JPH06163152A

JPH06163152A - 加熱調理装置

Info

Publication number: JPH06163152A
Application number: JP31309492A
Authority: JP
Inventors: Naoyoshi Maehara; 直芳前原; Kenji Yasui; 健治安井; Noriyuki Komeno; 範幸米野
Original assignee: Matsushita Electric Industrial Co Ltd
Current assignee: Panasonic Holdings Corp
Priority date: 1992-11-24
Filing date: 1992-11-24
Publication date: 1994-06-10

Abstract

(57)【要約】【目的】本発明はオーブンレンジなどの加熱調理装置
に関するもので、取り出し自在のオーブン皿を所定の温
度に加熱し、食品の最適温度で高速加熱調理実現と調理
カテゴリー拡大を実現した加熱調理装置を得ることを目
的とする。【構成】食品を収納するオーブン５と、前記オーブン
内に設けられた取り出し自在のオーブン皿５２と、前記
オーブン皿に加熱エネルギーを供給する電力供給手段５
６と、この電力供給手段を制御して前記オーブン皿の温
度を所定値に調節する皿温度調節手段７１を備え、前記
オーブン皿を直接加熱して所定の温度に調節し食品に最
適な温度で加熱調理の高速化を実現すると共に、オーブ
ン調理のカテゴリーを拡大して、使い勝手を大幅に向上
させる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、食品をオーブン加熱、
グリル加熱、あるいは誘電加熱するためのオーブンレン
ジなどの加熱調理装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来、オーブンレンジ等の加熱調理装置
は、例えば図８に示す構成のものが実用化されている。

【０００３】図８はオーブンレンジの構成を示す断面図
である。同図において、筐体１の内部には、ターンテー
ブル２上の食品置載用の置き台３に載せられた食品４が
収納されたオーブン（オーブン壁）５、オーブン５内に
マグネトロン６から発生される誘電加熱用電波を導く導
波管７、マグネトロン６に高周波電力を供給する電力変
換器８、マグネトロン６、電力変換器８、筐体１等を冷
却する冷却ファン９等が設けられている。冷却ファン９
の冷却風は図中の矢印のように筐体１内を流れて前述し
た被冷却体を冷却する構成である。また、１０はターン
テーブルモータである。

【０００４】オーブン５は、オーブン加熱あるいはグリ
ル加熱を行うために、フラットヒータユニット１１、及
び１２がその上面および下面にそれぞれ設けられてい
る。そして、断熱材１３、１４、１５、１６は、オーブ
ン５に対してフラットヒータユニット１１、１２から供
給される加熱エネルギーが外部に放散されるのを防止
し、加熱効率を高くする作用を果たしている。

【０００５】図９は、このオーブンレンジの電気回路図
であり、図８と同符号のものは相当する構成要素であ
る。オーブンレンジは商用電源２０により電力を受け、
マイクロコンピュータ等を含んで構成された制御部２１
により制御される。すなわち、制御部２１は、リレー接
点２２〜２６および電力変換器８の制御回路２７等を制
御して、オーブンレンジの加熱調理機能を実現するもの
である。なお、電力変換器８は、ダイオードブリッジ２
８、チョークコイル２９、コンデンサ３０、３１、昇圧
トランス３２、トランジスタ３３、ダイオード３４より
成る整流回路を含むインバータ回路と、コンデンサ３
５、ダイオード３６、３７より成る高圧整流回路と、カ
レントトランス３８、３９、コンデンサ４０等より構成
されており、マグネトロン６に高圧直流電力とカソード
加熱用ヒータ電力とを供給するものである。

【０００６】このような構成により、食品４はフラット
ヒータユニット１１、１２の加熱エネルギーによりオー
ブン加熱やグリル加熱が可能となり、必要に応じてマグ
ネトロン６の発生する電波による誘電加熱との複合加熱
も可能であった。

【０００７】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな従来の高周波加熱装置は、特に、フラットヒータユ
ニットによりオーブン内に輻射エネルギーや対流空気加
熱による対流エネルギーを供給する場合に、その構造に
起因して、オーブン内温度の立ち上がり速度が遅くな
る、あるいは加熱効率がどうしても低くなるなどの欠点
があった。これは、図１０に示すようなフラットヒータ
ユニットの構造に基づくものであった。

