JP2893280B2 - 合金細線の製造方法 - Google Patents
合金細線の製造方法Info
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- JP2893280B2 JP2893280B2 JP3248190A JP3248190A JP2893280B2 JP 2893280 B2 JP2893280 B2 JP 2893280B2 JP 3248190 A JP3248190 A JP 3248190A JP 3248190 A JP3248190 A JP 3248190A JP 2893280 B2 JP2893280 B2 JP 2893280B2
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Description
【発明の詳細な説明】 「産業上の利用分野」 本発明は,例えばバネ材やアクチュエータなどに用い
られるTiNi系形状記憶合金細線の製造方法に関するもの
である。
られるTiNi系形状記憶合金細線の製造方法に関するもの
である。
「従来の技術」 TiNi系形状記憶合金の細線の製造は,ダイスを経る引
き抜きによって,主に行われているのが現状である。Ti
Ni合金は加工性が悪いことがよく知られており,通常溶
解鋳造後,熱間加工によって直径5−10mmにされた後,
冷間加工(ダイス引き法)によって所定の寸法に加工さ
れる。ここでTiNi系合金線は加工硬化が激しいために,
繰り返し焼鋭を要する。このため冷間加工に要する費用
はTiNi合金線のコストの大部分を占めるという問題があ
る。
き抜きによって,主に行われているのが現状である。Ti
Ni合金は加工性が悪いことがよく知られており,通常溶
解鋳造後,熱間加工によって直径5−10mmにされた後,
冷間加工(ダイス引き法)によって所定の寸法に加工さ
れる。ここでTiNi系合金線は加工硬化が激しいために,
繰り返し焼鋭を要する。このため冷間加工に要する費用
はTiNi合金線のコストの大部分を占めるという問題があ
る。
近年,ダイス引抜き法のさまざまな問題を一挙に解決
する製造方法,つまり溶解金属から直接金属細線を製造
する2,3の方法による研究が始められつつある状況であ
る。その1つとしてロール急冷法があるがこの方法は溶
融金属を急冷媒体であるロールの表面に噴射して行うた
めに接触した面での偏平化は不可避的である。またロー
ルの表面に丸い溝をつけて、そこに溶融金属を噴射する
ことも研究されているがその小さな溝の中に常時正確に
溶融金属を噴射することが難しく,実用化は程遠い状態
である。このほか,連続鋳造法による試みもおこなわれ
ているが,冷却速度が比較的小さいために,鋳造中にお
ける坩堝材からの不純物混入による経時的組成変動のた
め,形状記憶特性のコントロールが不可能であることが
大きな問題点として現存したままになっている。
する製造方法,つまり溶解金属から直接金属細線を製造
する2,3の方法による研究が始められつつある状況であ
る。その1つとしてロール急冷法があるがこの方法は溶
融金属を急冷媒体であるロールの表面に噴射して行うた
めに接触した面での偏平化は不可避的である。またロー
ルの表面に丸い溝をつけて、そこに溶融金属を噴射する
ことも研究されているがその小さな溝の中に常時正確に
溶融金属を噴射することが難しく,実用化は程遠い状態
である。このほか,連続鋳造法による試みもおこなわれ
ているが,冷却速度が比較的小さいために,鋳造中にお
ける坩堝材からの不純物混入による経時的組成変動のた
め,形状記憶特性のコントロールが不可能であることが
大きな問題点として現存したままになっている。
また回転している円筒状ドラム内に,遠心力により水
層を形成し,前記水層中に溶融した鉛をジェットとして
噴射し,凝固させて断面円形な鉛の連続細線を製造する
方法(現在この方法は回転液中紡糸法と呼ばれてい
る。)が昭和53年度日本金属学会・秋季大会の講演予稿
集のタイトルNo.331,特開昭55−64948号公報に記載され
ている。しかしながら,この方法で得られた鉛の連続細
線は冷媒として水を用いているため断面の真円度も低
