JP2003095737A

JP2003095737A - 圧電磁器組成物

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Publication number: JP2003095737A
Application number: JP2001282370A
Authority: JP
Inventors: Keiji Kusumoto; 楠本　　慶二; Takanori Matsuda; 孝宣松田
Original assignee: Furuno Electric Co Ltd; National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST
Current assignee: Furuno Electric Co Ltd; National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST
Priority date: 2001-09-17
Filing date: 2001-09-17
Publication date: 2003-04-03

Abstract

(57)【要約】【課題】キュリー温度が高く、圧電セラミック素子材
料として実用可能な鉛化合物を含まない圧電磁器組成物
及びその製造方法を提供する。【解決手段】組成式をｘ（Ｂｉ_1/2 Ｎａ_1/2 ＴｉＯ
₃ ）＋ｙ（ＢａＴｉＯ₃ ）＋ｚ（ＢａＺｒＯ₃ ）（ｘ＋
ｙ＋ｚ＝１）とした時、これらの成分を頂点とする三角
座標中、前記ｘ，ｙ，ｚで表される点が、下記点Ａ，
Ｂ，Ｃで囲まれる範囲内に存在することを特徴とする圧
電磁器組成物であり、ここで、Ａ点は（ｘ＝０．７９
９，ｙ＝０．００１，ｚ＝０．２００），Ｂ点は（ｘ＝
０．９９８，ｙ＝０．００１，ｚ＝０．００１），Ｃ点
は（ｘ＝０．７９９，ｙ＝０．２００，ｚ＝０．００
１）である。【効果】自然環境に対して負荷の小さい無鉛圧電セラ
ミック製素子を作製し、提供することが可能となる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、優れた圧電特性を
有する新規無鉛圧電磁器組成物に関するものであり、更
に詳しくは、キュリー温度が高く、圧電セラミック素子
材料としての実用化を可能とする、鉛化合物を含まない
圧電磁器組成物であって、例えば、セラミック製セン
サ、アクチュエータ、弾性波素子、トランス等に好適に
使用することが可能な新規圧電磁器組成物及びその製造
方法に関するものである。本発明の組成物は、自然環境
に対して負荷の小さい無鉛圧電セラミック素子材料とし
て有用である。

【０００２】

【従来の技術】従来、セラミック製圧電体材料として
は、ＰｂＺｒＯ₃ −ＰｂＴｉＯ₃ 固溶体に各種のドーパ
ントを添加した、いわゆるＰＺＴ系固溶体や、Ｐｂ（Ｍ
ｇ_1/3 Ｎｂ_2/3 ）Ｏ₃に代表されるＰｂ系複合ペロブス
カイト化合物とＰＺＴの固溶体の、いわゆる３成分系固
溶体が主に用いられている。これは、使用される電子部
品の用途と目的に応じて、これらの圧電磁器組成物から
適切な組成を選択し、微量な添加物とともにそれを焼結
することによって、優れた圧電特性が得られるためであ
る。

【０００３】近年、様々な産業分野において、製品の付
加価値の向上を図る手段の一つとして、大量に圧電セラ
ミック製品が使用されるようになっている。しかしなが
ら、従来の鉛系圧電磁器組成物については、大量の鉛系
化合物が含まれており、これらの圧電素子を使用した製
品が廃棄された場合、鉛化合物が自然界に放置され、酸
性雨などの影響により、環境中に有毒な鉛化合物が溶出
する事態が予想されている。このため、鉛を含まない圧
電セラミック材料の開発が望まれている。現在、鉛を含
まない圧電セラミック材料としては、（Ｂｉ_1/2 Ｎａ
_1/2 ）ＴｉＯ₃ やビスマス層状化合物が注目されてお
り、特に、（Ｂｉ_1/2 Ｎａ_1/2 ）ＴｉＯ₃ については、
圧電異方性が少ないことから、有力な無鉛圧電セラミッ
ク材料候補と考えられている。

【０００４】上記（Ｂｉ_1/2 Ｎａ_1/2 ）ＴｉＯ₃ を端成
分とする圧電セラミック材料としては、例えば、２成分
系組成の無鉛圧電セラミック材料を挙げることができ
る。例えば、先行文献においては、無鉛圧電セラミック
ス材料として、（Ｂｉ_1/2Ｎａ_1/2 ）ＴｉＯ₃ −ＢａＴ
ｉＯ₃ 系の２成分系組成が提案されている（特開平１１
−１８０７６９号）。しかしながら、実用的な圧電セラ
ミック材料としては、２成分系組成よりも３成分系組成
の方が組成選択の自由度が大きいことは明らかである。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】このような状況の中
で、本発明者らは、上記従来技術に鑑みて、有毒な鉛を
含有せずに圧電セラミック素子として有用な新しい圧電
磁器組成物を開発することを目標として鋭意研究を重ね
た結果、３成分系組成を有する有力な新規無鉛圧電磁器
組成物を開発することに成功し、本発明を完成するに至
った。本発明は、圧電セラミック素子材料として実用可
能な圧電特性を有する、鉛化合物を含まない新規圧電磁
器組成物を提供することを目的とするものである。ま
た、本発明は、３成分系組成を有する新規無鉛圧電セラ
ミック材料及びその製造方法を提供することを目的とす
るものである。