【０００８】図１０は、オーブン壁５、ヒータユニット
１１、断熱材１３の詳細な構造の一例を示す図である。
図において、オーブン壁５と断熱材１３の間には、ニク
ロム線材等で構成された発熱体４０と、それを挟む電気
絶縁体４１、４２より成るフラットヒータユニット１１
が設けられている。したがって、発熱体４０の発生する
熱エネルギーは、厚さｔの電気絶縁体４１を介してオー
ブン壁５に伝達されるものであった。この電気絶縁体４
１は、例えば図９における商用電源２０が１００Ｖの場
合はその電圧に対して十分な耐圧性能を持つものが必要
であり、また、２００Ｖならば、さらに高い２００Ｖの
耐圧性能が必要であった。このため、発熱体４０の発生
する熱エネルギーは、オーブン壁５に向かって伝達され
ると共に電気絶縁体４２に対しても伝達され、電気絶縁
体４２や断熱材１３が熱平衡に達するまでは、熱エネル
ギーはオーブン壁５に伝達されると同時に反対側の断熱
材１３方向へも伝達されざるを得なかった。すなわち、
電気絶縁体４１および４２は電気的に同一の性能である
がゆえに熱的にも同様の性能とならざるを得ず、したが
って、オーブン壁５とは反対側に（すなわちオーブンの
外側に）向かって発熱体４０の熱エネルギーが放散さ
れ、オーブン庫内の空気の温度やオーブン壁の内面の温
度の立ち上がり速度が低下してしまったり、それらの到
達温度を高めることができなかったりするという不都合
があった。そして、このため加熱効率が低下するばかり
でなく、オーブンレンジの筐体１の外壁温度が高温にな
り、部屋の壁等に接したような設置ができず設置条件が
制限される、あるいは、筐体１の外壁に触れてやけどを
する危険性がある等の問題点があった。

【０００９】

【課題を解決するための手段】本発明は上記課題を解決
するために以下の構成より成るものである。すなわち、
食品を収納するオーブンと、前記オーブン内に設けられ
た取り出し自在のオーブン皿と、このオーブン皿を加熱
する為の電気的または磁気的エネルギーを前記オーブン
皿に供給する電力供給手段と、前記電力供給手段を制御
してオーブン皿の温度を所定温度に調節する皿温度調節
手段とを備える構成としたものである。

【００１０】また、皿温度調節手段に時限要素を設け、
電力供給手段の動作を時間的に制御してオーブン皿の温
度を所定温度に調節する構成としたものである。

【００１１】さらに、皿温度調節手段にオーブン皿温度
を検出する温度検出手段を設け、電力供給手段の動作を
前記温度検出手段の信号に基づいて制御しオーブン皿の
温度を所定温度に調節する構成としたものである。

【００１２】そして、皿温度調節手段に食品の種類に応
じてオーブン皿の所定温度を設定する温度設定手段を設
け、前記食品の種類や量等の食品情報の入力指令信号ま
たは前記食品情報を判別する食品情報判別手段の信号に
基づいて所定温度の値を設定する構成としたものであ
る。

【００１３】さらにまた、食品の種類や量等の食品情報
の入力指令部又は食品情報を判別する食品情報判別手段
を設けると共に、前記入力指令部又は食品情報判別手段
の信号に基づいて電力供給手段を制御しオーブン皿の温
度と加熱時間とを調節する加熱制御部とを備える構成と
したものである。

【００１４】

【作用】上記構成により本発明は以下のような作用を果
たすものである。すなわち、オーブンと、オーブン皿
と、電力供給手段と、皿温度調節手段とを備え、電力供
給手段がオーブン皿に電気的又は磁気的エネルギーを与
えて加熱すると共に、皿温度調節手段が電力供給手段を
制御して前記エネルギーの大きさを調整しオーブン皿の
温度を所定の値に調節する。したがって、オーブン皿の
温度は調理される食品の種類や量に応じて自動的に所定
の温度に、あるいは使用者の好みに応じた所望の温度に
自動的に調節されるものである。

【００１５】また、皿温度調節手段に時限要素を設け、
電力供給手段の動作を時間的に制御してオーブン皿の温
度を所定温度に調節する構成により、食品の種類や量あ
るいは使用者の好みに応じて、電力供給手段からオーブ
ン皿に供給されるエネルギーの大きさを連続又は断続制
御により時間的に調節し、結果として食品を自動的に所
望の温度に調節するものである。

