JP2867350B2 - ハロゲン化銀写真感光材料 - Google Patents

ハロゲン化銀写真感光材料

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JP2867350B2
JP2867350B2 JP3266885A JP26688591A JP2867350B2 JP 2867350 B2 JP2867350 B2 JP 2867350B2 JP 3266885 A JP3266885 A JP 3266885A JP 26688591 A JP26688591 A JP 26688591A JP 2867350 B2 JP2867350 B2 JP 2867350B2
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哲郎 小島
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  • Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、かぶりが防止されたハ
ロゲン化銀写真感光材料及び粒子サイズを大きくしたハ
ロゲン化銀乳剤を用いたハロゲン化銀写真感光材料
するものである。
【0002】
【従来の技術】写真感光材料に用いるハロゲン化銀乳剤
は通常、保護コロイドの存在下で、銀イオンを含む溶液
とハロゲンイオンを含む溶液を混合し(沈澱工程とい
う)、次いで物理熟成してから不要の塩類を洗浄除去
し、再分散した後必要に応じて化学熟成を施して製造さ
れている。ハロゲン化銀乳剤の写真感度の高低を左右す
る要因の一つであるハロゲン化銀粒子の大きさ(サイ
ズ)は上記の製造工程のうちの沈澱工程及び物理熟成工
程(以下これらをまとめて粒子形成工程という)におい
てほとんど決定されてしまうが、従来から粒子サイズを
大きくする目的でこの粒子形成工程中にハロゲン化銀溶
剤を添加することが行われている。最も典型的なハロゲ
ン化銀溶剤はアンモニアであり、これを用いる粒子形成
法はアンモニア法と呼ばれている。しかしアンモニアは
臭気が激しいので作業環境を著しく悪化させるだけでな
く、高pH域で使用しなければならないため生成するハ
ロゲン化銀粒子がかぶり易いとか、また生成したハロゲ
ン化銀粒子のサイズの揃いが不十分であるといった幾つ
かの欠点があった。
【0003】これらの欠点を解決する目的でいくつかの
方法が開示されている。例えば米国特許第3,721,
157号にはチオエーテル化合物が、特開昭57−20
2531にはメルカプト化合物が、米国特許第4,63
1,253号にはメソイオンチオレート化合物が開示さ
れているが、どの化合物を用いても前記のアンモニア法
の欠点を十分に解決できているとは言い難いため、前記
欠点が解決されたハロゲン化銀溶剤の開発が望まれてい
た。
【0004】また従来から感度/かぶり比が改良された
かぶり防止剤に関する特許は多数出願されているが、い
まだに十分なかぶり防止効果を有する化合物が見出され
ているとはいいがたい。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の第一
の目的前記欠点のない新規なハロゲン化銀溶剤を用い
て粒子形成したハロゲン化銀乳剤を有するハロゲン化銀
写真感光材料を提供することである。本発明の第の目
的は感度/かぶり比が改良されたハロゲン化銀写真感光
材料とそれに用いるハロゲン化銀乳剤を提供することで
ある
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的は以下のハロゲ
ン化銀写真感光材料より達成された。 (1)一分子中に少なくとも一つのカチオン基と少なく
とも一つのアニオン基を同時に置換基として有するメル
カプト化合物またはメソイオンチオレート化合物の少な
くとも一つを含有することを特徴とするハロゲン化銀写
真感光材料。 (2)一分子中に少なくとも一つのカチオン基と少なく
とも一つのアニオン基を同時に置換基として有するメル
カプト化合物またはメソイオンチオレート化合物の少な
くとも一つの存在下に形成せしめられたハロゲン化銀粒
子を含有することを特徴とするハロゲン化銀写真感光材
料。 (3)(2)項記載のハロゲン化銀写真感光材料に用い
る、一分子中に少なくとも一つのカチオン基と少なくと
も一つのアニオン基を同時に置換基として有するメルカ
プト化合物またはメソイオンチオレート化合物の少なく
とも一つの存在下に形成せしめられたハロゲン化銀粒子
を含有してなるハロゲン化銀乳剤。
【0007】なお、本発明で用いられるメルカプト化合
物またはメソイオンチオレート化合物は、好ましくは下
記一般式(I)または(II)で表わされる。一般式
(I)
【0008】
【化1】
【0009】式中、Qは5または6員の複素環を形成す
るのに必要な原子群を表す。またこの複素環は炭素芳香
環または複素芳香環と縮合していてもよい。Rはアルキ
ル基、アルケニル基、アラルキル基、アリール基または
ヘテロ環基を表す。nは1〜4の整数を表し、Mは対カ
チオンを表す。ただしRの少なくとも一つはカチオン基
およびアニオン基の少なくとも一つで置換されているも
のとする。一般式(II)
【0010】
【化2】
【0011】式中、Zは5または6員のメソイオン環を
形成するのに必要な原子群を表す。またこの複素環は炭
素芳香環または複素芳香環と縮合していてもよい。Rは
前記一般式(I)のそれと同意義を表す。mは1〜3の
整数を表わす。次に本発明で用いられる一般式(I)お
よび(II)について詳細に説明する。一般式(I)
中、Qは好ましくは炭素原子、窒素原子、酸素原子、硫
黄原子およびセレン原子の少なくとも一種の原子から構
成される5又は6員の複素環を形成するのに必要な原子
群を表わす。またこの複素環は炭素芳香環または複素芳
香環で縮合していてもよい。複素環としては例えばテト
ラゾール環、トリアゾール環、イミダゾール環、チアジ
アゾール環、オキサジアゾール環、セレナジアゾール
環、オキサゾール環、チアゾール環、ベンズオキサゾー
ル環、ベンズチアゾール環、ベンズイミダゾール環、ピ
リミジン環、トリアザインデン環、テトラアザインデン
環、ペンタアザインデン環等があげられる。
【0012】Rは炭素数1〜10のアルキル基(例えば
メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソプロ
ピル基、2−ヒドロキシプロピル基、ヘキシル基、オク
チル基)、炭素数2〜10のアルケニル基(例えばビニ
ル基、プロペニル基、ブテニル基)、炭素数7〜12の
アラルキル基(例えばベンジル基、フェネチル基)、炭
素数6〜12のアリール基(例えばフェニル基、2−ク
ロロフェニル基、3−メトキシフェニル基、ナフチル
基)、炭素数1〜10のヘテロ環基(例えばピリジル
基、チエニル基、フリル基、トリアゾリル基、イミダゾ
リル基)を表わす。またRは前記のアルキル基、アルケ
ニル基、アラルキル基、アリール基およびヘテロ環基を
任意に組合せた基(例えばヘテロ環置換されたアルキル
基)であってもよいし、−CO−、−CS−、−SO
−、−O−または−S−を任意に組合せた連結基を含ん
でいてもよい。ただしRの少なくとも一つはカチオン基
およびアニオン基の少なくとも一つで置換されているも
のとする。カチオン基としてはプロトン化してカチオン
になるアミノ基(例えば無置換アミノ基、ジメチルアミ
ノ基、ジエチルアミノ基、N−ヒドロキシエチル−N−
メチルアミノ基)、アンモニウム基(例えば、トリメチ
ルアンモニウム基、トリエチルアンモニウム基、ジメチ
ルベンジルアンモニウム基、N−ヒドロキシエチル−
N,N−ジメチルアンモニウム基)、ホスホニウム基
(例えばトリメチルホスホニウム基、トリブチルホスホ
ニウム基)、ヘテロ環四級塩(例えばN−メチルピペリ
ジノ基、ピリジニウム基)等があげられる。アニオン基
としてはカルボン酸またはその塩(例えばナトリウム
塩、カリウム塩、アンモニウム塩、カルシウム塩)、ス
ルホン酸またはその塩(例えばナトリウム塩、カリウム
塩、アンモニウム塩、マグネシウム塩、カルシウム
塩)、ホスホン酸またはその塩(例えばナトリウム塩、
カリウム塩、アンモニウム塩)等があげられる。本発明
で用いられる化合物のような同一分子内にアニオン基と
カチオン基を有する化合物は通常分子内塩として単離さ
れる。前記のアニオン基とカチオン基は同一の基に置換
されていてもよく、その例としては
【0013】
【化3】
【0014】があげられる。Mはカチオン基(例えば水
素原子、ナトリウム原子、カリウム原子のようなアルカ
リ金属原子、マグネシウム原子、カルシウム原子のよう
なアルカリ土類金属原子、アンモニウム基、トリエチル
アンモニウム基のようなアンモニウム基)を表わす。
