JP3210507B2 - 金属細線の製造方法 - Google Patents

金属細線の製造方法

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JP3210507B2
JP3210507B2 JP31040293A JP31040293A JP3210507B2 JP 3210507 B2 JP3210507 B2 JP 3210507B2 JP 31040293 A JP31040293 A JP 31040293A JP 31040293 A JP31040293 A JP 31040293A JP 3210507 B2 JP3210507 B2 JP 3210507B2
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武明 安倍
俊典 小柏
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、溶融低融点金属をジェ
ットとして噴射して前記溶融低融点金属を凝固させ、次
いで伸線加工することで、安定した高品質の低融点金属
細線を製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、回転するドラム内に遠心力に
より液体層を形成し、この中に溶融金属をジェットとし
て噴射して急速に冷却凝固させて金属細線を製造する方
法として、特開昭55−64948号公報に開示された
ものが知られている。この方法によれば、ほぼ円形断面
に近い連続細線を製造することができ、得られた細線は
急速凝固によって非晶質となって高強度、高耐食性、軟
磁性を示し、また結晶粒が微細化して高強度となる等の
特徴ある性質を示す。用いる液体としては水、焼入れ
油、パラフィン、リチウム、アルコールが知られてい
る。
【0003】上記の方法で得られる金属細線の加工は、
一般的には冷間伸線により行われており、種々のサイズ
の細孔を有する超硬ダイスまたはダイヤモンドダイスを
順次細孔が小さくなるように配置して細線を通過させる
ことによって行われ、これにより目的とする線径の金属
細線を得ている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし乍ら上記従来の
方法によれば、溶融金属をジェットとして噴射して急速
に冷却凝固させた時、液体層が水以外の油等の場合はボ
ール状のものが生成され線が得られにくいという欠点を
有する。また、液体層が水の場合でも上述の方法によっ
て得た細線を伸線加工すると、細線の断面が真円ではな
いこと、線径の太り細り等の原因のために断線が多数発
生して連続して加工ができず、伸線コストが非常に高く
なるという問題点がある。
【0005】本発明はこのような従来事情に鑑みてなさ
れたものであり、伸線時の断線を低減させて連続して伸
線加工ができる金属細線の製造方法を提供することを目
的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者等は上記従来の
問題を解決するために鋭意研究した結果、液体層を水層
と油膜層の二層として溶融低融点金属を凝固させ、次い
で伸線加工する低融点金属細線の製造方法において、液
体層中の油量を規定範囲に限定することで、溶融低融点
金属の急速凝固による機械的強度向上等の効果を損なわ
ずに伸線加工時の断線が劇的に低減することを見出し、
本発明を完成した。
【0007】すなわち本発明は、回転する円筒ドラム内
に遠心力により液体層を形成し、前記液体層中に溶融
融点金属をジェットとして噴射して前記溶融低融点金属
を凝固させ、次いで伸線加工する低融点金属細線を製造
する方法において、前記液体層を水層と油膜層の二層と
し、且つ前記液体層中の油量が0.0014〜0.07
容量%であることを特徴とする低融点金属細線の製造方
法である。
【0008】溶融低融点金属としては、鉛基、すず基等
の融点350℃以下の低融点金属が好ましく用いられ
る。油はごく一般的なもので、ヒマシ油、菜種油、大豆
油等の植物油、マシン油、スピンドル等の鉱油、シリコ
ーン油、弗素系油等の合成油等が挙げられる。これらを
遠心力により層をなした水の表面に添加すると油膜層が
水層の上に形成される。この状態で溶融低融点金属を噴
して該溶融低融点金属を凝固させ、次いで伸線加工
ると目的とする細線が得られるのである。
【0009】本発明においては液体層が油膜層と水層の
複層になっており、噴射された溶融金属が油膜層を通過
した後、本質的に水層で冷却、凝固されるものであれば
良いが、液体層中の油量が0.0014〜0.07容量
%であることが必要である。
【0010】
【作用】本発明の方法で製造した金属細線の伸線加工性
が向上する理由は明確ではないが、次のように考えられ
る。 噴射した溶融金属の入射時の衝撃が、冷却液体
層中の油量比率0.001 4〜0.07容量%である
膜層によって緩和されて冷却層(水層)の乱流が起こり
にくくなり、金属細線の太り細りが防止される。
却液体層中の油量比率0.0014〜0.07容量%と
することで所定 の粘性となる油膜層によって、外乱によ
る液面の変動が抑制され、金属細線の太り細りが防止さ
れる。 溶融低融点金属がまず沸点の高い油膜で覆わ
れるため、金属の酸化が防止されると共に気泡発生が抑
制され、断面が真円に近くなり、かつ、金属細線の太り
細りが防止される。
【0011】本発明においては噴射した溶融低融点金属
が、冷却液体層中の油量比率0.0014〜0.07容
量%である油膜層を通過した後に本質的に水層で冷却、
凝固され、次いで伸線加工する為、得られた金属細線の
急速凝固による機械的強度向上等の本質的な性能には全
く影響を与えない。よって、得られた金属細線は、例え
ば半導体分野におけるろう付け材に好適に用いられる。
【0012】
【実施例】以下、実施例について説明する。250rpm
で回転している内径500mm、内壁長200mmの円筒ド
ラム内にイオン交換水を7リットル注入して水層を形成
し、この表面に表1に示す油を添加して油膜層を形成さ
せた。この液体層中に、表1に示す組成の合金100g
をアルゴン雰囲気中で溶解してからアルゴンガス圧で孔
径250μm の石英製ノズルより噴出させて急冷凝固さ
せ、円形断面を有する均一な金属細線を得た。比較のた
め、油を添加しない状態でも製造を行った。
【0013】次に、表1中の各実施例、比較例で得られ
た金属細線を通常の方法で冷間伸線加工を行い、100
μm 径までダイス引きをした段階での断線数を計測した
ところ、油を添加して製造した本発明実施例の細線の断
線は表1に示す通り顕著に減少した。また、洗浄して機
械的強度を測定したところ、本発明実施例の細線と比較
例の細線との間には全く差が認められなかった。
【0014】
【表1】
【0015】
【発明の効果】本発明は以上説明したように、回転する
ドラム内に水層と油膜層の二層からなる液体層を形成
し、該液体層中に噴射する溶融低融点金属を、液体層中
の油量が0.0014〜0.07容量%である油膜層を
通過させた後に水層で急速に冷却凝固させ、次いで伸線
加工するようにしたので、太り細りのない均一な線径を
有し且つ断面がほぼ真円な低融点金属細線を得ることが
できる。従って、急速な冷却凝固による機械的強度向上
等の効果を損なうことなく、伸線時における断線の発生
を極度に低減し連続して伸線加工することが可能な低融
金属細線を製造できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平3−71956(JP,A) 特開 平3−238150(JP,A) 特開 平3−149804(JP,A) 特開 平3−27849(JP,A) 特開 平2−175055(JP,A) 特開 平3−207850(JP,A) 特開 平3−142047(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B22D 11/06 360 B22D 11/01 B23K 35/40 340

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 回転する円筒ドラム内に、遠心力により
    液体層を形成し、前記液体層中に溶融低融点金属をジェ
    ットとして噴射して前記溶融低融点金属を凝固させ、次
    いで伸線加工する低融点金属細線を製造する方法におい
    て、 前記液体層を水層と油膜層の二層とし、且つ前記液体層
    中の油量が0.0014〜0.07容量%であることを
    特徴とする低融点金属細線の製造方法。
JP31040293A 1993-12-10 1993-12-10 金属細線の製造方法 Expired - Lifetime JP3210507B2 (ja)

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