【００１６】さらに、皿温度調節手段にオーブン皿温度
を検出する温度検出手段を設け、電力供給手段の動作を
前記温度検出手段の信号に基づいて制御しオーブン皿の
温度を所定温度に調節する構成とすることにより、食品
の種類や量あるいは使用者の好みに応じて、温度検出手
段の信号に基づき皿温度調節手段が電力供給手段からオ
ーブン皿に供給されるエネルギーの大きさを連続又は断
続制御により調節し、結果として食品を自動的に所望の
温度に調節するものである。

【００１７】そして、皿温度調節手段に食品の種類に応
じてオーブン皿の所定温度を設定する温度設定手段を設
け、前記食品の種類や量等の食品情報の入力指令信号ま
たは前記食品情報を判別する食品情報判別手段の信号に
基づいて所定温度の値を設定する構成により、使用者が
入力した食品情報あるいは装置に設けられた食品情報判
別手段の判別結果に基づき、温度設定手段がオーブン皿
の好ましい設定温度を設定するものであり、皿温度調節
手段が電力供給手段を制御してエネルギーの大きさを調
整しオーブン皿の温度を前記設定温度に調節する。した
がって、オーブン皿の温度は調理される食品の種類や量
に応じて自動的に前記設定温度に調節されるものであ
る。

【００１８】さらにまた、食品の種類や量等の食品情報
の入力指令部又は食品情報を判別する食品情報判別手段
を設けると共に、前記入力指令部又は食品情報判別手段
の信号に基づいて電力供給手段を制御しオーブン皿の温
度と加熱時間とを調節する加熱制御部とを備える構成に
より、入力指令部又は食品情報判別手段からの信号に基
づいて、加熱制御部がオーブン皿の温度を所望の値に調
節すると共にオーブン皿をその温度に維持して食品を加
熱する時間を調節し、オーブン皿による食品加熱の制御
を行い自動的に食品加熱調理を実行し完了するものであ
る。

【００１９】

【実施例】以下本発明の実施例を図面を参照して説明す
る。

【００２０】図１は本発明の一実施例を示す構成断面図
であり、図８と同符号のものは相当する構成要素であ
る。

【００２１】同図において、オーブン壁５の上面壁に
は、断熱部材１３を介して高周波磁界発生手段５０がオ
ーブン壁５に略並行に配置されている。高周波磁界発生
手段５０の上部にはさらに遮蔽手段５１が配置され、高
周波漏れ磁界が筐体１を加熱したり、オーブンレンジの
外部の他の電子機器に対する不要輻射ノイズの影響を与
える事を防止している。高周波磁界発生手段５０は、電
力変換器８により高周波電力を受けオーブン壁５の上面
壁を加熱し、食品４を上方から輻射加熱するものであ
る。また、遮蔽手段５１はアルミなどの非磁性材料やフ
ェライトなどの高透磁率材料などを用いて構成されてい
る。このオーブン壁５の上面加熱は、このようないわゆ
る誘導加熱でもよいし、図８のような従来のヒータ１１
でもよいが、図１の構成により、より速い加熱と高耐熱
高絶縁構成のオーブン壁上面加熱を行うことができる。

【００２２】５２はオーブン５に対して取り出し自在に
構成されたオーブン皿であり、食品４がその上に置かれ
ている。５３、５４はオーブン皿５２の被誘導コイル５
５に電力を誘導するための誘導コイルであって、電力変
換器８と共に電力供給手段５６を構成している。図のよ
うにオーブン皿５２が上段の設置位置に設置された場合
は、誘導コイル５３により電力供給され、オーブン皿５
２の被誘導コイル５５に例えば２０〜５００KHz の高周
波電力が誘導される。この誘導コイル５３の出力は、オ
ーブン皿５２に埋め込まれたヒータ５７に供給されてオ
ーブン皿５２自身が加熱される。また、オーブン皿５２
が下段の設置位置に設置された場合は、誘導コイル５４
により電力供給される。

【００２３】図２はこのオーブン皿５２の構成を示す３
面図である。図のように、ヒータ５７は薄いリボン状ま
たは線状の発熱体であり、高熱伝導性のセラミックより
成るオーブン皿５２に埋め込まれている。また、被誘導
コイル５５も図のようにオーブン皿５２の脚部５８の一
方に埋め込まれている。したがって、オーブン皿５２の
外観は何らの電気接点を有しておらず、美しい外観、洗
浄が簡単、オーブン５への設置などの取扱いが容易、高
信頼性、といった特長がある。

