JP2853424B2 - チタン酸鉛磁器の製造方法 - Google Patents
チタン酸鉛磁器の製造方法Info
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- Compositions Of Oxide Ceramics (AREA)
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、酸化物系セラミックス
の複合酸化物であるチタン酸鉛磁器の製造方法に関す
る。
の複合酸化物であるチタン酸鉛磁器の製造方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】チタン酸鉛磁器は、原料粉末から成形し
た成形体を焼結することにより製造され、その圧電特性
を利用して圧力センサ、焦電素子、圧電振動子、共振
子、発信子、セラミックフィルタ、弾性表面波フィルタ
などに利用されている。このチタン酸鉛磁器を、例えば
圧力センサに用いる場合、その圧力−電荷出力の圧電特
性を向上させるために、従来より上記原料粉末に種々の
添加剤を加えることがなされている。
た成形体を焼結することにより製造され、その圧電特性
を利用して圧力センサ、焦電素子、圧電振動子、共振
子、発信子、セラミックフィルタ、弾性表面波フィルタ
などに利用されている。このチタン酸鉛磁器を、例えば
圧力センサに用いる場合、その圧力−電荷出力の圧電特
性を向上させるために、従来より上記原料粉末に種々の
添加剤を加えることがなされている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記従来のように、チ
タン酸鉛磁器の圧電特性を添加剤の混入により向上させ
ようとすると、添加剤の添加量を増やさなければならな
い。しかし、チタン酸鉛磁器の重要な特性であるキュリ
ー温度は、添加剤の添加量を増すほど低下してしまう。
このキュリー温度が低下すると、温度変化により圧電特
性が大きく変化するようになり、例えば圧力センサとし
て正確に機能しなくなる。
タン酸鉛磁器の圧電特性を添加剤の混入により向上させ
ようとすると、添加剤の添加量を増やさなければならな
い。しかし、チタン酸鉛磁器の重要な特性であるキュリ
ー温度は、添加剤の添加量を増すほど低下してしまう。
このキュリー温度が低下すると、温度変化により圧電特
性が大きく変化するようになり、例えば圧力センサとし
て正確に機能しなくなる。
【0004】本発明は上記実情に鑑みてなされたもので
あり、キュリー温度の低下を抑えつつ、圧電特性を向上
させることのできるチタン酸鉛磁器の製造方法を提供す
ることを目的とする。
あり、キュリー温度の低下を抑えつつ、圧電特性を向上
させることのできるチタン酸鉛磁器の製造方法を提供す
ることを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】第1発明のチタン酸鉛磁
器の製造方法は、原料粉末から成形体を成形する工程
と、該成形体を焼成して焼結体とする工程と、該焼結体
の表面で、該焼結体を分極する際の分極方向と直角な表
面にパラジウムペーストを塗布する工程と、該パラジウ
ムペーストが塗布された焼結体を900〜1200℃に
加熱して、該焼結体の表面にパラジウム層を一体的に形
成する工程とからなることを特徴とする。
器の製造方法は、原料粉末から成形体を成形する工程
と、該成形体を焼成して焼結体とする工程と、該焼結体
の表面で、該焼結体を分極する際の分極方向と直角な表
面にパラジウムペーストを塗布する工程と、該パラジウ
ムペーストが塗布された焼結体を900〜1200℃に
加熱して、該焼結体の表面にパラジウム層を一体的に形
成する工程とからなることを特徴とする。
【0006】第2発明のチタン酸鉛磁器の製造方法は、
原料粉末から成形体を成形する工程と、該成形体を焼成
して焼結体とする工程と、該焼結体の表面で、該焼結体
を分極する際の分極方向と直角な表面にパラジウムペー
ストを塗布する工程と、該パラジウムペーストの上にさ
らにフリット含有の銀ペーストを塗布する工程と、該パ
ラジウムペースト及び銀ペーストが塗布された焼結体を
該銀の焼き付け温度で加熱して、該焼結体の表面にパラ
ジウム層及び銀層を順に一体的に形成する工程とからな
ることを特徴とする。
原料粉末から成形体を成形する工程と、該成形体を焼成
して焼結体とする工程と、該焼結体の表面で、該焼結体
を分極する際の分極方向と直角な表面にパラジウムペー
ストを塗布する工程と、該パラジウムペーストの上にさ
らにフリット含有の銀ペーストを塗布する工程と、該パ
ラジウムペースト及び銀ペーストが塗布された焼結体を
該銀の焼き付け温度で加熱して、該焼結体の表面にパラ
ジウム層及び銀層を順に一体的に形成する工程とからな
ることを特徴とする。
【0007】
【作用】第1発明のチタン酸鉛磁器の製造方法では、成
形体を焼結した焼結体の表面で、該焼結体を分極する際
の分極方向と直角な表面に、パラジウムペーストを塗布
し、このパラジウムペーストが塗布された焼結体を90
0〜1200℃で加熱する。これにより、焼結体の表面
に一体的にパラジウム層が形成される。このとき、パラ
ジウム層と焼結体の表面との界面では、パラジウムがチ
タン酸鉛の粒子間に入り込んで充填されるとともに、パ
ラジウムとチタン酸鉛とが反応する。これにより、焼結
体表面のチタン酸鉛の粒子が成長する。チタン酸鉛の粒
子が成長して大きくなると、1粒子中のドメインが複数
となり、1つのドメインに他のドメインが引っ張られる
ようになるため、粒子の分極性が向上する。その結果、
チタン酸鉛磁器の圧電特性が向上する。なお、パラジウ
ムペーストが塗布された焼結体を加熱する際の加熱温度
が900℃より低いと、パラジウムとチタン酸鉛とが充
分に反応しない。また、この加熱温度が1200℃より
高いと、パラジウムが玉状に焼結してしまい、電極とし
ての役割を果たさなくなる。
形体を焼結した焼結体の表面で、該焼結体を分極する際
の分極方向と直角な表面に、パラジウムペーストを塗布
し、このパラジウムペーストが塗布された焼結体を90
0〜1200℃で加熱する。これにより、焼結体の表面
に一体的にパラジウム層が形成される。このとき、パラ
ジウム層と焼結体の表面との界面では、パラジウムがチ
タン酸鉛の粒子間に入り込んで充填されるとともに、パ
ラジウムとチタン酸鉛とが反応する。これにより、焼結
体表面のチタン酸鉛の粒子が成長する。チタン酸鉛の粒
子が成長して大きくなると、1粒子中のドメインが複数
となり、1つのドメインに他のドメインが引っ張られる
ようになるため、粒子の分極性が向上する。その結果、
チタン酸鉛磁器の圧電特性が向上する。なお、パラジウ
ムペーストが塗布された焼結体を加熱する際の加熱温度
が900℃より低いと、パラジウムとチタン酸鉛とが充
分に反応しない。また、この加熱温度が1200℃より
高いと、パラジウムが玉状に焼結してしまい、電極とし
ての役割を果たさなくなる。
【0008】第2発明のチタン酸鉛磁器の製造方法で
は、成形体を焼結した焼結体の表面で、該焼結体を分極
する際の分極方向と直角な表面に、パラジウムペースト
を塗布し、さらにこの上にフリット含有の銀ペーストを
塗布し、このパラジウムペースト及び銀ペーストが塗布
された焼結体を銀の焼き付け温度で焼成する。これによ
り、焼結体の表面にパラジウム層及び銀層が順に一体的
に形成される。このとき、パラジウム層と焼結体の表面
との界面では、パラジウムペーストがその上に塗布され
た銀ペースト中のフリットに押されることにより、パラ
ジウムがチタン酸鉛の粒子間に入り込んで充填される。
このため、銀の焼き付け温度(約500〜600℃)と
いう低い温度でも、パラジウムとチタン酸鉛とが反応す
る。これにより、上述したようにチタン酸鉛の粒子の分
極性が向上し、チタン酸鉛磁器の圧電特性が向上する。
は、成形体を焼結した焼結体の表面で、該焼結体を分極
する際の分極方向と直角な表面に、パラジウムペースト
を塗布し、さらにこの上にフリット含有の銀ペーストを
塗布し、このパラジウムペースト及び銀ペーストが塗布
された焼結体を銀の焼き付け温度で焼成する。これによ
り、焼結体の表面にパラジウム層及び銀層が順に一体的
に形成される。このとき、パラジウム層と焼結体の表面
との界面では、パラジウムペーストがその上に塗布され
た銀ペースト中のフリットに押されることにより、パラ
ジウムがチタン酸鉛の粒子間に入り込んで充填される。