【0015】また一般式(I)で表わされる複素環およ
びRはニトロ基、ハロゲン原子(例えば塩素原子、臭素
原子)、メルカプト基、シアノ基、それぞれ置換もしく
は無置換のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、
プロピル基、t−ブチル基、シアノエチル基)、アリー
ル基(例えばフェニル基、4−メタンスルホンアミドフ
ェニル基、4−メチルフェニル基、3,4−ジクロルフ
ェニル基、ナフチル基)、アルケニル基(例えばアリル
基)、アラルキル基(例えばベンジル基、4−メチルベ
ンジル基、フェネチル基)、スルホニル基(例えばメタ
ンスルホニル基、エタンスルホニル基、p−トルエンス
ルホニル基)、カルバモイル基(例えば無置換カルバモ
イル基、メチルカルバモイル基、フェニルカルバモイル
基)、スルファモイル基(例えば無置換スルファモイル
基、メチルスルファモイル基、フェニルスルファモイル
基)、カルボンアミド基(例えばアセトアミド基、ベン
ズアミド基)、スルホンアミド基(例えばメタンスルホ
ンアミド基、ベンゼンスルホンアミド基、p−トルエン
スルホンアミド基)、アシルオキシ基(例えばアセチル
オキシ基、ベンゾイルオキシ基)、スルホニルオキシ基
(例えばメタンスルホニルオキシ基)、ウレイド基(例
えば無置換ウレイド基、メチルウレイド基、エチルウレ
イド基、フェニルウレイド基)、チオウレイド基(例え
ば無置換のチオウレイド基、メチルチオウレイド基)、
アシル基(例えばアセチル基、ベンゾイル基)、オキシ
カルボニル基(例えばメトキシカルボニル基、フェノキ
シカルボニル基)、オキシカルボニルアミノ基(例えば
メトキシカルボニルアミノ基、フェノキシカルボニルア
ミノ基、2−エチルヘキシルオキシカルボニルアミノ
基)、ヒドロキシル基などで置換されていてもよい。
【0016】nは1〜4の整数を表わすが、nが2また
は3を表わすときは各々のRは同じであっても異ってい
てもよい。一般式(I)中、好ましくはQはテトラゾー
ル環、トリアゾール環、イミダゾール環、オキサジアゾ
ール環を表わし、Rは炭素数1〜4のアルキル基または
炭素数6〜10のアリール基を表わし、Rが置換される
カチオン基は、アミノ基またはアンモニウム基を表わ
し、アニオン基はカルボン酸またはその塩、スルホン酸
またはその塩を表わし、nは1または2を表わす。
【0017】次に一般式(II)について詳細に説明す
る。一般式(II)中Zは炭素原子、窒素原子、酸素原
子、硫黄原子またはセレン原子により構成される5また
は6員のメソイオン環を表わす。mは1〜3の整数を表
わし、Rは一般式(I)のそれと同意義を表わす。
【0018】本発明の一般式(II)で表わされるメソ
イオン化合物とはW.BakerとW.D.Ollis
がクオータリー・レビュー(Ouart.Rev.)1
1、15(1957)、アドバンシイズ・イン・ヘテロ
サイクリック・ケミストリー(Advances in
Heterocyclic Chemistry)1
9、1(1976)で定義している化合物群であり「5
または6員の複素環状化合物で、一つの共有結合構造式
または極性構造式では満足に表示することができず、ま
た環を構成するすべての原子に関連したπ電子の六偶子
を有する化合物で環は部分的正電荷を帯び、環外原子ま
たは原子団上の等しい負電荷とつり合いをたもってい
る」ものを表わす。
【0019】Zで表わされるメソイオン環としてはイミ
ダゾリウム環、ピラゾリウム環、オキサゾリウム環、チ
アゾリウム環、トリアゾリウム環、テトラゾリウム環、
チアジアゾリウム環、オキサジアゾリウム環、チアトリ
アゾリウム環、オキサトリアゾリウム環などがあげられ
る。mは1〜3の整数を表わし、Rは一般式(I)のそ
れと同意義を表わす。またZで表わされるメソイオン環
およびRは一般式(I)であげた置換基で置換されてい
てもよい。
【0020】一般式(II)中好ましくはZはイミダゾ
リウム環、1,2,4−トリアゾリウム環、1,2,3
−トリアゾリウム環を表わし、Rは炭素数1〜4のアル
キル基または炭素数6〜10のアリール基を表わし、R
が置換されるカチオン基はアミノ基またはアンモニウム
基を表わし、アニオン基はカルボン酸またはその塩、ス
ルホン酸またはその塩を表わし、nは1または2を表わ
す。以下に本発明で用いることのできる化合物の具体例
を示すがこれに限定されるものではない。
【0021】
【化4】
【0022】
【化5】
【0023】
【化6】
【0024】
【化7】
【0025】
【化8】
【0026】
【化9】
【0027】
【化10】
【0028】本発明で用いられる一般式(I)の化合物
は、ベリヒテ・デア・ドイツチェン・ヘミツシェン・ゲ
ゼルシャフト(Berichte der Deuts
chen Chemischen Gesellsch
aft)28、77(1895)、特開昭50−374
36号、同51−3231号、米国特許3,295,9
76号、米国特許3,376,310号、ベリヒテ・デ
ア・ドイツチェン・ヘミツシェン・ゲゼルシャフト(B
erichte der DeutschenChem
ischen Gesellschaft)22、56
8(1889)、同29、2483(1896)、ジャ
ーナル・オブ・ケミカル・ソサイアティ(J.Che
m.Soc.)1932、1806、ジャーナル・オブ
・ジ・アメリカン・ケミカル・ソサイアティ(J.A
m.Chem.Soc.)71、4000(194
9)、米国特許2,585,388号、同2,541,
924号、アドバンシイズ・イン・ヘテロサイクリック
・ケミストリー(Advances in Heter
ocyclic Chemistry)9、165(1
968)、オーガニック・シンセシス(Organic
Synthesis)IV、569(1963)、ジ
ャーナル・オブ・ジ・アメリカン・ケミカル・ソサイア
ティ(J.Am.Chem.Soc.)45、2390
(1923)、ヘミシェ・ベリヒテ(Chemisch
e Berichte)9、465(1876)、特公
昭40−28496号、特開昭50−89034号、米
国特許3,106,467号、同3,420,670
号、同2,271,229号、同3,137,578
号、同3,148,066号、同3,511,663
号、同3,060,028号、同3,271,154
号、同3,251,691号、同3,598,599
号、同3,148,066号、特公昭43−4135
号、米国特許3,615,616号、同3,420,6
64号、同3,071,465号、同2,444,60
5号、同2,444,606号、同2,444,607
号、同2,935,404号等に記載の方法や以下の合
成例により合成できる。
【0029】また、本発明の一般式(II)の化合物は
ジャーナル・オブ・ヘテロサイクリック・ケミストリー
(J.Heterocyclic Chem.)2、1
05(1965)、ジャーナル・オブ・オーガニック・
ケミストリー(J.Org.Chem.)32、224
5(1967)、ジャーナル・オブ・ケミカル・ソサイ
アティ(J.Chem.Soc.)3799(196
9)、ジャーナル・オブ・アメリカン・ケミカル・ソサ
イアティ(J.Am.Chem.Soc.)80、18
95(1958)、ケミカル・コミュニケーション(C
hem.Commun.)1222(1971)、テト
ラヘドロン・レタース(Tetrahedron Le
tt.)2939(1972)、特開昭60−8732
2号、ベリヒテ・デア・ドイツチエソ・ヘミッシェン・
ゲゼルシャフト(Berichteder Deuts
chen Chemischen Gesellsch
aft)38、4049(1905)、ジャーナル・オ
ブ・ケミカル・ソサイアティ・ケミカル・コミュニケー
ション(J.Chem.Soc.Chem.Commu
n.)1224(1971)、特開昭60−12293
6号、特開昭60−117240号、アドバンジイズ・
イン・ヘテロサイクリック・ケミストリー(Advan
ces in Heterocyclic Chemi
stry)19、1(1976)、テトラヘドロン・レ
ターズ(TetrahedronLetters)58
81(1968)、ジャーナル・オブ・ヘテロサイクリ
ック・ケミストリー(J.Heterocyclic
Chem.)5、277(1968)、ジャーナル・オ
ブ・ケミカル・ソサイアティ、パーキン・トランザクシ
ョンI(J.Chem.Soc.,Perkin Tr
ans.I)627(1974)、テトラヘドロン・レ
タース(Tetrahedron Letters)1
809(1967)、同1578(1971)、ジャー
ナル・オブ・ケミカル・ソサイアティ(J.Chem.