【００２４】図３は誘導コイル５３、被誘導コイル５５
のさらに詳しい実施構成例を示す断面図である。誘導コ
イル５３は、Ｕ型フェライトコア５９の両脚に設けた２
つのコイル６０、６１を電気的に直列に接続し、端子６
３、６４間に電力変換器８からの高周波電力を供給され
る構成となっている。そしてこれらの構成部品はセラミ
ック材料で埋められて誘導コイル５３を構成している。
一方、被誘導コイル５５も、誘導コイル５３と同様に構
成され、Ｕ型フェライトコア６５の両脚に設けた２つの
コイル６６、６７を電気的に直列に接続し、ヒータ５７
に高周波電力を供給してヒータ５７を発熱させる構成と
なっている。オーブン皿５２がオーブン５に設置される
と、図のようにフェライトコア５９と６５とが互いに面
対象に位置するようになっており、誘導コイルにより発
生した高周波磁束は被誘導コイル５５のフェライトコア
６５に大きな漏れ磁束を生じる事なく伝達される。した
がってオーブン壁５などを誘導加熱して効率や信頼性あ
るいは安全性の低下を生じることがない。この実施例に
おいては、誘導コイル５３、被誘導コイル５５は、コア
５９、６５を用いているが、これらのコイルの大きさや
形状によっては必ずしもコア（磁心）が必要ではなく、
特に高周波であれば小型コイルを用いることができるの
で単なる空心コイルであってもよい。

【００２５】このような構成のオーブン皿５２の加熱制
御システムは以下のような構成である。図１及び図４に
おいて、電力変換器８、誘導コイル５３、５４より成る
電力供給手段５６は、加熱制御部７０の皿温度調節手段
７１によりオーブン皿５２への電力供給を制御される。
皿温度調節手段７１は、温度検出手段７２、温度設定手
段７３、時限要素７４を備え、オーブン皿５２の温度を
温度検出手段７２により検出し、温度設定手段７３によ
り設定された所望の温度に時限要素７４を用いて時間制
するものである。また、入力指令部７５は加熱制御部７
０に対して使用者からの入力指令を与えるものであり、
食品４の種類、量、あるいは好みの温度等の指令情報を
与えるものである。この入力指令部７５の代わりに、食
品４の種類、量、あるいは使用者の好み等をイメージセ
ンサ、温度センサ、重量センサ等（図示せず）の信号を
ファジーやニューロ推論処理を用いて処理する食品情報
判別手段を用いることも可能である。

【００２６】図５は図１及び図４の加熱調理装置の一実
施回路図であり、図１、図４と同符号のものは相当する
構成要素である。

【００２７】図５において、電力変換器８は、トランジ
スタ３３、トランス３２などより成るインバータ回路と
同等の第２のインバータ回路を有している。第２のイン
バータ回路は、加熱制御部２１により制御されるリレー
接点９０により電力を受け、ダイオードブリッジ９１、
インダクタ９２、コンデンサ９３、９４、トランジスタ
９５、ダイオード９６、制御回路９７、およびカレント
トランンス９８よりなる高周波スイッチング回路であ
る。オーブン５の上面の高周波磁界発生手段である加熱
コイル５０は、リレー接点９９が閉じられると高周波電
流が供給される。また、オーブン皿５２の被誘導コイル
（図示せず）に高周波電力を供給する誘導コイル５３
は、リレー接点１００が閉じられた時高周波電流が供給
される構成である。このような構成により、１つのイン
バータ回路により、オーブン上面の加熱コイル５０と誘
導コイル５３を同時に、または切り替えて動作させ、加
熱調理を行う事ができる。また、同時にマグネトロン６
による誘電加熱調理も、加熱コイルによる加熱動作と切
り替えまたは同時に行う事ができるものである。

【００２８】加熱制御部７０は、マイクロコンピュータ
等を用いて図４に示した皿温度調節手段７１、温度設定
手段７３、時限要素７４を含んで構成されており、入力
指令部７５からの信号を受けて加熱調理制御を行う。

【００２９】図６は加熱制御部７０によるオーブン皿５
２の加熱制御シーケンスの一例である。入力指令部７５
からの信号により食品４の種類や量等の食品情報が決定
すると、加熱制御部７５の皿温度調節手段７１はその加
熱アルゴリズムを決定する。すなわち、図６におけるt
1、t2、t3、t4、T1、T2をあらかじめ定めたルールに従
って決定し、誘導コイル５３から被誘導コイル５５に供
給されるエネルギーを図６のように断続制御により調節
する。食品の種類や量等の食品情報がわかれば皿温度検
出手段７２によりT1、T2を測定すること無しに、時限要
素７４のみの利用によりt1、t2、t3、t4のみを調節して
図６の加熱アルゴリズムを実現することも可能であり、
この場合は皿温度検出手段７２が不要になりより安価で
簡単な構成となる。