【０００６】

【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
の本発明は、以下の技術的手段から構成される。（１）以下の組成式；ｘ（Ｂｉ_1/2 Ｎａ_1/2 ＴｉＯ₃ ）＋ｙ（ＢａＴｉＯ₃ ）
＋ｚ（ＢａＺｒＯ₃ ）（ｘ＋ｙ＋ｚ＝１）を有し、これ
らの成分を頂点とする三角座標中、前記ｘ，ｙ，ｚで表
される点が、下記点Ａ，Ｂ，Ｃ，ここで、Ａ点は（ｘ＝
０．７９９，ｙ＝０．００１，ｚ＝０．２００），Ｂ点
は（ｘ＝０．９９８，ｙ＝０．００１，ｚ＝０．００
１），Ｃ点は（ｘ＝０．７９９，ｙ＝０．２００，ｚ＝
０．００１）である、で囲まれる範囲内に存在すること
を特徴とする圧電磁器組成物。（２）前記（１）に記載の組成式を有する圧電磁器組成
物を製造する方法であって、出発原料として、酸化ビス
マス、炭酸ナトリウム、炭酸バリウム、酸化チタニウ
ム、及び酸化ジルコニウムを使用し、これらを化学量論
的に配合し、混合、乾燥後、適宜の形態に成型し、８５
０〜１０００℃で仮焼した後、更に１０００〜１２００
℃で焼成して緻密な焼結体とすることを特徴とする当該
焼結体からなる圧電磁器組成物の製造方法。

【０００７】

【発明の実施の形態】次に、本発明について更に詳細に
説明する。本発明は、実用可能な優れた圧電特性を有す
る、自然環境に対して負荷の小さい新規無鉛圧電磁器組
成物を製造し、提供することを特徴とするものである。
即ち、本発明は、組成式をｘ（Ｂｉ_1/2 Ｎａ_1/2 ＴｉＯ
₃ ）＋ｙ（ＢａＴｉＯ₃ ）＋ｚ（ＢａＺｒＯ₃ ）（ｘ＋
ｙ＋ｚ＝１）とした時、これらの成分を頂点とする三角
座標中、前記ｘ，ｙ，ｚで表される点が、下記点Ａ，
Ｂ，Ｃで囲まれる範囲内に存在することを特徴とする圧
電磁器組成物であり、Ａ点は（ｘ＝０．７９９，ｙ＝
０．００１，ｚ＝０．２００），Ｂ点は（ｘ＝０．９９
８，ｙ＝０．００１，ｚ＝０．００１），Ｃ点は（ｘ＝
０．７９９，ｙ＝０．２００，ｚ＝０．００１）であ
る。図１に、上記成分を頂点とする三角座標における上
記組成物の組成範囲を示す。

【０００８】次に、本発明の圧電磁器組成物の製造方法
について説明する。本発明では、出発材料として、酸化
ビスマス、炭酸ナトリウム、炭酸バリウム、酸化チタニ
ウム、酸化ジルコニウムを使用し、これらを、上記組成
式になるように化学量論的に配合し、これらの材料を混
合し、乾燥後、例えば、錠剤、角柱、顆粒、円柱等の適
宜の形態に成型し、これを好適には８５０〜１０００℃
で仮焼し、次いで、仮焼した混合物を細かく粉砕した
後、適宜の形態に成型し、これを好適には１０００〜１
２００℃で焼成して緻密な焼結体を作製する。出発材料
は、上記材料と同効のものであれば同様に使用すること
が可能であり、本発明では、それらは均等の範囲に属す
るものである。上記方法において、材料の混合方法とし
ては、例えば、乾式混合、湿式混合が例示され、粉砕方
法としては、例えば、乾式粉砕法、湿式粉砕法が例示さ
れ、成型方法としては、例えば、乾式プレス法、冷間等
方プレス法（ＣＩＰ）等が例示され、また、加熱処理時
の状態としては、大気中や、窒素、アルゴン、酸素フロ
ー中などの雰囲気中での熱処理が例示されるが、上記各
手段については、これらに限らず、これらと同効のもの
であれば同様に使用することが可能である。

【０００９】焼結方法としては、常圧焼結、加圧焼結の
どちらでもよく、加熱方法についても、例えば、電気炉
加熱、マイクロ波加熱等が例示されるが、これらに限定
されるものではない。更に、焼結時の状態についても、
窒素、アルゴン、酸素フロー中、空気中のどちらで行っ
てもよい。本発明の方法で作製される上記特定の組成を
有する焼結体は、鉛化合物を含まず、また、後記する実
施例に示したように、電気機械結合係数Ｋｔが約４１〜
４８％という、無鉛圧電磁器組成物としては良好な圧電
特性を有し、しかも、誘電率が７００〜１０００程度と
低く、実用的な圧電セラミックスとして使用しやすいと
いう、良好な誘電特性を有しており、自然環境に対して
負荷の小さい、実用可能な圧電セラミック製素子として
有用であるという特徴を有する。

【００１０】

【実施例】次に、実施例に基づいて本発明を具体的に説
明するが、本発明は、以下の実施例によって何ら限定さ
れるものではない。実施例１（１）焼結体の作製本実施例では、出発原料として、高純度の酸化ビスマス
（Ｂｉ₂ Ｏ₃ ）、炭酸ナトリウム（Ｎａ₂ ＣＯ₃ ）、炭
酸バリウム（ＢａＣＯ₃ ）、酸化チタニウム（ＴｉＯ
₂ ）、及び酸化ジルコニウム（ＺｒＯ₂ ）を使用した。
これらを、一般式のｘＢｉ_1/2 Ｎａ_1/2 ＴｉＯ₃ −ｙＢ
ａＴｉＯ₃ −ｚＢａＺｒＯ₃ （ただし、ｘ＋ｙ＋ｚ＝
１）になるように化学量論的に配合し、少量のエタノー
ルを加えてボールミルを用いて湿式混合を行った。これ
らの混合物について、乾燥後、錠剤、角柱等の適宜の形
態に成型して大気中、８５０〜１０００℃で５時間、二
回仮焼を繰り返した。仮焼した混合物について、細かく
粉砕した後、粉末Ｘ線回折装置（ＸＲＤ）を用いて結晶
相の同定を行った後、一軸プレス機によって直径１２ｍ
ｍの円板に成型した後、マグネシアのさやに入れ、大気
中、１０００〜１２００℃で３時間焼成して焼結体を作
製した。その結果、緻密な焼結体が得られた。

【００１１】（２）焼結体の特性上記焼結体について、厚さ１ｍｍに平行研磨した後、焼
結体の両面に銀ペーストを焼きつけて電極を作製した。
試料の圧電特性について、１００℃のシリコン油中で、
３〜４ｋＶ／ｍｍの電界を３０分間印加して分極処理を
行った後、インピーダンスアナライザーを用いて、共振
−反共振法によって試料の径方向の電気機械結合係数
（Ｋｐ）及び厚み方向の電気機械結合係数（Ｋｔ) を測
定することによって評価した。その後、分極処理した試
料については、インピーダンスアナライザーを用いて誘
電特性を測定した。表１に作製した焼結体の圧電特性及
び誘電特性を示す。

【００１２】

【表１】

【００１３】表１に示されるように、作製した焼結体に
ついては、電気機械結合係数Ｋｔが約４１〜４８％と、
無鉛圧電磁器組成物としては良好な圧電特性を示すとと
もに、誘電率が７００〜１０００程度と低く、実用的な
圧電セラミック製素子材料として使用しやすいものであ
ることがわかった。

【００１４】

【発明の効果】以上詳述したように、本発明は、３成分
系組成を有する無鉛圧電セラミック材料及びその製造方
法に係るものであり、本発明によれば、１）キュリー温
度が高く、圧電セラミック素子材料として実用化が可能
な無鉛圧電磁器組成物を製造し、提供することができ
る、２）優れた圧電特性及び誘電特性を有する無鉛圧電
磁器組成物を提供することができる、３）本発明の圧電
磁器組成物を用いることによって、自然環境に対して負
荷の小さい無鉛圧電セラミック製素子を作製することが
可能となることから、その工業的価値は極めて大きい、
という格別の効果が奏される。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の圧電磁器組成物の組成範囲を示す。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者松田孝宣兵庫県西宮市芦原町９番52号古野電気株式会社内Ｆターム(参考） 4G031 AA01 AA06 AA11 AA12 AA35 BA10 GA06 GA11

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】以下の組成式；ｘ（Ｂｉ_1/2 Ｎａ_1/2 ＴｉＯ₃ ）＋ｙ（ＢａＴｉＯ₃ ）
＋ｚ（ＢａＺｒＯ₃ ）（ｘ＋ｙ＋ｚ＝１）を有し、これ
らの成分を頂点とする三角座標中、前記ｘ，ｙ，ｚで表
される点が、下記点Ａ，Ｂ，Ｃ，ここで、Ａ点は（ｘ＝
０．７９９，ｙ＝０．００１，ｚ＝０．２００），Ｂ点
は（ｘ＝０．９９８，ｙ＝０．００１，ｚ＝０．００
１），Ｃ点は（ｘ＝０．７９９，ｙ＝０．２００，ｚ＝
０．００１）である、で囲まれる範囲内に存在すること
を特徴とする圧電磁器組成物。
【請求項２】請求項１に記載の組成式を有する圧電磁
器組成物を製造する方法であって、出発原料として、酸
化ビスマス、炭酸ナトリウム、炭酸バリウム、酸化チタ
ニウム、及び酸化ジルコニウムを使用し、これらを化学
量論的に配合し、混合、乾燥後、適宜の形態に成型し、
８５０〜１０００℃で仮焼した後、更に１０００〜１２
００℃で焼成して緻密な焼結体とすることを特徴とする
当該焼結体からなる圧電磁器組成物の製造方法。