このため、銀の焼き付け温度(約500〜600℃)と
いう低い温度でも、パラジウムとチタン酸鉛とが反応す
る。これにより、上述したようにチタン酸鉛の粒子の分
極性が向上し、チタン酸鉛磁器の圧電特性が向上する。
【0009】また、第2発明の製造方法では、銀の焼き
付け温度、すなわち500〜600℃と低い温度で焼成
するので、酸化鉛(PbO)の蒸発が防止される。この
ため、チタン酸鉛磁器の組成が変化して、圧電特性にバ
ラツキを生じることが防止される。このように第1発明
及び第2発明のチタン酸鉛磁器の製造方法によれば、添
加剤の添加量を多くすることなしに圧電特性の向上を図
ることができる。このため、添加剤の多量混入によるキ
ュリー温度の低下を防ぐことができ、温度変化による圧
電特性の変化を抑えることが可能となる。
付け温度、すなわち500〜600℃と低い温度で焼成
するので、酸化鉛(PbO)の蒸発が防止される。この
ため、チタン酸鉛磁器の組成が変化して、圧電特性にバ
ラツキを生じることが防止される。このように第1発明
及び第2発明のチタン酸鉛磁器の製造方法によれば、添
加剤の添加量を多くすることなしに圧電特性の向上を図
ることができる。このため、添加剤の多量混入によるキ
ュリー温度の低下を防ぐことができ、温度変化による圧
電特性の変化を抑えることが可能となる。
【0010】
【実施例】本発明のチタン酸鉛磁器の製造方法の実施例
を説明する。 (実施例1)原料粉末としてのPbO、TiO2 、L
a、MnOを、(Pb,La)(Ti,Mn)O3 の組
成となるように秤量し、ポットミル中で湿式混合、粉砕
した。その後脱水、乾燥し、700〜950℃で2時間
仮焼した。その仮焼粉を再びポットミルで湿式混合、粉
砕し、さらに脱水、乾燥して粉末状の成形材料を得た。
なお、上記Laの代わりにSm、Nd等の他の希土類元
素を同様に用いることができる。
を説明する。 (実施例1)原料粉末としてのPbO、TiO2 、L
a、MnOを、(Pb,La)(Ti,Mn)O3 の組
成となるように秤量し、ポットミル中で湿式混合、粉砕
した。その後脱水、乾燥し、700〜950℃で2時間
仮焼した。その仮焼粉を再びポットミルで湿式混合、粉
砕し、さらに脱水、乾燥して粉末状の成形材料を得た。
なお、上記Laの代わりにSm、Nd等の他の希土類元
素を同様に用いることができる。
【0011】この成形材料にバインダとしてのPVA
(ポリビニルアルコール)を約3wt%加えて造粒後、
成形圧力1t/cm2 で直径15mm、厚さ1mmの円
板状の成形体を形成した。この成形体を、昇降温速度2
00℃/h、焼成温度1250℃で2時間焼成して焼結
体1とした。
(ポリビニルアルコール)を約3wt%加えて造粒後、
成形圧力1t/cm2 で直径15mm、厚さ1mmの円
板状の成形体を形成した。この成形体を、昇降温速度2
00℃/h、焼成温度1250℃で2時間焼成して焼結
体1とした。
【0012】パラジウム粉末を20g、及びエチルセル
ロースを1g配合し、らいかい機で混練して調整したパ
ラジウムペーストを、上記焼結体1の表面で、分極する
方向と直角な表面に10μmの膜厚で塗布した。このパ
ラジウムペーストを塗布した焼結体1を、密閉容器の中
で、1000℃で0.5時間加熱して、焼結体1の表面
にパラジウム層2を一体的に形成した(図1参照)。
ロースを1g配合し、らいかい機で混練して調整したパ
ラジウムペーストを、上記焼結体1の表面で、分極する
方向と直角な表面に10μmの膜厚で塗布した。このパ
ラジウムペーストを塗布した焼結体1を、密閉容器の中
で、1000℃で0.5時間加熱して、焼結体1の表面
にパラジウム層2を一体的に形成した(図1参照)。
【0013】このパラジウム層2が形成された焼結体1
に、200℃のシリコンオイル中で6kV/mmで30
分間分極処理を行って、本実施例1のチタン酸鉛磁器を
製造した。 (比較例1)銀粉末を20g、及びガラスフリットを4
gとエチルセルロース1gを配合し、らいかい機で混練
して調整した銀ペーストを、上記実施例1と同様にして
得た焼結体の表面で、分極する方向と直角な表面に、1
0μmの膜厚で塗布し、約500℃で0.5時間加熱し
て、焼結体1の表面に銀層3を一体的に形成した(図3