【００３０】図７は電力供給手段５６からオーブン皿５
２に供給される加熱エネルギーの調節を断続制御ではな
く、連続制御により行うようにした場合の実施例であ
る。t1期間の間は加熱制御部７０は制御回路９７に対し
て最大出力動作指令を与え、第２のインバータ回路は最
大出力動作しオーブン皿５２には最大エネルギーが供給
される。次のt2期間は温度検出手段７２の信号を温度設
定手段７３の信号と比較し設定値T1になるようトランジ
スタ９５の導通時間（スイッチング周波数）を制御して
エネルギーを連続的に減少する。次にt3期間は所定の温
度T2迄オーブン皿５２の温度が低下するまでエネルギー
を零にし、冷却あるいは食品の熟成等を行う。このよう
にしてt4期間のすべてが完了したとき加熱制御部７０は
調理終了の報知を音又は光り等の表示手段（図示せず）
により行い調理加熱動作を終了するものである。

【００３１】以上に述べたように、本発明のオーブン皿
５２を有する図１のオーブンレンジは、高周波磁界発生
手段５０により加熱されたオーブン５の上面壁からの輻
射熱が強い事が必要な調理（グリル調理）の場合は、オ
ーブン皿５２は図１のように上段に設置され、ケーキ調
理のような比較的低い温度（１５０〜２００℃程度）で
行うオーブン調理の場合は、下段にオーブン皿５２を設
置して調理を行うことができる。本発明のオーブンレン
ジは、食品が置かれたオーブン皿を直接加熱する構成で
ある。このため、食品はオーブン５内の空気の温度上昇
やオーブン上面（食品から遠い位置にある）からの輻射
による加熱のみでなく、食品に近接したオーブン皿５２
によって加熱される。したがって、食品の加熱スピード
は従来のオーブンレンジに比べて著しく早くなる。発明
者らの実験によれば、従来の図８のオーブンレンジに対
する図１または図２のオーブンレンジの加熱スピード
は、食品によって差があるが、３０％〜７０％も時間短
縮された。すなわち、食品によれば従来の以下の短時
間でスピード調理が可能なオーブンレンジを実現するこ
とができるのである。しかもオーブン皿の温度は食品の
種類や量に応じた最適な温度に自動的に調整することが
できるので調理失敗がなく、かつ、スピード調理が可能
である。

【００３２】また、従来は困難であったフライパン調理
等のような高温加熱調理（たとえばハンバーグ等）も容
易に可能となる。また、オーブン内で油の飛び散る調理
が可能となるので台所を汚さない、しかも、温度調節が
確実で調理失敗が防止される上に過加熱による発火等の
危険性を確実に防止した新しい加熱調理器を実現でき
る。

【００３３】さらに、オーブン皿５２は、オーブンから
の取り出しが簡単にできるので、設置位置の変更や掃除
が非常に簡単である。また、調理終了後、食卓などへそ
のまま持ち運ぶことも容易であり、食卓に直結した新し
い調理機器を実現する事ができると共に、オーブン皿が
加熱されているので食品の保温効果がある。特に、オー
ブン皿５２の温度が食品に応じて調節されるので、調理
のできばえやおいしさが良好に維持され、かつ、持ち運
びに危険のない温度に調節することが可能であるので極
めて安全である。

【００３４】このように、オーブン皿５２とオーブン５
の上面の加熱手段（高周波磁界発生手段）５０とマグネ
トロン６とを組み合わせて制御し、食品を加熱調理する
ことにより、さらに調理スピードが早く、かつ、従来困
難であった新たな種類の調理が可能な加熱調理装置を実
現する事ができる。特に、上面の加熱手段やマグネトロ
ンとの組み合わせによる複合加熱調理を行う場合には、
オーブン皿５２の温度を複合調理に適した温度に容易に
調節できるのでさらに優れた調理性能を発揮することが
できる。

【００３５】

【発明の効果】以上説明したように本発明の加熱調理装
置は、以下に述べる効果を有するものである。

【００３６】オーブン内に設けられた取り出し自在のオ
ーブン皿自身を直接加熱して食品の加熱調理を大幅にス
ピードアップすることができると共に、オーブン皿上に
置かれた食品を比較的低電力で従来以上に高温加熱する
ことを可能ならしめ、しかもその温度を食品に応じて任
意にしかも確実に調節可能である。したがって、オーブ
ン皿を所望の温度に加熱して、通常のオーブン調理のみ
ならず鉄板加熱調理等の従来のオーブンでは困難な加熱
調理をも可能とするものである。また、加熱されたオー
ブン皿のまま食品を食卓に移動できるので、食品の保温
を可能とした食卓用の大皿としての使用も可能とし、さ
らに洗浄もきわめて簡単に行える加熱調理装置を提供で
きるものである。

