JP2862891B2 - 感圧複写紙 - Google Patents

感圧複写紙

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Description

【発明の詳細な説明】 「産業上の利用分野」 本発明は、感圧複写紙に関し、特に不透明度が良好
で、印刷時に発色カブリ(汚れ)の発生しない感圧複写
紙に関する。
「従来の技術」 感圧複写紙は、クリスタルバイオレットラクトン、ベ
ンゾイルロイコメチレンブルー等の電子供与性発色剤と
活性白土、フェノール樹脂、芳香族カルボン酸の多価金
属塩等の電子受容性顕色剤との発色反応性を利用したも
ので、相分離法、界面重合法及びin−situ法等の方法で
作られた発色剤含有マイクロカプセルを基紙の裏面に塗
布した上用紙、顕色剤を基紙の表面に塗布してなる下用
紙とを各々の塗布面を対向させ上用紙の表面を筆記、タ
イプライター等により加圧印字すると下用紙に発色像を
得ることができるものである。更に多数枚の複写を望む
場合は、基紙の表面に前記の顕色剤をそして裏面にマイ
クロカプセルを各々塗布した中用紙を上用紙と下用紙と
の間に必要な枚数だけ挿入することにより多数枚の複写
ができるものである。また、更に、感圧複写紙の一種に
上記のマイクロカプセルと顕色剤を積層又は混合層とし
て形成した所謂単体感圧記録シートがある。
近年、感圧複写紙の生産量は、その用途拡大に伴い、
例えば一般伝票、契約書類、コンピューター用紙等を中
心に多岐にわたり、著しく伸びている。
伝票類や契約書類等に使用する場合には、感圧複写紙
の上用紙、中用紙、及び下用紙の両面にはその用途、目
的に応じて、いろいろな印刷が行われることがある。と
ころで、感圧複写紙の各用紙、即ち上用紙、中用紙、及
び下用紙の各原紙はより優れた複写適性を付与するため
に一般に30〜50g/m2の薄い原紙が用いられる。しかしな
がら、このように薄物原紙を使用した場合は、両面の印
刷像が互いに透けて見える、所謂ストライクスルーとい
う問題が有る。例えば、感圧複写紙を規約等の約款用紙
に使用する場合、片面に印刷インキにアイ色、グレイ
色、セピア色等色濃度の低いインキで印刷される場合が
ある。このような場合に、その反対面に色濃度の濃いイ
ンキで印刷をすると、色濃度の濃い印刷像が反対面にス
トライクスルー現像として写り、色濃度の薄い印字や印
刷像が判読し難くなる。また、画面に濃度の濃いインキ
で印刷像を作ると、互いの面には反対面の印刷像がスト
ライクスルー現象で写い、一層判読し難くなる。更に、
上用紙、中用紙に印刷を行った後、発色剤含有マイクロ
カプセル層が中用紙或いは下用紙の顕色剤面と対向する
ように複写セットを作りそのセットを重ねて保存してお
くと、顕色剤面に発色カプリが発生するという問題があ
る。
「発明が解決しようとする課題」 本発明は、上記の如く感圧複写紙が印刷されて使用さ
れる場合に問題となるストライクスルーによる裏写り現
象と印刷時の発色カブリという難点を極めて効果的に改
善した感圧複写紙を提供するものである。
「課題を解決するための手段」 本発明は、電子供与性発色剤と電子受容性顕色剤との
発色反応を利用した感圧複写紙において、基紙として、
平均粒子径が0.5〜5μmであり且つ2層構造を有する
層状ケイ酸塩で、スラリーpH(TAPPI STANDARD T667 os
−77)が7以下である填料を全填料の20重量%以上含有
する紙を用いたことを特徴とする感圧複写紙である。
「作用」 本発明者等は感圧複写紙の印刷不透明度及び印刷時の
発色カブリに対し、基紙に内添される填料の種類や粒子
径が大きく影響を及ぼすとの知見に基づき、鋭意検討、
研究を重ねた結果、填料の平均粒子径が0.5〜5μm
で、且つ2層構造を有する層状ケイ酸塩で、そのスラリ
ーpHが7以下である填料を全填料の20重量%以上含有せ
しめた基紙を用いることにより、感圧複写紙の印刷不透
明度が有効に改善され、且つ印刷時に発色カブリの起こ
らない極めて優れた感圧複写紙が得られることを見出
し、遂に本発明を完成するに至った。
即ち、通常抄紙用填料としてはタルク等の平均粒子径
が約7μmといった粗い填料が主体であったが、最近で
は中性抄紙等に炭酸カルシウム等を填料として使用する
ことも多くなっている。
本発明では、基紙の填料としてその平均粒子径が従来
の填料と比較し、0,5〜5μmという非常に細かく粒子
径に特定し且つ2層構造を有する層状ケイ酸塩で、その
スラリーpHが7以下であるところに極めて重要な特徴を
有するものである。
因みに、填料の平均粒子径が0.5μm未満であると、
基紙中への留まりが低下したり(リテンション不良)又
は紙力が低下する等の問題があり、実用に適せず、5μ
mを越えると所望とする不透明度が得られない。また、
2層構造を有する層状ケイ酸塩でなく、そのpHが7を越
えると印刷時の発色カブリの改善効果が期待出来ない。
このように、填料の平均粒子径と構造及びpHを特定する
ことでかかる効果が得られる理由については、必ずしも
明らかではないが、填料の粒子径と構造、pHの特定が相
乗的に作用し、不透明度の改善及び発色カブリの原因で
ある発色剤の移動を効果的にに抑制しているものと推定
される。
本発明で使用される2層構造を有する層状ケイ酸塩の
填料としては、カオリン、ディッカイト、ハロイサイ
ト、クリソタイル、リザーダイト、アメサイト等が例示
されるが、好ましくはカオリン、ディッカイト、ハロイ
サイトが使用される。なお、必要に応じてタルク、焼成
カオリン、酸性白土、活性白土、雲母、重質炭酸カルシ
ウム、軽質炭酸カルシウム、酸化チタン、水酸化アルミ
ニウム、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化アルミニウ
ム、炭酸バリウム、硫酸バリウム、含水ケイ酸、合成シ
リカ、有機顔料等の中から本発明の効果な損なわない範
囲で適宜併用して用いることもできる。
本発明で特定した填料の量としては全填料のうち20重
量%以上配合されていることが必要であり、20重量%未
満では本発明の所望の効果を得ることができない。ま
た、基紙中の填料の含有量としては米坪やパルプ構成に
もよるが、パルプに対し3〜20重量%含有されているこ
とが望ましい。
なお、本発明では填料を効率良く基紙中に留めるため
に内添剤としてカチオン性の助剤を添加することが望ま
しく、とりわけカチオン性澱粉の使用が操業性、紙力面
から好ましい。本発明で用いられるカチオン性澱粉とし
ては小麦、米、玉蜀黍、馬鈴薯、タピオカ等の澱粉を原
料とした3級アミン或いは4級アンモニウム塩のカチオ
ン化変性澱粉が好ましく用いられる。添加量は一般に対
パルプ当たり0.1〜2重量%の範囲で適宜調節される。
さらに、基紙中には内添助剤として、例えばロジン、パ
ラフィンワックス、高級脂肪酸塩、アルケニルコハク酸
無水物、脂肪酸無水物、スチレン−無水マレイン酸共重
合物、アルキルケテンダイマー、エポキシ化脂肪酸アミ
ド等のサイズ剤、ポリアクリルアミド、澱粉類、ポリビ
ニルアルコール、メラミンホルムアルデヒド縮合物、ゼ
ラチン等の紙力剤、硫酸バンド、ポリアミドポリアミン
エピクロルヒドリン等の定着剤、その他染料、顔料等を
必要に応じて添加することができる。
さらに、基紙としては表面サイズ剤等で表面処理をし
たり、各種合成樹脂や紙力増強剤等で紙面にバリヤー性
や紙力付与のために適宜表面サイズを施し、紙質改善を
図ることも可能である。
かくして得られた基紙上には、一般に感圧記録紙分野
で公知公用とされている感圧記録紙を構成する各種塗被
液が塗被されるものであり、塗被量、塗工法、乾燥方式
等特に限定されるものでない。
「実施例」 以下に、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明す
るが、勿論これらに限定されものではない。なお、特に
断らない限り例中の部及び%はそれぞれ重量部及び重量
%を示す。
実施例1〜4、比較例1〜3 NBKP20部、LBKP80部からなるパルプ組成にロジンサイ
ズ1.0部、硫酸バンド2.8部、カチオン澱粉0.5部、表−
1に示した填料をそれぞれ紙灰分が8.5%となるように
添加し、紙料調成を行った後長網抄紙機を用いて抄紙
し、サイズプレスにより酸化澱粉を乾燥後の重量が1.5g
/m2となるように表面処理をして、米坪が44g/m2の感圧
複写紙用原紙を得た。このようにして得た原紙に下記に
示すカプセル塗被液を片面当たり4.0g/m2となるように
塗被、乾燥して感圧複写紙用上用紙を得た。又、反対面
に下記に示す顕色剤塗被液を乾燥後の重量が5.0g/m2
なるように塗被、乾燥して中用紙を得た。
〔カプセル塗被液の調製〕
ビニルスルホン酸15モル%、スチレン5モル%、アク
リル酸70モル%、アクリル酸エチル10モル%からなる共
重合体の20%水溶液37.5部に、水112.5部を加え、20%
カセイソーダ水溶液でpHを4.6に調節したものをカプセ
ル製造用水性媒体とした。これに、クリスタルバイオレ
ットラクトン5部を溶解したジイソプロピルナフタレン
(商品名;K−113,呉羽化学社製)105部を添加し、平均
粒子径が5μmとなるように乳化分散した後、乳化液の
温度を70℃に昇温した。次いで、系中にメチル化メチロ
ールメラミン初期縮合物(商品名;ベッカミンAPM,80%
濃度,大日本インキ化学社製)20部を加え、撹拌を続け
ながら、系の温度を70℃で1時間保持した後、冷却して
乳白色のカプセル分散液を得た。このカプセル分散液に
小麦澱粉70部、溶解酸化澱粉20部(固形分)を加えてカ
プセル塗被液を調製した。
〔顕色剤塗被液の調製〕
水酸化アルミニウム65部、酸化亜鉛20部、3,5−ジ
(α−メチルベンジル)サリチル酸亜鉛とα−メチルス
チレン−スチレン共重合体との混融物(混融比80/20)1
5部、ポリビニルアルコール水溶液5部(固形分)及び
水300部をボールミルで24時間粉砕して得た分散液にカ
ルボキシ変性スチレン−ブタジエン共重合体ラテックス
20部(固形分)を加えて顕色剤塗被液を調製した。
実施例5〜6、比較例4〜5 NBKP20部、LBKP80部からなるパルプ組成に中性サイズ
剤(アルキルケテンダイマー/花王サイリーンH40)0.1
部、カチオン澱粉(王子ナショナルONL−400)0.5部及
び表−1に示した填料をそれぞれ紙灰分が8.5%となる
ように添加して紙料調成を行った後、長網抄紙機を用い
て抄紙し、サイズプレスにより酸化澱粉を乾燥後の重量
が1.5g/m2となるように表面処理をして、米坪が44g/m2
の感圧複写紙用原子を得た。このようにして得た原紙に
実施例1と同様に片面にカプセル塗被液を4.0g/m2とな
るように塗被、乾燥して上用紙を得た。さらには、反対
面に実施例1と同様の顕色剤塗被液を5.0g/m2となるよ
うに塗被、乾燥して中用紙を得た。
上記の如くして得られた上用紙、中用紙のカプセル塗
被面に部分的にオフセット印刷機によりベタ刷り印刷と
文字印刷を行い、下記の方法によってストライクスルー
による裏写りの評価と印刷時の発色カブリの評価を行
い、得られた結果を表−1に示した。
〔評価方法〕
ストライクスルー: 下記条件でカプセル塗被面に部分的オフセット印刷と
文字印刷を行い、裏面に罫線と文字印刷を行った。
このときの両面に印刷した印刷像が反対面の印刷像の
裏写りによりどの程度判別し難い状態にあるかを評価し
た。
印刷機:ビジネスフォーム印刷機17BH(明製作所製) インキ:黒インキ(ニューチャンピオンFグロス85/大
日本インキ(株)製) 評価: ○;裏写りが無く、容易に判別できる △;裏写りによって、判別がやや困難 ×;裏写りがひどく、判別が難しい 印刷発色カブリテスト: ビジネスフォーム印刷機(17BH/明製作所製)で、中
用紙の顕色剤塗被面にウエットオフセット印刷方式で印
刷を行い300mの巻取とした。印刷後の巻取を50℃の条件
下に3日間放置した後、巻芯から100m程度のところの顕
色剤塗被面の汚れの状態を目視で判定した。
評価: ○;殆ど汚れて(発色して)いない ×;ひどく汚れて(発色して)いる 「効果」 実施例から明らかなように、本発明により得られた感
圧複写紙は、ストライクスルーによる裏写り現象は殆ど
無く、且つ印刷後の発色カブリ(汚れ)が著しく改良さ
れた感圧複写紙であった。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平2−63888(JP,A) 特開 昭57−191085(JP,A) 特開 昭57−11792(JP,A) 特開 昭56−31269(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) B41M 5/124

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】電子供与性発色剤と電子受容性顕色剤との
    発色反応を利用した感圧複写紙において、基紙として、
    平均粒子径が0.5〜5μmであり且つ2層構造を有する
    層状ケイ酸塩で、スラリーpH(TAPPI STANDARD T667 os
    −77)が7以下である填料を全填料の20重量%以上含有
    する紙を用いたことを特徴とする感圧複写紙。
  2. 【請求項2】基紙がカチオン澱粉を内添した紙である請
    求項(1)記載の感圧複写紙。
  3. 【請求項3】填料がカオリンである請求項(1)又は
    (2)記載の感圧複写紙。
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