参照)。
に、200℃のシリコンオイル中で6kV/mmで30
分間分極処理を行って、本実施例1のチタン酸鉛磁器を
製造した。 (比較例1)銀粉末を20g、及びガラスフリットを4
gとエチルセルロース1gを配合し、らいかい機で混練
して調整した銀ペーストを、上記実施例1と同様にして
得た焼結体の表面で、分極する方向と直角な表面に、1
0μmの膜厚で塗布し、約500℃で0.5時間加熱し
て、焼結体1の表面に銀層3を一体的に形成した(図3
参照)。
【0014】この銀層3が形成された焼結体1に上記実
施例1と同様の分極処理を行って、比較例1のチタン酸
鉛磁器を製造した。 (評価)上記実施例1及び比較例1に係るチタン酸鉛磁
器について、プリセット荷重2000N、荷重振幅10
00Nの条件で圧力−電荷出力の圧電特性を評価した。
その結果、比較例1に係るチタン酸鉛磁器が50pC/
Nだったのに対して、本実施例1に係るチタン酸鉛磁器
が55pC/Nだった。また、キュリー温度を測定した
結果、実施例1及び比較例1に係るチタン酸鉛磁器とも
に495℃だった。
施例1と同様の分極処理を行って、比較例1のチタン酸
鉛磁器を製造した。 (評価)上記実施例1及び比較例1に係るチタン酸鉛磁
器について、プリセット荷重2000N、荷重振幅10
00Nの条件で圧力−電荷出力の圧電特性を評価した。
その結果、比較例1に係るチタン酸鉛磁器が50pC/
Nだったのに対して、本実施例1に係るチタン酸鉛磁器
が55pC/Nだった。また、キュリー温度を測定した
結果、実施例1及び比較例1に係るチタン酸鉛磁器とも
に495℃だった。
【0015】この結果、本実施例1の製造方法は、キュ
リー温度を下げることなしに、圧力−電荷出力の特性を
比較例1の製造方法と比べて10%向上させることが可
能であることが確認できた。また実施例1及び比較例1
に係るチタン酸鉛磁器の粒子構造を示す模式図を図2及
び図3に示すように、実施例1に係るチタン酸鉛磁器の
パラジウム層2と焼結体1の表面との界面におけるチタ
ン酸鉛の粒子が、比較例1のものと比べて、5倍程度大
きくなっているのが確認できた。 (実施例2)パラジウム粉末を20g、及びエチルセル
ロースを1g配合し、らいかい機で混練して調整したパ
ラジウムペーストを、上記実施例1と同様にして得た2
0個の焼結体1の表面で、分極する方向と直角な表面に
10μmの膜厚で塗布した。
リー温度を下げることなしに、圧力−電荷出力の特性を
比較例1の製造方法と比べて10%向上させることが可
能であることが確認できた。また実施例1及び比較例1
に係るチタン酸鉛磁器の粒子構造を示す模式図を図2及
び図3に示すように、実施例1に係るチタン酸鉛磁器の
パラジウム層2と焼結体1の表面との界面におけるチタ
ン酸鉛の粒子が、比較例1のものと比べて、5倍程度大
きくなっているのが確認できた。 (実施例2)パラジウム粉末を20g、及びエチルセル
ロースを1g配合し、らいかい機で混練して調整したパ
ラジウムペーストを、上記実施例1と同様にして得た2
0個の焼結体1の表面で、分極する方向と直角な表面に
10μmの膜厚で塗布した。
【0016】焼結体1の表面に塗布されたパラジウムペ
ーストの上に、さらに銀粉末を20g、ガラスフリット
(ほう珪酸鉛)を4g、及びエチルセルロースを1g配
合し、らいかい機で混練して調整したガラスフリット含
有の銀ペーストを、10μmの膜厚で塗布した。なお、
上記パラジウムペースト中にも、ガラスフリットを含有
させてもよい。
ーストの上に、さらに銀粉末を20g、ガラスフリット
(ほう珪酸鉛)を4g、及びエチルセルロースを1g配
合し、らいかい機で混練して調整したガラスフリット含
有の銀ペーストを、10μmの膜厚で塗布した。なお、
上記パラジウムペースト中にも、ガラスフリットを含有
させてもよい。
【0017】このパラジウムペースト及びガラスフリッ
ト含有の銀ペーストを塗布した焼結体1を、開放容器の
中で、600℃で0.5時間加熱して、焼結体1の表面
にパラジウム層2及びガラスフリット含有の銀層3を順
に一体的に形成した(図4参照)。このパラジウム層2
及びガラスフリット含有の銀層3が形成された焼結体1
に上記実施例1と同様の分極処理を行って、実施例2の
チタン酸鉛磁器を製造した。 (評価)上記実施例2に係るチタン酸鉛磁器について、
上記実施例1と同様に、圧力−電荷出力の圧電特性を評
価した。その結果、本実施例2に係るチタン酸鉛磁器
は、20個とも58pC/Nで一定だった。また、キュ
リー温度を測定したら、495℃だった。なお、上記実
施例1に係るチタン酸鉛磁器20個についても、同様に
圧力−電荷出力を測定したら、20個の中で50〜58
pC/Nのバラツキがあり、平均で55pC/Nだっ
た。
ト含有の銀ペーストを塗布した焼結体1を、開放容器の
中で、600℃で0.5時間加熱して、焼結体1の表面
にパラジウム層2及びガラスフリット含有の銀層3を順
に一体的に形成した(図4参照)。このパラジウム層2
及びガラスフリット含有の銀層3が形成された焼結体1
に上記実施例1と同様の分極処理を行って、実施例2の
チタン酸鉛磁器を製造した。 (評価)上記実施例2に係るチタン酸鉛磁器について、
上記実施例1と同様に、圧力−電荷出力の圧電特性を評
価した。その結果、本実施例2に係るチタン酸鉛磁器
は、20個とも58pC/Nで一定だった。また、キュ
リー温度を測定したら、495℃だった。なお、上記実
施例1に係るチタン酸鉛磁器20個についても、同様に
圧力−電荷出力を測定したら、20個の中で50〜58
pC/Nのバラツキがあり、平均で55pC/Nだっ
た。
【0018】この結果、本実施例2の製造方法は、キュ
リー温度を下げることなしに、圧力−電荷出力の特性を
向上させることが可能であり、しかもバラツキのない安
定した圧電特性にすることが可能であることが確認でき
た。また実施例2に係るチタン酸鉛磁器の粒子構造を示
す模式図を図5に示すように、実施例2に係るチタン酸
鉛磁器のパラジウム層2と焼結体1の表面との界面にお
けるチタン酸鉛の粒子が、前述の比較例1のものと比べ
て、5倍程度大きくなっているのが確認できた。
リー温度を下げることなしに、圧力−電荷出力の特性を
向上させることが可能であり、しかもバラツキのない安
定した圧電特性にすることが可能であることが確認でき
た。また実施例2に係るチタン酸鉛磁器の粒子構造を示
す模式図を図5に示すように、実施例2に係るチタン酸
鉛磁器のパラジウム層2と焼結体1の表面との界面にお
けるチタン酸鉛の粒子が、前述の比較例1のものと比べ
て、5倍程度大きくなっているのが確認できた。
【0019】
【発明の効果】以上詳述したように、第1発明及び第2
発明のチタン酸鉛磁器の製造方法によれば、チタン酸鉛
磁器の表面とパラジウム層との界面において、パラジウ
ムとチタン酸鉛との反応によりチタン酸鉛の粒子の分極
性を向上させたチタン酸鉛磁器を得ることができる。こ
のため、圧電特性を向上させるために、従来のように添
加剤の添加量を増やす必要がないので、添加剤の増量に
よるキュリー温度の低下を抑えることができる。したが
って、第1発明及び第2発明のチタン酸鉛磁器の製造方
法によれば、温度変化に対して安定した圧電特性をも
ち、しかも優れた圧電特性を示すチタン酸鉛磁器を得る
ことが可能である。
発明のチタン酸鉛磁器の製造方法によれば、チタン酸鉛
磁器の表面とパラジウム層との界面において、パラジウ
ムとチタン酸鉛との反応によりチタン酸鉛の粒子の分極
性を向上させたチタン酸鉛磁器を得ることができる。こ
のため、圧電特性を向上させるために、従来のように添
加剤の添加量を増やす必要がないので、添加剤の増量に
よるキュリー温度の低下を抑えることができる。したが
って、第1発明及び第2発明のチタン酸鉛磁器の製造方
法によれば、温度変化に対して安定した圧電特性をも
ち、しかも優れた圧電特性を示すチタン酸鉛磁器を得る
ことが可能である。
【0020】また、第2発明のチタン酸鉛磁器の製造方
法によれば、チタン酸鉛磁器中の酸化鉛(PbO)の蒸
発が防止されるので、チタン酸鉛磁器の組成が変化する
こともなく、バラツキのない安定した圧電特性とするこ
とができる。
法によれば、チタン酸鉛磁器中の酸化鉛(PbO)の蒸
発が防止されるので、チタン酸鉛磁器の組成が変化する
こともなく、バラツキのない安定した圧電特性とするこ
とができる。
【図1】実施例1のチタン酸鉛磁器の製造方法によって
得られたチタン酸鉛磁器の断面図である。
