JP2880044B2 - 磁気ヘッド用非磁性基板材料 - Google Patents

磁気ヘッド用非磁性基板材料

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JP2880044B2
JP2880044B2 JP5123830A JP12383093A JP2880044B2 JP 2880044 B2 JP2880044 B2 JP 2880044B2 JP 5123830 A JP5123830 A JP 5123830A JP 12383093 A JP12383093 A JP 12383093A JP 2880044 B2 JP2880044 B2 JP 2880044B2
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【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、磁気ディスク用磁気ヘ
ッド、VTR用磁気ヘッド等に用いられる非磁性の基板材
料に関するものである。
【0002】
【従来の技術】磁気ディスク装置、VTR等に組込まれる
磁気ヘッドとして、基板材料(コア材料)の表面にセンダ
スト(Fe-Al-Si)磁性合金、アモルファス磁性合金等の磁
性薄膜を形成した薄膜磁気ヘッドが広く用いられてい
る。かかる薄膜磁気ヘッドにおいては、基板材料の熱膨
張係数が磁性薄膜の熱膨張係数と近似していることが必
要とされている。両者の熱膨張係数の差が大きいと、温
度変化によって両材料の接合界面に応力が生じ、亀裂や
膜剥離を発生させたり、磁気特性を低下させたりする恐
れがある。薄膜材料としては磁気特性に優れたコバルト
(Co)系アモルファス合金の利用が進められており、この
合金の熱膨張係数は100〜120×10-7/℃である。また、
センダスト(Fe-Al-Si)合金の熱膨張係数は使用温度によ
って異なるが、120×10-7/℃以上であり、特にセンダス
トは熱的に安定であるため高い温度でガラスボンディン
グ(ガラス接合)する工程があり、この際の熱膨張係数は
150×10-7/℃以上に達すると言われている。従って基板
材料としてもこれらに対応可能な熱膨張係数を有する材
料が必要とされる。熱膨張係数が大きい酸化物はNiO、C
oO、MgO等で代表される岩塩型構造を有する酸化物で、
熱膨張係数は130×10-7/℃以上であり、特にNiO酸化物
は147×10-7/℃と最も大きい。磁気ヘッド用基板材料と
しては、同一成分系で熱膨張係数が適当な範囲をもって
調整可能なことが望ましく、例えば特開昭62-95810号公
報においてNiO-TiO2系基板材料が熱膨張係数の小さいTi
O2量により熱膨張係数85〜130×10-7/℃なる範囲で調整
可能なことが示されている。熱膨張係数が100〜140×10
-7/℃を有する基板材料は岩塩相を主相とする上記方法
で得ることができるが、熱膨張係数140×10-7/℃以上、
特に150×10-7/℃以上を有する磁気ヘッド用基板材料の
開発例はほとんど無いに等しく、僅か、特開昭62-13770
9号公報においてNiO-MgO-MnO系で熱膨張係数130〜154×
10-7/℃が得られることが示されている程度である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】以上、述べたように熱
膨張係数が150×10-7/℃以上を有する磁気ヘッド用非磁
性基板材料は皆無に等しく、かつ、同一成分系の酸化物
で熱膨張係数を110〜200×10-7/℃の広範囲に渡って調
整することは非常に困難である。一般に磁性薄膜はその
熱膨張係数が測定困難であり、優れた磁気特性を得るた
めに熱膨張係数の値が種々異なる基板上にスパッタ等に
より成膜して検討する方法が取られる。このためなるべ
く同一組成系の基板材料で熱膨張係数が調整可能なこと
が望ましい。本発明は上記問題点を解決した磁気ヘッド
用非磁性基板材料を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】セラミックサイエンスシ
リーズ6、「セラミックスと熱」(中村哲郎著、技報堂出
