JP2864948B2 - 電気自動車のバッテリ固定構造 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、電気自動車のバッテ
リ固定構造に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】電気自動車においては、駆動源として多
数のバッテリが必要とされるが、これらのバッテリは重
量が大きいため、搭載には多くの手間がかかってしま
う。

【０００３】例えば、バッテリを用いた車両としてバッ
テリ駆動タイプのフォークリフト車があるが、この種の
フォークリフト車においては、各バッテリを金属製のケ
ースに収納し、バッテリが収納されたこれら複数のケー
スを各々別個に車体のフレームに取り付けるようにした
ものがある（バッテリを搭載した自動車としては、例え
ば、実開昭４７−３１３１８号公報に示されたものがあ
る）。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来技術においては、複数のバッテリを各々別個に取り付
けなければならず、取り付け工数が多く必要となってし
まうという問題がある。

【０００５】また、フォークリフト車とは異なり、車室
空間を広く確保するためバッテリの配置スペースが大き
く制限されている電気自動車にこの構造を適用すると、
各々のバッテリをケースに収納するため、ケースを用い
る分だけ更に配置スペースが多く必要となってしまうと
いう問題がある。

【０００６】そこで、この発明は、配置スペースが少な
くて済み、固定作業及び取り外し作業が容易な電気自動
車のバッテリ固定構造を提供するものである。

【０００７】

【課題を解決するための手段】車体に取り付けられる載
置部材に複数のバッテリが配置され、このバッテリの条
列に、バッテリの上部側から両端が載置部材に固定され
たベルトが架け渡され、ベルトの一部がバッテリ間の載
置部材に設けられた取付部に固定されている。

【０００８】

【作用】バッテリの各条列を単一のベルトで簡単に固定
する。また、バッテリの交換作業を行う場合にはベルト
を取り外すことにより条列の全バッテリの拘束を解除す
る。

【０００９】また、ワッシャを用いてバッテリをベルト
によって取り付けた場合には、ベルトが緩みを生ずる
と、ワッシャの弾性部が、ベルトの配索長を長くする方
向にベルトを付勢してベルトの緩みが消失し、ベルトの
張力を一定に保持する。

【００１０】

【実施例】以下、この発明の一実施例を図面と共に説明
する。

【００１１】図１において、１はバッテリ２の載置部材
としてのバッテリフレームを示す。このバッテリフレー
ム１は電気自動車の図示しないフロアパネルの下部に着
脱可能に取り付けられるようになっている。

【００１２】バッテリフレーム１は、両側部に前後方向
に沿ってサイドフレーム３が設けられ、後部と前部とに
は各々車幅方向に沿うリヤフレーム４と前側に湾曲する
フロントフレーム５とが設けられ、各サイドフレーム３
の後端にリヤフレーム４に接続されるサブフレーム６が
設けられている。

【００１３】そして、両サイドフレーム３に車幅方向に
沿って４つの横フレーム７が設けられ、この横フレーム
７に交叉してリヤフレーム４と横フレーム７間、及び各
横フレーム７間に縦フレーム８が設けられている。

【００１４】このようにしてバッテリフレーム１には複
数のバッテリ２の格納部９が設けられ、各格納部９に２
つ１組のバッテリ２がセットされる。

【００１５】尚、バッテリフレーム１の下側にはカバー
１０が取り付けられている。

【００１６】上記バッテリ２は前側から後側に４つの条
列をなしているが、各条列には、バッテリ２の上部側か
らベルト１１が架け渡されている。

【００１７】これを１つの条列を例にして図２，３によ
って具体的に説明する。ベルト１１はシートベルトの素
材等によって形成されたものであり、その端末は図２に
示すように前側の横フレーム７の取付部１２とリヤフレ
ーム４の取付部１２にブラケット１３を介して締結具と
してのボルト１４によって締め付け固定されている。ま
た、ベルト１１の中途部はバッテリ２間に位置する横フ
レーム７に設けられた取付部１２に落とし込むようにし
て配索され、ワッシャ１５によって押し付けた状態でボ
ルト１４により固定されている。

【００１８】ここで、上記ベルト１１のボルト１４の挿
入孔はベルト１１の長手方向に沿って長孔となってお
り、ベルト１１の伸びにより生ずる取付部１２に対する
ずれを許容できるようになっている。