く,長さ方向の凹凸(いわゆる数珠状態)も大きく,実
用に供せるものではなかった。
層を形成し,前記水層中に溶融した鉛をジェットとして
噴射し,凝固させて断面円形な鉛の連続細線を製造する
方法(現在この方法は回転液中紡糸法と呼ばれてい
る。)が昭和53年度日本金属学会・秋季大会の講演予稿
集のタイトルNo.331,特開昭55−64948号公報に記載され
ている。しかしながら,この方法で得られた鉛の連続細
線は冷媒として水を用いているため断面の真円度も低
く,長さ方向の凹凸(いわゆる数珠状態)も大きく,実
用に供せるものではなかった。
「発明が解決しようとする課題」 しかしながら,この回転液中紡糸法は鉛やアモルファ
スのような低融点金属で初めて適用できるものであっ
て,特にTiNi合金のように,極めて活性であって,かつ
高融点合金の連続細線化は実験研究は進められているも
のの,これまで,せいぜい1mm以下の短線が希に得られ
るといった程度であり,断面の真円度も低す,長さ方向
の凹凸も大きく,断面円形な連続細線には程遠い短線し
か得られていない。
スのような低融点金属で初めて適用できるものであっ
て,特にTiNi合金のように,極めて活性であって,かつ
高融点合金の連続細線化は実験研究は進められているも
のの,これまで,せいぜい1mm以下の短線が希に得られ
るといった程度であり,断面の真円度も低す,長さ方向
の凹凸も大きく,断面円形な連続細線には程遠い短線し
か得られていない。
そこで,本発明者らは,なぜ回転液中紡糸法でTiNi合
金の連続細線が得られないのかを検討した結果,溶融金
属流の表面張力・粘性・冷却速度・冷却媒体との物理
的,化学的作用等が影響していると考えられた。これら
は,相互に関与しており,例えば合金細線の連続性は長
さ方向の凹凸と密接な関係があり,その凹凸は溶融金属
流の表面張力が原因であることが分かってきている。こ
の関係をまとめると溶融紡糸するTiNi合金に適した冷却
媒体を発見することが最大の課題である。具体的には,
紡糸したTiNiの溶融金属と反応して安定な表面を形成す
る冷却媒体であるか,或は,紡糸したTiNi溶融金属と化
学的に非反応性な冷却媒体であるものを発見することで
ある。
金の連続細線が得られないのかを検討した結果,溶融金
属流の表面張力・粘性・冷却速度・冷却媒体との物理
的,化学的作用等が影響していると考えられた。これら
は,相互に関与しており,例えば合金細線の連続性は長
さ方向の凹凸と密接な関係があり,その凹凸は溶融金属
流の表面張力が原因であることが分かってきている。こ
の関係をまとめると溶融紡糸するTiNi合金に適した冷却
媒体を発見することが最大の課題である。具体的には,
紡糸したTiNiの溶融金属と反応して安定な表面を形成す
る冷却媒体であるか,或は,紡糸したTiNi溶融金属と化
学的に非反応性な冷却媒体であるものを発見することで
ある。
回転液中紡糸法で合金細線を製造するというアモルフ
ァス等での報告において用いられている冷却媒体は,水
道水,各種水溶液,アルコール等いずれも,水分が含有
されているものであるが,TiNi合金細線製造にこれらを
用いて実験した結果,いずれも数10mmの長さの非常に脆
い線材しか得られていない。
ァス等での報告において用いられている冷却媒体は,水
道水,各種水溶液,アルコール等いずれも,水分が含有
されているものであるが,TiNi合金細線製造にこれらを
用いて実験した結果,いずれも数10mmの長さの非常に脆
い線材しか得られていない。
「課題を解決するための手段」 本発明によれば,回転している円筒状ドラム内側に,
遠心力により冷却液体層を形成し,該冷却液体層中に溶
融金属をジェットとして噴射し,凝固させてTiNi系形状
記憶合金細線を製造する方法において,前記冷却液体と
して石油を用いることによって,断面円形なTiNi系形状
記憶合金細線を製造する方法が得られる。
遠心力により冷却液体層を形成し,該冷却液体層中に溶
融金属をジェットとして噴射し,凝固させてTiNi系形状
記憶合金細線を製造する方法において,前記冷却液体と
して石油を用いることによって,断面円形なTiNi系形状
記憶合金細線を製造する方法が得られる。
「実施例」 以下に本発明の実施例を図面を参照して説明する。
