JP2865641B2 - ラケット用ガットの製造方法 - Google Patents

ラケット用ガットの製造方法

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JP2865641B2 JP9086001A JP8600197A JP2865641B2 JP 2865641 B2 JP2865641 B2 JP 2865641B2 JP 9086001 A JP9086001 A JP 9086001A JP 8600197 A JP8600197 A JP 8600197A JP 2865641 B2 JP2865641 B2 JP 2865641B2
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Description

【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、ラケット用ガッ
製造方法に関する。 【0002】 【従来の技術】従来、テニスやバドミントンのラケット
に使用されるガットは、羊や鯨等の動物筋に適度の撚り
をかけ、これを集束剤で固化させて剛毛化したものが用
いられていた。このような従来のガットは剛性が高く極
めて弾力性に富むと共に、使用中の弛みが少ない等の優
れた物性を示し、さらに打球時の感触、打球音にも優れ
ている。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】羊や鯨等の動物筋を使
用したものでは、耐水性に極めて弱く、雨天時等におい
ては張力及び強度の低下が著しく、しかも該動物筋は一
般に高価であるという欠点があった。 【0004】そこで、このような動物筋ガットの欠点を
解消するために、モノフィラメント又はマルチフィラメ
ントを適度に撚り加工、樹脂加工した合成繊維ガットが
開発され、普及してきた。該合成繊維ガットにはポリア
ミド系と非ポリアミド系があり、前者はナイロン6、ナ
イロン66及びそれらの共重合体繊維からなり、動物筋
ガットに比し、耐水性、耐久性に優れているが、剛性及
び弾性率が劣り、使用中に糸の弛みを生じたりして、打
球時の感触及びボールの反撥力が不充分であるという欠
点があった。また後者にはポリエーテルエーテルケトン
(特開昭60−21073 号公報)、ポリフッ化ビニリデン
(特開昭57−89611 号公報)、及びポリアセタール(特
開昭60−279514号公報)からなるものがあるが、いずれ
も剛性は高いものの、反撥力が劣るという欠点があっ
た。 【0005】さらに、最近では主としてポリアミド系の
モノフィラメントのまわりに金属細線を螺旋上に巻着
し、該金属細線を合成繊維で被覆したもの(実公昭52−
15301号公報)、上記金属細線の代わりにカーボン繊維
を巻着したもの(実公昭58−50937 号公報)、あるいは
ポリアミド繊維とアラミド繊維を複合化したもの(特開
昭59−64073 号公報)等々のいわゆる複合ガットも開発
されているが、これらにおいても剛性は高いが、延伸度
が小さく、反撥力も劣るため、打球時における感触が悪
くボールが飛ばないという問題点があった。 【0006】本発明はこれら従来の問題点を解決して、
耐水性及び耐久性に優れ、剛性が高く、しかも弾力性に
む高性能、高品質のラケット用ガットを容易かつ安価
に製造することを目的とする。 【0007】 【課題を解決するための手段】上述の目的を達成するた
めに、本発明に係る一のラケット用ガットの製造方法
、ポリアミド系の合成繊維よりなり、歪み率が10%の
ときの張力が30kg/mm2〜60kg/mm2 とされ、かつ、破
断強度が73kg以上に設定されたラケット用ガットの製造
方法であって、ポリアミド系の合成繊維を、張力として
5kg/mm 2 〜17kg/mm 2 を掛けつつ、又は8%〜20%の
歪み率だけ延伸しつつ、加熱温度T(単位:℃)が 150
℃〜200 ℃のもとで、加熱時間(x)(単位:分)を、 x≧exp{(1300/T)−6.5 } として加熱する。 【0008】また、本発明に係る他のラケット用ガット
の製造方法は、ポリアミド系の合成繊維よりなり歪み
率が10%のときの張力が30kg/mm2 〜60kg/mm2 とさ
れ、かつ、破断強度が73kg以上に設定されたラケット用
ガットの製造方法であって、ポリアミド系の合成繊維を
撚り加工及び樹脂加工した素材を、張力として5kg/mm
2 〜17kg/mm 2 を掛けつつ、又は8%〜20%の歪み率だ
け延伸しつつ、加熱温度T(単位:℃)が 150℃〜200
℃のもとで、加熱時間(x)(単位:分)を、 x≧exp{(1300/T)−6.5 } として加熱する。 【0009】 【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
に基づいて詳説する。 【0010】図2は、ラケット用ガットに使用される外
径 1.1mm〜1.4mm の周知の合成繊維を例示したものであ
って、(イ)及び(ロ)は、ポリアミド系合成繊維から
なる芯線1と、撚り加工及び樹脂加工によって該芯線1
を被覆するポリアミド系合成繊維が含有された耐熱合成
繊維の多数の巻線2…とから構成され、又(ハ)は、ポ
リアミド系合成繊維からなるマルチフィラメント3を撚
り加工及び樹脂加工により成形したものである。 【0011】本発明のラケット用ガットの製造方法によ
り製造されるガットは、上記合成繊維が、所定の加工条
件下、加熱延伸されてなり、又、図示は省略するが、ポ
リアミド系を主成分とした合成繊維のモノフィラメント
を芯線及び/又は巻線に使用して、構成された合成繊維
ガットに加熱延伸加工を施すも自由である。 【0012】しかして、上記加工条件は、加熱温度、加
熱時間及び加熱時の合成繊維の張力により決定され、さ
らにこれらの条件は所望の弾性力、耐久性等が達成する
ことができる値に設定される。即ち、加熱温度に関して
は、低すぎる場合は処理効果が小さく期の目的が達成
できず、高すぎる場合は繊維の酸化劣化が生じ耐久性に
劣るという問題点が生じる。また、張力に関しては、低
すぎる場合は、高弾性の合成繊維が得にくく、高すぎる
場合は、合成繊維が切断する虞があり、これらの点を考
慮して所望の加工条件が決定される。具体的には、加工
前の合成繊維の張力Wは 5.0kg/mm2 〜17kg/mm2 (好
ましくは10kg/mm2 〜15kg/mm2 )、又は繊維の延伸率
ψが8%〜20%(好ましくは13%〜18%)に設定され、
また加熱温度Tは150 ℃〜200 ℃(好ましくは165 ℃〜
190 ℃)に設定される。 【0013】さらに、加熱時間xは下記の(i)式に示
す如く、加熱温度Tの関数として表され、決定される。 x=exp{(1300/T)−6.5 }……(i) 【0014】従って、加熱温度Tが低い時は加熱時間x
が長時間を要することとなる。なお、(i)式は加熱に
要する最低時間を示すものであり、これ以上の時間に設
定するのは自由である。また、単位は加熱温度Tは
「℃」であり、加熱時間xは「分」である。しかして、
このような加工条件下において加熱延伸されたポリアミ
ド系合成繊維は、その結晶の融点近傍温度にて所定の高
張力が掛けられ延伸するので、折畳構造からなる該結晶
を部分的にときほぐし、繊維が再組織化され、結晶の融
点が増加し、耐熱性が向上する。さらに、これら所定の
熱処理が施されることによって、非晶鎖セグメントの配
向度が増加し、該セグメントのミクロブラウン運動に寄
因する力学分散は高温側にシフトしてエネルギ損失の小
さい合成繊維が生産される。従って、該合成繊維は、弾
性力に富み、耐久性に優れ、反撥力の優秀な製品とな
り、ラケット用ガットとして最適なものとなるのであ
る。 【0015】特に、(別々に成形された繊維はその径や
弾性率が微妙に異なっており、それらの繊維に撚りをか
