JP2907740B2 - 斜角プレストレストボックスカルバート及び斜角ボックスカルバートへのプレストレス導入方法 - Google Patents

斜角プレストレストボックスカルバート及び斜角ボックスカルバートへのプレストレス導入方法

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JP2907740B2 JP6319302A JP31930294A JP2907740B2 JP 2907740 B2 JP2907740 B2 JP 2907740B2 JP 6319302 A JP6319302 A JP 6319302A JP 31930294 A JP31930294 A JP 31930294A JP 2907740 B2 JP2907740 B2 JP 2907740B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、斜角ボックスカルバー
ト及びこの斜角ボックスカルバートへのプレストレス導
入方法に関する。
【0002】
【従来の技術】荷重による曲げモーメントが大きい頂版
及び底版に、PC鋼材等の緊張材によってプレストレス
を加えたプレストレストコンクリート製プレキャストボ
ックスカルバートが、道路下に埋設される下水道用、水
路用等に広く使用されており、とくに、敷設路線中の屈
曲部や曲線部、また既設構造物との取り付け部等におい
ては、いわゆる斜角ボックスカルバートが使用されてい
る。
【0003】プレストレスを効果的に作用させ、強度の
高いボックスカルバートを得るためには、ボックスカル
バートの頂版及び底版全体にプレストレスを導入するこ
とが必要であり、とくに斜角ボックスカルバートは、荷
重による応力が集中し易く、高い強度が要求されること
から、斜角ボックスカルバート全体にプレストレスを導
入するためのPC鋼材の配置が望まれている。
【0004】ところで、PC鋼材を緊張してプレストレ
スを導入するために使用されるジャッキは、PC鋼材の
端部に取り付けられ、ボックスカルバートの側壁外面に
反力をとって使用されている。このため、PC鋼材とボ
ックスカルバートの側壁外面とが直交するようにPC鋼
材は配置されている。ところが、斜角ボックスカルバー
トにプレストレスを導入する場合、頂版及び底版に配設
するすべてのPC鋼材をボックスカルバートの側壁外面
に対して直交させることはできない。
【0005】このため、斜角ボックスカルバートにプレ
ストレスを導入する場合、従来は、PC鋼材の端部にジ
ャッキを装着し、ジャッキと斜角ボックスカルバートの
側壁外面との間に楔を打ち込むことによって対処してい
る。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、プレス
トレスを導入する度に楔を使用することは、施工の煩雑
さや、PC鋼材の配設状況に応じた種々の形状の楔が必
要になる等の問題がある。
【0007】そこで本出願人は、楔を必要とすることな
くプレストレスの導入が可能な斜角ボックスカルバート
を開発し、特開平6−123127号にて開示した。こ
の斜角ボックスカルバートは、ボックスカルバートの側
壁面に直交する軸線に対し傾斜させてPC鋼材を配設
し、さらに同PC鋼材の端面部における側壁外面に、P
C鋼材の配設軸に対して直交するジャッキ取り付け用の
反力面を形成したもので、ジャッキでプレストレスを導
入する際に、この反力面にジャッキの反力をとるように
したものである。
【0008】この斜角ボックスカルバートによれば、楔
等の治具を必要とすることなく、斜角ボックスカルバー
ト全体にプレストレスの導入が可能となる。
【0009】しかし、この斜角ボックスカルバートは、
前記反力面を形成するために側壁外面に段差と傾斜面を
形成する必要がある。そのために、平坦面と、これと連
続して前記反力面形成用の傾斜面を一体成形した専用の
型枠を用いる必要があり、製造コストが高くなるという
問題がある。また、製造の際の脱枠時に側壁外面の段差
が欠けたり、製造後の搬送の際に傾斜面が損傷したりし
て、プレストレスの導入時に、傾斜面をジャッキの反力
面として使用するときに支障が生じるなどの問題があ
る。
【0010】本発明において解決すべき課題は、斜角ボ
ックスカルバートの側壁面を従来のように段差なく直線
状に形成したままで、しかも楔を要することなく斜め方
向のプレストレス導入を可能にすることにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記課題を達成するため
の本発明の斜角プレストレストボックスカルバートは、
少なくとも何れかの端面部を傾斜させて形成した斜角プ
レストレストボックスカルバートにおいて、前記ボック
スカルバートの側壁面を平面状に形成すると共に、同平
面状側壁面に直交する軸線に対し傾斜させて緊張材を配
設し、さらに同緊張材の端面部における側壁内面にジャ
ッキ挿入用の凹陥部を形成し、同凹陥部に前記緊張材の
配設方向と直交するジャッキ反力面を形成したことを特
徴とする。
【0012】また、上記課題を達成するための本発明の
斜角ボックスカルバートへのプレストレス導入方法は、
斜角ボックスカルバートの側壁に凹陥部を形成し、同凹
陥部に斜角ボックスカルバート内部に配設した緊張材の
端部を突出させ、さらに、同凹陥部内に前記緊張材の軸
線に直交させてアンカープレートを取り付け、平坦面を
先端に形成したジャッキの先端部を前記凹陥部内に挿入
して前記アンカープレートに前記ジャッキ先端の平坦面
をを当接させて、前記緊張材を前記ジャッキにより緊張
することを特徴とするプレストレス導入方法である。
【0013】
【作用】本発明の斜角ボックスカルバートにおいては、
側壁に凹陥部を形成し、この凹陥部に緊張材の配設方向
と直交するジャッキ反力面を形成したことにより、プレ
ストレスを導入する際にジャッキの先端部を凹陥部に挿
入して、前記反力面にジャッキの反力をとることが可能
になる。
【0014】本発明のプレストレス導入方法によってジ
ャッキにより緊張材を緊張するとき、ジャッキ先端の平
坦面が斜角ボックスカルバート側壁の凹陥部内のアンカ
ープレートに当接し、このアンカープレートがジャッキ
の反力面として作用する。
【0015】
【実施例】図1は本発明の実施例である斜角ボックスカ
ルバートの斜視図、図2は斜角ボックスカルバートの緊
張材の配設状態を示す平面図である。
【0016】1は長辺がLl 、短辺がLs の、片方に傾
斜がついた斜角ボックスカルバートで、頂版2及び底版
3には、それぞれ図2に示すように、緊張材として19
mmの4本のPC鋼材P1 〜P4 が配設されている。
【0017】図2に示す最上部のPC鋼材P1 は、斜角
ボックスカルバート1の側壁4の外面4aに直交する軸
線X−Xと平行に配設され、PC鋼材P2 は軸線X−X
に対し角度α傾斜させ、さらにPC鋼材P3 ,P4 はそ
れぞれ角度β,γ傾斜させて配設されている。
【0018】PC鋼材P1 〜P4 の一方の端部は、それ
ぞれ定着具5によって斜角ボックスカルバート1に定着
され、PC鋼材P1 〜P4 の他方の端部は、斜角ボック
スカルバート製造時に、側壁4に形成された凹陥部6a
〜6d内にそれぞれ突出した状態になっている。
【0019】側壁4に形成された凹陥部6a〜6dは、
図3に示すように、PC鋼材P1 〜P4 の突出端部を把
持するジャッキ10の先端部10aを挿入するための凹
陥部である。この凹陥部6a〜6dの底面7a〜7d
(図3では7a〜7cのみを示す)を、PC鋼材P1
4 の軸線と直交する面とし、この底面7a〜7dに密
接してアンカープレート8a〜8dを凹陥部6a〜6d
内に取り付ける。アンカープレート8a〜8dの中央部
には、PC鋼材P1 〜P4 が通る孔が形成されており、
PC鋼材P1 〜P4 の端部を通して凹陥部6a〜6dの
底面7a〜7dに密接させた状態で、アンカープレート
8a〜8dはPC鋼材P1 〜P4 の軸線と直交する状態
となる。
【0020】ジャッキ10でPC鋼材P1 〜P4 を緊張
するときは、図3に示すように、ジャッキ10の先端部
10aをそれぞれの凹陥部6a〜6dに挿入し、PC鋼
材P1 〜P4 の端部を把持して緊張する。
【0021】ジャッキ10の先端部10aは、その先端
が、アンカープレート8a〜8dの面に密接するように
平坦面10bに形成されており、図3に示すようにジャ
ッキ10の先端部10aを凹陥部6a〜6dに挿入して
先端の平坦面10bがアンカープレート8a〜8dの面
に密接したとき、ジャッキ10の軸線とPC鋼材P1
4 の軸線とが一致する。
【0022】この状態でジャッキ10を作動させれば、
アンカープレート8a〜8dの面がジャッキ10の反力
面となり、従来と同様な手順でPC鋼材P1 〜P4 を緊
張させることができる。
【0023】このように、本実施例の斜角ボックスカル
バートにおいては、側壁4に凹陥部6a〜6dを形成
し、この凹陥部6a〜6dにPC鋼材P1 〜P4 の配設
方向と直交させてアンカープレート8a〜8dを取り付
けたので、凹陥部6a〜6dにジャッキ10の先端部1
0aを挿入し、ジャッキ先端の平坦面10bをアンカー
プレート8a〜8dに当接させることにより、アンカー
プレート8a〜8dをジャッキ反力面とすることができ
る。
【0024】これにより、斜角ボックスカルバート1の
側壁面4aを段差なく直線状に形成したままで、しかも
楔を要することなく、斜角ボックスカルバート1にプレ
ストレスを導入することができる。
【0025】図4は本実施例の斜角ボックスカルバート
1を製造するための型枠の一部で、図1の斜角ボックス
カルバート1の側壁4の上段(または下段)の凹陥部6
a〜6dを形成するための補助型枠を示す斜視図であ
る。この型枠11は、平坦部12の4箇所に凹陥部6a
〜6dに対応した突起部13a〜13dを形成したもの
である。この型枠11を斜角ボックスカルバート型枠の
所定位置に配置してコンクリートを流し込むことによ
り、凹陥部6a〜6dを他の部分とともに一体成形する
ことができる。
【0026】また、このような4個の突起部13a〜1
3dを連続形成した型枠11と異なり、たとえば、凹陥
部6a〜6dのそれぞれの形状に応じた独立した抜き型
枠を形成し、それぞれの型枠を斜角ボックスカルバート
型枠の所定位置に配置することによっても凹陥部6a〜
6dを形成することができる。このように異なる形状の
凹陥部に対応した個別の型枠を準備しておくことによっ
て、斜角ボックスカルバート自体の寸法やPC鋼材の配
設条件によって変わる凹陥部の形状の変化に対しても、
個別の型枠の組合せによって対応することができる。
【0027】
【発明の効果】本発明によって以下の効果を奏すること
ができる。
【0028】(1)斜角PCボックスカルバートの基本
形状を変えることなく、かつ楔を必要とすることなく、
斜角PCボックスカルバート全体にプレストレスを効果
的に導入することができる。
【0029】(2)斜角PCボックスカルバートを製造
するための型枠として特別の型枠を必要とせず、従来の
型枠がそのまま使える。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例における斜角ボックスカルバー
トの斜視図である。
【図2】斜角ボックスカルバートの緊張材の配設状態を
示す平面図である。
【図3】ジャッキで緊張材を緊張しているときの状態を
示す部分拡大図である。
【図4】斜角ボックスカルバートを製造するための補助
型枠の斜視図である。
【符号の説明】
1 斜角ボックスカルバート 2 頂版 3 底版 4 側壁 4a 側壁外面 5 定着具 6a〜6d 凹陥部 7a〜7d 凹陥部の底面 8a〜8d アンカープレート 10 ジャッキ 10a ジャッキ先端部 10b ジャッキ先端の平坦面 11 型枠 12 平坦部 13a〜13d 突起部 P1 〜P4 PC鋼材

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも何れかの端面部を傾斜させて
    形成した斜角プレストレストボックスカルバートにおい
    て、前記ボックスカルバートの側壁面を平面状に形成す
    ると共に、同平面状側壁面に直交する軸線に対し傾斜さ
    せて緊張材を配設し、さらに同緊張材の端面部における
    側壁内面にジャッキ挿入用の凹陥部を形成し、同凹陥部
    に前記緊張材の配設方向と直交するジャッキ反力面を形
    成したことを特徴とする斜角プレストレストボックスカ
    ルバート。
  2. 【請求項2】 斜角ボックスカルバートの側壁に凹陥部
    を形成し、同凹陥部に斜角ボックスカルバート内部に配
    設した緊張材の端部を突出させ、さらに、同凹陥部内に
    前記緊張材の軸線に直交させてアンカープレートを取り
    付け、平坦面を先端に形成したジャッキの先端部を前記
    凹陥部内に挿入して前記アンカープレートに前記ジャッ
    キ先端の平坦面をを当接させて、前記緊張材を前記ジャ
    ッキにより緊張することを特徴とする斜角ボックスカル
    バートへのプレストレス導入方法。
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