第1図において,1は一面が閉塞された円筒状ドラム,2
は水平方向に設けられたドラム1の軸,3は軸2を支持す
るすべり軸受け,4はドラム1の他面に形成された流出防
止板,5はドラム1の回転による遠心力によりドラム1の
内側において,流出防止板4の内側に形成された液体
層,6は溶融するためのるつぼ,7が溶融紡糸の噴射ノズル
で8は噴射ノズル7からの溶融金属ジェット,9は原料金
属,10は駆動するモーター,11は噴射のためのアルゴンガ
ン導入部である。
は水平方向に設けられたドラム1の軸,3は軸2を支持す
るすべり軸受け,4はドラム1の他面に形成された流出防
止板,5はドラム1の回転による遠心力によりドラム1の
内側において,流出防止板4の内側に形成された液体
層,6は溶融するためのるつぼ,7が溶融紡糸の噴射ノズル
で8は噴射ノズル7からの溶融金属ジェット,9は原料金
属,10は駆動するモーター,11は噴射のためのアルゴンガ
ン導入部である。
第1図に示した内径500mmφの回転ドラム1を有する
装置を用い,各種金属組成(原子%)よりなる合金をア
ルゴン雰囲気中で融点より50℃高い温度で溶融し,様々
な孔径D(μm)の紡糸の噴出ノズル8より,アルゴン
ガス圧を制御して430m/分の速度で溶融金属を深さ20mm
の冷媒(0℃)に噴出した。冷却媒体としては石油のほ
か,比較のために流動パラフィン,水道水を用いた際の
実験結果,並びに,従来法としてのダイス引き法によっ
て得た合金細線の,各特性についても併記した。
装置を用い,各種金属組成(原子%)よりなる合金をア
ルゴン雰囲気中で融点より50℃高い温度で溶融し,様々
な孔径D(μm)の紡糸の噴出ノズル8より,アルゴン
ガス圧を制御して430m/分の速度で溶融金属を深さ20mm
の冷媒(0℃)に噴出した。冷却媒体としては石油のほ
か,比較のために流動パラフィン,水道水を用いた際の
実験結果,並びに,従来法としてのダイス引き法によっ
て得た合金細線の,各特性についても併記した。
回転ドラム1の速度は500m/分であった。ここで用い
た紡糸ノズル径は220μmであって,合金組成はTi50Ni5
0とし,それぞれ細線形成性,及び生成した細線を800℃
で2Hr熱処理それぞれの試料について,示差走差熱量計
(DSC)によりマルテンサイト変態温度(Ms)の測定の
結果を表1に示す。
た紡糸ノズル径は220μmであって,合金組成はTi50Ni5
0とし,それぞれ細線形成性,及び生成した細線を800℃
で2Hr熱処理それぞれの試料について,示差走差熱量計
(DSC)によりマルテンサイト変態温度(Ms)の測定の
結果を表1に示す。
さらに,そのガス分析値について調査した結果につい
ても併記した。
ても併記した。
実施例1と比較例1,2,3とにおいて,合金細線性が冷
却媒体の違いによって大きく変化している。つまり,比
較例2の水道水においてはまったく細線が得られていな
いが,比較例1の流動パラフィンでの場合は,ある程度
の細線(50mm程度であって表面凹凸の認められない短
線)が得られている。
却媒体の違いによって大きく変化している。つまり,比
較例2の水道水においてはまったく細線が得られていな
いが,比較例1の流動パラフィンでの場合は,ある程度
の細線(50mm程度であって表面凹凸の認められない短
線)が得られている。
しかしながら,合金細線とはいい難く,実施例1の石
油を冷却媒体として用いたものでは細線性のよいTiNi合
金の連続細線が得られている。つまり、細線形成性の向
上のために果たす冷却溶媒の役割が相対的に大きいこと
を意味する。ガス分析において判断できることは,TiNi
合金のような酸化反応性の強い合金は合金細線表面の酸
化により著しく機械的性質が劣化する。表1より水分量
100%の水が酸素レベルが高く,線材とは甚だ言い難
い。これは水分を構成している酸素がTiNiと反応して,
この場合,酸素量が相対的に多いため,溶融金属流表面
だけではなく,その内部にまで進行しているためであ
る。ついで,比較例1の冷却媒体として流動パラフィン
を用いたものは,表1の酸素分析値からダイス引き法の
それに比較して若干高いことから,多少は安定な表面が