版、1985)48〜53頁において、熱膨張係数と化合物の融
点との相関関係について説明があり、それによると岩塩
型構造、ペロブスカイト型構造などの化合物はβ×Mp=
0.027(βは熱膨張係数、Mpは融点℃)なるUitertの経験
則にほぼ一致する。そこでこの経験則を用いてペロブス
カイト型構造を含む酸化物、ABO3型の熱膨張係数の大き
さについて予測を行い、CaSiO3とLaCoO3の2種の酸化物
を摘出した。CaSiO3はMp〜1540℃、LaCoO3はMp〜1480℃
で、予想されるβの大きさは、それぞれ175×10-7/℃と
182×10-7/℃である。融点が1500℃近傍の酸化物を選ん
だ理由は基板材料としての熱的安定性を考慮し、かつ融
点が低くなるとボイド、ポア(気孔)の少ない焼結体を作
製することが難しくなることによる。上記2種の酸化物
を調合し、焼結体を作製し、熱膨張係数を求めたとこ
ろ、CaSiO3は113×10-7/℃、LaCoO3は230×10-7/℃が得
られ、上記経験則を基にし、非常に大きな熱膨張係数を
有するLaCoO3なるペロブスカイト型酸化物を見出した。
これによりLaCoO3の構成成分であるLa2O3-CoO系につい
てさらに詳細に検討を進めた。図1は、LaO3/2-CoO(La2O
3をLaO3/2にモル換算)系の熱膨張係数についてその組成
依存性を示したものである。熱膨張係数はLaO3/2量の増
加と共に大きくなり、LaO3/2:5mol%で153×10-7/℃を示
し、150×10-7/℃以上が得られる。ペロブスカイト構造
のLaCoO3単相となる組成付近LaO3/2量50molで最大を示
し、228×10-7/℃が得られ、さらにLaO3/2量が増すと減
少する。LaO3/2-CoO系おいてはLaO3/2:50mol%がほぼ固
溶限界で、50mol%を越えるとLa2O3が残留し、母相のLaC
oO3相との熱膨張の差が非常に大きくなり、焼結過程で
多数のクラックや欠けが生じ基板として製造不能とな
る。LaO3/2-CoO系の結晶構造相は岩塩型構造のCoO相と
ペロブスカイト型構造のLaCoO3相から構成され、LaO3/2
量が増加して行くと、LaCoO3相の生成量が増え、La
O3/2:45〜50mol%付近で最大となる。La2O3-CoO系におい
て熱膨張係数が150〜228×10-7/℃が得られるが、さら
にCaO、SrO及びNiOを加えて3元系とすることによって熱
膨張係数を大幅に調整出来ることを見出した。すなわ
ち、La2O3はLaO3/2換算で20〜45mol%、CaO5〜20mol%、
残部CoOからなるLaO3/2-CaO-CoO系とLa2O3はLaO3/2換算
で20〜45mol%、SrO2〜15mol%、残部CoOからなるLaO3/2-
SrO-CoO系である。LaO3/2-CaO-CoO系においては、CaOが
5mol%より少ないと熱膨張係数の低下量が小さいため熱
膨張係数の調整に効果がない。CaO量の増加と共に熱膨
張係数は減少して行くが、20mol%を越えると焼結体の中
に未反応のCaOが残留し、時間の経過と共に空気中の水
分と反応し、ついには粉々に砕ける減少がみられた。La
O3/2を20mol%以上としたのは、CaOはLaCoO3と固溶し、2
0mol%より少ないとペロブスカイト相LaCoO3の生成量が
少なくなるため、CaOの一部が未反応として残留し、水
に対する安定性が劣化する。このためLaO3/2は最低20mo
l%必要とする。LaO3/2が45mol%を越えると今度はLa2O3
が未反応として一部残留し、水分に対する安定性が悪
く、かつ焼結割れが生ずる。CoOは少なくともLaO3/2
と同等量を必要とし、LaO3/2量がCoO量より多いと水分
に対する安定性、焼結割れが生ずる。LaO3/2:45mol%に
対し、CoO量は45mol%必要とするが、好ましいCoOの範囲
は50〜75mol%にあり、75mol%はLaO3/2、CaOの下限量に
対応する。La2O3-SrO-CoO系においては、SrOが2mol%よ
り少ないと熱膨張係数の調整効果が小さい。熱膨張係数
はSrO量の増加と共に急激に減少し、SrO15mol%で熱膨張
係数はほぼ一定となる。従って、15mol%を越える量は焼
