19 熱板 20,22 密巻多層コイル 21,23 フェライトコア 24 ハロゲンヒータ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) H05B 6/12

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 上部が蓋で覆われた調理器本体に収容さ
    れる調理容器と、該調理容器を載置する載置部と、前記
    調理容器を誘導加熱する加熱手段と、電源部とを備えた
    高周波誘導加熱調理器において、前記蓋内に前記加熱手
    段を構成する誘導加熱コイルの電磁誘導を受ける受電コ
    イルと、該受電コイルにより通電される加熱部とを設け
    たことを特徴とする高周波誘導加熱調理器。
  2. 【請求項2】 前記加熱手段を構成する誘導加熱コイル
    とは別に前記受電コイルに対向して配設される給電コイ
    ルを設けたことを特徴とする請求項1記載の高周波誘導
    加熱調理器。
  3. 【請求項3】 前記加熱手段を構成する誘導加熱コイル
    および前記給電コイルの電源部を共用するように構成し
    たことを特徴とする請求項1または2記載の高周波誘導
    加熱調理器。
  4. 【請求項4】 前記蓋を着脱自在に構成したことを特徴
    とする請求項1,2または3記載の高周波誘導加熱調理
    器。
  5. 【請求項5】 前記蓋内に設けた受電コイルおよび加熱
    部の加熱温度を調節する温度調節器を設けたことを特徴
    とする請求項1,2,3または4記載の高周波誘導加熱
    調理器。
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