形成されたと考えられるが,表面凹凸が明らかに観察さ
れた。実施例1については表面凹凸もなく,細線形成性
のよい連続細線が得られている。さて、形状記憶特性の
最も重要なものの1つであるMs点については,実施例1
と比較例3との比較においてさほど違いはない。
油を冷却媒体として用いたものでは細線性のよいTiNi合
金の連続細線が得られている。つまり、細線形成性の向
上のために果たす冷却溶媒の役割が相対的に大きいこと
を意味する。ガス分析において判断できることは,TiNi
合金のような酸化反応性の強い合金は合金細線表面の酸
化により著しく機械的性質が劣化する。表1より水分量
100%の水が酸素レベルが高く,線材とは甚だ言い難
い。これは水分を構成している酸素がTiNiと反応して,
この場合,酸素量が相対的に多いため,溶融金属流表面
だけではなく,その内部にまで進行しているためであ
る。ついで,比較例1の冷却媒体として流動パラフィン
を用いたものは,表1の酸素分析値からダイス引き法の
それに比較して若干高いことから,多少は安定な表面が
形成されたと考えられるが,表面凹凸が明らかに観察さ
れた。実施例1については表面凹凸もなく,細線形成性
のよい連続細線が得られている。さて、形状記憶特性の
最も重要なものの1つであるMs点については,実施例1
と比較例3との比較においてさほど違いはない。
つまり,冷却媒体として石油を用いることにより,細
線形成性(連続性が良好で表面凹凸のないこと)のよい
TiNi系形状記憶合金細線を製造することができることが
分る。
線形成性(連続性が良好で表面凹凸のないこと)のよい
TiNi系形状記憶合金細線を製造することができることが
分る。
第1図は本発明の実施例に係る実装装置の概念図であ
る。 1……回転ドラム,5……流体層,8……噴出ノズル。
る。 1……回転ドラム,5……流体層,8……噴出ノズル。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) B22D 11/06 360 C22C 1/00 C22C 19/03
Claims (1)
- 【請求項1】回転している円筒状ドラム内側に,遠心力
により冷却液体層を形成し,前記冷却液体層中に溶融金
属をジェットとして噴射し,凝固させてTiNi系形状記憶
合金細線を製造する方法において,前記冷却液体とし
て,石油を用いることを特徴とするTiNi系形状記憶合金
細線の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3248190A JP2893280B2 (ja) | 1990-02-15 | 1990-02-15 | 合金細線の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3248190A JP2893280B2 (ja) | 1990-02-15 | 1990-02-15 | 合金細線の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH03238150A JPH03238150A (ja) | 1991-10-23 |
JP2893280B2 true JP2893280B2 (ja) | 1999-05-17 |
Family
ID=12360179
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP3248190A Expired - Fee Related JP2893280B2 (ja) | 1990-02-15 | 1990-02-15 | 合金細線の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2893280B2 (ja) |
-
1990
- 1990-02-15 JP JP3248190A patent/JP2893280B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH03238150A (ja) | 1991-10-23 |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |