JP2855834B2 - ねじ精度測定方法 - Google Patents

ねじ精度測定方法

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この発明は、ねじの精度(リード精度)を測定する方
法に関し、特に、ねじを回転させた状態でその精度を測
定する方法の精度向上を図ったものである。
〔従来の技術〕
ねじの精度を測定する従来の技術としては、例えば、
特開昭54−130156号公報に開示されたものがある。
この従来の技術は、ねじ要素を自動的に測定する装置
に関するものであって、ねじを回転させつつ、ねじの回
転角及びリードに比例させてねじ溝の微小な変位を測定
する微小変位検出器を移動させることにより、ねじ溝の
径方向及び軸方向の変位、即ち基準ねじ溝に対する実際
のねじ溝の変位をねじ溝の全長に渡って測定し、その測
定結果に基づいてねじ要素を求めるようにしていた。
〔発明が解決しようとする課題〕
しかしながら、上記従来の技術では、測定物であるね
じを支持・回転させる装置の影響が全く考慮されていな
かったため、ねじを回転させる装置のアキシャル振れが
そのままリード誤差となって測定結果に含まれてしま
い、得られる結果の信頼性が低いという問題点がある。
この発明には、このような従来の技術が有する未解決
の課題に着目してなされたものであり、ねじを回転させ
る機構のアキシャル振れを測定結果から取り除くことが
でき、正確なリード誤差が得られるねじ精度測定方法を
提供することを目的としている。
〔課題を解決するための手段〕
上記目的を達成するために、本発明のねじ精度測定方
法は、ねじを回転させた状態で基準ねじ溝に対するねじ
溝のリード方向の変位を測定するとともに、前記ねじを
回転させる機構のアキシャル振れを同時に測定し、そし
て、前記リード方向の変位から前記アキシャル振れを差
し引いて前記ねじのリード方向の精度を求める。
〔作用〕
本発明にあっては、基準ねじ溝に対する実際のねじ溝
のリード方向の変位(ずれ)と、ねじを回転させる機構
のアキシャル振れとを同時に測定し、リード方向の変位
からアキシャル振れを差し引いてねじの精度(リード方
向の精度)を求めているため、リード方向の変位に、ね
じを回転させる機構のアキシャル振れが含まれていて
も、最終的な結果からは取り除かれる。
〔実施例〕
以下、この発明の実施例を図面に基づいて説明する。
第1図は本発明の一実施例を示す図である。
先ず、構成を説明すると、ねじ精度測定装置1は、ベ
ッド2に支持され且つ回転自在のスピンドル4が上下方
向に貫通する回転ユニット3を備え、スピンドル4の上
端部には、スピンドル4と一体に回転する回転台5が固
定されている。
回転台5には、測定対象である例えばボールねじの雄
ねじ6が、スピンドル4の回転軸と同軸に固定されてい
る。
また、回転ユニット3の下側には、スピンドル4に回
転力を与えるダイレクトドライブモータ7と、スピンド
ル4の回転位置を検出するロータリエンコーダ8とが設
けられている。
さらに、ベッド2の下面には、スピンドル4の下端面
に接触する接触子9aを有し、そのスピンドル4の垂直方
向の微小変位を測定する微小変位検出器9が固定されて
いる。
一方、ベッド2上には、スピンドル4と平行な垂直軸
10を支持した垂直台座11が配設されていて、その垂直軸
10には、この垂直軸10に沿って上下方向に移動自在な垂
直スライダ12が外嵌している。
その垂直スライダ12は、電動モータ13の回転軸に連結
され且つ垂直に延びるねじ軸14と、垂直スライダ12内に
一体に設けられ且つねじ軸14に多数の転動ボールを介し
て螺合するナット(図示せず)とで構成されるボールね
じ機構によって、垂直方向の任意の位置に移動すること
ができる。
さらに、垂直台座11には、垂直スライダ12に垂直方向
位置を検出するリニアエンコーダ15が設けてある。
そして、垂直スライダ12には、雄ねじ6のねじ溝6aに
接触する接触子16aを有し、そのねじ溝6aの垂直方向の
微小変位を測定する微小変位測定器16が固定されてい
る。
また、スピンドル4の回転角θを測定するロータリエ
ンコーダ8,スピンドル4の垂直方向の微小変位RAを測定
する微小変位検出器9,垂直スライダ12の上下方向の移動
量Zを測定するリニアエンコーダ15及びねじ溝6aの垂直
方向の微小変位ΔZを測定する微小変位測定器16の各測
定信号が、コントローラ17に供給される。
コントローラ17は、図示しないマイクロコンピュー
タ,インタフェース回路,A/D変換器,D/A変換器及び各モ
ータ用の駆動回路等を備えていて、ダイレクトドライブ
モータ7及び電動モータ13に駆動信号を出力するととも
に、供給される各測定信号に基づいて雄ねじ6のリード
精度を測定し、その測定結果を図示しない例えばプリン
タ等の出力装置に出力する。
次に、本実施例の動作を説明する。
コントローラ17は、ダイレクトドライブモータ7によ
ってスピンドル4を回転させる一方、スピンドル4の回
転角θと、雄ねじ6のリードlとに比例して垂直スライ
ダ12が移動するように電動モータ13を回転させて、微小
変位検出器16の接触子16aが、設計上の基準ねじ溝の軌
跡をなぞるようにする。
つまり、微小変位検出器16は、基準ねじ溝に対するね
じ溝6aの変位(ずれ)を測定することができ、その値が
微小変位ΔZとしてコントローラ17に供給される。
しかし、回転ユニット3及びスピンドル4間にアキシ
ャル振れが存在すると、そのアキシャル振れがそのまま
ねじ溝6aのリード方向の変位となって表われるので、微
小変位検出器16が測定した微小変位ΔZにアキシャル振
れが含まれていることになる。
そして、微小変位検出器9は、その本体が回転ユニッ
ト3と共にベッド2に固定されるとともに、その接触子
9aがスピンドル4の下端面に接触しているため、それが
測定した微小変位RAは、回転ユニット3及びスピンドル
4間のアキシャル振れに等しいことになる。
そこで、本実施例では、下記の(1)式に基づいてリ
ード誤差Δlを求めることにより、測定結果からアキシ
ャル振れの影響を取り除くようにしている。
このように、本実施例の構成であれば、雄ねじ6を回
転させる回転ユニット3及びスピンドル4間のアキシャ
ル振れを測定結果から取り除くことができるので、信頼
性の高いリード誤差Δlを求めることができる。そし
て、その測定結果を製造工程にフィードバックすれば、
雄ねじ6の精度向上が図られる。
なお、上記実施例では、雄ねじ6のリード誤差を測定
する装置に本発明を適用した場合について説明したが、
本発明の適用対象はこれに限定されるものではなく、雌
ねじのリード精度を測定する装置であっても適用可能で
ある。
〔発明の効果〕
以上説明したように、本発明によれば、ねじ溝のリー
ド方向の変位から、ねじを回転させる機構のアキシャル
振れを差し引いてねじ精度(リード方向の精度)を求め
るようにしたため、測定結果からアキシャル振れを取り
除くことができ、信頼性が向上するという効果がある。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明の一実施例を示す構成図である。 1……ねじ精度測定装置、3……回転ユニット、4……
スピンドル、5……回転台、6……雄ねじ、6a……ねじ
溝、7……ダイレクトドライブモータ、8……ロータリ
エンコーダ、9,16……微小変位検出器、9a,16a……接触

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ねじを回転させた状態で基準ねじ溝に対す
    るねじ溝のリード方向の変位を測定するとともに、前記
    ねじを回転させる機構のアキシャル振れを同時に測定
    し、そして、前記リード方向の変位から前記アキシャル
    振れを差し引いて前記ねじのリード方向の精度を求める
    ことを特徴とするねじ精度測定方法。
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