けて接着したのみのガットは、一本一本の繊維の撚りの
かかりかたや、撚りをかける時の繊維に加わるテンショ
ンにばらつきがあるが、)ポリアミド系の合成繊維より
なりかつ撚り加工及び樹脂加工されたものを加熱延伸す
ることによって、高テンションの繊維は緩み、低テンシ
ョンの繊維は緊張し、ガットの内部に生じた歪みが緩和
され、繊維同士の密着性が向上し、また、繊維のばらつ
きが無くなり、繊維同士のエネルギの伝達が良くなり、
さらに、繊維同士のずれから生じるエネルギのロスが減
少し、ガットの構造体としてのエネルギ損失が低下する
ことになり、ガットとしての品質が向上する。 【0016】次に、本発明ガットの製造方法及び特性に
ついて詳説する。一般に従来の方法においては、未処理
の合成繊維にゾーン延伸、及びゾーン熱処理を施すこと
によって、延伸加熱されているが、この方法において
は、加工時の張力Wが小さく加熱時間xも短いため、高
弾性化を達成することができない。 【0017】そこで、本発明は下述の如き方法により、
加熱延伸加工を施したものである。なお、以下に述べる
方法において、加工前の合成繊維としては、上述のゾー
ン延伸及びゾーン熱処理を施された市販の合成繊維を使
用し、その特性は歪み率τを10%で延伸させた時の張力
Sが14.0kg/mm2 〜27.0kg/mm2 、引張強度が60kg/mm
2 〜70kg/mm2 のものである。 【0018】図3において、5はガットの製造装置であ
って、合成繊維4が加熱される加熱炉と、該加熱炉
の両端外方に配設されて、該合成繊維4に係合される左
右一対の滑車7,7、と該合成繊維4に懸吊される左右
一対のウエイト8,8と、からなる。 【0019】しかして、所定位置にセットされた合成繊
維4は、上記ウエイト8,8によって所定の荷重W′が
掛けられ、常に一定の張力W───即ち5kg/mm2 〜17
kg/mm2 ───が付与され、次いで一定の所定時間 150
℃〜200 ℃に加熱され、延伸加工されるのである。表1
は該製造装置により製造されたガットの加工条件を例示
するものであり、表2は表1の加工条件により製造され
たガットの引張強度特性を市販の従来品(ダンロップD
TS−2000)との比較において明らかにしたものであ
り、歪み率τが5%及び10%で延伸させた時の張力S
が、他のデータと共に示されている。なお、表1におい
て、試料A〜Fはナイロンモノフィラメントを使用し、
試料Gはダンロップ製DTS−2000を使用したものであ
る。また、加熱後の試料の水分率は約 0.3%である。 【0020】 【表1】 【0021】 【表2】【0022】しかして、この表1に示す如く、張力Wは
5.4kg/mm2 〜13kg/mm2 に設定され、所定の条件(
5.0kg/mm2 〜17kg/mm2 )を満足し、又加熱温度Tは
いずれも 173℃に設定され、さらに加熱時間xは(i)
式により算出され、x≒2分以上の加熱時間でもって加
熱される。 【0023】また、表2の引張強度特性はJIS−L10
70に準じて行われたものであって、歪み率τが10%で延
伸させた時の張力Sが大巾に増加しており、(43.0kg/
mm2〜58.4kg/mm2 )破断強度(kg) も約 1.3倍に増加
することが判る。さらに、図1は表2の歪み率τと張力
Sとの関係をプロットしたものである。この図から加工
時の張力Wは10kg/mm2 以上であることが好ましいこと
が判り、また、加熱時間xも長い方が好ましいことが判
明する。 【0024】次に、反撥力特性を従来品との比較におい
て確認するために表1における試料Bを代表例とし、応
力緩和試験及びエネルギ損失試験を行った。具体的に
は、応力緩和実験は、引張試験機にて本発明ガット及び
従来ガットに25kg/mm2 の初期張力をかけて、延伸率を
同一に保持し、1時間後の保持率を測定した。 【0025】また、エネルギ損失試験は、引張試験機に
おいて、本発明ガット及び従来ガットを夫々 200m/mi
n の速度で延伸させ、30kg/mm2 又は40kg/mm2 の張力
を掛け、延伸時の往時の応力及び復時の応力を測定し、
しかる後被測定物に与えた全エネルギ及び復時における
被測定物の内部発熱等により失われたエネルギを算出
し、後者を前者で除してエネルギ損失を算出する。応力
緩和試験の結果を表3に、エネルギ損失試験の結果を表
4に夫々示した。 【0026】 【表3】 【0027】 【表4】 【0028】これらの結果により、本発明の製法にて製
造したガットは従来品ガットに比べ応力緩和が小さく、
エネルギ損失も小さいことが確認され、反撥力に富むこ
とが証明された。 【0029】さらに、別の製造方法を詳説する。図4に
おいて、5は、別の製造装置であって、合成繊維4が加
熱されて通過する加熱炉6と、該加熱炉6の両端外方に
配設され、矢印M方向に回転して、該合成繊維4を矢印
N方向に連続的に送出、巻取するための適数個のローラ
9…とからなる。 【0030】しかして、合成繊維4が所定位置にセット
されると共に、巻取側のローラ9,9の回転速度が送出
側のローラ9,9の回転速度よりも速くなるように設定
され、常に一定の延伸率ψを維持しつつ所定の加熱条件
に設定された加熱炉6内を通過し、所望のガットが得ら
れるのである。 【0031】表5は該製造装置により製造されたガット
の加工条件を例示するものであり、表6は表5の加工条
件により製造されたガットの引張強度特性を市販の従来
品との比較において明らかにしたものである。 【0032】 【表5】 【0033】 【表6】 【0034】しかして、表5において、試料H〜Jはナ
イロンモノフィラメントを使用し、試料Kはダンロップ
DTS−2000を加熱延伸させたものである。さらに、該
合成繊維4の送出時の張力は 2.3kg/mm2 に設定され、
延伸率ψが10%及び15%に設定されて製造したものであ
り、かつ加熱時間xは(i)式により算出され、加熱時
間x=2分以上の時間に設定されている。 【0035】また、表6において市販の従来品ガットb
〜dは夫々ダンロップDTS−2000、ゴーセンオージオ
ーシープミクロ、ナイロンモノフィラメントを使用して
比較した。これらの結果から上述の加熱延伸処理を施す
ことにより、弾性力及び破断強度共、大巾に向上するこ
とが証明された。さらに、図5は表6における歪み率τ
と張力Sとの関係をプロットしたものである。この図か
ら加工条件の延伸率ψは大きい方が好ましいことが判明
する。なお、本製造装置5において、延伸率ψを一定と
する代わりに、張力Wを一体とするも、また、加熱炉6
内にチッ素ガスを流入させることも、自由である。 【0036】しかして、上述の如き歪み率τが10%に延
伸させた時の張力が所望の張力───即ち30kg/mm2
60kg/mm2 ───に設定されたガットをヨコ糸を27.2k
g、タテ糸を21.8kgの張力にてラケットに装着し、実用
性を検査すべく、反撥係数及び耐久性の測定を行った。 【0037】具体的には、反撥係数の測定は、図6に示
す如く、複数本のガット15…が張設されたラケット10を
治具11に吊り下げると共に、発射装置12内に格納された
テニスボール13を該発射装置12から発射させ、該ラケッ
ト10のガット15…にテニスボール13を矢印Q,Q′に示
す如く衝突反撥させ、該テニスボール13の衝突前後の速
度をボール速度測定装置14によって測定し、そして衝突
前後の速度比によって、反撥係数が算出される。 【0038】また、耐久性テストは、図7に示す如く、
複数本のガット15が張設されたラケット10を設けると共
に、テニスボール13が格納された発射装置12を設け、該
発射装置12から30m/sのスピードでテニスボール13を
発射させ、該テニスボール13を連続的に繰り返し該ガッ
ト15に矢印R方向に衝突反撥させ、ガット15が切断する
までのテニスボール13の衝突回数を測定して、判断し
た。該ガット15の反撥係数及び耐久性テストは、試料
B、Kを代表例として測定し、従来品ガットとしては試
料bを比較品として測定した。さらに耐久性テストは試
料G,K,b,cを使用して比較実験をした。実験結果
を表7及び表8に夫々掲載した。 【0039】 【表7】 【0040】 【表8】 【0041】上述の如く、反撥係数、耐久性共飛躍的に
向上し、反撥力、耐久性等においても優秀性が証明され
た。このように、歪み率τが10%に延伸させた時の張力
が30kg/mm2 〜60kg/mm2 に設定されれば、所望のガッ
トに合致する合成繊維を得ることができるのである。 【0042】さらに、図8は本発明の製法にて製造した
ガットの反撥弾性力の目安となる粘弾性測定の結果をグ
ラフで示したものである。該粘弾性測定に供試された試
料は、外径 1.3mmの市販のナイロンガットを延伸率ψが
8%でもって延伸させて後、所定の金属枠に該ガットを
固定し、さらに 172℃の加熱温度Tにて10分間加熱し、
所定時間放冷後、上記金属枠から該ガットを取外し、引
張試験にかけた。該引張試験は引張速度20mm/min で行
い、歪み率τが5%に延伸させた時の張力は12.9kg/mm
2 であった〔従来品ガット(未処理ガット)は 7.4kg/
mm2 〕。そして、該本発明ガットと従来品の粘弾性を測
定したのである。この図から判るように、いわゆる力学
分散は高温側にシフトすると共に、合成繊維の反撥弾性
の目安となるtanδの値が、常用される───雰囲気
温度───5℃〜30℃の範囲において、従来品ガットが
最大値0.082 を示すのに対して、本発明ガット0.068 と
大巾に低下しており、このことからもエネルギ損失が小
さいことが判り、反撥弾性力が向上していることが証明
された。 【0043】 【発明の効果】本発明は上述の如く構成されているの
で、次に記載する効果を奏する。 【0044】 請求項1によれば、加熱延伸されたポ
リアミド系合成繊維は、その結晶の融点近傍温度にて所
定の高張力が掛けられ延伸するので、折畳構造からなる
該結晶を部分的にときほぐし、繊維が再組織化され、結
晶の融点が増加し、耐熱性が向上する。さらに、非晶鎖
セグメントの配向度が増加し、該セグメントのミクロブ
ラウン運動に寄因する力学分散は高温側にシフトしてエ
ネルギ損失の小さい合成繊維が生産される。従って、弾
性力に富み、耐久性に優れ、反撥力の優秀な製品とな
り、ラケット用ガットとして最適なものとなる。また、
剛性が高く弾力性に富み、耐水性耐久性に優れると共
に、打球時の感触及びボールの反撥力が優秀で、使用中
に糸が弛む虞のないガットを実現することができる。特
に打撃時に適度に延伸して、スピンが掛け易い。しか
も、該ガットは合成繊維からなるので、動物筋ガットの
ように高価ではく、安価にかつ均一な優れた特性のガッ
トを製造することができる。かつ、破断強度も従来のポ
リアミド系の合成繊維よりなるガットに比べて大とな
り、使用中等におけるガット切断を有効に防止すること
ができる。 【0045】 請求項2によれば、加熱延伸されたポ
リアミド系合成繊維は、その結晶の融点近傍温度にて所
定の高張力が掛けられ延伸するので、折畳構造からなる
該結晶を部分的にときほぐし、繊維が再組織化され、結
晶の融点が増加し、耐熱性が向上する。さらに、非晶鎖
セグメントの配向度が増加し、該セグメントのミクロブ
ラウン運動に寄因する力学分散は高温側にシフトしてエ
ネルギ損失の小さい合成繊維が生産される。従って、弾
性力に富み、耐久性に優れ、反撥力の優秀な製品とな
り、ラケット用ガットとして最適なものとなる。 また、
剛性が高く弾力性に富み、耐水性耐久性に優れると共
に、打球時の感触及びボールの反撥力が優秀で、使用中
に糸が弛む虞のないガットを実現することができる。特
に打撃時に適度に延伸して、スピンが掛け易い。しか
も、該ガットは合成繊維からなるので、動物筋ガットの
ように高価ではく、安価にかつ均一な優れた特性のガッ