Soc.)899(1935)、同2865(195
9)、ジャーナル・オブ・オーガニック・ケミストリー
(J.Org.Chem.)30、567(1965)
等に記載の方法や以下の合成例により合成できる。
【0030】合成例1(例示化合物21の合成) 3,5−ジメルカプト−1,2,4−チアジアゾール1
1.7gにアセトニトリル100mlを加え、さらにナ
トリウムメトキシド28%メタノール溶液17.2ml
を加えて室温下30分撹拌した。この溶液にN−クロロ
プロピル−N,N−ジメチル−N−メトキシカルボニル
メチルアンモニウムブロミド23.6gを加えて3時間
加熱還流した。反応後反応液に酢酸エチル300ml、
水300mlを加えて、水層を分液抽出後、水層を減圧
下乾固した。得られた油状物に水酸化ナトリウム8gを
水30mlに溶解した溶液を加え40℃で30分加熱撹
拌した。反応後反応液に濃塩酸17.2mlを加えて中
和し、そのまま減圧下乾固した。得られた固体をシリカ
ゲルクロマト(溶離液クロロホルム/メタノール=3/
1)で精製しアセトニトリル100mlから再結晶して
目的物8.9g(収率39%)を得た。融点218〜9
℃得られた結晶はNMR)マススペクトル、元素分析か
ら目的物であることを確認した。
【0031】合成例2(例示化合物1の合成) N,N−ジメチル−N−イソチオシアナトエチル−N−
スルホプロピルアンモニウム分子内塩25.2gにアジ
化ナトリウム6.5gを水100mlに溶解した溶液を
加え窒素雰囲気下4時間加熱還流した。反応後反応液に
濃塩酸8.6mlを加えて中和した後、析出物を濾過し
て得られた濾液を減圧下乾固した。得られた固体をシリ
カゲルクロマト(溶離液クロロホルム/メタノール=3
/1)で精製し、メタノール100mlと水10mlの
混合溶媒から再結晶して目的物7.1g(収率24%)
を得た。融点300℃以上得られた結晶はNMR、マス
スペクトル、元素分析から目的物であることを確認し
た。
【0032】合成例3(例示化合物34の合成) N,N−ジメチル−N−イソチオシアナトエチル−N−
スルホプロピルアンモニウム分子内塩20.2gをアセ
トニトリル200mlに溶解し1−アセチル−1−メチ
ルヒドラジン7.0gを加えて3時間加熱還流した。反
応後反応液を室温まで冷却後ナトリウムメトキシド28
%メタノール溶液を16.4ml加え室温下1時間撹拌
した。反応後析出した結晶を濾過し、メタノール80m
lから再結晶して目的物10.3g(収率40%)を得
た。融点289〜91℃得られた結晶はNMR、マスス
ペクトル、元素分析から目的物であることを確認した。
【0033】本発明で用いる上記化合物は、例えばハロ
ゲン化銀写真感光材料を用いた画像形成方法に用いるこ
とができる。具体的には、ハロゲン化銀溶剤として粒子
形成時に用いること、感度/かぶり比を改良する添加
剤、現像処理方法における定着剤などとして有用であ
る。
【0034】本発明で用いる上記化合物をハロゲン化銀
写真感光材料中に含有させる場合、含有量としては、ハ
ロゲン化銀1モル当り0.001〜20g、特に0.0
1〜5gが好ましい。
【0035】本発明で用いる上記化合物をハロゲン化銀
の粒子形成時に使用する場合、物理熟成工程の条件、例
えばPH、PAg、温度、時間及び添加剤等に特に制限
はなく、当業界で一般に行なわれている条件で行うこと
が出来る。例えばpH値としては3.0〜8.5、特に
5.0〜7.5が好ましく、pAg値としては、7,0
〜9.5、特に8.0〜9.3が好ましく、温度として
は、40〜85℃、特に45〜75℃が好ましく、時間
は10〜200分、特に30〜120分が好ましい。添
加量としては、ハロゲン化銀1モル当り0.001〜2
0g特に0.01〜10gが好ましい。
【0036】また本発明で用いる上記化合物を処理液
(例えば、現像液、定着液、漂白液、水洗水)中に添加
することもでき、この場合の添加量は、好ましくは1×
10−4〜10モル/リットルであり、より好ましくは
1×10−3〜5モル/リットル、特に好ましくは1×
10−3〜3モル/リットルである。本発明で用いる上
化合物は定着能を有する液(例えば、定着液、漂白定
着液)に添加した場合、従来用いられている定着剤であ
るチオ硫酸に比べ酸化劣化を受けにくく優れた定着能を
有する特徴が大きく引き出せる。
【0037】本発明で用いる上記化合物が定着浴で使用
される量は、好ましくは1×10−4〜10モル/リッ
トルであり、より好ましくは1×10−3〜5モル/リ
ットル特に好ましくは1×10−2〜3モル/リットル
である。または漂白定着浴で使用される量は2×10
−2〜10モル/リットルが適当であり、2×10−1
〜3モル/リットルが好ましい。ここで、処理する感光
材料中のハロゲン化銀乳剤のハロゲン組成がAgBrI
(I≧2モル%以上)の場合には0.5〜2モル/リッ
トルで用いるのが好ましく、より好ましくは1.2〜2
モル/リットルである。またハロゲン組成がAgBr、
AgBrClまたは高塩化銀(AgCl≧80モル%以
上)の場合には、2×10−1〜1モル/リットルで用
いるのが好ましい。
【0038】本発明においては上記化合物をハロゲン化
銀感光材料に含有させることによって感度/かぶり比を
改良することができるが、対象の感光材料としては、印
刷用感光材料、Xレイ感光材料、B/W撮影用フィル
ム、黒白印画紙、レーザースキャナー用赤外用感光材料
などの黒白感光材料、カラーペーパー、カラー反転ペー
パー、撮影用カラーネガフィルム、カラー反転フィル
ム、映画用カラーネガフィルムもしくはカラーポジフィ
ルム、透過型もしくは反射型直接ポジ感光材料などのカ
ラー感光材料などを挙げることができる。更に銀塩拡散
転写用感光材料、カラー拡散感光材料、熱現像カラー感
光材料などにも適用できる。
【0039】次にハロゲン化銀カラー写真感光材料およ
びそれを用いる処理方法について詳しく述べる。但し、
黒白感光材料にも共通する事項も合せて述べる。本発明
のハロゲン化銀カラー写真感光材料は、支持体上に青感
色性層、緑感色性層、赤感色性層のハロゲン化銀乳剤層
の少なくとも1層が設けられていればよく、ハロゲン化
銀乳剤層及び非感光性の層数及び層順に特に制限はな
い。典型的な例としては、支持体上に、実質的に感色性
は同じであるが感光度の異なる複数のハロゲン化銀乳剤
層から成る感光性層を少なくとも1つ有するハロゲン化
銀写真感光材料であり、該感光性層は青色光、緑色光及
び赤色光の何れかに感色性を有する単位感光性層であ
り、多層ハロゲン化銀カラー写真感光材料においては、
一般に単位感光性層の配列が、支持体側から順に赤感色
性層、緑感色性層、青感色性層の順に配置される。しか
し、目的に応じて上記設置順が逆であっても、また同一
感色性層中に異なる感光性層が挟まれたような設置順を
もとりえる。
【0040】上記、ハロゲン化銀感光性層の間及び最上
層、最下層には各種の中間層等の非感光性層を設けても
よい。該中間層には、特開昭61−43748号、同5
9−113438号、同59−113440号、同61
−20037号、同61−20038号明細書に記載さ
れるようなカプラー、DIR化合物等が含まれていても
よく、通常用いられるように混色防止剤を含んでいても
よい。各単位感光性層を構成する複数のハロゲン化銀乳
剤層は、西独特許第1,121,470号あるいは英国
特許第923,045号に記載されるように高感度乳剤
層、低感度乳剤層の2層構成を好ましく用いることがで
きる。通常は、支持体に向かって順次感光度が低くなる
様に配列するのが好ましく、また各ハロゲン乳剤層の間
には非感光性層が設けられていてもよい。また、特開昭
57−112751号、同62−200350号、同6
2−206541号、同62−206543号等に記載
されているように支持体より離れた側に低感度乳剤層、
支持体に近い側に高感度乳剤層を設置してもよい。
【0041】具体例として支持体から最も遠い側から、
低感度青感光性層(BL)/高感度青感光性層(BH)
/高感度緑感光性層(GH)/低感度緑感光性層(G
L)/高感度赤感光性層(RH)/低感度赤感光性層
(RL)の順、またはBH/BL/GL/GH/RH/
RLの順、またはBH/BL/GH/GL/RL/RH
の順等に設置することができる。また特公昭55−34
932号公報に記載されているように、支持体から最も
遠い側から青感光性層/GH/RH/GL/RLの順に
配列することもできる。また特開昭56−25738
号、同62−63936号明細書に記載されているよう
に、支持体から最も遠い側から青感光性層/GL/RL
/GH/RHの順に配列することもできる。
【0042】また特公昭49−15495号公報に記載
されているように上層を最も感光度の高いハロゲン化銀
乳剤層、中層をそれよりも低い感光度のハロゲン化銀乳
剤層、下層を中層よりも更に感光度の低いハロゲン化銀
乳剤層を配置し、支持体に向かって感光度が順次低めら
れた感光度の異なる3層から構成される配列が挙げられ
る。このような感光度の異なる3層から構成される場合
でも、特開昭59−202464号明細書に記載されて
いるように、同一感色性層中において支持体より離れた
側から中感度乳剤層/高感度乳剤層/低感度乳剤層の順
に配置されてもよい。上記のように、それぞれの感光材
料の目的に応じて種々の層構成・配列を選択することが
できる。ハロゲン化銀カラー写真感光材料が、カラーネ
ガフィルム又はカラー反転フィルムの場合には、その写
真乳剤層に含有される好ましいハロゲン化銀は約30モ
ル%以下の沃化銀を含む、沃臭化銀、沃塩化銀、もしく
は沃塩臭化銀である。特に好ましいのは約2モル%から
約25モル%までの沃化銀を含む沃臭化銀もしくは沃塩
臭化銀である。
【0043】ハロゲン化銀カラー写真感光材料が、カラ
ー印画紙の場合には、その写真乳剤層に含有されるハロ
ゲン化銀としては、実質的に沃化銀を含まない塩臭化銀
もしくは塩化銀よりなるものを好ましく用いることがで
きる。ここで実質的に沃化銀を含まないとは、沃化銀含
有率が1モル%以下、好ましくは0.2モル%以下のこ
とをいう。これらの塩臭化銀乳剤のハロゲン組成につい
ては任意の臭化銀/塩化銀のものを用いることができ
る。この比率は目的に応じて広い範囲をとりうるが、塩
化銀比率が2モル%以上のものを好ましく用いることが
できる。迅速処理に適した感光材料には塩化銀含有率の
高い所謂高塩化銀乳剤が好ましく用いられる。これらの
高塩化銀乳剤の塩化銀含有率は、90モル%以上が好ま
しく、95モル%以上が更に好ましい。現像処理液の補
充量を低減する目的で、塩化銀含有率が98〜99.9
モル%であるようなほぼ純塩化銀の乳剤も好ましく用い
られる。
【0044】写真乳剤中のハロゲン化銀粒子は、立方
体、八面体、十四面体のような規則的な結晶を有するも
の、球状、板状のような変則的な結晶形を有するもの、
双晶面などの結晶欠陥を有するもの、あるいはそれらの
複合形でもよい。ハロゲン化銀の粒径は、約0.2μ以
下の微粒子でも投影面積直径が約10μに至るまでの大
サイズ粒子でもよく、多分散乳剤でも単分散乳剤でもよ
い。本発明に使用できるハロゲン化銀写真乳剤は、例え
ばリサーチ・ディスクロージャー(以下、RDと記す)
No.17643(1978年12月),22〜23
頁,“I.乳剤製造(Emulsion prepar
ation andtypes)”、及び同No.18
716(1979年11月),648頁などに記載され
た方法を用いて調製することができる。米国特許第3,
574,628号、同3,655,394号及び英国特
許第1,413,748号などに記載された単分散乳剤
も好ましい。
【0045】また、アスペクト比が約5以上であるよう
な平板状粒子も本発明に使用できる。平板状粒子は、ガ
トフ著、フォトグラフィック・サイエンス・アンド・エ
ンジニアリング(Gutoff,Photograph
ic Science and Engineerin
g)、第14巻248〜257頁(1970年);米国
特許第4,434,226号、同4,414,310
号、同4,433,048号、同4,439,520号
及び英国特許第2,112,157号などに記載の方法
により簡単に調製することができる。結晶構造は一様な
ものでも、内部と外部とが異質なハロゲン組成からなる
ものでもよく、層状構造をなしていてもよい、また、エ
ピタキシャル接合によって組成の異なるハロゲン化銀が
接合されていてもよく、また例えばロダン銀、酸化鉛な
どのハロゲン化銀以外の化合物と接合されていてもよ
い。また種々の結晶形の粒子の混合物を用いてもよい。
【0046】ハロゲン化銀乳剤は、通常、物理熟成、化
学増感及び分光増感を行ったものを使用する。物理熟成
の過程において、種々の多価金属イオン不純物(カドミ
ウム、亜鉛、鉛、銅、タリウム、鉄、ルテニウム、ロジ
ウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、白金など
の塩もしくは錯塩など)を導入することもできる。化学
増感に用いられる化合物については、特開昭62−21
5272号公報明細書第18頁右下欄〜第22頁右上欄
に記載のものが挙げられる。また、このような工程で使
用される添加剤はRDNo.17643及び同No.1
8716に記載されており、その該当箇所を後掲の表に
まとめた。本発明に使用できる公知の写真用添加剤も上
記の2つのRDに記載されており、下記の表に関連する
記載箇所を示した。
【0047】 添加剤種類 RD17643 RD18716 1 化学増感剤 23頁 648頁右欄 2 感度上昇剤 同 上 3 分光増感剤、 23〜24頁 648頁右欄〜 強色増感剤 649頁右欄 4 増 白 剤 24頁 5 かぶり防止剤 24〜25頁 649頁右欄〜 及び安定剤 6 光吸収剤、 25〜26頁 649頁右欄〜 フィルター染料、 650頁左欄 紫外線吸収剤 7 ステイン防止剤 25頁右欄 650頁左〜右欄 8 色素画像安定剤 25頁 9 硬 膜 剤 26頁 651頁左欄 10 バインダー 26頁 同 上 11 可塑剤、潤滑剤 27頁 650頁右欄 12 塗布助剤、 26頁〜27頁 650頁右欄 表面活性剤 13 スタチック防止剤 27頁 同 上
【0048】また、ホルムアルデヒドガスによる写真性
能の劣化を防止するために、米国特許4,411,98
7号や同4,435,503号に記載されたホルムアル
デヒドと反応して、固定化できる化合物を感光材料に添
加することが好ましい。本発明には種々のカラーカプラ
ーを使用することができ、その具体例は前出のRDN
o.17643、VII−C〜Gに記載された特許に記
載されている。
【0049】イエローカプラーとしては、例えば米国特
許第3,933,501号、同4,022,620号、
同4,326,024号、同4,401,752号、同
4,248,961号、特公昭58−10739号、英
国特許第1,425,020号、同1,476,760
号、米国特許第3,973,968号、同4,314,
023号、同4,511,649号、欧州特許第24
9,473A号等に記載のものが好ましい。
【0050】マゼンタカプラーとしては5−ピラゾロン
系及びピラゾロアゾール系の化合物が好ましく、米国特
許第4,310,619号、同4,351,897号、
欧州特許第73,636号、米国特許第3,061,4
32号、同3,725,064号、RDNo.2422
0(1984年6月)、特開昭60−33552号、R
DNo.24230(1984年6月)、特開昭60−
43659号、同61−72238号、同60−357
30号、同55−118034号、同60−18595
1号、米国特許第4,500,630号、同4,54
0,654号、同4,556,630号、WO(PC
T)88/04795号等に記載のものが特に好まし
い。
【0051】シアンカプラーとしては、フェノール系及
びナフトール系カプラーが挙げられ、米国特許第4,0
52,212号、同4,146,396号、同4,22
8,233号、同4,296,200号、同2,36
9,929号、同2,801,171号、同2,77
2,162号、同2,895,826号、同3,77
2,002号、同3,758,308号、同4,33
4,011号、同4,327,173号、西独特許公開
第3,329,729号、欧州特許第121,365A
号、同249,453A号、米国特許第3,446,6
22号、同4,333,999号、同4,753,87
1号、同4,451,559号、同4,427,767
号、同4,690,889号、同4,254,212
号、同4,296,199号、特開昭61−42658
号等に記載のものが好ましい。
【0052】発色色素の不要吸収を補正するためのカラ
ード・カプラーは、RDNo.17643のVII−G
項、米国特許第4,163,670号、特公昭57−3
9413号、米国特許第4,004,929号、同4,
138,258号、英国特許第1,146,368号に
記載のものが好ましい。また、米国特許第4,774,
181号に記載のカップリング時に放出された蛍光色素
により発色色素の不要吸収を補正するカプラーや、米国
特許第4,777,120号に記載の現像主薬と反応し
て色素を形成しうる色素プレカーサー基を離脱基として
有するカプラーを用いることが好ましい。
【0053】発色色素が適度な拡散性を有するカプラー
としては、米国特許第4,366,237号、英国特許
第2,125,570号、欧州特許第96,570号、
西独特許(公開)第3,234,533号に記載のもの
が好ましい。ポリマー化された色素形成カプラーの典型
例は、米国特許第3,451,820号、同4,08
0,211号、同4,367,282号、同4,40
9,320号、同4,576,910号、英国特許2,
102,173号等に記載されている。
【0054】カップリングに伴って写真的に有用な残基
を放出するカプラーもまた本発明で好ましく使用でき
る。現像抑制剤を放出するDIRカプラーは、前述のR
D17643、VII〜F項に記載された特許、特開昭
57−151944号、同57−154234号、同6
0−184248号、同63−37346号、米国特許
4,248,962号、同4,782,012号に記載
されたものが好ましい。現像時に画像状に造核剤もしく
は現像促進剤を放出するカプラーとしては、英国特許第
2,097,140号、同2,131,188号、特開
昭59−157638号、同59−170840号に記
載のものが好ましい。
【0055】その他、本発明の感光材料に用いることの
できるカプラーとしては、米国特許第4,130,42
7号等に記載の競争カプラー、米国特許第4,283,
472号、同4,338,393号、同4,310,6
18号等に記載の多当量カプラー、特開昭60−185
950号、特開昭62−24252号等に記載のDIR
レドックス化合物放出カプラー、DIRカプラー放出カ
プラー、DIRカプラー放出レドックス化合物もしくは
DIRレドックス放出レドックス化合物、欧州特許第1
73,302A号に記載の離脱後復色する色素を放出す
るカプラー、RDNo.11449、同24241、特
開昭61−201247号等に記載の漂白促進剤放出カ
プラー、米国特許第4、553,477号等に記載のリ
ガンド放出カプラー、特開昭63−75747号に記載
のロイコ色素を放出するカプラー、米国特許第4,77
4,181号に記載の蛍光色素を放出するカプラー等が
挙げられる。
【0056】本発明に使用するカプラーは、種々の公知
分散方法により感光材料に導入できる。水中油滴分散法
に用いられる高沸点溶媒の例は米国特許第2,322,
027号などに記載されており、水中油滴分散法に用い
られる常圧での沸点が175℃以上の高沸点有機溶剤の
具体例としては、フタル酸エステル類(ジブチルフタレ
ート、ジシクロヘキシルフタレート、ジ−2−エチルヘ
キシルフタレート、デシルフタレート、ビス(2,4−
ジ−t−アミルフェニル)フタレート、ビス(2,4−
ジ−t−アミルフェニル)イソフタレート、ビス(1,
1−ジエチルプロピル)フタレートなど)、リン酸また
はホスホン酸のエステル類(トリフェニルホスフェー
ト、トリクレジルホスフェート、2−エチルヘキシルジ
フェニルホスフェート、トリシクロヘキシルホスフェー
ト、トリ−2−エチルヘキシルホスフェート、トリドデ
シルホスフェート、トリブトキシエチルホスフェート、
トリクロロプロピルホスフェート、ジ−2−エチルヘキ
シルフェニルホスホネートなど)、安息香酸エステル類
(2−エチルヘキシルベンゾエート、ドデシルベンゾエ
ート、2−エチルヘキシル−p−ヒドロキシベンゾエー
トなど)、アミド類(N,N−ジエチルドデカンアミ
ド、N,N−ジエチルラウリルアミド、N−テトラデシ
ルピロリドンなど)、アルコール類またはフェノール類
(イソステアリルアルコール、2,4−ジ−tert−
アミルフェノールなど)、脂肪族カルボン酸エステル類
(ビス(2−エチルヘキシル)セバケート、ジオクチル
アゼレート、グリセロールトリブチレート、イソステア
リルラクテート、トリオクチルシトレートなど)、アニ
リン誘導体(N,N−ジブチル−2−ブトキシ−5−t
ert−オクチルアニリンなど)、炭化水素類(パラフ
ィン、ドデシルベンゼン、ジイソプロピルナフタレンな
ど)などが挙げられる。また補助溶剤としては、沸点が
約30℃以上、好ましくは50℃以上約160℃以下の
有機溶剤などが使用でき、典型例としては酢酸エチル、
酢酸ブチル、プロピオン酸エチル、メチルエチルケト
ン、シクロヘキサノン、2−エトキシエチルアセテー
ト、ジメチルホルムアミドなどが挙げられる。
【0057】ラテックス分散法の工程、効果および含浸
用のラテックスの具体例は、米国特許第4,199,3
63号、西独特許出願(OLS)第2,541,274
号及び同2,541,230号などに記載されている。
また、これらのカプラーは前記の高沸点有機溶媒の存在
下または不存在下でローダブルラテックスポリマー(例
えば米国特許第4,203,716号)に含浸させて、
または水不溶性かつ有機溶媒可溶性のポリマーに溶かし
て親水性コロイド水溶液に乳化分散させることができ
る。好ましくは、国際公開番号WO88/00723号
明細書の第12〜30頁に記載の単独重合体または共重
合体が用いられる。特にアクリルアミド系ポリマーの使
用が色像安定化等の上で好ましい。本発明に使用できる
適当な支持体は、例えば、前述のRD.No.1764
3の28頁、及び同No.18716の647頁右欄か
ら648頁左欄に記載されている。
【0058】本発明の感光材料は、乳剤層を有する側の
全親水性コロイド層の膜厚の総和が25μm以下、好ま
しくは20μm以下であり、かつ膜膨潤速度T1/2
30秒以下(好ましくは15秒以下)が好ましい。膜厚
は、25℃相対湿度55%調湿下(2日)で測定した膜
厚を意味し、膜膨潤速度T1/2は、当該技術分野にお
いて公知の手法に従って測定することができる。例え
ば、エー・グリーン(A.Green)らによりフォト
グラフィック・サイエンス・アンド・エンジニアリング
(Photogr.Sci.Eng.)、19巻、2
号、124〜129頁に記載の型のスエロメーター(膨
潤計)を使用することで測定でき、T1/2は発色現像
液で30℃、3分15秒処理した時に到達する最大膨潤
膜厚の90%を飽和膜厚とし、この1/2の膜厚に到達
するまでの時間と定義する。膜膨潤速度T1/2は、バ
インダーとしてのゼラチンに硬膜剤を加えること、ある
いは塗布後の経時条件を変えることによって調整するこ
とができる。また、膨潤率は150〜400%が好まし
い。膨潤率とは、さきに述べた条件下での最大膨潤膜厚
から、式:(最大膨潤膜厚−膜厚)/膜厚に従って計算
できる。
【0059】前述のカラー写真感光材料は、前述のRD
No.17643の28〜29頁、及び同No.187
16の615左欄〜右欄に記載された通常の方法によっ
て現像処理することができる。感光材料の現像処理に用
いる発色現像液は、好ましくは芳香族第一級アミン系発
色現像主薬を主成分とするアルカリ性水溶液である。こ
の発色現像主薬としては、アミノフェノール系化合物も
有用であるが、p−フェニレンジアミン系化合物が好ま
しく使用され、その代表例としては3−メチル−4−ア
ミノ−N,Nジエチルアニリン、3−メチル−4−アミ
ノ−N−エチル−N−β−ヒドロキシエチルアニリン、
3−メチル−4−アミノ−N−エチル−N−β−メタン
スルホンアミドエチルアニリン、3−メチル−4−アミ
ノ−N−エチル−β−メトキシエチルアニリン及びこれ
らの硫酸塩、塩酸塩もしくはp−トルエンスルホン酸塩
などが挙げられる。これらの化合物は目的に応じ2種以
上併用することもできる。
【0060】発色現像液は、アルカリ金属の炭酸塩、ホ
ウ酸塩もしくはリン酸塩のようなpH緩衝剤、臭化物
塩、沃化物塩、ベンズイミダゾール類、ベンゾチアゾー
ル類もしくはメルカプト化合物のような現像抑制剤また
はカブリ防止剤などを含むのが一般的である。また必要
に応じて、ヒドロキシルアミン、ジエチルヒドロキシル
アミン、亜硫酸塩ヒドラジン類、フェニルセミカルバジ
ド類、トリエタノールアミン、カテコールスルホン酸
類、トリエチレンジアミン(1,4−ジアザビシクロ
〔2,2,2〕オクタン)類の如き各種保恒剤、エチレ
ングリコール、ジエチレングリコールのような有機溶
剤、ベンジルアルコール、ポリエチレングリコール、四
級アンモニウム塩、アミン類のような現像促進剤、色素
形成カプラー、競争カプラー、ナトリウムボロンハイド
ライドのようなカブラセ剤、1−フェニル−3−ピラゾ
リドンのような補助現像主薬、粘性付与剤、アミノポリ
カルボン酸、アミノポリホスホン酸、アルキルホスホン
酸、ホスホノカルボン酸に代表されるような各種キレー
ト剤(例えば、エチレンジアミン四酢酸、ニトリロ三酢
酸、ジエチレントリアミン五酢酸、シクロヘキサンジア
ミン四酢酸、ヒドロキシエチルイミノジ酢酸、1−ヒド
ロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸、ニトリロ−
N,N,N−トリメチレンホスホン酸、エチレンジアミ
ン−N,N,N,N−テトラメチレンホスホン酸、エチ
レンジアミン−ジ(o−ヒドロキシフェニル酢酸)及び
それらの塩)、4,4′−ジアミノ−2,2′−ジスル
ホスチレンベン系化合物のような蛍光増白剤、アルキル
スルホン酸、アリールスルホン酸、脂肪族カルボン酸、
芳香族カルボン酸等の各種界面活性剤などを添加しても
よい。
【0061】但し、ベンジルアルコールは公害性、調液
性及び色汚染防止の点で実質的に含まない方が好まし
い。ここで「実質的に」とは、発色現像液1リットル当
たり2ml以下(更に好ましくは全く含まない)を意味
する。また反転処理を実施する場合は通常黒白現像を行
ってから発色現像する。この黒白現像液には、ハイドロ
キノンなどのジヒドロキシベンゼン類、1−フェニル−
3−ピラゾリドンなどの3−ピラゾリドン類またはN−
メチル−p−アミノフェノールなどのアミノフェノール
類など公知の黒白現像主薬を単独であるいは組み合わせ
て用いることができる。
【0062】これらの発色現像液及び黒白現像液のpH
は9〜12であることが一般的である。またこれらの現
像液の補充量は、処理するカラー写真感光材料にもよる
が、一般に感光材料1平方メートル当たり3リットル以
下であり、補充液中の臭化物イオン濃度を低減させてお
くことにより500ml以下にすることもできる。特
に、所謂高塩化銀感光材料を用いる場合には、発色現像
液中の臭素イオンを低くし、塩化物イオンを比較的多く
することで写真性、処理性に優れ、写真性の変動を抑え
ることができるので特に好ましい。そのような場合の補
充量は、発色現像浴でのオーバーフローが実質的になく
なる感光材料1平方メートル当たり約20mlまで減少
させることができる。補充量を低減する場合には処理槽
の空気との接触面積を小さくすることによって液の蒸
発、空気酸化を防止することが好ましい。また現像液中
の臭化物イオンの蓄積を抑える手段を用いることにより
補充量を低減することもできる。
【0063】本発明の感光材料は、前記メルカプト化合
物またはメソイオンチオレート化合物を含有する発色現
像液で処理することができる。本発明の感光材料に対す
発色現像処理の処理温度は、20〜50℃で好ましく
は30〜45℃である。処理時間は、20秒〜5分で、
好ましくは30秒〜3分であるが、高温高pHとし、か
つ発色現像主薬を高濃度に使用することにより、更に処
理時間の短縮を図ることもできる。
【0064】発色現像後の写真乳剤層は通常漂白処理さ
れる。漂白処理は定着処理と同時に行なわれてもよいし
(漂白定着処理)、個別に行なわれてもよい。更に処理
の迅速化を図るため、漂白処理後漂白定着処理する処理
方法でもよい。さらに二槽の連続した漂白定着浴で処理
すること、漂白定着処理の前に定着処理すること、又は
漂白定着処理後漂白処理することも目的に応じ任意に実
施できる。漂白剤としては、例えば鉄(III)、コバ
ルト(III)、クロム(IV)、銅(II)などの多
価金属の化合物、過酸類、キノン類、ニトロ化合物等が
用いられる。代表的漂白剤としてはフェリシアン化物;
重クロム酸塩;鉄(III)もしくはコバルト(II
I)の有機錯塩、例えばエチレンジアミン四酢酸、ジエ
チレントリアミン五酢酸、シクロヘキサンジアミン四酢
酸、メチルイミノ二酢酸、1,3−ジアミノプロパン四
酢酸、グリコールエーテルジアミン四酢酸、などのアミ
ノポリカルボン酸類もしくはクエン酸、酒石酸、リンゴ
酸などの錯塩;過硫酸塩;臭素酸塩;過マンガン酸塩;
ニトロベンゼン類などを用いることができる。これらの
うちエチレンジアミン四酢酸鉄(III)錯塩を始めと
するアミノポリカルボン酸鉄(III)錯塩は過硫酸塩
は迅速処理と環境汚染防止の観点から好ましい。さらに
アミノポリカルボン酸鉄(III)錯塩は漂白液におい
ても、漂白定着液においても特に有用である。特に、撮
影用ネガ感光材料の漂白液には、1,3−ジアミノプロ
パン四酢酸鉄(III)錯塩が漂白能の観点から好まし
い。これらのアミノポリカルボン酸鉄(III)錯塩を
用いた漂白液又は漂白定着液のpHは、通常5.5〜8
であるが、処理の迅速化のために、更に低いpHで処理
することもできる。
【0065】漂白液、漂白定着液及びそれらの前浴に
は、必要に応じて漂白促進剤を使用することができる。
有用な漂白促進剤の具体例は、次の明細書に記載されて
いる。米国特許第3,893,858号、西独特許第
1,290,812号、同2,059,988号、特開
昭53−32736号、同53−57831号、同53
−37418号、同53−72623号、同53−95
630号、同53−95631号、同53−10423
2号、同53−124424号、同53−141623
号、同53−28426号、RDNo.17129号
(1978年7月)などに記載のメルカプト基またはジ
スルフィド基を有する化合物;特開昭50−14012
9号に記載のチアゾリジン誘導体;特公昭45−850
6号、特開昭52−20832号、同53−32735
号、米国特許第3,706,561号に記載のチオ尿素
誘導体;西独特許第1,127,715号、特開昭58
−16,235号に記載の沃化物塩;西独特許第96
6,410号、同2,748,430号に記載のポリオ
キシエチレン化合物類;特公昭45−8836号記載の
ポリアミン化合物;その他特開昭49−42434号、
同49−59644号、同53−94927号、同54
−35727号、同55−26506号、同58−16
3940号記載の化合物;臭化物イ才ン等が使用でき
る。なかでもメルカプト基またはジスルフィド基を有す
る化合物が促進効果が大きい観点で好ましく、特に米国
特許第3,893,858号、西独特許第1,290,
812号、特開昭53−95630号に記載の化合物が
好ましい。更に、米国特許第4,552,834号に記
載の化合物も好ましい。これらの漂白促進剤は感材中に
添加してもよい。撮影用のカラー感光材料を漂白定着す
るときにこれらの漂白促進剤は特に有効である。
【0066】本発明の感光材料の処理に用いる漂白定着
液には臭化アンモニウムや塩化アンモニウムのような再
ハロゲン化剤や硝酸アンモニウムなどのpH緩衝剤、硫
酸アンモニウムなどの金属腐食防止剤など公知の添加剤
を添加することができる。本発明の感光材料の処理に用
いる定着浴には前記メルカプト化合物又はメソイオンチ
オレート化合物を含有させることができ、それ以外に、
既知の定着剤を併用してもよい。例えば、定着剤として
はチオ硫酸塩、チオシアン酸塩、チオエーテル系化合
物、チオ尿素類、多量の沃化物塩等をあげることができ
るが、チオ硫酸塩の使用が一般的であり、特にチオ硫酸
アンモニウムが溶解性や定着速度の点から好ましく、他
の定着剤と併用するのもよい。漂白定着液の保恒剤とし
ては、亜硫酸塩や重亜硫酸塩あるいはカルボニル重亜硫
酸付加物、スルフィン酸化合物が好ましい。定着液には
定着液の安定性向上のために、アミノポリカルボン酸類
や有機ホスホン酸系キレート剤(好ましくは、1−ヒド
ロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸及びN,N,
N′,N′−エチレンジアミンテトラホスホン酸)を含
有することが好ましい。
【0067】定着液には、更に、各種の蛍光増白剤、消
泡剤、界面活性剤、ボリビニルピロリドン、メタノール
等を含有させることができる。脱銀工程における各処理
液の撹拌はできるだけ強化されていることが、脱銀処理
時間短縮の点から好ましい。撹拌手段としては、特開昭
62−183460号や同62−183461号に記載
のような方法などが挙げられ、噴流を衝突させる手段の
場合には、衝突までの時間は感光材料が処理液に導入さ
れてから15秒以内に行うのが好ましい。
【0068】本発明の感光材料の処理において発色現像
液から漂白液へのクロスオーバー時間(感光材料がカラ
ー現像液から出て、漂白液に入るまでの空中時間)は、
漂白カブリや感光材料表面の汚れ付着を改良する点で1
0秒以内が好ましい。又、本発明の漂白液から定着能を
有する処理液へのクロスオーバー時間は、シアン色素の
復色不良を改良する点から10秒以内が好ましい。ここ
で、定着液の補充量としては、撮影用カラー感光材料
(例えば、塗布銀量4〜12g/m)の場合には80
0ml/m以下が好ましく、漂白定着液の補充量とし
ては、50ml/m以下が好ましい。
【0069】本発明ハロゲン化銀カラー写真感光材料
は、脱銀処理後、水洗及び/又は安定工程を経るのが一
般的である。水洗工程での水洗水量は、感光材料の特性
(例えばカプラー等使用素材による)、用途、更には水
洗水温、水洗タンクの数(段数)、向流、順流等の補充
方式、その他種々の条件によって広範囲に設定し得る。
このうち、多段向流方式における水洗タンク数と水量の
関係は、Journal of the Societ
y of Motion Picture and T
elevision Engineers第64巻、
P.248〜253(1955年5月号)に記載の方法
で、求めることができる。前記文献に記載の多段向流方
式によれば、水洗水量を大幅に減少し得るが、タンク内
における水の滞留時間の増加により、バクテリアが繁殖
し、生成した浮遊物が感光材料に付着する等の問題が生
じる。本発明のカラー感光材料の処理において、このよ
うな問題が解決策として、特開昭62−288838号
に記載のCaイオン、Mgイオンを低減させる方法を極
めて有効に用いることができる。また、特開昭57−8
542号に記載のイソチアゾロン化合物やサイアベンダ
ゾール類、塩素化イソシアヌール酸ナトリウム等の塩素
系殺菌剤、その他ベンゾトリアソール等、堀口博著「防
菌防黴剤の化学」、衛生技術会編「微生物の滅菌、殺
菌、防黴技術」、日本防菌防黴学会編「防菌防黴剤事
典」に記載の殺菌剤を用いることもできる。
【0070】本発明の感光材料の処理における水洗水の
pHは、4〜9であり、好ましくは5〜8である。水洗
水温、水洗時間も、感光材料の特性、用途等で種々設定
し得るが、一般には、15〜45℃で20秒〜10分、
好ましくは25〜40℃で30秒〜5分の範囲が選択さ
れる。更に、本発明の感光材料は、上記水洗に代り、直
接安定液によって処理することもできる。このような安
定化処理においては、特開昭57−8543号、同58
−14834号、同60−220345号に記載の公知
の方法はすべて用いることができる。
【0071】又、前記水洗処理に続いて、更に安定化処
理する場合もあり、その例として、撮影用カラー感光材
料の最終浴として使用される、ホルマリン、ヘキサメチ
レンテトラミン、ヘキサヒドロトリアジンやN−メチロ
ール化合物に代表される色素安定化剤を含有する安定浴
を挙げることができる。この安定浴にも必要に応じてア
ンモニウム化合物、Bi、Alなどの金属化合物、蛍光
増白剤、各種キレート剤、膜pH調節剤、硬膜剤、殺菌
剤、防黴剤、アルカノールアミンや界面活性剤(シリコ
ン系が好ましい。)を加えることもできる。水洗工程も
しくは安定化工程に用いられる水としては水道水のほか
イオン交換樹脂などによってCaイオン、Mgイオン濃
度を5mg/リットル以下に脱イオン処理した水やハロ
ゲン、紫外線殺菌灯等によって殺菌された水を使用する
のが好ましい。
【0072】上記水洗及び/又は安定液の補充量は、感
光材料単位面積当たり前浴からの持ち込み量の1〜50
倍、好ましくは2〜30倍、より好ましくは2〜15倍
である。この補充に伴うオーバーフロー液は脱銀工程他
の工程において再利用することもできる。本発明のハロ
ゲン化銀カラー感光材料には処理の簡略化及び迅速化の
目的で発色現像主薬を内蔵しても良い。内蔵するために
は、発色現像主薬の各種プレカーサーを用いるのが好ま
しい。例えば米国特許第3,342,597号記載のイ
ンドアニリン系化合物、同3,342,599号、RD
No.14,850号及び同15,159号記載のシッ
フ塩基型化合物、同13,924号記載のアルドール化
合物、米国特許第3,719,492号記載の金属塩錯
体、特開昭53−135628号記載のウレタン系化合
物を挙げることができる。本発明のハロゲン化銀カラー
感光材料は、必要に応じて、発色現像を促進する目的
で、各種の1−フェニル−3−ピラゾリドン類を内蔵し
ても良い。典型的な化合物は特開昭56−64339
号、同57−144547号、及び同58−11543
8号等に記載されている。
【0073】本発明の感光材料の処理における各種処理
液は10℃〜50℃において使用される。通常は33℃
〜38℃の温度が標準的であるが、より高温にして処理
を促進し処理時間を短縮したり、逆により低温にして画
質の向上や処理液の安定性の改良を達成することができ
る。
【0074】ハロゲン化銀カラー感光材料の1つの例と
して直接ポジ型ハロゲン化銀を用いたものがある。この
感光材料を用いた処理について以下説明する。ハロゲン
化銀カラー写真感光材料を像様露光の後、光又は造核剤
によるかぶり処理を施した後又は施しながら、芳香族第
一級アミン系発色現像薬を含むpH11.5以下の表面
現像液で発色現像、漂白・定着処理することにより直接
ポジカラー画像を形成することも好ましい。この現像液
のpHは11.0〜10.0の範囲であるのが更に好ま
しい。本発明の感光材料の処理におけるかぶり処理は、
いわゆる「光かぶり法」と呼ばれる感光層の全面に第二
の露光を与える方法及び「化学的かぶり法」と呼ばれる
造核剤の存在下にて現像処理する方法のうちのどちらを
用いてもよい。造核剤およびかぶり光の存在下で現像処
理してもよい。また、造核剤が含有する感光材料をかぶ
り露光してもよい。
【0075】光かぶり法に関しては、前記の特願昭61
−253716号明細書第47頁4行〜49頁5行に記
載されており、本発明に用いうる造核剤に関しては同明
細書第49頁6行〜67頁2行に記載されており、特に
一般式〔N−1〕と〔N−2〕で表わされる化合物の使
用が好ましい。これらの具体例としては、同明細書第5
6〜58頁に記載の〔N−I−1〕〜〔N−I−10〕
と同明細書第63〜66頁に記載の〔N−II−1〕〜
〔N−II−12〕の使用が好ましい。本発明の感光材
料の処理に用いうる造核促進剤に関しては、同明細書第
68頁11行〜71頁3行に記載されており、特にこの
具体例としては、同第69〜70頁に記載の(A−1)
〜(A−13)の使用が好ましい。
【0076】次にハロゲン化銀黒白写真感光材料及びそ
れを用いた処理について詳しく述べる。用いられるハロ
ゲン化銀乳剤のハロゲン組成には特別な制限はなく、塩
化銀、塩臭化銀、沃臭化銀、臭化銀、沃臭塩化銀等のど
の組成であってもよいが、沃化銀の含量は10モル%以
下、特に5モル%以下であることが好ましい。コントラ
ストの高いネガ像の形成に利用する場合に、用いられる
ハロゲン化銀の平均粒子サイズは微粒子(例えば0.7
μ以下)の方が好ましく、特に0.5μ以下が好まし
い。粒子サイズ分布は基本的には制限はないが、単分散
である方が好ましい。ここでいう単分散とは重量もしく
は粒子数で少なくともその95%が平均粒子サイズの±
40%以内の大きさを持つ粒子群から構成されているこ
とをいう。写真乳剤中のハロゲン化銀粒子は立方体、八
面体、菱12面体、14面体のような規則的(regu
lar)な結晶体を有するものでもよく、また球状、平
板状などのような変則的(irregular)な結晶
を持つもの、あるいはこれらの結晶形の複合形を持つも
のであってもよい。
【0077】写真乳剤の他の点については、前述の写真
乳剤を基本的に用いることができる。本発明においてハ
ロゲン化銀乳剤層は特願昭60−64199号、特願昭
60−232086号に開示されているような平均粒子
サイズの異なる二種類の単分散乳剤を含むことが最高濃
度(Dmax)上昇という点で好ましく、小サイズ単分
散粒子は化学増感されていることが好ましく、化学増感
の方法は硫黄増感が最も好ましい。大サイズ単分散乳剤
の化学増感はされていなくてもよいが、化学増感されて
いてもよい。大サイズ単分散粒子は一般に黒ポツが発生
しやすいので化学増感を行なわないが、化学増感すると
きは黒ポツが発生しない程度に浅く施すことが特に好ま
しい。ここで「浅く施す」とは小サイズ粒子の化学増感
に較べ化学増感を施す時間を短かくしたり、温度を低く
したり化学増感剤の添加量を抑えたりして行なうことで
ある。大サイズ単分散乳剤と小サイズ単分散乳剤の感度
差には特に制限はないがΔlogEとして0.1〜1.
0、より好ましくは0.2〜0.7であり、大サイズ単
分散乳剤が高い方が好ましい。小サイズ単分散粒子の平
均粒子サイズは、大サイズのハロゲン化銀単分散粒子の
平均サイズの90%以下であり、好ましくは80%以下
である。
【0078】本発明印刷用感光材料には写真乳剤層そ
の他の親水性コロイド層に公知の造核剤を含有させて超
硬調な画像を形成させることもできる。本発明に用いら
れる造核剤としては、例えばRESEARCH DIS
CLOSURE Item23516(1983年11
月号、P.346)およびそこに引用された文献に記載
されている。本発明の感光材料の処理に用いるのに適し
た現像促進剤あるいは造核伝染現像の促進剤としては、
特開昭53−77616号、同54−37732号、同
53−137133号、同60−140340号、同6
0−14959号などに開示されている化合物の他、N
又はS原子を含む各種の化合物が有効である。
【0079】本発明直接ポジ感光材料には写真乳剤層
その他の親水性コロイド層に減感剤を含有してもよい。
有機減感剤は、そのポーラログラフ半波電位、即ちポー
ラログラフィーで決定される酸化還元電位により規定さ
れ、ポーラロ陽極電位と陰極電位の和が正になるもので
ある。有機減感剤としては、特願昭61−280998
号の第55頁〜第72頁に記載された一般式(III)
〜(V)で表わされるものが好ましく用いられる。
【0080】本発明のハロゲン化銀黒白感光材料を現像
処理する際の現像液には、通常用いられる添加剤(例え
ば現像主薬、アルカリ剤、pH緩衝剤、保恒剤、キレー
ト剤)を含有させることができる。本発明の感光材料の
処理には、公知の方法のいずれをも用いることができる
し処理液には公知のものを用いることができる。又、処
理温度は通常、18℃から50℃の間に選ばれるが、1
8℃より低い温度または50℃をこえる温度としてもよ
い。黒白現像液には、ジヒドロキシベンゼン類(例え
ば、ハイドロキノン)、1−フェニル−3−ピラゾリド
ン類、アミノフェノール類(例えば、N−メチル−p−
アミノフェノール)などの公知の現像主薬を単独あるい
は組み合わせて用いることができる。
【0081】ジヒドロキシベンゼン系現像主薬は通常
0.05モル/リットル〜0.8モル/リットルの量で
用いられるのが好ましい。またジヒドロキシベンゼン類
と1−フェニル−3−ピラゾリドン類又はp−アミノー
フェノール類との組合せを用いる場合には前者を0.0
5モル/リットル〜0.5モル/リットル、後者を0.