得られたチタン酸鉛磁器の断面図である。
【図2】実施例1に係るチタン酸鉛磁器の粒子構造を示
す模式図である。
す模式図である。
【図3】比較例1に係るチタン酸鉛磁器の粒子構造を示
す模式図である。
す模式図である。
【図4】実施例2のチタン酸鉛磁器の製造方法によって
得られたチタン酸鉛磁器の断面図である。
得られたチタン酸鉛磁器の断面図である。
【図5】実施例2に係るチタン酸鉛磁器の粒子構造を示
す模式図である。
す模式図である。
1は焼結体、2はパラジウム層、3は銀層である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C04B 35/42 - 35/49 H01L 41/00 - 41/26 H01B 3/00 - 3/14
Claims (2)
- 【請求項1】 原料粉末から成形体を成形する工程と、 該成形体を焼成して焼結体とする工程と、 該焼結体の表面で、該焼結体を分極する際の分極方向と
直角な表面にパラジウムペーストを塗布する工程と、 該パラジウムペーストが塗布された焼結体を900〜1
200℃で加熱して、該焼結体の表面にパラジウム層を
一体的に形成する工程とからなることを特徴とするチタ
ン酸鉛磁器の製造方法。 - 【請求項2】 原料粉末から成形体を成形する工程と、 該成形体を焼成して焼結体とする工程と、 該焼結体の表面で、該焼結体を分極する際の分極方向と
直角な表面にパラジウムペーストを塗布する工程と、 該パラジウムペーストの上にさらにフリット含有の銀ペ
ーストを塗布する工程と、 該パラジウムペースト及び銀ペーストが塗布された焼結
体を該銀の焼き付け温度で加熱して、該焼結体の表面に
パラジウム層及び銀層を順に一体的に形成する工程とか
らなることを特徴とするチタン酸鉛磁器の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP33717991A JP2853424B2 (ja) | 1991-12-19 | 1991-12-19 | チタン酸鉛磁器の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP33717991A JP2853424B2 (ja) | 1991-12-19 | 1991-12-19 | チタン酸鉛磁器の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH05170531A JPH05170531A (ja) | 1993-07-09 |
JP2853424B2 true JP2853424B2 (ja) | 1999-02-03 |
Family
ID=18306195
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP33717991A Expired - Fee Related JP2853424B2 (ja) | 1991-12-19 | 1991-12-19 | チタン酸鉛磁器の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2853424B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN114736015B (zh) * | 2022-04-26 | 2022-12-23 | 信阳师范学院 | 一种采用真空热压烧结炉制备的插层锆钛酸钡钙基无铅压电陶瓷及其制备方法 |
-
1991
- 1991-12-19 JP JP33717991A patent/JP2853424B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH05170531A (ja) | 1993-07-09 |
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Date | Code | Title | Description |
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LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |