JP2003201172A - 無鉛圧電磁器組成物及びその製造方法 - Google Patents
無鉛圧電磁器組成物及びその製造方法Info
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- Compositions Of Oxide Ceramics (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【課題】 キュリー温度が高く、圧電セラミック製素子
材料としての実用が可能な鉛化合物を含まない圧電磁器
組成物及びその製造方法を提供する。 【解決手段】 組成式をｘ（Ｂｉ1/2 Ｎａ1/2 ＴｉＯ
3 ）＋ｙ（ＢａＴｉＯ3 ）＋ｚ（ＳｒＴｉＯ3 ）（ｘ＋
ｙ＋ｚ＝１）とした時、これらの成分を頂点とする三角
座標中、前記ｘ，ｙ，ｚで表される点が下記点Ａ，Ｂ，
Ｃで囲まれる範囲内に存在することを特徴とする圧電磁
器組成物であり、ここでＡ点は（ｘ＝０．４９９，ｙ＝
０．００１，ｚ＝０．５００），Ｂ点は（ｘ＝０．９９
８，ｙ＝０．００１，ｚ＝０．００１），Ｃ点は（ｘ＝
０．５００，ｙ＝０．４９９，ｚ＝０．００１）であ
る。 【効果】 自然環境に対して負荷の小さい無鉛圧電セラ
ミック製素子を作製し、提供することが可能となる。
材料としての実用が可能な鉛化合物を含まない圧電磁器
組成物及びその製造方法を提供する。 【解決手段】 組成式をｘ（Ｂｉ1/2 Ｎａ1/2 ＴｉＯ
3 ）＋ｙ（ＢａＴｉＯ3 ）＋ｚ（ＳｒＴｉＯ3 ）（ｘ＋
ｙ＋ｚ＝１）とした時、これらの成分を頂点とする三角
座標中、前記ｘ，ｙ，ｚで表される点が下記点Ａ，Ｂ，
Ｃで囲まれる範囲内に存在することを特徴とする圧電磁
器組成物であり、ここでＡ点は（ｘ＝０．４９９，ｙ＝
０．００１，ｚ＝０．５００），Ｂ点は（ｘ＝０．９９
８，ｙ＝０．００１，ｚ＝０．００１），Ｃ点は（ｘ＝
０．５００，ｙ＝０．４９９，ｚ＝０．００１）であ
る。 【効果】 自然環境に対して負荷の小さい無鉛圧電セラ
ミック製素子を作製し、提供することが可能となる。
Description
【０００１】
【発明の属する技術分野】本発明は、優れた圧電特性を
有する新規圧電磁器組成物に関するものであり、更に詳
しくは、キュリー温度が高く、圧電セラミック素子材料
としての実用化を可能とする、鉛化合物を含まない無鉛
圧電磁器組成物であって、例えば、セラミック製セン
サ、アクチュエータ、弾性波素子、トランス等に好適に
使用することが可能な圧電磁器組成物及びその製造方法
に関するものである。本発明の組成物は、自然環境に対
して負荷の小さい無鉛圧電セラミック素子材料として有
用である。
有する新規圧電磁器組成物に関するものであり、更に詳
しくは、キュリー温度が高く、圧電セラミック素子材料
としての実用化を可能とする、鉛化合物を含まない無鉛
圧電磁器組成物であって、例えば、セラミック製セン
サ、アクチュエータ、弾性波素子、トランス等に好適に
使用することが可能な圧電磁器組成物及びその製造方法
に関するものである。本発明の組成物は、自然環境に対
して負荷の小さい無鉛圧電セラミック素子材料として有
用である。
【０００２】
【従来の技術】従来、セラミック製圧電体材料として
は、ＰｂＺｒＯ3 −ＰｂＴｉＯ3 固溶体に各種のドーパ
ントを添加した、いわゆるＰＺＴ系固溶体や、Ｐｂ（Ｍ
ｇ1/3 Ｎｂ2/3 ）Ｏ3 に代表される鉛系複合ペロプスカ
イト化合物とＰＺＴの固溶体の、いわゆる３成分系固溶
体が主に用いられている。これは、使用される電子部品
の用途と目的に応じて、これらの圧電磁器組成物から適
切な組成を選択し、微量な添加物とともに焼結すること
によって、優れた圧電特性が得られるためである。
は、ＰｂＺｒＯ3 −ＰｂＴｉＯ3 固溶体に各種のドーパ
ントを添加した、いわゆるＰＺＴ系固溶体や、Ｐｂ（Ｍ
ｇ1/3 Ｎｂ2/3 ）Ｏ3 に代表される鉛系複合ペロプスカ
イト化合物とＰＺＴの固溶体の、いわゆる３成分系固溶
体が主に用いられている。これは、使用される電子部品
の用途と目的に応じて、これらの圧電磁器組成物から適
切な組成を選択し、微量な添加物とともに焼結すること
によって、優れた圧電特性が得られるためである。
【０００３】近年、様々な産業分野において、製品の付
加価値の向上を図る手段の一つとして、大量に圧電セラ
ミック製品が使用されるようになっている。しかしなが
ら、従来の鉛系圧電磁器組成物については、大量の鉛系
化合物が含まれており、これらの圧電素子を使用した製
品が廃棄された場合、鉛化合物が自然界に放置され、酸
性雨などの影響により、環境中に有毒な鉛化合物が溶出
する事態が予想されている。このため、鉛を含まない圧
電セラミック材料の開発が望まれている。現在、鉛を含
まない圧電セラミック材料としては、（Ｂｉ1/2 Ｎａ
1/2 ）ＴｉＯ3 やビスマス層状化合物が注目されてお
り、特に、（Ｂｉ1/2 Ｎａ1/2 ）ＴｉＯ3 については、
圧電異方性が少なく、キュリー温度が高いことから、有
力な無鉛圧電セラミック材料候補と考えられている。
加価値の向上を図る手段の一つとして、大量に圧電セラ
ミック製品が使用されるようになっている。しかしなが
ら、従来の鉛系圧電磁器組成物については、大量の鉛系
化合物が含まれており、これらの圧電素子を使用した製
品が廃棄された場合、鉛化合物が自然界に放置され、酸
性雨などの影響により、環境中に有毒な鉛化合物が溶出
する事態が予想されている。このため、鉛を含まない圧
電セラミック材料の開発が望まれている。現在、鉛を含
まない圧電セラミック材料としては、（Ｂｉ1/2 Ｎａ
1/2 ）ＴｉＯ3 やビスマス層状化合物が注目されてお
り、特に、（Ｂｉ1/2 Ｎａ1/2 ）ＴｉＯ3 については、
圧電異方性が少なく、キュリー温度が高いことから、有
力な無鉛圧電セラミック材料候補と考えられている。
【０００４】上記（Ｂｉ1/2 Ｎａ1/2 ）ＴｉＯ3 を端成
分とする圧電セラミック材料としては、例えば、２成分
系組成の無鉛圧電セラミックス材料を挙げることが出来
る。例えば、先行技術文献においては、無鉛圧電セラミ
ック材料として、（Ｂｉ1/2 Ｎａ1/2 ）ＴｉＯ3 −Ｂａ
ＴｉＯ3 系の２成分系組成が提案されている（特開平１
１−１８０７６９号）。しかしながら、実用的な圧電セ
ラミック材料としては、２成分系組成よりも３成分系組
成の方が組成選択の自由度が大きいことは明らかであ
る。
分とする圧電セラミック材料としては、例えば、２成分
系組成の無鉛圧電セラミックス材料を挙げることが出来
る。例えば、先行技術文献においては、無鉛圧電セラミ
ック材料として、（Ｂｉ1/2 Ｎａ1/2 ）ＴｉＯ3 −Ｂａ
ＴｉＯ3 系の２成分系組成が提案されている（特開平１
１−１８０７６９号）。しかしながら、実用的な圧電セ
ラミック材料としては、２成分系組成よりも３成分系組
成の方が組成選択の自由度が大きいことは明らかであ
る。
【０００５】
【発明が解決しようとする課題】このような状況の中
で、本発明者らは、上記の従来技術に鑑みて、有毒な鉛
を含有せずに圧電セラミック素子として有用な新しい圧
電磁器組成物を開発することを目標として鋭意研究を重
ねた結果、３成分系組成を有する有力な無鉛圧電磁器組
成物を開発することに成功し、本発明を完成するに至っ
た。本発明は、圧電セラミック素子材料として実用可能
な圧電特性を有する、鉛化合物を含まない新規圧電磁器
組成物及びその製造方法を提供することを目的とするも
のである。また、本発明は、３成分系組成を有する新し
い無鉛圧電セラミック材料を提供することを目的とする
ものである。
で、本発明者らは、上記の従来技術に鑑みて、有毒な鉛
を含有せずに圧電セラミック素子として有用な新しい圧
電磁器組成物を開発することを目標として鋭意研究を重
ねた結果、３成分系組成を有する有力な無鉛圧電磁器組
成物を開発することに成功し、本発明を完成するに至っ
た。本発明は、圧電セラミック素子材料として実用可能
な圧電特性を有する、鉛化合物を含まない新規圧電磁器
組成物及びその製造方法を提供することを目的とするも
のである。また、本発明は、３成分系組成を有する新し
い無鉛圧電セラミック材料を提供することを目的とする
ものである。
【０００６】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
の本発明は、以下の技術的手段から構成される。 （１）以下の組成式； ｘ（Ｂｉ1/2 Ｎａ1/2 ＴｉＯ3 ）＋ｙ（ＢａＴｉＯ3 ）
＋ｚ（ＳｒＴｉＯ3 ）（ｘ＋ｙ＋ｚ＝１）を有し、これ
らの成分を頂点とする三角座標中、前記ｘ，ｙ，ｚで表
される点が、下記点Ａ，Ｂ，Ｃ，ここでＡ点は（ｘ＝
０．４９９，ｙ＝０．００１，ｚ＝０．５００），Ｂ点
は（ｘ＝０．９９８，ｙ＝０．００１，ｚ＝０．００
１），Ｃ点は（ｘ＝０．５００，ｙ＝０．４９９，ｚ＝
０．００１）である、で囲まれる範囲内に存在すること
を特徴とする圧電磁器組成物。 （２）前記（１）に記載の組成式を有する圧電磁器組成
物を製造する方法であって、出発原料として、酸化ビス
マス、炭酸ナトリウム、炭酸バリウム、炭酸ストロンチ
ウム、及び酸化チタニウムを使用し、これらを、上記組
成式になるように化学量論的に配合し、その混合物を成
形し、仮焼した後、焼成して緻密な焼結体とすることを
特徴とする当該焼結体からなる圧電磁器組成物の製造方
法。 （３）上記出発原料を配合し、混合、乾燥後、適宜の形
態に成形し、８００〜９００℃で仮焼した後、仮焼した
混合物を粉砕し、これを適宜の形態に成形し、１１００
〜１２００℃で焼成して緻密な焼結体とする、前記
（２）に記載の圧電磁器組成物の製造方法。
の本発明は、以下の技術的手段から構成される。 （１）以下の組成式； ｘ（Ｂｉ1/2 Ｎａ1/2 ＴｉＯ3 ）＋ｙ（ＢａＴｉＯ3 ）
＋ｚ（ＳｒＴｉＯ3 ）（ｘ＋ｙ＋ｚ＝１）を有し、これ
らの成分を頂点とする三角座標中、前記ｘ，ｙ，ｚで表
される点が、下記点Ａ，Ｂ，Ｃ，ここでＡ点は（ｘ＝
０．４９９，ｙ＝０．００１，ｚ＝０．５００），Ｂ点
は（ｘ＝０．９９８，ｙ＝０．００１，ｚ＝０．００
１），Ｃ点は（ｘ＝０．５００，ｙ＝０．４９９，ｚ＝
０．００１）である、で囲まれる範囲内に存在すること
を特徴とする圧電磁器組成物。 （２）前記（１）に記載の組成式を有する圧電磁器組成
物を製造する方法であって、出発原料として、酸化ビス
マス、炭酸ナトリウム、炭酸バリウム、炭酸ストロンチ
ウム、及び酸化チタニウムを使用し、これらを、上記組
成式になるように化学量論的に配合し、その混合物を成
形し、仮焼した後、焼成して緻密な焼結体とすることを
特徴とする当該焼結体からなる圧電磁器組成物の製造方
法。 （３）上記出発原料を配合し、混合、乾燥後、適宜の形
態に成形し、８００〜９００℃で仮焼した後、仮焼した
混合物を粉砕し、これを適宜の形態に成形し、１１００
〜１２００℃で焼成して緻密な焼結体とする、前記
（２）に記載の圧電磁器組成物の製造方法。
【０００７】
【発明の実施の形態】次に、本発明について更に詳細に
説明する。本発明は、実用可能な圧電特性を有する、自
然環境に対して負荷の小さい新規無鉛圧電磁器組成物を
製造し、提供するものである。即ち、本発明は、組成式
をｘ（Ｂｉ1/2 Ｎａ1/2 ＴｉＯ3 ）＋ｙ（ＢａＴｉＯ
3 ）＋ｚ（ＳｒＴｉＯ3 ）（ｘ＋ｙ＋ｚ＝１）とした
時、これらの成分を頂点とする三角座標中、前記ｘ，
ｙ，ｚで表される点が、下記点Ａ，Ｂ，Ｃで囲まれる範
囲内に存在することを特徴とする圧電磁器組成物であ
り、Ａ点は（ｘ＝０．４９９，ｙ＝０．００１，ｚ＝
０．５００），Ｂ点は（ｘ＝０．９９８，ｙ＝０．００
１，ｚ＝０．００１），Ｃ点は（ｘ＝０．５００，ｙ＝
０．４９９，ｚ＝０．００１）である。図１に、上記成
分を頂点とする三角座標における上記組成物の組成範囲
を示す。
説明する。本発明は、実用可能な圧電特性を有する、自
然環境に対して負荷の小さい新規無鉛圧電磁器組成物を
製造し、提供するものである。即ち、本発明は、組成式
をｘ（Ｂｉ1/2 Ｎａ1/2 ＴｉＯ3 ）＋ｙ（ＢａＴｉＯ
3 ）＋ｚ（ＳｒＴｉＯ3 ）（ｘ＋ｙ＋ｚ＝１）とした
時、これらの成分を頂点とする三角座標中、前記ｘ，
ｙ，ｚで表される点が、下記点Ａ，Ｂ，Ｃで囲まれる範
囲内に存在することを特徴とする圧電磁器組成物であ
り、Ａ点は（ｘ＝０．４９９，ｙ＝０．００１，ｚ＝
０．５００），Ｂ点は（ｘ＝０．９９８，ｙ＝０．００
１，ｚ＝０．００１），Ｃ点は（ｘ＝０．５００，ｙ＝
０．４９９，ｚ＝０．００１）である。図１に、上記成
分を頂点とする三角座標における上記組成物の組成範囲
を示す。
【０００８】上記組成範囲については、キュリー温度、
圧電特性、組成の選択性等の点で、上記Ａ，Ｂ，Ｃ点で
囲まれる範囲内に存在する磁器組成物が実用に好適であ
り、Ａ点以上にＳｒＴｉＯ3 を含む固溶体は、ＳｒＴｉ
Ｏ3 のキュリー温度が室温以下であり、ＳｒＴｉＯ3 を
大量に含む固溶体では、得られる磁器組成物のキュリー
温度が低くなることから工業的な観点から好ましくな
く、Ｂ点以下のＢａＴｉＯ3 とＳｒＴｉＯ3 を含む組成
では、圧電特性が不十分であり、Ｃ点以上のＢａＴｉＯ
3 を含む組成では、ＢａＴｉＯ3 のキュリー温度は約１
２０℃と低いことから、キュリー温度の面から工業的に
好ましくない。
圧電特性、組成の選択性等の点で、上記Ａ，Ｂ，Ｃ点で
囲まれる範囲内に存在する磁器組成物が実用に好適であ
り、Ａ点以上にＳｒＴｉＯ3 を含む固溶体は、ＳｒＴｉ
Ｏ3 のキュリー温度が室温以下であり、ＳｒＴｉＯ3 を
大量に含む固溶体では、得られる磁器組成物のキュリー
温度が低くなることから工業的な観点から好ましくな
く、Ｂ点以下のＢａＴｉＯ3 とＳｒＴｉＯ3 を含む組成
では、圧電特性が不十分であり、Ｃ点以上のＢａＴｉＯ
3 を含む組成では、ＢａＴｉＯ3 のキュリー温度は約１
２０℃と低いことから、キュリー温度の面から工業的に
好ましくない。
【０００９】次に、本発明の圧電磁器組成物の製造方法
について説明する。本発明では、出発原料として、酸化
ビスマス、炭酸ナトリウム、炭酸バリウム、炭酸ストロ
ンチウム、及び酸化チタニウムを使用し、これらを、上
記組成式になるように化学量論的に配合し、これらの材
料を混合し、乾燥後、例えば、錠剤、角柱、顆粒、円柱
等の適宜の形態に成形し、これを好適には８００〜９０
０℃で仮焼し、次いで、仮焼した混合物を細かく粉砕し
た後、適宜の形態に成形し、これを好適には１１００〜
１２００℃で焼成して緻密な焼結体を作製する。本発明
において、ビスマス系酸化物を含む固溶体については、
８００〜９００℃程度での熱処理が出発原料が十分に反
応するとともに、焼結が進行しないので好ましく、ま
た、ビスマス系磁器組成物については、１１００〜１２
００℃程度での焼成が十分に焼結し、良好な焼結体が得
られるので好ましい。
について説明する。本発明では、出発原料として、酸化
ビスマス、炭酸ナトリウム、炭酸バリウム、炭酸ストロ
ンチウム、及び酸化チタニウムを使用し、これらを、上
記組成式になるように化学量論的に配合し、これらの材
料を混合し、乾燥後、例えば、錠剤、角柱、顆粒、円柱
等の適宜の形態に成形し、これを好適には８００〜９０
０℃で仮焼し、次いで、仮焼した混合物を細かく粉砕し
た後、適宜の形態に成形し、これを好適には１１００〜
１２００℃で焼成して緻密な焼結体を作製する。本発明
において、ビスマス系酸化物を含む固溶体については、
８００〜９００℃程度での熱処理が出発原料が十分に反
応するとともに、焼結が進行しないので好ましく、ま
た、ビスマス系磁器組成物については、１１００〜１２
００℃程度での焼成が十分に焼結し、良好な焼結体が得
られるので好ましい。
【００１０】上記出発材料は、上記材料と実質的に同効
のものであれば同様に使用することが可能であり、本発
明では、それらは、本発明における均等の範囲に属する
ものである。上記方法において、材料の混合方法として
は、例えば、乾式混合、湿式混合が例示され、粉砕方法
としては、例えば、乾式粉砕法、湿式粉砕法が例示さ
れ、成型方法としては、例えば、乾式プレス法、冷間等
方プレス法（ＣＩＰ）等が例示され、また、加熱処理時
の状態としては、大気中や、窒素、アルゴン、酸素フロ
ー中などの雰囲気中での熱処理が例示されるが、上記各
手段については、これらに限らず、これらと同効のもの
であれば同様に使用することが可能である。
のものであれば同様に使用することが可能であり、本発
明では、それらは、本発明における均等の範囲に属する
ものである。上記方法において、材料の混合方法として
は、例えば、乾式混合、湿式混合が例示され、粉砕方法
としては、例えば、乾式粉砕法、湿式粉砕法が例示さ
れ、成型方法としては、例えば、乾式プレス法、冷間等
方プレス法（ＣＩＰ）等が例示され、また、加熱処理時
の状態としては、大気中や、窒素、アルゴン、酸素フロ
ー中などの雰囲気中での熱処理が例示されるが、上記各
手段については、これらに限らず、これらと同効のもの
であれば同様に使用することが可能である。
【００１１】焼結方法としては、常圧焼結、加圧焼結の
どちらでもよく、加熱方法についても、電気炉加熱、マ
イクロ波加熱等が例示されるが、これらに限定されるも
のではない。更に、焼結時の状態についても、窒素、ア
ルゴン、酸素フロー中、空気中のどちらで行ってもよ
い。
どちらでもよく、加熱方法についても、電気炉加熱、マ
イクロ波加熱等が例示されるが、これらに限定されるも
のではない。更に、焼結時の状態についても、窒素、ア
ルゴン、酸素フロー中、空気中のどちらで行ってもよ
い。
【００１２】本発明の方法で作製される上記特定の組成
を有する焼結体は、キュリー温度が２５０〜３００℃程
度と比較的高く、鉛化合物を含まず、また、後記する実
施例に示したように、電気機械結合係数Ｋｐが約１３〜
３１％という無鉛圧電磁器組成物としては、比較的良好
な圧電特性を有し、しかも、誘電率が４００〜１２００
程度と低く、実用的な圧電セラミックスとして使用しや
すいという、良好な誘電特性を有しており、自然環境に
対して負荷の小さい実用可能な圧電セラミック製素子と
して有用であるという特徴を有する。
を有する焼結体は、キュリー温度が２５０〜３００℃程
度と比較的高く、鉛化合物を含まず、また、後記する実
施例に示したように、電気機械結合係数Ｋｐが約１３〜
３１％という無鉛圧電磁器組成物としては、比較的良好
な圧電特性を有し、しかも、誘電率が４００〜１２００
程度と低く、実用的な圧電セラミックスとして使用しや
すいという、良好な誘電特性を有しており、自然環境に
対して負荷の小さい実用可能な圧電セラミック製素子と
して有用であるという特徴を有する。
【００１３】
【実施例】次に、実施例に基づいて本発明を具体的に説
明するが、本発明は、以下の実施例によって何ら限定さ
れるものではない。 実施例１ （１）焼結体の作製 本実施例では、出発原料として、高純度の酸化ビスマス
（Ｂｉ2 Ｏ3 ）、炭酸ナトリウム（Ｎａ2 ＣＯ3 ）、炭
酸バリウム（ＢａＣＯ3 ）、炭酸ストロンチウム（Ｓｒ
ＣＯ3 ）、及び酸化チタニウム（ＴｉＯ2 ）を使用し
た。これらを、一般式のｘＢｉ1/2 Ｎａ1/2 ＴｉＯ3 −
ｙＢａＴｉＯ3 −ｚＳｒＴｉＯ3 （ただし、ｘ＋ｙ＋ｚ
＝１）になるように化学量論的に配合し、少量のエタノ
ールを加えてボールミルを用いて湿式混合を行った。こ
れらの混合物について、乾燥後、錠剤、角柱等の適宜の
形態に成形して、大気中、８００〜９００℃で３時間仮
焼を行った。
明するが、本発明は、以下の実施例によって何ら限定さ
れるものではない。 実施例１ （１）焼結体の作製 本実施例では、出発原料として、高純度の酸化ビスマス
（Ｂｉ2 Ｏ3 ）、炭酸ナトリウム（Ｎａ2 ＣＯ3 ）、炭
酸バリウム（ＢａＣＯ3 ）、炭酸ストロンチウム（Ｓｒ
ＣＯ3 ）、及び酸化チタニウム（ＴｉＯ2 ）を使用し
た。これらを、一般式のｘＢｉ1/2 Ｎａ1/2 ＴｉＯ3 −
ｙＢａＴｉＯ3 −ｚＳｒＴｉＯ3 （ただし、ｘ＋ｙ＋ｚ
＝１）になるように化学量論的に配合し、少量のエタノ
ールを加えてボールミルを用いて湿式混合を行った。こ
れらの混合物について、乾燥後、錠剤、角柱等の適宜の
形態に成形して、大気中、８００〜９００℃で３時間仮
焼を行った。
【００１４】仮焼した混合物について、細かく粉砕した
後、粉末Ｘ線回折装置（ＸＲＤ）を用いて結晶相の同定
を行った後、一軸プレス機によって直径１７ｍｍの円板
に成型した後、マグネシアのさやに入れ、大気中、１１
００〜１２００℃で３時間焼成して焼結体を作製した。
その結果、緻密な焼結体が得られた。
後、粉末Ｘ線回折装置（ＸＲＤ）を用いて結晶相の同定
を行った後、一軸プレス機によって直径１７ｍｍの円板
に成型した後、マグネシアのさやに入れ、大気中、１１
００〜１２００℃で３時間焼成して焼結体を作製した。
その結果、緻密な焼結体が得られた。
【００１５】（２）焼結体の特性
上記焼結体について、厚さ１ｍｍに平行研磨した後、焼
結体の両面に銀ペーストを焼きつけて電極を作製した。
試料の圧電特性について、６０℃のシリコン油中で、３
〜４ｋＶ／ｍｍの電界を３０分間印加して分極処理を行
った後、インピーダンスアナライザーを用いて、共振−
反共振法によって試料の径方向の電気機械結合係数（Ｋ
ｐ）を測定することによって評価した。その後、分極処
理した試料については、インピーダンスアナライザーを
用いて誘電特性を測定した。表１に作製した焼結体の圧
電特性及び誘電特性を示す。
結体の両面に銀ペーストを焼きつけて電極を作製した。
試料の圧電特性について、６０℃のシリコン油中で、３
〜４ｋＶ／ｍｍの電界を３０分間印加して分極処理を行
った後、インピーダンスアナライザーを用いて、共振−
反共振法によって試料の径方向の電気機械結合係数（Ｋ
ｐ）を測定することによって評価した。その後、分極処
理した試料については、インピーダンスアナライザーを
用いて誘電特性を測定した。表１に作製した焼結体の圧
電特性及び誘電特性を示す。
【００１６】
【表１】
【００１７】表１に示されるように、作製した焼結体に
ついては、電気機械結合係数Ｋｐが約１３〜３１％と、
無鉛圧電磁器組成物としては良好な圧電特性を示すとと
もに、誘電率が４００〜１２００程度と低いことから、
実用的な圧電セラミック製素子材料として使用しやすい
ものであることが分かった。
ついては、電気機械結合係数Ｋｐが約１３〜３１％と、
無鉛圧電磁器組成物としては良好な圧電特性を示すとと
もに、誘電率が４００〜１２００程度と低いことから、
実用的な圧電セラミック製素子材料として使用しやすい
ものであることが分かった。
【００１８】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明は、３成分
系組成を有する新規無鉛圧電セラミックス材料及びその
製造方法に係るものであり、本発明によれば、１）キュ
リー温度が高く、圧電セラミック素子材料として実用化
が可能な無鉛圧電磁器組成物を製造し、提供することが
できる、２）優れた圧電特性及び誘電特性を有する無鉛
圧電磁器組成物を提供することができる、３）本発明の
圧電磁器組成物を用いることによって、自然環境に対し
て負荷の小さい無鉛圧電セラミック製素子を作製するこ
とが可能となることから、その工業的価値は極めて大き
い、という格別の効果が奏される。
系組成を有する新規無鉛圧電セラミックス材料及びその
製造方法に係るものであり、本発明によれば、１）キュ
リー温度が高く、圧電セラミック素子材料として実用化
が可能な無鉛圧電磁器組成物を製造し、提供することが
できる、２）優れた圧電特性及び誘電特性を有する無鉛
圧電磁器組成物を提供することができる、３）本発明の
圧電磁器組成物を用いることによって、自然環境に対し
て負荷の小さい無鉛圧電セラミック製素子を作製するこ
とが可能となることから、その工業的価値は極めて大き
い、という格別の効果が奏される。
【図１】本発明の無鉛圧電磁器組成物の組成範囲を示
す。
す。
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
(72)発明者 松田 孝宣
兵庫県西宮市芦原町９番52号 古野電気株
式会社内
Ｆターム(参考） 4G031 AA01 AA05 AA06 AA11 AA35
BA10 GA01 GA11
Claims (3)
- 【請求項１】 以下の組成式； ｘ（Ｂｉ1/2 Ｎａ1/2 ＴｉＯ3 ）＋ｙ（ＢａＴｉＯ3 ）
＋ｚ（ＳｒＴｉＯ3 ）（ｘ＋ｙ＋ｚ＝１）を有し、これ
らの成分を頂点とする三角座標中、前記ｘ，ｙ，ｚで表
される点が、下記点Ａ，Ｂ，Ｃ，ここでＡ点は（ｘ＝
０．４９９，ｙ＝０．００１，ｚ＝０．５００），Ｂ点
は（ｘ＝０．９９８，ｙ＝０．００１，ｚ＝０．００
１），Ｃ点は（ｘ＝０．５００，ｙ＝０．４９９，ｚ＝
０．００１）である、で囲まれる範囲内に存在すること
を特徴とする圧電磁器組成物。 - 【請求項２】 請求項１に記載の組成式を有する圧電磁
器組成物を製造する方法であって、出発原料として、酸
化ビスマス、炭酸ナトリウム、炭酸バリウム、炭酸スト
ロンチウム、及び酸化チタニウムを使用し、これらを、
上記組成式になるように化学量論的に配合し、その混合
物を成形し、仮焼した後、焼成して緻密な焼結体とする
ことを特徴とする当該焼結体からなる圧電磁器組成物の
製造方法。 - 【請求項３】 上記出発原料を配合し、混合、乾燥後、
適宜の形態に成形し、８００〜９００℃で仮焼した後、
仮焼した混合物を粉砕し、これを適宜の形態に成形し、
１１００〜１２００℃で焼成して緻密な焼結体とする、
請求項２に記載の圧電磁器組成物の製造方法。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP2002176477A JP2003201172A (ja) | 2001-10-24 | 2002-06-17 | 無鉛圧電磁器組成物及びその製造方法 |
Applications Claiming Priority (3)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP2001-326793 | 2001-10-24 | ||
| JP2001326793 | 2001-10-24 | ||
| JP2002176477A JP2003201172A (ja) | 2001-10-24 | 2002-06-17 | 無鉛圧電磁器組成物及びその製造方法 |
Publications (1)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JP2003201172A true JP2003201172A (ja) | 2003-07-15 |
Family
ID=27666460
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP2002176477A Pending JP2003201172A (ja) | 2001-10-24 | 2002-06-17 | 無鉛圧電磁器組成物及びその製造方法 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JP2003201172A (ja) |
Cited By (11)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP2006016260A (ja) * | 2004-07-01 | 2006-01-19 | Dainichiseika Color & Chem Mfg Co Ltd | 非鉛系圧電性物質の製造方法及び非鉛系圧電性物質 |
| JP2009007182A (ja) * | 2007-06-26 | 2009-01-15 | Taiheiyo Cement Corp | 非鉛系圧電セラミックス用焼結助剤、非鉛系圧電セラミックスおよび非鉛系圧電セラミックスの製造方法 |
| WO2010024140A1 (ja) | 2008-08-29 | 2010-03-04 | 太陽誘電株式会社 | 圧電セラミックス及びその製造方法並びに圧電デバイス |
| JP2010126421A (ja) * | 2008-11-28 | 2010-06-10 | Seiko Epson Corp | セラミックスの製造方法 |
| JP2010150060A (ja) * | 2008-12-24 | 2010-07-08 | Nihon Ceratec Co Ltd | 非鉛系圧電セラミックス、積層型圧電デバイスおよび非鉛系圧電セラミックスの製造方法 |
| WO2010128647A1 (ja) | 2009-05-08 | 2010-11-11 | 太陽誘電株式会社 | 圧電セラミックスおよびその製造方法ならびに圧電デバイス |
| CN104045340A (zh) * | 2014-06-04 | 2014-09-17 | 同济大学 | 钛酸铋钠基和钛酸钡基多层复合压电薄膜及其制备方法 |
| CN104291809A (zh) * | 2014-09-26 | 2015-01-21 | 天津大学 | 一种超高温多层陶瓷电容器介质的制备方法 |
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| CN111662082A (zh) * | 2019-03-05 | 2020-09-15 | 太阳诱电株式会社 | 压电陶瓷及其制造方法以及压电元件 |
-
2002
- 2002-06-17 JP JP2002176477A patent/JP2003201172A/ja active Pending
Cited By (19)
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| JP2016531073A (ja) * | 2013-08-07 | 2016-10-06 | ピーアイ セラミック ゲーエムベーハー | チタン酸ビスマスナトリウム（ｂｓｔ）系の無鉛圧電セラミック材料 |
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| WO2016038022A1 (en) * | 2014-09-09 | 2016-03-17 | Epcos Ag | Dielectric composition, dielectric element, electronic component and laminated electronic component |
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| US11581482B2 (en) | 2019-03-05 | 2023-02-14 | Taiyo Yuden Co., Ltd. | Piezoelectric ceramic and method for manufacturing same, as well as piezoelectric element |
| CN111662082B (zh) * | 2019-03-05 | 2023-04-07 | 太阳诱电株式会社 | 压电陶瓷及其制造方法以及压电元件 |
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