結体、水分に対する安定性を考えると意味がない。LaO
3/2量に関してはLaO3/2-CaO-CoO系と全く同じ理由によ
るものである。次にLa2O3-CoO-NiO系について述べる。
前述したCaO、SrOはイオン半径が大きく、Laイオンと同
程度であるため、LaCoO3のLaと置換して固溶する。NiO
の場合はNiイオン半径が小さく、Coイオンと同程度であ
るため、LaCoO3のCoと置換して固溶する。従って、ペロ
ブスカイト型構造をとる化合物としてはLaCo1-xNixO3
表わすことができ、熱膨張係数はNiO量Xの増加と共に減
少し、LaCo0.5Ni0.5O3なる組成で160×10-7/℃まで減少
する。しかしNiO量が増すにしたがい、焼結体にクラッ
クが発生する頻度が多くなり、X=1であるLaNiO3は焼結
温度を種々変えて焼結したがすべて焼結体に多数のクラ
ックが発生した。これはNiイオンは2価イオン状態であ
り、3価イオン状態になりにくいことによるものと思わ
れる。このようなNiイオンの振舞いを利用すべく、2価
イオンが安定状態にあるNiCoO2なる岩塩相との複合を見
出した。すなわち、LaCoO3-CoNiO2系、LaCo1-xNixO3-Co
NiO2系であり、岩塩相CoNiO2の熱膨張係数は147×10-7/
℃であることから、実用的には150×10-7/℃から200×1
0-7/℃程度と考えると、これを成分量で限定すると、La
2O3はLaO3/2換算で5〜45mol%、NiOは23〜47.5mol%、CoO
は27.5〜50mol%となる。LaO3/2換算で5〜45mol%とした
のは、5mol%を下まわると熱膨張係数150×10-7/℃以上
を定常的に得るのが困難となり、また最大量を45mol%と
したのは、クラックのない焼結体を安定して得るにはCo
NiO2が最低10mol%必要とすることから要請されるもので
ある。NiOの下限23mil%は実用的な熱膨張係数を得るた
めに設定されたもので、これよりNiO量が減少すると、L
aO3/2-CoO系に近づくため大きな熱膨張係数が得られ
る。NiOの上限47.5mol%はLaを含む組成系が最大10mol%
必要とすることから設定される量であるが、NiOが50mol
%以上含むと焼結体にクラックが発生する確立が多くな
る。CoO量はLaO3/2とNiO量を加えたものの残部となる。
また、岩塩相CoNiO2はCoOとNiOが1:1であるが、この比
率を変えたCo2-yNiyO2系との複合体、あるいはCaO-La2O
3-CoO系、SrO-La2O3-CoO系との複合体にも適用可能であ
る。CaO-La2O3-CoO系とCoNiO2との複合体にて1例する
と、La2O3はLaO3/2換算で4〜36mol%、CaOが1〜9mol%、C
oOが50mol%、NiO5〜45mol%で熱膨張係数150〜180×10-7
/℃が得られる。これについては実施例4で述べる。さら
に熱膨張係数の制御法としてLaCoO3と同じペロブスカイ
ト型構造をもつチタン酸カルシウムCaTiO3との複合体を
見出した。LaCoO3-CaTiO3系において、空気中にて焼結
したものはCaTiO310〜90mol%、残部LaCoO3の範囲で熱膨
張係数を約226〜125×10-7/℃の範囲で調整が可能であ
る。他方、窒素雰囲気中で焼結を行うと熱膨張係数を約
165〜110×10-7/℃に調整できる。CaCoO3は窒素中で焼
結を行なったものは熱膨張係数の測定において変態点が
あり、温度に対する伸び量が直線とならず、そのため見
掛上の熱膨張係数は187×10-7/℃と小さくなる。しか
し、CaTiO3を10mol%以上加えると改善され、温度に対す
る伸び量がほぼ直線的に変化するようになる。熱膨張係
数はCaTiO3量の増加と共に減少し、90mol%CaTiO3で約11
0×10-7/℃が得られ、90mol%を越えるとCaTiO3の熱膨張
係数と同程度となって変化しなくなる。CaTiO310〜90mo
l%、残部LaCoO3を組成量に分解すると、La2O3はLaO3/2
換算で5〜45mol%、CoO5〜45mol%、CaO5〜45mol%、TiO25
〜45mol%となる。
【0005】
【作用】磁気ヘッド用基板材料は熱膨張係数が150×10
-7/℃以上を有するものが望まれつつも、岩塩型酸化物
で高々150×10-7/℃前後が得られるにすぎなかった。本
発明は図1に示したようにLa2O3-CoO系(図1ではモル換算
が容易なLaO3/2-CoO系で示した)を見出し、熱膨張係数
が150×10-7/℃以上、228×10-7/℃まで広範囲に渡って
得られることを明らかにした。本系材料は岩塩相CoOと
ペロブスカイト相LaCoO3の2相構造からなり、ペロブス
カイト型構造のLaCoO3(50mol%LaO3/2・50mol%CoO)におい
て熱膨張係数の最高値228×10-7/℃が得られる。ペロブ
スカイトLaCoO3は結晶粒が非常に大きく、そのためボイ
ド等の欠陥も多い。そこで本発明はこれらミクロ組織の
改善と実用上の熱膨張係数/110〜200×10-7/℃を得るべ
く第3成分を見出したものである。
【0006】
【実施例】
(実施例1)原料は市販の量産品La2O3酸化物、Co酸化物は
CoO、Co3O4またはCoO+Co3O4を使用した。成分比はLa2O3
はモル換算な容易であるLaO3/2換算とし、これを0〜57m
ol%、残CoOとした。総量200gとして秤量し、湿式ボール
ミルで24時間混合後、乾燥し、大気中にて900℃×1時間
仮焼結を行った。仮焼粉を純水を用いた湿式ボールミル
で24時間粉砕した後、95℃で乾燥した。これをポリビニ
ルアルコール(PVA)10%水溶液で造粒し、次いで1ton/cm2
の圧力でプレス成形し、33×40×10tmmの成形体を作製
した。これら成形体を空気気流中にて1250℃×6時間焼
結し、さらに1250℃、1時間、1500気圧の条件で熱間静
水圧プレス(HIP)処理を施した。焼結体より適当な寸法
にて試料を切り出し、熱膨張係数、X線回折を測定し
た。熱膨張係数は熱膨張計により室温から600℃まで測
定し、室温〜600℃間の値とした。X線回折はCuKα線、
回折角2θ=20〜90度の範囲で測定し、生成相の同定を行
った。LaO3/2量による熱膨張係数の変化は図1に示し
た。なお、54mol%LaO3/2〜46mol%CoOと57mol%LaO1/2-43
mol%CoOは焼結体にひび割れが発生し、特に後者の焼結
体は細かいひび割れ状態であり、測定用試料が作製でき
なかった。5〜50mol%LaO3/2においてX線回線からCoOとL
aCoO3の2相構造となっており、LaO3/2量増加と共にLaCo
O3相の生成量が増大して行くことが確認された。 (実施例2)LaO3/2-CaO-CoO系及びLaO3/2-SrO-CoO系にお
いても原料は実施例1と同様La2O3、Co酸化物を、CaOとS
rOは炭酸塩CaCO3とSrCO3を使用した。試料の製造工程は
実施例1と同じである。プレス成形体は1250℃、6時間、
空気気流中で1次焼結後、1200℃、1時間、1500気圧でHI
P処理して焼結体とした。焼結体から適当な寸法で測定
試料を切り出し、熱膨張係数とX線回折の測定を行っ
た。LaO3/2-CaO-CoO系の成分量による熱膨張係数の変化
を図2、図3に、同じくLaO3/2-SrO-CoO系について図4、
図5に示す。また、X線回折の結果LaO3/2-CaO-CoO系はペ
ロブスカイト型のLa1-xCaxCoO3と岩塩型のCoOから成
り、LaO3/2-SrO-CoO系の同じくLa1-xSrxCoO3相とCoO相
から成り、CaO、SrO量が増すにしたがいXの値が増加す
る。 (実施例3)原料はLa2O3、Co酸化物、NiOを使用し、表1,2
に示す組成にて実施例1と同じ製造工程で行った。プレ
ス成形体は1400℃、6時間、空気気流中で1次焼結後、12
50℃、1時間、1500気圧でHIP処理し焼結体とした。焼結
体の表面を軽く研磨し、クラックの有無を確認した後、
熱膨張測定用の試料を切り出した。表中、試料番号8か
ら17までが本発明の最も実用的な範囲のもので、これら
以外の試料番号のものは参考例として検討したものであ
る。試料番号1〜5のペロブスカイト型構造のLaCo1-xNix
O3(LaCoO3-LaNiO3の複合体)系はいずれも焼結体にクラ
ックが発生し、NiO量の増加と共にクラックの数が増
し、熱膨張係数の測定試料を供し得ない状況となる。こ
れに対し岩塩型構造のCoNiO2との複合体、特に試料番号
12〜16は全く焼結体にクラックが発生せず、基板材料と
して供し得るものである。試料番号17はCoOとNiOの比が
1対1であるCoNiO2以外の比率のものも使用可能であるこ
とを示す例で、この時NiOが複合体の総量で50mol%を越
えると焼結体にクラックが発生する例である。図6は試
料番号3、6〜13及び表1,2に示さなかった5組成のものを
含めてまとめたもので、CoNiO2量に対する熱膨張係数の
変化を示した。 (実施例4)CaO-La2O3-CoO系と岩塩型構造のCoNiO2との複
合体について、熱膨張係数が150〜180×10-7/℃を得る
ことを目的に行った。CaO-La2O3-CoO系では熱膨張係数
が180×10-7/℃を有する組成は、図2からわかるようにC
aO10mol%、La2O3はLaO3/2換算で40mol%、CoOは残部50mo
l%であり、CaOはLaO3/2と置換して固溶することから、
この組成はLa0.8Ca0.2CoO3と表示される。原料はLa
2O3、Co酸化物、NiO及びCaOは炭酸塩CaCO3を使用し、各
々所定量を秤量し、実施例3と同様にして焼結体を作製
し、熱膨張係数を測定した。その結果を図7に示す。こ
れから90mol%(La0.8Ca0.2CoO3)-10mol%(CoNiO2)から10m
ol%(La0.8Ca0.2CoO3)-90mol%(CoNiO2)の範囲で熱膨張係
数150〜180×10-7/℃が得られることがわかる。これは
本系の他の組成量及びSrO-La2O3-CoO系とCoNiO2との複
合体が可能であり、所望する熱膨張係数により選択され
る。 (実施例5)(100-X)mol%LaCoO3-Xmol%CaTiO3系においてX=
10〜100mol%(100mol%はCaTiO3単体)の範囲で、10mol%毎
に変化させて焼結体を作製した。原料はLa2O3、Co酸化
物、TiO2、CaOとして炭酸塩CaCO3を使用した。50mol%La
O3/2-50mol%CoOからなるLaCoO3と50mol%CaO-50mol%TiO
からなるCaTiO3をそれぞれ1.5Kgとなるよう各組成を秤
量し、純水を用いた湿式ボールミルで24時間混合後、乾
燥し、900℃大気中で1時間仮焼結した。これら仮焼結粉
を再び純水を用いた湿式ボールミルで24時間粉砕後、乾
燥し、LaCoO3とCaTiO3の仮焼結粉砕粉をあらかじめ作製
した。(100-X)LaCoO3-XCaTiO3系のmol%に対応する重量
を各々総量250mol%になるように秤量し、純水を用いた
湿式ボールミルで24時間混合し、乾燥後PVA10%水溶液で
造粒し、実施例1と同様に33×40×10tmmのプレス成形体
とした。これら成形体を1250℃、6時間、空気気流中及
び窒素気流中の2種の雰囲気で1次焼結し、さらに1250
℃、1時間、1500気圧でHIP処理し、焼結体とした。焼結
体より適当な寸法で測定用試料を切り出し、X線回折と
熱膨張係数の測定を行った。X線回折の結果、結晶相は
ペロブスカイト相LaCoO3とCaTiO3の2相から構成されて
いることを確認した。図8に熱膨張係数のCaTiO3量によ
る変化を示す。LaCoO3(X=0)は空気中焼結と窒素中焼結
では熱膨張係数に大きな差が現れている。これは窒素中
焼結の試料は熱膨張測定において180℃付近から伸び量
が小さくなった後、温度上昇と共に再び回復するが、相
対的に600℃における伸び量が小さくなることによる。
しかし、CaTiO%が10mol%以上になると、CaTiO%量の増加
と供に直線的に減少しており、変態に伴う伸び量が小さ
くなるという現象が消失していることがわかる。CaTiO3
が80mol%以上になるとCaTiO3の熱膨張係数に接近し、漸
近状態となる。
【0007】
【表1】
【0008】
【表2】
【0009】
【発明の効果】本発明によれば、これまで開発されてい
なかった熱膨張係数150×10-7/℃以上を有する磁気ヘッ
ド用非磁性基板材料を提供することができ、高熱膨張を
示すセンダスト(Fe-Al-Si系合金)等の磁性薄膜の透磁率
が向上し、磁気ヘッドの高記録密度化が可能となる。さ
らに、本発明においては、110〜200×10-7/℃の広範囲
に渡る各種熱膨張係数を持つ基板材料を提供できるた
め、多くの磁性薄膜材料に対応可能とし、磁気へッドの
開発に寄与すること多大である。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1はLaO3/2-CoO系の熱膨張係数の組成依存性
を示す図。
【図2】図2はCaO-LaO3/2-CoO系においてLaO3/2量一定
とした時の熱膨張係数の組成依存性を示す図。
【図3】図3はCaO-LaO3/2-CoO系においてCoO量一定とし
た時の熱膨張係数の変化を示す図。
【図4】図4はSrO-LaO3/2-CoO系においてLaO3/2量一定
とした時の熱膨張係数の変化を示す図。
【図5】図5はSrO-La3/2-CoO系においてCoO量一定とし
た時の熱膨張係数の変化を示す図。
【図6】図6は岩塩相CoNiO2との複合体の熱膨張係数を
示す図。
【図7】図7はLa0.8Ca0.2CoO3-CoNiO2複合体の熱膨張係
数を示す図。
【図8】図8はLaCoO3-CaTiO3複合体の熱膨張係数を示す
図。

Claims (10)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 La2O3がLaO3/2換算で5〜50mol%、CoOが5
    0〜95mol%よりなる焼結体であることを特徴とする磁気
    ヘッド用非磁性基板材料。
  2. 【請求項2】 La2O3がLaO3/2換算で5〜50mol%、CoOが5
    0〜95mol%より成り、焼結体の結晶相がペロブスカイト
    型構造を有するLaCoO3相と岩塩型構造を有するCoO相か
    ら構成されていることを特徴とする磁気ヘッド用非磁性
    基板材料。
  3. 【請求項3】 La2O3がLaO3/2換算で20〜45mol%、CaO5
    〜20mol%、残部CoOから成る焼結体であることを特徴と
    する磁気ヘッド用非磁性基板材料。
  4. 【請求項4】 La2O3がLaO3/2換算で30〜45mol%、CaO5
    〜20mol%、CoO50mol%から成り、ペロブスカイト型構造
    を有するLa1-x CaxCoO3(但し、0.1≦×≦0.4)で表示さ
    れる焼結体であることを特徴とする磁気ヘッド用非磁性
    基板材料。
  5. 【請求項5】 La2O3がLaO3/2換算で20〜45mol%、SrO2
    〜15mol%、残部CoOから成る焼結体であることを特徴と
    する磁気ヘッド用非磁性基板材料。
  6. 【請求項6】 La2O3がLaO3/2換算で35〜45mol%、SrO5
    〜15mol%、CoO50mol%から成り、ペロブスカイト型構造
    を有するLa1-x SrxCoO3(但し、0.1≦×≦0.3)で表示さ
    れる焼結体であることを特徴とする磁気ヘッド用非磁性
    基板材料。
  7. 【請求項7】 請求項1及び4記載の基板材料と岩塩型構
    造を有する酸化物CoNiO2とを複合させた酸化物から成る
    ことを特徴とする磁気ヘッド用非磁性基板材料。
  8. 【請求項8】 La2O3がLaO3/2換算で5〜45mol%、NiO23
    〜47.5mol%、CoO27.5〜50mol%から成る焼結体であるこ
    とを特徴とする磁気ヘッド用非磁性基板材料。
  9. 【請求項9】 La2O3がLaO3/2換算で4〜36mol%、CaO1〜
    9mol%、NiO5〜45mol%、CoO50mol%から成る焼結体である
    ことを特徴とする磁気ヘッド用非磁性基板材料。
  10. 【請求項10】 La2O3がLaO3/2換算で5〜45mol%、CoO5
    〜45mol%、CaO5〜45mol%、TiO25〜45mol%から成り、結
    晶相がペロブスカイト型構造を有するLaCoO相及
    びCaTiOの2相構造で構成される焼結体であるこ
    とを特徴とする磁気ヘッド用非磁性基板材料。
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