【００１９】上記ワッシャ１５は弾性材から成り、図４
に示すようにボルト１４の取付孔１５Ａを中央に備える
と共にベルト１１の長手方向に沿うワッシャ１５の両端
部には下側に湾曲した後に上方に立ち上がる弾性部１５
Ｂを備えている。尚、弾性部１５Ｂの端末は内側に向け
て形成してあり、ベルト１１に損傷を与えないようにな
っている。尚、バッテリ２の他の条列も同様の構成のベ
ルト１１によって固定されている。

【００２０】上記実施例構造によれば、１本のベルト１
１によって１つの条列のバッテリ２全てを同時に固定す
ることができるため、バッテリ１２の取り付け作業を容
易化することができる。また、バッテリ２を交換する際
にもベルト１１を各取付部１２から取り外すだけでその
条列の全てのバッテリ２を外すことができるため取り外
し作業も行い易い。また、ケースを用いてバッテリ２を
固定していた場合に比較して占有スペースが少なくて済
むメリットもある。

【００２１】そして、ワッシャ１９の弾性部１９Ｂによ
ってベルト１１は取付部１２側に付勢された状態で取り
付けられているため、ベルト１１には張力が付与される
（図５）。

【００２２】したがって、仮にベルト１１に伸びが生じ
たとしてもワッシャ１５の弾性部１５Ｂが、ベルト１１
を取付部１２側へ更に押し付け、ベルト１１の配索長を
長くする方向に変位する（図６）。

【００２３】よって、ベルト１１には再び一定の張力が
付与され緩みが生ずることはなく、バッテリ２を確実に
固定することができる。このようにして、ベルト１１に
よりバッテリ２を簡単に、かつ均一な張力で固定するの
である。

【００２４】図７，８に示すのは、他の実施例のワッシ
ャ１６を示す。このワッシャ１６は、弾性材から成り、
ボルト１４の取付孔１６Ａを中央に備えると共にベルト
１１の長手方向に沿うワッシャ１６の両端部には、上側
に湾曲して端末が内側に向いた弾性部１６Ｂが設けられ
たものである。

【００２５】このワッシャ１６によれば、ベルト１１が
伸びて緩みが生ずると、弾性部１６Ｂがベルト１１を側
方に押し付け、ベルト１１の配索長を長くする方向に変
位するため、ベルト１１の緩みをなくし再度張力を付与
することができる。したがって、このワッシャ１６を用
いても第１実施例と同様にベルト１１に均一の張力を付
与することができる。

【００２６】

【発明の効果】以上説明してきたように、請求項１に記
載した発明によれば、バッテリの各条列に対して単一の
ベルトにより複数のバッテリを固定することができるた
め、バッテリの取り付け、取り外し作業が行い易いとい
う効果がある。また、バッテリをケースに収納して取り
付けた場合に比較して占有スペースが少なくて済む。

【００２７】また、請求項２に記載した発明によれば、
ワッシャを用いてベルトが取付部に固定されているた
め、ベルト１１が伸びて緩みが生じた場合に、ワッシャ
の弾性部がベルトの配索長を長くする方向にベルトを付
勢するため、緩みがなくなりベルトに再び一定の張力が
付与され、したがって、均一な張力でバッテリを固定す
ることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明の実施例の分解斜視図。

【図２】図１の側面説明図。

【図３】ベルト取付部の平面図。

【図４】ワッシャの斜視図。

【図５】ベルト取付状態の側面図。

【図６】ベルトが緩んだ状態での図５に相当する側面
図。

【図７】他の実施例のワッシャの斜視図。

【図８】他の実施例の取付状態の側面図。

【符号の説明】

１…バッテリフレーム（載置部材） ２…バッテリ １１…ベルト １２…取付部 １５…ワッシャ １５Ｂ…弾性部

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.⁶，ＤＢ名) B60K 1/04 H01M 2/10

Claims (2)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 車体に取り付けられる載置部材に複数の
   バッテリが配置され、このバッテリの条列に、バッテリ
   の上部側から両端が載置部材に固定されたベルトが架け
   渡され、ベルトの一部がバッテリ間の載置部材に設けら
   れた取付部に固定されていることを特徴とする電気自動
   車のバッテリ固定構造。
2. 【請求項２】 上記載置部材に、ベルトを押し付けるワ
   ッシャと、このワッシャを取り付ける締結具が設けら
   れ、ワッシャのベルト長手方向に沿う端部に、ベルトの
   配索長を長くする方向にベルトを付勢する弾性部が設け
   られていることを特徴とする請求項１記載の電気自動車
   のバッテリ固定構造。