JP2935656B2 - 継ぎボルト受入空間形成用具 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、相対する一対の主
桁、相対する一対の継手板およびスキンプレートを有す
る箱体にコンクリートを充填してなるトンネル覆工用セ
グメントに設けられる前記主桁または前記継手板の継手
ボルト孔に連なる継ぎボルト受入空間を形成するための
用具に関する。

【０００２】

【従来の技術】前記箱体にコンクリートを充填してなる
セグメントには、その主桁または継手板にトンネルの軸
線方向または周方向にセグメントを相互に連結するため
の継ぎボルトが通される継手ボルト孔が設けられ、ま
た、前記コンクリート中に前記継ぎボルトの締結作業に
必要な継ぎボルト受け入れ空間が設けられる。

【０００３】従来、継ぎボルト受け入れ空間を形成する
ため、前記継手ボルト孔を閉鎖すべく前記箱体内に配置
される、前記継手ボルト孔と整合可能のねじ穴を有する
ブロックと、前記継手ボルト孔から前記ブロックのねじ
穴に挿入されかつ螺合されるボルトとからなる形成用具
が用いられている。

【０００４】前記従来の形成用具によれば、前記ボルト
のねじ込みにより前記ブロックを箱体に締結し、また、
ボルトを緩めて前記ブロックの締結を解除することによ
り、前記箱体に前記ブロックを取り付けまた取り外すこ
とができる。しかし、ボルトのねじ込みの間、前記ブロ
ックを前記箱体内の所定位置に保持しなければならない
こと、全てのブロックの締結およびその解除に時間を要
すること、養生の間に前記ブロックのねじ穴に侵入し、
そのねじ溝に付着、固化したコンクリート成分を除去す
る、再使用のための清掃に時間を要する等の欠点があ
る。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、箱体
内の所定位置へのブロックの配置または撤去が容易であ
る継ぎボルト受入空間形成用具を提供することにある。
本発明の他の目的は、箱体内の所定位置へのブロックの
配置または撤去を短時間で行なうことができる継ぎボル
ト受入空間形成用具を提供することにある。本発明のさ
らに他の目的は、再使用のための清掃に時間を要しない
継ぎボルト受入空間形成用具を提供することにある。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明は、相対する一対
の主桁、相対する一対の継手板およびスキンプレートを
有する箱体にコンクリートを充填してなるトンネル覆工
用セグメントに設けられる前記主桁または前記継手板の
継手ボルト孔に連なる継ぎボルト受入空間を形成するた
めの用具であって、前記継手ボルト孔を閉鎖すべく前記
箱体内に配置される、前記継手ボルト孔と整合可能の穴
を有するブロックと、前記ブロックに固定され前記ブロ
ックの穴に整合する孔または切欠きを有する、前記箱体
の主桁または継手板を挟むためのクリップと、前記クリ
ップの孔または切欠きと前記継手ボルト孔とに通されか
つ前記ブロックの穴に挿入されるピンとからなる。

【０００７】前記ブロックは、前記箱体の開放面から前
記スキンプレートに向けて先細であることが望ましい。

【０００８】

【発明の作用および効果】本発明によれば、ブロックを
箱体に取り付けるための手段が、前記ブロックに固定さ
れ前記ブロックの穴に整合する孔または切欠きを有す
る、前記箱体の主桁または継手板を挟むためのクリップ
と、前記クリップの孔または切欠きと前記継手ボルト孔
とに通されかつ前記ブロックの穴に挿入されるピンとか
らなることから、前記クリップで前記主桁または継手板
を挟み込むことにより、前記ブロックをその穴が前記主
桁または継手板の継手ボルト孔に整合するように前記箱
体内の所定の箇所に位置決めかつこれを維持することが
でき、この間に、前記クリップの孔または切欠きから前
記継手ボルト孔および前記ブロックの穴に前記ピンを差
し込み、前記ブロックの前記箱体に対する相対移動を防
止することができる。また、前記箱体内からのブロック
の取り外しは、前記ピンを引き抜き、前記ブロックをコ
ンクリートから引き出しかつ前記クリップを前記主桁ま
たは継手板から取り外すことにより行なうことができ
る。

【０００９】前記ブロックの位置決めおよび前記ピンの
差し込みは、前記従来における箱体内へのブロックの位
置決めおよびその間のボルト締めに比べて、容易かつ短
時間で行なうことができる。前記ブロックの取り外し作
業における前記ピンの引き抜きも、また、前記従来にお
けるボルトを緩めての抜き出しに比べて、容易かつ短時
間で行なうことができる。さらに、コンクリート養生の
間に前記ブロックの穴に侵入し、固化したコンクリート
成分の除去については、従来におけるねじ溝からの除去
に比べて容易でありまた長時間を必要としない。したが
って、従来に比べて、形成用具再使用のための清掃に要
する時間を短縮することができる。

【００１０】前記ブロックを前記箱体の開放面から前記
スキンプレートに向けて先細のものとすることにより、
養生後のコンクリートからの前記ブロックの抜き出しを
容易にし、また、抜き出しに要する時間を短縮すること
ができる。

【００１１】

【発明の実施の形態】図１を参照すると、本発明に係る
複数の継ぎボルト受入空間形成用具（以下「成形用具」
という。）１０が箱体１２に適用されている。図２は、
箱体１２にコンクリート１４を充填してなり、また、本
発明の複数の形成用具１０を用いて形成された継ぎボル
ト受入空間１６を有するトンネル覆工用セグメント１８
を示す。

【００１２】箱体１２は、相対する一対の弧状に伸びる
主桁２０と、主桁２０の両端部に固定され互いに相対す
る一対の継手板２２とを有する。両主桁２０および両継
手板２２は共同して内周面および外周面を有するフレー
ムを構成する。前記フレームにはその外周面を覆うスキ
ンプレート２４が固定されている。箱体１２には、両主
桁２０の補強のための縦リブ２６と複数のロッド２８と
が設けられている。

【００１３】図示の各主桁２０および各継手板２２に
は、それぞれ、覆工されるトンネルの壁面に沿って配置
され該トンネルの軸線方向および周方向に互いに相対す
る一対のセグメント１８を連結するための継ぎボルト
（図示せず）が通される複数の継手ボルト孔３０（図２
参照）が設けられている。本発明の適用において、継手
ボルト孔３０は主桁２０および継手板２２のいずれに設
けられていてもよい。

【００１４】図３〜図５に示すように、成形用具は１０
はゴム材料、金属材料、プラスチック材料等からなるブ
ロック３２と、ブロック３２に固定されたクリップ３４
と、継手ボルト孔３０に挿通可能のピン３６とからな
る。

【００１５】図示のブロック３２は、長円形の一部から
なる平面形状を有する頂面３８および該頂面の平面形状
と相似形をなし、これより小さい平面形状を有する底面
４０と、頂底面３８，４０に連なり湾曲して伸びる第１
の側面４２および平坦な第２の側面４４とを有する。第
１の側面４２は、したがって、頂面３８から底面４０に
向けて（箱体１２に配置された図１で見て、箱体１２の
解放面からスキンプレート２４に向けて）先細に伸びる
（図５参照）。

【００１６】ブロック３２は箱体１２の深さとほぼ同じ
高さ寸法を有し、これが箱体１２内に配置されるとき、
その底面４０がスキンプレート２４に接し、その頂面３
８が箱体１２の解放面上に位置する。ブロック１２の高
さ寸法は、形成される継ぎボルト孔１６の形状、深さ等
に応じて、変更される。また、ブロック３２の外形は、
例えば直方体形状のものに設定することができる。

【００１７】ブロック３２は、その第２の側面４４に解
放する穴４６を有する。ブロック３２の穴４６は、その
第２の側面４４が箱体１２の主桁２０または継手板２２
に接するように箱体１２内に配置されるとき、主桁２０
または継手板２２の継手ボルト孔３０と整合する。ブロ
ック３２の穴４６はブロック３２に埋め込まれた、ピン
３６の外径より大きい内径を有する金属製のスリーブ４
８と、スリーブ４８の端部を塞ぐ金属製の円板５０とで
規定されている。

【００１８】クリップ３４は、ばね鋼からなる細長い板
を逆Ｕ形に折り曲げてなり、互いに相対する両端部５
２，５４の一方においてブロック３２に固定されてい
る。クリップの一端部部５２とこれに相対する他端部５
４との間の間隔は、箱体１２の主桁２０および継手板２
２をそれぞれ挟むことができかつ主桁２０および継手板
２２に対してそれぞればね力を及ぼすことができる大き
さに設定されている。

【００１９】クリップの一端部５２はその先端（下端）
から上方へ伸びる一部分がブロック３２の第２の側面４
４の中央部に埋め込まれかつスリーブ４８の解放端に溶
接され、ブロック３２の第２の側面４４の一部を規定し
ている。このことから、ブロック３２を箱体１２内に配
置するとき、ブロックの第２の側面４４と前記主桁また
は前記継手板との間に段差を生じない。

【００２０】図示の例では、両端部５２，５４の残りの
一部がブロックの頂面３８から上方に突出しており、こ
のため、図示の箱体１２におけるより高さ寸法の大きい
主桁または継手板であってもこれをクリップの両端部５
２，５４間に受け入れることができる。また、ブロック
３２に対するクリップ３４の一端部５２の高さ位置は、
継ぎボルト受入空間の形成態様に応じて定めることがで
きる。

【００２１】クリップ３４の一端部５２と他端部５４と
には、それぞれ、穴４６に整合する孔５６が設けられて
いる。これらの孔５６の直径は、穴４６の直径（スリー
ブ４８の内径）と同じ大きさである。このことから、ク
リップの両孔５６からブロック３２の穴４６にピン３６
を通すことができる。

【００２２】クリップ３４の少なくとも他端部５４に、
孔５６を設けることに代えて、想像線で示す切欠き５７
を設けることができる。図示の切欠き５７は、孔５６が
設けられる部分と、該部分から他端部５４の下端までの
部分とを切り欠いてなり、他端部５４の下端に解放して
いる。

【００２３】ピン３６にはその抜き差し操作を容易にす
べくリング５８が設けられている。

【００２４】セグメント１８を製造する際、各形成用具
１０は、クリップ３４の両端部５２，５４間に箱体１２
の主桁２０または継手板２２が受け入れられかつ両端部
５２，５４の孔５６が継手ボルト孔３０と整合するよう
にクリップ３４を押し下げ、互いに整合する孔５６、継
手ボルト孔３０および穴４６にピン３６を差し込むこと
により、箱体１２内の所定位置に配置、保持され、これ
により箱体１２に取り付けられる。クリップ３４による
主桁２０または継手板２２の挟み付けおよびピン３６の
差し込み作業は容易にかつ迅速に行なうことができる。
ピン３６の差し込みを容易とすべく、その他端部５４の
先端が一端部５２と反対側に折り曲げられている。

【００２５】形成用具１０の取り付け後、箱体１２内に
コンクリートが打設され、養生される。この間、ピン３
６の作用により、ブロック３２が浮き上がらないよう
に、また、外力を受けて移動しないように、所定の箇所
に維持される。

【００２６】養生後、ピン３６を前記孔および穴から引
き出し、クリップ３４を引き上げることにより、ブロッ
ク３２をコンクリート１４内から抜き出し、形成用具１
０を箱体１２から取り外すことができる。図示の例で
は、ブロック３２が先細の形状を有することから、より
容易にまたより小さい力で抜き出すことができる。形成
用具１０の取り外しの際のピン３６の引き抜きおよびブ
ロック３２の抜き出し作業も、また、容易にかつ迅速に
行なうことができる。

【００２７】ピン３６の引き出し後、代わりにこれより
細い棒を孔５６および継手ボルト孔３０を通してブロッ
ク３２の穴４６に差し込み、前記棒の手元の部分を下方
に下げることにより、ブロック３２のコンクリート１４
内からの引き出しを容易にすることができる。前記棒の
手元の部分を下げると、前記棒が継手ボルト孔３０の下
縁部を支点として回転し、その先端がブロック３２の穴
の上面に当たり、ブロック３２に対して上方向力を及ぼ
し、ブロック３２を押し上げるからである。クリップ３
４の他端部５４に、切り欠き５７を設けるときは、前記
棒の手元の部分を、孔５６とする場合に比べてより下方
に下げることができるため、ブロック３２をより高く押
し上げることができる。

【００２８】養生中にブロック３２の第２の周面４４と
主桁２０または継手板２２との間から穴４６内に侵入
し、固化したセメントミルクのようなコンクリート成分
は、穴４６内にピン３６を受け入れることができるよう
に該穴を規定するスリーブ４８内から掻き出すことによ
り、形成用具１０を再使用に供することができる。な
お、図１および図の符号６０は、セグメント１６の設置
後に該セグメントとトンネル壁面との間に供給される裏
込め注入材のための注入孔を示す。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の継ぎボルト受入空間形成用具が取り付
けられた箱体の斜視図である。

【図２】継ぎボルト受入空間形成用具を用いて形成され
たセグメントの斜視図である。

【図３】継ぎボルト受入空間形成用具の斜視図である。

【図４】継ぎボルト受入空間形成用具の部分縦断面図で
ある。

【図５】継ぎボルト受入空間形成用具側面図である。

【符号の説明】

１０ 継ぎボルト受入空間形成用具 １２ 箱体 １６ 継ぎボルト受入空間 １８ トンネル覆工用セグメント ２０，２２，２４ 主桁、継手板およびスキンプレート ３０ 継手ボルト孔 ３２，４６ ブロックおよびその穴 ３４，５６ クリップおよびその孔 ３６ ピン

Claims (2)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 相対する一対の主桁、相対する一対の継
   手板およびスキンプレートを有する箱体にコンクリート
   を充填してなるトンネル覆工用セグメントに設けられる
   前記主桁または前記継手板の継手ボルト孔に連なる継ぎ
   ボルト受入空間を形成するための用具であって、前記継
   手ボルト孔を閉鎖すべく前記箱体内に配置される、前記
   継手ボルト孔と整合可能の穴を有するブロックと、前記
   ブロックに固定され該ブロックの穴に整合する孔または
   切欠きを有する、前記箱体の主桁または継手板を挟むた
   めのクリップと、前記クリップの孔または切欠きと前記
   継手ボルト孔とに通されかつ前記ブロックの穴に挿入さ
   れるピンとからなる、継ぎボルト受入空間形成用具。
2. 【請求項２】 前記ブロックが前記箱体の開放面から前
   記スキンプレートに向けて先細である、請求項１に記載
   の継ぎボルト受入空間形成用具。