JP2854089B2 - ドアトリムにおけるオーナメント部の形成方法 - Google Patents

ドアトリムにおけるオーナメント部の形成方法

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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] この発明はドアトリム(一般に、ドアトリムボードと
も伝われる。)におけるオーナメント部の形成方法に関
し、詳しくは、成形したドアトリム基材(以下、単に基
材と略記する。)に表皮及び装飾シートを貼り付け加工
してオーナメント部を有するドアトリムとするためのオ
ーナメント部の形成方法の改良に係わるものである。
[従来の技術] 第10図に、従来一般のドアトリム26の構造を示す。従
来のドアトリム26は成形した基材21に表皮23を貼り、第
10図の仮想線枠X部分に示すオーナメント部27には装飾
シート24を貼って加飾される。装飾シート24の従来の貼
り方には、たとえば第11図、第12図あるいは第13図に示
す手段がある。すなわち、第11図に示す装飾シート34
は、基材31に表皮23を真空成形した後、オーナメント部
37となる凹状部31Aに装飾シート34で被着した鉄板ベー
ス35を、配置し、表皮23及び基材31に鉄板ベース35の止
め片35Aを挿通させ、基材31の裏面で止め片35Aを折り曲
げることによって取付けられる。第12図のオーナメント
部47となる凹状部41Aは外周に木目込み溝(なお、位置
決め溝、決め込み溝とも云われる)41Bを有するものと
され、基材41と表皮23を真空成形して木目込み溝41B内
に表皮23が密着した状態に形成される。装飾シート44は
凹状部41Aに接着するとともに、木目込み溝41Bに装飾シ
ート44の端部44Aを挿入した状態に接着される。
そして第13図に示す装飾シート54はオーナメント部57
となる基材51の凹状部51Aに装飾シート54を接着した
後、接着した装飾シート54を被って基材51に表皮23を真
空成形し、成形後に切断刃55Aを有するウエルドパター
ンブレード55で、装飾シート54の外周を高周波ウエルド
(ウエルト部56参照)すると同時に表皮23を切断して、
装飾シート54を被う表皮23部分を除去することにより、
所定形状の装飾シート54が取付けられる。
[発明が解決しようとする課題] しかしながら、前述した第11図の手段は鉄板ベース35
を必要とすることでコスト的にも不利であり、第12図の
手段は表皮23の密着する木目込み溝41Bの形成がしにく
く、第13図の手段はウエルド部56のスパーク不良により
不良率が高い問題がある。
そこで、本発明の課題は前述した従来手段における問
題点を解決せんとしたものであって、装飾シートの接着
作業がし易く、見栄え良好な仕上りとなし得て、かつ鉄
板ベースのような特別な部品を必要とせず、かつ成形品
の不良率がほとんど出ない。ドアトリムオーナメント部
の形成方法を提供することにある。
[課題を解決するための手段] 上記した課題を解決するために本発明は、通気性の基
材に、表皮と装飾シートを接着して装飾シートによるオ
ーナメント部を有するドアトリムを得るためのオーナメ
ント部の形成方法であって、 前記基材のオーナメント部となる部位の外周縁にはク
ッション体を接着し、前記クッション体及び基材の露出
した表面を表皮にて被着するとともに、基材の裏面より
吸引して表皮を基材のクッション体及び基材の露出した
表面に密着させ、表皮の密着状態においてオーナメント
部とする表皮上に装飾シートを接着し、吸引解除して大
気圧に戻すことを特徴とする。
そして、本発明は基材のオーナメント部となる部位が
凹状部され、凹状部の外周縁にクッション体を接着し、
被着した表皮の密着状態において凹状部を被う表皮部分
に装飾シートを接着する、オーナメント部の形成方法と
することができる。
さらに、本発明は基材のオーナメント部となる部位の
外周が木目込み溝とされ、木目込み溝内の外周縁にクッ
ション体を接着し、被着した表皮の密着状態においてオ
ーナメント部を被う表皮部分に装飾シートを接着しかつ
装飾シートの外周部を木目込み溝内に挿入接着する、オ
ーナメント部の形成方法とすることができる。
[作 用] 吸引によって表皮は凹状部あるいは木目込み溝、クッ
ション体及び基材の露出した表面に沿って密着する。表
皮の吸引状態においてクッション体は圧縮状態にされ
る。クッション体の圧縮状態において装飾シートが接着
される。吸引解除によってクッション体は嵩高状態に戻
る。すなわち、接着した装飾シートの外周部は嵩高状の
クッション体により盛り上った表皮にて被われた状態に
される。
[実施例] 次に、本発明の実施例を第1図〜第9図に基づいて説
明する。
まず、基材1(第1図参照)が用意される。この基材
1は通常のものと同様にファイバー質と樹脂とよりなる
層体を予め熱プレス型にて成形して形成されている。基
材1は全面に通気性を有し、突出したアームレスト部IC
(第6図参照)及びオーナメント部7となる凹状部1Aが
形出されている。しかして、基材1は真空成形型(以
下、単に成形型という。)9の型面に配置される。成形
型9は熱プレス型と同一型面を有し、かつ型面全体には
多数の小孔よりなる吸引孔9A(たとえば第1図の成形型
9における吸引孔9A参照)が設けられている。第1図に
示すように、型面に配置した基材1は凹状部1Aの外周縁
1Bにポリウレタンなどのクッション性を有するクッショ
ン体2が接着される。
次いで、成形型9の基材1上にはPVC(ポリ塩化ビニ
ル)シートなどの真空成形可能な表皮3を被い、成形型
9の吸引孔9Aより真空状に吸引して表皮3を真空成形す
る。第2図に示すように、真空成形において表皮3は基
材1面に密着するとともに、クッション体2は圧縮され
て高さが縮められる。
そこで、凹状部1Aに密着した表皮3上に第3図に示す
装飾シート4を接着する。装飾シート4は起毛ファブリ
ック地などの装飾性を有するシート材の単層、あるいは
シート材の裏面にクッション層を接着した複層のものよ
りなる。装飾シート4は裏面に接着剤5を塗った後、吸
引孔10Aを有するシート吸引型10にて吸引させる。第4
図における上昇位置のシート吸引型10に示すように、装
飾シート4の表面側をシート吸引型10に吸引してシート
吸引型10に装飾シート4を支持し、第4図に示すように
凹状部1Aの表皮3上に装飾シート4を圧着する。なお、
装飾シート4の圧着の際はシート吸引型10の吸引は解除
される。凹状部1Aの外周縁1Bのクッショ体2は圧縮状態
にあって、装飾シート4とくに装飾シート4の外周部4A
の接着性は良好に行なわれる。しかる後、シート吸引型
10を除去し、成形型9の吸引を開放すると、第5図に示
すように、クッション体2は高さを回復し、嵩高となる
ことより、クッション体2を被う表皮3部分を持ち上げ
て盛り上げるので、接着した装飾シート4の外周部4Aに
表皮3による負角を構成し、装飾シート4の外周部4Aを
被いかくす状態となる。しかして、成形型9から外し
て、第6図、第7図の加工後のドアトリム6を得る。
得られたドアトリム6は表皮3が基材1面に密着され
美しいオーナメント部7を有したものであった。とくに
オーナメント部7は基材1の凹状部1Aの表皮3に装飾シ
ート4が密着状に接着され、装飾シート4の外周部4Aは
表皮3が装飾シート4の外周部4Aを被う形状とされた仕
上り性良好で見栄えのよいものであった。
前記実施例は基材1の凹状部1Aの全面に装飾シート4
を接着する場合であったが、木目込み溝に装飾シートの
端部を挿入してオーナメント部を形成する場合において
も、第8図、第9図に示すようにクッション体1Bを利用
することができる。すなわち、第8図に示すように、基
材11の木目込み溝11A内の外側面には外側面に沿って予
めクッション体1Bを接着した後、吸引孔19Aを有する成
形型19に配置し、基材11の片面側全体に表皮3を被い、
基材11の裏面側より真空状に吸引してクッション体1Bを
縮ませるとともに、表皮3を基材11面及び木目込み溝11
A内に成形し、表皮3の密着状態を保持する。一方、装
飾シート4を所定位置に接着すると同時に、装飾シート
4の外周部4Aを木目込み溝11A内に挿入接着する。しか
る後、吸引を解除すると、第9図に示すように、クッシ
ョン体1Bの高さが回復し、表皮3によって木目込み溝11
Aを閉じた見栄えのよい形状が形成される。
[発明の効果] 本発明は基材の裏面より吸引して表皮を基材のクッシ
ョン体及び基材の露出した表面に密着させた状態におい
て凹状部部位のオーナメント部とする表皮上に装飾シー
トを接着するので、装飾シート接着作業が行ない易い。
そして、装飾シートの接着後は吸引解除して大気圧に戻
すことより、装飾シートの周縁部を表皮で被うようにク
ッション体が嵩高状に戻り、装飾シート周部の見栄え良
好な仕上りとなし得る。すなわち、本発明はクッション
体を利用するので、表皮の基材面への密着成形と、装飾
シートの接着と、装飾シート周部の盛り上り成形加工が
簡単に行ない得て、ドアトリムの表面加工し易いもので
ある。
また、本発明はクッション体を用いかつ表皮とともに
吸引する工程にて形成するので、従来の鉄板ベースのよ
うな特別に加工を要する部品を必要とせず、コスト面に
おいて有利である。また、本発明による形成品は高周波
ウエルドによらないので、スパーク不良などの問題がな
く、成形品の不良率がほとんどなくて都合がよい。ま
た、木目込み溝に利用した場合は溝巾を大きくなし得
て、基材の成形性を良くすることができる。
【図面の簡単な説明】
第1図〜9図は本考案の実施例を示し、第1図はクッシ
ョン体の接着工程図、第2図は真空成形による表皮成形
工程図、第3図は装飾シートの斜視図、第4図は装飾シ
ートの接着工程図、第5図はオーナメント部を主体とし
た断面図、第6図はドアトリムの斜視図、第7図は第6
図VII−VII線における断面図、第8図は木目込み溝の表
皮成形工程図、第9図はドアトリム木目込み溝の構造図
である。 第10図は従来ドアトリムの断面図、第11図は従来オーナ
メント部の構造図、第12図は従来オーナメント部の別構
造図、第13図はさらに従来オーナメント部別構造の成形
工程図である。 1,11……基材 1A……凹状部 2……クッション体 3……表皮 4……装飾シート 6……ドアトリム 7……オーナメント部 9,19……成形型 9A,19A……吸引孔 11A……木目込み溝
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) B60R 13/02 B60J 5/00 501 B32B 1/00 - 35/00

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】通気性のドアトリム基材に、表皮と装飾シ
    ートを接着して装飾シートによるオーナメント部を有す
    るドアトリムを得るためのオーナメント部の形成方法で
    あって、 前記ドアトリム基材のオーナメント部となる部位の外周
    縁にはクッション体を接着し、前記クッション体及びド
    アトリム基材の露出した表面を表皮にて被着するととも
    に、ドアトリム基材の裏面より吸引して表皮をドアトリ
    ム基材のクッション体及びドアトリム基材の露出した表
    面に密着させ、表皮の密着状態においてオーナメント部
    とする表皮上に装飾シートを接着し、吸引解除して大気
    圧に戻すことを特徴とするドアトリムのオーナメント部
    の形成方法。
  2. 【請求項2】ドアトリム基材のオーナメント部となる部
    位が凹状部とされ、凹状部の外周縁にクッション体を接
    着し、被着した表皮の密着状態において凹状部を被う表
    皮部分に装飾シートを接着する請求項(1)記載のドア
    トリムのオーナメント部の形成方法。
  3. 【請求項3】ドアトリム基材のオーナメント部となる部
    位の外周が木目込み溝とされ、木目込み溝内の外周縁に
    クッション体を接着し、被着した表皮の密着状態におい
    てオーナメント部を被う表皮部分に装飾シートを接着し
    かつ装飾シートの外周部を木目込み溝内に挿入接着する
    請求項(1)記載のドアトリムのオーナメント部の形成
    方法。
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