06モル/リットル以下の量で用いるのが好ましい。本
発明の感光材料の処理に用いる亜硫酸塩保恒剤としては
亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、亜硫酸リチウム、
重亜硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸カリウム、ホルムア
ルデヒド重亜硫酸ナトリウム等がある。黒白現像液、特
にグラフィックアーツ用現像液には亜硫酸塩は0.3モ
ル/リットル以上用いられるが、余りに多量添加すると
現像液中で沈澱して液汚染を引き起こすので、上限は
1.2モル/リットルとするのが好ましい。
【0082】本発明の感光材料の処理において現像液に
用いるアルカリ剤には水酸化ナトリウム、水酸化カリウ
ム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、第三リン酸ナトリ
ウム、第三リン酸カリウム、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸
カリウムの如きpH調節剤や緩衝剤を含む。上記成分以
外に用いられる添加剤としてはホウ酸、ホウ砂などの化
合物、臭化ナトリウム、臭化カリウム、沃化カリウムの
如き現像抑制剤:エチレングリコール、ジエチレングリ
コール、トルエチレングリコール、ジメチルホルムアミ
ド、メチルセロソルブ、ヘキシレングリコール、エタノ
ール、メタノールの如き有機溶剤:1−フェニル−5−
メルカプトテトラゾール、2−メルカプトベンツイミダ
ゾール−5−スルホン酸ナトリウム塩等のメルカプト系
化合物、5−ニトロインダゾール等のインダゾール系化
合物、5−メチルベンツトリアゾール等のベンツトリア
ゾール系化合物などのカブリ防止剤又は黒ポツ(bla
ck pepper)防止剤:を含んでもよく、更に必
要に応じて色調剤、界面活性剤、消泡剤、硬水軟化剤、
硬膜剤、などを含んでもよい。また銀汚れ防止剤として
特開昭56−24347号に記載の化合物、現像ムラ防
止剤として特開昭62−212651号に記載の化合
物、溶解助剤として特願昭60−109743号に記載
の化合物を用いることができる。
【0083】本発明の感光材料の処理に用いられる現像
液には、緩衝剤として特願昭61−28708号に記載
のホウ酸、特開昭60−93433に記載の糖類(例え
ばサッカロース)、オキシム類(例えば、アセトオキシ
ム)、フェノール類(例えば、5−スルホサリチル
酸)、第3リン酸塩(例えばナトリウム塩、カリウム
塩)などが用いられる。定着液は定着剤の他に必要に応
じて硬膜剤(例えば水溶性アルミニウム化合物)、酢酸
及び二塩基酸(例えば酒石酸、クエン酸又はこれらの
塩)を含む水溶液であり、好ましくは、pH3.8以
上、より好ましくは4.0〜7.5を有する。本発明の
感光材料の処理に用いる定着浴には前記メルカプト化合
物又はメソイオンチオレート化合物を含有させることが
でき、それ以外に既知の定着剤を併用してもよい。例え
ば、定着剤としてはチオ硫酸ナトリウム、チオ硫酸アン
モニウムなどであり、定着速度の点からチオ硫酸アンモ
ニウムが特に好ましい。定着剤の使用量は適宜変えるこ
とができ、一般には約0.1〜約0.5モル/リットル
である。定着液中で主として硬膜剤として使用する水溶
性アルミニウム塩は一般に酸性硬膜定着液の硬膜剤とし
て知られている化合物であり、例えば塩化アルミニウ
ム、硫酸アルミニウム、カリ明ばんなどがある。前述の
二塩基酸として、酒石酸あるいはその誘導体、クエン酸
あるいはその誘導体が単独で、あるいは二種以上を併用
することができる。これらの化合物は定着液1リットル
につき0.005モル以上含むものが有効で、特に0.
01モル/リットル〜0.03モル/リットルが特に有
効である。具体的には、酒石酸、酒石酸カリウム、酒石
酸ナトリウム、酒石酸カリウムナトリウム、酒石酸アン
モニウム、酒石酸アンモニウムカリウム、などがある。
【0084】定着液にはさらに所望により保恒剤(例え
ば、亜硫酸塩、重亜硫酸塩)、pH緩衝剤(例えば、酢
酸、硼酸)、pH調整剤(例えば、アンモニア、硫
酸)、画像保存良化剤(例えば、沃化カリ)、キレート
剤を含むことができる。ここでpH緩衝剤は、現像液の
pHが高いので10〜40g/リットル、より好ましく
は18〜25g/リットル程度用いる。定着温度及び時
間は現像の場合と同様であり、約20℃〜約50℃で1
0秒〜1分が好ましい。ここで、定着液の補充量として
は300ml/m以下が好ましい。
【0085】また水洗水としては前述のものを用いるこ
とができる。また、水洗水の代りに安定液を用いてもよ
い。ローラー搬送型の自動現像機については米国特許第
3025779号明細書、同第3545971号明細書
などに記載されており、本明細書においては単にローラ
ー搬送型プロセッサーとして言及する。ローラー搬送型
プロセッサーは現像、定着、水洗及び乾燥の四工程から
なっており、本発明の感光材料を処理する方法も、他の
工程(例えば、停止工程)を除外しないが、この四工程
を踏襲するのが最も好ましい。ここで、水洗工程は、2
〜3段の向流水洗を用いることによって節水処理するこ
とができる。
【0086】
【実施例】以下に実施例をもって本発明を詳細に説明す
るが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0087】実施例1 臭化カリウムと沃化カリウムの混合水溶液と硝酸銀の水
溶液をゼラチン水溶液に激しく撹拌しながら、50℃で
60分を要して同時に添加して沃度含量2モル%の沃臭
化銀乳剤を得た(乳剤1)。沈澱工程中pAgは約8.
9に保った。この乳剤を常法に従って水洗した。得られ
た乳剤の平均粒子サイズは約0.20ミクロンであっ
た。乳剤1と同じ方法で、但し上記ゼラチン水溶液に本
発明で用いられる化合物又は比較化合物(a)、
(b)、(c)及びアンモニアを各々第1表の如く添加
したのち沈澱工程を行って各乳剤を得、各乳剤の平均粒
子サイズを電子顕微鏡で測定した。
【0088】
【表1】
【0089】表1より明らかなように、比較化合物
(a)、(b)、(c)及びアンモニアに比べ本発明
用いられる化合物はハロゲン化銀粒子の成長を大きく促
進し、少量添加するだけで粒子サイズを増大させるとい
う驚くべき効果を有していた。
【0090】
【化11】
【0091】
【発明の効果】本発明のハロゲン化銀写真感光材料は、
一分子中にカチオンとアニオンを同時に置換基とし
有するメルカプト化合物及び/又はメソイオン化合物
を含有し、ハロゲン化銀粒子の成長が大きく促進されて
感度が高く、かぶり防止効果が優れる。本発明のハロゲ
ン化銀乳剤は、感度の高いサイズの大きなハロゲン化銀
粒子として得られ、感度/かぶり比の改良された感光材
料を与えることができる。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平1−201659(JP,A) 特開 昭61−182037(JP,A) 特開 昭58−122535(JP,A) 米国特許4003910(US,A) 米国特許3712818(US,A) 欧州公開431568(EP,A1) 欧州公開54415(EP,A2) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) G03C 1/34 G03C 1/07 G03C 1/035

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一分子中に少なくとも一つのカチオン基
    と少なくとも一つのアニオン基を同時に置換基として有
    するメルカプト化合物またはメソイオンチオレート化合
    物の少なくとも一つを含有することを特徴とするハロゲ
    ン化銀写真感光材料。
  2. 【請求項2】 一分子中に少なくとも一つのカチオン基
    と少なくとも一つのアニオン基を同時に置換基として有
    するメルカプト化合物またはメソイオンチオレート化合
    物の少なくとも一つの存在下に形成せしめられたハロゲ
    ン化銀粒子を含有することを特徴とするハロゲン化銀写
    真感光材料。
  3. 【請求項3】 請求項2記載のハロゲン化銀写真感光材
    料に用いる、一分子中に少なくとも一つのカチオン基と
    少なくとも一つのアニオン基を同時に置換基として有す
    るメルカプト化合物またはメソイオンチオレート化合物
    の少なくとも一つの存在下に形成せしめられたハロゲン
    化銀粒子を含有してなるハロゲン化銀乳剤。
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