トを製造することができる。かつ、破断強度も従来のポ
リアミド系の合成繊維よりなるガットに比べて大とな
り、使用中等におけるガット切断を有効に防止すること
ができる。 しかも、撚り加工及び樹脂加工した素材を、
所定の条件で加熱延伸するので、高テンションの繊維は
緩み、低テンションの繊維は緊張し、ガットの内部に生
じた歪みが緩和され、繊維同士の密着性が向上し、ま
た、繊維のばらつきが無くなり、繊維同士のエネルギの
伝達が良くなり、さらに、繊維同士のずれから生じるエ
ネルギのロスが減少し、ガットの構造体としてのエネル
ギ損失が低下することになり、一層品質の良いガットを
製造できる。
【図面の簡単な説明】 【図1】本発明の製造方法にて製造したガットの張力特
性を従来品ガットとの比較において一例を示した張力歪
み線図である。 【図2】本発明の製造方法にて製造したガットの素材と
なる市販のガットを例示した拡大断面図である。 【図3】同製造方法の一例を示す簡略装置図である。 【図4】別の製造方法例を示す簡略装置図である。 【図5】別の張力歪み線図である。 【図6】反撥係数を測定するための簡略実験装置図であ
る。 【図7】耐久性テストを行うための簡略実験装置図であ
る。 【図8】本発明の製造方法にて製造したガットの粘弾性
を従来品のガットとの比較において示した粘弾性特性図
である。 【符号の説明】 τ 歪み率 S 張力
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭58−118776(JP,A) 特開 昭54−130253(JP,A) 繊維学会編「繊維便覧−原料編−」丸 善株式会社、昭和43年11月30日、第193、 194頁、第643〜645頁 (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) A63B 51/02

Claims (1)

  1. (57)【特許請求の範囲】 1.ポリアミド系の合成繊維よりなり、歪み率τが10%
    のときの張力Sが30kg/mm2 〜60kg/mm2 とされ、か
    つ、破断強度が73kg以上に設定されたラケット用ガット
    の製造方法であって、ポリアミド系の合成繊維を、張力
    として5kg/mm 2 〜17kg/mm 2 を掛けつつ、又は8%〜
    20%の歪み率だけ延伸しつつ、加熱温度T(単位:℃)
    が 150℃〜200 ℃のもとで、加熱時間(x)(単位:
    分)を、 x≧exp{(1300/T)−6.5 } として加熱する ことを特徴とするラケット用ガットの製
    造方法。 2.ポリアミド系の合成繊維よりなり歪み率τが10%
    のときの張力Sが30kg/mm2 〜60kg/mm2 とされ、か
    つ、破断強度が73kg以上に設定されたラケット用ガット
    の製造方法であって、ポリアミド系の合成繊維を撚り加
    工及び樹脂加工した素材を、張力として5kg/mm 2 〜17
    kg/mm 2 を掛けつつ、又は8%〜20%の歪み率だけ延伸
    しつつ、加熱温度T(単位:℃)が 150℃〜200 ℃のも
    とで、加熱時間(x)(単位:分)を、 x≧exp{(1300/T)−6.5 } として加熱する ことを特徴とするラケット用ガットの製
    造方法。
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Non-Patent Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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繊維学会編「繊維便覧−原料編−」丸善株式会社、昭和43年11月30日、第193、194頁、第643〜645頁

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