【００３７】また、時限要素を設け、時間制御を行って
オーブン皿の加熱電力を調節することにより、オーブン
皿の温度を食品に応じた最適な温度に簡単に調節し、オ
ーブン皿を所望の温度に加熱して、通常のオーブン調理
のみならず鉄板加熱調理等の従来のオーブンでは困難な
加熱調理をも簡単に可能とするものである。

【００３８】さらに、オーブン皿の温度検出手段を設
け、この信号により電力供給手段の動作を制御すること
により、確実にオーブン皿の温度を調節し所望の温度に
なるよう供給エネルギーを調節することができる。従っ
て、食品に応じた最適な温度に確実に調節し、特に微妙
な温度制御を要する通常のオーブン調理や鉄板加熱調理
等の従来のオーブンでは困難な加熱調理をも簡単しかも
確実にに可能とするものである。

【００３９】さらにまた、皿温度設定手段により食品の
種類や量、さらには使用者の好みに応じた温度にオーブ
ン皿の温度を調節できるので、通常のオーブン調理や鉄
板加熱調理等の従来のオーブンでは困難な加熱調理を、
しかも多様な使い方に対応して可能成らしめるものであ
る。

【００４０】そしてまた、入力指令部または食品情報判
別手段の信号に基づいて加熱制御部がオーブン皿温度と
加熱時間を制御する構成により、通常のオーブン調理や
鉄板加熱調理等の従来のオーブンでは困難な加熱調理を
食品に応じてしかも自動的に最適温度と時間で調節する
ことができる加熱調理装置を実現できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例の加熱調理装置の構成断面図

【図２】図１のオーブン皿の一実施例の構造図

【図３】図２のオーブン皿の誘導コイルと被誘導コイル
の一実施例の断面図

【図４】図１の加熱調理装置の一実施例のブロック図

【図５】図１の加熱調理装置の一実施例の回路図

【図６】図１の加熱調理装置の一実施例の加熱制御動作
説明図

【図７】図１の加熱調理装置の他の実施例の加熱制御動
作説明図

【図８】従来の加熱調理装置の構成断面図

【図９】図８の従来の加熱調理装置の回路図

【図１０】図８の加熱調理装置のヒーター部の断面図

【符号の説明】

５オーブン（オーブン壁）８電力変換器（高周波電力変換器）５２オーブン皿５６、７５電力供給手段７０加熱制御部７１皿温度調節手段７２温度検出手段７３温度設定手段７４時限要素７５入力指令部又は食品情報判別手段

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】食品を収納するオーブンと、前記オーブン
内に設けられた取り出し自在のオーブン皿と、このオー
ブン皿を加熱する為の電気的または磁気的エネルギーを
前記オーブン皿に供給する電力供給手段と、前記電力供
給手段を制御してオーブン皿の温度を所定温度に調節す
る皿温度調節手段とを備えた加熱調理装置。
【請求項２】皿温度調節手段に時限要素を設け、電力供
給手段の動作を時間的に制御してオーブン皿の温度を所
定温度に調節する構成の請求項１記載の加熱調理装置。
【請求項３】皿温度調節手段にオーブン皿温度を検出す
る温度検出手段を設け、電力供給手段の動作を前記温度
検出手段の信号に基づいて制御しオーブン皿の温度を所
定温度に調節する構成の請求項１記載の加熱調理装置。
【請求項４】皿温度調節手段に食品の種類に応じてオー
ブン皿の所定温度を設定する温度設定手段を設け、前記
食品の種類や量等の食品情報の入力指令信号または前記
食品情報を判別する食品情報判別手段の信号に基づいて
所定温度の値を設定する構成の請求項１記載の加熱調理
装置。
【請求項５】食品の種類や量等の食品情報の入力指令部
又は食品情報を判別する食品情報判別手段を設けると共
に、前記入力指令部又は食品情報判別手段の信号に基づ
いて電力供給手段を制御しオーブン皿の温度と加熱時間
とを調節する加熱制御部とを備えた請求項１記載の加熱
調理装置。